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特開2022-122562エフィナコナゾール含有局所用医薬組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122562
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】エフィナコナゾール含有局所用医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/454 20060101AFI20220816BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220816BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220816BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20220816BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220816BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20220816BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20220816BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
A61K31/454
A61P17/00 101
A61K9/08
A61K47/22
A61K47/10
A61K47/44
A61K47/14
A61P31/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021019885
(22)【出願日】2021-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124648
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 和夫
(74)【代理人】
【識別番号】100060368
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 迪夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154450
【弁理士】
【氏名又は名称】吉岡 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】坂本 一真
(72)【発明者】
【氏名】更田 宏史
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076BB31
4C076CC20
4C076DD37
4C076DD39
4C076DD43
4C076DD45
4C076DD47
4C076DD49
4C076DD60
4C076FF11
4C076FF15
4C076FF36
4C076FF68
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC60
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA63
4C086NA10
4C086ZA90
4C086ZB35
(57)【要約】
【課題】患部に適用された医薬組成物の均一性が改善された局所用医薬組成物を提供する。
【解決手段】局所用医薬組成物は、(1)エフィナコナゾールと、(2)N-メチル-2-ピロリドン、および/または、ジエチレングリコールモノエチルエーテルと、(3)油分または油脂と、(4)揮発性溶剤とを含有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)エフィナコナゾールと、
(2)N-メチル-2-ピロリドン、および/または、ジエチレングリコールモノエチルエーテルと、
(3)油分または油脂と、
(4)揮発性溶剤とを含有する、局所用医薬組成物。
【請求項2】
前記(3)油分または油脂は、セバシン酸ジエチルである、請求項1に記載の局所用医薬組成物。
【請求項3】
前記(4)揮発性溶剤は、エタノールである、請求項1または請求項2に記載の局所用医薬組成物。
【請求項4】
爪白癬治療用である、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の局所用医薬組成物。
【請求項5】
外用液である、請求項4に記載の局所用医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エフィナコナゾールを含有する局所用医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
エフィナコナゾールは、例えば爪真菌症治療用の外用液剤として市販されている。国際公開WO2001/007643号(特許文献1)には、エフィナコナゾールを有効成分として含有する外用爪真菌症治療薬が記載されている。特開2015-38101号公報(特許文献2)には、爪の疾患を治療するためのエフィナコナゾールを含有する組成物が記載されており、この組成物の爪への浸透性を高めるために、揮発性シリコン(シクロメチコン)が配合されることが記載されている。また、国際公開WO2015/051183号(特許文献3)にも、シクロメチコンが配合されたエフィナコナゾール組成物が記載されている。
