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特開2022-122780扉のポップアウト型ロックハンドル装置及びその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122780
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】扉のポップアウト型ロックハンドル装置及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   E05B 5/00 20060101AFI20220816BHJP
   E05B 5/04 20060101ALI20220816BHJP
   E05B 47/00 20060101ALI20220816BHJP
   E05B 65/02 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
E05B5/00 B
E05B5/04
E05B47/00 R
E05B65/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020249
(22)【出願日】2021-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000108708
【氏名又は名称】タキゲン製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078950
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 忠
(72)【発明者】
【氏名】植木 健
(57)【要約】
【課題】キーによる解錠操作に加え、電気信号による解錠操作ができる防犯機能が高い扉のポップアウト型ロックハンドル装置を提供する。
【解決手段】ロックハンドル装置1は、ハンドルケース2、内筒3、錠止部材4、ハンドル5、ばね部材6、施錠機構7、錠前ユニット8、電気解錠機構ユニット9を具備する。ハンドル5のケース2への押し込み動作で自動的にロック状態を得る。錠前ユニット8のキー操作によりロータカム73を介してデッドボルト71を非ロック位置へ駆動してロックを解除する。電気解錠機構ユニット9のソレノイド91が電気信号によりプランジャ912を引き込み、キックレバー94がデッドボルト71を押し上げてロック解除する。電気解錠機構ユニット9は、ハンドルケース2にガードプレート15と一体に着脱でき、後付けできる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線が前後方向に延びる軸受け筒部と、この軸受け筒部の前端部に設けられる鍔部とを具備し、鍔部を筐体の扉の前面に当接させて当該扉に固着されるハンドルケースと、
前記ハンドルケースの軸受け筒部内に施錠位置と解錠位置との間で軸周り相対回転可能かつ前後に移動不能に嵌挿される内筒と、
前記内筒の後端部に連結され、扉を筐体に対して錠止する施錠位置と解放する解錠位置との間で内筒と一体に正逆回転する錠止部材と、
概略円筒状のハンドル軸部と、このハンドル軸部の前端からハンドル軸部の軸線に対して直交方向下方に延出するハンドル板部とを具備するハンドルであって、前記ハンドル軸部は、前記内筒に軸周り相対回転不能に嵌挿され、前記ハンドルケース内に没する収納位置とハンドルケースから突出する突出位置との間で内筒に対して前後に相対摺動自在で、突出位置において前記内筒と一体に施錠位置と解錠位置との間を前記ハンドルケースに対して軸周り回転操作可能に構成され、前記ハンドル板部は、前記ハンドル軸部に連通して前方に開放する開口を有し、収納位置において前記ハンドルケースの鍔部の前面に当接するように構成されたものと、
前記内筒と前記ハンドル軸部との間に挿入され、前記ハンドルを突出位置へ押し出すようにハンドル軸部を前方へ付勢するばね部材と、
前記ハンドル軸部内の後部に設けられ、前記ハンドルを前記内筒に対して収納位置及び施錠位置に拘束するように前記内筒に係合する拘束状態と、前記内筒との係合を解いて前記ハンドルの前記内筒からの突出を許容する解放状態との間を動作可能な施錠機構と、
前記ハンドル軸部内の前部に組み込み固定され、キー操作によるロータのロック位置と非ロック位置との間の回転によって前記施錠機構を拘束又は解放動作させるように駆動する錠前ユニットと、
前記ハンドルケースの鍔部の下部後面側に組み込み固定され、制御センターからの電気信号により前記施錠機構を解放動作させるように駆動する電気解錠機構とを具備し、
