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  • 特開-熱感知器 図1
  • 特開-熱感知器 図2
  • 特開-熱感知器 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122564
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】熱感知器
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/06 20060101AFI20220816BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
G08B17/06 K
G08B17/06 F
G08B17/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021019888
(22)【出願日】2021-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002169
【氏名又は名称】彩雲国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】松田 大造
【テーマコード(参考)】
5C085
5G405
【Fターム(参考)】
5C085AA01
5C085BA12
5C085FA12
5C085FA13
5G405AA01
5G405AB01
5G405FA07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】美観を向上させることができる埋込型の熱感知器を提供する。
【解決手段】埋込型の熱感知器1において、プロテクタ4は、鍔部3の前部側に、前方に向けて縦立して設けられて、感熱素子を側方から保護する複数の支柱部4bと、複数の支柱部4bの先端部4baに設けられて、感熱素子を前方から保護する頂板部4aを有するものとすると共に、複数の支柱部4bのいずれもが、長さ方向の全長にわたって、頂板部4aの垂直投影領域の範囲内に位置するものとする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、前記本体の前部側に設けられる鍔部と、前記鍔部の前部側に設けられて、感熱素子を保護するプロテクタを備え、前記本体が前記鍔部から前方の前記プロテクタを含む前部側の部分を露出させた状態で天井や壁等に埋め込まれて取り付けられる、埋込型の熱感知器であって、
前記プロテクタは、前記鍔部の前部側に、前方に向けて縦立して設けられて、前記感熱素子を側方から保護する複数の支柱部と、前記複数の支柱部の先端部に設けられて、前記感熱素子を前方から保護する頂板部を有するものとすると共に、前記複数の支柱部のいずれもが、長さ方向の全長にわたって、前記頂板部の垂直投影領域の範囲内に位置するものとすることを特徴とする熱感知器。
【請求項2】
前記プロテクタは、前記複数の支柱部の基端部から前記頂板部側に軸方向に沿って延びる仮想の直線と、前記複数の支柱部の基端部から前記頂板部側に延びて、前記頂板部の外周縁部を通る仮想の直線とのなす角度θが10~50度になるものであることを特徴とする請求項1に記載の熱感知器。
【請求項3】
前記鍔部は、平板状の形状をなすものであり、前記プロテクタは、前記鍔部の前部側に直接、設けられるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱感知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、火災感知器として用いられる熱感知器に関する。
【背景技術】
【0002】
熱感知器は、熱を検出して、火災を感知する火災感知器として用いられる。建築物内等を防護対象とし、その天井や壁等に取り付けられて設けられる。
【0003】
この種の熱感知器において、感熱素子が本体から前方に露出して設けられるものの場合、その感熱素子を外力から保護するプロテクタが本体の前部側に設けられる。プロテクタとしては、種々の構造のものがあるが、感熱素子を側方から保護する複数の支柱部と、その複数の支柱部の先端部に設けられて、感熱素子を前方から保護する頂板部を有する構造のものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-159866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のような複数の支柱部を有するプロテクタが設けられるものの場合、各支柱部の間に隙間が設けられており、その隙間によって内側の感熱素子に向けての熱気流の流入が確保されている。しかしながら、その一方で、隙間がある支柱部の部分が見えることで、美観が損なわれるという問題がある。特に、埋込型の熱感知器において、プロテクタが設けられる本体の前部側の部分のみが露出する状態で天井や壁等に埋め込まれて取り付けられるものの場合、隙間がある支柱部の部分が目立ってしまうため、美観がより損なわれることになる。
【0006】
