(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122571
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】カメラ制御システム、カメラ制御方法およびカメラ制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20220816BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
H04N7/18 D
H04N7/18 E
H04N5/232 030
H04N5/232 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021019900
(22)【出願日】2021-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】320008672
【氏名又は名称】i-PRO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋口 学
(72)【発明者】
【氏名】安田 真理
【テーマコード(参考)】
5C054
5C122
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054DA09
5C054EA03
5C054FC12
5C054GB02
5C054HA19
5C122DA11
5C122EA67
5C122FA18
5C122FH11
5C122FK23
5C122GC37
5C122GC52
5C122HA43
5C122HA86
5C122HB01
5C122HB09
(57)【要約】
【課題】カメラごとのビットレート自動設定を効率的に行い、カメラの撮像画像の画質をより適応的に制御する。
【解決手段】カメラ制御システムは、所定の初期ビットレートが設定されたN(N:2以上の整数)台のカメラと、N台のカメラと通信可能な端末装置と、を備え、N台のカメラのそれぞれのパラメータに基づいて、カメラの優先度をカメラごとに決定し、優先度が大きい順にN台のカメラのそれぞれの並び替えを実行し、[i(i:0≦i≦N/2を満たす整数)+1]番目のカメラの優先度と[N-i]番目のカメラの優先度とに基づいて、[i+1]番目のカメラの設定ビットレートを算出するための係数を決定し、[i+1]番目のカメラの設定ビットレートと、[i+1]番目のカメラのビットレートの増加分とを算出し、[N-i]番目のカメラの初期ビットレートから増加分を減算して、[N-i]番目のカメラの設定ビットレートを算出して、設定させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ所定の初期ビットレートが設定されて、対象物を撮像するN(N:2以上の整数)台のカメラと、
前記N台のカメラのそれぞれと通信可能な端末装置と、を備え、
前記カメラは、
撮像された撮像画像と前記カメラのパラメータとを前記端末装置に送信し、
前記端末装置は、
前記N台のカメラのそれぞれの前記パラメータに基づいて、ビットレートを上げるカメラの優先度を前記カメラごとに決定し、
決定された前記優先度に基づいて、前記優先度が大きい順に前記N台のカメラのそれぞれの並び替えを実行し、
[i(i:0≦i≦N/2を満たす整数)+1]番目のカメラの優先度と[N-i]番目のカメラの優先度とに基づいて、前記[i+1]番目のカメラの設定ビットレートを算出するための係数を決定し、
前記[i+1]番目のカメラの初期ビットレートと前記係数とに基づいて、前記[i+1]番目のカメラの設定ビットレートと、前記[i+1]番目のカメラのビットレートの増加分とを算出し、
前記[N-i]番目のカメラの初期ビットレートから前記増加分を減算して、前記[N-i]番目のカメラの設定ビットレートを算出し、
算出された前記設定ビットレートを対応する前記カメラに送信して、設定させる、
カメラ制御システム。
【請求項2】
前記端末装置は、
算出された前記設定ビットレートを対応する前記カメラに送信して設定させた後、設定ビットレートの設定回数を示す前記iを[i+1]にし、
前記[i+1]が(N/2)の整数値であると判定するまで、前記[i+1]番目のカメラと前記[N-i]番目のカメラとの前記設定ビットレートの算出および設定を繰り返し実行する、
請求項1に記載のカメラ制御システム。
【請求項3】
前記端末装置は、
前記[i+1]が前記(N/2)の整数値以上であり、かつ、前記Nが奇数であると判定した場合、前記[i+1]番目のカメラの設定ビットレートを初期ビットレートに決定して、設定させる、
請求項2に記載のカメラ制御システム。
【請求項4】
前記パラメータは、前記撮像画像に映る前記対象物の検知数であり、
前記端末装置は、
前記N台のカメラのそれぞれから取得された前記検知数に基づいて、前記ビットレートを上げるカメラの優先度を前記カメラごとに決定し、
決定された前記N台のカメラのそれぞれの前記優先度に基づいて、前記係数を決定する、
請求項1に記載のカメラ制御システム。
【請求項5】
前記パラメータは、前記撮像画像に映る前記対象物の検知面積であり、
前記端末装置は、
前記N台のカメラのそれぞれから取得された前記検知面積に基づいて、前記ビットレートを上げるカメラの優先度を前記カメラごとに決定し、
決定された前記N台のカメラのそれぞれの前記優先度に基づいて、前記係数を決定する、
請求項1に記載のカメラ制御システム。
【請求項6】
前記パラメータは、前記撮像画像が撮像された日時情報であり、
前記端末装置は、
前記N台のカメラのそれぞれから取得された前記日時情報と、時間帯ごとの前記N台のカメラのそれぞれの優先度テーブルとに基づいて、前記ビットレートを上げるカメラの優先度を決定し、
決定された前記N台のカメラのそれぞれの前記優先度に基づいて、前記係数を決定する、
請求項1に記載のカメラ制御システム。
【請求項7】
前記パラメータは、前記撮像画像の明度であり、
前記端末装置は、
前記N台のカメラのそれぞれから取得された前記明度に基づいて、前記ビットレートを上げるカメラの優先度を前記カメラごとに決定し、
決定された前記N台のカメラのそれぞれの前記優先度に基づいて、前記係数を決定する、
請求項1に記載のカメラ制御システム。
【請求項8】
前記パラメータは、前記カメラの量子化パラメータ値であり、
前記端末装置は、
前記N台のカメラのそれぞれの前記量子化パラメータ値に基づいて、前記量子化パラメータ値が大きい順に前記N台のカメラのそれぞれの並び替えを実行し、
前記[i+1]番目のカメラの量子化パラメータ値と[N-i]番目のカメラの量子化パラメータ値とに基づいて、前記[i+1]番目のカメラの設定ビットレートを算出するための係数を決定する、
請求項1に記載のカメラ制御システム。
【請求項9】
それぞれ所定の初期ビットレートが設定されたN(N:2以上の整数)台のカメラとの間で通信可能に接続されたコンピュータが行うカメラ制御方法であって、
前記N台のカメラのそれぞれにより撮像された撮像画像と前記カメラのパラメータとに基づいて、ビットレートを上げるカメラの優先度を前記カメラごとに決定し、
決定された前記優先度に基づいて、前記優先度が大きい順に前記N台のカメラのそれぞれの並び替えを実行し、
[i(i:0≦i≦N/2を満たす整数)+1]番目のカメラの優先度と[N-i]番目のカメラの優先度とに基づいて、前記[i+1]番目のカメラの設定ビットレートを算出するための係数を決定し、
前記[i+1]番目のカメラの初期ビットレートと前記係数とに基づいて、前記[i+1]番目のカメラの設定ビットレートと、前記[i+1]番目のカメラのビットレートの増加分とを算出し、
前記[N-i]番目のカメラの初期ビットレートから前記増加分を減算して、前記[N-i]番目のカメラの設定ビットレートを算出し、
算出された前記設定ビットレートを対応する前記カメラに送信して、設定させる、
カメラ制御方法。
【請求項10】
それぞれ所定の初期ビットレートが設定されたN(N:2以上の整数)台のカメラとの間で通信可能に接続されたコンピュータである端末装置に、
前記N台のカメラのそれぞれにより撮像された撮像画像と前記カメラのパラメータとに基づいて、ビットレートを上げるカメラの優先度を前記カメラごとに決定するステップと、
決定された前記優先度に基づいて、前記優先度が大きい順に前記N台のカメラのそれぞれの並び替えを実行するステップと、
[i(i:0≦i≦N/2を満たす整数)+1]番目のカメラの優先度と[N-i]番目のカメラの優先度とに基づいて、前記[i+1]番目のカメラの設定ビットレートを算出するための係数を決定するステップと、
前記[i+1]番目のカメラの初期ビットレートと前記係数とに基づいて、前記[i+1]番目のカメラの設定ビットレートと、前記[i+1]番目のカメラのビットレートの増加分とを算出するステップと、
前記[N-i]番目のカメラの初期ビットレートから前記増加分を減算して、前記[N-i]番目のカメラの設定ビットレートを算出するステップと、
算出された前記設定ビットレートを対応する前記カメラに送信して、設定させるステップと、を実現させるための、
カメラ制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カメラ制御システム、カメラ制御方法およびカメラ制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、人物が所持する入構許可証に取り付けられた発信機から送信される信号に基づいて、撮影中のカメラ装置の撮影モードを切り替えて撮影し、撮影された映像データを管理サーバに保存する監視システムが開示されている。カメラ装置は、発信機から識別情報を含む信号の受信に伴って撮影モードを低画質モードから高画質モードに切り替え、高画質モードで撮影した映像データおよび識別情報を管理サーバに送信する。また、カメラ装置は、発信機から信号を受信しなくなると、撮影モードを高画質モードから低画質モードに切り替え、低画質モードで撮影した映像データおよび識別情報を管理サーバに送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した特許文献1の構成では、1台のカメラ装置の撮影モードしか制御できないため、例えば複数台のカメラ装置のそれぞれで同時に高画質モードによる撮影が行われた場合には、撮影された映像データのサイズの総量が大きくなり、各カメラ装置と管理サーバとの間の通信経路(例えば、ネットワーク)で通信可能なビットレートの上限値を上回って、各カメラ装置と管理サーバとの間の接続が切断される可能性があった。したがって、複数台のカメラ装置が接続された監視システムでは、それぞれのカメラ装置の撮影モード(つまり、画質)の自動制御において、各カメラ装置と管理サーバとの間の通信経路で通信可能なビットレートの上限値を超えないように、かつ、各カメラ装置の画質を適応的に制御することに関して改善の余地があった。
【0005】
本開示は、上述した従来の事情に鑑みて案出され、カメラごとのビットレート自動設定を効率的に行い、カメラの撮像画像の画質をより適応的に制御するカメラ制御システム、カメラ制御方法およびカメラ制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、それぞれ所定の初期ビットレートが設定されたN(N:2以上の整数)台のカメラと、前記N台のカメラのそれぞれと通信可能な端末装置と、を備え、前記カメラは、撮像された撮像画像と前記カメラのパラメータとを前記端末装置に送信し、前記端末装置は、前記N台のカメラのそれぞれの前記パラメータに基づいて、ビットレートを上げるカメラの優先度を前記カメラごとに決定し、決定された前記優先度に基づいて、前記優先度が大きい順に前記N台のカメラのそれぞれの並び替えを実行し、[i(i:0≦i≦N/2を満たす整数)+1]番目のカメラの優先度と[N-i]番目のカメラの優先度とに基づいて、前記[i+1]番目のカメラの設定ビットレートを算出するための係数を決定し、前記[i+1]番目のカメラの初期ビットレートと前記係数とに基づいて、前記[i+1]番目のカメラの設定ビットレートと、前記[i+1]番目のカメラのビットレートの増加分とを算出し、前記[N-i]番目のカメラの初期ビットレートから前記増加分を減算して、前記[N-i]番目のカメラの設定ビットレートを算出し、算出された前記設定ビットレートを対応する前記カメラに送信して、設定させる、カメラ制御システムを提供する。
【0007】