【0003】
市販のエフィナコナゾール外用液や特許文献3の実施例1の組成物では、配合成分にシクロメチコン、エタノール、精製水、油脂(乳酸アルキル等)が含まれている。これらの組成物は、患部の爪に塗布されるとエタノールが揮発して、エフィナコナゾールとシクロメチコンと油脂とが精製水と混合された組成物が爪上に残り、エフィナコナゾールが爪に浸透していく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2001/007643号
【特許文献2】特開2015-38101号公報
【特許文献3】国際公開WO2015/051183号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、上述のようにエフィナコナゾールを含有する組成物を患部の爪に塗布し、塗布された組成物からエタノールが揮発した時、爪上に残る組成物のシクロメチコンと油脂と精製水は相溶性が悪く、爪上で組成物が分離して不均一になることを見出した。患部で組成物がこのように分離すると、有効成分が均一に広がらず、有効性が変動する恐れがある。
【0006】
そこで、この発明の目的は、患部に適用された医薬組成物の均一性が改善されたエフィナコナゾール含有局所用医薬組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従った局所用医薬組成物は、(1)エフィナコナゾールと、(2)N-メチル-2-ピロリドン、および/または、ジエチレングリコールモノエチルエーテルと、(3)油分または油脂と、(4)揮発性溶剤とを含有する。
【0008】
本発明者らは、鋭意検討の結果、特許文献3の実施例1の処方の成分のうち、シクロメチコンをN-メチル-2-ピロリドンまたはジエチレングリコールモノエチルエーテルに変更することによって、患部に適用された医薬組成物中の不揮発性成分らの相溶性が向上し、揮発後の組成物の均一性が改善されることを見出した。患部に適用された組成物の均一性が改善されることによって、有効成分が患部に均一に広がり、ばらつきのない薬効が得られる。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明に従えば、患部に塗布された医薬組成物の均一性が改善されたエフィナコナゾール含有局所用医薬組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に従った局所用医薬組成物は、(1)エフィナコナゾールと、(2)N-メチル-2-ピロリドン、および/または、ジエチレングリコールモノエチルエーテルと、(3)油分または油脂と、(4)揮発性溶剤とを含有する。
【0011】
本発明に従った局所用医薬組成物は、例えば、液体組成物、または、半固体組成物の形態で製剤化される。液体組成物としては、例えば、水溶液、乳剤(乳液)または懸濁液の形態であってもよい。半固体組成物としては、例えば、軟膏、ローション、ゲル、クリーム、ペーストの形態であってもよい。好ましくは、局所用医薬組成物は溶液として製剤化される。
【0012】
本発明に従った局所用医薬組成物は、一例として、外用剤であり得る。本発明に従った局所用医薬組成物は、皮膚または爪の病態を治療するために、患部に局所的に投与されるために用いられる。本発明の局所的医薬組成物が適用される皮膚または爪の病態としては、足白癬、頭部白癬、爪白癬、股部白癬、体部白癬、および、イースト菌感染症が含まれる。本発明の局所用医薬組成物は、好ましくは爪白癬治療用、より好ましくは爪白癬治療用の外用液である。本発明の局所用医薬組成物は、爪白癬治療用の外用液として用いられる場合、1日1回、罹患爪全体に塗布されることが好ましい。
【0013】
本明細書において、(1)エフィナコナゾールとは、(2R,3R)-2-(2,4-字フルオロフェニル)-3-(4-メチレンピぺリジン-1-イル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)ブタン-2-オール、および、その薬学的に許容される塩を指す。本発明に従った局所用医薬組成物において、(1)エフィナコナゾールの含量は用途によって異なるが、好ましくは5質量%以上15質量%以下、より好ましくは8質量%以上12質量%以下であり、特に好ましくは局所用医薬組成物1g中に100mgである。
【0014】
本発明に従った局所用医薬組成物は、(2)N-メチル-2-ピロリドン、および/または、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを含み、好ましくは、シクロメチコンを含まない。N-メチル-2-ピロリドンとジエチレングリコールモノエチルエーテルとしては、市販品を使用することができる。本発明に従った局所用医薬組成物において、N-メチル-2-ピロリドンの含量は、好ましくは1質量%以上11質量%以下、より好ましくは1質量%以上5質量%以下であり、ジエチレングリコールモノエチルエーテルの含量は、好ましくは1質量%以上11質量%以下、より好ましくは4質量%以上8質量%以下である。N-メチル-2-ピロリドンとジエチレングリコールモノエチルエーテルの両方を含む場合には、好ましい含量は、総含量として2質量%以上11質量%以下である。
【0015】
本発明に従った局所用医薬組成物は、(3)油分または油脂として、セバシン酸ジエチルを含むことが好ましい。(3)油分または油脂の含量は、好ましくは4質量%以上14質量%以下、より好ましくは7質量%以上11質量%以下である。なお、油分または油脂は、例えばアジピン酸ジイソプロピルや乳酸アルキルであってもよく、油分または油脂として、セバシン酸ジエチルに加えてアジピン酸ジイソプロピルや乳酸アルキルをさらに含んでもよい。
