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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122493
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】扇子型マウスシールド、及び扇子
(51)【国際特許分類】
   A45B 27/00 20060101AFI20220816BHJP
【FI】
A45B27/00 Z
A45B27/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021019755
(22)【出願日】2021-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】502271771
【氏名又は名称】大森株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】井川 昇
【テーマコード(参考)】
3B104
【Fターム(参考)】
3B104ZA03
3B104ZB01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】持ち手を備え、例えば、片手で開閉することができる扇子型マウスシールドを提供する。
【解決手段】扇子型マウスシールド1は、扇面を構成し、基端部が重なり合う2以上の羽部11aと、2以上の羽部11aの基端部にそれぞれ傾斜して設けられ、重なり合って扇面の下端から突出する持ち手を構成する柄部13a~13fと、基端部の中央を貫通し、2以上の羽部11a及び柄部13a~13fを回動自在に支持する軸20と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扇面を構成し、基端部が重なり合う2以上の羽部と、
2以上の前記羽部の前記基端部にそれぞれ傾斜して設けられ、重なり合って前記扇面の下端から突出する持ち手を構成する柄部と、
前記基端部の中央を貫通し、2以上の前記羽部及び前記柄部を回動自在に支持する軸と、
を備える、扇子型マウスシールド。
【請求項2】
前記羽部と、前記柄部とが、一体的に成形されている、請求項1に記載の扇子型マウスシールド。
【請求項3】
前記羽部が、扇状である、請求項1または請求項2に記載の扇子型マウスシールド。
【請求項4】
前記羽部の一方の側端部が屈曲して屈曲部を形成する、請求項1から3の何れか1項に記載の扇子型マウスシールド。
【請求項5】
前記羽部の一方の側端部が、前記羽部の一方の面の側に屈曲して第1の屈曲部を形成し、
前記羽部の他方の側端部が、前記羽部の他方の面の側に屈曲して第2の屈曲部を形成する、請求項1から3の何れか1項に記載の扇子型マウスシールド。
【請求項6】
前記柄部は、側端部に指を掛ける窪みを有する、請求項1から5の何れか1項に記載の扇子型マウスシールド。
【請求項7】
扇面を構成し、基端部が重なり合う2以上の羽部と、
2以上の前記羽部の前記基端部にそれぞれ傾斜して設けられ、重なり合って前記扇面の下端から突出する持ち手を構成する柄部と、
前記基端部の中央を貫通し、2以上の前記羽部及び前記柄部を回動自在に支持する軸と、
を備える、扇子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持ち手を有する扇子型マウスシールド、及び扇子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、折り畳まれる扇子には持ち手がなく、持ち難かった。そこで、扇子を持ち易くするために、持ち手を備える扇子が提案されている。例えば、特許文献1には、扇子の外骨と連動する、回転自在に連結された2つの柄を備え、2つの柄により扇子の外骨が引っ張られて開く扇子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭49-030589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された扇子は、開くために、回転自在に連結された2つの柄をそれぞれ持って、1つにまとめる。そのため、この扇子は、片手で開くことは困難である。また、この扇子は、風を起こす道具であり、マウスシールドとしての機能は、原則として、備えない。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、持ち手を備え、片手で開閉可能な扇子型マウスシールド、及び扇子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の実施の形態に係る扇子型マウスシールドは、
