IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エム・エフ・ヴィ株式会社の特許一覧

特開2022-122598成形容器用蓋体と成形容器及びその製造方法
<>
  • 特開-成形容器用蓋体と成形容器及びその製造方法 図1
  • 特開-成形容器用蓋体と成形容器及びその製造方法 図2
  • 特開-成形容器用蓋体と成形容器及びその製造方法 図3
  • 特開-成形容器用蓋体と成形容器及びその製造方法 図4
  • 特開-成形容器用蓋体と成形容器及びその製造方法 図5
  • 特開-成形容器用蓋体と成形容器及びその製造方法 図6
  • 特開-成形容器用蓋体と成形容器及びその製造方法 図7
  • 特開-成形容器用蓋体と成形容器及びその製造方法 図8
  • 特開-成形容器用蓋体と成形容器及びその製造方法 図9
  • 特開-成形容器用蓋体と成形容器及びその製造方法 図10
  • 特開-成形容器用蓋体と成形容器及びその製造方法 図11
  • 特開-成形容器用蓋体と成形容器及びその製造方法 図12
  • 特開-成形容器用蓋体と成形容器及びその製造方法 図13
  • 特開-成形容器用蓋体と成形容器及びその製造方法 図14
  • 特開-成形容器用蓋体と成形容器及びその製造方法 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122598
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】成形容器用蓋体と成形容器及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/14 20060101AFI20220816BHJP
   B65D 41/04 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
B29C45/14
B65D41/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021019942
(22)【出願日】2021-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000241625
【氏名又は名称】エム・エフ・ヴィ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】特許業務法人安田岡本特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 彰則
(72)【発明者】
【氏名】松崎 拓也
(72)【発明者】
【氏名】風巻 有里
【テーマコード(参考)】
3E084
4F206
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB06
3E084AB09
3E084BA02
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084KA20
3E084KB10
3E084LA17
4F206AD05
4F206AD24
4F206AD35
4F206AH55
4F206AH57
4F206JA07
4F206JB12
4F206JB20
4F206JF05
4F206JL02
(57)【要約】
【課題】内栓と外栓との隙間に、内栓と外栓を固定する液剤を流し込み、熱、光照射、紫外線、自然光、乾燥、空気接触などによって硬化させて接着し、内栓と外栓のアンダーカット部を無くすとともに、蓋体の外観の美しさをより高めることができる成形容器用蓋体と成形容器及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の成形容器用蓋体1は、有底筒状に形成された内栓6と、筒状に形成され且つ内栓6を外側から嵌め込んで一体に覆う外栓7と、内栓6の裾部10と外栓7の裾部14の間の隙間に向けて射出され硬化することで、内栓6と外栓7を固定する蓋体固定剤15とを有し、蓋体固定剤15は、流動性を有し且つ硬化し接着後少なくとも外栓7の外観と同化またはデザインとなるものとされ、内栓6の裾部10の外側面と対面する外栓7の裾部14の内側面の間には、流動状態で射出された蓋体固定剤15を貯留可能な溝部16が設けられている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状に形成された内栓と、
筒状に形成され且つ、前記内栓を外側から嵌め込んで一体に覆う外栓と、
前記内栓の裾部と前記外栓の裾部の間の隙間に向けて射出され硬化することで、前記内栓と前記外栓を固定する蓋体固定剤と、を有し、
前記蓋体固定剤は、流動性を有し且つ、硬化し接着後少なくとも前記外栓の外観と同化するまたはデザインとなるものとされている
ことを特徴とする成形容器用蓋体と成形容器。
【請求項2】
前記内栓と前記外栓が一体となった前記成形容器用蓋体において、
前記内栓の裾部の外側面とそれに対面する前記外栓の裾部の内側面の間には、流動状態で射出された前記蓋体固定剤を貯留可能な溝部が設けられ、
前記溝部は、前記成形容器用蓋体の周りに形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の成形容器用蓋体と成形容器。
【請求項3】