また、本開示は、それぞれ所定の初期ビットレートが設定されたN(N:2以上の整数)台のカメラとの間で通信可能に接続されたコンピュータが行うカメラ制御方法であって、前記N台のカメラのそれぞれにより撮像された撮像画像と前記カメラのパラメータとに基づいて、ビットレートを上げるカメラの優先度を前記カメラごとに決定し、決定された前記優先度に基づいて、前記優先度が大きい順に前記N台のカメラのそれぞれの並び替えを実行し、[i(i:0≦i≦N/2を満たす整数)+1]番目のカメラの優先度と[N-i]番目のカメラの優先度とに基づいて、前記[i+1]番目のカメラの設定ビットレートを算出するための係数を決定し、前記[i+1]番目のカメラの初期ビットレートと前記係数とに基づいて、前記[i+1]番目のカメラの設定ビットレートと、前記[i+1]番目のカメラのビットレートの増加分とを算出し、前記[N-i]番目のカメラの初期ビットレートから前記増加分を減算して、前記[N-i]番目のカメラの設定ビットレートを算出し、算出された前記設定ビットレートを対応する前記カメラに送信して、設定させる、カメラ制御方法を提供する。
【0008】
また、本開示は、それぞれ所定の初期ビットレートが設定されたN(N:2以上の整数)台のカメラとの間で通信可能に接続されたコンピュータである端末装置に、前記N台のカメラのそれぞれにより撮像された撮像画像と前記カメラのパラメータとに基づいて、ビットレートを上げるカメラの優先度を前記カメラごとに決定するステップと、決定された前記優先度に基づいて、前記優先度が大きい順に前記N台のカメラのそれぞれの並び替えを実行するステップと、[i(i:0≦i≦N/2を満たす整数)+1]番目のカメラの優先度と[N-i]番目のカメラの優先度とに基づいて、前記[i+1]番目のカメラの設定ビットレートを算出するための係数を決定するステップと、前記[i+1]番目のカメラの初期ビットレートと前記係数とに基づいて、前記[i+1]番目のカメラの設定ビットレートと、前記[i+1]番目のカメラのビットレートの増加分とを算出するステップと、前記[N-i]番目のカメラの初期ビットレートから前記増加分を減算して、前記[N-i]番目のカメラの設定ビットレートを算出するステップと、算出された前記設定ビットレートを対応する前記カメラに送信して、設定させるステップと、を実現させるための、カメラ制御プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、カメラごとのビットレート自動設定を効率的に行い、カメラの撮像画像の画質をより適応的に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係るカメラ制御システムの内部構成例を示すブロック図
【
図2】実施の形態1における端末装置の第1の動作手順例を示すフローチャート
【
図3】実施の形態1における2台のカメラのそれぞれの優先度決定手順例を示すフローチャート
【
図4】検知物体数(人数)に基づくカメラの優先度決定の一例を説明する図
【
図5】検知物体数(車両)に基づくカメラの優先度決定の一例を説明する図
【
図6】実施の形態1における2台のカメラのそれぞれの優先度決定手順例を示すフローチャート
【
図7】検知物体面積に基づく優先度決定の一例を説明する図
【
図8】優先度に基づく設定ビットレートテーブル一例を示す図
【
図9】時間帯に基づく優先度テーブルの一例を示す図
【
図10】実施の形態1における端末装置の第2の動作手順例を示すフローチャート
【
図11】量子化パラメータ値の差分に基づく設定ビットレートテーブルの一例を示す図
【
図12】実施の形態1の変形例における端末装置の第3の動作手順例を示すフローチャート
【
図13】実施の形態1の変形例における端末装置の第3の動作手順例を示すフローチャート
【
図14】N台のカメラのそれぞれの優先度に基づく設定ビットレートテーブルの一例を示す図
【
図15】実施の形態1の変形例における端末装置の第4の動作手順例を示すフローチャート
【
図16】実施の形態1の変形例における端末装置の第4の動作手順例を示すフローチャート
【
図17】N台のカメラの量子化パラメータ値の差分に基づく設定ビットレートテーブルの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係るカメラ制御システム、カメラ制御方法およびカメラ制御プログラムの構成および作用を具体的に開示した各実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るカメラ制御システム100の内部構成例を示すブロック図である。カメラ制御システム100は、少なくとも2台のカメラのそれぞれにより撮像されて送信される映像データの合計ビットレートが、2台のカメラのそれぞれとこれらのカメラの映像データを録画するレコーダ、あるいは映像データを表示する端末装置との間で通信可能な最大ビットレートを超えないように制御するシステムである。カメラ制御システム100は、少なくとも2台のカメラCM1,CM2,…のそれぞれと、少なくとも1台の端末装置P1と、レコーダRDと、を含んで構成される。
【0013】
なお、実施の形態1に係るカメラ制御システム100は、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれを含んで構成される例について説明する。また、実施の形態1の変形例に係るカメラ制御システム100は、3台以上のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれを含んで構成される例について説明する。3台以上のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの構成は、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの構成と同様である。
【0014】
なお、以下で説明するカメラ制御システム100は、端末装置P1が設定ビットレートを算出する例を示す。しかし、設定ビットレートを算出処理は、端末装置P1に限定されず、レコーダRDにより実行されてもよいし、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれのうちマスターカメラとして設定されたいずれか1台のカメラにより実行されてもよい。
【0015】
2台のカメラCM1,CM2のそれぞれは、レコーダRDおよび端末装置P1との間でデータ通信可能に接続される。2台のカメラCM1,CM2のそれぞれは、監視エリアを撮像し、レコーダRDに撮像された撮像映像を送信してカメラごとに録画させるとともに、端末装置P1に撮像された撮像映像を送信して表示させる。2台のカメラCM1,CM2のそれぞれは、通信部10と、プロセッサ11と、メモリ12と、撮像部13と、を含んで構成される。
【0016】
通信部10は、レコーダRDおよび端末装置P1との間でデータ通信可能に接続される。なお、通信部10は、レコーダRDおよび端末装置P1との間で有線通信可能に接続されてよいし、無線LANなどの無線ネットワークを介して接続されてもよい。ここでいう無線通信は、例えばBluetooth(登録商標)、NFC(登録商標)などの近距離無線通信、またはWi-Fi(登録商標)などの無線LAN(Local Area Network)を介した通信である。
【0017】
プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成され、メモリ12と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、プロセッサ11はメモリ12に保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。なお、ここでいう機能は、撮像された撮像画像から対象物(例えば、人物、車両、二輪車、動体等)を検知する機能、対象物を含む領域の総面積を算出する機能等である。
【0018】
プロセッサ11は、撮像部13により撮像された撮像画像からユーザにより事前に設定された対象物(例えば、人物、車両、二輪車、動体等)の数(以降、「検知物体数」と表記)を検知したり、検知された対象物を含む領域の総面積(以降、「検知物体面積」と表記)を算出したり、撮像画像の明度を検知したりする。プロセッサ11は、現在のカメラに設定されているビットレートあるいは量子化パラメータ値の情報と、検知物体数、検知物体面積、あるいは明度等の情報と、撮像画像が撮像された日時情報と、各カメラを識別可能なカメラの識別情報とを対応付けた検知情報を生成する。このような場合、プロセッサ11は、生成された検知情報と、撮像部13により撮像された撮像画像(撮像映像データ)とを対応付けて、レコーダRDあるいは端末装置P1に送信する。
【0019】
また、プロセッサ11は、端末装置P1あるいはレコーダRDから送信された設定ビットレートの情報に基づいて、カメラCM1,CM2のそれぞれのビットレートを変更したり、変更後のビットレートに基づく量子化パラメータ値の変更を行ったりする。
【0020】
メモリ12は、例えばプロセッサ11の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAM(Random Access Memory)と、プロセッサ11の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROM(Read Only Memory)とを有する。RAMには、プロセッサ11により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、プロセッサ11の動作を規定するプログラムが書き込まれている。メモリ12は、撮像部13によって撮像された撮像画像、初期ビットレート等を記憶する。
【0021】
撮像部13は、少なくともレンズ(不図示)とイメージセンサ(不図示)とを有して構成される。イメージセンサは、例えばCCD(Charged-Coupled Device)あるいはCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)等の固体撮像素子であり、撮像面に結像した光学像を電気信号に変換する。撮像部13は、撮像された撮像画像をプロセッサ11に出力する。
【0022】
レコーダRDは、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれ、および端末装置P1との間でデータ通信可能に接続される。レコーダRDは、例えばHDD(Hard Disk Drive)あるいはSSD(Solid State Drive)を用いて構成され、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれから送信された撮像映像データを、カメラごとに録画する。
【0023】
なお、レコーダRDは、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの設定ビットレートの算出および設定制御を実行する場合、以下で説明する通信部20、プロセッサ21およびメモリ22のそれぞれを含んで構成され、後述する端末装置P1により実行される第1~第4の動作手順を実行する。
【0024】
通信部20は、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれ、および端末装置P1との間でデータの送受信を行うための通信インターフェース回路を用いて構成される。通信部20は、プロセッサ21によって出力されたカメラごとの設定ビットレートを対応するカメラに送信する。
【0025】
プロセッサ21は、例えばCPUまたはFPGAを用いて構成され、メモリ22と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、プロセッサ21はメモリ22に保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。
【0026】
メモリ22は、例えばプロセッサ21の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAMと、プロセッサ21の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROMとを有する。RAMには、プロセッサ21により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、プロセッサ21の動作を規定するプログラムが書き込まれている。メモリ22は、各カメラに設定された初期ビットレート等を記憶する。
【0027】
