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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122707
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】掛け紙連続体
(51)【国際特許分類】
   B31D 1/02 20060101AFI20220816BHJP
   B32B 29/00 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
B31D1/02 Z
B32B29/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020120
(22)【出願日】2021-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古澤 寛樹
(72)【発明者】
【氏名】吉田 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】江頭 雄介
(72)【発明者】
【氏名】郷地 有治
【テーマコード(参考)】
3E075
4F100
【Fターム(参考)】
3E075AA28
3E075AA29
3E075BA82
3E075BA83
3E075DA14
3E075DB20
3E075DB33
3E075GA02
4F100BA02
4F100CB00B
4F100DC13
4F100DG10A
4F100EA02
4F100EH46
4F100GB90
4F100JK03A
4F100YY00A
(57)【要約】      (修正有)
【課題】切断装置により切断する際に、装置へのセット時や搬送時における不用意な破損を防止できるとともに、容易に切断することが可能な掛け紙連続体を提供する。
【解決手段】掛け紙連続体1は、長手方向Xに配置されるとともに、長手方向Xと交差する幅方向Yに延設された複数のミシン目Mを有し、JIS K7128-1に準拠して測定された、掛け紙連続体1の幅方向Yにおける中央部Cの引き裂き強度の平均値が20g以下であるとともに、掛け紙連続体1の幅方向Yにおける両サイド部Eの引き裂き強度の最大値が31g以上である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に配置されるとともに、該長手方向と交差する幅方向に延設された複数のミシン目を有する掛け紙連続体であって、
JIS K7128-1に準拠して測定された、前記掛け紙連続体の幅方向における切断開始領域の引き裂き強度の平均値が20g以下であるとともに、前記掛け紙連続体の幅方向における前記切断開始領域に隣接する領域の引き裂き強度の最大値が31g以上であることを特徴とする掛け紙連続体。
【請求項2】
前記切断開始領域に隣接する領域の引き裂き強度の最大値が34g以上であることを特徴とする請求項1に記載の掛け紙連続体。
【請求項3】
前記切断開始領域における前記ミシン目のカット部のカット長が、前記切断開始領域に隣接する領域における前記ミシン目のカット部のカット長よりも長いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の掛け紙連続体。
【請求項4】
前記切断開始領域が、前記掛け紙連続体の幅方向における中央部であり、前記切断開始領域に隣接する領域が、前記掛け紙連続体の幅方向における両サイド部であることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の掛け紙連続体。
【請求項5】
基材と、該基材の表面に設けられた粘着層とを少なくとも備えることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の掛け紙連続体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のミシン目を有する掛け紙連続体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラベル連続体を個別のラベル毎に切断するラベル連続体切断装置が、ラベル貼付機に組み合わされて広く使用されている。このラベル連続体切断装置としては、例えば、特許文献1のようにはさみ状の刃を用いるタイプや、特許文献2のように押切刃を用いるタイプが知られている。そして、ラベル連続体切断装置にセットされるロール状に巻回されたラベル連続体には、所定の間隔でミシン目が設けられており、このミシン目で切り離すことにより、個別のラベルとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-331667号公報
