(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122701
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】香料組成物およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
C11B 9/00 20060101AFI20220816BHJP
A23L 27/00 20160101ALN20220816BHJP
【FI】
C11B9/00 A
A23L27/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020108
(22)【出願日】2021-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000169466
【氏名又は名称】高砂香料工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】太田 知子
(72)【発明者】
【氏名】大田 尚吾
【テーマコード(参考)】
4B047
4H059
【Fターム(参考)】
4B047LB03
4B047LG37
4B047LG38
4B047LG40
4B047LP01
4B047LP06
4H059AA06
4H059BA01
4H059BA04
4H059BA12
4H059BA15
4H059BA30
4H059BC10
4H059BC23
4H059BC44
4H059CA12
4H059CA72
4H059EA36
(57)【要約】
【課題】
全体的な風味・バランスや飲みやすさ・食べやすさ等を備えた香料組成物およびそれを含有する飲食品の提供。
【解決手段】
植物または植物の水抽出物を寒剤により急速冷凍し、該冷凍物を凍結したまま粉砕し、粉砕物を有機溶媒で抽出することにより、香気成分が変化せず果実等の植物が本来有している香気を得ることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
香気成分の抽出方法であって、寒剤を加えて植物または植物の水抽出液を凍結させて粉砕したのち、低温を保ったまま有機溶媒を用いて粉砕物を抽出することによる香気成分を抽出する方法。
【請求項2】
寒剤が液体窒素またはドライアイスである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
抽出時の温度が-5℃以下である請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
有機溶媒がジクロロメタン、クロロホルム、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、酢酸エチル、ペンタン、ヘキサン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールから選ばれる一種または二種以上の混合物である請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
植物の部位が果実または花である請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
植物の水抽出液が焙煎コーヒー豆の水抽出物である請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の方法により抽出した香気成分の情報を用いる香料組成物の調製方法。
【請求項8】
請求項7に記載の調製方法により得られる香料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物または植物の水抽出物を寒剤により急速冷凍処理を行い、有機溶媒で抽出することによる、香料組成物およびその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
植物または植物の水抽出物から揮発成分である香気を分離するために、抽出・蒸留を行うことが一般的である。この抽出・蒸留の手法には、ソックスレー抽出法や連続蒸留抽出法(SDE、simultaneous distillation extraction)、連続液液抽出法(continuous liquid-liquid extraction)、溶媒抽出などがある(非特許文献1、2)。これら手法を植物または植物の水抽出物に実施すると、工程中に、試料の有する香気が変化することがある。それは、工程中にかかる熱や、試料中に含まれる酵素や油など、また空気中の酸素などが作用することによる。このことから、植物または植物の水抽出物が有する香りを保った状態で香気を抽出することは難しい。しかし、鮮度や本物感を謳った商品は世の中に多くあり、需要があることを伺える。
