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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122715
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】原子炉格納容器
(51)【国際特許分類】
   G21C 13/00 20060101AFI20220816BHJP
   G21C 9/00 20060101ALI20220816BHJP
   G21C 13/10 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
G21C13/00 200
G21C9/00 100
G21C13/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020138
(22)【出願日】2021-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 真吾
(72)【発明者】
【氏名】江村 裕太
(72)【発明者】
【氏名】小原 史之
【テーマコード(参考)】
2G002
【Fターム(参考)】
2G002BA02
2G002CA04
2G002EA12
(57)【要約】
【課題】原子炉格納容器において、連通路からの汚染空気の外部漏洩を抑制する。
【解決手段】格納容器本体と、格納容器本体の外側に配置される外壁部と、格納容器本体と外壁部との間に設けられるアニュラス部と、格納容器本体とアニュラス部と外壁部とを貫通する連通路を形成するスリーブと、スリーブにおける格納容器本体側に配置される第1開閉扉と、連通路をアニュラス部に連通する誘導路と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
格納容器本体と、
前記格納容器本体の外側に配置される外壁部と、
前記格納容器本体と前記外壁部との間に設けられるアニュラス部と、
前記格納容器本体と前記アニュラス部と前記外壁部とを貫通する連通路を形成するスリーブと、
前記スリーブにおける前記格納容器本体側に配置される第1開閉扉と、
前記連通路を前記アニュラス部に連通する誘導路と、
を備える原子炉格納容器。
【請求項2】
前記連通路は、直列をなして配置される第1シール部および第2シール部が設けられ、前記誘導路は、前記第1シール部と前記第2シール部との間の空間部と前記アニュラス部とを連通する、
請求項1に記載の原子炉格納容器。
【請求項3】
前記第1シール部と前記第2シール部は、前記スリーブと前記第1開閉扉との取付部に直列をなして配置され、一端部が前記連通路に連通して他端部が前記第1シール部と前記第2シール部との間の前記空間部に連通する漏洩検査通路とが設けられ、前記誘導路は、一端部が前記漏洩検査通路の一端部に連通し、他端部が前記アニュラス部に連通する、
請求項2に記載の原子炉格納容器。
【請求項4】
前記誘導路と前記漏洩検査通路との連通部に開閉弁が設けられると共に、前記連通部における前記開閉弁より前記取付部側に加圧流体供給部が設けられる、
請求項3に記載の原子炉格納容器。
【請求項5】
前記スリーブは、前記格納容器本体の貫通孔に配置される第1スリーブと、前記外壁部の貫通孔に配置される第2スリーブと、前記第1スリーブと前記第2スリーブとを連結する可撓性を有するシール部とから構成され、前記誘導路は、前記第1スリーブを厚さ方向に貫通する貫通孔を有する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の原子炉格納容器。
【請求項6】
前記スリーブにおける前記外壁部側に配置される第2開閉扉が設けられ、前記第1シール部は、前記スリーブと前記第1開閉扉との取付部に配置され、前記第2シール部は、前記スリーブと前記第2開閉扉との取付部に設けられ、前記誘導路は、一端部が前記スリーブの内部に連通し、他端部が前記アニュラス部に連通する、
請求項2に記載の原子炉格納容器。
【請求項7】
前記誘導路を開閉する誘導弁と、前記第1開閉扉と前記第2開閉扉の両方が閉止位置にあるときに前記誘導弁を開放して前記第1開閉扉と前記第2開閉扉のいずれか一方が開放動作すると前記誘導弁を閉止する連動機構とが設けられる、
請求項6に記載の原子炉格納容器。
【請求項8】
前記第2開閉扉を貫通して前記外壁部の外部と前記連通路とを連通する均圧通路と、前記均圧通路に設けられる均圧弁とが設けられ、前記均圧弁は、前記第1開閉扉と前記第2開閉扉の両方が閉止位置にあるときに閉止され、前記第1開閉扉と前記第2開閉扉のいずれか一方が開放位置にあるときに開放される、
請求項7に記載の原子炉格納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アニュラス部を有する原子炉格納容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原子力発電プラントでは、原子炉格納容器の内部に原子炉が配置される。原子炉格納容器は、外側に遮蔽建屋の外壁部が設置され、原子炉格納容器と遮蔽建屋の外壁部との間にアニュラス部が設けられる。アニュラス部は、負圧状態に維持され、原子炉格納容器から漏洩した空気の外部漏洩を抑制すると共に、アニュラス部に漏洩した汚染空気を空気浄化装置により浄化処理する。このような汚染空気の空気浄化装置としては、下記特許文献に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5220162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
