(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122489
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】貨幣処理装置および貨幣処理システム
(51)【国際特許分類】
G07D 11/24 20190101AFI20220816BHJP
G07D 9/00 20060101ALI20220816BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20220816BHJP
G07D 11/00 20190101ALI20220816BHJP
【FI】
G07D11/24 101
G07D9/00
G07G1/00 331A
G07D11/00 141
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021019747
(22)【出願日】2021-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】中谷 徹也
【テーマコード(参考)】
3E001
3E040
3E141
3E142
【Fターム(参考)】
3E001AA07
3E001BA01
3E001BA02
3E001CA06
3E001CA09
3E001DA10
3E001EB08
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3E001FA06
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3E040AA08
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3E040CA05
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3E040CA16
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3E040FF07
3E040FH03
3E040FJ02
3E040FJ06
3E040FJ07
3E141AA01
3E141AA08
3E141BA06
3E141CA03
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3E141CA09
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3E141CB04
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3E141FC07
3E141FF01
3E141FF07
3E141FH03
3E141FJ02
3E141FJ07
3E141FJ08
3E141GA07
3E141HA06
3E141HA09
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3E141KB08
3E141KC03
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3E141LA06
3E141LA46
3E141LA62
3E141LA63
3E141LA67
3E142AA01
(57)【要約】
【課題】より適切な残置回収を実現する。
【解決手段】貨幣を収納する貨幣収納部と、前記貨幣収納部に一部の貨幣を残置し、他の貨幣を回収のために前記貨幣収納部から搬送する残置回収を制御する制御部と、前記残置回収において前記貨幣収納部に残置する貨幣である残置貨幣の金額または金種ごとの枚数についての複数のパターンを記憶する記憶部と、を備え、前記制御部は、前記残置回収において前記複数のパターンからいずれかのパターンを選択するための選択画面を生成し、当該選択画面において選択されたパターンに従って前記残置回収を制御する、貨幣処理装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣を収納する貨幣収納部と、
前記貨幣収納部に一部の貨幣を残置し、他の貨幣を回収のために前記貨幣収納部から搬送する残置回収を制御する制御部と、
前記残置回収において前記貨幣収納部に残置する貨幣である残置貨幣の金額または金種ごとの枚数についての複数のパターンを記憶する記憶部と、
を備え、
前記制御部は、前記残置回収において前記複数のパターンからいずれかのパターンを選択するための選択画面を生成し、当該選択画面において選択されたパターンに従って前記残置回収を制御する、貨幣処理装置。
【請求項2】
前記複数のパターンは、平日用のパターンおよび土日用のパターンを含み、