端末装置P1は、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれ、およびレコーダRDとの間でデータ通信可能に接続される。端末装置P1は、例えば、PC(Personal Computer)、ノートPC、タブレット端末、スマートフォン等により実現され、ユーザの入力操作を受け付け可能なインターフェース(例えば、キーボード,マウス,タッチパネルディスプレイ等)を備える。端末装置P1は、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれから送信された撮像映像データを表示したり、レコーダRDに録画された撮像映像データを表示したりする。また、端末装置P1は、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの設定ビットレートを算出して、すべてのカメラのそれぞれのビットレート制御を実行する。端末装置P1は、通信部30と、プロセッサ31と、メモリ32と、モニタ33と、を含んで構成される。
【0028】
通信部30は、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれ、およびレコーダRDとの間でデータの送受信を行うための通信インターフェース回路を用いて構成される。通信部30は、プロセッサ31によって出力されたカメラごとの設定ビットレートを対応するカメラに送信する。
【0029】
プロセッサ31は、例えばCPUまたはFPGAを用いて構成されて、メモリ32と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、プロセッサ31はメモリ32に保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。
【0030】
メモリ32は、例えばプロセッサ31の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAMと、プロセッサ31の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROMとを有する。RAMには、プロセッサ31により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、プロセッサ31の動作を規定するプログラムが書き込まれている。メモリ32は、各カメラに設定された初期ビットレート等を記憶する。
【0031】
モニタ33は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)または有機EL(Electroluminescence)等のディスプレイを用いて構成される。モニタ33は、2台のカメラCM1,CM2あるいはレコーダRDから送信された撮像映像データを表示する。
【0032】
次に、
図2を参照して、実施の形態1における端末装置P1の第1の動作手順例について説明する。
図2は、実施の形態1における端末装置P1の第1の動作手順例を示すフローチャートである。なお、
図2に示す動作手順は、マスターカメラあるいはレコーダRDにより実行されてもよい。また、以下で説明する端末装置P1の第1の動作手順は、説明を分かり易くするために「カメラ1」がカメラCM1であり、「カメラ2」がカメラCM2である例について説明する。
【0033】
端末装置P1は、カメラCM1(
図2に示す「カメラ1」)が撮像、あるいは撮像映像の配信を開始するタイミングで、カメラCM1に初期ビットレートの情報を送信して、設定させる(St11)。また、端末装置P1は、カメラCM2(
図2に示す「カメラ2」)が撮像、あるいは撮像映像の配信を開始するタイミングで、カメラCM2に初期ビットレートの情報を送信して、設定させる(St12)。なお、ここで2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの初期ビットレートの合計値は、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれとこれらのカメラCM1,CM2のそれぞれの映像データを録画するレコーダRD、あるいは映像データを表示する端末装置P1との間で通信可能な最大ビットレート以下の値である。
【0034】
端末装置P1は、カメラCM1から送信された検知情報(例えば、検知された検知物体数の情報、検知物体面積の情報等)を取得する(St13)。端末装置P1は、カメラCM2から送信された検知情報(例えば、検知された検知物体数の情報、検知物体面積の情報等)を取得する(St14)。なお、ステップSt13,ステップSt14のそれぞれの処理のタイミングは同時でなくてよい。
【0035】
端末装置P1は、取得されたカメラCM1,CM2のそれぞれの検知情報に基づいて、カメラCM1の優先度を決定する処理(St151)と、カメラCM2の優先度を決定する処理(St152)とを実行する。
【0036】
端末装置P1は、ステップSt151~ステップSt152のそれぞれの処理で決定された2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの優先度に基づいて、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの設定ビットレートを算出する。端末装置P1は、算出された2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの設定ビットレートの情報を対応するカメラに送信して、設定させる(St16)。なお、ステップSt16の設定ビットレートの情報の算出処理は、後述する
図8で具体例を用いて詳細に説明する。
【0037】
端末装置P1は、カメラCM1,CM2のそれぞれから撮像映像データの配信が継続されているか否かを判定する(St17)。端末装置P1は、ステップSt17の処理において、カメラCM1,CM2のそれぞれから撮像映像データの配信が継続されていると判定した場合(St17,YES)、ステップSt13の処理に戻る。一方、端末装置P1は、ステップSt17の処理において、カメラCM1,CM2のそれぞれから撮像映像データの配信が継続されていないと判定した場合(St17,NO)、これら2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの設定ビットレートの制御動作を終了する。
【0038】
ここで、
図3を参照して、検知情報に対象物の数の情報が含まれる場合における2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの優先度の決定手順(つまり、
図2に示すステップSt15A,St15Bのそれぞれの処理)について説明する。
図3は、実施の形態1における2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの優先度決定手順例を示すフローチャートである。なお、
図3に示す優先度の決定手順は一例であり、これに限定されなくてよい。また、
図3に示す優先度の値は、一例であってこれに限定されない。
【0039】
端末装置P1は、カメラから取得された検知情報から検知物体数の情報を抽出する(St15-1)。
【0040】
端末装置P1は、検知物体数が物体数A1以上であるか否かを判定する(St15-2)。端末装置P1は、ステップSt15-2の処理で検知物体数が物体数A1以上であると判定した場合(St15-2,YES)、このカメラの優先度を3に設定する(St15-3)。
【0041】
一方、端末装置P1は、ステップSt15-2の処理において、検知物体数が物体数A1以上でないと判定した場合(St15-2,NO)、さらに、検知物体数が物体数A1未満、かつ、物体数A2以上であるか否かを判定する(St15-4)。端末装置P1は、ステップSt15-4の処理において、検知物体数が物体数A1未満、かつ、物体数A2以上であると判定した場合(St15-4,YES)、このカメラの優先度を2に設定する(St15-5)。
【0042】
一方、端末装置P1は、ステップSt15-4の処理において、検知物体数が物体数A1未満、かつ、物体数A2以上でないと判定した場合(St15-4,NO)、さらに、検知物体数が物体数A2未満、かつ、物体数A3以上であるか否かを判定する(St15-6)。端末装置P1は、ステップSt15-6の処理において、検知物体数が物体数A2未満、かつ、物体数A3以上であると判定した場合(St15-6,YES)、このカメラの優先度を1に設定する(St15-7)。
【0043】
一方、端末装置P1は、ステップSt15-6の処理において、検知物体数が物体数A2未満、かつ、物体数A3以上でないと判定した場合(St15-6,NO)、このカメラの優先度=0に設定する(St15-8)。
【0044】
以上により、端末装置P1は、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの優先度を決定する。ここで、
図4および
図5を参照して、検知物体数と優先度との関係性について、具体例を用いて説明する。
図4は、検知物体数(人数)に基づくカメラの優先度決定の一例を説明する図である。
図5は、検知物体数(車両)に基づくカメラの優先度決定の一例を説明する図である。なお、
図4および
図5に示す検知物体数および優先度の値は、一例であってこれに限定されないことは言うまでもない。
【0045】
図4は、検知される対象物が人物であって、かつ、検知物体数に基づいて決定されるカメラCM1,CM2のそれぞれの優先度一覧を示す。
図4に示す撮像画像CI11は、5人の人物が撮像された画像例である。撮像画像CI12は、4人の人物が撮像された画像例である。撮像画像CI13は、3人の人物が撮像された画像例である。撮像画像CI14は、2人の人物が撮像された画像例である。撮像画像CI15は、1人の人物が撮像された画像例である。撮像画像CI16は、0人の人物が撮像された画像例である。
【0046】
カメラCM1,CM2のそれぞれは、撮像画像に映る対象物である人物を検知して、検知結果として検知物体数の情報を含む検知情報を生成して、端末装置P1に送信する。例えば、カメラCM1,CM2のそれぞれは、撮像画像CI11を撮像した場合には、検知物体数が5人である旨の検知情報を生成し、撮像画像CI12を撮像した場合には、検知物体数が4人である旨の検知情報を生成し、撮像画像CI13を撮像した場合には、検知物体数が3人である旨の検知情報を生成し、撮像画像CI14を撮像した場合には、検知物体数が2人である旨の検知情報を生成し、撮像画像CI15を撮像した場合には、検知物体数が1人である旨の検知情報を生成し、撮像画像CI16を撮像した場合には、検知物体数が0(ゼロ)人である旨の検知情報を生成する。
【0047】
なお、撮像画像CI11~CI16のそれぞれは、説明を分かり易くするために、検知された人物に枠線を重畳し、検知された人物ごとにIDを付与した画像例を示しているが、枠線およびIDは必須でなく省略されてよいことは言うまでもない。検知物体数の情報は、単に検知物体数を示す数字であってよい。
【0048】
図4に示す例において端末装置P1は、カメラから取得された検知対象物体数が5人(つまり、
図3に示す例において物体数A1=5)以上である場合には、優先度=3を設定し、検知対象物体数が3~4人(つまり、
図3に示す例において、物体数A1=5、物体数A2=3)である場合には、優先度=2を設定し、検知対象物体数が1~2人(つまり、
図3に示す例において、物体数A2=3、物体数A3=1)である場合には、優先度=1を設定し、検知対象物体数が0(ゼロ)人である場合には、優先度=0(ゼロ)を設定する。
【0049】
また、
図5は、検知対象が動体である車両であって、かつ、検知物体数に基づいて決定されるカメラCM1,CM2のそれぞれの優先度一覧を示す。
図5に示す撮像画像CI21は、18台の車両が撮像された画像例である。撮像画像CI22は、6台の車両が撮像された画像例である。撮像画像CI23は、3台の車両が撮像された画像例である。撮像画像CI24は、0(ゼロ)台の車両が撮像された画像例である。
【0050】
カメラCM1,CM2のそれぞれは、撮像画像に映る対象物である車両を検知し、検知結果として検知物体数の情報を含む検知情報を生成して、端末装置P1に送信する。例えば、カメラCM1,CM2のそれぞれは、撮像画像CI21を撮像した場合には、検知物体数が18台である旨の検知情報を生成し、撮像画像CI22を撮像した場合には、検知物体数が6台である旨の検知情報を生成し、撮像画像CI23を撮像した場合には、検知物体数が3台である旨の検知情報を生成し、撮像画像CI21を撮像した場合には、検知物体数が0台である旨の検知情報を生成する。