原子炉で、冷却材喪失事故などが発生すると、原子炉格納容器の内部の圧力が上昇し、原子炉格納容器の貫通部から放射性物質を含む汚染空気がアニュラス部に漏洩し、外部漏洩が防止される。ところで、原子炉格納容器は、外部と内部とを連通する連通路として、機器搬入口やエアロックなどが設けられる。事故発生時に、汚染空気が連通路に漏洩すると、汚染空気が連通路を通して外部に漏洩してしまうという課題がある。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、連通路からの汚染空気の外部漏洩を抑制する原子炉格納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本開示の原子炉格納容器は、格納容器本体と、前記格納容器本体の外側に配置される外壁部と、前記格納容器本体と前記外壁部との間に設けられるアニュラス部と、前記格納容器本体と前記アニュラス部と前記外壁部とを貫通する連通路を形成するスリーブと、前記スリーブにおける前記格納容器本体側に配置される第1開閉扉と、前記連通路を前記アニュラス部に連通する誘導路と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の原子炉格納容器によれば、連通路からの汚染空気の外部漏洩を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、原子炉格納容器の内部構成を表す概略図である。
図2図2は、原子炉格納容器のアニュラス空気浄化装置を表す概略図である。
図3図3は、第1実施形態の原子炉格納容器における機器搬入口を表す断面図である。
図4図4は、機器搬入口における汚染空気の排気経路を表す概略図である。
図5図5は、第2実施形態の原子炉格納容器における通常用エアロックを表す断面図である。
図6図6は、誘導弁の第2連動機構を表す正面図である。
図7図7は、誘導弁の第2連動機構を表す図6のVII-VII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0010】
[第1実施形態]
<原子炉格納容器の構成>
図1は、原子炉格納容器の内部構成を表す概略図である。
【0011】
原子力発電プラントは、原子炉を有する。第1実施形態で説明する原子炉は、加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)である。
【0012】
図1に示すように、原子炉格納容器201は、内部に加圧水型原子炉202と蒸気発生器203が格納される。加圧水型原子炉202と蒸気発生器203は、高温側送給配管204と低温側送給配管205を介して連結され、低温側送給配管205に一次系冷却水ポンプ206が設けられる。
【0013】
加圧器207は、下部が高温側送給配管204に連結され、低温側送給配管205から延びるスプレイ配管208が加圧器207の上部に連通する。スプレイ配管208は、中途部にスプレイ弁209が設けられ、先端部にスプレイノズル210が設けられる。加圧器207は、上部に加圧器安全配管211の一端部が連結され、加圧器安全配管211の他端部が大気に開放される。加圧器安全配管211は、加圧器安全弁212が設けられる。また、加圧器207は、上部に加圧器逃がし配管213の一端部が連結される。加圧器逃がし配管213は、加圧器逃がし弁214が設けられ、他端部が加圧器逃がしタンク215に連結される。
【0014】
加圧水型原子炉202は、内部に炉心216が設けられ、炉心216は、複数の燃料集合体(燃料棒)により構成される。加圧水型原子炉202は、炉心216における燃料集合体の間に複数の制御棒217が配置される。この複数の制御棒217を炉心216に対して抜き差しすることで、原子炉出力を制御する。蒸気発生器203は、内部に複数の伝熱管からなる伝熱管群218が設けられる。複数の伝熱管は、一端部に高温側送給配管204が連結され、他端部に低温側送給配管205が連結される。また、蒸気発生器203は、蒸気配管219により、例えば、蒸気タービン(図示略)が連結される。
【0015】
そのため、加圧水型原子炉202は、炉心216の燃料集合体により一次系冷却水が加熱され、高温の一次系冷却水が加圧器207により所定の高圧に維持された状態で、高温側送給配管204を通して蒸気発生器203に送られる。この蒸気発生器203は、高温高圧の一次系冷却水と二次系冷却水との間で熱交換を行うことで二次系蒸気を生成し、冷やされた一次系冷却水が加圧水型原子炉202に戻される。
【0016】
<アニュラス空気浄化装置>
図2は、原子炉格納容器のアニュラス空気浄化装置を表す概略図である。
【0017】
図2に示すように、原子炉格納容器201は、格納容器本体11の外側に遮蔽建屋の外壁部12が配置されて構成され、格納容器本体11と外壁部12との間にアニュラス部13が設けられる。アニュラス部13は、格納容器本体11と外壁部12との間の形成された円筒形状の空間であり、上部にアニュラスシール14が設けられることで、密閉空間となっている。原子炉格納容器201は、外部と内部を連通する連通路として、機器搬入口15や通常用エアロック16などが設けられる。なお、図示しないが、連通路としては、機器搬入口15や通常用エアロック16の他に、非常用エアロックや配管、電線、ダクト等の貫通部が設けられる。
【0018】
アニュラス部13は、格納容器本体11から漏洩した汚染空気を浄化するアニュラス空気浄化装置17が接続される。なお、アニュラス空気浄化装置17は、高い安全性を確保する目的から複数設けられているが、ここでは省略する。