熱による変化を解決するために低温で抽出する発明が報告されている(特許文献1、2)。しかしこれらの文献は、食品・飲料の製造が目的であり、植物または植物の水抽出物が有する本来の香気組成を探索するための手法発明ではない。
また、植物や飲食物を寒剤で低温にして粉砕する方法が知られている(非特許文献3)。しかしながら、本文献の方法は食品中の残留農薬分析に用いることが目的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開番号WO2006/009252
【特許文献2】国際公開番号WO2007/083812
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】食品分析(試料分析講座)日本分析化学会 (編集)丸善出版、32~45頁、2011年9月発行
【非特許文献2】C. Wu, F. Wang, J. Liu, Y. Zou, X. Chen, Integr. Med. Res., 4, 171-177, 2015
【非特許文献3】“ドライアイス凍結粉砕装置”、[online]、[令和3年2月5日検索]、インターネット<URL: http://www.aisti.co.jp/product/dryice_set/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、全体的なバランスの良い風味・飲みやすさ・食べやすさ等を備えた香料組成物およびそれを含有する飲食品の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために検討した結果、植物または植物の水抽出物を寒剤により急速冷凍し、該冷凍物を凍結したまま粉砕し、粉砕物を有機溶媒で抽出することにより、香気成分が変化せず抽出できることを見出した。
【0007】
本発明は、以下の[1]~[8]を含むものである。
[1]香気成分の抽出方法であって、寒剤を加えて植物または植物の水抽出液を凍結させて粉砕したのち、低温を保ったまま有機溶媒を用いて粉砕物を抽出することによる香気成分を抽出する方法。
[2]寒剤が液体窒素またはドライアイスである前記[1]に記載の方法。
[3]抽出時の温度が-5℃以下である前記[1]または[2]に記載の方法。
[4]有機溶媒がジクロロメタン、クロロホルム、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、酢酸エチル、ペンタン、ヘキサン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールから選ばれる一種または二種以上の混合物である前記[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5]植物の部位が果実または花である前期[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6]植物の水抽出液が焙煎コーヒー豆の水抽出物である前記[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[7]前記[1]~[6]のいずれかに記載の方法により抽出した香気成分の情報を用いる香料組成物の調製方法。
[8]前記[7]の調製方法により得られる香料組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、植物本来の香気を損なうことなく香気成分を抽出できる。また、本発明により得られた抽出物の香料としての利用、または抽出物を詳細に分析することで、植物本来の香気を有する香料の開発が可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、急速冷凍する工程、凍結物を粉砕する工程、及び粉砕された凍結物を低温で有機溶媒を用いて抽出し香気成分の抽出物を得る工程からなる。