【特許文献2】特開2000-296822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ミシン目を有するラベル連続体を切断装置へセットする際に、作業者がラベル連続体を引っ張る力と切断装置がラベル連続体を引っ張る力とのバランスが崩れると、ミシン目に沿ってラベル連続体が不用意に破損(切断)してしまうという問題があった。
【0005】
また、切断装置において、粘着層を備えるが剥離紙を備えていないラベル連続体を搬送すると、ラベル連続体が粘着層を介して搬送経路へ粘着してしまい、ラベル連続体が不用意に破損してしまうという問題があった。さらに、ラベル連続体を切断する際に、刃に粘着剤が付着して刃の切断力が低下し、ラベル連続体の切断が困難になるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、上述のラベル連続体と同様にミシン目を有する掛け紙連続体を切断装置により切断する際に、装置へのセット時や搬送時における不用意な破損を防止することができるとともに、容易に切断することが可能な掛け紙連続体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の発明は、長手方向に配置されるとともに、長手方向と交差する幅方向に延設された複数のミシン目を有する掛け紙連続体であって、JIS K7128-1に準拠して測定された、掛け紙連続体の幅方向における切断開始領域の引き裂き強度の平均値が20g以下であるとともに、掛け紙連続体の幅方向における切断開始領域に隣接する領域の引き裂き強度の最大値が31g以上であることを特徴とする。
【0008】
上記構成によると、ミシン目を有する掛け紙連続体を切断装置により切断する際に、装置へのセット時や搬送時における不用意な破損を防止することができるとともに、切断装置により容易に切断することが可能になる。
【0009】
また、第2の発明では、第1の発明において、切断開始領域に隣接する領域の引き裂き強度の最大値が34g以上であることを特徴とする。
【0010】
上記構成によると、装置へのセット時や搬送時における掛け紙連続体の不用意な破損を確実に防止することができる。
【0011】
また、第3の発明では、第1の発明または第2の発明において、切断開始領域におけるミシン目のカット部のカット長が、切断開始領域に隣接する領域におけるミシン目のカット部のカット長よりも長いことを特徴とする。
【0012】
上記構成によると、切断開始領域から切断開始領域に隣接する領域に向けて、掛け紙連続体を滑らかに切断することが可能になる。
【0013】
また、第4の発明では、第1~第3のいずれか1つの発明において、切断開始領域が、掛け紙連続体の幅方向における中央部であり、切断開始領域に隣接する領域が、掛け紙連続体の幅方向における両サイド部であることを特徴とする。
【0014】
上記構成によると、掛け紙連続体の切断が開始される中央部から両サイド部に向けて、掛け紙連続体を滑らかに切断することが可能になる。
【0015】
また、第5の発明では、第1~第4のいずれか1つの発明において、基材と、基材の表面に設けられた粘着層とを少なくとも備えることを特徴とする。
【0016】
上記構成によると、粘着層を備えるが剥離紙を備えない掛け紙連続体を切断刃で切断する場合であっても、切断装置へのセット時や搬送時における不用意な破損を防止することができるとともに、容易に切断することが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ミシン目を有する掛け紙連続体を切断装置により切断する際に、装置へのセット時や搬送時における不用意な破損を防止することができるとともに、容易に切断が可能な掛け紙連続体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る掛け紙連続体を説明するための断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る掛け紙連続体を説明するための平面図である。
図3】本発明の実施形態に係る掛け紙連続体を切断する切断刃を説明するための平面図である。
図4】本発明の実施形態に係る掛け紙連続体の切断方法を説明するための概略図である。
図5】本発明の実施形態に係る掛け紙連続体のミシン目における引き裂き強度を示すジッピング形状のグラフの模式図である。
図6】実施例1における掛け紙連続体の切断評価の方法を説明するための図である。
図7】実施例1における掛け紙連続体の切断評価の方法を説明するための図である。
図8】実施例1における掛け紙連続体の切断評価の方法を説明するための図である。