前記平日用のパターンでの残置貨幣の金額または金種ごとの枚数は、前記土日用のパターンでの残置貨幣の金額または金種ごとの枚数よりも少ない、請求項1に記載の貨幣処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、翌日が平日である場合には前記平日用のパターンの選択を誘導し、翌日が土日である場合には前記土日用のパターンの選択を誘導する前記選択画面を生成する、請求項2に記載の貨幣処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記選択画面において、翌日が平日である場合には前記平日用のパターンに対応する選択ボタンを強調し、翌日が土日である場合には前記土日用のパターンに対応する選択ボタンを強調する、請求項3に記載の貨幣処理装置。
【請求項5】
前記選択画面は、特定日を示すカレンダー表示を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、翌日が特定日である場合に、翌日が特定日であることを通知する表示を生成する、請求項5に記載の貨幣処理装置。
【請求項7】
貨幣処理装置および制御装置を含む貨幣処理システムであって、
前記貨幣処理装置は、
貨幣を収納する貨幣収納部と、
前記制御装置と通信する第1通信部と、
を備え、
前記制御装置は、
前記貨幣収納部に一部の貨幣を残置し、他の貨幣を回収のために前記貨幣収納部から搬送する残置回収において、前記貨幣収納部に残置する貨幣である残置貨幣の金額または金種ごとの枚数についての複数のパターンからいずれかのパターンを選択するための選択画面を生成する制御部と、
前記選択画面において選択されたパターンに従って前記残置回収を実行することを指示する信号を前記貨幣処理装置に送信する第2通信部と、
を備える、貨幣処理システム。
【請求項8】
貨幣を収納する貨幣収納部と、
前記貨幣収納部に一部の貨幣を残置し、他の貨幣を回収のために前記貨幣収納部から搬送する残置回収を制御する制御部と、
前記残置回収において前記貨幣収納部に残置する貨幣である残置貨幣の金額または金種ごとの枚数についての複数のパターン、および特定日が設定されているカレンダー情報を記憶する記憶部と、
を備え、
前記制御部は、翌日が前記特定日であるか否かに応じて前記複数のパターンからいずれかのパターンを抽出し、抽出したパターンで前記残置回収を実行することを示すメッセージ、および前記残置回収の実行を指示する実行ボタンを含む表示画面を生成する、貨幣処理装置。
【請求項9】
貨幣処理装置および制御装置を含む貨幣処理システムであって、
前記貨幣処理装置は、
貨幣を収納する貨幣収納部と、
前記制御装置と通信する第1通信部と、
を備え、
前記制御装置は、
前記貨幣収納部に一部の貨幣を残置し、他の貨幣を回収のために前記貨幣収納部から搬送する残置回収を制御する制御部と、
前記残置回収において前記貨幣収納部に残置する貨幣である残置貨幣の金額または金種ごとの枚数についての複数のパターン、および特定日が設定されているカレンダー情報を記憶する記憶部と、
前記貨幣処理装置と通信する第2通信部と、
を備え、
前記制御部は、翌日が前記特定日であるか否かに応じて前記複数のパターンからいずれかのパターンを抽出し、抽出したパターンで前記残置回収を実行することを示すメッセージ、および前記残置回収の実行を確認する確認ボタンを含む表示画面を生成し、
前記第2通信部は、前記確認ボタンの選択に基づき、前記抽出されたパターンに従う前記残置回収の実行を指示する信号を前記貨幣処理装置に送信する、貨幣処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣処理装置および貨幣処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、現金(紙幣または硬貨)の入出金を行う入出金装置が知られている。かかる入出金装置は、百貨店、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどといった小売業の店舗に主に設置される。入出金装置には、店舗における売上金および釣銭準備金が収納されており、入出金装置からは、1日の業務終了後に売上金の回収(以下、単に売上回収とも言う。)が行われる。
【0003】
