(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122716
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】オープンショーケース
(51)【国際特許分類】
A47F 3/04 20060101AFI20220816BHJP
【FI】
A47F3/04 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020139
(22)【出願日】2021-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000239585
【氏名又は名称】フクシマガリレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】松村 里歩
【テーマコード(参考)】
3B110
【Fターム(参考)】
3B110AA12
3B110BA05
3B110DA03
3B110DA06
(57)【要約】
【課題】陳列室を殺菌灯で除菌するオープンショーケースにおいて、人に対して紫外線が照射されるのを防止して安全性を向上する。
【解決手段】オープンショーケースは、前面開口2を有する陳列室5と、陳列室5に設けられる紫外線を放射する殺菌灯41と、前面開口2を開閉するナイトカバー25とを備えている。そして、殺菌灯41を、前面開口2がナイトカバー25で閉塞されたのち所定の待機時間Tsが経過したときに点灯するように構成する。これによれば、ナイトカバー25は、店舗の閉店後に閉塞されるので、ナイトカバー25の閉塞後、従業員の退店が完了する時間以降になるように待機時間Tsを設定しておくことで、客はもちろんのこと従業員が店舗にいるときに殺菌灯41が点灯されることはない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面開口(2)を有する陳列室(5)と、
陳列室(5)に設けられる紫外線を放射する殺菌灯(41)と、
前面開口(2)を開閉するナイトカバー(25)と、
を備え、
殺菌灯(41)が、前面開口(2)がナイトカバー(25)で閉塞されたのち所定の待機時間(Ts)が経過したときに点灯されるように構成されていることを特徴とするオープンショーケース。
【請求項2】
殺菌灯(41)の点灯を制御する制御部(32)と、前面開口(2)がナイトカバー(25)で閉塞されたことを検知して制御部(32)に向かって閉塞信号を出力する検知手段(44)とを備えており、
殺菌灯(41)が、制御部(32)が検知手段(44)からの閉塞信号を所定の待機時間(Ts)受信し続けたときに点灯されるように構成されている請求項1に記載のオープンショーケース。
【請求項3】
殺菌灯(41)は、陳列室(5)に上下多段状に設置される商品陳列棚(23)の下面に固定されており、
商品陳列棚(23)の下面に、殺菌灯(41)から前方側に放射される紫外線を遮蔽する遮蔽板(43)が設けられている請求項1または2に記載のオープンショーケース。
【請求項4】
前面開口(2)に対する人の近接を検知する人感センサ(39)を備えており、
人感センサ(39)が人の近接を検知すると、殺菌灯(41)が消灯されるように構成されている請求項1から3のいずれかひとつに記載のオープンショーケース。
【請求項5】
検知手段(44)が、陳列室(5)に冷気を吹出す吹出口(13)における冷気温度を測定する吹出温度センサ(34)と、陳列室(5)の冷気を吸込む吸込口(14)における冷気温度を測定する吸込温度センサ(35)と、両温度センサ(34・35)の温度差を算出し、当該温度差が所定値以下になったとき、制御部(32)に向かって閉塞信号を出力する算出部(36)とで構成されている請求項2に記載のオープンショーケース。
【請求項6】
ナイトカバー(25)は、前面開口(2)を閉塞するように展張されるシート状のカバー本体(26)と、カバー本体(26)の引出先端に設けられ、係止部(29)に係止することでカバー本体(26)が展張された状態で保持されるフック(27)とを備えており、
