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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122775
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】シャワー装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/28 20060101AFI20220816BHJP
   B05B 1/18 20060101ALI20220816BHJP
   B05B 12/00 20180101ALI20220816BHJP
【FI】
A47K3/28
B05B1/18
B05B12/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020244
(22)【出願日】2021-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(72)【発明者】
【氏名】野々山 昌生
【テーマコード(参考)】
2D132
4F033
4F035
【Fターム(参考)】
2D132FA03
2D132FB02
2D132FC04
2D132FF01
2D132FF03
2D132FG01
2D132FH11
4F033AA11
4F033BA04
4F033CA12
4F033DA05
4F033EA01
4F033GA00
4F033LA13
4F035AA01
4F035BA02
4F035BA22
4F035BB21
4F035BC06
(57)【要約】
【課題】使用者が確実に爽快感を向上させることが可能なシャワー装置(1)を提供する。
【解決手段】複数のノズルが形成されたシャワーヘッド(10)に、加圧ポンプ(22)で加圧してから水または湯を供給する。シャワー装置には、シャワー装置の使用者によって操作される操作部(21)が搭載されており、操作部に対して行われた操作内容に基づいて加圧ポンプの動作が制御される。こうすれば、シャワー装置の使用者は、操作部を操作することによって、好みの水圧でシャワーヘッドから水または湯を噴射することができるので、確実に爽快感を向上させることが可能となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャワーヘッドに形成された複数のノズルから水または湯を噴射するシャワー装置であって、
前記シャワーヘッドに前記水または湯を供給する供給通路と、
前記水または湯を加圧して、前記供給通路を介して前記シャワーヘッドに供給する加圧ポンプと、
前記シャワー装置の使用者が、前記シャワーヘッドに供給される前記水または湯の供給水圧を調節するために操作する操作部と、
前記操作部に対して行われた操作内容に基づいて、前記加圧ポンプの動作を制御する制御手段と
を備えることを特徴とするシャワー装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシャワー装置であって、
前記加圧ポンプは、水および湯を混合する混合水栓の下流側に接続されている
ことを特徴とするシャワー装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のシャワー装置であって、
前記供給水圧を検出する水圧センサを備え、
前記操作部は、前記供給水圧の目標値を設定する操作部であり、
前記制御手段は、前記水圧センサで検出した前記供給水圧が前記操作部で設定された前記目標値となるように、前記加圧ポンプの動作を制御する
ことを特徴とするシャワー装置。
【請求項4】
請求項3に記載のシャワー装置であって、
前記シャワーヘッドは、前記水あるいは湯の噴射態様を変更可能となっており、
前記制御手段は、前記噴射態様に応じた前記供給水圧となるように前記加圧ポンプの動作を制御する
ことを特徴とするシャワー装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載のシャワー装置であって、
前記制御手段は、前記シャワーヘッドでの前記水または湯の噴射中に前記供給水圧を増加させる際には、所定の昇圧時間または所定の昇圧速度で前記供給水圧が上昇するように前記加圧ポンプの動作を制御する