前記施錠機構は、前記ハンドル軸部からそれの半径方向下方に突出したロック位置と前記ハンドル軸部内に没入した非ロック位置との間を半径方向に進退自在でロック位置に付勢されて前記ハンドル軸部に組み込まれたデッドボルトと、ロック位置と非ロック位置との間を軸周り回転自在でロック位置に回転付勢されて前記ハンドル軸部に組み込まれたロータカムとを具備し、
前記ハンドル軸部は、前記デッドボルトを半径方向に出没させるようにボルト出入開口によって外周に開放するボルト収容空間を具備し、
前記内筒は、前記ハンドルが収納位置にあるとき、前記ハンドル軸部のボルト出入開口と対向する貫通開口を具備し、前記デッドボルトを前記両開口に貫通させることによりロック位置に移動させ、それにより前記ハンドルを収納位置に拘束するように構成され、
前記軸受け筒部は、前記ハンドルが施錠位置で収納位置にあるとき、前記ボルト出入開口及び前記貫通開口に対向することにより、前記デッドボルトを外側へ露出させるスリットを具備し、
前記デッドボルトは、ロック位置において前記内筒の貫通開口に係合して前記ハンドルを拘束するロック部と、前記ロータカムと係合する受動当接面とを具備し、
前記ロータカムは、前記錠前ユニットのロータに応動して非ロック方向へ回転する時前記デッドボルトの受動当接面と係合して当該デッドボルトを非ロック位置へ後退させる駆動当接面を具備し、
前記電気解錠機構は、前方のソレノイドと、それに応動して前記デッドボルトを非ロック位置へ押し上げるキックレバーを含む後方のキックレバー組立体とが一体となった電気解錠機構ユニットとして構成され、
前記電気解錠機構ユニットは、前記ソレノイドの前方に当該ソレノイドの前面を遮蔽するように配置される硬質のガードプレートと共に、ハンドルケースの鍔部の下部後面側に、共通のねじで着脱自在に設けられ、
前記キックレバーは、前記プランジャに応動して前記デッドボルトを非ロック位置へ押し上げるように前記ハンドルケースのスリットの下方に配置されることを特徴とする扉のポップアウト型ロックハンドル装置。
【請求項2】
前記電気解錠機構ユニットが搭載されず、前記ガードプレートが単独で前記ハンドルケースの鍔部の下部後面側に前記ねじにて固定されてなる請求項1に記載の扉のポップアウト型ロックハンドル装置。
【請求項3】
筐体の扉に取り付けられて使用されるポップアウト型ロックハンドル装置の使用方法であって、
請求項2に記載のロックハンドル装置を前記扉に取り付けることにより、前記錠前の操作のみにて施解錠を行うように使用した後、必要に応じて前記電気解錠機構ユニットを前記ガードプレートの後方に、前記ねじにてこれと一体に固定することにより、電気信号による解錠操作機能を付加して使用することを特徴とする扉のポップアウト型ロックハンドル装置の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機等の筐体の扉に取り付けて使用され、ハンドル軸部に組み込まれた錠前ユニットのロータを正規のキーで所定方向に回すと、ハンドルがハンドルケースから突出し、このハンドルを回すことにより扉の解錠操作が可能となるポップアウト型の扉用ロックハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
扉用のポップアウト型ロックハンドル装置が特許文献1に記載されている。このロックハンドル装置は、ハンドルケース、内筒、錠止部材、ハンドル、ばね部材、施錠機構、錠前ユニットを具備する。ハンドルケースは、前後方向に延びる軸受け筒部と、この軸受け筒部の前端部に設けられる鍔部とを具備し、鍔部を筐体の扉の前面に当接させて当該扉に固着される。内筒は、ハンドルケースの軸受け筒部内に回転可能かつ前後に移動不能に嵌挿される。錠止部材は、内筒の後端部に連結され、扉を筐体に対して錠止する施錠位置と、解放する解錠位置との間で内筒と一体に正逆回転する。ハンドルは、概略円筒状のハンドル軸部と、このハンドル軸部の前端からそれの軸線に直交方向に一方向へ延出するハンドル板部とを具備する。ハンドル軸部は、内筒に軸周り回転不能に嵌挿される。したがって、ハンドル軸部は、ハンドルケースに対して内筒、錠止部材と一体回転可能である。また、ハンドル軸部は、ハンドルケース内に没する収納位置と、ハンドルケースから突出する突出位置との間で内筒に対して前後に移動動自在であり、突出位置において、ハンドルケースに対して内筒と一体に施錠位置と解錠位置との間を回転操作可能となる。ハンドル板部は、ハンドル軸部に連通する開口を有し、収納位置においてハンドルケースの鍔部の前面に当接するように構成される。