売上回収としては一般に、装置内に収納されている現金を全て回収する全回収と、装置内に収納されている現金の一部を翌日分の釣銭準備金として装置内に残してその他の現金を回収する残置回収とが知られている。例えば、特許文献1には、曜日と残置金額を対応付けて記憶しておき、1日の業務終了後に、翌日が何曜日であるかに応じた残置金額を装置内に残す残置回収を行う技術が開示されている。曜日ごとに来客数の傾向が異なる場合には、来客数の多い曜日にはより多くの残置金額を対応付けておくことが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、実際の来客数は、曜日ごとの平均的な傾向と異なる場合がある。例えば、水曜日に祝日または特売日などが重なった場合には、土日用の残置金額が適用されることが望まれ得る。また、翌日である日曜日が店舗休日である場合には、翌営業日である月曜日用の残置金額が適用されることが望まれ得る。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、より適切な残置回収を実現し得る、新規かつ改良された貨幣処理装置および貨幣処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、貨幣を収納する貨幣収納部と、前記貨幣収納部に一部の貨幣を残置し、他の貨幣を回収のために前記貨幣収納部から搬送する残置回収を制御する制御部と、前記残置回収において前記貨幣収納部に残置する貨幣である残置貨幣の金額または金種ごとの枚数についての複数のパターンを記憶する記憶部と、を備え、前記制御部は、前記残置回収において前記複数のパターンからいずれかのパターンを選択するための選択画面を生成し、当該選択画面において選択されたパターンに従って前記残置回収を制御する、貨幣処理装置が提供される。
【0008】
前記複数のパターンは、平日用のパターンおよび土日用のパターンを含み、前記平日用のパターンでの残置貨幣の金額または金種ごとの枚数は、前記土日用のパターンでの残置貨幣の金額または金種ごとの枚数よりも少なくてもよい。
【0009】
前記制御部は、翌日が平日である場合には前記平日用のパターンの選択を誘導し、翌日が土日である場合には前記土日用のパターンの選択を誘導する前記選択画面を生成してもよい。
【0010】
前記制御部は、前記選択画面において、翌日が平日である場合には前記平日用のパターンに対応する選択ボタンを強調し、翌日が土日である場合には前記土日用のパターンに対応する選択ボタンを強調してもよい。
【0011】
前記選択画面は、特定日を示すカレンダー表示を含んでもよい。
【0012】
前記制御部は、翌日が特定日である場合に、翌日が特定日であることを通知する表示を生成してもよい。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、貨幣処理装置および制御装置を含む貨幣処理システムであって、前記貨幣処理装置は、貨幣を収納する貨幣収納部と、前記制御装置と通信する第1通信部と、を備え、前記制御装置は、前記貨幣収納部に一部の貨幣を残置し、他の貨幣を回収のために前記貨幣収納部から搬送する残置回収において、前記貨幣収納部に残置する貨幣である残置貨幣の金額または金種ごとの枚数についての複数のパターンからいずれかのパターンを選択するための選択画面を生成する制御部と、前記選択画面において選択されたパターンに従って前記残置回収を実行することを指示する信号を前記貨幣処理装置に送信する第2通信部と、を備える、貨幣処理システムが提供される。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、貨幣を収納する貨幣収納部と、前記貨幣収納部に一部の貨幣を残置し、他の貨幣を回収のために前記貨幣収納部から搬送する残置回収を制御する制御部と、前記残置回収において前記貨幣収納部に残置する貨幣である残置貨幣の金額または金種ごとの枚数についての複数のパターン、および特定日が設定されているカレンダー情報を記憶する記憶部と、を備え、前記制御部は、翌日が前記特定日であるか否かに応じて前記複数のパターンからいずれかのパターンを抽出し、抽出したパターンで前記残置回収を実行することを示すメッセージ、および前記残置回収の実行を指示する実行ボタンを含む表示画面を生成する、貨幣処理装置が提供される。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、貨幣処理装置および制御装置を含む貨幣処理システムであって、前記貨幣処理装置は、貨幣を収納する貨幣収納部と、前記制御装置と通信する第1通信部と、を備え、前記制御装置は、前記貨幣収納部に一部の貨幣を残置し、他の貨幣を回収のために前記貨幣収納部から搬送する残置回収を制御する制御部と、前記残置回収において前記貨幣収納部に残置する貨幣である残置貨幣の金額または金種ごとの枚数についての複数のパターン、および特定日が設定されているカレンダー情報を記憶する記憶部と、前記貨幣処理装置と通信する第2通信部と、を備え、前記制御部は、翌日が前記特定日であるか否かに応じて前記複数のパターンからいずれかのパターンを抽出し、抽出したパターンで前記残置回収を実行することを示すメッセージ、および前記残置回収の実行を確認する確認ボタンを含む表示画面を生成し、前記第2通信部は、前記確認ボタンの選択に基づき、前記抽出されたパターンに従う前記残置回収の実行を指示する信号を前記貨幣処理装置に送信する、貨幣処理システムが提供される。