【0019】
アニュラス空気浄化装置17は、大気放出ライン21と、排気弁22と、空気浄化フィルタユニット23と、空気排出ファン24、放出弁25と、排気塔26とを有する。大気放出ライン21は、一端部がアニュラス部13に連結され、他端部が排気塔26を介して大気に開放される。大気放出ライン21は、アニュラス部13と排気塔26との間に、アニュラス部13側から排気弁22、空気浄化フィルタユニット23、空気排出ファン24、放出弁25が設けられる。
【0020】
排気弁22および放出弁25は、遠隔操作可能なノーマルオープン式の電磁弁である。放出弁25は、図示しないが、並列に配置される全量放出弁と少量放出弁とから構成されて。空気浄化フィルタユニット23は、例えば、除湿フィルタ、電磁加熱コイル、粒子用フィルタ、ヨウ素用フィルタ、粒子用フィルタなどが直列に積層されて構成される。空気排出ファン24は、電源装置が接続される。
【0021】
アニュラス空気浄化装置17は、冷却材喪失事故が発生したとき、非常用炉心冷却設備の作動信号により、排気弁22および放出弁25が開放され、空気排出ファン24が作動する。すると、アニュラス部13内の空気が大気放出ライン21に吸引され、アニュラス部13が負圧に維持される。そのため、格納容器本体11が損傷すると、内部の汚染空気が損傷部からアニュラス部13に吸引され、漏洩した汚染空気を封じ込めて外部漏洩が防止される。また、アニュラス部13の汚染空気は、大気放出ライン21を通して空気浄化フィルタユニット23に吸引されて浄化される。浄化後の空気を排気塔26から大気に放出される。
【0022】
<機器搬入口>
図3は、第1実施形態の原子炉格納容器における機器搬入口を表す断面図、図4は、機器搬入口における汚染空気の排気経路を表す概略図である。
【0023】
図3および図4に示すように、機器搬入口15は、原子炉格納容器201の外部と内部を連通する連通路として設けられる。機器搬入口15は、スリーブ31と、第1開閉扉32と、誘導路33とを備える。
【0024】
スリーブ31は、格納容器本体11とアニュラス部13と外壁部12とを貫通し、格納容器本体11の内部と外壁部12の外部を連通する。スリーブ31は、第1スリーブ41と、第2スリーブ42と、連結シール部43とを有する。第1スリーブ41は、円筒形状をなし、格納容器本体11に形成された円形状をなす貫通孔51に嵌合して固定される。第2スリーブ42は、外壁部12に形成された円形状をなす貫通孔52に嵌合して固定される。第1スリーブ41と第2スリーブ42は、同心状に配置され、内径がほぼ同径である。第1スリーブ41は、薄肉部41aと厚肉部41bとを有する。第1スリーブ41は、厚肉部41bの外周面が格納容器本体11に固定され、軸方向の一端部が格納容器本体11の内部側に突出する。第2スリーブ42は、軸方向の一端部が外壁部12の内周面に位置する。
【0025】
連結シール部43は、第1スリーブ41と第2スリーブ42とを連結する。連結シール部43は、シール部材53を有する。シール部材53は、円筒形状をなし、可撓性を有する。シール部材53は、軸方向の一端部が第1スリーブ41の他端部、つまり、薄肉部41aの端部に重なり、取付部54により連結される。シール部材53は、軸方向の他端部が第2スリーブ42の他端部に重なり、取付部55により連結される。第1スリーブ41と第2スリーブ42とが連結シール部43により連結されることで、軸方向に隙間なく連続するスリーブ31が形成される。
【0026】
第1開閉扉32は、スリーブ31における軸方向の一端部、つまり、格納容器本体11側に配置される。第1スリーブ41は、厚肉部41bの端部に径方向の外側に延出するフランジ部41cを有する。フランジ部41cは、リング形状をなす。第1開閉扉32は、外径が第1スリーブ41の外径とほぼ同径である。第1開閉扉32は、球面部32aと、フランジ部32bとを有する。球面部32aは、格納容器本体11の内部側に湾曲するように突出する。フランジ部32bは、リング形状をなし、球面部34aの外周部に一体に設けられる。第1開閉扉32は、フランジ部32bが第1スリーブ41のフランジ部41cに密着した状態で複数のボルト56により締結される。
【0027】
誘導路33は、機器搬入口15をアニュラス部13に連通する。本実施形態にて、誘導路33は、第1シール部57と第2シール部58との間の空間部とアニュラス部13とを連通する。誘導路33は、第1シール部57や第2シール部58が破損したとき、格納容器本体11から第1シール部57と第2シール部58との間の空間部に漏洩した空気をアニュラス部13に誘導するものである。
【0028】
第1シール部57および第2シール部58は、第1スリーブ41のフランジ部41cと第1開閉扉32のフランジ部32bとの取付部に配置される。第1シール部57および第2シール部58は、リング形状をなす。第1シール部57は、フランジ部41c,32bの対向面の外径側に配置され、第2シール部58は、フランジ部41c,32bの対向面の内径側、つまり、第1シール部57より内径側に配置される。すなわち、第1シール部57および第2シール部58は、直列をなして配置されることとなる。具体的に、第1シール部57および第2シール部58は、フランジ部41cの外面に形成された周方向溝に配置され、フランジ部32bの内面に密着する。第1シール部57および第2シール部58は、ゴムなどの弾性部材であり、周方向溝から突出する。そのため、第1シール部57および第2シール部58は、フランジ部41c,32bの対向面に密着するものの、フランジ部41c,32bの対向面の間に微小隙間が形成される。