【0051】
図4に示す例において端末装置P1は、カメラから取得された検知対象物体数が10台以上(つまり、
図3に示す例において物体数A1=10)以上である場合には、優先度=3を設定し、検知対象物体数が5~9台(つまり、
図3に示す例において、物体数A1=10、物体数A2=5)である場合には、優先度=2を設定し、検知対象物体数が1~4台(つまり、
図3に示す例において、物体数A2=5、物体数A3=1)である場合には、優先度=1を設定し、検知対象物体数が0(ゼロ)台である場合には、優先度=0(ゼロ)を設定する。
【0052】
これにより、実施の形態1における端末装置P1は、検知物体数(つまり、検知すべき対象物の数)が多いカメラの優先度をより高く設定できる。
【0053】
ここで、
図6を参照して、検知情報に対象物の面積の情報が含まれる場合における2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの優先度の決定手順(つまり、
図2に示すステップSt15A,St15Bのそれぞれの処理)について説明する。
図6は、実施の形態1における2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの優先度決定手順例を示すフローチャートである。なお、
図6に示す優先度の決定手順は一例であり、これに限定されなくてよい。また、
図6に示す優先度の値は、一例であってこれに限定されなくてよい。
【0054】
端末装置P1は、カメラから取得された検知情報から検知物体面積の情報を抽出する(St15-9)。
【0055】
端末装置P1は、検知物体面積が物体面積B1以上であるか否かを判定する(St15-10)。端末装置P1は、ステップSt15-10の処理で検知物体面積が物体面積B1以上であると判定した場合(St15-10,YES)、このカメラの優先度を3に設定する(St15-11)。
【0056】
一方、端末装置P1は、ステップSt15-10の処理において、検知物体面積が物体面積B1以上でないと判定した場合(St15-10,NO)、さらに、検知物体面積が物体面積B1未満、かつ、物体面積B2以上であるか否かを判定する(St15-12)。端末装置P1は、ステップSt15-12の処理において、検知物体面積が物体面積B1未満、かつ、物体面積B2以上であると判定した場合(St15-12,YES)、このカメラの優先度を2に設定する(St15-13)。
【0057】
一方、端末装置P1は、ステップSt15-12の処理において、検知物体面積が物体面積B1未満、かつ、物体面積B2以上でないと判定した場合(St15-12,NO)、さらに、検知物体があるか否か(つまり、対象物が検知されたか否か)を判定する(St15-14)。端末装置P1は、ステップSt15-14の処理において、検知物体があると判定した場合(St15-14,YES)、このカメラの優先度を1に設定する(St15-15)。
【0058】
一方、端末装置P1は、ステップSt15-14の処理において、検知物体がないと判定した場合(St15-14,NO)、このカメラの優先度=0(ゼロ)に設定する(St15-16)。
【0059】
以上により、端末装置P1は、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの優先度を決定する。ここで、
図7を参照して、検知物体面積と優先度との関係性について、具体例を用いて説明する。
図7は、検知物体面積に基づく優先度決定の一例を説明する図である。なお、
図7に示す検知物体面積および優先度の値は、一例であってこれに限定されないことは言うまでもない。また、
図7では、検知物体面積は、カメラCM1,CM2のそれぞれの画角に対する検知されたすべて対象物のそれぞれの検知範囲(領域)が占める割合を示す例について説明するが、単に検知されたすべての対象物のそれぞれの検知範囲(領域)の合計面積であってもよい。
【0060】
図7は、検知される対象物が人物であって、かつ、検知物体面積に基づいて決定されるCM1,CM2のそれぞれの優先度一覧を示す。
図7に示す撮像画像CI31は、識別情報「ID=1」が付与された1人の人物が撮像された画像例であり、「ID=1」の人物を含む検知範囲(領域)を示す枠線FR31が重畳されている。撮像画像CI32は、識別情報「ID=1」が付与された人物と、識別情報「ID=2」が付与された人物とが撮像された画像例であり、「ID=1」の人物を含む検知範囲(領域)を示す枠線FR32と、「ID=2」の人物を含む検知範囲(領域)を示す枠線FR33とが重畳されている。撮像画像CI33は、識別情報「ID=1」が付与された1人の人物が撮像された画像例であり、「ID=1」の人物を含む検知範囲(領域)を示す枠線FR34が重畳されている。撮像画像CI34は、識別情報「ID=1」が付与された1人の人物が撮像された画像例であり、「ID=1」の人物を含む検知範囲(領域)を示す枠線FR35が重畳されている。撮像画像CI35は、人物が映っていない画像例である。
【0061】
カメラCM1,CM2のそれぞれは、撮像画像に映る対象物である人物を検知して、検知された人物ごとの検知範囲(領域)に基づいて、検知物体面積を算出する。カメラCM1,CM2のそれぞれは、検知結果として算出された検知物体面積の情報を含む検知情報を生成して、端末装置P1に送信する。なお、撮像画像CI31~CI35のそれぞれは、説明を分かり易くするために、検知された人物に枠線を重畳し、検知された人物ごとにIDを付与した画像例を示しているが、枠線およびIDは必須でなく省略されてよいことは言うまでもない。検知物体数の情報は、単に検知物体数を示す数字であってよい。
【0062】
ここで、カメラCM1,CM2のそれぞれの画角が1920px×1080pxである場合における撮像画像CI31~IC35のそれぞれの検知物体面積の算出例について説明する。例えば、カメラCM1,CM2のそれぞれは、撮像画像CI31を撮像した場合、この撮像画像CI31に映る識別情報「ID=1」が付与された人物の面積が360px×900px=324000pxである場合、撮像画像CI31の検知物体面積が15.6%であると算出する。
【0063】
カメラCM1,CM2のそれぞれは、撮像画像CI32に映る識別情報「ID=1」が付与された人物の面積が300px×720px=216000pxであり、識別情報「ID=2」が付与された人物の面積が192px×540px=103680pxである場合、撮像画像CI32の検知物体面積が15.4%であると算出する。
【0064】
カメラCM1,CM2のそれぞれは、撮像画像CI33を撮像した場合、この撮像画像CI33に映る識別情報「ID=1」が付与された人物の面積が300px×720px=216000pxである場合、撮像画像CI33の検知物体面積が10.4%であると算出する。
【0065】
カメラCM1,CM2のそれぞれは、撮像画像CI34を撮像した場合、この撮像画像CI34に映る識別情報「ID=1」が付与された人物の面積が120px×360px=43200pxである場合、撮像画像CI34の検知物体面積が2.1%であると算出する。
【0066】
カメラCM1,CM2のそれぞれは、撮像画像CI35を撮像した場合、この撮像画像CI35に映る人物を検知できないため、撮像画像CI35の検知物体面積が0(ゼロ)%であると算出する。
【0067】
図7に示す例において端末装置P1は、カメラから取得された検知対象面積が15%(つまり、
図6に示す例において物体面積B1=15)以上である場合には、優先度=3を設定し、検知対象面積が5%以上15%未満(つまり、
図6に示す例において、物体面積B1=15、物体面積B2=5)である場合には、優先度=2を設定し、検知物体(つまり、検知された対象物)があり、かつ、検知対象面積が5%未満である場合には、優先度=1を設定し、検知物体(つまり、検知された対象物)がない場合には、優先度=0(ゼロ)を設定する。
【0068】
これにより、実施の形態1における端末装置P1は、検知物体面積(つまり、検知すべき対象物の合計面積)が多いカメラの優先度をより高く設定できる。
【0069】
次に、
図8を参照して、
図2に示すステップSt16の処理で実行される各カメラの設定ビットレートの算出例について説明する。
図8は、優先度に基づく設定ビットレートテーブルTB11の一例を示す図である。なお、
図8に示す優先度および設定ビットレートの算出に使用される各係数の値はこれに限定されなくてよいことは言うまでもない。また、
図8に示す「カメラ1」はカメラCM1である。同様に、
図8に示す「カメラ2」はカメラCM2である。
【0070】
端末装置P1は、
図2に示すステップSt15A,St15Bのそれぞれの処理で決定された2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの優先度と、設定ビットレートテーブルTB11とに基づいて、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれに設定される設定ビットレートを算出する。
【0071】
端末装置P1は、決定された2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの優先度が同値である場合、カメラCM1の設定ビットレートをカメラCM1の初期ビットレートに、カメラCM2の設定ビットレートをカメラCM2の初期ビットレートに決定する。
【0072】
また、端末装置P1は、決定された2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの優先度が同値でない場合、優先度の大小あるいは差分に基づいて、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの設定ビットレートを算出する。端末装置P1は、優先度が大きい方のカメラの初期ビットレートに所定の係数を乗じて、優先度が大きい方のカメラの設定ビットレートを算出する。また、端末装置P1は、優先度が小さい方のカメラの初期ビットレートと、優先度が大きい方のカメラの初期ビットレート値から算出された設定ビットレートへの増加分と、の差分に基づいて、優先度が小さい方のカメラの設定ビットレートを算出する。
【0073】
具体的に、端末装置P1は、決定されたカメラCM1の優先度が「3」,カメラCM2の優先度が「2」である場合、カメラCM1の初期ビットレートに係数「1.05」を乗じてカメラCM1の設定ビットレートを算出する。端末装置P1は、カメラCM1の初期ビットレートから算出されたカメラCM1の設定ビットレートを減算して、カメラCM1におけるビットレートの増加分を算出する。端末装置P1は、カメラCM2の初期ビットレートから算出された増加分を減算して、カメラCM2の設定ビットレートを算出する。
【0074】
一方、端末装置P1は、決定されたカメラCM1の優先度が「2」,カメラCM2の優先度が「3」である場合、カメラCM2の初期ビットレートに係数「1.05」を乗じてカメラCM2の設定ビットレートを算出する。端末装置P1は、カメラCM2の初期ビットレートから算出されたカメラCM2の設定ビットレートを減算して、カメラCM2におけるビットレートの増加分を算出する。端末装置P1は、カメラCM1の初期ビットレートから算出された増加分を減算して、カメラCM1の設定ビットレートを算出する。
【0075】
同様にして、端末装置P1は、決定されたカメラCM1の優先度とカメラCM2の優先度の大小関係、優先度の差分等に基づいて、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの設定ビットレートを算出する。
【0076】
以上により、端末装置P1は、対象物の検知を行う2台のカメラCM1,CM2のそれぞれに設定される設定ビットレートを、対象物の検知状況(つまり、検知物体数、検知物体面積等)に基づいて、より適応的に算出して設定できる。これにより、実施の形態1に係るカメラ制御システム100は、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれと、レコーダRDあるいは端末装置P1との間で通信可能な最大ビットレートを超えないように、かつ、対象物の監視あるいは検知に必要となるカメラの画質を制御できる。
【0077】
次に、
図9を参照して、優先度の他の決定方法として、時間帯に基づく優先度の決定方法について説明する。