本発明において用いられる植物は、主に果実、花及び種子等の部位が挙げられる。具体的な植物としては、アケビ、アセロラ、アボカド、アンズ、イチゴ、イチジク、ウメ、黄桃、オレンジ、カキ、カリン、カンキツ類、キウイフルーツ、キワノ、クリ、グアバ、グレープフルーツ、香酸柑橘類、胡椒、サクランボ、ザクロ、山椒、ジンジャー、スイカ、スターフルーツ、スモモ、西洋ナシ、チェリモヤ、中国ナシ、ドラゴンフルーツ、ドリアン、日本ナシ、ネクタリン、パイナップル、パッションフルーツ、バナナ、バニラ、パパイア、ビワ、ブドウ、ブルーベリー、プルーン、ベリー類、マスカット、マルメロ、マンゴスチン、マンゴー、ミカン、メロン、モモ、ライチ、リンゴ、レモン、茶類(緑茶、紅茶など)、コーヒー豆(生豆、焙煎豆など)、アンブレッドシード、イモーテル、イランイラン、カモミール、キンモクセイ、クスノキ、クラリセージ、クロモジ、サイプレス、サンダルウッド、シダーウッド、シベリアンモミ、ジャスミン、ジュニパーベリー、スイートマジョラム、セージ、ゼラニウム、ティートゥリー、ネロリ、パチュリ、ハッカ、パルマロザ、ヒノキ、ヒバ、フェンネル、プチグレン、フランキンセンス、ベチバー、ホーリーフ、ミルラ、ミント、ユーカリ、ラベンサラ、ラベンダー、リツエアクベバ、レモングラス、レモンバーム、ローズ、ローズマリー等が挙げられる。
好ましくは、スイカ、ブドウ、モモ、リンゴ、コーヒー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、茶類およびコーヒーの場合は、これらの水抽出物が好ましく、水抽出物を得る際の水の温度は、20~100℃が好ましい。
【0010】
本発明の香気成分の抽出方法においては、まず、植物または植物の水抽出物を寒剤により急速凍結する。用いられる寒剤としては、ドライアイス、液体窒素等が挙げられるが、ドライアイスが好ましい。冷凍処理の時間は、5秒~5分、好ましくは10秒~1分である。
次工程の凍結された凍結物を粉砕する工程は、断熱効果のある部材を備えたブレンダーに凍結物を入れ粉砕を行う。粉砕の際には、ドライアイスを共存させることにより、粉砕時の温度上昇を避けることができる。粉砕処理の時間は、5秒~1分、好ましくは10秒~30秒であり、粉砕処理の温度は-78℃~-55℃である。
【0011】
続いて、凍結粉砕により得られた粉砕物を有機溶媒で抽出する。抽出に用いられる有機溶剤としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のジアルキルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル等が挙げられるが、ジエチルエーテルや塩化メチレン、ペンタンが好ましい。
有機溶媒による抽出温度は、-55℃~5℃、好ましくは-20℃~-5℃である。また、抽出時間は1~3時間である。
【0012】
本発明の方法により得られる香気抽出液を、例えばガスクロマトグラフィーのような分析機器により成分分析を行い、その結果を用いて香料組成物を作成することができる。また、該香料組成物は、種々の飲食品に添加することにより、風味豊かな飲食品を得ることができる。
【実施例0013】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
[測定機器]
実施例において使用した分析機器等は以下の通りである。
<GC/FID>
Instrument: 7890A GC (Agilent)
Column: BC-WAX (GL Sciences)
Column dimension: 50 m × 0.25 mm I.D., 0.15 μm df
Oven program: 70℃(0 min) → 230℃, 4℃/min
<GC/MS>
Instrument: GCMS-QP2010 Ultra (Shimadzu)
Column: BC-WAX (GL Sciences)
Column dimension: 50 m × 0.25 mm I.D., 0.15 μm df
Oven program: 70℃(0 min) → 230℃, 4℃/min
【0014】
(実施例1)巨峰
約2 kgの種なし巨峰の実(皮あり)に約2.4 kgの粉状にしたドライアイスを混和させ、実を凍結させた。凍結後、実と粉状のドライアイスをブレンダーで粉砕し、全てを粉状にした。そこに-20℃の塩化メチレン3 Lと内部標準物質nonan-5-oneを加えて3時間撹拌抽出をした。得られた約1.5 Lの抽出液からSAFE(Solvent Assisted Flavour Evaporation)を用いて不揮発成分を留去し、硫酸ナトリウムで脱水した。脱水後の回収液は、47℃の水浴に入れ、窒素雰囲気下で、クデルナーダニッシュ濃縮装置で約1 mLまで濃縮した。その後さらに、窒素気流下で約100μLまで溶媒留去し、濃縮物を得た。