【0029】
第1スリーブ41は、フランジ部41cに漏洩検査通路59が設けられる。漏洩検査通路59は、貫通孔59aと、配管59bとを有する。貫通孔59aは、L字形状をなしてフランジ部41cに形成され、一端部が第1シール部57と第2シール部58との間の空間部に連通し、他端部が第1スリーブ41の内部に連通する。配管59bは、一端部が貫通孔59aの他端部に連結される。配管59bは、他端部に加圧流体供給部59cが連結される。加圧流体供給部59cは、配管59bに加圧流体としての空気を供給しないときは閉止し、配管59bに空気を供給するためのノズルを差し込むと開放される。空気を加圧流体供給部59cから配管59bおよび貫通孔59aを通して第1シール部57と第2シール部58との間の空間部に供給する。すると、第1シール部57や第2シール部58が破損していなければ、空間部の圧力が高くなる。一方、第1シール部57や第2シール部58が破損していれば、空間部の空気が漏洩して圧力が高くならない。このとき、空間部の圧力を計測することで、第1シール部57や第2シール部58の破損を検出することができる。
【0030】
第1スリーブ41は、厚肉部41bの内面側に軸方向に沿って誘導路配管60が配置される。誘導路配管60は、ブラケット61により厚肉部41bの内面に取付けられる。誘導路配管60は、一端部が連結配管(連通部)62を介して漏洩検査通路59の他端部、つまり、配管59bの他端部に連結される。連結配管62は、開閉弁63が設けられる。加圧流体供給部59cは、開閉弁63より第1シール部57と第2シール部58との間の空間部側に設けられる。第1スリーブ41は、厚肉部41bにおける薄肉部41a側の端部に厚さ方向に貫通する貫通孔64が設けられる。誘導路配管60は、他端部が直角に屈曲し、貫通孔64の一端部に連結される。貫通孔64は、他端部がアニュラス部13に連通する。そのため、誘導路33は、漏洩検査通路59と誘導路配管60と貫通孔64とにより構成されることとなる。
【0031】
<機器搬入口の作用>
通常、機器搬入口15は、第1開閉扉32により閉止している。遮蔽建屋の外壁部12の外部から格納容器本体11の内部への機器を搬入するとき、機器搬入口15の第1開閉扉32を開放する。第1開閉扉32の開閉状態に拘わらず、誘導路33の開閉弁63は、開放されている。また、アニュラス部13は、アニュラス空気浄化装置17(図2参照)が作動していることから負圧に維持される。そのため、アニュラス部13の負圧が誘導路33を通して第1シール部57と第2シール部58との間の空間部に作用している。
【0032】
第1開閉扉32により機器搬入口15が閉止されているとき、冷却材喪失事故などが発生すると、格納容器本体11の内部の圧力が上昇し、格納容器本体11の破損部などから放射性物質を含む汚染空気がアニュラス部13に漏洩し、外部漏洩が防止される。このとき、格納容器本体11の破損に伴って機器搬入口15の第1シール部57や第2シール部58が破損することがある。すると、格納容器本体11の内部の汚染空気が第1スリーブ41のフランジ部41cと第1開閉扉32のフランジ部32bとの取付部の隙間から機器搬入口15に漏洩し、機器搬入口15を通して外壁部12の外部に漏洩してしまう。
【0033】
ところが、本実施形態では、第1シール部57と第2シール部58との間の空間部とアニュラス部13とを連通する誘導路33を設けている。そのため、第1シール部57と第2シール部58との間の空間部は、負圧に維持されている。格納容器本体11の汚染空気が第1スリーブ41のフランジ部41cと第1開閉扉32のフランジ部32bとの取付部の隙間に漏洩すると、汚染空気は、破損した第1シール部57と第2シール部58との間の空間部に至る。すると、第1シール部57と第2シール部58との間の空間部に漏洩した汚染空気は、負圧により誘導路33に吸引され、誘導路33を通ってアニュラス部13に誘導され、機器搬入口15からの汚染空気の外部漏洩が防止される。
【0034】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態の原子炉格納容器における通常用エアロックを表す断面図、図6は、誘導弁の第2連動機構を表す正面図、図7は、誘導弁の第2連動機構を表す図6のVII-VII断面図である。なお、上述した第1実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0035】
第2実施形態において、図5に示すように、通常用エアロック16は、炉格納容器本体11の外部と内部を連通する連通路として設けられる。通常用エアロック16は、スリーブ71と、第1開閉扉72と、第2開閉扉73と、誘導路74とを備える。
【0036】
スリーブ71は、格納容器本体11とアニュラス部13と外壁部12とを貫通し、格納容器本体11の内部と外壁部12の外部を連通する。スリーブ71は、第1スリーブ81と、第2スリーブ82と、第3スリーブ83と、連結シール部84とを有する。第1スリーブ81は、円筒形状をなし、格納容器本体11に形成された円形状をなす貫通孔91に嵌合して固定される。第2スリーブ82は、円筒形状をなし、第1スリーブ81の外周面に連結される。第3スリーブ83は、外壁部12に形成された円形状をなす貫通孔92に嵌合して固定される。連結シール部84は、第2スリーブ82と第3スリーブ83とを連結する。
【0037】