図9は、時間帯に基づく優先度テーブルTB12の一例を示す図である。また、
図9では説明を分かり易くするために、カメラCM1が屋内に設置された「カメラ1」であり、カメラCM2が屋外に設置された「カメラ2」である例について説明する。
【0078】
優先度テーブルTB12は、ユーザにより事前に設定された、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの時間帯ごとの優先度を示すテーブルである。優先度テーブルTB12は、一例として、昼間の時間帯では屋内に設置されたカメラCM1の優先度が高くなり、夜間の時間帯では屋外に設置されたカメラCM2の優先度が高くなるように設定される。
【0079】
図9に示す例における端末装置P1は、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの検知情報に含まれ、撮像画像が撮像された日時情報と、事前に設定された時間帯ごとの2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの優先度を示す優先度テーブルTB12とに基づいて、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの優先度を参照する。端末装置P1は、優先度テーブルTB12に記憶された2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの優先度と、
図8に示す設定ビットレートテーブルTB11とに基づいて、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの設定ビットレートを算出する。
【0080】
これにより、実施の形態1に係るカメラ制御システム100は、例えば2台のカメラCM1,CM2のそれぞれが会社の建物の屋内外にそれぞれ設置され、対象物である人物を監視する場合に、朝の時間帯(例えば、7時~9時)でカメラCM1の優先度を向上させて出社してくる人物をより高画質で撮像可能にする。カメラ制御システム100は、昼間の時間帯(例えば、9時~12時、および13時~18時)でカメラCM2の優先度を低下させることにより、カメラCM1の優先度を向上させることで、建物内の人物をより高画質で撮像可能にする。また、カメラ制御システム100は、夜間から朝までの時間帯(例えば、22時~7時)で、カメラCM1の優先度を低下させることにより、カメラCM2の優先度を向上させることで、建物に侵入する人物(侵入者等)をより高画質で撮像可能にする。
【0081】
ここで、設定ビットレートは、2つ以上の指標(ここでいう指標は、優先度の決定に用いられる時間帯、検知物体数および検知物体面積等の指標)を組み合わせて算出されてもよい。端末装置P1は、例えば、カメラから取得された検知物体面積に基づいて算出された設定ビットレートと時間帯により算出される設定ビットレートとを乗じて算出されてもよい。さらに、端末装置P1は、2つ以上の条件を組み合わせて優先度を決定してもよい。端末装置P1は、各指標に基づいて決定された優先度の平均値、合計値等に基づいて、設定ビットレートの算出を行ってもよい。同様に、端末装置P1は、検知物体数および検知物体面積に基づいて優先度を決定してもよいし、時間帯および検知物体数に基づいて優先度を決定してもよいし、時間帯、検知物体数および検知物体面積に基づいて優先度を決定してもよい。
【0082】
以下、2つ以上の指標として、時間帯と所定の検知情報とを組み合わせた場合のカメラCM1の設定ビットレートの算出例について説明する。なお、ここで説明するカメラCM1の設定ビットレートの算出例において、時間帯は「9時」とする。
【0083】
端末装置P1は、1つ目の指標である時間帯に基づく優先度テーブルTB12(
図9参照)を参照して、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの優先度を決定する。時間帯「9時」における優先度は、カメラCM1が「3」であり、カメラCM2が「0」である。端末装置P1は、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの優先度と、設定ビットレートテーブルTB11(
図8参照)とに基づいて、カメラCM1の初期ビットレートに係数「1.30」を乗じて、カメラCM1の設定ビットレートを算出する。
【0084】
また、端末装置P1は、2つ目の指標である所定の検知情報に基づいて、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの優先度を決定する。ここで、優先度は、カメラCM1を「3」とし、カメラCM2を「1」とする。端末装置P1は、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの優先度と、設定ビットレートテーブルTB11(
図8参照)とに基づいて、1つ目の指標に基づいて算出されたカメラCM1の第1の設定ビットレート(=カメラCM1の初期ビットレート×1.30)に係数「1.15」を乗じて、カメラCM1の設定ビットレートを算出する。
【0085】
図2~
図9で説明した端末装置P1の第1の動作手順は、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれから送信された検知情報に含まれる検知物体数あるいは検知物体面積の情報に基づいて、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの優先度および設定ビットレートのそれぞれを算出する例について説明した。
図10~
図11で説明する端末装置P1の第2の動作手順は、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれから送信された検知情報に含まれる量子化パラメータ値の情報に基づいて、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの優先度および設定ビットレートのそれぞれを算出する例について説明する。
【0086】
図10は、実施の形態1における端末装置P1の第2の動作手順例を示すフローチャートである。なお、
図10に示す動作手順は、マスターカメラあるいはレコーダRDにより実行されてもよい。また、以下で説明する端末装置P1の第2の動作手順は、説明を分かり易くするために「カメラ1」がカメラCM1であり、「カメラ2」がカメラCM2である例について説明する。
【0087】
端末装置P1は、カメラCM1(
図10に示す「カメラ1」)が撮像、あるいは撮像映像の配信を開始するタイミングで、カメラCM1に初期ビットレートの情報を送信して、設定させる(St21)。また、端末装置P1は、カメラCM2(
図2に示す「カメラ2」)が撮像、あるいは撮像映像の配信を開始するタイミングで、カメラCM2に初期ビットレートの情報を送信して、設定させる(St22)。なお、ここで2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの初期ビットレートの合計値は、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれとこれらのカメラCM1,CM2のそれぞれの映像データを録画するレコーダRD、あるいは映像データを表示する端末装置P1との間で通信可能な最大ビットレート以下の値である。
【0088】
端末装置P1は、カメラCM1から送信され、検知情報に含まれる量子化パラメータ値の情報を取得する(St23)。端末装置P1は、カメラCM2から送信され、検知情報に含まれる量子化パラメータ値の情報を取得する(St24)。なお、ステップSt23,ステップSt24のそれぞれの処理のタイミングは同時でなくてよい。
【0089】
端末装置P1は、取得された2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの量子化パラメータ値の情報に基づいて、カメラCM1の量子化パラメータ値とカメラCM2の量子化パラメータ値との差分を算出する(St25)。端末装置P1は、算出された差分に基づいて、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの設定ビットレートを算出する。端末装置P1は、算出された2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの設定ビットレートの情報を対応するカメラに送信して、設定させる(St26)。
【0090】
端末装置P1は、カメラCM1,CM2のそれぞれから撮像映像データの配信が継続されているか否かを判定する(St27)。端末装置P1は、ステップSt27の処理において、カメラCM1,CM2のそれぞれから撮像映像データの配信が継続されていると判定した場合(St27,YES)、ステップSt23の処理に戻る。一方、端末装置P1は、ステップSt27の処理において、カメラCM1,CM2のそれぞれから撮像映像データの配信が継続されていないと判定した場合(St27,NO)、これら2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの設定ビットレートの制御動作を終了する。
【0091】
次に、
図11を参照して、
図10に示すステップSt26の処理で実行される各カメラの設定ビットレートの算出例について説明する。
図11は、量子化パラメータ値の差分に基づく設定ビットレートテーブルTB21の一例を示す図である。なお、
図11に示す優先度および設定ビットレートの算出に使用される各係数の値はこれに限定されなくてよいことは言うまでもない。また、
図11に示す「カメラ1」はカメラCM1である。同様に、
図11に示す「カメラ2」はカメラCM2である。
【0092】
端末装置P1は、
図10に示すステップSt25の処理で算出された2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの量子化パラメータ値の差分に基づいて、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれに設定される設定ビットレートを算出する。なお、
図11に示す差分は、カメラCM1の量子化パラメータ値からカメラCM2の量子化パラメータ値を減算した値である。
【0093】
具体的に、端末装置P1は、算出された差分が20以上の場合(つまり、カメラCM1の量子化パラメータ値の方がカメラCM2の量子化パラメータ値よりも大きい場合)、カメラCM1の現在設定されている設定ビットレート、あるいは前回設定された設定ビットレート(以降、「現行ビットレート」と表記)に係数「1.50」を乗じてカメラCM1の設定ビットレートを算出する。端末装置P1は、カメラCM1の現行ビットレートから算出されたカメラCM1の設定ビットレートを減算してカメラCM1におけるビットレートの増加分を算出する。端末装置P1は、カメラCM2の現行ビットレートから算出された増加分を減算して、カメラCM2の設定ビットレートを算出する。
【0094】
一方、端末装置P1は、算出された差分が-20以下の場合(つまり、カメラCM1の量子化パラメータ値の方がカメラCM2の量子化パラメータ値よりも小さい場合)、カメラCM2の現行ビットレートに係数「1.50」を乗じてカメラCM2の設定ビットレートを算出する。端末装置P1は、カメラCM2の現行ビットレートから算出されたカメラCM2の設定ビットレートを減算してカメラCM2におけるビットレートの増加分を算出する。端末装置P1は、カメラCM1の現行ビットレートから算出された増加分を減算して、カメラCM1の設定ビットレートを算出する。
【0095】
量子化パラメータ値は、大きくなるほど撮像映像データの圧縮率が高くなる。つまり、量子化パラメータ値が大きい場合、カメラにより撮像される撮像映像データの画質は低画質となる。
【0096】
図11に示す設定ビットレートテーブルTB21は、差分が正(プラス)の場合、カメラCM1の方がカメラCM2よりも低画質であることを示す。したがって、端末装置P1は、差分が正(プラス)の場合、カメラCM1をより高画質で撮像させるために、カメラCM1の設定ビットレートを上げてカメラCM2の設定ビットレートを下げる制御を実行する。
【0097】
一方、