検知手段(44)が、係止部(29)にフック(27)が係止されたことを検知して制御部(32)に向かって閉塞信号を出力する検知スイッチ(50)で構成されている請求項2に記載のオープンショーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陳列室に殺菌灯が設置されたオープンショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のオープンショーケースは、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1の食品陳列装置(オープンショーケース)では、陳列室に商品が載置される棚が上下多段状に設置されており、各棚の下面前端に紫外線ランプ(殺菌灯)がそれぞれ取り付けられている。各紫外線ランプは、紫外線の照射方向が奥方に向かうように設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の食品陳列装置では、紫外線ランプから放射される紫外線を棚に載置された商品上方に照射することにより、空気中を浮遊する菌や食品表面に付着の菌を除菌することができ、商品の陳列環境を改善することができる。しかし、紫外線は人体に有害なものであり、特に目の障害を誘発するおそれがある。特許文献1の食品陳列装置では、常態において紫外線ランプが点灯されているので、店舗の利用客や従業員に対して陳列室内で反射した紫外線が照射されるのを避けられない。
【0005】
本発明は、陳列室を殺菌灯で除菌するオープンショーケースにおいて、人に対して紫外線が照射されるのを防止して安全性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るオープンショーケースは、前面開口2を有する陳列室5と、陳列室5に設けられる紫外線を放射する殺菌灯41と、前面開口2を開閉するナイトカバー25と、を備え、殺菌灯41が、前面開口2がナイトカバー25で閉塞されたのち所定の待機時間Tsが経過したときに点灯されるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
殺菌灯41の点灯を制御する制御部32と、前面開口2がナイトカバー25で閉塞されたことを検知して制御部32に向かって閉塞信号を出力する検知手段44とを備えている。殺菌灯41は、制御部32が検知手段44からの閉塞信号を所定の待機時間Ts受信し続けたときに点灯されるように構成されている。
【0008】
殺菌灯41は、陳列室5に上下多段状に設置される商品陳列棚23の下面に固定されており、商品陳列棚23の下面に、殺菌灯41から前方側に放射される紫外線を遮蔽する遮蔽板43が設けられている。
【0009】
前面開口2に対する人の近接を検知する人感センサ39を備えており、人感センサ39が人の近接を検知すると、殺菌灯41が消灯されるように構成されている。
【0010】
検知手段44は、陳列室5に冷気を吹出す吹出口13における冷気温度を測定する吹出温度センサ34と、陳列室5の冷気を吸込む吸込口14における冷気温度を測定する吸込温度センサ35と、両温度センサ34・35の温度差を算出し、当該温度差が所定値以下になったとき、制御部32に向かって閉塞信号を出力する算出部36とで構成されている。
【0011】
ナイトカバー25は、前面開口2を閉塞するように展張されるシート状のカバー本体26と、カバー本体26の引出先端に設けられ、係止部29に係止することでカバー本体26が展張された状態で保持されるフック27とを備えている。検知手段44は、係止部29にフック27が係止されたことを検知して制御部32に向かって閉塞信号を出力する検知スイッチ50で構成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、前面開口2を有する陳列室5と、陳列室5に設けられる紫外線を放射する殺菌灯41と、前面開口2を開閉するナイトカバー25とを備えるオープンショーケースにおいて、殺菌灯41が、前面開口2がナイトカバー25で閉塞されたのち所定の待機時間Tsが経過したときに点灯されるように構成した。これによれば、ナイトカバー25は、店舗の閉店後に閉塞されるので、ナイトカバー25の閉塞後、従業員の退店が完了する時間以降になるように待機時間Tsを設定しておくことで、客はもちろんのこと従業員が店舗にいるときに殺菌灯41が点灯されることはない。したがって、本発明によれば、陳列室5に殺菌灯41を備えていながらも、人に対して紫外線が照射されるのを防止することが可能な安全性に優れたオープンショーケースとすることができる。