扇面を構成し、基端部が重なり合う2以上の羽部と、
2以上の前記羽部の前記基端部にそれぞれ傾斜して設けられ、重なり合って前記扇面の下端から突出する持ち手を構成する柄部と、
前記基端部の中央を貫通し、2以上の前記羽部及び前記柄部を回動自在に支持する軸と、
を備える構成とした。
【0007】
本発明の実施の形態に係る扇子型マウスシールドでは、
前記羽部と、前記柄部とが、一体的に成形されている構成とした。
【0008】
本発明の実施の形態に係る扇子型マウスシールドでは、
前記羽部が、扇状である構成とした。
【0009】
本発明の実施の形態に係る扇子型マウスシールドでは、
前記羽部の一方の側端部が屈曲して屈曲部を形成する構成とした。
【0010】
本発明の実施の形態に係る扇子型マウスシールドは、
前記羽部の一方の側端部が、前記羽部の一方の面の側に屈曲して第1の屈曲部を形成し、前記羽部の他方の側端部が、前記羽部の他方の面の側に屈曲して第2の屈曲部を形成する構成とした。
【0011】
本発明の実施の形態に係る扇子型マウスシールドは、
前記柄部は、側端部に指を掛ける窪みを有する構成とした。
【0012】
本発明の実施の形態に係る扇子は、
扇面を構成し、基端部が重なり合う2以上の羽部と、
2以上の前記羽部の前記基端部にそれぞれ傾斜して設けられ、重なり合って前記扇面の下端から突出する持ち手を構成する柄部と、
前記基端部の中央を貫通し、2以上の前記羽部及び前記柄部を回動自在に支持する軸と、を備える構成とした。
【発明の効果】
【0013】
本発明の実施の形態に係る扇子型マウスシールドは、持ち手を握って使用できるため、持ち続けても使用者の手の負担が抑えられる。さらに、この扇子型マウスシールドでは、2以上の羽部と、羽部の基端部にそれぞれ傾斜して設けられた柄部を備え、2以上の羽部を握ることで閉ざし、2以上の柄部を握ることで開くことができる。そのため、この扇子型マウスシールドは、片手で開閉することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態1に係る扇子型マウスシールドを示す正面図
図2】実施の形態1に係る扇子羽根を示す正面図
図3】実施の形態1に係る扇子羽根を示す平面図
図4】実施の形態1に係る扇子型マウスシールドの閉じた状態を示す正面図
図5】実施の形態1に係る扇子型マウスシールドの閉じた状態を示す平面図
図6】実施の形態1に係る扇子型マウスシールドを開く方法を示す平面図
図7】実施の形態2に係る扇子型マウスシールドを示す正面図
図8】実施の形態2に係る扇子型マウスシールドを示す背面図
図9】実施の形態2に係る扇子羽根を示す正面図
図10】実施の形態2に係る扇子羽根を示す平面図
図11】実施の形態2に係る扇子型マウスシールドの閉じた状態を示す正面図
図12】実施の形態2に係る扇子型マウスシールドの閉じた状態を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る扇子型マウスシールドを図に基づいて詳細に説明する。
【0016】
実施の形態1.
本発明の実施の形態1に係る扇子型マウスシールド1は、咳、くしゃみ等によるウイルス飛散を抑えるために、使用者の口元等を覆うマウスシールドである。さらに、この扇子型マウスシールド1は、風を起こす扇子としても使用可能である。図1から図5に示すように、扇子型マウスシールド1は、例えば、2枚乃至は6枚の扇子羽根10と、例えば、2枚乃至は6枚の持ち手、及び、一面の扇面となる扇子羽根10を回動自在(一定角度搖動自在)に支持する軸20と、を備える(他の例も同じ。以下省略)。
【0017】