図9】比較例1における掛け紙連続体を説明するための平面図である。
図10】比較例2における掛け紙連続体を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
【0020】
図1は、本実施形態の掛け紙連続体を説明するための断面図であり、図2は、本発明の実施形態に係る掛け紙連続体を説明するための平面図である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の掛け紙連続体1は、シート状の基材2と、基材2の表面に設けられ、加熱によって発色する感熱記録層3と、基材2の感熱記録層3側とは反対側の表面に設けられた粘着層4とを備えており、長尺状の掛け紙連続体1を捲回してロール状に仕上げられている。
【0022】
基材2としては、例えば、上質紙、アート紙、コート紙、クラフト紙、これらの紙基材にポリエチレンなどの熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙などの紙類、合成紙、不織布などの多孔質材料を用いることができる。また、透明の合成樹脂フィルム、例えば、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルムなどを用いることができる。なお、基材2の厚さは特に限定されないが、例えば、10μm~100μm程度が塗工性及び透明性に優れ、好ましい。
【0023】
感熱記録層3を形成する材料としては、加熱により発色する発色剤、顕色剤、結着剤、及び滑剤などを含む。
【0024】
感熱記録層3の透明性を向上させるために、各材料は、粒子径の細かいものを使用することが好ましい。このように粒子径の細かい材料を使用することにより、粒子の乱反射を抑制することができる。
【0025】
具体的には、発色剤であるロイコ染料としては、例えば、2-アニリン-3メチル-6-(N-メチル-P-トルイジノ)フルオランなどを挙げることができ、それらの粒子径は、0.1~1.0μmであることが好ましい。ここで、粒子径とは、マイクロトラックレーザー解析・散乱式粒度分析機による測定50%平均粒子径をいう。
【0026】
上記の顕色剤としては、例えば、3,3’-ジアリル-4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホンなどを挙げることができ、それらの粒子径は、0.1~1.0μmであることが好ましい。
【0027】
上記の結着剤としては、例えば、スチレン-ブタジエン共重合体などを挙げることができる。
【0028】
上記の滑剤としては、ポリエチレン、ステアリン酸亜鉛、パラフィンなどを挙げることができ、それらの粒子径は、0.5μm以下であることが好ましい。
【0029】
また、粘着層4は、基材2の感熱記録層3側とは反対側の表面に設けられており、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、エマルジョン型粘着剤、有機溶剤を使用した溶剤型粘着剤、ホットメルト型粘着剤等により形成されている。また、粘着層4の厚さは特に限定されないが、例えば、5~50μmに設定されている。
【0030】
また、図2に示すように、本実施形態の掛け紙連続体1には、長手方向Xに所定の間隔Dで配置され、長手方向Xと交差する幅方向Yに延設された複数のミシン目Mが形成されており、掛け紙連続体切断装置を用いて、このミシン目で切り離すことにより、個別の掛け紙となる。
【0031】
また、図2に示すように、掛け紙連続体1の幅方向Yにおける中央部Cにおいて、ミシン目Mは、カットされた部分であるカット部5と、隣接する2つのカット部5の間に設けられたカットされていない部分であるタイ部6とが交互に配置された構造を有する。
【0032】
また、図2に示すように、掛け紙連続体1の幅方向Yにおける両サイド部Eにおいて、ミシン目Mは、カットされた部分であるカット部7と、隣接する2つのカット部7の間に設けられたカットされていない部分であるタイ部8とが交互に配置された構造を有する。
【0033】
そして、本実施形態の掛け紙連続体1においては、ミシン目Mに沿って掛け紙連続体1を切断する際に、切断開始領域におけるカット部のカット長を長くする構成としている。例えば、ミシン目Mに沿って掛け紙連続体1を切断する際に、中央部Cから切断が開始される場合(例えば、図3に示すような、切断の際に中央部Cに接触する部分11が、両サイド部Eに接触する部分12よりも突出している切断刃10を使用する場合)、切断開始領域(すなわち、掛け紙連続体1において、切断の際に、切断刃10が最初に接触する領域)である中央部Cにおけるカット部5のカット長Lを、切断開始領域(すなわち、中央部C)に隣接する領域である両サイド部Eにおけるカット部7のカット長Lよりも長くする構成としている。