第1スリーブ81は、格納容器本体11側の一端部に径方向の内側に延出するフランジ部81aを有し、外壁部12側の他端部に径方向の内側に延出するフランジ部81bを有する。第2スリーブ82と第3スリーブ83は、同心状に配置され、内径がほぼ同径である。連結シール部84は、シール部材93を有する。シール部材93は、円筒形状をなし、可撓性を有する。シール部材93は、軸方向の一端部が第2スリーブ82の他端部に重なり、取付部94により連結される。シール部材93は、軸方向の他端部が第3スリーブ83の他端部に重なり、取付部95により連結される。
【0038】
第1スリーブ81は、外径が第2スリーブ82および第3スリーブ83の外径よりも小径である。第1スリーブ81は、軸方向の他端部が第2スリーブ82および第3スリーブ83の内部に位置する。第1スリーブ81の外周面と第2スリーブ82および第3スリーブ83の内周面との間に空間部が設けられる。第2スリーブ82は、軸方向の一端部がリング形状をなす連結部材82aを介して第1スリーブ81の外周面に連結される。第2スリーブ82と第3スリーブ83とが連結シール部84により連結され、第1スリーブ81と第2スリーブ82とが連結部材82aにより連結されることで、軸方向に隙間なく連続するスリーブ71が形成される。
【0039】
第1開閉扉72は、スリーブ31(第1スリーブ81)における軸方向の一端部、つまり、格納容器本体11の内部側に配置される。第1開閉扉72は、外周部が第1スリーブ81のフランジ部81aに軸方向に対向する。第1開閉扉72の外周部と第1スリーブ81のフランジ部81aとの対向部に第1シール部96が配置される。第1シール部96は、例えば、直列に配置される2重のガスケットにより構成される。第2開閉扉73は、スリーブ31(第1スリーブ81)における軸方向の他端部、つまり、外壁部12側に配置される。第2開閉扉73は、外周部が第1スリーブ81のフランジ部81bに軸方向に対向する。第2開閉扉73の外周部と第1スリーブ81のフランジ部81bとの対向部に第2シール部97が配置される。第2シール部97は、例えば、直列に配置される2重のガスケットにより構成される。
【0040】
通常用エアロック16は、第1連動機構101が設けられる。第1連動機構101は、第1開閉扉72と第2開閉扉73の両方を閉止するように連動させる。第1連動機構101は、第1開閉扉72と第2開閉扉73のいずれか一方が開放動作するときに、第1開閉扉72と第2開閉扉73のいずれか他方が閉止動作するように連動させる。
【0041】
第1開閉扉72は、支持部102が固定され、第1回転軸103が支持部102に回転自在に支持される。第1回転軸103は、第1開閉扉72を貫通し、一端部が格納容器本体11の内部に延出して第1ハンドル104が固定され、他端部が第1スリーブ81の内部に延出する。第2開閉扉73は、支持部105が固定され、第2回転軸106が支持部105に回転自在に支持される。第2回転軸106は、第2開閉扉73を貫通し、一端部が外壁部12の内部に延出して第2ハンドル107が固定され、他端部が第1スリーブ81の内部に延出する。第1回転軸103と第2回転軸106は、一直線上に配置される。
【0042】
第3回転軸108は、第1スリーブ81の内部で、第1回転軸103および第2回転軸106に対して直交する方向に配置される。第3回転軸108は、一端部に第3ハンドル109が固定される。第1回転軸103と第2回転軸106と第3回転軸108は、各他端部が駆動連結部110の内部に延出する。駆動連結部110は、例えば、歯車機構であり、複数の傘歯車により構成される。第1連動機構101を構成する図示しないクラッチは、例えば、支持部102,105の内部に設けられる。各クラッチは、回転軸103,106の回転位相に基づいて接続状態と切断状態が切り替えられる。クラッチが接続状態にあるとき、回転軸103,106の回転力が開閉扉72,73に伝達されて移動する。この場合、例えば、回転軸103,106の回転力がボールねじ機構により開閉扉72,73に伝達されて移動する。
【0043】
そのため、第1ハンドル104による第1回転軸103の回転力は、駆動連結部110を介して第2回転軸106および第3回転軸108に伝達され、第2ハンドル107および第3ハンドル109が回転する。また、第2ハンドル107または第3ハンドル109による第2回転軸106や第3回転軸108の回転力も、同様に、駆動連結部110を介して伝達される。すなわち、3個の回転軸103,106,108および3個のハンドル104,107,109は、同期して回転する。
【0044】
このとき、支持部102のクラッチを接続状態とし、支持部105のクラッチを切断状態とする。この状態で、回転軸103,106,108が回転すると、第1開閉扉72は移動して開閉されるが、第2開閉扉73は移動しない。一方、支持部102のクラッチを切断状態とし、支持部105のクラッチを接続状態とする。この状態で、回転軸103,106,108が回転すると、第1開閉扉72は移動しないが、第2開閉扉73は移動して開閉する。
【0045】
誘導路74は、通常用エアロック16をアニュラス部13に連通する。誘導路74は、第1シール部96と第2シール部97との間の空間部とアニュラス部13とを連通する。誘導路74は、第1シール部96が破損したとき、格納容器本体11から第1シール部96と第2シール部97との間の空間部、つまり、通常用エアロック16の内部に漏洩した空気をアニュラス部13に誘導するものである。
【0046】