扇子羽根10は、半透明・透明等でなるポリプロピレン、紙、フィルム素材、保護紙(表面保護材を備えた)、その他の素材から構成されたシート(板材)とする。図1に示すように、扇子羽根10は、第1の扇子羽根10a、第2の扇子羽根10b、第3の扇子羽根10c、第4の扇子羽根10d、第5の扇子羽根10e、及び第6の扇子羽根10f(10n)の6枚(一例である)設けられている。第1の扇子羽根10aが扇子型マウスシールド1の正面側となり、第6の扇子羽根10fが背面側となるように、第1から第6の扇子羽根10a~10fは、例えば、この順序で重ねられている。
【0018】
図2に示すように、扇子羽根10は、例えば、使用者の口元、顔面等を覆うための羽部11と、正面視で、羽部11の左側端部を屈曲して形成されたストッパーとしての役割を持つ屈曲部12と(他の例も同じ。以下省略)、羽部11の下端部である基端部に形成(繋がって形成)した持ち手となる柄部13と、軸20(枢支部、要)を差込む軸穴14と、を備える。例えば、羽部11と、屈曲部12と、柄部13は、一体的に成形されている。この例の如く、一体形成では、強度性と低価格化、材料の節約、制作の容易化等に寄与できる(他の実施例も同じ)。
【0019】
第1から第6の扇子羽根10a~10fの羽部11をそれぞれ、羽部11a~11f、第1から第6の扇子羽根10a~10fの屈曲部12をそれぞれ、屈曲部12a~12f、第1から第6の扇子羽根10a~10fの柄部13をそれぞれ、柄部13a~13fとする。
【0020】
第1から第6の扇子羽根10a~10fの柄部13は、正面視で、それぞれ異なる傾斜角度で羽部11と連続している。
【0021】
扇子型マウスシールド1が開いた状態では、第1から第6の扇子羽根10a~10fの柄部13a~13fは、重なり合って、図1に示すように、扇子型マウスシールド1の下端から突出する1つの持ち手を構成する。
【0022】
また、扇子型マウスシールド1が開いた状態では、第1から第6の扇子羽根10a~10f(10n)の羽部11a~11f(11n)は、基端部が重なり合うとともに、一方の側端を含む領域が隣り合う他の扇子羽根10の他方の側端を含む領域と重複し、扇子型マウスシールド1の扇面を構成する。羽部11a~11fは、正面視で、扇子型マウスシールド1の扇面の右側からこの順序で並ぶ。この扇子型マウスシールド1の扇面は、正面視で、左右対称な形状である。扇子型マウスシールド1の扇面の中心角を、αとする。
【0023】
羽部11は、正面視で、略扇状のシートから構成される。扇子型マウスシールド1が開いた状態で、羽部11の側端が隣り合う他の扇子羽根10の羽部11と重なり合うため、扇状の羽部11の中心角βは、扇面の中心角を扇子羽根10の枚数で分割したα/6よりも大きい。
【0024】
扇子型マウスシールド1が開いた状態では、隣り合う羽部11a~11fの間の角度は、羽部11aの上辺及び下辺の中心を通る直線と、羽部11aの上辺及び下辺の中心を通る直線の成す角α-βを、扇子羽根10の枚数から1引いた数で分割して決定される。そのため、隣り合う羽部11a~11fの間の角度は、(α-β)/5である。
【0025】
図1から図3に示すように、第1から第6の扇子羽根10a~10fの羽部11a~11fの左側端部にそれぞれ屈曲部12が形成されている。
【0026】
屈曲部12は、正面視で、羽部11の左側端部が正面側に屈曲することで形成された帯状のシートから構成される。屈曲部12の折り目は、羽部11の左側辺と平行に、屈曲部12が一定幅になるように設けられている。屈曲部12は羽部11のリブとなり、羽部11の剛性が向上する。
【0027】
柄部13は、上端が羽部11と連続する略矩形状のシートから構成される。柄部13の側端間の寸法は、屈曲部12が柄部13と分離するように、羽部11の下辺の寸法よりも小さい。
【0028】
図2に示すように、第1から第6の扇子羽根10a~10fの柄部13の上端部は、正面視で、羽部11の基端部とそれぞれ異なる傾斜角度で連続している。第1から第6の扇子羽根10a~10fの羽部11a~11fの上辺及び下辺の中心を通る直線を基準として、柄部13a~13fの傾斜角度をそれぞれ、θ1、θ2、θ3、θ4、θ5、θ6とする。
【0029】