【0013】
殺菌灯41の点灯を制御する制御部32と、前面開口2がナイトカバー25で閉塞されたことを検知して制御部32に向かって閉塞信号を出力する検知手段44とを備えており、殺菌灯41が、制御部32が検知手段44からの閉塞信号を所定の待機時間Ts受信し続けたときに点灯されるように構成されていると、人に対して紫外線が照射されるのを確実に防止できる。詳しくは、待機時間Ts中の閉塞信号の途絶は、一度閉塞されたナイトカバー25が従業員によって開放されたことを意味する。そのため、ナイトカバー25が閉塞されたのち待機時間Ts経過後に殺菌灯41が点灯されるように構成されている場合、例えば閉店後も長時間業務を行っている従業員によって、閉塞されたのちのナイトカバー25が開放されているときに待機時間Tsが経過すると、ナイトカバー25が開放されている状態で殺菌灯41が点灯されることとなる。これでは、オープンショーケースの近傍で従業員が業務を行っている可能性があり、従業員に対して紫外線が照射されるおそれがある。しかし本発明のように、殺菌灯41が閉塞信号を所定の待機時間Ts受信し続けたときに点灯されるように構成されていると、ナイトカバー25が開放されている状態で殺菌灯41が点灯されることはなく、また、ナイトカバー25が再度閉塞されてから、待機時間Tsが経過するまでは殺菌灯41が点灯されることがないので、殺菌灯41を備えるオープンショーケースの安全性をより向上できる。
【0014】
殺菌灯41は陳列室5に上下多段状に設置される商品陳列棚23の下面に固定されており、商品陳列棚23の下面に殺菌灯41から前方側に放射される紫外線を遮蔽する遮蔽板43が設けられている形態を採ることができる。このように、遮蔽板43で殺菌灯41から前方側に放射される紫外線を遮蔽すると、オープンショーケースの近傍で従業員が業務を行っている状態で殺菌灯41が点灯された場合であっても、ナイトカバー25を介して殺菌灯41が直接目視されるのを遮蔽板43で防止できるので、殺菌灯41を備えるオープンショーケースの安全性をさらに向上できる。
【0015】
前面開口2に対する人の近接を検知する人感センサ39を備え、人感センサ39が人の近接を検知すると、殺菌灯41が消灯されるように構成されていると、殺菌灯41が点灯されているときに従業員がオープンショーケースに近づいた場合でも、人感センサ39で人の存在を検知して殺菌灯41を消灯するので、従業員に対して紫外線が照射されるのを確実に防止できる。
【0016】
検知手段44は、陳列室5に冷気を吹出す吹出口13における冷気温度を測定する吹出温度センサ34と、陳列室5の冷気を吸込む吸込口14における冷気温度を測定する吸込温度センサ35と、両温度センサ34・35の温度差を算出し、当該温度差が所定値以下になったとき、制御部32に向かって閉塞信号を出力する算出部36とで構成することができる。オープンショーケースにおいては、前面開口2をナイトカバー25で閉塞すると、前面開口2が開放されているときに比べて、吹出口13における冷気の温度と吸込口14における冷気の温度の温度差が小さくなる。また、吹出温度センサ34および吸込温度センサ35は、温度制御を行うためにオープンショーケースに一般的に搭載されるセンサである。したがって、ナイトカバー25を使用したときに生じる現象を、一般的に搭載されるセンサを利用して検知するので、別途検知用のスイッチ等を設ける必要がない分、オープンショーケースの全体コストを削減できる。
【0017】
ナイトカバー25は、前面開口2を閉塞するように展張されるシート状のカバー本体26と、カバー本体26の引出先端に設けられ、係止部29に係止することでカバー本体26が展張された状態で保持されるフック27とを備えており、検知手段44は、係止部29にフック27が係止されたことを検知して制御部32に向かって閉塞信号を出力する検知スイッチ50で構成することができる。これによれば、カバー本体26を展張状態に保持するためのフック27を直接検知して、前面開口2がナイトカバー25で閉塞されていることを機械的に検知するので、制御部32に対して閉塞信号を的確に出力できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施例1に係るオープンショーケースの制御系を示すブロック図である。
【
図3】オープンショーケースの部分横断平面図である。
【
図4】殺菌灯の点灯制御を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施例2に係るオープンショーケースの検知手段を示す縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施例1)
図1から
図4に、本発明に係るオープンショーケースの実施例1を示す。本実施例における前後、左右、上下とは、
図2および
図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
図2においてオープンショーケースのケース本体1は、前面開口2を有する断熱箱体からなり、その内部が庫内3とされている。庫内3には、ケース本体1の上壁、後壁、および下壁に正対する断面コ字状の区画壁4が設けられており、該区画壁4で庫内3は、前面開口2に臨む陳列室5と、ケース本体1と区画壁4との間に形成されるコ字状の通路からなる冷気の循環通路6とに区画されている。
【0020】
区画壁4は、ケース本体1の上壁および後壁に正対する、天板9および背板10からなる断面逆L字状の区画板11と、ケース本体1の下壁に正対するデッキパン12とで構成されており、区画板11がケース本体1に一体に固定されているのに対し、デッキパン12はケース本体1に対して着脱自在に支持されている。ケース本体1と天板9の前端との間には、冷気の吹出口13が形成され、ケース本体1とデッキパン12の前端との間には、冷気の吸込口14が形成されている。
【0021】
ケース本体1の下部には機械室15が設けられており、該機械室15の内部に冷凍機器を構成する圧縮機16、凝縮器17、凝縮器ファン18などが設置されている。また、これら機器(圧縮機16、凝縮器17、凝縮器ファン18)とともに冷凍機器を構成する蒸発器19は、ケース本体1の後壁と背板10との間の循環通路6に設置されている。ケース本体1の下壁とデッキパン12との間の循環通路6には、庫内3で冷気の循環流を生起する循環ファン20が設置されている。循環ファン20を駆動すると、陳列室5の冷気が吸込口14から循環通路6へと取り込まれ、循環ファン20で循環通路6を圧送される冷気は、蒸発器19において熱交換され、熱交換後の冷気は吹出口13から陳列室5へと吹出される。吹出口13から吹き出され吸込口14へと吸い込まれる冷気は、陳列室5内を冷却しつつ、陳列室5の前面にエアカーテンを形成する。
【0022】
陳列室5の内部には上下多段状に商品陳列棚23が設置されている。各商品陳列棚23は、背板10に係止固定された左右一対の支持ブラケット24で支持されている。また、陳列室5(ケース本体1)の前面開口2は、ナイトカバー25で開閉できるように構成されている。ナイトカバー25は、前面開口2を覆うシート状のカバー本体26と、カバー本体26の引出先端に設けられるフック27とを備えている。カバー本体26の左右幅寸法は、前面開口2の左右幅寸法よりも僅かに小さく設定されており、カバー本体26の基端は、吹出口13の前側に設けられた巻取装置28に連結されている。
【0023】
陳列室5の前面開口2が開放されるナイトカバー25の不使用時において、カバー本体26は巻取装置28でロール状に巻き取られており、陳列室5の前面開口2が閉塞されるナイトカバー25の使用時において、カバー本体26は巻取装置28から引き出され展張される。吸込口14の前側にはフック27を係止するための係止部29が形成されており、巻取装置28から引き出されたカバー本体26は、フック27を係止部29に係止することにより展張した状態で保持され、前面開口2がナイトカバー25で閉塞される。店舗の閉店時にナイトカバー25で前面開口2を閉塞すると、陳列室5への外気の流入、および庫外への冷気の流出を大幅に低減することができるので、前面開口2が開放されているときに比べて、吹出口13における冷気の温度と吸込口14における冷気の温度の温度差を小さくするとともに、陳列室5内の温度変化を小さくすることができる。これにより、圧縮機16の駆動時間および負荷を減少させることができるので、閉店時間中のオープンショーケースの電力消費を軽減することができる。
【0024】
オープンショーケースの温度制御は制御部32で行われており(
図1参照)、制御部32は庫内3の各所に設けられた温度センサの測定温度に基づいて圧縮機16をオンオフ制御して温度制御を行っている。庫内3には、背板10の前面中央に陳列室5内の温度を測定する陳列室内温度センサ33が設けられ、吹出口13近傍の循環通路6に吹出口13における冷気の温度を測定する吹出温度センサ34が設けられ、吸込口14近傍の循環通路6に吸込口14における冷気の温度を測定する吸込温度センサ35が設けられている。これら各温度センサ(陳列室内温度センサ33、吹出温度センサ34、吸込温度センサ35)は、一般的なオープンショーケースにおいて温度制御を行うために搭載される温度センサである。
【0025】
制御部32は、陳列室内温度センサ33で測定された温度が、設定温度に対して所定の温度範囲(例えばプラスマイナス3℃)に収まるよう圧縮機16をオンオフ制御して温度制御を行っている。先の凝縮器ファン18および循環ファン20の駆動状態も制御部32で制御されており、凝縮器ファン18は圧縮機16と同調してオンオフ制御され、循環ファン20は常時駆動されている。吹出温度センサ34および吸込温度センサ35は、測定した温度を制御部32に対して出力し、制御部32は両センサ34・35から受信した温度に基づいて圧縮機16の出力を調整している。また、両センサ34・35は、算出部36にも測定した温度を出力しており、該算出部36は、吹出温度センサ34で測定した温度と吸込温度センサ35で測定した温度との温度差を算出している。
【0026】
ケース本体1の前面上部の中央には、前面開口2に対する人の近接を検知する人感センサ39が設けられており、人感センサ39は赤外線を利用した熱検知センサ、あるいは赤外線やマイクロ波を利用した測距センサで構成することができる。人感センサ39は、人を検知している(人が前面開口2に臨む領域に存在する)状態では制御部32に向かってオン信号を出力し、人を検知していない状態では制御部32に向かってオフ信号を出力する。勿論、人感センサ39のオフ信号とオン信号の出力は逆であってもよい。
【0027】
図2および
図3に示すように、各商品陳列棚23の下面には、前端寄りに陳列室5を照明する直管型のLEDランプからなる照明機器40が設けられ、中央部に商品陳列棚23の表面を含む陳列室5の内面および陳列商品の表面に付着の菌を除菌するための直管型の紫外線ランプからなる殺菌灯41が設けられている。照明機器40および殺菌灯41は、それぞれ左右一対のランプソケット42で商品陳列棚23の下面に吊り下げ固定されている。殺菌灯41の前面および左右の側面を囲むように殺菌灯41から前方側および左右の側方側に放射される紫外線を遮蔽する遮蔽板43が設けられている。遮蔽板43は、平面視において後方が開口する断面コ字状のプラスチック成型品からなり、その上端が商品陳列棚23の下面に連結固定されている。本実施例では、天板9の下面にも照明機器40と殺菌灯41および遮蔽板43が設けられている。
【0028】
殺菌灯41の点灯は制御部32で制御されており、店舗等に人がいるときには殺菌灯41は点灯されず、店舗等に人がいない時に殺菌灯41が点灯されるように制御される。具体的には、ナイトカバー25は店舗の閉店時に使用されることに着目して、ナイトカバー25が使用されている状態、すなわち従業員や客がいない店舗の閉店時間中に殺菌灯41が点灯されるように構成されている。ナイトカバー25が使用されている状態を検知するために、前面開口2が展張されたナイトカバー25で閉塞されたことを検知する検知手段44が設けられており、本実施例では、検知手段44を吹出温度センサ34と吸込温度センサ35と算出部36とで構成し、算出部36で算出された両温度センサ34・35の温度差が所定値以下になったとき、算出部36が制御部32に向かって閉塞信号を出力するように構成した。これは先に説明したようにナイトカバー25の使用時は、吹出口13における冷気の温度と吸込口14における冷気の温度の温度差を小さくなることを利用している。また、ナイトカバー25が使用された直後に殺菌灯41を点灯すると、まだ店舗に残っている従業員がいることから、ナイトカバー25の使用開始から所定の待機時間Tsが経過した後に殺菌灯41を点灯する。待機時間Tsとしては例えば1時間が設定される。
【0029】
制御部32による殺菌灯41の点灯制御を、
図4のフローチャートを用いて説明する。制御部32は検知手段44から出力される閉塞信号を監視しており(ステップS1でNO)、ナイトカバー25が使用され算出部36(検知手段44)から出力される閉塞信号を受信すると(ステップS1でYES)、制御部32に内蔵されたタイマー45(
図1参照)をリセットしたのち計時を開始する(ステップS2)。制御部32は、計時開始から待機時間Tsが経過すると、殺菌灯41を点灯する(ステップS3でYES、ステップS4)。制御部32は殺菌灯41を点灯すると、タイマー45をリセットしたのち計時を再開し(ステップS5)、計時再開から所定の点灯時間Teが経過すると(ステップS6でYES)、殺菌灯41を消灯し(ステップS7)、これにて陳列室5の除菌が完了する。
【0030】
制御部32は、殺菌灯41を消灯するとタイマー45をリセットしたのち計時を再開し(ステップS8)、計時開始から復帰時間Trが経過すると(ステップS9でYES)、ステップS1に戻って再度閉塞信号を監視する。このとき、復帰時間Trを店舗の閉店時間(例えば23時)から開店時間(例えば9時)までの時間(10時間)に設定すると、店舗の開店後に復帰時間Trが経過するので、ナイトカバー25は開放されている状態となり、当日の閉店後にナイトカバー25が使用されるまで、陳列室5の除菌が行われることはない。また、復帰時間Trを例えば3時間に設定すると、殺菌灯41の消灯後4時間が経過すると陳列室5の除菌が再度行われるように構成することができる。
【0031】
ステップS2でタイマー45による計時を開始したのちも、制御部32は閉塞信号を監視しており(ステップS3でNO、ステップS10でYES)、待機時間Tsが経過する前に閉塞信号が受信されなくなったときには(ステップS10でNO)、タイマー45による計時を停止し(ステップS11)、ステップS1に戻って再度閉塞信号を監視する。このように、制御部32は、待機時間Tsの間継続して閉塞信号を受信し続けたときに殺菌灯41を点灯するように構成されている。なお、待機時間Ts内における閉塞信号の途絶は、従業員がナイトカバー25を開放した可能性が考えられる。
【0032】
上記点灯時間Teは、紫外線が食品へ与える影響を最小限に抑えるため除菌に必要な最低限度の時間に設定することが好ましく、殺菌灯41の点灯時間は例えば10分とする。なお、殺菌灯41の点灯中における制御部32は、人感センサ39からの信号を監視しており、殺菌灯41の点灯中に人感センサ39からオン信号を受信すると、制御部32は殺菌灯41を消灯するように構成されている。なお、本実施例のように閉塞信号が途絶したときにタイマー45をリセットせず、閉店後にナイトカバー25が閉じられたのち待機時間Tsが経過したときに殺菌灯41が点灯される形態を採ることもできる。つまり、
図4のフローチャートにおけるステップS10~S11を省略した形態であってもよい。この場合には、待機時間Tsを上記の1時間より長く設定することが好ましい。
【0033】
以上のように、本実施例に係るオープンショーケースでは、陳列室5に設けられる殺菌灯41を、前面開口2がナイトカバー25で閉塞されたのち所定の待機時間Tsが経過したときに点灯されるように構成した。これによれば、ナイトカバー25は、店舗の閉店後に閉塞されるので、ナイトカバー25の閉塞後、従業員の退店が完了する時間以降になるように待機時間Tsを設定しておくことで、客はもちろんのこと従業員が店舗にいるときに殺菌灯41が点灯されることはない。したがって、本実施例によれば、陳列室5に殺菌灯41を備えていながらも、人に対して紫外線が照射されるのを防止することが可能な安全性に優れたオープンショーケースとすることができる。
【0034】
殺菌灯41の点灯を制御する制御部32と、前面開口2がナイトカバー25で閉塞されたことを検知して制御部32に向かって閉塞信号を出力する検知手段44とを備え、殺菌灯41を、制御部32が検知手段44からの閉塞信号を所定の待機時間Ts受信し続けたときに点灯されるように構成したので、人に対して紫外線が照射されるのを確実に防止できる。詳しくは、待機時間Ts中の閉塞信号の途絶は、一度閉塞されたナイトカバー25が従業員によって開放されたことを意味する。そのため、ナイトカバー25が閉塞されたのち待機時間Ts経過後に殺菌灯41が点灯されるように構成されている場合、例えば閉店後も長時間業務を行っている従業員によって、閉塞されたのちのナイトカバー25が開放されているときに待機時間Tsが経過すると、ナイトカバー25が開放されている状態で殺菌灯41が点灯されることとなる。これでは、オープンショーケースの近傍で従業員が業務を行っている可能性があり、従業員に対して紫外線が照射されるおそれがある。しかし本実施例では、殺菌灯41が閉塞信号を所定の待機時間Ts受信し続けたときに点灯されるように構成したので、ナイトカバー25が開放されている状態で殺菌灯41が点灯されることはなく、また、ナイトカバー25が再度閉塞されてから、待機時間Tsが経過するまでは殺菌灯41が点灯されることがないので、殺菌灯41を備えるオープンショーケースの安全性をより向上できる。