誘導路74は、誘導路配管111を有する。誘導路配管111は、一端部が第1スリーブ81の内部に連通し、他端部が第1スリーブ81を貫通してアニュラス部13に連通する。誘導路配管111は、誘導弁112が設けられる。誘導弁112は、誘導路配管111を開閉する。第1スリーブ81は、内部に第2連動機構113が配置される。第2連動機構113は、第1開閉扉72と第2開閉扉73の両方が閉止位置にあるときに誘導弁112を開放するように連動させる。第2連動機構113は、第1開閉扉72と第2開閉扉73のいずれか一方が開放動作するとき、誘導弁112が閉止するように連動させる。
【0047】
図6および図7に示すように、第1スリーブ81の内面に支持部材121を介してギアボックス122が固定される。ギアボックス122は、下回転軸123と上回転軸124が回転自在に支持される。下回転軸123と上回転軸124は、互いに平行をなして配置されると共に、第2回転軸106の上方で第2回転軸106に対して平行をなして配置される。下回転軸123は、第1下回転板125および第2下回転板126が固定される。
第1下回転板125と第2下回転板126は、外径が同径であり、外周部の一部に第1歯部125aと第2歯部126aがそれぞれ固定される。第1歯部125aと第2歯部126aは、周方向における取付位置、つまり、位相が所定角度だけずれている。
【0048】
上回転軸124は、第1上回転板127および第2上回転板128が固定される。第1上回転板127と第2上回転板128は、外径が同径であり、外周部の一部に第1歯部127aと第2歯部128aがそれぞれ固定される。第1歯部127aと第2歯部128aは、周方向における取付位置、つまり、位相が所定角度だけずれている。そして、第1下回転板125の第1歯部125aは、第1上回転板127の第1歯部127aに噛み合い可能である。第2下回転板126の第2歯部126aは、第2上回転板128の第2歯部128aに噛み合い可能である。
【0049】
下回転軸123は、軸方向の一端部に減速機129を介して従動歯車130が連結される。第2回転軸106は、駆動歯車131が固定される。駆動歯車131は、従動歯車130に噛み合う。上回転軸124は、軸方向の一端部に駆動スプロケット132が固定される。誘導弁112は、図示しない弁本体に従動スプロケット133が固定される。駆動スプロケット132と従動スプロケット133は、無端のチェーン134が掛け回される。
【0050】
そのため、図5から図7に示すように、回転軸103,106,108を回転し、第1開閉扉72が図5にて左方に移動して開放するとき、第2回転軸106の回転力が駆動歯車131、従動歯車130、減速機129を介して下回転軸123に伝達されて回転する。下回転軸123と共に第1下回転板125および第2下回転板126が、図6にて時計回り方向に回転すると、第2歯部126aと第2歯部128aとが噛み合う所定角度だけ第2上回転板128が図6にて反時計回り方向に回転する。このとき、第1歯部125aと第1歯部127aとは噛み合っておらず、第1下回転板125の回転力は第1上回転板127には伝達されない。第2上回転板128の所定角度の回転力は、駆動スプロケット132からチェーン134を介して従動スプロケット133に伝達され、従動スプロケット133が所定角度だけ回動して誘導弁112を閉止する。
【0051】
同様に、下回転軸123と共に第1下回転板125および第2下回転板126が、図6にて反時計回り方向に回転すると、第1歯部125aと第1歯部127aとが噛み合う所定角度だけ第1上回転板127が図6にて時計回り方向に回転する。このとき、第2歯部126aと第2歯部128aとは噛み合っておらず、第2下回転板126の回転力は第2上回転板128には伝達されない。第1上回転板127の所定角度の回転力は、駆動スプロケット132からチェーン134を介して従動スプロケット133に伝達され、従動スプロケット133が所定角度だけ回動して誘導弁112を開放する。
【0052】
また、図5に示すように、第2開閉扉73は、均圧通路141が設けられる。均圧通路141は、第2開閉扉73を貫通し、第1スリーブ81の内部と外部、つまり、外壁部12の外部とを連通する。均圧通路141は、第1スリーブ81の内部に位置して均圧弁142が設けられる。均圧弁142は、均圧通路141を開閉する。第1スリーブ81は、内部に第3連動機構143が配置される。第3連動機構143は、第2開閉扉73が閉止位置にあるときに均圧弁142を閉止する。第3連動機構143は、第2開閉扉73が開放動作すると均圧弁142を開放する。第3連動機構143は、第2回転軸106の回転力を均圧弁142の弁本体に伝達して開閉するものである。第3連動機構143は、例えば、駆動スプロケットと、従動スプロケットと、無端のチェーン134とから構成される。
【0053】
なお、均圧通路、均圧弁、第3連動機構は、第1開閉扉72にも設けられている。第3連動機構は、第1開閉扉72が閉止位置にあるときに均圧弁を閉止する。第3連動機構は、第1開閉扉72が開放動作すると均圧弁2を開放する。
【0054】
また、第1スリーブ81は、加圧通路151が設けられる。加圧通路151の一端部が第1スリーブ81の内部に連通し、他端部側に図示しない開閉弁と加圧源が装着される。第1開閉扉72および第2開閉扉73が閉止状態にあるとき、加圧源の空気を加圧通路151から第1スリーブ81の内部に供給する。すると、第1開閉扉72の第1シール部96や第2開閉扉73の第2シール部97が破損していなければ、第1スリーブ81の内部の圧力が高くなる。一方、第1シール部96や第2シール部97が破損していれば、第1スリーブ81の内部の空気が漏洩して圧力が高くならない。このとき、第1スリーブ81の内部の圧力を計測することで、第1シール部96と第2シール部97の破損を検出することができる。
【0055】
<通常用エアロックの作用>