扇子型マウスシールド1が開いた状態で、2つの羽部11の間の角度は、その柄部13の傾斜角度の差と等しい。そして、隣り合う羽部11a~11fの間の角度は、(α-β)/5である。そのため、正面視で、扇子型マウスシールド1の扇面の右側端部に位置する柄部13aの傾斜角度θ1を基準として、柄部13b~13fの傾斜角度θ2~θ6は、この順序で(α-β)/5ずつ小さくなっていく。以下、傾斜角度θ1~θ6を具体的に説明する。
【0030】
第1の扇子羽根10aの羽部11aは、図1に示すように、正面視で、扇子型マウスシールド1の扇面の右側端部に位置する。そして、扇子型マウスシールド1の扇面は左右対称であり、柄部13aはその対称軸上に位置する。そのため、柄部13aの傾斜角度θ1は、角α-βを二等分した(α-β)/2である。
【0031】
第2の扇子羽根10bの羽部11bは、図1に示すように、正面視で、扇子型マウスシールド1の扇面上で羽部11aと一部が重なり合うように隣接する。そして、図2に示す柄部13bの傾斜角度θ2は、柄部13aの傾斜角度θ1より(α-β)/5小さな、(α-β)×3/10である。
【0032】
第3の扇子羽根10cの羽部11cは、図1に示すように、正面視で、扇子型マウスシールド1の扇面上で羽部11bと一部が重複するように隣接する。そして、図2に示す柄部13cの傾斜角度θ3は、(α-β)/10である。
【0033】
第4の扇子羽根10dの羽部11dは、図1に示すように、正面視で、扇子型マウスシールド1の扇面上で羽部11cと一部が重なり合うように隣接する。そして、図2に示す柄部13dの傾斜角度θ4は、-(α-β)/10である。
【0034】
第5の扇子羽根10eの羽部11eは、図1に示すように、正面視で、扇子型マウスシールド1の扇面上で羽部11dと一部が重なり合うように隣接する。そして、図2に示す柄部13bの傾斜角度θ5は、-(α-β)×3/10である。
【0035】
第6の扇子羽根10fの羽部11fは、図1に示すように、正面視で、扇子型マウスシールド1の扇面の左側端部に位置し、羽部11eと一部が重なり合うように隣接する。そして、図2に示す柄部13fの傾斜角度θ6は、-(α-β)/2である。
【0036】
軸穴14は、軸20が通され、扇子羽根10を回動自在に支持するための貫通穴である。軸穴14は、羽部11の基端部の中央に形成されている。
【0037】
軸20は、第1から第6の扇子羽根10a~10fを回動自在に支持するための芯材である。軸20は、軸穴14を通して、第1から第6の扇子羽根10a~10fを貫通する。軸20が外れて第1から第6の扇子羽根10a~10fが分離しないように、軸20の両端、若しくは片端に図示しない押さえ部材、係止折曲げ部等のストッパー機構が設けられている(他の例も同じ。以下省略)。軸20により回動自在に支持された扇子羽根10は、羽部11全体及び柄部13全体が同じ回転方向に回動する。
【0038】
次に、扇子型マウスシールド1の使用態様を説明する。
【0039】
扇子型マウスシールド1は、咳、くしゃみ、又は会話(大声、講演を含む)等によるウイルス飛散を抑えるために、使用者の口元等を覆うものである。使用者は、扇子型マウスシールド1を持ち運ぶとき、閉じた状態で持ち運ぶ。この扇子型マウスシールド1は、風を起こす扇子としても使用可能である。
【0040】
閉じた状態では、図4及び図5に示すように、第1から第6の扇子羽根10a~10fの羽部11a~11fが重なり合っている。そして、閉じた扇子型マウスシールド1は場所を取らず、扇子型マウスシールド1の収納及び持ち運びは容易である。即ち、この羽部11a~11fが重なり合っている時には、柄部13は重なっていない。そして、望ましくは、折畳み状態は、扇子羽根10の幅は、羽部11a~11fの重なり幅に収めることが有益である(他の例も同じ。以下省略)。
【0041】
使用者は、咳、くしゃみ等の予兆があったとき、又は周囲の人間に咳、くしゃみ等の予兆があったとき、第1から第6の扇子羽根10a~10fの柄部13a~13fを握る。第1の扇子羽根10aの柄部13aと第6の扇子羽根10fの柄部13fとを挟み込む方向に力を加えると、図6の矢印で示すように、軸20を回転軸として第1から第6の扇子羽根10a~10fが回動し、羽部11a~11fが、図1に示す扇子型マウスシールド1の扇面を形成する。さらに、柄部13a~13fが、重なり合って扇子型マウスシールド1の扇面の下端から突出する1つの持ち手を形成する。