この発明は、前記の事情に鑑み、埋込型の熱感知器の美観を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、本体と、前記本体の前部側に設けられる鍔部と、前記鍔部の前部側に設けられて、感熱素子を保護するプロテクタを備え、前記本体が前記鍔部から前方の前記プロテクタを含む前部側の部分を露出させた状態で天井や壁等に埋め込まれて取り付けられる、埋込型の熱感知器であって、前記プロテクタは、前記鍔部の前部側に、前方に向けて縦立して設けられて、前記感熱素子を側方から保護する複数の支柱部と、前記複数の支柱部の先端部に設けられて、前記感熱素子を前方から保護する頂板部を有するものとすると共に、前記複数の支柱部のいずれもが、長さ方向の全長にわたって、前記頂板部の垂直投影領域の範囲内に位置するものとすることを特徴とする熱感知器である。
【0008】
この発明において、前記プロテクタは、前記複数の支柱部の基端部から前記頂板部側に軸方向に沿って延びる仮想の直線と、前記複数の支柱部の基端部から前記頂板部側に延びて、前記頂板部の外周縁部を通る仮想の直線とのなす角度θが10~50度になるものとすることができる。
【0009】
また、この発明において、前記鍔部は、平板状の形状をなすものとすることができ、前記プロテクタは、前記鍔部の前部側に直接、設けられるものとすることができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、例えば、熱感知器が天井等に取り付けられる場合において、その下方にいる人の視線から、複数の支柱部の部分を頂板部によって隠すことができる。したがって、プロテクタの隙間がある支柱部の部分が本来は目立つように取り付けられる埋込型のものであっても、その支柱部の部分を見え難くして目立たないようにすることができ、美観を悪く感じ難くすることができる。すなわち、埋込型の熱感知器の美観を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明の熱感知器の実施形態の一例を示したものであり、角度θを15度とする場合の熱感知器全体を側面視で示した図である。なお、天井側の部分を破線で示すことにより、天井に取り付けられる場合の、天井側の部分との位置関係も併せて示している。
図2】同上を示したものであり、角度θを45度とする場合の図1に相当する図である。
図3図1の熱感知器を下面視(感知器前面側)で示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施形態について、図1及び2を参照しつつ説明する。
【0013】
ここで、この発明を説明するのに用いている「前」や「後」等の向きや位置を示す語は、取り付け時の状態における建築物内等の防護対象の空間に対する、各構成部分の向きや位置に従って用いているものである。具体的には、例えば、取り付け時の状態における各構成部分の、防護対象の空間の側を「前」、その反対側を「後」として用いているものである。
【0014】
[基本構成]
熱感知器1は、図1及び2に示したように、ハウジング2(本体の一例)と、ハウジング2の前部側に設けられる鍔部3と、鍔部3の前部側に設けられるプロテクタ4を備える。なお、ハウジング2の内部には、回路基板(図示省略)が収納される。その回路基板には、感熱素子である、例えば、リードタイプのサーミスタ6(図3参照)が前方に向けて縦立すると共に、感熱部のある先端側の部分をハウジング2から鍔部3を介して前方に露出させた状態で接続、固定されて設けられる。
【0015】
[取付方式(埋込型)]
熱感知器1は、埋込型のものであり、天井や壁等に埋め込まれて取り付けられる。図1及び2は、天井Tに取り付けられるものとする場合の、その天井T側の部分との位置関係も示したものとしている。同図に示したように、例えば、天井Tに対しては、鍔部3から前方のプロテクタ4を含む前部側の部分のみが防護対象の空間側に露出した状態で、本体であるハウジング2の部分が、下方から上方に向かって、天井T(破線)に設けられる取付穴H(破線)内に埋め込まれて取り付けられる。詳細な説明は省略するが、図示の例の場合、本体2の側方に設けられる取付ばね7(図3参照)の弾性力によって、取付穴Hへの取り付け状態が保持されるものとしている。なお、図中、取付ばね7は、便宜上、取り付け時の状態ではない、略自由状態の時の位置にあるものとして示している。
【0016】
[プロテクタ]
プロテクタ4は、内側、詳細には支柱部4bの内周側に位置するサーミスタ6(図3参照)に向けての熱気流の流入を確保しつつ、サーミスタ6を外力から保護する構造を有する。具体的には、鍔部3の前部に、前方に向けて縦立すると共に、サーミスタ6を囲むように周りの位置に、互いに所定の間隔(後記で説明する隙間4bc)を置いて設けられて、内側に位置するサーミスタ6を側方から保護する複数の支柱部4bと、複数の支柱部4bの先端部4baに設けられて、内側に位置するサーミスタ6を前方から保護する平板状の頂板部4aを有する。複数の支柱部4bの間には、内側のサーミスタ6に向けての熱気流の流入部として機能する隙間4bcが設けられると共に、頂板部4aにも、その中央部に、内側のサーミスタ6に向けての熱気流の流入部として機能する、サーミスタ6に向けて貫通する貫通口4aa(図3参照)が設けられる。これらの隙間4bcと貫通口4aaによって、サーミスタ6への熱気流の流入性は確保される。