ことを特徴とするシャワー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のノズルが形成されたシャワーヘッドから水あるいは湯を噴射するシャワー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のノズルが形成されたシャワーヘッドから水あるいは湯を噴射することによって、汗や汚れを洗い流すシャワー装置は広く使用されている。このシャワー装置は、単に汗や汚れを洗い流すだけでなく、噴射された水が表皮にあたることによるマッサージ効果で爽快感も得られることが知られている。
【0003】
そこで、シャワーヘッドに供給する水あるいは湯をブースターポンプで加圧してマッサージ効果を高めることによって、爽快感を向上させようとする技術も提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-233469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、シャワーヘッドから噴射された水や湯が表皮にあたった時に、それを心地よいと感じる水圧には個人差があるため、単に水や湯を加圧してシャワーヘッドから噴射しただけでは、必ずしも爽快感が向上するとは限らないという問題があった。
【0006】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題を解決するために成されたものであり、水や湯を加圧してシャワーヘッドから噴射することによって、確実に爽快感を向上させることが可能なシャワー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明のシャワー装置は次の構成を採用した。すなわち、
シャワーヘッドに形成された複数のノズルから水または湯を噴射するシャワー装置であって、
前記シャワーヘッドに前記水または湯を供給する供給通路と、
前記水または湯を加圧して、前記供給通路を介して前記シャワーヘッドに供給する加圧ポンプと、
前記シャワー装置の使用者が、前記シャワーヘッドに供給される前記水または湯の供給水圧を調節するために操作する操作部と、
前記操作部に対して行われた操作内容に基づいて、前記加圧ポンプの動作を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする。
【0008】
かかる本発明のシャワー装置においては、シャワーヘッドに供給する水または湯の水圧(すなわち供給水圧)を加圧する加圧ポンプを備えており、加圧ポンプで加圧した水または湯を、供給通路を介してシャワーヘッドに供給することによって、シャワーヘッドに形成された複数のノズルから噴射する。また、シャワー装置の使用者は、操作部を操作することによって供給水圧を調節することにより、シャワーヘッドから噴射する水や湯の圧力を調節することができる。このため使用者は、好みに応じた水圧でシャワーヘッドから水または湯を噴射することができるので、確実に爽快感を向上させることが可能となる。また、シャワー装置を掃除などの目的で使用する場合には、シャワーヘッドから噴射する水や湯の水圧を目的に応じて変更することも可能となる。
【0009】
上述した本発明のシャワー装置においては、水および湯を混合する混合水栓の下流側に
加圧ポンプを接続してもよい。
【0010】
こうすれば、加圧ポンプを動作させた時に、その影響で他の水栓から流出する水や湯の流量が変動することを抑制することが可能となる。
【0011】
また、上述した本発明のシャワー装置においては、供給通路に設けた水圧センサで供給水圧を検出して、検出した供給水圧が、操作部で設定された目標値となるように、加圧ポンプの動作を制御することとしてもよい。
【0012】
こうすれば、たとえシャワー装置に供給される水や湯の水圧が変動した場合でも、その影響を受けることなく、使用者が設定した水圧で水や湯を噴射することが可能となる。
【0013】
また、上述した本発明のシャワー装置においては、シャワーヘッドが水や湯を噴射する態様を変更可能としておき、水や湯の噴射態様に応じた供給水圧となるように、加圧ポンプの動作を制御してもよい。
【0014】
こうすれば、シャワー装置の使用者が水や湯の噴射態様を変更すると、その噴射態様に応じた供給水圧となるように制御されるので、シャワーヘッドから適切な水圧で水や湯を噴射することが可能となる。
【0015】
また、上述した本発明のシャワー装置においては、シャワーヘッドから水または湯を噴射している状態で供給水圧を増加させる際には、所定の昇圧時間または所定の昇圧速度で供給水圧が上昇するように、加圧ポンプの動作を制御することとしてもよい。
【0016】
こうすれば、シャワーヘッドから噴射される水や湯の水圧が急に上昇して使用者が驚く事態を防止することができる。また、使用者の肌にあたる水や湯の水圧が徐々に上昇していくので、使用者は肌にあたる水圧が高くなり過ぎる前にシャワーを外したり、供給水圧の目標値を低下させたりすることができる。このため、肌にあたる水や湯の水圧が高すぎて不快に感じる事態を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施例のシャワー装置1の概要を示す斜視図である。
図2】本実施例のシャワー装置1が備える圧力調節ユニット20の内部構造を示す説明図である。
図3】第1変形例の圧力調節ユニット20の内部構造を示す説明図である。
図4】第2変形例の圧力調節ユニット20に搭載された切換ボタン21a~21cを例示した説明図である。
図5】第2変形例の圧力調節ユニット20の動作を示す説明図である。
図6】第3変形例の圧力調節ユニット20に搭載された記憶ボタン21d~21fを例示した説明図である。
図7】供給水圧をゆっくりと上昇させる第4変形例のシャワー装置1についての説明図である。
図8】浴槽3の湯を噴射するシャワー装置1についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
A.本実施例 :
図1は、本実施例のシャワー装置1の概要を示した説明図である。図示されるように、本実施例のシャワー装置1は、シャワーヘッド10と、接続ホース11と、圧力調節ユニット20と、給水ホース12とを備えている。シャワーヘッド10にフェイス面10aには図示しない複数の小さなノズルが形成されており、接続ホース11から水や湯をシャワーヘッド10に供給すると、フェイス面10aに形成されたノズルからシャワー状に噴射することが可能となっている。
【0019】
圧力調節ユニット20には接続ホース11および給水ホース12が接続されており、給水ホース12から水や湯が供給されると、その水や湯が加圧されて接続ホース11から流出する。また、圧力調節ユニット20には操作ツマミ21が搭載されており、シャワー装置1の使用者が操作ツマミ21を操作することによって、水や湯を加圧する程度を調節することができる。図1に示した例では、操作ツマミ21は回転式のツマミとなっており、操作ツマミ21を反時計方向に回転させると水圧が低下し、時計方向に回転させると水圧が上昇するようになっている。尚、操作ツマミ21は、複数段階(図示した例では「低」、「中」、「高」の3段階)に切り換える方式のツマミであってもよいし、連続的に(図示した例では「低」から「高」までの間で)変化させることが可能なツマミであってもよい。また、回転式のツマミの代わりにスライド式のツマミを用いてもよい。
【0020】
また、図1に示した例では、圧力調節ユニット20の給水ホース12は混合水栓2に接続されている。周知のように混合水栓2とは、水および湯が供給されると、それらを混合することによって適度な温度の湯に変換してから流出させる水栓である。図示した混合水栓2には、湯量を調節するためのハンドル2aと、水量を調節するためのハンドル2bとが搭載されており、これらのハンドル2a,2bを操作することによって、水および湯の割合を調節するようになっている。圧力調節ユニット20には、このようにして混合された水および湯が給水ホース12から供給される。
【0021】
図2は、本実施例の圧力調節ユニット20の内部構造を示した説明図である。図示されるように圧力調節ユニット20の内部には、加圧ポンプ22や、加圧ポンプ22の動作を制御する制御部23が搭載されている。加圧ポンプ22には、給水パイプ22aと、排出パイプ22bとが接続されており、給水パイプ22aには給水ホース12(図1参照)を介して混合水栓2が接続され、排出パイプ22bには接続ホース11(図1参照)を介してシャワーヘッド10が接続されている。
【0022】
制御部23は、いわゆるマイクロコンピュータであり、操作ツマミ21と加圧ポンプ22とに接続されている。シャワー装置1の使用者が操作ツマミ21を操作すると、制御部23は、その操作内容を検出して、加圧ポンプ22の動作に反映させる。例えば、操作ツマミ21が時計方向に回された場合には、加圧ポンプ22の回転速度を上昇させることによって加圧量を増加させ、反時計方向の回された場合には、加圧ポンプ22の回転速度を低下させることによって加圧量を低下させる。このように制御部23は、使用者が操作ツマミ21に対して行った操作内容を、加圧ポンプ22の動作に反映させることによって加圧ポンプ22の加圧量を変更する機能を有している。尚、本実施例では、制御部23が本発明における「制御手段」に対応し、操作ツマミ21が本発明における「操作部」に対応する。更に本実施例では、接続ホース11および排出パイプ22bが、本発明における「供給通路」に対応する。