【発明の効果】
【0016】
以上説明した本発明によれば、より適切な残置回収を実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態による現金処理装置1の外観斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態による現金処理装置10の機能構成例を示すブロック図である。
【
図3】硬貨入出金部100の内部構成を模式的に示す説明図である。
【
図4】紙幣入出金部200の内部構成を模式的に示す説明図である。
【
図5】記憶部50が記憶する残置貨幣についての複数のパターンの具体例を示す説明図である。
【
図6】カレンダー情報の具体例を示す説明図である。
【
図12】変形例による現金処理システムの構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、複数の構成要素の各々に同一符号のみを付する。
【0020】
<1.概要>
まず、本発明の実施形態による現金処理装置の概要について説明する。本発明の実施形態による現金処理装置は、例えば、スーパーマーケットおよびコンビニエンスストアなどの小売店、ディスカウントショップなどの大型量販店などの精算所に設置されたレジスタまたはPOS(Point Of Sales)用レジスタなどに接続された現金釣銭機である。
【0021】
(外観構成)
図1は、本発明の実施形態による現金処理装置1の外観斜視図である。
図1に示したように、現金処理装置1は、硬貨入出金部100と、紙幣入出金部200と、表示部221と、操作部222とを有する。
【0022】
硬貨入出金部100は、現金処理装置1の幅方向(現金処理装置1を前面から見た左右方向)の左側約半分に設けられ、硬貨の入出金を管理する。硬貨入出金部100は、現金処理装置1の前方に、硬貨入金口131、硬貨出金口132およびリジェクト口133を有している。硬貨入金口131には、オペレータにより入金硬貨が投入される。硬貨出金口132には硬貨が出金され、硬貨出金口132は出金された硬貨を保持する。リジェクト口133にはリジェクト硬貨が排出される。
【0023】
紙幣入出金部200は、現金処理装置1の幅方向の右側約半分に設けられ、紙幣の入出金を管理する。紙幣入出金部200は、現金処理装置1の前方に紙幣入出金口を有し、当該紙幣入出金口を覆うようにシャッタ204が設けられる。オペレータは、シャッタ204が開かれた状態で、紙幣入出金口に入金紙幣を投入する、または紙幣入出金口から出金紙幣を抜き取る。
【0024】
表示部221は、例えば、液晶ディスプレイで構成され、メニュー画面などを表示する。また、表示部221は、現金処理装置1の状態を示す情報を表示する。表示部221は、紙幣入出金部200の前方上面において操作部222の隣に設けられている。
【0025】
操作部222は、キーおよびボタンなどを有しており、オペレータの操作を受け付ける。例えば、オペレータは、操作部222を操作することにより、表示部221に表示された選択画面にて所望の項目を選択する。操作部222は、紙幣入出金部200の前方上面に配置されている。
【0026】
なお、上記では現金処理装置1が現金釣銭機である例を説明したが、現金の入出金が行われる他の種の入出金装置および自動取引装置にも本発明の実施形態を適用可能である。
【0027】
(機能構成)
図2は、本発明の実施形態による現金処理装置10の機能構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、現金処理装置1は、制御部40、記憶部50、通信部60、操作表示部220、硬貨入出金部100および紙幣入出金部200およびを備える。
【0028】
制御部40は、CPU(Central Processing Unit)などを含み、記憶部50により記憶されているプログラムがCPUによりRAM(Random Access Memory)に展開されて実行されることにより、その機能が実現され得る。あるいは、制御部40は、専用のハードウェアにより構成されていてもよいし、複数のハードウェアの組み合わせにより構成されてもよい。このような制御部40は、現金処理装置1の動作全般を制御する。
【0029】