【0016】
本発明に従った局所用医薬組成物は、(4)揮発性溶剤として、限定ではなく、アセトン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2-ブタノール、エタノール、酢酸エチル、n-ヘプタン、イソブタノール、イソプロピルアルコール、1-プロパノール、2-プロパノール、および、水を配合することができる。好ましくは、(4)揮発性溶剤はエタノールであることが好ましい。(4)揮発性溶剤の含量は、好ましくは57質量%以上70質量%以下、より好ましくは60質量%以上67質量%以下である。
【0017】
本発明に従った局所用医薬組成物は、上記の(1)~(4)の成分の他、賦形剤等の薬学的に許容される成分を含むことができる。このような薬学的に許容される成分としては、例えば、乳糖水和物、トウモロコシデンプン、メグルミン等の糖類等が挙げられる。
【0018】
本発明に従った局所用医薬組成物は、さらに、目的に応じて添加剤を含むことができる。例えば局所用医薬組成物が外用剤である場合、添加剤としては、具体的には、緩衝剤、等張化剤、溶解補助剤、粘性基剤、キレート剤、清涼化剤、pH調整剤、保存剤、抗酸化剤、安定化剤等が挙げられる。
【0019】
緩衝剤としては、例えば、リン酸緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酒石酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、Tris緩衝剤、アミノ酸などが挙げられる。
【0020】
等張化剤としては、例えば、ソルビトール、グルコース、マンニトール等の糖類;グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコール類;塩化ナトリウム等の塩類;ホウ酸等が挙げられる。
【0021】
溶解補助剤としては、例えば、グリセリン、マクロゴール等が挙げられる。
【0022】
粘性基剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、カルボキシビニルポリマー等の水溶性高分子;ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース類等が挙げられる。
【0023】
キレート剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム(EDTA)、クエン酸等が挙げられる。
【0024】
清涼化剤としては、例えば、l-メントール、ボルネオール、カンフル、ユーカリ油等が挙げられる。
【0025】
pH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ;酢酸、クエン酸、塩酸、リン酸、酒石酸等の酸が挙げられる。
【0026】
保存剤としては、例えば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、クロロブタノール、クロロヘキシジングルコン酸塩、ホウ酸、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化亜鉛、パラクロルメタキシレノール、クロルクレゾール、フェネチルアルコール、塩化ポリドロニウム、チメロサール、亜塩素酸ナトリウム等が挙げられる。
【0027】
抗酸化剤としては、例えば、エチドロン酸四ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、ビタミンC、ビタミンE、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピル、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸カリウム、二酸化硫黄、クロロゲン酸、カテキン等が挙げられる。
【0028】
安定化剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、亜硫酸ナトリウム、モノエタノールアミン、グリセリン、プロピレングリコール、シクロデキストリン、デキストラン、アスコルビン酸、エデト酸ナトリウム、タウリン、トコフェロール等が挙げられる。
【0029】
本発明の局所用医薬組成物には、医薬部外品における有効成分を更に添加することができる。医薬部外品における有効成分としては、例えば、殺菌剤、抗炎症剤、酵素、ビタミン類などが例示される。
【0030】
本発明の局所用医薬組成物は、公知の手法を用いて調製することができる。例えば、(1)エフィナコナゾールと、(2)N-メチル-2-ピロリドン、および/または、ジエチレングリコールモノエチルエーテルと、(3)油分または油脂と、(4)揮発性溶剤と、その他の添加剤とを混合して局所用医薬組成物を得ることができる。本発明の局所用医薬組成物の各成分は、任意の順序で添加され得る。
【実施例0031】
以下、本発明の実施例を説明する。なお、各成分の含有量(%)は、特に断りがない場合は質量%である。
【0032】
[相溶性評価]