【0042】
羽部11a~11fは、正面視で、扇子型マウスシールド1の扇面の右側からこの順序で並び、基端部が重なり合うとともに、一方の側端を含む領域が隣り合う他の扇子羽根10の他方の側端を含む領域と重複する。
【0043】
使用者は、扇子型マウスシールド1の持ち手を握って扇面を口元等に翳し、咳、くしゃみ等を遮る。扇子羽根10は、半透明・透明等でなるポリプロピレン、紙、フィルム素材、保護紙、その他の素材からなるため、耐水性及び耐久性に優れ、咳、くしゃみ等によるウイルス飛散を抑える。
【0044】
そして、使用者は、扇子型マウスシールド1を使用した後、第1から第6の扇子羽根10a~10fの羽部11a~11fを、例えば親指と人差し指で握る。図1の矢印で示すように、第1の扇子羽根10aの羽部11aと第6の扇子羽根10fの羽部11fとを挟み込む方向に力を加えると、軸20を回転軸として第1から第6の扇子羽根10a~10fが回動し、羽部11a~11fが重なり合うように閉ざされる。
【0045】
実施の形態1に係る扇子型マウスシールド1は、持ち手を握って使用できるため、持ち続けても使用者の手の負担が抑えられる。そして、扇子型マウスシールド1は、柄部13a~13fを握ることで開くことができるため、片手で開くことができる。さらに、扇子型マウスシールド1は、羽部11a~11fを片手の指で握ることで閉じることができるため、片手で閉じることができる。そのため、羽部11a~11f及び柄部14a~14fが片手で握るのが困難になるほど広がる可能性は低い。即ち、最低限、広がりは、成人の誰もが、片手で把持できる範囲とするのが理想である。
【0046】
尚、羽部11a~11fの枚数は、扇子型マウスシールド1の広がりの大きさと、羽部11a~11nの大きさで、決定されているが、一例である。
【0047】
扇子型マウスシールド1では、羽部11a~11fは、正面視で、扇子型マウスシールド1の扇面の右側からこの順序で並ぶ。この順序が逆になり、羽部11a~11fが扇子型マウスシールド1の扇面の左側からこの順序で並んだ場合、柄部13a~13fが重ならずに大きく広がり、片手で握るのが困難になる。しかし、扇子羽根10の回動方向は、屈曲部12により規制されるため、羽部11a~11fの並ぶ順序が逆になり難い。
【0048】
例えば、第2の扇子羽根10bは、回動していくと屈曲部12bが第1の扇子羽根10aの屈曲部12a又は第3の扇子羽根10cの屈曲部12cに当接するため、第1の扇子羽根10aよりも右側、又は第3の扇子羽根10cよりも左側に回動し難い。
【0049】
このように、扇子型マウスシールド1に、何れかの扇子羽根10を回動させる向きの力が加わっても、扇子型マウスシールド1の扇面を構成する羽部11a~11fの並ぶ順序は維持される。そのため、羽部11a~11f及び柄部13a~13fが片手で握るのが困難になるほど広がる可能性は低い。
【0050】
以上説明したように、扇子型マウスシールド1は、持ち手を備え、この持ち手を片手で開閉することができる。
【0051】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、屈曲部12が羽部11の左側端部に形成されている。さらに、屈曲部が羽部の右側端部に設けられていてもよい。
【0052】
図7から図12に示すように、扇子型マウスシールド2は、扇面と持ち手を構成する第1から第6の扇子羽根30a~30f(30n)と、軸20と、を備える。第1の扇子羽根30aが扇子型マウスシールド2の正面側となり、第6の扇子羽根30fが背面側となるように、第1から第6の扇子羽根30a~30fは、この順序で重ねられている。尚、この扇子型マウスシールド2は、風を起こす扇子としても使用可能である。
【0053】
図7から図10に示すように、扇子羽根30は、羽部31と、羽部31の左側端部を屈曲して形成された第1の屈曲部32と、羽部31の右側端部を屈曲して形成された第2の屈曲部33と、柄部34と、軸穴36と、を備える。羽部31と、第1の屈曲部32と、第2の屈曲部33と、柄部34は、一体的に成形されている。