例えば、制御部40は、現金の入金、残置回収および全回収などの処理を硬貨入出金部100および紙幣入出金部200に実行させ得る。入金は、硬貨入金口131に投入された硬貨を収納し、紙幣入出金口に投入された紙幣を収納し、現金処理装置1に投入された現金と顧客への請求金額との差分に相当する現金を釣銭として硬貨出金口132および紙幣入出金口に出金する処理である。残置回収および全回収については後述する。
【0030】
記憶部50は、制御部40を動作させるためのプログラムおよびデータを記憶することが可能な記憶装置である。また、記憶部50は、制御部40の動作の過程で必要となる各種データを一時的に記憶することもできる。例えば、記憶部50は、不揮発性の記憶装置であってよい。
【0031】
通信部60(第1通信部)は、ネットワーク500を介してホストコンピュータ400などの他の装置と通信を行うための通信インタフェースである。本実施形態においては、通信部60が有線による通信を行う場合を主に想定するが、通信部60は、無線による通信を行ってもよい。
【0032】
操作表示部220は、上記した表示部221および上記した操作部222に相当する。
【0033】
硬貨入出金部100および紙幣入出金部200の概略的な機能は上述した通りである。以下では、硬貨入出金部100および紙幣入出金部200の内部構成をより具体的に説明する。
【0034】
(硬貨入出金部100の構成)
図3は、硬貨入出金部100の内部構成を模式的に示す説明図である。
図3に示したように、硬貨入出金部100は、硬貨入金口131、硬貨出金口132、硬貨認識部136および複数の硬貨収納庫140を備える。硬貨入金口131および硬貨出金口132の構成は上述した通りである。
【0035】
硬貨認識部136は、硬貨入金口131に投入された硬貨の種類及び真偽を認識する。各硬貨は、硬貨認識部136により認識された種類に対応する硬貨収納庫140に搬送される。
【0036】
複数の硬貨収納庫140は、硬貨を収納する貨幣収納部の一例である。各硬貨収納庫140は、硬貨のいずれかの種類に対応している。例えば、硬貨収納庫140Aは、1円硬貨に対応しており、1円硬貨を収納する1円収納庫である。硬貨収納庫140Bは、5円硬貨に対応しており、5円硬貨を収納する5円収納庫である。硬貨収納庫140Cは、10円硬貨に対応しており、10円硬貨を収納する10円収納庫である。硬貨収納庫140Dは、50円硬貨に対応しており、50円硬貨を収納する50円収納庫である。硬貨収納庫140Eは、100円硬貨に対応しており、100円硬貨を収納する100円収納庫である。硬貨収納庫140Fは、500円硬貨に対応しており、500円硬貨を収納する500円収納庫である。
【0037】
釣銭の出金または回収処理の際には、硬貨収納庫140が硬貨を放出し、硬貨収納庫140から放出された硬貨が硬貨出金口132に搬送される。
【0038】
(紙幣入出金部200の構成)
図4は、紙幣入出金部200の内部構成を模式的に示す説明図である。
図4に示したように、紙幣入出金部200は、紙幣入出金口206、紙幣認識部208、複数の紙幣収納庫210および回収カセット212を備える。
【0039】
紙幣入出金口206は、紙幣が投入される開口である。紙幣入出金口206に投入された紙幣は搬送機構により紙幣認識部208に搬送される。
【0040】
紙幣認識部208は、紙幣入出金口206から搬送された紙幣の種類及び真偽を認識する。各紙幣は、紙幣認識部208により認識された種類に対応する紙幣収納庫210に搬送される。
【0041】
複数の紙幣収納庫210は、紙幣を収納する貨幣収納部の一例である。各紙幣収納庫210は、紙幣のいずれかの種類に対応している。例えば、紙幣収納庫210Aは、千券に対応しており、千券を収納する千券収納庫である。紙幣収納庫210Bは、5千券に対応しており、5千券を収納する5千券収納庫である。紙幣収納庫210Cは、万券に対応しており、万券を収納する万券収納庫である。
【0042】
釣銭の出金の際には、紙幣収納庫210が紙幣を繰り出し、紙幣収納庫210から繰り出された紙幣が紙幣入出金口206に搬送される。
【0043】
回収カセット212は、回収される紙幣を収納する。回収処理の際には、紙幣収納庫210が紙幣を繰り出し、紙幣収納庫210から繰り出された紙幣が回収カセット212に搬送され、当該紙幣を回収カセット212が収納する。
【0044】
<2.回収処理>
本発明の一実施形態は、上述した現金処理装置1における回収処理に特に関連する。回収処理の種類には、全回収および残置回収がある。全回収は、現金処理装置1に収納されている全ての現金を回収する処理である。すなわち、全回収においては、複数の硬貨収納庫140から全ての硬貨が放出され、放出された硬貨が硬貨出金口132に搬送される。また、複数の紙幣収納庫210から全ての紙幣が繰り出され、繰り出された紙幣が回収カセット212に搬送される。
【0045】