図11に示す設定ビットレートテーブルTB21は、差分が負(マイナス)の場合、カメラCM1の方がカメラCM2よりも高画質であることを示す。したがって、端末装置P1は、差分が負(マイナス)の場合、カメラCM2をより高画質で撮像させるために、カメラCM1の設定ビットレートを下げてカメラCM2の設定ビットレートを上げる制御を実行する。これにより、端末装置P1は、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの画質をより均一化する制御を実行できる。
【0098】
以上により、端末装置P1は、対象物の検知を行う2台のカメラCM1,CM2のそれぞれに設定される設定ビットレートを、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの量子化パラメータ値に基づいて、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの画質をより均一化可能な設定ビットレートを算出できる。これにより、実施の形態1に係るカメラ制御システム100は、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれと、レコーダRDあるいは端末装置P1との間で通信可能な最大ビットレートを超えないように、かつ、カメラごとの量子化パラメータ値(つまり、画質)をより均一化するように制御できる。
【0099】
なお、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの優先度の決定方法は、上述の例に限定されなくてよい。例えば、優先度は、各カメラにより撮像される撮像エリアの暗さに基づいて決定されてもよい。このような場合、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれ、あるいは端末装置P1は、撮像された撮像画像を画像処理して、撮像エリアの暗さを検知し、検知された暗さに対応する優先度を決定してもよい。なお、撮像エリアの暗さに基づいて優先度を決定する場合、端末装置P1は、撮像エリアが暗いほど優先度を高くすることで、撮像エリアが暗いカメラの画質を向上させることができる。
【0100】
(実施の形態1の変形例)
上述した実施の形態1に係るカメラ制御システム100は、2台のカメラCM1,CM2のそれぞれの設定ビットレートを算出して設定する例を示した。実施の形態1の変形例に係るカメラ制御システム100は、カメラの台数が3台以上の場合において、3台以上のカメラのそれぞれの設定ビットレートを算出して設定する例について説明する。以降の実施の形態1の変形例に係るカメラ制御システム100の説明では、実施の形態1に係るカメラ制御システム100と異なる構成および処理について説明する。
【0101】
図12を参照して、カメラの台数が3台以上の場合における各カメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの設定ビットレートの算出手順について説明する。
図12は、実施の形態1の変形例における端末装置P1の第3の動作手順例を示すフローチャートである。なお、
図12に示す設定ビットレートの算出手順例では、3台以上のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの優先度に基づいて、設定ビットレートの算出を行う例を示す。
【0102】
端末装置P1は、3台以上のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれが撮像、あるいは撮像映像の配信を開始するタイミングで、各カメラCM1,CM2,CM3,…に初期ビットレートの情報を送信して、設定させる(St31)。なお、ここで3台以上のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの初期ビットレートの合計値は、3台以上のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれと、これらの3台以上のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの映像データを録画するレコーダRD、あるいは映像データを表示する端末装置P1との間で通信可能な最大ビットレート以下の値である。
【0103】
端末装置P1は、3台以上のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれから送信された検知情報を取得する(St32)。端末装置P1は、取得された各カメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの検知情報(具体的に、検知情報に含まれる検知物体数、検知物体面積等)に基づいて、カメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの優先度を決定する(St33)。
【0104】
端末装置P1は、決定されたカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの優先度に基づいて、優先度が大きい順にカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの並び替え処理を実行する(St34)。
【0105】
端末装置P1は、並び替え後の各カメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの並び順に基づいて、各カメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの設定ビットレートを算出する。端末装置P1は、算出された3台以上のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの設定ビットレートの情報を対応するカメラに送信して、設定させる(St35)。なお、ステップSt35における設定ビットレートの算出処理は、後述する
図13で詳細に説明する。
【0106】
端末装置P1は、カメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれのうち少なくとも2台以上のカメラのそれぞれから撮像映像データの配信が継続されているか否かを判定する(St36)。端末装置P1は、ステップSt36の処理において、少なくとも2台以上のカメラのそれぞれから撮像映像データの配信が継続されていると判定した場合(St36,YES)、ステップSt32の処理に戻る。一方、端末装置P1は、ステップSt36の処理において、少なくとも2台以上のカメラのそれぞれから撮像映像データの配信が継続されていないと判定した場合(St36,NO)、すべてのカメラのそれぞれの設定ビットレートの制御動作を終了する。
【0107】
次に、
図13を参照して、
図12に示すステップSt35の処理で実行される各カメラの設定ビットレートの算出および設定処理例について説明する。
図13は、実施の形態1の変形例における端末装置P1の第3の動作手順例を示すフローチャートである。なお、
図13では、3台以上のカメラのそれぞれの設定ビットレートの算出および設定処理について説明するが、カメラの台数N(N:2以上の整数)は、2台以上であればよい。
【0108】
端末装置P1は、設定ビットレートの算出処理回数i(i:0≦i≦N/2または(N/2)+1を満たす整数)をi=0(ゼロ)にリセットする(St351)。
【0109】
端末装置P1は、3台以上のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれのうち[i+1]番目のカメラの優先度と[N-i]番目のカメラの優先度とに基づいて、[i+1]番目のカメラの設定ビットレートと、[N-i]番目のカメラの設定ビットレートとを算出する。端末装置P1は、算出された[i+1]番目のカメラの設定ビットレートを[i+1]番目のカメラに対応するカメラに、[N-i]番目のカメラの設定ビットレートを[N-i]番目のカメラに対応するカメラにそれぞれ送信して、設定させる(St352)。
【0110】
端末装置P1は、[i+1]番目のカメラ設定ビットレートの算出処理後、設定ビットレートの算出処理回数iをインクリメント(つまり、i+1)する(St353)。
【0111】
端末装置P1は、インクリメント後のiの値に基づいて、i=int(N/2)であるか否かを判定する(St354)。端末装置P1は、ステップSt354の処理において、i=int(N/2)であると判定した場合(St354,YES)、カメラの台数Nが奇数であるか否かを判定する(St355)。
【0112】
一方、端末装置P1は、ステップSt354の処理において、i=int(N/2)でないと判定した場合(St354,NO)、ステップSt352の処理に戻って、設定ビットレートの算出処理を実行する。
【0113】
端末装置P1は、ステップSt355の処理において、カメラの台数Nが奇数であると判定した場合(St355,YES)、[i]番目のカメラに[i]番目のカメラの初期ビットレートの情報を送信して設定させて(St356)、N台のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの設定ビットレートの算出および設定処理を終了する。一方、端末装置P1は、ステップSt355の処理において、カメラの台数Nが奇数でないと判定した場合(St355,NO)、N台のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの設定ビットレートの算出および設定処理を終了する。
【0114】
例えば、5台(N=5)のカメラの場合の設定ビットレートの算出手順について、について説明する。
【0115】
ステップSt352の処理において、端末装置P1は、i=0(ゼロ)のとき、1番目のカメラの優先度と5番目のカメラの優先度とに基づいて、1番目のカメラおよび5番目のカメラのそれぞれの設定ビットレートを算出し、1番目のカメラおよび5番目のカメラのそれぞれに対応するカメラに算出された設定ビットレートの情報を送信して設定させる。端末装置P1は、ステップSt353においてi=1にする処理を実行し、ステップSt354の判定処理を実行する。端末装置P1は、この時点でi=1,int(N/2)=2であるため、ステップSt352の処理に移行する。
【0116】
端末装置P1は、ステップSt352の処理において、2番目のカメラの優先度と4番目のカメラの優先度とに基づいて、2番目のカメラおよび4番目のカメラのそれぞれの設定ビットレートを算出し、2番目のカメラおよび4番目のカメラのそれぞれに対応するカメラに算出された設定ビットレートの情報を送信して設定させる。端末装置P1は、ステップSt353においてi=2にする処理を実行し、ステップSt354の判定処理を実行する。端末装置P1は、この時点でi=2,int(N/2)=2であるため、ステップSt355の処理に移行する。
【0117】
端末装置P1は、ステップSt355の処理において、カメラの台数は5台(つまり、N=5)であるため、ステップSt356の処理に移行し、3番目のカメラの設定ビットレートを3番目のカメラの初期ビットレートに決定して、この3番目のカメラに対応するカメラに3番目のカメラの初期ビットレートの情報を送信して設定させる。
【0118】
以上により、実施の形態1の変形例における端末装置P1は、3台以上のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの設定ビットレートを、各カメラの対象物の検知状況(つまり、検知物体数、検知物体面積等)に基づいて、より適応的に算出して設定できる。これにより、実施の形態1の変形例に係るカメラ制御システム100は、3台以上のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれと、レコーダRDあるいは端末装置P1との間で通信可能な最大ビットレートを超えないように、かつ、対象物の監視あるいは検知に必要となるカメラの画質を制御できる。
【0119】
次に、
図14を参照して、
図13に示すステップSt35の処理で実行される各カメラの設定ビットレートの算出例について説明する。
図14は、N台のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの優先度に基づく設定ビットレートテーブルTB31の一例を示す図である。なお、
図14に示す優先度および設定ビットレートの算出に使用される各係数の値はこれに限定されなくてよいことは言うまでもない。
【0120】
端末装置P1は、