通常、通常用エアロック16は、第1開閉扉72および第2開閉扉73により閉止している。遮蔽建屋の外壁部12の外部と格納容器本体11の内部との間を作業者が往来するとき、通常用エアロック16の第1開閉扉72および第2開閉扉73を開放する。第1開閉扉72および第2開閉扉73が閉止しているとき、誘導路74の誘導弁112は、開放される。また、アニュラス部13は、アニュラス空気浄化装置17(図2参照)が作動していることから負圧に維持されている。そのため、アニュラス部13の負圧が誘導路74を通して第1スリーブ81の内部に作用している。
【0056】
作業者が外壁部12の外部から格納容器本体11の内部に入るとき、まず、第2ハンドル107により第2回転軸106を回転する。すると、第2回転軸106の回転力がクラッチを介して第2開閉扉73に伝達され、第2開閉扉73が移動して開放される。なお、第2回転軸106の回転に伴って第1回転軸103が回転するが、クラッチが切断されていることから、第1開閉扉72は移動しない。このとき、第2回転軸106の回転力が第2連動機構113を介して誘導弁112に伝達され、誘導弁112が閉止される。また、第2回転軸106の回転力が第3連動機構143を介して均圧弁142に伝達され、均圧弁142が開放される。そのため、第1スリーブ81は、誘導路74によるアニュラス部13との連通が遮断され、内部が大気圧になる。ここで、作業者は、第1スリーブ81の内部に入る。そして、作業者が第3ハンドル109により第3回転軸108を回転する。すると、第3回転軸108の回転力が駆動連結部110を介して第2回転軸106に伝達されて第2回転軸106が逆回転する。第2回転軸106の回転力は、クラッチを介して第2開閉扉73に伝達され、第2開閉扉73が移動して閉止される。
【0057】
次に、作業者は、第3ハンドル109により第3回転軸108を回転する。すると、第3回転軸108の回転力が駆動連結部110を介して第1回転軸103に伝達されて第1回転軸103が回転する。第1回転軸103の回転力は、クラッチを介して第1開閉扉72に伝達され、第1開閉扉72が移動して開放される。なお、第1回転軸103の回転に伴って第2回転軸106が回転するが、クラッチが切断されていることから、第2開閉扉73は移動しない。このとき、第2回転軸106の回転力が第2連動機構113を介して誘導弁112に伝達され、誘導弁112が開放される。また、第2回転軸106の回転力が第3連動機構143を介して均圧弁142に伝達され、均圧弁142が閉止される。そのため、第1スリーブ81は、誘導路74によりアニュラス部13と連通し、内部が負圧に移行する。ここで、作業者は、第1スリーブ81から格納容器本体11の内部に入る。そして、作業者が第1ハンドル104により第1回転軸103を逆方向に回転する。すると、第1回転軸103の回転力がクラッチを介して第1開閉扉72に伝達され、第1開閉扉72が移動して閉止される。
【0058】
第1開閉扉72および第2開閉扉73により通常用エアロック16が閉止されているとき、冷却材喪失事故などが発生すると、格納容器本体11の内部の圧力が上昇し、格納容器本体11の破損部などから放射性物質を含む汚染空気がアニュラス部13に漏洩し、外部漏洩が防止される。このとき、格納容器本体11の破損に伴って通常用エアロック16の第1シール部96が破損することがある。すると、格納容器本体11の内部の汚染空気が第1スリーブ81のフランジ部81cと第1開閉扉72との取付部の隙間から通常用エアロック16、つまり、第1スリーブ81の内部に漏洩してしまう。
【0059】
ところが、本実施形態では、第1シール部96と第2シール部97との間の空間部、つまり、第1開閉扉72と第2開閉扉73とにより密閉された第1スリーブ81の内部とアニュラス部13とを連通する誘導路74を設けている。そのため、第1スリーブ81の内部は、負圧が維持される。格納容器本体11の汚染空気が第1スリーブ81のフランジ部81aと第1開閉扉72との取付部の隙間に漏洩すると、破損した第1シール部96を通って第1スリーブ81の内部に漏洩する。すると、第1スリーブ81の内部に漏洩した汚染空気は、負圧により誘導路74に吸引され、誘導路74を通ってアニュラス部13に誘導され、通常用エアロック16からの外部漏洩が防止される。
【0060】
[本実施形態の作用効果]
第1の態様に係る原子炉格納容器は、格納容器本体11と、格納容器本体11の外側に配置される外壁部12と、格納容器本体11と外壁部12との間に設けられるアニュラス部13と、格納容器本体11とアニュラス部13と外壁部12とを貫通する連通路としての機器搬入ロ15および通常用エアロック16を形成するスリーブ31,71と、スリーブ31,71における格納容器本体11側に配置される第1開閉扉32,72と、機器搬入ロ15および通常用エアロック16をアニュラス部13に連通する誘導路33,74とを備える。
【0061】
第1の態様に係る原子炉格納容器によれば、格納容器本体11が破損したとき、汚染空気が機器搬入ロ15および通常用エアロック16の外部に漏洩しようとする。ところが、機器搬入ロ15および通常用エアロック16は、アニュラス部13の負圧が誘導路33,74を通して作用し、負圧が維持されている。そのため、機器搬入ロ15および通常用エアロック16に漏洩する汚染空気は、誘導路33,74からアニュラス部13に吸引される。その結果、機器搬入ロ15および通常用エアロック16からの汚染空気の外部漏洩を抑制することができる。
【0062】