【0054】
第1から第6の扇子羽根30a~30fの柄部34a~34fは、正面視で、それぞれ異なる傾斜角度で第1から第6の扇子羽根30a~30fの羽部31と連続している。
【0055】
また、扇子型マウスシールド2が開いた状態では、第1から第6の扇子羽根30a~30fの羽部31a~31fは、基端部が重なり合うとともに、扇子型マウスシールド2の扇面を構成する。羽部31a~31fは、正面視で、扇子型マウスシールド2の扇面の右側からこの順序で並ぶ。
【0056】
羽部31は、正面視で、略扇状のシートから構成される。羽部31a~31fの左側端部にそれぞれ第1の屈曲部32が形成され、羽部31a~31fの右側端部にそれぞれ第2の屈曲部33が形成されている。
【0057】
第1の屈曲部32は、正面視で、羽部31の左側端部が正面側に90°屈曲することで形成された帯状のシートから構成される。第1の屈曲部32の幅は、一定である。第1の屈曲部32は羽部31のリブとなり、羽部31の剛性が向上する。
【0058】
第2の屈曲部33は、正面視で、羽部31の右側端部が背面側に90°屈曲することで形成された帯状のシートから構成される。第2の屈曲部33の幅は、一定である。第2の屈曲部33は羽部31のリブとなり、羽部31の剛性が向上する。
【0059】
柄部34は、上端が羽部31と連続する略矩形状のシートから構成される。柄部34の側端間の寸法は、第1の屈曲部32が柄部34と分離するように、羽部31の下辺の寸法よりも小さい。柄部34は、その長手方向の両側部に指を掛けるための窪み35が形成されている。またこの窪み35は、長手方向の一方側(回転方向の広がり側)に形成することも有り得る。
【0060】
図8に示すように、第1から第6の扇子羽根30a~30fの柄部34の上端部は、正面視で、羽部31とそれぞれ異なる傾斜角度で連続している。柄部34a~34fの傾斜角度θ7~θ12は、扇子型マウスシールド2が開いた状態で、扇面を構成する羽部31a~31fが等角度で並ぶように決定されている。
【0061】
軸穴36は、羽部31の基端部の中央に形成され、軸20が挿入されている。
【0062】
次に、扇子型マウスシールド2の使用態様を説明する。
【0063】
閉じた状態では、図11及び図12に示すように、第1から第6の扇子羽根30a~30fの羽部31a~31fが重なり合っている。
【0064】
使用者は、咳、くしゃみ等の予兆があったとき、又は周囲の人間に咳、くしゃみ等の予兆があったとき、第1から第6の扇子羽根30a~30fの柄部34a~34fを握る。柄部34に形成された窪み35に指を掛けることができるため、柄部34は握り易い。
【0065】
第1の扇子羽根30aの柄部34aと第6の扇子羽根30fの柄部34fとを挟み込む方向に力を加えると、軸20を回転軸として第1から第6の扇子羽根30a~30fが回動し、羽部31a~31fが、図7に示す扇子型マウスシールド2の扇面を形成する。
【0066】
扇子型マウスシールド2が開いた状態では、図7及び図8に示すように、第1の扇子羽根30aの第2の屈曲部33aの下端が、第6の扇子羽根30fの柄部34fの側面に当接する。また、第6の扇子羽根30fの第2の屈曲部33fの下端が、第1の扇子羽根30aの柄部34aの側面に当接する。
【0067】
使用者は、扇子型マウスシールド2の持ち手を握って扇面を口元に翳し、咳、くしゃみ等を遮る。そして、使用者は、扇子型マウスシールド2を使用した後、羽部31a~31fを、指で握る。第1の扇子羽根30aの羽部31aと第6の扇子羽根30fの羽部31fとを挟み込む方向に力を加えると、軸20を回転軸として第1から第6の扇子羽根30a~30fが回動し、羽部31a~31fが重なり合うように閉ざされる。
【0068】
実施の形態2に係る扇子型マウスシールド2は、持ち手を握って使用できるため、持ち続けても使用者の手の負担が抑えられる。さらに、扇子型マウスシールド2は、片手で開閉することができる。
【0069】