一方、残置回収は、現金処理装置1に一部の現金を残置し、他の現金を回収する処理である。すなわち、残置回収においては、複数の硬貨収納庫140に一部の硬貨が残置され、他の硬貨が放出されて硬貨出金口132に搬送され得る。また、複数の紙幣収納庫210に一部の紙幣が残置され、他の紙幣が繰り出されて回収カセット212に搬送され得る。残置する金額を翌日に必要な釣銭準備金の金額としておけば、翌日に現金処理装置1に釣銭準備金を補充する処理を行うことなく営業を開始することが可能となる。
【0046】
ここで、1日の来客数は曜日により異なり、来客数が多い曜日にはより多くの釣銭準備金があることが望ましい。例えば、土日の来客数は平日より多くなる傾向がある場合、土日には平日より多くの釣銭準備金があることが望ましい。
【0047】
そこで、本発明の一実施形態により記憶部50は、残置回収において釣銭準備金として現金処理装置1に残置する残置貨幣の金額(残置金額)または金種ごとの枚数についての複数のパターンを記憶する。
【0048】
図5は、記憶部50が記憶する残置貨幣についての複数のパターンの具体例を示す説明図である。
図5においては、複数のパターンとして、平日用のパターンと土日用のパターンを示している。平日用のパターンでの残置貨幣の金額または金種ごとの枚数は、土日用のパターンでの残置貨幣の金額または金種ごとの枚数よりも少ない。
【0049】
なお、記憶部50は、複数のパターンに加えて、カレンダー情報を記憶していてもよい。カレンダー情報は、日付、曜日および営業関連情報を含む。
図6を参照し、カレンダー情報の具体例を説明する。
【0050】
図6は、カレンダー情報の具体例を示す説明図である。
図6に示したように、祝日、非営業日および特売日など、通常営業日と異なる特定日には、営業関連情報として当該特定日を示す情報が対応付けられている。例えば、12/2には営業関連情報として「祝日」が対応付けられており、12/6には営業関連情報として「非営業日」が対応付けられており、12/9には営業関連情報として「特売日」が対応付けられている。
【0051】
制御部40は、残置回収の実行の際に、複数のパターンからいずれかのパターンを選択するための選択画面を生成し、操作表示部220に選択画面を表示させる。オペレータは、当該選択画面において、例えば翌日が平日であるか土日であるかに基づき残置貨幣についてのいずれかのパターンを選択する。制御部40は、オペレータにより選択されたパターンに従って残置回収を制御する。
【0052】
制御部40は、選択画面を多様な態様で生成し得る。以下では、制御部40が生成し得る選択画面の幾つかの具体例を説明する。
【0053】
<3.選択画面の具体例>
(第1の例)
図7は、選択画面の第1の例を示す説明図である。
図7の上段には、翌日が平日である場合に生成される選択画面31が示され、
図7の下段には、翌日が土日である場合に生成される選択画面35が示されている。
【0054】
選択画面31は、「平日用の金額を残置します。」というメッセージ、回収実行ボタン32および回収実行ボタン33を含む。回収実行ボタン32が選択されると、制御部40は、平日用の残置貨幣のパターンに従って残置回収を制御する。回収実行ボタン33が選択されると、制御部40は、土日用の残置貨幣のパターンに従って残置回収を制御する。当該選択画面31においては、「平日用の金額を残置します。」というメッセージにより、平日用のパターンに対応する回収実行ボタン32の選択が誘導される。
【0055】
選択画面35は、「土日用の金額を残置します。」というメッセージ、回収実行ボタン36および回収実行ボタン37を含む。回収実行ボタン36が選択されると、制御部40は、平日用の残置貨幣のパターンに従って残置回収を制御する。回収実行ボタン37が選択されると、制御部40は、土日用の残置貨幣のパターンに従って残置回収を制御する。当該選択画面35においては、「土日用の金額を残置します。」というメッセージにより、土日用のパターンに対応する回収実行ボタン37の選択が誘導される。
【0056】
このような第1の例においては、翌日が平日であっても、翌日が特売日または祝日などに該当する場合、オペレータは、選択画面31において土日用のパターンに対応する回収実行ボタン33を選択することができる。結果、土日用のパターンに従った残置回収を実現できる。また、翌日が土日であっても、翌日が店舗の非営業日であり翌営業日が平日である場合、オペレータは、選択画面35において平日用のパターンに対応する回収実行ボタン36を選択することができる。結果、平日用のパターンに従った残置回収を実現できる。
【0057】
(第2の例)
図8は、選択画面の第2の例を示す説明図である。
図8の上段には、翌日が平日である場合に生成される選択画面41が示され、