【0015】
(実施例2)コンコード
約2 kgのコンコードの実(種なし、皮あり)に約2.4 kgの粉状にしたドライアイスを混和させ、実を凍結させた。凍結後、実と粉状のドライアイスをブレンダーで粉砕し、全てを粉状にした。そこに-20℃の塩化メチレン3 Lと内部標準物質 nonan-5-oneを加えて3時間撹拌抽出をした。得られた約1.5 Lの抽出液からSAFEを用いて不揮発成分を留去し、硫酸ナトリウムで脱水した。脱水後の回収液は、47℃の水浴に入れ、窒素雰囲気下で、クデルナーダニッシュ濃縮装置で約1 mLまで濃縮した。その後さらに、窒素気流下で約100μLまで溶媒留去し、濃縮物を得た。
【0016】
(実施例3)デラウェア
約2 kgの種なしデラウェアの実(皮あり)に約2.4 kgの粉状にしたドライアイスを混和させ、実を凍結させた。凍結後、実と粉状のドライアイスをブレンダーで粉砕し、全てを粉状にした。そこに-20℃の塩化メチレン2.5 Lと内部標準物質 nonan-5-oneを加えて3時間撹拌抽出をした。得られた約1 Lの抽出液からSAFEを用いて不揮発成分を留去し、硫酸ナトリウムで脱水した。脱水後の回収液は、47℃の水浴に入れ、窒素雰囲気下で、クデルナーダニッシュ濃縮装置で約1 mLまで濃縮した。その後さらに、窒素気流下で約100μLまで溶媒留去し、濃縮物を得た。
【0017】
(比較例1)巨峰
実施例1と比較するため、以下の通り従来手法を用いて巨峰の濃縮物を調製した。
種なし巨峰の実(皮あり)3.4 kgに食塩900 gを加え、ブレンダーでジュース状にした。ジュース状の試料に3 Lの塩化メチレンと内部標準物質 nonan-5-oneを加えて、2時間撹拌抽出をした。抽出後、遠心分離機を用いて有機層と水層(固体層含む)に分けた。得られた有機層を硫酸ナトリウムで脱水した後、クデルナーダニッシュ濃縮装置を用いて、47℃の水浴で、約200 mLまで濃縮した。濃縮液からSAFEを用いて不揮発成分を留去し、硫酸ナトリウムで脱水した。脱水した回収液は、クデルナーダニッシュ濃縮装置を用いて、47℃の水浴で、約1 mLまで濃縮した。その後さらに、窒素気流下で約100μLまで溶媒留去し、濃縮物を得た。
【0018】
(比較例2)コンコード
実施例2と比較するため、以下の通り従来手法を用いてコンコードの濃縮物を調製した。
コンコードの実(種なし、皮あり)3 kgに食塩約900 gを加え、ブレンダーでジュース状にした。ジュース状の試料に3 Lの塩化メチレンと内部標準物質 nonan-5-oneを加えて、2時間撹拌抽出をした。抽出後、遠心分離機を用いて有機層と水層(固体層含む)に分けた。得られた有機層を硫酸ナトリウムで脱水した後、クデルナーダニッシュ濃縮装置を用いて、47℃の水浴で、約200 mLまで濃縮した。濃縮液からSAFEを用いて不揮発成分を留去し、硫酸ナトリウムで脱水した。脱水した回収液は、クデルナーダニッシュ濃縮装置を用いて、47℃の水浴で、約1 mLまで濃縮した。その後さらに、窒素気流下で約100μLまで溶媒留去し、濃縮物を得た。
【0019】
(比較例3)デラウェア
実施例3と比較するため、以下の通り従来手法を用いてデラウェアの濃縮物を調製した。
種なしデラウェアの実(皮あり)2.2 kgに食塩約600 gを加え、ブレンダーでジュース状にした。ジュース状の試料に2 Lの塩化メチレンと内部標準物質 nonan-5-oneを加えて、2時間撹拌抽出をした。抽出後、遠心分離機を用いて有機層と水層(固体層含む)に分けた。得られた有機層を硫酸ナトリウムで脱水した後、クデルナーダニッシュ濃縮装置を用いて、47℃の水浴で、約200 mLまで濃縮した。濃縮液からSAFEを用いて不揮発成分を留去し、硫酸ナトリウムで脱水した。脱水した回収液は、クデルナーダニッシュ濃縮装置を用いて、47℃の水浴で、約1 mLまで濃縮した。その後さらに、窒素気流下で約100μLまで溶媒留去し、濃縮物を得た。
【0020】
(比較結果1)
本発明の手法である実施例1~3から得られた抽出液の香気を、パネル5人で評価した結果、ブドウ3品種ともに、生のブドウを食す際の良好な香りを保持していたことが確認できた。実施例1~3と比較例1~3により得られた各抽出物の香りの評価を表1に示す。