図13に示すステップSt33の処理で決定された3台以上のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの優先度と、設定ビットレートテーブルTB31とに基づいて、3台のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれに設定される設定ビットレートを算出する。
【0121】
端末装置P1は、2台のカメラとして、[i+1]番目のカメラの優先度と、[N-i]番目のカメラの優先度とが同値である場合、[i+1]番目のカメラの設定ビットレートを[i+1]番目のカメラの初期ビットレートに、[N-i]番目のカメラの設定ビットレートを[N-i]番目のカメラの初期ビットレートに決定する。
【0122】
また、端末装置P1は、2台のカメラとして、[i+1]番目のカメラの優先度と、[N-i]番目のカメラの優先度とが同値でない場合、優先度の大小あるいは差分に基づいて、[i+1]番目のカメラおよび[N-i]番目のカメラのそれぞれの設定ビットレートを算出する。端末装置P1は、優先度が大きい方のカメラの初期ビットレートに所定の係数を乗じて、優先度が大きい方のカメラの設定ビットレートを算出する。また、端末装置P1は、優先度が小さい方のカメラの初期ビットレートと、優先度が大きい方のカメラの初期ビットレート値から算出された設定ビットレートへの増加分と、の差分に基づいて、優先度が小さい方のカメラの設定ビットレートを算出する。
【0123】
具体的に、端末装置P1は、[i+1]番目のカメラの優先度が「3」,[N-i]番目のカメラの優先度が「2」である場合、[i+1]番目のカメラの初期ビットレートに係数「1.05」を乗じて[i+1]番目のカメラの設定ビットレートを算出する。端末装置P1は、[i+1]番目のカメラの初期ビットレートから算出された[i+1]番目のカメラの設定ビットレートを減算して、[i+1]番目のカメラにおけるビットレートの増加分を算出する。端末装置P1は、[N-i]番目のカメラの初期ビットレートから算出された増加分を減算して、[N-i]番目のカメラの設定ビットレートを算出する。
【0124】
一方、端末装置P1は、[i+1]番目のカメラの優先度が「2」,[N-i]番目のカメラの優先度が「3」である場合、[N-i]番目のカメラの初期ビットレートに係数「1.05」を乗じて[N-i]番目のカメラの設定ビットレートを算出する。端末装置P1は、[N-i]番目のカメラの初期ビットレートから算出された[N-i]番目のカメラの設定ビットレートを減算して、[N-i]番目のカメラにおけるビットレートの増加分を算出する。端末装置P1は、[i+1]番目のカメラの初期ビットレートから算出された増加分を減算して、[i+1]番目のカメラの設定ビットレートを算出する。
【0125】
同様にして、端末装置P1は、並び替え後の[i+1]番目のカメラの優先度と[N-i]番目のカメラの優先度の大小関係、優先度の差分等に基づいて、2台のカメラとして[i+1]番目のカメラおよび[N-i]番目のカメラのそれぞれの設定ビットレートを算出する。
【0126】
図15を参照して、カメラの台数が3台以上の場合における各カメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの設定ビットレートの算出手順について説明する。
図15は、実施の形態1の変形例における端末装置P1の第4の動作手順例を示すフローチャートである。なお、
図15に示す設定ビットレートの算出手順例では、3台以上のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの量子化パラメータ値に基づいて、設定ビットレートの算出を行う例を示す。
【0127】
端末装置P1は、3台以上のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれが撮像、あるいは撮像映像の配信を開始するタイミングで、各カメラCM1,CM2,CM3,…に初期ビットレートの情報を送信して、設定させる(St41)。なお、ここで3台以上のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの初期ビットレートの合計値は、3台以上のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれと、これらの3台以上のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの映像データを録画するレコーダRD、あるいは映像データを表示する端末装置P1との間で通信可能な最大ビットレート以下の値である。
【0128】
端末装置P1は、3台以上のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれから送信された検知情報に含まれる量子化パラメータ値の情報を取得する(St42)。端末装置P1は、取得された各カメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの量子化パラメータ値に基づいて、量子化パラメータ値が大きい順にカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの並び替え処理を実行する(St43)。
【0129】
端末装置P1は、並び替え後の各カメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの並び順に基づいて、各カメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの設定ビットレートを算出する。端末装置P1は、算出された3台以上のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの設定ビットレートの情報を対応するカメラに送信して、設定させる(St44)。なお、ステップSt44における設定ビットレートの算出処理は、後述する
図16で詳細に説明する。
【0130】
端末装置P1は、カメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれのうち少なくとも2台以上のカメラのそれぞれから撮像映像データの配信が継続されているか否かを判定する(St45)。端末装置P1は、ステップSt45の処理において、少なくとも2台以上のカメラのそれぞれから撮像映像データの配信が継続されていると判定した場合(St45,YES)、ステップSt42の処理に戻る。一方、端末装置P1は、ステップSt45の処理において、少なくとも2台以上のカメラのそれぞれから撮像映像データの配信が継続されていないと判定した場合(St45,NO)、すべてのカメラのそれぞれの設定ビットレートの制御動作を終了する。
【0131】
次に、
図16を参照して、
図15に示すステップSt44の処理で実行される各カメラの設定ビットレートの算出および設定処理例について説明する。
図16は、実施の形態1の変形例における端末装置P1の第4の動作手順例を示すフローチャートである。なお、
図16では、N台のカメラのそれぞれの設定ビットレートの算出および設定処理について説明する。
【0132】
端末装置P1は、設定ビットレートの算出処理回数i(i:1以上の整数)をi=0(ゼロ)にリセットする(St441)。
【0133】
端末装置P1は、3台以上のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれのうち[i+1]番目のカメラの量子化パラメータ値と[N-i]番目のカメラの量子化パラメータ値との差分を算出する(St442)。
【0134】
端末装置P1は、算出された[i+1]番目のカメラの量子化パラメータ値と[N-i]番目のカメラの量子化パラメータ値との差分(具体的には、[i+1]番目のカメラの量子化パラメータ値から[N-i]番目のカメラの量子化パラメータ値を減算した値)に基づいて、[i+1]番目のカメラの設定ビットレートと、[N-i]番目のカメラの設定ビットレートとを算出する。端末装置P1は、算出された[i+1]番目のカメラの設定ビットレートを[i+1]番目のカメラに対応するカメラに、[N-i]番目のカメラの設定ビットレートを[N-i]番目のカメラに対応するカメラにそれぞれ送信して、設定させる(St443)。
【0135】
端末装置P1は、[i+1]番目のカメラ設定ビットレートの算出処理後、現在の設定ビットレートの算出処理回数iをインクリメント(つまり、i+1)する(St444)。
【0136】
端末装置P1は、インクリメント後のiの値に基づいて、i=int(N/2)であるか否かを判定する(St445)。端末装置P1は、ステップSt445の処理において、i=int(N/2)であると判定した場合(St445,YES)、カメラの台数Nが奇数であるか否かを判定する(St446)。
【0137】
一方、端末装置P1は、ステップSt445の処理において、i=int(N/2)でないと判定した場合(St445,NO)、ステップSt442の処理に戻って、設定ビットレートの算出処理を実行する。
【0138】
端末装置P1は、ステップSt446の処理において、カメラの台数Nが奇数であると判定した場合(St446,YES)、[i]番目のカメラに[i]番目のカメラの初期ビットレートの情報を送信して設定させて(St447)、N台のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの設定ビットレートの算出および設定処理を終了する。一方、端末装置P1は、ステップSt446の処理において、カメラの台数Nが奇数でないと判定した場合(St446,NO)、N台のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの設定ビットレートの算出および設定処理を終了する。
【0139】
例えば、5台(N=5)のカメラの場合の設定ビットレートの算出手順について、について説明する。
【0140】
ステップSt442の処理において、端末装置P1は、i=0(ゼロ)のとき、1番目のカメラの量子化パラメータ値と5番目のカメラの量子化パラメータ値との差分を算出する。端末装置P1は、ステップSt443の処理において、算出された差分に基づいて、1番目のカメラおよび5番目のカメラのそれぞれの設定ビットレートを算出し、1番目のカメラおよび5番目のカメラのそれぞれに対応するカメラに算出された設定ビットレートの情報を送信して設定させる。端末装置P1は、ステップSt444においてi=1にする処理を実行し、ステップSt445の判定処理を実行する。端末装置P1は、この時点でi=1,int(N/2)=2であるため、ステップSt442の処理に移行する。
【0141】
端末装置P1は、ステップSt442の処理において、2番目のカメラの量子化パラメータ値と4番目のカメラの量子化パラメータ値との差分を算出する。端末装置P1は、ステップSt443の処理において、算出された差分に基づいて、2番目のカメラおよび4番目のカメラのそれぞれの設定ビットレートを算出し、2番目のカメラおよび4番目のカメラのそれぞれに対応するカメラに算出された設定ビットレートの情報を送信して設定させる。端末装置P1は、ステップSt444においてi=2にする処理を実行し、ステップSt444の判定処理を実行する。端末装置P1は、この時点でi=2,int(N/2)=2であるため、ステップSt446の処理に移行する。
【0142】
端末装置P1は、ステップSt446の処理において、カメラの台数は5台(つまり、N=5)であるため、ステップSt447の処理に移行し、3番目のカメラの設定ビットレートを3番目のカメラの初期ビットレートに決定して、この3番目のカメラに対応するカメラに3番目のカメラの初期ビットレートの情報を送信して設定させる。
【0143】
以上により、実施の形態1の変形例における端末装置P1は、3台以上のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの設定ビットレートを、各カメラの量子化パラメータ値に基づいて、より適応的に算出して設定できる。これにより、実施の形態1の変形例に係るカメラ制御システム100は、3台以上のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれと、レコーダRDあるいは端末装置P1との間で通信可能な最大ビットレートを超えないように、かつ、対象物の監視あるいは検知に必要となるカメラの画質を制御できる。
【0144】
次に、
図17を参照して、
図15に示すステップSt44の処理で実行される各カメラの設定ビットレートの算出例について説明する。