表1のA欄の成分とB欄の成分を室温で1:1の質量比で、マグネチックスターラーを用い5分以上混合し、得られた液体の均一性を目視で評価した。表1において、「〇」は液体が均一であったこと、「×」は不均一であったこと、「-」は試験されていないことを示す。A欄の「シクロメチコン+油脂」は、油脂として乳酸アルキル(C12-15)を用いて、シクロメチコンと油脂を1:1の質量比で混合したもの、「シクロメチコン+油脂+95%エタノール」は、油脂として乳酸アルキル(C12-15)を用いて、シクロメチコンと油脂と95%エタノールを1:1:1の質量比で混合したものであった。
【0033】
【表1】
【0034】
表1に示すように、シクロメチコンは精製水と95%エタノールとは混和せず、また、シクロメチコンと油脂との混合物は、95%エタノールとは混和するが、精製水とは混和しなかった。一方、シクロメチコンと油脂と95%エタノールとの混合物は、精製水と混和した。シクロメチコンは、特許文献3の実施例1の処方で用いられているが、この結果から、特許文献3の実施例1の組成物からエタノールまたは油脂が欠けると液体が不均一になることがわかった。これに対して、N-メチル-2-ピロリドンとジエチレングリコールモノエチルエーテルは、精製水、95%エタノール、油脂のいずれとも混和し、均一な液体が得られた。以上の結果から、シクロメチコンに代えてN-メチル-2-ピロリドン、および/または、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを用いることで、エタノールが揮発した後の組成物を均一にすることができる。
【0035】
[熱力学的活動度挙動の評価]
表2の処方で実施例A、実施例B、比較例1(特許文献3の実施例1)の局所用医薬組成物を作製し、熱力学的活動度挙動を評価した。実施例Aと実施例Bでは、(2)N-メチル-2-ピロリドン、または、ジエチレングリコールモノエチルエーテルと、(3)油分または油脂としてセバシン酸ジエチルについては、表3の分量で配合した。
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
ガラスシャーレ上に各試験製剤を分取し32℃環境下に静置後、重量を計測することで揮発量を経時的に評価した。また、同条件下に置いた試験製剤についてサンプリングし、高速液体クロマトグラフ装置を用いエフィナコナゾール溶解度を経時的に計測した。サンプリング時点ごとに、揮発量とエフィナコナゾール溶解度から熱力学的活動度を算出し、熱力学的活動度挙動を得た。後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドラインに基づき、各実施例の熱力学的活動度挙動について比較例1の熱力学的活動度挙動との間でf2値を算出し、両者の同等性を評価する指標とした。実施例A1~A10と実施例B1~B9について、適用後24時間までのf2値、適用後1時間までのf2値、および、f2≧50であるか否かを表4と表5に示す。なお、表4と表5中、「判定基準」の「〇」は適用後1時間までと適用後24時間までのいずれもf2≧50であることを示し、「×」はf2<50であることを示す。
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
表4,5に示されているように、実施例A1~A6,A8と実施例B1~B8は、比較例1(特許文献3の実施例1)と比べて、熱力学的活動度挙動が同等であった。したがって、本発明の局所用医薬組成物の油分または油脂としてセバシン酸ジエチルを使用し、シクロメチコンに代えてN-メチル-2-ピロリドンを使用する場合には、セバシン酸ジエチルが8~9質量%であることが好ましく、セバシン酸ジエチルが10質量%の場合にはN-メチル-2-ピロリドンの含有量は3質量%以下であることが好ましく、セバシン酸ジエチルが11質量%の場合にはN-メチル-2-ピロリドンの含有量は2質量%以下であることが好ましい。また、シクロメチコンに代えてジエチレングリコールモノエチルエーテルを使用する場合には、セバシン酸ジエチルが8~9質量%であることが好ましく、セバシン酸ジエチルが10質量%の場合にはジエチレングリコールモノエチルエーテルの含有量は6%以下であることが好ましい。
【0042】
[揮発性溶剤の揮発後の均一性の評価]
実施例A5、実施例B5、比較例1の処方で局所用医薬組成物を作製し、揮発性溶剤が揮発した後の組成物の均一性を評価した。
【0043】
[吸光度]
各試験製剤をガラス瓶に分取し32℃環境下で24時間開放静置したものと、静置前のもの各々について、吸光光度計を用い吸光度(測定波長:380nm)を計測した。結果を表6に示す。
【0044】
[明度]
上述の試験検体について、同じく吸光光度計を用い明度を計測した。結果を表6に示す。
【0045】
【表6】
【0046】
表6に示すように、実施例A5と実施例B5はいずれも、揮発性溶剤の揮発後の吸光度も明度も、比較例1と比べて改善され、より透明に近い均一な組成物が得られた。
【0047】
次に、実施例A5の処方でセバシン酸ジエチルを乳酸アルキルに置き換えたものを実施例C1、実施例B5の処方でセバシン酸ジエチルを乳酸アルキルに置き換えたものを実施例D1として、同様に揮発性溶剤の揮発後の均一性を評価した。結果を表7に示す。
【0048】
【表7】
【0049】
表7に示すように、油分または油脂として乳酸アルキルを使用した場合も、実施例C1と実施例D1のいずれも、揮発性溶剤の揮発後の吸光度も明度も、比較例1と比べて改善され、より透明に近い均一な組成物が得られた。
【0050】
以上に開示された実施の形態と実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態と実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものである。