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  • 特開-枕 図1A
  • 特開-枕 図1B
  • 特開-枕 図2A
  • 特開-枕 図2B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022012276
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】枕
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20220107BHJP
   A47G 9/10 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
A47K3/00 Z
A47G9/10 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020113995
(22)【出願日】2020-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】305020826
【氏名又は名称】株式会社タイセイプラス
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(72)【発明者】
【氏名】小山 由朗
(72)【発明者】
【氏名】後藤 高志
(72)【発明者】
【氏名】中村 隼一
(72)【発明者】
【氏名】佐野 智規
【テーマコード(参考)】
2D005
3B102
【Fターム(参考)】
2D005FA02
3B102AA09
3B102AB07
(57)【要約】
【課題】浴槽の形状を問わず取付け可能で、頭部へのフィット性に優れ、また、コンパクトかつ軽量で持ち運びしやすい枕を提供することを目的とする。
【解決手段】ヘッドレスト本体と、前記ヘッドレストに張設される弾性シート部材と、を備え、前記ヘッドレスト本体は、前面の左右端に設けられ、それぞれ上下方向に延在する凸部と、前記凸部間に設けられた湾曲面と、を有し、前記弾性シート部材は、前記ヘッドレストの湾曲面から離隔した状態で前記ヘッドレストに張設される、枕である。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドレスト本体と、前記ヘッドレストに張設される弾性シート部材と、を備え、
前記ヘッドレスト本体は、前面の左右端に設けられ、それぞれ上下方向に延在する凸部と、前記凸部間に設けられた湾曲面と、を有し、
前記弾性シート部材は、前記ヘッドレストの湾曲面から離隔した状態で前記ヘッドレストに張設される、枕。
【請求項2】
前記ヘッドレスト本体は、その左右側面に突設された複数の突出部を有し、
前記弾性シート部材は、その左右端部に凹設された複数の保持部を有し、
前記突出部と前記保持部とを組み合わせることによって、前記弾性シート部材が前記ヘッドレスト本体に係脱可能に張設される、請求項1に記載の枕。
【請求項3】
前記弾性シート部材の保持部は、前記弾性シート部材に設けられた穴であり、前記穴の周囲の少なくとも一部は、前記弾性シート部材の他の部分よりも肉厚に成形されている、請求項2に記載の枕。
【請求項4】
さらに、吸盤を有する固定部材を備え、
前記ヘッドレスト本体は、その左右方向に延在する固定部材取付け部を有し、
前記固定部材取付け部に、前記固定部材が回動可能に取付けられる、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の枕。
【請求項5】
前記ヘッドレスト本体は中空の樹脂成型体である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の枕。
【請求項6】
前記ヘッドレスト本体の湾曲面において、前記湾曲面の上端における左右方向の幅は、前記湾曲面の下端における左右方向の幅よりも小さい、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の枕。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室やアウトドアで使用できる枕に関するものである。
【背景技術】
【0002】
浴室やアウトドアでの使用を想定した、プラスチック等の材料からなる枕が知られている。例えば、特許文献1には、浴槽の上縁に配置されるボードと、ボードの前面側に取付けられた木製の枕が記載されている。特許文献1の枕は、ボードと一体的に成形され、ボードと枕とは互いに固定されている。
【0003】
また、特許文献2には、浴槽用枕であって、浴槽に着脱可能な吸盤と、吸盤によって浴槽の端に固定される頭部保持部材とを組み合わせたものが記載されている。特許文献2の浴槽用枕は、頭部保持部材が発泡樹脂組成物によって形成されており、柔軟性を有することが記載されている。
【0004】
また、特許文献3には、板状のボードと、枕と、取付け手段と、を備え、取付け手段を介して枕がボードに取付けられ、枕は取付け軸を中心に回動可能である浴槽用枕が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平3-112088号公報
【特許文献2】特開2004-202123号公報
【特許文献3】特開2019-72354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、浴槽の形状は多様化しており、浴槽の形状を問わず取付け可能で、頭部へのフィット性に優れた浴槽用枕が望まれる。また、浴槽だけでなくアウトドアなど幅広いシーンで利用できるように、コンパクトかつ軽量で持ち運びしやすい枕が望まれる。
【0007】
本発明はこの状況に鑑み、浴槽の形状を問わず取付け可能で、頭部へのフィット性に優れ、また、コンパクトかつ軽量で持ち運びしやすい枕を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは前記課題について検討を進め、次の構成によれば前記課題を解決する枕が提供されることを見出した。すなわち、本発明は次の構成を有する。
【0009】
[1]ヘッドレスト本体と、前記ヘッドレストに張設される弾性シート部材と、を備え、
前記ヘッドレスト本体は、前面の左右端に設けられ、それぞれ上下方向に延在する凸部と、前記凸部間に設けられた湾曲面と、を有し、
前記弾性シート部材は、前記ヘッドレストの湾曲面から離隔した状態で前記ヘッドレストに張設される、枕。
【0010】
[2]前記ヘッドレスト本体は、その左右側面に突設された複数の突出部を有し、
前記弾性シート部材は、その左右端部に凹設された複数の保持部を有し、
前記突出部と前記保持部とを組み合わせることによって、前記弾性シート部材が前記ヘッドレスト本体に係脱可能に張設される、[1]に記載の枕。
【0011】
[3]前記弾性シート部材の保持部は、前記弾性シート部材に設けられた穴であり、前記穴の周囲の少なくとも一部は、前記弾性シート部材の他の部分よりも肉厚に成形されている、[2]に記載の枕。
【0012】
[4]さらに、吸盤を有する固定部材を備え、
前記ヘッドレスト本体は、その左右方向に延在する固定部材取付け部を有し、
前記固定部材取付け部に、前記固定部材が回動可能に取付けられる、[1]から[3]のいずれか1項に記載の枕。
【0013】
[5]前記ヘッドレスト本体は中空の樹脂成型体である、[1]から[4]のいずれか1項に記載の枕。
【0014】
[6]前記ヘッドレスト本体の湾曲面において、前記湾曲面の上端における左右方向の幅は、前記湾曲面の下端における左右方向の幅よりも小さい、[1]から[5]のいずれか1項に記載の枕。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、浴槽の形状を問わず取付け可能で、頭部へのフィット性に優れ、また、コンパクトかつ軽量で持ち運びしやすい枕が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A図1Aは本発明の枕の一例を示す斜視図である。
図1B図1Bは本発明の枕の一例において、弾性シート部材を取りはずした状態を示す斜視図である。
図2A図2Aは本発明の枕のヘッドレスト本体の前面を示す図である。
図2B図2Bは本発明の枕のヘッドレスト本体の後面を示す図である。
図3図3は本発明の枕のヘッドレスト本体の側面を示す図である。
図4図4は本発明の枕の弾性シート部材を示す平面図である。
図5図5は本発明の枕の固定部材を示す斜視図である。
図6図6は取付け部及び固定部材を有する本発明の枕の一例を示す斜視図である。
図7図7は本発明の枕を浴槽に取付ける一態様を示す。
図8図8は本発明の枕を浴槽に取付ける一態様を示す。
図9図9は本発明の枕を浴槽に取付ける一態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて本開示の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
なお、本明細書において、前面とは枕において頭や首を預ける側を意味する。また、上、下、左、右とは枕の前面に向かってそれぞれ上、下、左、右の方向を意味する。
【0018】
図1は本発明の枕1を示す。図1Aは弾性シート部材20を取付けた状態の枕1である。図1Bは枕1において弾性シート部材20を取り外した状態である。図1A,Bを参照して、枕1は、弾性シート部材20がヘッドレスト本体10の前面に張設されている。弾性シート部材20は、エラストマー樹脂からなるシートであり、例えばポリスチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー、シリコンゴム等の弾性合成樹脂シートである。また、弾性シート部材20としては、用途に応じた弾性と強度を有する素材であれば特に限定されず、ネットやメッシュを用いることもできる。
【0019】
ヘッドレスト本体10は、左右側面に複数の突出部11を有する。突出部11はヘッドレスト本体10の側面に設けられた突起である。弾性シート部材20の端部に設けられた穴である保持部21を突出部11に引掛けることによって、弾性シート部材20がヘッドレスト本体10に保持される。
【0020】
ヘッドレスト本体10は、前面の左右両側の端に、上下方向に延在する凸部12、13を有する。凸部12、13の間には、凸部12,13よりも後退し、凸部12、13を接続する湾曲面14が設けられている。湾曲面14が凸部12,13よりも後退していることによって、弾性シート部材20が張設されたときに、弾性シート部材20は湾曲面14と離隔した状態となる。
【0021】
図2Aはヘッドレスト本体10の前面、図2Bはヘッドレスト本体10の後面である。図2の実施態様では、ヘッドレスト本体10において、湾曲面14の上下方向の幅は、凸部12、13の上下方向の幅よりも狭く形成されている。このような形態とすることで、枕全体の容量が少なく、軽量化が可能であり、かつ強度が確保されるという利点がある。また、ヘッドレスト本体10の形態は図2の実施態様のほか、たとえば湾曲面14と凸部12,13の上下方向の幅をほぼ同じないし同一とすることもできる。
【0022】
湾曲面14は、上部の幅Wよりも下部の幅Wの方が広く形成されている。下部の幅Wが上部の幅Wよりも広いことによって、頭と首を載せた時に荷重が分散され、枕によって無理なくリラックスした体勢を維持することができる。