【0034】
このような構成により、切断開始領域である中央部Cから両サイド部Eに向けて、掛け紙連続体1を滑らかに切断することが可能になる。
【0035】
次に、本実施形態の掛け紙連続体1の切断方法を説明する。図4は、本実施形態の掛け紙連続体1の切断方法を説明するための概略図である。
【0036】
本実施形態における掛け紙連続体1を切断する際には、一対の搬送ロール13,14と、上述の切断刃10を備えた掛け紙連続体切断装置40に長尺状の掛け紙連続体1をセットし、この掛け紙連続体1を搬送しながら、切断刃10により、掛け紙連続体1のミシン目Mに沿って掛け紙連続体1を切断し、掛け紙を製造する構成となっている。
【0037】
なお、切断刃10は、搬送される掛け紙連続体1のミシン目Mに合わせて、矢印Zの方向に移動自在となるように構成されており、図3に示すように、この切断刃10は、掛け紙連続体1を切断する際に中央部Cに接触する部分11が、両サイド部Eに接触する部分12よりも突出しているため、ミシン目Mに沿って掛け紙連続体1を切断する際に、中央部Cから切断が開始される。
【0038】
ここで、本実施形態の掛け紙連続体1においては、JIS K7128-1に準拠したトラウザー引裂試験法で測定された中央部Cにおける引き裂き強度の平均値が20g以下である点に特徴がある。
【0039】
そして、このように、掛け紙連続体1の中央部Cにおける引き裂き強度が小さいため、切断開始領域である中央部Cにおいて、掛け紙連続体1の切断が容易となり、剥離紙を備えない掛け紙連続体1を切断刃10で切断する場合であっても、中央部Cから両サイド部Eに向けて、掛け紙連続体1を滑らかに切断することが可能になる。
【0040】
なお、ここで言う「引き裂き強度の平均値」とは、ミシン目M部分の引き裂き強度を測定する際に観測される「ジッピング形状のグラフ」において、掛け紙連続体1の中央部Cのミシン目Mにおける引き裂き強度の平均値(図5を参照)のことを言う。
【0041】
また、本実施形態の掛け紙連続体1においては、JIS K7128-1に準拠したトラウザー引裂試験法で測定された両サイド部Eにおける引き裂き強度の最大値が31g以上である点に特徴がある。
【0042】
そして、このように、掛け紙連続体1の両サイド部Eにおける引き裂き強度が大きいため、掛け紙連続体1を切断装置へセットする際における掛け紙連続体1の不用意な破損や、掛け紙連続体1を搬送する際において、両サイド部Eの粘着層4を介した搬送経路への粘着に起因する掛け紙連続体1の不用意な破損を防止することが可能になる。
【0043】
なお、上述のセット時や搬送時における掛け紙連続体1の不用意な破損を確実に防止するとの観点から、両サイド部Eにおける引き裂き強度の最大値が34g以上であることが好ましい。
【0044】
また、ここで言う「引き裂き強度の最大値」とは、ミシン目M部分の引き裂き強度を測定する際に観測される「ジッピング形状のグラフ」において、掛け紙連続体1の両サイド部Eのミシン目Mにおける最も高い強度の値(図5を参照)のことを言う。
【実施例0045】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを発明の範囲から除外するものではない。
【0046】
(実施例1)
(掛け紙連続体)
掛け紙連続体1として、厚みが68μmの上質紙に、厚みが25μmの粘着剤を塗工したサンプルを用意した。
【0047】
なお、この掛け紙連続体1の切断開始部分である中央部Cにおけるカット部5のカット長Lを1.4mmに設定するとともに、両サイド部Eにおけるカット部7のカット長Lを1.2mmに設定した。また、タイ部7,8の長さ(タイ長)を0.3mmに設定した。
【0048】
(引き裂き強度の測定)
JIS K7128-1に準拠したトラウザー引裂試験法により、掛け紙連続体1の引き裂き強度を測定した。より具体的には、ミシン目Mが形成された長さ100mm、幅50mmの掛け紙連続体1を用意し、テンシロン型万能試験機ORIENTEC社製、商品名:RTC-1210Aを用い、幅方向Yにおいて、300mm/minの試験速度で、掛け紙連続体1の引き裂き試験を行い、掛け紙連続体1の幅方向Yにおける中央部Cの引き裂き強度の平均値(g)、及び掛け紙連続体1の幅方向Yにおける両サイド部Eの引き裂き強度の最大値(g)を測定した。以上の結果を表1に示す。
【0049】
(セット適正評価、搬送適正評価、切断評価)
次に、用意した掛け紙連続体1を、図3に示す切断刃10を備える掛け紙連続体切断装置(大阪シーリング印刷株式会社製)にセットし、この掛け紙連続体1を搬送しながら、切断刃10により、ミシン目Mに沿って掛け紙連続体1を切断した。
【0050】
そして、掛け紙連続体1を掛け紙連続体切断装置へセットする際、及び掛け紙連続体1を搬送する際における掛け紙連続体1の破損の有無について、以下の基準に基づいて評価することにより、掛け紙連続体のセット適正評価と搬送適正評価を行った。以上の結果を表1に示す。
セット時(または搬送時)に掛け紙連続体が破損しなかった:〇
セット時(または搬送時)に掛け紙連続体が破損した:×
【0051】
また、掛け紙連続体1の搬送方向Hにおけるミシン目Mの位置を基準位置S(図6参照)として、搬送方向Hにおいて基準位置Sから+方向に+2mm、+1mmずらした位置S図7参照)、及び搬送方向Hにおいて基準位置Sから-方向に-2mm、-1mmずらした位置S図8参照)における掛け紙連続体の切断評価を以下の基準に基づいて行った。以上の結果を表1に示す。
切断跡やシワが発生することなく切断できた:〇
切断跡やシワが発生したが切断できた:△
切断できなかった:×
【0052】
(比較例1)
掛け紙連続体として、図9に示す、中央部Cと両サイド部Eの両方において、カット部16(カット長:0.3mm)と、隣接する2つのカット部16の間に設けられたタイ部17(タイ長:0.3mm)とが交互に配置された構造を有するミシン目Mを備える点のみが異なる掛け紙連続体20を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、引き裂き強度の測定、セット適正評価、搬送適正評価、及び切断評価を行った。以上の結果を表1に示す。
【0053】
(比較例2)
掛け紙連続体として、図10に示す、中央部Cと両サイド部Eの両方においてカット部26(カット長:2.0mm)と、隣接する2つのカット部26の間に設けられたタイ部27(タイ長:0.3mm)とが交互に配置された構造を有するミシン目Mを備える点のみが異なる掛け紙連続体30を使用したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、引き裂き強度の測定、セット適正評価、搬送適正評価、及び切断評価を行った。以上の結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
表1に示すように、実施例1の掛け紙連続体1においては、中央部Cの引き裂き強度の平均値が20g以下であるため、切断開始領域である中央部Cにおいて、掛け紙連続体1の切断が容易となり、中央部Cから両サイド部Eに向けて、掛け紙連続体1を滑らかに切断することが可能になるため、基準位置Sのみならず、基準位置Sから+方向(搬送方向)に+2mm、+1mmずらした位置S、及び基準位置Sから-方向(搬送方向とは逆の方向)に-2mm、-1mmずらした位置Sにおいても、切断跡やシワが発生することなく切断できており、切断性に優れていることが分かる。
【0056】
また、両サイド部Eにおける引き裂き強度の最大値が31g以上であるため、セット時及び搬送時において、掛け紙連続体が破損しておらず、セット適正と搬送適正に優れていることが分かる。
【0057】
一方、比較例1の掛け紙連続体20においては、両サイド部Eにおける引き裂き強度の最大値が31g未満であるため、セット時及び搬送時において、掛け紙連続体が破損しており、実施例1の掛け紙連続体1に比し、セット適正と搬送適正に劣ることが分かる。
【0058】
なお、比較例1の掛け紙連続体20においては、上述のごとく、セット時及び搬送時において、掛け紙連続体が破損したため、適切な切断評価を行うことができなかった。
【0059】
また、比較例2の掛け紙連続体30においては、中央部Cの引き裂き強度の平均値が20g以下であるため、切断性については問題ないが、両サイド部Eにおける引き裂き強度の最大値が31g未満であるため、搬送時において、掛け紙連続体が破損しており、実施例1の掛け紙連続体1に比し、搬送適正に劣ることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上説明したように、本発明は、複数のミシン目を有する掛け紙連続体について有用である。
【符号の説明】
【0061】
1 掛け紙連続体
2 基材
3 感熱記録層
4 粘着層
5 中央部のカット部
6 中央部のタイ部
7 両サイド部のカット部
8 両サイド部のタイ部
10 切断刃
40 掛け紙連続体切断装置
C 中央部(切断開始領域)
E 両サイド部(切断開始領域に隣接する領域)
中央部のカット長
両サイド部のカット長
M ミシン目
X 掛け紙連続体の長手方向
Y 掛け紙連続体の幅方向

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10