図8の下段には、翌日が土日である場合に生成される選択画面45が示されている。
【0058】
選択画面41は、「翌日は平日です。平日用の金額を残置しますか。」というメッセージ42、回収実行ボタン(はい)43および回収実行ボタン(いいえ)44を含む。回収実行ボタン(はい)43が選択されると、制御部40は、平日用の残置貨幣のパターンに従って残置回収を制御する。回収実行ボタン(いいえ)44が選択されると、制御部40は、土日用の残置貨幣のパターンに従って残置回収を制御する。当該選択画面31においては、メッセージ42により、平日用のパターンに対応する回収実行ボタン(はい)43の選択が誘導される。
【0059】
選択画面45は、「翌日は土曜日です。土日用の金額を残置しますか。」というメッセージ46、回収実行ボタン(はい)47および回収実行ボタン(いいえ)48を含む。回収実行ボタン(はい)47が選択されると、制御部40は、土日用の残置貨幣のパターンに従って残置回収を制御する。回収実行ボタン(いいえ)48が選択されると、制御部40は、平日用の残置貨幣のパターンに従って残置回収を制御する。当該選択画面35においては、メッセージ46により、土日用のパターンに対応する回収実行ボタン(はい)47の選択が誘導される。
【0060】
このような第2の例においても、上述した第1の例と同等の効果を得ることが可能である。
【0061】
(第3の例)
図9は、選択画面の第3の例を示す説明図である。
図9の上段には、翌日が平日である場合に生成される選択画面51が示され、
図9の下段には、翌日が土日である場合に生成される選択画面55が示されている。
【0062】
選択画面51は、「翌日は平日です。平日用の金額を残置しますか。」というメッセージ52、回収実行ボタン53および回収実行ボタン54を含む。回収実行ボタン53が選択されると、制御部40は、平日用の残置貨幣のパターンに従って残置回収を制御する。回収実行ボタン54が選択されると、制御部40は、土日用の残置貨幣のパターンに従って残置回収を制御する。当該選択画面51においては、メッセージ52、および、回収実行ボタン53が回収実行ボタン54よりも強調して表示されていることにより、平日用のパターンに対応する回収実行ボタン53の選択が誘導される。
【0063】
選択画面55は、「翌日は土曜日です。土日用の金額を残置しますか。」というメッセージ56、回収実行ボタン57および回収実行ボタン58を含む。回収実行ボタン57が選択されると、制御部40は、土日用の残置貨幣のパターンに従って残置回収を制御する。回収実行ボタン58が選択されると、制御部40は、平日用の残置貨幣のパターンに従って残置回収を制御する。当該選択画面55においては、メッセージ56により、および、回収実行ボタン57が回収実行ボタン58よりも強調して表示されていることにより土日用のパターンに対応する回収実行ボタン57の選択が誘導される。
【0064】
なお、上記では一方の選択ボタンを強調する方法として、一方の選択ボタンを大きく表示する方法を説明したが、一方の選択ボタンを強調する方法は他の方法であってもよい。他の方法としては、例えば、色を区別する方法、文字の太さを区別する方法、マークまたは目印などを付する方法などが挙げられる。
【0065】
(第4の例)
図10は、選択画面の第4の例を示す説明図である。
図10には、翌日が平日である場合に生成される選択画面61が示されている。
【0066】
選択画面61は、「翌日は平日です。平日用の金額を残置しますか。」というメッセージ62、カレンダー表示63、回収実行ボタン(はい)64および回収実行ボタン(いいえ)65を含む。カレンダー表示63は、各日付に対応する営業関連情報を示す。制御部40は、記憶部50に記憶されているカレンダー情報に基づいて当該カレンダー表示63を選択画面61に配置してもよい。
図10に示したカレンダー表示63は、12/8が本日であり、翌日の12/9が特売日であることを示している。
【0067】
選択画面61において回収実行ボタン(はい)64が選択されると、制御部40は、平日用の残置貨幣のパターンに従って残置回収を制御する。回収実行ボタン(いいえ)65が選択されると、制御部40は、土日用の残置貨幣のパターンに従って残置回収を制御する。
【0068】
このような第4の例によれば、オペレータがカレンダー表示63を見ることで翌日の営業関連情報を確認できるので、回収実行ボタン(はい)64、または回収実行ボタン(いいえ)65をより適切に選択することが可能となる。
図10に示した例では、翌日が平日であるが、オペレータは、カレンダー表示63を見て翌日が特売日であることを把握し、回収実行ボタン(いいえ)65を選択することが可能である。
【0069】
(第5の例)