【0023】
ヘッドレスト本体10の突出部11は、左右の側面にそれぞれ4か所ずつ設けられている。突出部11は、枕1の前面から後面に向かって断面積が大きくされている。また、突出部11の後端面11aは、弾性シート部材20を引掛けやすくかつ保持できるように、枕10の前面と略平行で半楕円形状の面である。突出部の数は本発明の効果を得られる限り特に制限されず、左右にそれぞれ2~10か所程度とすることができる。
【0024】
ヘッドレスト本体10は、凸部12、13の間に、左右方向に延在する固定部材取付け部15を有する。固定部材取付け部15は、左右方向に延在する円筒状の軸部材である。固定部材取付け部15には、固定部材30(図5)を取付けることができ、取付けられた固定部材30は固定部材取付け部15の軸の周りを回動可能である。
【0025】
ヘッドレスト本体10は、浴室やアウトドアでの使用を考慮すると、中空の樹脂成型体であることが好ましい。例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂等のブロー成形体であることが好ましい。ブロー成型体とすることによって、水に浮き、軽量かつ必要な強度が得られるという利点がある。
【0026】
図3はヘッドレスト本体10の側面を示す。ヘッドレスト本体10は、中央部が前面に向かって突出し、上部および下部は中央部よりも後退した弓形に形成されている。この形状によって、確実に後頭部および首を支持することが可能で、リラックス効果に優れた枕が得られる。
【0027】
図4は弾性シート部材20を示す。弾性シート部材20は全体が一体に形成された弾性樹脂からなるシートである。弾性シート部材20の左右端には、ヘッドレスト本体10に引掛けるための保持部21が、左右それぞれ4か所ずつ形成されている。隣り合う保持部21と保持部21の間は、略弧状に形成されている。保持部21はシートに形成された半円形の穴である。保持部21の周囲23は、弾性シート部材20の中央のシート部分よりも肉厚に成形されている。さらに、保持部21の外縁側の爪部24は、保持部21と接する部分が最も肉厚に成形されており、周囲23よりもさらに厚みが大きい。爪部24は先端に向かうほど厚みが薄くされている。かかる形状によって、ヘッドレスト本体10の突出部11に引掛けやすく、かつ、破断しにくく長期間の使用に耐えうる。
【0028】
弾性シート部材20の厚みは、材質や所望に強度に応じて選択すればよく、特に制限されないが、例えば非伸張時(ヘッドレスト本体に取付けていない時)において0.5~5mm程度とすることができ、0.5~3mm程度であることが好ましい。また、シートの辺縁を肉厚に成形することによって、薄いシートであっても強度を確保し、シートの破断を生じにくくすることができる。
【0029】
弾性シート部材20の硬度は特に制限されないが、例えば、デュロメータ硬度(JIS K 6253)が30~60程度とすることができ、30~50であればより好ましい。弾性シート部材の材料として例えば、優れたゴム弾性と高張力の観点から、熱可塑性エラストマーコンパウンドのアーネストン(登録商標、クラレ株式会社製)等を用いることができる。弾性シート部材20は、例えば射出成型、押出成形によって得ることができる。
【0030】
図5は固定部材30を示す。固定部材30は、枕10の固定部材取付け部15に対して回動可能に嵌め込むことができるように、開口のある円筒形に形成された嵌め込み部31と、嵌め込み部31から延在する取付け面に設けられた吸盤取付け部32とを有する。吸盤取付け部32には吸盤を取付けるための穴33が形成されている。図5の例では穴33は並列して2か所に形成されているが、穴の配置や数は、本発明の効果を得られる限り特に制限されない。例えば中央に1つの穴を設けて1つの吸盤で枕1を支持するようにしてもよく、3つ以上の穴を設けてもよい。
【0031】
図6は枕1に固定部材30を取付けた状態を示す。固定部材30には2つの吸盤34が取付けられている。固定部材30は、ヘッドレスト本体10の固定部材取付け部15に対して回動可能である。このため、任意の角度で枕1を使用することができる。
【0032】
例えば、図7を参照して、深さのある和式浴槽の場合、浴槽の外縁の平らな部分に吸盤34を取付け、浴槽の角に枕1が位置するようにしてもよい。また、図8を参照して、浅く長い洋式浴槽の場合、浴槽の内面上部に吸盤34を取付け、浴槽内に枕1が位置するようにしてもよい。また、図9を参照して、浴槽内部に段差のあるベンチ型浴槽の場合、浴槽外部の壁面に吸盤34を取付け、枕1を固定することもできる。
【0033】
枕1を浴槽用枕として用いる際には前述のように固定部材30を取付け、壁面や浴槽に吸盤34を吸着させて枕を固定することができる。一方、アウトドアなどで枕1を用いる際には、固定部材30を取り外して用いることもできる。固定部材30を取り外した場合には固定部材取付け部15を取手にして便利に持ち運ぶことができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の枕は、浴槽用枕、アウトドア用の枕等として特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0035】
1 枕、 10 ヘッドレスト本体、 11 突出部、 12、13 凸部、 14 湾曲面、 15 固定部材取付け部、 20 弾性シート部材、 21 保持部、 23 保持部の周囲、 24 爪部、 30 固定部材、 31 嵌め込み部、 32 吸盤取付け部、 33 穴、 34 吸盤
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9