【0017】
そして、プロテクタ4において、複数の支柱部4bはいずれも、長さ方向の全長にわたって、頂板部4aの垂直投影領域の範囲内(頂板部4aの外周縁部4abの内側)に位置して設けられる。すなわち、図3に示したように、熱感知器1の前面側に正対した状態で、複数支柱部4bは、いずれも、頂板部4aによってすべてが隠れるように設けられる。
【0018】
これにより、熱感知器1においては、例えば、天井Tに取り付けられる場合のように、熱感知器1が防護対象の空間の上方に下向きの状態で取り付けられる場合において、取付状態にある熱感知器1の下方にいる人の視線から、複数の支柱部4bの部分を頂板部4aによって隠すことができる。したがって、複数の支柱部4bの部分が本来は目立つように取り付けられる埋込型のものであっても、その支柱部4bの部分を見え難くして目立たないようにすることができ、美観を悪く感じ難くすることができる。すなわち、美観を向上させることができる。
【0019】
ここで、プロテクタ4の各部分の寸法について説明する。支柱部4bの高さ(長さ)は、熱気流の流入を確保しつつ美観を損ねない長さとすることが好ましい。例えば、ハウジング2の高さよりも短い長さとすることができる。また、頂板部4aの厚みは、支柱部4bの厚みと略同等、または鍔部3の厚みより薄いものとすることができる。さらに、頂板部4aの外径は、ハウジング2の外径と略同等かそれよりも短い幅、または、鍔部3の外形の略半分の幅とすることができる。
【0020】
・支柱部の基端部と頂板部の外周縁部の位置関係(角度θ)
複数の支柱部4bの部分を頂板部4aによって隠すことができる範囲は、複数の支柱部4bの高さ(長さ)と、頂板部4a前面部分の大きさ(外径)との関係によって決定される。その関係は、複数の支柱部4bの基端部4bbから頂板部4aに軸方向に沿って延びる仮想の直線L1と、複数の支柱部4bの基端部4bbから頂板部4a側に延びて、頂板部4aの外周縁部4abを通る仮想の直線L2とのなす角度θとして表すことができる。
【0021】
角度θを0度とした場合でも、熱感知器1の直下にいる人の視線であれば、複数の支柱部4bの部分を頂板部4aによって隠すことができる。ただし、その場合、隠すことができる視線の範囲は狭いものになる。角度θを大きくすれば、その隠すことができる視線の範囲を広くすることができる。複数の支柱部4bの長さを短くすれば、角度θを大きくすることができるが、複数の支柱部4b間の隙間4bcからの熱気流の流入を良好なものとするには、一定程度の長さを確保する必要がある。複数の支柱部4bの長さを短くしなくても、頂板部4aの外径を大きくすれば、角度θを大きくすることができる。すなわち、熱気流の流入を良好に確保しつつ、角度θを大きくすることができる。しかしながら、その角度θを大きくし過ぎてしまえば、頂板部4aの外径が大きくなり過ぎてしまい、かえって美観を悪くしてしまう。そこで、角度θとしては、例えば、10~50度の範囲、或いは15~45度の範囲の適宜の角度とするのが好適と考えられる。図1は、角度θを15度とした場合を示している。そして、図2は、頂板部4aの外径を大きくして、角度θを45度とする場合を示している。
【0022】
なお、図示の例の場合、複数の支柱部4bは、鍔部3の前部に垂直に縦立するものとしているが、傾斜して縦立するものとしてもよい。また、頂板部4aは、平面視円形(図3参照)をなすものとしているが、平面視多角形等、他の形状をなすものとしてもよい。
【0023】
[小型化、薄型化(カバーなしの形状)]
熱感知器1は、より詳細には、図示の例の場合、鍔部3を平板状の形状からなるものとすると共に、その平板状の鍔部3の前部側にプロテクタ4が直接設けられて、鍔部3とプロテクタ4の間に鍔部3の前面側を覆うカバーが設けられないものとしており、天井Tや壁等から露出する前部側の部分を小型化、薄型化できるものとしている。この場合、複数の支柱部4bの部分の、露出する前部側の部分全体に対して占める面積が大きくなるので、複数の支柱部4bの部分が本来はより目立つことになるが、前記の通り、熱感知器1においては、複数の支柱部4bの部分を頂板部4aによって見え難くして目立たないようにすることができ、美観を悪く感じ難くすることができる。すなわち、図示の例においては、熱感知器1の美観を向上させることができるだけでなく、その小型化、薄型化をすることもできる。
【0024】
なお、鍔部3も、図示の例の場合、平面視円形をなすものとしているが、前記の頂板部4aと同様、平面視多角形等、他の形状をなすものとしてもよい。
【0025】
[構成の変更例]
以上、この発明の実施形態について、熱感知器に適用する場合を例に図面を参照しつつ説明したが、具体的な構成は、上記の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれるものである。
【符号の説明】
【0026】
1:熱感知器 2:ハウジング(本体) 3:鍔部
4:プロテクタ 4a:頂板部 4aa:貫通口 4ab:外周縁部
4b:支柱部 4ba:先端部 4bb:基端部 4bc:隙間
6:サーミスタ 7:取付ばね
T:天井 H:取付穴
図1
図2
図3