前記溝部の底部には、流動状態で射出された前記蓋体固定剤が、当該溝部より奥に存在する前記隙間への入り込みを防ぐ閉塞部が設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の成形容器用蓋体と成形容器。
【請求項4】
前記溝部は、断面視で、一方から他方に向かって狭まる形状とされていることを特徴とする請求項3に記載の成形容器用蓋体と成形容器。
【請求項5】
前記蓋体固定剤は、硬化し接着後、前記外栓の装飾効果となるものとされていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の成形容器用蓋体と成形容器。
【請求項6】
有底筒状の内栓と、当該内栓の外側面を一体に覆う外栓と、を有する成形容器用蓋体の製造方法において、
筒状に形成された外栓で、有底筒状に形成された内栓を外側から嵌め込むように覆って一体に形成し、
前記内栓の裾部の外側面とそれに対面する前記外栓の裾部の内側面の間に設けられた溝部に、蓋体固定剤を流動状態で射出し、
前記溝部に貯留された前記蓋体固定剤が、硬化し固定後少なくとも前記外栓の外観と同化するまたはデザインとなることで、前記成形容器用蓋体が形成される
ことを特徴とする成形容器用蓋体と成形容器の製造方法。
【請求項7】
前記溝部は、前記成形容器用蓋体を周回するように形成されている
ことを特徴とする請求項6に記載の成形容器用蓋体と成形容器の製造方法。
【請求項8】
前記溝部の底部には、流動状態で射出された前記蓋体固定剤が、当該溝部より奥に存在する前記隙間への入り込みを防ぐ閉塞部が設けられている
ことを特徴とする請求項7に記載の成形容器用蓋体と成形容器の製造方法。
【請求項9】
前記溝部は、断面視で、前記閉塞部に向かって狭まる形状とされていることを特徴とする請求項8に記載の成形容器用蓋体と成形容器の製造方法。
【請求項10】
前記蓋体固定剤は、硬化し接着後、前記外栓の装飾効果となるものとされていることを特徴とする請求項6~9のいずれかに記載の成形容器用蓋体と成形容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内栓を外栓に嵌め込むことで、その内栓の外側面を外栓で覆って一体に形成して製造された成形容器用蓋体と成形容器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えば液状、半固形状乃至はペースト状の化粧料を内容物として収容する化粧料容器として、成形容器は用いられている。成形容器(本体容器)は、上側が開口された有底筒状(円筒形状や角筒形状など広口瓶形状等)に形成された筐体であって、内部に化粧料などを収容する。その開口を上側から覆うように、成形容器用蓋体が取り付けられている。
【0003】
成形容器用蓋体は、成形容器の開口が嵌り込むため、下側が開口された有底筒状で且つ開口より大きい口径とされた部材である。近年では、成形容器用蓋体及び成形容器などは、外観をよくするため、二重壁構造(2つの部材を嵌め込んで組み合わせる構造)にして加飾する手法もある。このような成形容器用蓋体及び成形容器などを製造する技術としては、例えば、特許文献1~3などに開示されているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4831432号公報
【特許文献2】特許4978911号公報
【特許文献3】特許5093475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、成形容器用蓋体は、下側が開口された有底筒状の内栓(一次蓋部)を備え、その内栓の外側面を覆う外栓(二次蓋部)が一体に形成されたものが知られている。すなわち、成形容器用蓋体は、肉厚の二重壁構造などの多重壁構造を備えた部材となっている。なお、本体側の成形容器も、二重壁構造などの多重壁構造を備えたものもある。
ところで、化粧料容器としては、蓋体と成形容器とを含む容器全体を透明感のある光沢を加飾し、容器に高級感やデザイン性を持たせて、優れた化粧料の商品として、他商品との差別化を図っている。そのため、化粧料容器の材料としては、例えば、合成樹脂材料が挙げられる。特に、透明や半透明の合成樹脂材料が多く用いられている。
【0006】
また、成形容器用蓋体においては、例えば、内栓の外側面に光沢する表面処理を行い、その上に透明の合成樹脂材料で形成された外栓を覆うことで、高級感やデザイン性を持たせている。
従来、図14及び図15などに示すように、成形容器用蓋体100を製造するに際しては、内栓600の外側面と外栓700の内側面に、凹部と凸部を係合するアンダーカット部900を、例えば周囲に4か所設けておき、内栓600を外栓700に嵌め合わせた後、そのアンダーカット部900を係合させることで、内栓600と外栓700が分離しないようにしていた。
【0007】
しかしながら、アンダーカット部900(凹部と凸部)において、蓋体100内部の肉厚が変形してしまい、例えば透明の外栓700からアンダーカット部900が見えて目立ってしまうという課題があった。すなわち、成形容器用蓋体100の外観の美しさが大きく損なわれてしまうという影響を及ぼしていた。
すなわち、従来では、内栓600と外栓700とを嵌合させるために、アンダーカット部900が必要となるが、特に外栓700が透明の材料で製造されている場合、蓋体100の外観にアンダーカット部900が見えてしまうので、蓋体100全体のデザインを阻害してしまうという課題が存在する。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、内栓と外栓との隙間に、内栓と外栓を固定する液剤を流し込み、熱、光照射、紫外線、自然光、乾燥、空気接触などの様々な硬化条件によって硬化させて接着し、内栓と外栓にあるアンダーカット部を無くすとともに、蓋体の
外観の美しさをより高めることができる成形容器用蓋体と成形容器及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明にかかる成形容器用蓋体と成形容器は、有底筒状に形成された内栓と、筒状に形成され且つ、前記内栓を外側から嵌め込んで一体に覆う外栓と、前記内栓の裾部と前記外栓の裾部の間の隙間に向けて射出され硬化することで、前記内栓と前記外栓を固定する蓋体固定剤と、を有し、前記蓋体固定剤は、流動性を有し且つ、硬化し接着後少なくとも前記外栓の外観と同化するまたはデザインとなるものとされていることを特徴とする。
【0010】
好ましくは、前記内栓と前記外栓が一体となった前記成形容器用蓋体において、前記内栓の裾部の外側面とそれに対面する前記外栓の裾部の内側面の間には、流動状態で射出された前記蓋体固定剤を貯留可能な溝部が設けられ、前記溝部は、前記成形容器用蓋体の周りに形成されているとよい。
好ましくは、前記溝部の底部には、流動状態で射出された前記蓋体固定剤が、当該溝部より奥に存在する前記隙間への入り込みを防ぐ閉塞部が設けられているとよい。
【0011】
好ましくは、前記溝部は、断面視で、一方から他方に向かって狭まる形状とされているとよい。
好ましくは、前記蓋体固定剤は、硬化し接着後、前記外栓の装飾効果となるものとされているとよい。
本発明にかかる成形容器用蓋体と成形容器の製造方法は、有底筒状の内栓と、当該内栓の外側面を一体に覆う外栓と、を有する成形容器用蓋体の製造方法において、筒状に形成された外栓で、有底筒状に形成された内栓を外側から嵌め込むように覆って一体に形成し、前記内栓の裾部の外側面とそれに対面する前記外栓の裾部の内側面の間に設けられた溝部に、蓋体固定剤を流動状態で射出し、前記溝部に貯留された前記蓋体固定剤が、硬化し固定後少なくとも前記外栓の外観と同化するまたはデザインとなることで、前記成形容器用蓋体が形成されることを特徴とする。
【0012】
好ましくは、前記溝部は、前記成形容器用蓋体を周回するように形成されているとよい。
好ましくは、前記溝部の底部には、流動状態で射出された前記蓋体固定剤が、当該溝部より奥に存在する前記隙間への入り込みを防ぐ閉塞部が設けられているとよい。
好ましくは、前記溝部は、断面視で、前記閉塞部に向かって狭まる形状とされているとよい。
【0013】
好ましくは、前記蓋体固定剤は、硬化し接着後、前記外栓の装飾効果となるものとされているとよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の成形容器用蓋体と成形容器及びその製造方法によれば、内栓と外栓との隙間に、内栓と外栓を固定する液剤を流し込み、熱、光照射、紫外線、自然光、乾燥、空気接触などの様々な硬化条件によって硬化させて接着し、内栓と外栓にあるアンダーカット部を無くすとともに、蓋体の外観の美しさをより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の成形容器用蓋体の概略を模式的に示した図である。
図2】本発明の成形容器用蓋体であって、溝部形状の一例を模式的に示した図である(事例1~3)。
図3】本発明の成形容器用蓋体であって、溝部形状の一例を模式的に示した図である(事例4)。
図4】本発明の成形容器用蓋体であって、溝部形状の一例を模式的に示した図である(事例4)。
図5】本発明の成形容器用蓋体であって、溝部形状の一例を模式的に示した図である(事例5)。
図6】本発明の成形容器用蓋体であって、溝部形状の一例を模式的に示した図である(事例6)。
図7】本発明の成形容器用蓋体であって、溝部形状の一例を模式的に示した図である(事例7)。
図8】本発明の成形容器用蓋体であって、溝部形状の一例を模式的に示した図である(事例8)。
図9】本発明の成形容器用蓋体であって、溝部及び蓋体固定剤がデザインとなる一例を模式的に示した図である(事例9)。
図10】本発明の成形容器用蓋体であって、溝部及び蓋体固定剤がデザインとなる一例を模式的に示した図である(事例10)。
図11】本発明の成形容器用蓋体であって、溝部形状の一例を模式的に示した図である(事例11)。
図12】本発明にかかる成形容器用蓋体の製造方法を模式的に示した図である。
図13】本発明の成形容器用蓋体と成形容器の構成を模式的に示した図である。
図14】従来の成形容器用蓋体の概略を模式的に示した図である。
図15】従来の成形容器用蓋体の概略を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明にかかる成形容器用蓋体1と成形容器2及びその製造方法の実施形態を、図を参照して説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。
本発明にかかる成形容器用蓋体1を説明するにあたっては、化粧料を収容する化粧料容器23の蓋体1を例に挙げて説明する。また、この化粧料容器23は、広口瓶形状に形成されたものであり、化粧料などを収容する成形容器2(本体容器2)と、成形容器2の上側開口部3を覆って密閉する蓋体1とからなる密閉容器である。
【0017】