図17は、N台のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの量子化パラメータ値に基づく設定ビットレートテーブルTB41の一例を示す図である。なお、
図17に示す量子化パラメータ値および設定ビットレートの算出に使用される各係数の値はこれに限定されなくてよいことは言うまでもない。
【0145】
端末装置P1は、
図15に示すステップSt33の処理で決定された3台以上のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれの量子化パラメータ値と、設定ビットレートテーブルTB41とに基づいて、3台のカメラCM1,CM2,CM3,…のそれぞれに設定される設定ビットレートを算出する。
【0146】
端末装置P1は、2台のカメラとして、[i+1]番目のカメラの量子化パラメータ値と、[N-i]番目のカメラの量子化パラメータ値との差分は小さい場合(例えば、
図17に示す差分「1~0」の場合)、[i+1]番目のカメラの設定ビットレートを[i+1]番目のカメラの初期ビットレートに、[N-i]番目のカメラの設定ビットレートを[N-i]番目のカメラの初期ビットレートに決定する。
【0147】
また、端末装置P1は、2台のカメラとして、[i+1]番目のカメラの量子化パラメータ値と、[N-i]番目のカメラの量子化パラメータ値との差分が大きい場合(例えば、
図17に示す差分「1~0」以外の場合)、差分の大小に基づいて、[i+1]番目のカメラおよび[N-i]番目のカメラのそれぞれの設定ビットレートを算出する。端末装置P1は、[i+1]番目のカメラの現行ビットレートに、量子化パラメータ値の差分に基づく所定の係数を乗じて、[i+1]番目のカメラの設定ビットレートを算出する。また、端末装置P1は、[i+1]番目のカメラの設定ビットレートと、[i+1]番目のカメラの現行ビットレートとの差分に基づいて、[i+1]番目のカメラの現行ビットレートに対する増加分を算出する。端末装置P1は、[N-i]番目のカメラの現行ビットレートから[i+1]番目のカメラの現行ビットレートに対する増加分を減算して、[N-i]番目のカメラの設定ビットレートを算出する。
【0148】
具体的に、端末装置P1は、[i+1]番目のカメラの量子化パラメータ値と、[N-i]番目のカメラの量子化パラメータ値との差分が「24」である場合、[i+1]番目のカメラの現行ビットレートに係数「1.50」を乗じて、[i+1]番目のカメラの設定ビットレートを算出する。端末装置P1は、[i+1]番目のカメラの設定ビットレートから[i+1]番目のカメラの現行ビットレートを減算して、[i+1]番目のカメラのビットレートの増加分を算出する。端末装置P1は、[N-i]番目のカメラの現行ビットレートから[i+1]番目のカメラの現行ビットレートに対する増加分を減算して、[N-i]番目のカメラの設定ビットレートを算出する。
【0149】
同様にして、端末装置P1は、並び替え後の[i+1]番目のカメラの量子化パラメータ値と[N-i]番目のカメラの量子化パラメータ値の差分に基づいて、2台のカメラとして[i+1]番目のカメラおよび[N-i]番目のカメラのそれぞれの設定ビットレートを算出する。
【0150】
以上により、実施の形態1および実施の形態1の変形例に係るカメラ制御システム100は、それぞれ所定の初期ビットレートが設定されたN(N:2以上の整数)台のカメラCM1,…と、N台のカメラのそれぞれと通信可能な端末装置P1と、を備える。カメラCM1,…は、撮像された撮像画像とカメラの量子化パラメータ値あるいは検知情報(パラメータの一例)とを端末装置P1に送信する。端末装置P1は、N台のカメラのそれぞれの量子化パラメータ値あるいは検知情報に基づいて、ビットレートを上げる(つまり、画質を向上させる)カメラの優先度をカメラごとに決定し、決定された優先度に基づいて、優先度が大きい順にN台のカメラCM1,…のそれぞれの並び替えを実行し、[i(i:0≦i≦N/2を満たす整数)+1]番目のカメラの優先度と[N-i]番目のカメラの優先度とに基づいて、[i+1]番目のカメラの設定ビットレートを算出するための係数を決定し、[i+1]番目のカメラの初期ビットレートと係数とに基づいて、[i+1]番目のカメラの設定ビットレートと、[i+1]番目のカメラのビットレートの増加分とを算出し、[N-i]番目のカメラの初期ビットレートから増加分を減算して、[N-i]番目のカメラの設定ビットレートを算出し、算出された設定ビットレートを対応するカメラに送信して、設定させる。
【0151】
これにより、実施の形態1および実施の形態1の変形例に係るカメラ制御システム100は、2台以上のカメラCM1…のそれぞれの設定ビットレートを、ビットレート(つまり、画質)を向上すべきカメラの優先度に基づいて、レコーダRDあるいは端末装置P1との間で通信可能な最大ビットレートを超えないように、また、対象物の監視あるいは検知に必要となるように適応的にカメラごとのビットレートを設定(制御)できる。
【0152】
以上により、実施の形態1および実施の形態1の変形例に係るカメラ制御システム100における端末装置P1は、算出された設定ビットレートを対応するカメラに送信して設定させた後、設定ビットレートの設定回数を示すiをi+1にし(つまり、iをインクリメントし)、i+1(つまり、インクリメント後のiの値)が(N/2)の整数値(つまり、int(N/2))であると判定するまで、[i+1]番目のカメラと[N-i]番目のカメラとの設定ビットレートの算出および設定を繰り返し実行する。これにより、実施の形態1および実施の形態1の変形例に係るカメラ制御システム100は、カメラの台数が3台以上の場合であっても、ビットレート(つまり、画質)を向上すべきカメラの優先度に基づいて、レコーダRDあるいは端末装置P1との間で通信可能な最大ビットレートを超えないように、また、対象物の監視あるいは検知に必要となるように適応的にカメラごとのビットレートを設定(制御)できる。
【0153】
以上により、実施の形態1および実施の形態1の変形例に係るカメラ制御システム100における端末装置P1は、[i+1]([i+1]:インクリメント後のiの値)が(N/2)の整数値(つまり、int(N/2))以上であり、かつ、Nが奇数であると判定した場合、[i+1]番目のカメラの設定ビットレートを初期ビットレートに決定して、設定させる。これにより、実施の形態1および実施の形態1の変形例に係るカメラ制御システム100は、カメラの台数が奇数であっても、ビットレート(つまり、画質)を向上すべきカメラの優先度に基づいて、レコーダRDあるいは端末装置P1との間で通信可能な最大ビットレートを超えないように、また、対象物の監視あるいは検知に必要となるように適応的にカメラごとのビットレートを設定(制御)できる。
【0154】
以上により、実施の形態1および実施の形態1の変形例に係るカメラ制御システム100における設定ビットレートの算出処理に用いられるパラメータは、撮像画像に映る対象物の検知物体数(検知数の一例)である。端末装置P1は、N台のカメラCM1,…のそれぞれから取得された検知数に基づいて、ビットレートを上げるカメラの優先度をカメラごとに決定し、決定されたN台のカメラCM1,…のそれぞれの優先度に基づいて、係数を決定する。これにより、実施の形態1および実施の形態1の変形例に係るカメラ制御システム100は、対象物の検知を行うN台のカメラCM1,…のそれぞれに設定される設定ビットレートを、対象物の検知状況(つまり、検知物体数)に基づいて、より適応的に算出して設定できる。また、カメラ制御システム100は、N台のカメラCM1…のそれぞれと、レコーダRDあるいは端末装置P1との間で通信可能な最大ビットレートを超えないように、かつ、対象物の監視あるいは検知に必要となるカメラの画質を制御できる。
【0155】
以上により、実施の形態1および実施の形態1の変形例に係るカメラ制御システム100における設定ビットレートの算出処理に用いられるパラメータは、撮像画像に映る対象物の検知物体面積(検知面積の一例)である。端末装置P1は、N台のカメラCM1,…のそれぞれから取得された検知面積に基づいて、ビットレートを上げるカメラの優先度をカメラごとに決定し、決定されたN台のカメラCM1,…のそれぞれの優先度に基づいて、係数を決定する。これにより、実施の形態1および実施の形態1の変形例に係るカメラ制御システム100は、対象物の検知を行うN台のカメラCM1,…のそれぞれに設定される設定ビットレートを、対象物の検知状況(つまり、検知物体面積)に基づいて、より適応的に算出して設定できる。また、カメラ制御システム100は、N台のカメラCM1…のそれぞれと、レコーダRDあるいは端末装置P1との間で通信可能な最大ビットレートを超えないように、かつ、対象物の監視あるいは検知に必要となるカメラの画質を制御できる。
【0156】
以上により、実施の形態1および実施の形態1の変形例に係るカメラ制御システム100における設定ビットレートの算出処理に用いられるパラメータは、撮像画像が撮像された日時情報である。端末装置P1は、N台のカメラCM1,…のそれぞれから取得された日時情報と、時間帯ごとのN台のカメラCM1,…のそれぞれの優先度テーブルTB12とに基づいて、ビットレートを上げるカメラの優先度を決定し、決定されたN台のカメラCM1,…のそれぞれの優先度に基づいて、係数を決定する。これにより、実施の形態1および実施の形態1の変形例に係るカメラ制御システム100は、対象物の検知を行うN台のカメラCM1,…のそれぞれに設定される設定ビットレートを、カメラの撮像環境(時間帯)に基づいて、より適応的に算出して設定できる。また、カメラ制御システム100は、N台のカメラCM1…のそれぞれと、レコーダRDあるいは端末装置P1との間で通信可能な最大ビットレートを超えないように、かつ、対象物の監視あるいは検知に必要となるカメラの画質を制御できる。
【0157】
以上により、実施の形態1および実施の形態1の変形例に係るカメラ制御システム100における設定ビットレートの算出処理に用いられるパラメータは、撮像画像の明度である。端末装置P1は、N台のカメラCM1,…のそれぞれから取得された明度に基づいて、ビットレートを上げるカメラの優先度をカメラごとに決定し、決定されたN台のカメラCM1,…のそれぞれの優先度に基づいて、係数を決定する。これにより、実施の形態1および実施の形態1の変形例に係るカメラ制御システム100は、対象物の検知を行うN台のカメラCM1,…のそれぞれに設定される設定ビットレートを、カメラの撮像環境(暗さ)に基づいて、より適応的に算出して設定できる。また、カメラ制御システム100は、N台のカメラCM1…のそれぞれと、レコーダRDあるいは端末装置P1との間で通信可能な最大ビットレートを超えないように、かつ、対象物の監視あるいは検知に必要となるカメラの画質を制御できる。
【0158】
以上により、実施の形態1および実施の形態1の変形例に係るカメラ制御システム100における設定ビットレートの算出処理に用いられるパラメータは、カメラCM1,…のそれぞれの量子化パラメータ値である。端末装置P1は、N台のカメラCM1,…のそれぞれの量子化パラメータ値に基づいて、量子化パラメータ値が大きい順にN台のカメラCM1,…のそれぞれの並び替えを実行し、[i+1]番目のカメラの量子化パラメータ値と[N-i]番目のカメラの量子化パラメータ値とに基づいて、[i+1]番目のカメラの設定ビットレートを算出するための係数を決定する。これにより、実施の形態1および実施の形態1の変形例に係るカメラ制御システム100は、N台のカメラCM1…のそれぞれの設定ビットレートを、各カメラの量子化パラメータ値に基づいて、より適応的に算出して設定できる。また、カメラ制御システム100は、N台のカメラCM1…のそれぞれと、レコーダRDあるいは端末装置P1との間で通信可能な最大ビットレートを超えないように、かつ、対象物の監視あるいは検知に必要となるカメラの画質を制御できる。
【0159】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0160】
本開示は、カメラごとのビットレート自動設定を効率的に行い、カメラの撮像画像の画質をより適応的に制御するカメラ制御システム、カメラ制御方法およびカメラ制御プログラムとして有用である。
【符号の説明】
【0161】
10,20,30 通信部
11,21,31 プロセッサ
12,22,32 メモリ
13 撮像部
33 モニタ
100 カメラ制御システム
CM1,CM2,CM3 カメラ
P1 端末装置
RD レコーダ
TB11,TB21,TB31,TB41 設定ビットレートテーブル
TB12 優先度テーブル