図11は、選択画面の第5の例を示す説明図である。
図11には、翌日が平日である場合に生成される選択画面71が示されている。
【0070】
選択画面71は、「翌日は平日です。平日用の金額を残置しますか。」というメッセージ72、注意喚起表示73、回収実行ボタン(はい)74および回収実行ボタン(いいえ)75を含む。注意喚起表示73としては、カレンダー情報において翌日に何かしら営業関連情報が対応付けられている場合に、当該営業関連情報を示す通知が表示される。
図11に示した例では、注意喚起表示73は、「翌日は特売日です。」というメッセージである。
【0071】
選択画面71において回収実行ボタン(はい)74が選択されると、制御部40は、平日用の残置貨幣のパターンに従って残置回収を制御する。回収実行ボタン(いいえ)75が選択されると、制御部40は、土日用の残置貨幣のパターンに従って残置回収を制御する。
【0072】
このような第5の例においては、オペレータが注意喚起表示73を見ることで翌日の営業関連情報を確認できるので、回収実行ボタン(はい)74、または回収実行ボタン(いいえ)75をより適切に選択することが可能となる。なお、注意喚起表示73は選択画面71に含まれずに、別画面で表示されてもよい。
【0073】
<3.変形例>
以上、本発明の一実施形態を説明した。以下では、上述した実施形態の幾つかの変形例を説明する。なお、以下に説明する各変形例は、単独で上述した実施形態に適用されてもよいし、組み合わせで上述した実施形態に適用されてもよい。また、各変形例は、上述した実施形態の構成に代えて適用されてもよいし、上述した実施形態の構成に対して追加的に適用されてもよい。
【0074】
(第1の変形例)
上記では、オペレータが現金処理装置1を操作して残置回収の実行を指示する例を説明したが、オペレータは他の方法で残置回収の実行を指示することも可能である。以下、変形例として、オペレータが他の方法で残置回収の実行を指示するための構成を説明する。
【0075】
図12は、変形例による現金処理システムの構成を示す説明図である。
図12に示したように、変形例においては、現金処理装置1に制御装置3が接続されている。制御装置3は、POS端末であってもよいし、ネットワークを介して現金処理装置1に接続されるPCのような情報端末であってもよい。
【0076】
制御装置3は、
図12に示したように、通信部310、表示部320、操作部330および制御部340を備える。
【0077】
通信部310(第2通信部)は、現金処理装置1と多様な情報および指示を通信する。例えば、通信部310は、制御部340から制御に従い、残置回収の実行を指示する信号を現金処理装置1に送信する。
【0078】
表示部320は、例えば、液晶ディスプレイで構成され、多様な表示画面を表示する。表示部320は、制御部340により生成される上述した選択画面を表示する。操作部330は、キー、ボタンまたはタッチパネルなどを有しており、オペレータの操作を受け付ける。
【0079】
制御部340は、制御装置3の動作全般を制御する。例えば、制御部340は、残置回収の際に
図7~
図11などを参照して説明した選択画面を生成し、当該選択画面を表示部320に表示させる。また、制御部340は、選択画面においてオペレータにより選択された残置貨幣のパターンに従って残置回収を実行することを指示する信号を通信部310に現金処理装置1に送信させる。これにより、現金処理装置1が、オペレータにより選択された残置貨幣のパターンに従って残置回収を実行する。
【0080】
(第2の変形例)
上記では、翌日が平日であるか土日であるかに応じた態様で回収実行ボタンが表示される例を説明した。第2の変形例として、制御部40は、翌日に対応付けられている営業関連情報があるか否かに応じていずれかの残置回収のパターンを抽出し、抽出したパターンで残置回収を実行することを示すメッセージ、および残置回収の実行を確認する確認ボタンを含む表示画面を生成してもよい。かかる構成によれば、オペレータがより容易に残置回収の実行を現金処理装置1に指示することが可能となる。
【0081】
<4.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0082】
例えば、現金処理装置1に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアに、上述した現金処理装置1の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。
【符号の説明】
【0083】
1 現金処理装置
3 制御装置
40 制御部
50 記憶部
60 通信部
221 表示部
222 操作部
100 硬貨入出金部
200 紙幣入出金部