本実施形態においては、その化粧料容器23の蓋体1を例に挙げて説明する。ただし、本発明にかかる成形容器用蓋体1の技術に関しては、成形容器2(本体容器2)に対しても適用可能である。なお、本発明は、蓋体1(内栓6-外栓7)と容器2(内容器-外容器)だけではなく、容器-肩カバーや、容器-袴など他の樹脂パーツとの一体化の方法においても適用可能である。
【0018】
まず、成形容器2と蓋体1(化粧料容器23)の概略について説明する。
図13などに示すように、成形容器2は、底部と、その底部を取り囲むように設けられた筒状の側壁部とを有し且つ、上側が開口された容器である。つまり、成形容器2は、有底円筒状又は有底角筒状の部材である。本実施形態の成形容器2は、有底円筒状に形成された部材である。
【0019】
成形容器2は、例えば射出成形により広口瓶形状に形成された収容容器である。また、成形容器2の上側開口部3(側壁部の上側)には、ネジ部4が周回するように設けられている。ネジ部4は、成形容器2に対して蓋体1を着脱可能とし且つ、当該成形容器2の密閉を維持する。
成形容器2については、有底筒状に形成された一次容器と、その一次容器の外側面を覆い且つ一体に形成された二次容器とを有するものであってもよい。この場合、一次容器は、底部と、その底部を取り囲むように設けられた筒状の側壁部とを有し且つ、上側が開口された容器である。この一次容器に、半固形状乃至はペースト状の化粧料が収容される。
【0020】
また、二次容器は、一次容器の外側面を覆い且つ、一次容器を収容するように一体に形成されるものである。つまり、二次容器は、一次容器より大きい容器である。すなわち、成形容器2は、肉厚の二重壁構造を備えた収容容器となっている。
この成形容器2の材料としては、例えば、合成樹脂材料(例えば、PET樹脂など、溶融材料)などが挙げられる。特に、成形容器2の外側(二次容器)においては、透明や半透明の合成樹脂材料が多く用いられている。なお、成形容器2の内側(一次容器)においては、有色の合成樹脂材料でもよいし、透明の合成樹脂材料で外側面を表面処理で光沢する装飾を行っているものを用いてもよい。
【0021】
図1などに示すように、本実施形態の成形容器用蓋体1は、広口瓶形状の成形容器2(本体容器2)に対応するため、下側が大きく開口された部材である。成形容器用蓋体1は、裾部5(下側開口部5)の口径が成形容器2の上側開口部3より大きく形成された部材である。
成形容器用蓋体1(以降、単に蓋体1と呼ぶこともある。)は、有底筒状に形成された内栓6と、その内栓6の外側面を覆って一体とする外栓7とを有する。つまり、蓋体1は、肉厚の二重壁構造を備えた部材である。なお、蓋体1は、成形容器2と同様に、射出成形で製造されるとよい。
【0022】
この蓋体1の裾部5の下縁には、蓋体固定剤15(例えば、液体の接着剤15)が貯留可能な大きさを有する溝部16(詳細は後述)が設けられている。この溝部16は、蓋体1の裾部5の下縁を周回するように設けられている。
内栓6(一次蓋部)は、上底部8と、その上底部8を取り囲むように設けられた筒状の側壁部9とを有し、且つ、下側が開口された容器である。つまり、内栓6は、裾部10(下側開口部10)が広口形状に形成され且つ、有底円筒状又は有底角筒状に形成された部材である。本実施形態の内栓6は、有底円筒状に形成され且つ、インサート材として用いられる部材である。
【0023】
この内栓6の裾部10であって、側壁部外壁9aには、接着剤15(蓋体固定剤15とも呼ぶ。)が貯留可能な大きさを有する溝部16(詳細は後述)が設けられている。この溝部16は、内栓6の裾部10を周回するように設けられている。
また、内栓6の裾部10(側壁部9下側の開口)には、ネジ部11が周回するように設けられている。ネジ部11は、成形容器2に対して蓋体1を着脱可能とし且つ、成形容器2の上側開口部3に設けられたネジ部4と螺合することで、成形容器2の密閉を維持する。なお、内栓6は、射出成形により形成された部材であってもよい。また、本発明は、例えば、成形容器2との合致手段はネジの無いキャップ(ポンプのオーバーキャップなど)も適用可能である。
【0024】
内栓6については、その外側面に装飾のための表面処理が実施されてもよい。この表面処理は、化粧料容器23全体としての外観の美しさをより高めるために実施され、内栓6の外側面(上底部8の外壁と側壁部外壁9a)に表面被膜層を形成してもよい。例えば、内栓6の外側面に、表面処理で光沢する表面被膜層を形成して装飾を行ってもよい。この表面処理の方法としては、例えば、蒸着、塗装、メッキ等が挙げられる。また、表面被膜層については、デザインなどの観点から、例えば、光沢する金色や銀色など(光沢層)であってもよいし、着色のみのものであってもよい。
【0025】
外栓7(二次蓋部7)は、例えば表面被膜層などが外側面に形成されている内栓6を外側から一体に覆うものである。すなわち、蓋体1は、外栓7内に内栓6を嵌め込むことで一体に形成されるものである。
外栓7は、上底部12と、その上底部12を取り囲むように設けられた筒状の側壁部13とを有し且つ、下側が開口された容器である。つまり、外栓7は、有底円筒状又は有底角筒状に形成された部材である。本実施形態の外栓7は、有底円筒状に形成された部材である。
【0026】
すなわち、外栓7は、内栓6の外側面(上底部12及び側壁部13の外側)を覆い且つ、内栓6を収容するように一体に形成されるものである。つまり、外栓7は、裾部14(下側開口部14)が内栓6の裾部10より広口形状に形成された部材である。本実施形態では、外栓7の側壁部13(裾部14)の下端と、内栓6の側壁部9(裾部10)の下端とが、面一となるように形成されている。なお、面一となっているが、一例であり、これに限定されない。
【0027】
この外栓7の裾部14であって、側壁部内壁13aには、流動状態の接着剤15(蓋体固定剤15)が貯留可能な大きさを有する溝部16(詳細は後述)が設けられている。この溝部16は、外栓7の裾部14を周回するように設けられている。
なお、蓋体1の材料としては、例えば、合成樹脂材料(例えば、PET樹脂)などが挙げられる。特に、蓋体1の外側(外栓7)においては、透明や半透明の合成樹脂材料が多
く用いられている。
【0028】
一方で、蓋体1の内側(内栓6)においては、外側面を表面処理で光沢する被膜層で装飾を行ってもよいし、有色の合成樹脂材料で形成されていてもよい。
図2図4などに示すように、本発明においては、蓋体1の裾部5に、蓋体固定剤15(接着剤15)が貯留可能な大きさを有する溝部16を設けている。この溝部16は、蓋体1の裾部5の下縁を周回するように設けている。
【0029】
すなわち、蓋体1は、有底筒状に形成された内栓6と、有底筒状に形成され且つ、内栓6を外側から嵌め込んで一体に覆う外栓7と、を有し、内栓6の裾部10の外側面とそれに対面する外栓7の裾部14の内側面の隙間17には、流動状態で射出された蓋体固定剤15を貯留可能な凹形状の溝部16が設けられている。溝部16は、成形容器用蓋体1を周回するように、裾部5において円環状に形成されている。
【0030】
図2(a)に、本発明の成形容器用蓋体1における溝部16形状の一例(事例1)を示す。
図2(a)に示すように、例えば、内栓6の裾部10であって、側壁部外壁9aには、径外方向に開口された凹部18が設けられている。また、外栓7の裾部14であって、側壁部内壁13aには、径内方向に開口された凹部19が設けられている。
【0031】
すなわち、「事例1」においては、溝部16は、側壁部外壁9aに形成された外向き凹部18と、側壁部内壁13aに形成された内向き凹部19とからなるものである。これら外向き凹部18と内向き凹部19は、対面する位置に設けられている。溝部16は、断面視で略矩形状となっている。なお、外向き凹部18と内向き凹部19については、例えば、対面ではなく少しずれた位置(円周上や上下方向に)でも可能である。
【0032】
溝部16の下側(図面では上側)に設けられた流入口20から、溝部16内に向かって液状の蓋体固定剤15を注入する。
蓋体固定剤15(接着剤15)は、内栓6の裾部10と外栓7の裾部14の間の溝部16(隙間17)に向けて射出された後、硬化することで、内栓6と外栓7を接着して一体とし、成形容器用蓋体1を形成する。また、蓋体固定剤15は、流動性を有し且つ、硬化し接着後少なくとも外栓7の外観と同化するものとされている。
【0033】
蓋体固定剤15としては、例えば、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化樹脂(UV接着剤やUVレジンなど)、熱硬化性樹脂などの流動性液体、すなわち流動状態で一定時間後硬化する材料(接着剤)が好ましい。また、自然光/乾燥/空気接触などの硬化条件も含むものとする。
なお、本実施形態においては、紫外線硬化樹脂を蓋体固定剤15として、採用している。この紫外線硬化樹脂15は、硬化させたとき透明であるので、同化させて目立たなくすることにより内栓6及び外栓7に影響を与えず、内栓6に施された表面被膜層の輝きを維持し、蓋体1の外観の美しさをより高めることができる。
【0034】
図2(b)に、本発明の成形容器用蓋体1における溝部16形状の一例(事例2)を示す。
図2(b)に示すように、例えば、内栓6の裾部10であって、側壁部外壁9aには、径外方向に切り欠かれた切り欠き部21が設けられている。また、外栓7の裾部14であって、側壁部内壁13aには、径内方向に開口された凹部19が設けられている。
【0035】
すなわち、「事例2」においては、溝部16は、側壁部外壁9aに形成された切り欠き部21と、側壁部内壁13aに形成された内向き凹部19とからなるものである。これら切り欠き部21と内向き凹部19は、対面する位置に設けられている。この溝部16は、断面視で一方が径外方向に突出した凸形状となっている。
溝部16の下側(図例では、紙面上側)に設けられた流入口20から、溝部16内に向かって、流動状態の蓋体固定剤15を注入する。
【0036】
ところで、図2(a)、(b)に示すように、内栓6の側壁部9と、外栓7の側壁部内壁13との間、溝部16の下側には、隙間17が断面視でわずかながら縦に長く形成されている。この縦長の隙間17に、流動状態の蓋体固定剤15が流入する場合がある。そこで、隙間17に蓋体固定剤15の流入を防ぐ手段を設けた。
図2(c)に、本発明の成形容器用蓋体1における溝部16形状の一例(事例3)を示す。
【0037】
図2(c)に示すように、例えば、内栓6の裾部10であって、側壁部外壁9aは、径外方向に張り出している。その裾部10には、径外方向に開口された凹部18が設けられている。外向き凹部18は、断面視で、入口より内部が広げられた形状(図例では、楕円形状)に形成されている。外向き凹部18がこのような拡径された形状であると、蓋体固定剤15が硬化した後、外れにくくなる。
【0038】
また、外栓7の裾部14であって、側壁部内壁13aには、径内方向に切り欠かれた切り欠き部21が設けられている。この切り欠き部21は、張り出した裾部10と嵌り合うような形状となっている。
すなわち、「事例3」においては、溝部16は、側壁部外壁9aに形成された外向き凹部18と、側壁部内壁13aに形成された切り欠き部21とからなるものである。これら外向き凹部18(張り出した裾部10)と切り欠き部21は、対面する位置で且つ嵌り合うように設けられている。この溝部16は、断面視で一方が径内方向に突出した凸形状となっている。
【0039】
さて、溝部16の底部には、流動状態で射出された蓋体固定剤15が、当該溝部16より奥に存在する隙間17への入り込みを防ぐ閉塞部22が設けられている。本実施形態では、張り出した裾部10の段付凸部と、切り欠き部21の段付き凹部が重なり合う部位が、閉塞部22となっている。閉塞部22は、内栓6と外栓7が組み合わせられたとき、密着状態となっている。
【0040】
溝部16の下側(図例では、紙面上側)に設けられた流入口20から、溝部16内に向かって、流動状態の蓋体固定剤15を注入する。すると、閉塞部22が設けられていることにより、奥側の隙間17に蓋体固定剤15の流入を防いでいる。
しかしながら、「事例3」では、閉塞部22が設けられていることで、蓋体固定剤15の入り込みを防ぐことができるが、製造過程において、金型が複雑になり、金型から製品(図例では、内栓6)を抜きにくく(外しにくく)なってしまうことがある。そこで、閉塞部22により蓋体固定剤15の隙間17への流入を防ぎ且つ、金型から製品(内栓6など)を抜きやすくなる溝部16の形状を検討した。
【0041】
図3及び図4に、本発明の成形容器用蓋体1における溝部16形状の一例(事例4)を示す。
図3及び図4などに示すように、例えば、内栓6の裾部10であって、側壁部外壁9aは、径外方向に張り出していて、傾斜している。その裾部10の側壁部外壁9aは、上側から下側(図3の例では、紙面下側から上側)に向かって倒れ掛かるような傾斜面となっている。
【0042】
また、外栓7の裾部14であって、側壁部内壁13aには、径内方向に切り欠かれた切り欠き部21が設けられている。切り欠き部21であって、側壁部内壁13aは、上下方向に沿った面(垂直面)となっている。
裾部10の側壁部外壁9a(傾斜面)と、裾部14(切り欠き部21)の側壁部内壁13a(垂直面)は、対面する位置に設けられている。裾部14の切り欠き部21に、張り出した裾部10が嵌り込むようになっている。
【0043】
溝部16の底部には、流動状態で射出された蓋体固定剤15が、当該溝部16より奥に存在する隙間17への入り込みを防ぐ閉塞部22が設けられている。本実施形態では、張り出した裾部10の段付凸部と、切り欠き部21の段付き凹部が重なり合う部位が、閉塞部22となっている。閉塞部22は、内栓6と外栓7が組み合わせられたとき、密着状態となっている。
【0044】
溝部16の下側(図3では上側)に設けられた流入口20から、溝部16内に向かって、流動状態の蓋体固定剤15を注入する。すると、閉塞部22が設けられていることにより、奥側の隙間17に蓋体固定剤15の流入を防いでいる。
すなわち、「事例4」においては、溝部16は、裾部10の側壁部外壁9a(傾斜面)と、裾部14(切り欠き部21)の側壁部内壁13a(垂直面)とからなる空間とされて
いる。
【0045】
溝部16は、断面視で、閉塞部22に向かって狭まる形状(楔のような形状)とされている。「事例4」では、溝部16は、断面視で、上側に向かって狭まる(図3の例では、紙面上側に向かって広がる)台形状となっていて、その狭まった位置に閉塞部22が設けられている。
なお、溝部16の形状について、図3及び図4で示した閉塞部22に向かって狭まる形状は一例であり、この形状に限定されない。つまり、溝部16の形状が、閉塞部22により蓋体固定剤15の隙間17への流入を防ぎ且つ、金型から製品(内栓6など)を抜きやすくなる形状であるとよい。
【0046】
上記の「事例4」では、内栓6の裾部10と外栓7の裾部14(蓋体1の裾部5)に隙間17に溝部16を設け、その溝部16に液状の蓋体固定剤15を流し込み、その後硬化させることで、蓋体固定剤15を内栓6と外栓7の抜け防止材とし、内栓6と外栓7を嵌合させる。
これにより、内栓6と外栓7とに、アンダーカット部900(図14図15などを参照)を設けることが不要となり、従来技術と比べて、蓋体1のデザイン性が向上する。また、外栓7及び内栓6の形状なども簡素化されるため、金型の構造を簡単にすることができる。
【0047】
図5に、本発明の成形容器用蓋体1における溝部16形状の一例(事例5)を示す。
図5に示すように、内栓6の裾部10における側壁部外壁9aは、下側から立ち上がった垂直面とされている。また、外栓7の裾部14における側壁部内壁13aは、下側から立ち上がった垂直面とされている。側壁部外壁9aと、側壁部内壁13aは、対面する位置に設けられていて、溝部16は断面視で矩形状となっている。
【0048】
すなわち、「事例5」では、抜け防止材(蓋体固定剤15)と、内栓6及び外栓7との接触面積を増やすため、断面視で、溝部16の形状を矩形状にしてもよい。
この「事例5」では、側壁部外壁9aと、側壁部内壁13aに囲まれた隙間17を溝部16とし、その矩形状の溝部16に、流動状態の蓋体固定剤15を注入する。
図6に、本発明の成形容器用蓋体1における溝部16の形状の一例(事例6)を示す。
【0049】
図6に示すように、例えば、溝部16は、断面視で、閉塞部22に向かって広がる形状とされ且つ、凹部18を設けていてもよい。溝部16は、断面視で、上側に向かって広がる台形状となっていて、その広がった位置に閉塞部22が設けられている。
「事例6」では、内栓6の側壁部外壁9aであって、裾部10には、径外方向に開口された凹部18が設けられている。外向き凹部18は、断面視で、開口側に向かって拡径された形状(図例では、半円形状)に形成されている。
【0050】
一方、外栓7の側壁部内壁13aであって、裾部14には、切り欠き部21が設けられている。この切り欠き部21は、裾部14下側に向かって狭まる傾斜面を有している。
すなわち、「事例6」では、蓋体固定剤15(抜け防止材)が硬化後に、内栓6-外栓7の溝部16(隙間17)から抜け落ちないように、溝部16に凹部18を設けたり、切り欠き部21に下側に向かって狭まる傾斜面を設けて逆テーパ形状にするといった、蓋体固定剤15(抜け防止材)が溝部16から抜け落ちない形状にしてもよい。ただし、凹部18と逆テーパ形状(切り欠き部21の傾斜面)については、内栓6と外栓7のいずれかに設けられてもよい。
【0051】
図7に、本発明の成形容器用蓋体1における溝部16の形状の一例(事例7)を示す。
図7に示すように、例えば、内栓6の側壁部外壁9aは、全面が上側から下側に向かって倒れ掛かるような傾斜面となっている。また、外栓7の側壁部内壁13aは、上下方向に沿った面(垂直面)となっている。この側壁部外壁9a(傾斜面)と、側壁部内壁13a(垂直面)は、対面する位置に設けられていて、溝部16は断面視で台形状となっている。
【0052】
すなわち、「事例7」では、内栓6の側壁部外壁9aの全面と、外栓7の側壁部内壁13aの全面に囲まれた隙間17全てを溝部16とし、その台形状の溝部16に流動状態の蓋体固定剤15(抜け防止材)を注入する。
図8に、本発明の成形容器用蓋体1における溝部16の形状の一例(事例8)を示す。
図8に示すように、例えば、内栓6の側壁部外壁9aは、下側から立ち上がった垂直面とされ且つ、上底部外壁8aへと繋がっている。また、外栓7の側壁部内壁13aは、下側から立ち上がった垂直面とされ且つ、上底部内壁12aへと繋がっている。側壁部外壁9a~上底部外壁8aと、側壁部内壁13a~上底部内壁12aは、対面する位置に設けられていて、溝部16は断面視で略L字形状となっている。
【0053】
すなわち、「事例8」では、内栓6の側壁部外壁9aの全面~上底部外壁8aの一部と、外栓7の側壁部内壁13aの全面~上底部内壁12aの一部に囲まれた隙間17全てを溝部16とし、その略L字形状の溝部16(内栓6の天面側(上底部外壁8aの一部)まで)に、流動状態の蓋体固定剤15(抜け防止材)を注入する。
図9に、本発明の成形容器用蓋体1であって、蓋体固定剤15が蓋体1の外観のデザインとなる場合の溝部16形状の一例(事例9)を示す。
【0054】
図9に示すように、例えば、側面視(外観)で波形状となるように、側壁部内壁13aに切り欠き部21を周回するように設けるようにしてもよい。つまり、隙間17に外観で波形状となる円環状の溝部16が設けられている。
なお、「事例9」においては、例えば硬化し接着後、外側から見て外栓7側のデザイン(リング状など)となる有色の接着剤15(蓋体固定剤15)を用いるとよい。また、デザインのために、事例9や事例10以外の事例においても、有色の接着剤15を用いても良い。
【0055】
すなわち、「事例9」では、内栓6と外栓7との隙間17に設けられる溝部16が三次元のように形成される形状にし、蓋体固定剤15(抜け防止材)を意匠(デザイン)として見せるようにしてもよい。
この「事例9」では、溝部16の下側に設けられた流入口20から、有色の蓋体固定剤15を流動状態で溝部16内に注入する。一定時間後、接着剤15が硬化したとき有色で且つ、溝部16が波形状であるため、溝部16全体が目立つようになるので、外栓7のデザイン性を向上させ、蓋体1の外観の美しさを高めることができる。
【0056】
図10に、本発明の成形容器用蓋体1であって、蓋体固定剤15が蓋体1の外観のデザインとなる場合の溝部16形状の一例(事例10)を示す。
図10に示すように、例えば、蓋体1の裾部5を周回するように、円環状の溝部16を設ける。つまり、裾部5において、互いに向き合った外向き凹部18と内向き凹部19からなる溝部16が設けられている。
【0057】
「事例10」においては、蓋体固定剤15に、着色した接着剤15を用いている。好ましくは、蓋体固定剤15は、硬化し接着後、外栓7のデザインとなるものとされているとよい。蓋体固定剤15は、例えば、外側から見て、ライン状(リング状)となるものであるとよい。
この「事例10」では、溝部16の下側(図面では上側)に設けられた流入口20から、溝部16内に向かって、有色の蓋体固定剤15を流動状態で注入する。一定時間後、接着剤15が硬化したとき有色であるため、接着剤15(蓋体固定剤15)が目立つようになるので、外栓7のデザイン性を向上させ、蓋体1の外観の美しさを高めることができる。
【0058】
図11に、本発明の成形容器用蓋体1における溝部16の形状の一例(事例11)を示す。
図11に示すように、例えば、内栓6と外栓7の隙間17に設けられた溝部16は、裾部10,14(裾部5)全周ではなく、裾部10,14の一部だけ形成されていてもよい。例えば、溝部16を、裾部10,14(裾部5)の周囲に複数箇所(例として、等間隔に2~4個など)設けていてもよい。
【0059】
次いで、本発明にかかる成形容器用蓋体1の製造方法について説明する。
図12に、本発明にかかる成形容器用蓋体1の製造方法の概略を示す。
(1)内栓6を外栓7に嵌め合わせる。
なお、外栓7の裾部10及び内栓6の裾部14(蓋体1の裾部5)の形状については、
凹凸形状や、テーパ形状など様々挙げられる。すなわち、裾部10,14の形状の組み合わせにより、隙間17に設けられた溝部16の形状は、上で詳説したように、種々存在する。
【0060】
(2)隙間17に設けられた溝部16に液状の蓋体固定剤15(抜け防止材)を流し入れる。
(3)紫外線の照射や熱を付与することにより、蓋体固定剤15(抜け防止材)を硬化させる。
なお、液状の蓋体固定剤15(抜け防止材)は、閉塞部22で遮断されるので先の隙間17へは流れることはなく、溝部16に確実に貯留される。硬化後、蓋体固定剤15は外栓7と同化し外観への影響がなくなる。また、蓋体固定剤15及び溝部16の形状により、デザイン性を備え外観がよくなる。
【0061】
このようにして、内栓6を外栓7に嵌め込んで組み合わせて二重壁構造にし、内栓6と外栓7との間の隙間17に設けた溝部16に液状の蓋体固定剤15を流し込んで、硬化させて接着することで、成形容器用蓋体1の外観に影響を与えずに加飾され、デザイン性が向上し高級感などがより高まることとなる。
すなわち、本発明は、有底筒状の内栓6(一次蓋部)と、当該内栓6の外側面を一体に覆う外栓7(二次蓋部)と、を有する成形容器用蓋体1の製造方法において、有底筒状に形成された外栓7で、有底筒状に形成された内栓6を外側から嵌め込むように覆って一体に形成し、内栓6の裾部10の外側面(側壁部外壁9a)とそれに対面する外栓7の裾部14の内側面(側壁部内壁13a)の間に設けられた凹形状の溝部16に、蓋体固定剤15(接着剤15)を流動状態で射出し、溝部16に貯留された蓋体固定剤15が、硬化し接着後少なくとも外栓7の外観と同化することで、成形容器用蓋体1が形成される。
【0062】
好ましくは、溝部16は、成形容器用蓋体1を周回するように形成されているとよい。
好ましくは、溝部16の底部には、流動状態で射出された蓋体固定剤15が、当該溝部16より奥に存在する隙間への入り込みを防ぐ閉塞部22が設けられているとよい。
好ましくは、溝部16は、断面視で、一方から他方に、例えば閉塞部22に向かって狭まる形状とされているとよい。
【0063】
好ましくは、蓋体固定剤15は、硬化し接着後、外栓7のデザインとなるものとされているとよい。
以上、本発明の成形容器用蓋体1と成形容器2及びその製造方法によれば、内栓6(一次蓋部)と外栓7(二次蓋部)との間の隙間17に設けられた溝部16に、内栓6と外栓7を固定する液状の蓋体固定剤15を流し込み、熱や光照射などによって硬化させて接着し、内栓6と外栓7との係合部位を同化させて目立たなくするとともに、外観の美しさをより高めることができる。つまり、本発明によれば、内栓6と外栓7とを係合するアンダーカット部900(図14図15などを参照)を備えなくてもよくなり、蓋体1がさらに良好な外観となる。
【0064】
すなわち、本発明の成形容器用蓋体1は、内栓6の裾部10と外栓7の裾部14の隙間17に溝部16(形状については様々可能)を設けておき、その溝部16に流動状態の接着剤15(蓋体固定剤15)を流し込み、一定時間後硬化させることによって固定する。
また、閉塞部22を設けておくことで、蓋体固定剤15を溝部16に注入したときに、その蓋体固定剤15が溝部16の先にある隙間17へ流れ込んでしまうことを防ぐことができる。
【0065】
これにより、アンダーカット部900(図14図15などを参照)の肉厚の変形が外観上目立たなくなるので、蓋体1の外観に影響が出にくくなり、外観の美しさがより高まる(例えば、図3図11などを参照)。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
【0066】
特に、今回開示された実施形態において、明示されていない事項、例えば、作動条件や操作条件、構成物の寸法、重量などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
例えば、本発明の技術に関して、化粧料などを収容する成形容器2に用いられる蓋体1に適用させて説明したが、本体側の成形容器2にも適用可能である。また、蓋体固定剤15に関して、リング状の嵌め込み部材としてもよい。蓋体固定剤15には、例えば硬化後に弾性のある接着剤なども含まれている(外栓7の外観に影響を与えず、かつ分別等もできる用途があるため)。また、外栓7及び蓋体固定剤15については、基本的に透明で、デザインにあわせて調色できることが望ましく、調色や着色以外にも異物混合(例えば、ラメ入り固定剤等)なども含んでもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 成形容器用蓋体
2 成形容器(本体容器)
3 上側開口部
4 ネジ部
5 裾部(下側開口部)
6 内栓(一次蓋部)
7 外栓(二次蓋部)
8 上底部(内栓側)
8a 上底部外壁
9 側壁部(内栓側)
9a 側壁部外壁
10 裾部
11 ネジ部
12 上底部(外栓側)
12a 上底部内壁
13 側壁部(外栓側)
13a 側壁部内壁
14 裾部
15 蓋体固定剤(接着剤)
16 溝部
17 隙間
18 外向き凹部
19 内向き凹部
20 流入口
21 切り欠き部
22 閉塞部
23 化粧料容器
100 成形容器用蓋体
600 内栓(一次蓋部)
700 外栓(二次蓋部)
900 アンダーカット部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15