第2の態様に係る原子炉格納容器は、機器搬入ロ15および通常用エアロック16は、直列をなして配置される第1シール部57,96および第2シール部58,97が設けられ、機器搬入ロ15および通常用エアロック16は、第1シール部57,96と第2シール部58,97との間の空間部とアニュラス部13とを連通する。これにより、汚染空気が第2シール部58,97に至る前に誘導路33,74からアニュラス部13に排出することができ、安全性を向上することができる。
【0063】
第3の態様に係る原子炉格納容器は、第1シール部57と第2シール部58は、スリーブ31と第1開閉扉32との取付部に直列をなして配置され、一端部が機器搬入ロ15に連通して他端部が第1シール部57と第2シール部58との間の空間部に連通する漏洩検査通路59とが設けられ、誘導路33は、一端部が漏洩検査通路59の一端部に連通し、他端部がアニュラス部13に連通する。これにより、誘導路33としての既存の漏洩検査通路59を用いることで、装置の簡素化を図ることができると共に、既存の施設に対する改良を容易に実施することができる。
【0064】
第4の態様に係る原子炉格納容器は、誘導路33と漏洩検査通路59との連結配管(連通部)62に開閉弁63が設けられると共に、連結配管62における開閉弁63より取付部側に加圧流体供給部59cが設けられる。これにより、開閉弁63の開閉操作により、漏洩検査通路59による耐圧検査を実施することができると共に、誘導路33による汚染空気の排出を行うことができる。
【0065】
第5の態様に係る原子炉格納容器は、スリーブ31は、格納容器本体11の貫通孔51に配置される第1スリーブ41と、外壁部12の貫通孔52に配置される第2スリーブ42と、第1スリーブ41と第2スリーブ42とを連結する可撓性を有する連結シール部43とから構成され、誘導路33は、第1スリーブ41を厚さ方向に貫通する貫通孔64を有する。これにより、誘導路33の簡素化を図ることができる。
【0066】
第6の態様に係る原子炉格納容器は、第1スリーブ81における外壁部12側に配置される第2開閉扉73が設けられ、第1シール部96は、第1スリーブ81と第1開閉扉72との取付部に配置され、第2シール部97は、第1スリーブ81と第2開閉扉73との取付部に設けられ、誘導路74は、一端部が前記第1スリーブの内部に連通し、他端部がアニュラス部13に連通する。これにより、第1シール部96を突破して第1スリーブ81の内部に漏洩した汚染空気が第2シール部97に至る前に誘導路74からアニュラス部13に排出することができ、安全性を向上することができる。
【0067】
第7の態様に係る原子炉格納容器は、誘導路74を開閉する誘導弁112と、第1開閉扉72と第2開閉扉73の両方が閉止位置にあるときに誘導弁112を開放して第1開閉扉72と第2開閉扉73のいずれか一方が開放動作すると誘導弁112を閉止する第2連動機構113とが設けられる。これにより、第1開閉扉72および第2開閉扉73が閉止しているときに、誘導弁112を開放して第1スリーブ81の内部を負圧にすることができ、安全性を向上することができる。
【0068】
第8の態様に係る原子炉格納容器は、第2開閉扉73を貫通して外壁部12の外部とスリーブ71の内部とを連通する均圧通路141と、均圧通路141に設けられる均圧弁142とが設けられ、第1開閉扉72と第2開閉扉73の両方が閉止位置にあるときに均圧弁142を閉止して第1開閉扉72と第2開閉扉73のいずれか一方が開放動作すると均圧弁142を開放する第3連動機構143が設けられる。これにより、作業者が第1開閉扉72および第2開閉扉73を空けて格納容器本体11の内部に入るときは、誘導弁112を閉止して均圧弁142を開放することで、第1スリーブ81の内部を大気圧とする。一方、第1開閉扉72および第2開閉扉73を閉止しているときは、誘導弁112を開放して均圧弁142を閉止することで、第1スリーブ81の内部を負圧にすることができる。その結果、通常用エアロック16の運用性を向上することができる。
【0069】
なお、上述した実施形態では、連通路として、機器搬入口15や通常用エアロック16を用いて説明したが、この構成に限定されるものではなく、例えば、連通路として、非常用エアロックや配管、電線、ダクト等の貫通部に適用してもよい。
【符号の説明】
【0070】
11 格納容器本体
12 外壁部
13 アニュラス部
14 アニュラスシール
15 機器搬入口(連通路)
16 通常用エアロック(連通路)
17 アニュラス空気浄化装置
31 スリーブ
32 第1開閉扉
33 誘導路
41 第1スリーブ
42 第2スリーブ
43 連結シール部
51,52 貫通孔
53 シール部材
54,55 取付部
56 ボルト
57 第1シール部
58 第2シール部
59 漏洩検査通路
60 誘導路配管
61 ブラケット
62 連結配管(連通部)
63 開閉弁
64 貫通孔
71 スリーブ
72 第1開閉扉
73 第2開閉扉
74 誘導路
81 第1スリーブ
82 第2スリーブ
83 第3スリーブ
84 連結シール部
91,92 貫通孔
93 シール部材
94,95 取付部
96 第1シール部
97 第2シール部
101 第1連動機構
102 支持部
103 第1回転軸
104 第1ハンドル
105 支持部
106 第2回転軸
107 第2ハンドル
108 第3回転軸
109 第3ハンドル
111 誘導路配管
112 誘導弁
113 第2連動機構(連動機構)
141 均圧通路
142 均圧弁
143 第3連動機構
151 加圧通路
201 原子炉格納容器
202 加圧水型原子炉
203 蒸気発生器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7