扇子型マウスシールド2では、羽部31a~31f(31n)は、正面視で、扇子型マウスシールド2の扇面の右側からこの順序で並ぶ構造である。この順序が逆になり、羽部31a~31fが扇子型マウスシールド2の扇面の左側からこの順序で並んだ場合、柄部34a~34fが重ならずに大きく広がり、片手で握るのが困難になる。しかし、扇子羽根30の回動方向は、第1の屈曲部32及び第2の屈曲部33により規制されるため、羽部31a~31fの並ぶ順序が逆になり難い。そのため、羽部31a~31f及び柄部34a~34fが片手で握るのが困難になるほど広がる可能性は低い。即ち、最低限、広がりは、成人の誰もが、片手で把持できる範囲とするのが理想である。
【0070】
尚、羽部31a~31fの枚数は、扇子型マウスシールド2の広がりの大きさと、羽部31a~31nの大きさで、決定されているが、一例である。
【0071】
羽部31a~31fが広がりすぎると、隣接する羽部31の間に隙間が生じ、その隙間から咳、くしゃみ等によるウイルス飛散が使用者に届く。しかし、扇子型マウスシールド2では、第2の屈曲部33a及び屈曲部33fの下端が、柄部34f及び柄部34aの側面にそれぞれ当接するため、扇子型マウスシールド2の扇面の中心角が規制され、羽部31a~31fが広がりすぎない。そのため、隣接する羽部31の間に隙間が生じず、ウイルス飛散を抑えることができる。但し、必要により、羽部31の間に隙間が生じる態様も可能な場合も考えられる。具体例は説明、及び図示は省略する。
【0072】
以上説明したように、扇子型マウスシールド2は、持ち手を備え、片手で開閉することができる。
【0073】
上記実施の形態1では、屈曲部12は、羽部11の左側端部に形成されている。これに限らず、屈曲部12は、羽部11の右側端部に形成されていてもよい。また、上記実施の形態1では、屈曲部12は、正面側に屈曲している。これに限らず、屈曲部12は、裏面側に屈曲していてもよい。
【0074】
上記実施の形態1では、屈曲部12は、羽部11の左側端部に形成されている。これに限らず、マウスシールドとしての使用に耐えうる耐久性を有するならば、屈曲部12が設けられていなくてもよい。また、屈曲部12の代わりに、例えば、補強材が設けられていてもよい。
【0075】
上記実施の形態1では、扇子羽根10は、半透明・透明等でなるポリプロピレン、紙、フィルム素材、保護紙、その他の素材からなる。これに限らず、マウスシールドとしての使用に耐えうる耐水性及び耐久性を有するならば、他の素材からなっていてもよい。
【0076】
上記実施の形態1では、扇子型マウスシールド1は、6枚の扇子羽根10を備える。これに限らず、扇子型マウスシールド1は、2枚以上5枚以下、又は7枚以上の扇子羽根を備えていてもよい。
【0077】
上記実施の形態1では、羽部11は、略扇形状である。これに限らず、扇子型マウスシールド1を開いたときに隙間が生じないならば、台形又は矩形等であってもよい。
【0078】
上記実施の形態1では、扇子羽根10の羽部11と、柄部13は、一体的に成形されている。これに限らす、それぞれ独立して成形された羽部11と柄部13とが組み合わされ、羽部11の基端部に柄部13が傾斜して設けられることで、扇子羽根10が構成されてもよい。
【0079】
上記実施の形態1では、扇面を構成する羽部11a~11fが等角度で並んでいる。これに限らず、隣り合う羽部11の間に隙間が生じないならば、羽部11a~11fの間の角度が異なっていてもよい。
【0080】
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0081】
1 扇子型マウスシールド
10 扇子羽根
10a,30a 第1の扇子羽根
10b,30b 第2の扇子羽根
10c,30c 第3の扇子羽根
10d,30d 第4の扇子羽根
10e,30e 第5の扇子羽根
10f(10n),30f(30n) 第6の扇子羽根
11 羽部
11a~11f(11n) 羽部
2 扇子型マウスシールド
30 扇子羽根
31 羽部
31a~31f(31n) 羽部
12,12a~12f 屈曲部
13,13a~13f,34,34a~34f 柄部
14,36 軸穴
20 軸
32,32a~32f 第1の屈曲部
33,33a~33f 第2の屈曲部
35 窪み
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12