【0023】
以上のような本実施例のシャワー装置1では、使用者が操作ツマミ21を操作することによって、加圧ポンプ22からシャワーヘッド10に供給される水や湯の供給水圧を調節することができる。このため、シャワーヘッド10から噴射される水や湯の水圧を、使用者の好みに応じて調節することができるので、確実に爽快感を向上させることが可能となる。
【0024】
また、シャワー装置1は、身体の表皮の汗や汚れを洗い流すのではなく、他の目的(例えば浴槽や浴室の清掃など)に使用される場合もある。このように、シャワー装置1を他の目的に使用する場合にも、目的に応じた水圧に調節することができるので、シャワー装置1の利便性を向上させることも可能となる。
【0025】
B.変形例 :
上述した本実施例のシャワー装置1には、複数の変形例が存在する。以下では、上述した本実施例との相違点を中心として、変形例のシャワー装置1について説明する。尚、これらの変形例は、多くの点で上述した本実施例と共通する。そこで、本実施例と共通する構成については、変形例でも本実施例と同じ附番を用いることによって、詳細な説明を省略する。
【0026】
B-1.第1変形例 :
上述した本実施例のシャワー装置1では、操作ツマミ21に対する操作内容に応じて、加圧ポンプ22の運転条件が変更され、その結果として、シャワーヘッド10への供給水圧が上昇あるいは低下するものとして説明した。従って、圧力調節ユニット20内の制御部23は、加圧ポンプ22の運転条件を制御しているものの、供給水圧が目標値となるように制御しているわけではない。しかし、シャワーヘッド10への供給水圧が、操作ツマミ21に対する操作内容に応じて定まる目標値となるように、加圧ポンプ22の動作を制御するようにしてもよい。
【0027】
図3は、シャワーヘッド10への供給水圧が目標値となるように制御する第1変形例の圧力調節ユニット20の内部構造を示した説明図である。第1変形例の圧力調節ユニット20は、図2を用いて前述した本実施例の圧力調節ユニット20に対して、水圧センサ24および水量サーボ25が搭載されている点が大きく異なっている。
【0028】
水圧センサ24は排出パイプ22bに搭載されており、加圧ポンプ22がシャワーヘッド10に向けて供給する水や湯の供給水圧を検出して、制御部23に出力する。制御部23は、操作ツマミ21の位置を検出して、検出した位置に対応する供給水圧の目標値を取得する。そして、水圧センサ24で検出した供給水圧が、操作ツマミ21の位置に対応する目標値となるように、加圧ポンプ22の動作を制御する。尚、本実施例の操作ツマミ21は、本発明における「操作部」に対応する。
【0029】
また、混合水栓2(図1参照)から加圧ポンプ22に供給される水あるいは湯の流量が少ないために、加圧ポンプ22を最大能力で運転しても供給水圧が目標値に達しない場合も起こり得る。このような場合は、シャワーヘッド10に供給される水あるいは湯の流量を、水量サーボ25を用いて制限することによって、供給水圧を目標値まで上昇させることができる。
【0030】
このような第1変形例の圧力調節ユニット20を備えたシャワー装置1では、使用者が操作ツマミ21を用いて供給水圧の目標値を設定すると、その目標値が得られるように制御部23が加圧ポンプ22の動作を制御する。このため、たとえ混合水栓2から供給される水や湯の水圧が変化しても、シャワー装置1の使用感が変化する事態を回避することが可能となる。
【0031】
B-2.第2変形例 :
また、シャワーヘッド10の中には、水や湯を噴射するノズルを切り換えることによって、水や湯の噴射態様を切り換えることが可能なシャワーヘッド10も存在する。更には、シャワーヘッド10を付け替えることによって噴射態様を切り換えることが可能なシャワー装置1も存在する。水や湯の噴射態様が異なれば、シャワーヘッド10に供給する最適な供給水圧も変化することが通常である。そこで、水や湯の噴射態様に応じて、制御部23が供給水圧を切り換えるようにしてもよい。
【0032】
図4は、水や湯の噴射態様に応じて供給水圧を切り換える第2変形例の圧力調節ユニット20についての説明図である。図示されるように、第2変形例の圧力調節ユニット20には、操作ツマミ21に加えて、切換ボタン21a~21cが搭載されている。尚、図4に示した例では、3つの切換ボタン21a~21cが搭載されているものとしているが、切り換えボタンの数は2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0033】
第2変形例では、シャワー装置1の使用者が、シャワーヘッド10に搭載されている図示しない切換スイッチを操作することによって水や湯の噴射態様を切り換えることが可能となっている。こうして噴射態様を切り換えただけでは、加圧ポンプ22から供給される水や湯の供給水圧は変化しないが、使用者が圧力調節ユニット20の切換ボタン21a~21cの中から噴射態様に応じたボタンを選択すると、圧力調節ユニット20に内蔵された制御部23が、選択された切換ボタン21a~21cに応じた供給水圧となるように制御する。
【0034】
図5は、第2変形例の制御部23が、選択された切換ボタン21a~21cに応じて、シャワーヘッド10への供給水圧を制御する様子を例示した説明図である。図の横軸には切換ボタン21a~21cに対応する噴射態様が示されており、縦軸には噴射態様に応じた供給水圧が示されている。例えば、切換ボタン21aを選択した状態では、制御部23は圧力P2~P5の範囲で供給水圧を制御する。従って、切換ボタン21aを選択した状態で操作ツマミ21を「低」の位置に設定した場合は、供給水圧が圧力P2となるように制御され、切換ボタン21aを選択した状態で操作ツマミ21を「高」の位置に設定した場合は、供給水圧が圧力P5となるように制御される。また、切換ボタン21bが選択された場合は、制御部23は圧力P1~P4の範囲で供給水圧を制御し、切換ボタン21cが選択されると、制御部23は圧力P3~P6の範囲で供給水圧を制御する。尚、第2変形例では、操作ツマミ21および切換ボタン21a~21cが、本発明における「操作部」に対応する。
【0035】
制御部23に内蔵されたメモリには、切換ボタン21a~21cと供給水圧の制御範囲(すなわち、切換ボタン21aに対しては圧力P2~P5、切換ボタン21bに対しては圧力P1~P4、切換ボタン21cに対しては圧力P3~P6など)との対応関係が記憶されている。制御部23は、供給水圧を制御するに際しては、まず初めに操作ツマミ21および切換ボタン21a~21cの設定を取得し、メモリを参照することによって供給水圧の目標値を決定する。そして、水圧センサ24で検出した供給水圧がその目標値となるように、加圧ポンプ22の動作を制御する。
【0036】
このため、シャワー装置1の使用者が水や湯の噴射態様を切り換える際には、噴射態様に応じた切換ボタン21a~21cを選択することで、シャワーヘッド10への供給水圧を適切な水圧に制御することができる。また、シャワー装置1の使用者が、操作ツマミ21を用いて供給水圧を調節した状態で、切換ボタン21a~21cを別の切換ボタン21a~21cに切り換えた場合には、新たな切換ボタン21a~21cに応じた供給水圧に変更される。例えば、図5に例示したように、使用者が切換ボタン21aを選択し、且つ、供給水圧を比較的高い圧力Paに設定している状態で、切換ボタン21aを切換ボタン21bに切り換えると、供給水圧が自動的に圧力Pbに制御される。更に、切換ボタン21cに切り換えると供給水圧が自動的に圧力Pcに制御される。このため、切換ボタン21a~21cを切り換えた時に、シャワーヘッド10から噴射される水や湯の水圧が高くなり過ぎたり、低くなり過ぎたりして、使用者に不快な思いをさせる事態を回避することが可能となる。
【0037】
尚、上述した第2変形例では、シャワーヘッド10に搭載された図示しない切換スイッチを操作することによって、水や湯の噴射態様を変更するものとして説明した。しかし、シャワーヘッド10を交換することによって、水や湯の噴射態様を変更するものとしてもよい。
【0038】
また、上述した第2変形例では、使用者が噴射態様を変更した場合には、新たな噴射態様に対応する切換ボタン21a~21cを、使用者が手動で選択するものとして説明した。しかし、圧力調節ユニット20の制御部23が、無線あるいは有線でシャワーヘッド10と通信して、切換スイッチの設定状態を取得するようにしてもよい。こうすれば、シャワー装置1の使用者が水や湯の噴射態様を変更すると、圧力調節ユニット20の制御部23が新たな噴射態様を取得して、その噴射態様に応じた供給水圧に自動的に制御することが可能となる。
【0039】
B-3.第3変形例 :
上述した第1変形例あるいは第2変形例のように水圧センサ24で検出した供給水圧が目標値となるように制御可能なシャワー装置1では、使用者によって調節された目標値を記憶できるようにしてもよい。例えば、図6に例示した第3変形例では、圧力調節ユニット20に3つの記憶ボタン21d~21fが搭載されている。シャワー装置1の使用者が、シャワーヘッド10から噴射する水や湯の圧力を好みの圧力に調整した状態で、何れかの記憶ボタン21d~21fを選択すると、その時の供給水圧が制御部23のメモリに記憶される。そして、次回にシャワー装置1を使用する際には、その記憶ボタン21d~21fを選択することで、メモリから記憶されている供給水圧が読み出されて、その供給水圧を目標値として加圧ポンプ22の動作が制御される。こうすれば、シャワー装置1の使用者は、シャワーヘッド10から噴射する水や湯の水圧を好みの水圧に調節することが可能となる。尚、第3変形例では、操作ツマミ21および記憶ボタン21d~21fが、本発明における「操作部」に対応する。
【0040】
B-4.第4変形例 :
また、上述した第1変形例~第3変形例のように供給水圧が目標値となるように制御可能なシャワー装置1では、シャワーの使用中(水や湯の噴射中)に供給水圧の目標値を上昇させる際には、供給水圧をゆっくりと上昇させるようにしてもよい。
【0041】
図7に示した例では、時刻Taで、シャワー装置1の使用者が供給水圧の目標値を圧力Ptaから圧力Ptbへと急に上昇させている。これに対応して制御部23も、制御上の目標値を圧力Ptaから圧力Ptbに上昇させるが、急にではなくゆっくりと上昇させる。制御上の目標圧力を上昇させる態様としては、所定の昇圧時間(例えば3~5秒間)を掛けて上昇させるようにしてもよいし、所定の昇圧速度を掛けて上昇させるようにしてもよい。
【0042】
こうすれば、たとえシャワー装置1の使用者が目標値を急に上昇させた場合でも、シャワーヘッド10から噴射される水や湯の圧力がゆっくりと上昇する。このため、噴射する水や湯の圧力が急に上昇して使用者が驚く事態を防止することができる。また、噴射する水や湯の圧力がゆっくりと上昇していくので、使用者は肌にあたる水圧が高くなり過ぎる前にシャワーを外したり、供給水圧の目標値を低下させたりすることができる。このため、噴射する水や湯の水圧が高すぎて不快に感じる事態を防止することが可能となる。
【0043】
また、図7に示すように、時刻Tbでは、シャワー装置1の使用者が供給水圧の目標値を圧力Ptbから圧力Ptaへと急に低下させており、これに伴って制御部23も、制御上の目標値を圧力Ptbから圧力Ptaに急に低下させている。噴射される水や湯の圧力が低下する場合は、圧力が上昇する場合とは異なり、急に圧力が低下しても使用者が驚いたり、不快に感じたりする虞は少ないので、制御部23は使用者によって設定された目標値の通りに、供給水圧を制御することができる。もちろん、目標値を低下させる場合も、所定の降圧時間(例えば3~5秒間)を掛けて、あるいは所定の降圧速度を掛けてゆっくりと目標値を低下させてもよい。
【0044】
以上、本実施例および各種の変形例のシャワー装置1について説明したが、本発明は上記の実施例および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様で実施することが可能である。
【0045】
例えば、上述した本実施例および各種の変形例では、シャワー装置1には混合水栓2から水あるいは湯が供給されるものとして説明した。しかし、図8に示したように、シャワー装置1の給水ホース12の一端を浴槽3内に挿入して、浴槽3内の湯や水を加圧ポンプ22で吸い上げてシャワーヘッド10から噴射するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…シャワー装置、 2…混合水栓、 2a,2b…ハンドル、 3…浴槽、
10…シャワーヘッド、 10a…フェイス面、 11…接続ホース、
12…給水ホース、 20…圧力調節ユニット、 21…操作ツマミ、
21a~21c…切換ボタン、 21d~21f…記憶ボタン、
22…加圧ポンプ、 22a…給水パイプ、 22b…排出パイプ、
23…制御部、 24…水圧センサ、 25…水量サーボ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8