また、実施例1~3と比較例1~3により得られた各内部標準物質の面積値を10とした際の各濃縮物中のC6系化合物の面積値を表2に示す。比較例1~3で多く抽出されたhexanal、cis-3-hexenal、trans-2-hexenal、trans-2-hexenolなどのC6系の化合物が実施例1~3の手法では減った。これらC6系の化合物の二次生成を抑制して本来のブドウの香りを抽出されていることが示唆された。
【0021】
【0022】
【0023】
(実施例4)本発明の手法による結果を反映したC6成分低含有量香料の作成とその香りの評価
グレープ様香料中のC6成分が香りに与える効果を確認した。表3の実施例の処方に従い、グレープ様香料組成物を調製した。調製した香料組成物を水に0.1質量%添加し、7人のパネルで香りの評価を行ったところ、ブドウ本来の香りを想起させる良い香りだと全員が回答した。
【0024】
(比較例4)従来の手法による結果を反映したC6成分高含有量香料の作成とその香りの評価
グレープ様香料中のC6成分が香りに与える効果を確認した。比較結果1、表2の「巨峰」の結果で、trans-2-hexenalは実施例1より比較例1の方が67倍多く、cis-3-hexenolは実施例1より比較例1の方が5倍多く検出された。この結果を表3の比較例の処方に反映して、表3の実施例のtrans-2-ヘキセナールを67倍多く、cis-3-ヘキセノールを5倍多くした表3の比較例の処方を作成した。この比較例の処方に従い、グレープ様香料組成物を調製した。調製した香料組成物を水に0.1質量%添加し、7人のパネルで香りの評価を行ったところ、ブドウ本来の香りを損なっており、美味しくないと全員が回答した。
【0025】
【0026】
(実施例5)スイカ
約570 gの山形県尾花沢産のスイカの果肉に、660 gの粉状にしたドライアイスを混和させ、果肉を凍結させた。凍結後、果肉と粉状のドライアイスをブレンダーで粉砕し、全てを粉状にした。そこに-20℃の塩化メチレン1.5 Lを加えて3時間撹拌抽出をした。得られた抽出液からSAFEを用いて不揮発成分を留去し、硫酸ナトリウムで脱水した。脱水後の回収液は、47℃の水浴に入れ、窒素雰囲気下で、クデルナーダニッシュ濃縮装置で約1 mLまで濃縮した。その後さらに、窒素気流下で約100μLまで溶媒留去し、濃縮物を得た。
抽出液の香気を5名のパネルにより評価したところ、スイカの本来の香りを想起させる良好な香りを得たことを確認できた。
【0027】
(実施例6)モモ
川中島白桃の果肉500 gに粉状にしたドライアイス600 gを混和させ、果肉を凍結させた。凍結後、果肉と粉状のドライアイスをブレンダーで粉砕し、全てを粉状にした。そこに-20℃のジエチルエーテル1 Lを加えて3時間撹拌抽出をした。得られた抽出液からSAFEを用いて不揮発成分を留去し、硫酸ナトリウムで脱水した。脱水後の回収液は、47℃の水浴に入れ、窒素雰囲気下で、クデルナーダニッシュ濃縮装置で約1 mLまで濃縮した。その後さらに、窒素気流下で約100μLまで溶媒留去し、濃縮物を得た。
抽出液の香気を5名のパネルにより評価したところ、モモの本来の香りを想起させるフレッシュでジューシーな良い香りを得たことを確認できた。
【0028】
(実施例7)コーヒー
焙煎して挽いたアラビカ豆を95℃程度のお湯で抽出したコーヒー抽出液300 gに粉状にしたドライアイス 900 gを混和させ、コーヒー抽出液を凍結させた。凍結後、コーヒー抽出液と粉状のドライアイスをブレンダーで粉砕し、全てを粉状にした。そこに-20℃の塩化メチレン1.5 Lを加えて3時間撹拌抽出をした。得られた抽出液からSAFEを用いて不揮発成分を留去し、硫酸ナトリウムで脱水した。脱水後の回収液は、47℃の水浴に入れ、窒素雰囲気下で、クデルナーダニッシュ濃縮装置で約1 mLまで濃縮した。その後さらに、窒素気流下で約100μLまで溶媒留去し、濃縮物を得た。
抽出液の香気を5名のパネルにより評価したところ、淹れたてのコーヒーの香りを想起させる良好な香りを得たことを確認できた。
【0029】
(実施例8)リンゴ
サンふじの果肉2 kgに粉状にしたドライアイス2.4 kgを混和させ、果肉を凍結させた。凍結後、果肉と粉状のドライアイスをブレンダーで粉砕し、全てを粉状にした。そこに
-20℃の塩化メチレン3 Lを加えて3時間撹拌抽出をした。得られた抽出液は、47℃の水浴に入れ、窒素雰囲気下で、クデルナーダニッシュ濃縮装置で約1 mLまで濃縮した。その後さらに、窒素気流下で約100μLまで溶媒留去し、濃縮物を得た。
抽出液の香りを4名のパネルにより評価したところ、リンゴ本来の香りを想起させるフレッシュで良好な香りを得たことを確認できた。