【0035】
殺菌灯41は陳列室5に多段状に設置される商品陳列棚23の下面に固定されており、商品陳列棚23の下面に殺菌灯41から前方側に放射される紫外線を遮蔽する遮蔽板43を設けたので、オープンショーケースの近傍で従業員が業務を行っている状態で殺菌灯41が点灯された場合であっても、ナイトカバー25を介して殺菌灯41が直接目視されるのを遮蔽板43で防止でき、殺菌灯41を備えるオープンショーケースの安全性をさらに向上できる。
【0036】
前面開口2に対する人の近接を検知する人感センサ39を備え、人感センサ39が人の近接を検知すると、殺菌灯41を消灯するように構成したので、殺菌灯41が点灯されているときに従業員がオープンショーケースに近づいた場合でも、人感センサ39で人の存在を検知して殺菌灯41を消灯して、従業員に対して紫外線が照射されるのを確実に防止できる。
【0037】
検知手段44は、吹出口13における冷気温度を測定する吹出温度センサ34と、吸込口14における冷気温度を測定する吸込温度センサ35と、両温度センサ34・35の温度差を算出し、当該温度差が所定値以下になったとき、制御部32に向かって閉塞信号を出力する算出部36とで構成したので、ナイトカバー25を使用したときに生じる現象を、一般的に搭載されるセンサを利用して検知するので、別途検知用のスイッチ等を設ける必要がない分、オープンショーケースの全体コストを削減できる。
【0038】
(実施例2)
図5に、本発明に係るオープンショーケースの実施例2を示す。本実施例では、検知手段44の構成を変更した点が実施例1と相違する。係止部29の下面には下突状に係止突起48が形成されており、該係止突起48にフック27の先端に形成されたJ字状の係止爪49が係止されるように構成されている。係止突起48の内面には、係止された係止爪49で検知スイッチ50が押込み操作されるリミットスイッチ(機械式スイッチ)からなる検知スイッチ50が設置されており、当該検知スイッチ50が検知手段44を構成する。検知スイッチ50は、押込み操作されている(フック27が係止部29に係止されている)状態では制御部32に向かってオン信号を出力し、常態(フック27が係止部29に係止されていない)状態では制御部32に向かってオフ信号を出力する。勿論、検知スイッチ50のオフ信号とオン信号の出力は逆であってもよい。なお、検知スイッチ50はリミットスイッチのような機械式スイッチのほか、静電スイッチなどの非接触式スイッチで構成することもできる。
【0039】
上記のように、係止部29にフック27が係止されたことを検知して制御部32に向かって閉塞信号を出力する検知スイッチ50で検知手段44を構成したので、カバー本体26を展張状態に保持するためのフック27を直接検知し、前面開口2がナイトカバー25で閉塞されていることを機械的に検知することで、制御部32に対して閉塞信号を的確に出力できる。
【0040】
上記以外に、人感センサ39は省略することができ、この場合には点灯時間Teの間も制御部32で閉塞信号を受信し続けているか監視し、点灯時間Teに閉塞信号が途絶したとき殺菌灯41を消灯するようにすることで、ナイトカバー25を開放操作した従業員に紫外線が照射されるのを防止できる。遮蔽板43は少なくとも殺菌灯41の前面にあればよい。検知手段44は、吹出しおよび吸込みの両温度センサ34・35と算出部36とからなる検知手段44と、検知スイッチ50からなる検知手段44との両方を備えることも可能である。
【符号の説明】
【0041】
2 前面開口
5 陳列室
13 吹出口
14 吸込口
23 商品陳列棚
25 ナイトカバー
26 カバー本体
27 フック
29 係止部
32 制御部
34 吹出温度センサ
35 吸込温度センサ
36 算出部
39 人感センサ
41 殺菌灯
43 遮蔽板
44 検知手段
50 検知スイッチ
Ts 待機時間