ばね部材は、内筒とハンドル軸部との間に挿入され、ハンドルを前方突出方向へ付勢する。施錠機構は、ハンドル軸部の後部に設けられ、ハンドル軸部を収納位置で内筒に対して前後方向に拘束し、又は解放する。錠前ユニットは、ハンドル軸部の前部に組み込み固定され、キー操作によるロータのロック位置と非ロック位置間の回転によって、施錠機構を拘束又は解放動作させるように駆動する。施錠機構は、デッドボルト、ロータカム、ジョイントカムを具備する。デッドボルトは、ハンドル軸部からそれの半径方向に突出したロック位置とハンドル軸部内に没入した非ロック位置との間を半径方向に進退自在にハンドル軸部に組み込まれ、ロック位置に付勢される。ロータカムとジョイントカムは、錠前ユニットのロータの非ロック方向への回転に応動して非ロック方向へ回転することにより、デッドボルトを非ロック位置へ後退させる。ハンドル軸部は、デッドボルトを半径方向に出没させるように外周に開放するボルト収容空間を具備する。内筒は、ハンドルが収納位置にあるとき、ハンドル軸部のボルト収容空間と対向することにより、デッドボルトを貫通させてロック位置に移動させ、それによりハンドルを収納位置に拘束するように配置された貫通開口を具備し、ハンドルが収納位置にないときはデッドボルトを非ロック位置に保持するように構成される。軸受け筒部は、ハンドルが施錠位置で収納位置にあるとき、ボルト収容空間及び貫通開口に対向することにより、貫通開口から突出したロック位置にあるデッドボルトを係合させ、それによりハンドル5を施錠位置に拘束するように配置された係合凹部を具備する。デッドボルトは、ロック位置において軸受け筒部の係合凹部に係合する頭部と、この頭部から延出する脚部と、ジョイントカムと係合するように脚部に形成された受動係合部とを具備し、脚部とハンドル軸部との間に介設されたばねによりロック位置に付勢される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-56534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のロックハンドル装置は、錠前をキーで操作することのみにより扉の解錠を行うものであるが、扉の解錠を電気的にも制御したいという要請がある。
したがって、本発明は、扉の解錠を錠前のキー操作に加えて、電気的に制御することができ、防犯性能の高い扉のポップアウト型ロックハンドル装置と、その使用方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、添付図面の符号を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、本発明のロックハンドル装置1は、ハンドルケース2、内筒3、錠止部材4、ハンドル5、ばね部材6、施錠機構7、錠前ユニット8、電気解錠機構9を具備する。
ハンドルケース2は、前後方向に延びる軸受け筒部21と、この軸受け筒部21の前端部に設けられる鍔部22とを具備し、鍔部22を筐体の扉Dの前面に当接させて当該扉Dに固着される。
内筒3は、ハンドルケース2の軸受け筒部21内に回転可能かつ前後に移動不能に嵌挿される。
錠止部材4は、軸受け筒部21内に嵌挿された内筒3の後端部に連結され、扉Dを筐体に対して錠止する施錠位置と、解放する解錠位置との間で内筒3と一体に正逆回転する。
ハンドル5は、概略円筒状のハンドル軸部51と、このハンドル軸部51の前端からハンドル軸部51の軸線に直交する下方へ延出するハンドル板部52とを具備する。ハンドル軸部51は、内筒3内に軸周り回転不能に嵌挿される。したがって、ハンドル軸部51は、ハンドルケース2に対して内筒3、錠止部材4と一体回転可能である。また、ハンドル軸部51は、ハンドルケース2内に没する収納位置と、ハンドルケース2から突出する突出位置との間で内筒3に対して前後に摺動自在であり、突出位置において、ハンドルケース2に対して内筒3と一体に施錠位置と解錠位置との間を回転操作可能である。ハンドル板部52は、ハンドル軸部51に連通する開口521を有し、収納位置においてハンドルケース2の鍔部22の前面に当接するように構成される。
ばね部材6は、内筒3とハンドル軸部51との間に挿入され、ハンドル5を前方突出方向へ付勢する。
施錠機構7は、デッドボルト71、ロータカム73を具備し、ハンドル軸部51内組み込まれる。デッドボルト71は、ハンドル軸部51から下方に突出したロック位置とハンドル軸部51内に没入した非ロック位置との間を半径方向に進退自在で、ロック位置に付勢される。ロータカム73は、ロック位置と非ロック位置との間を軸周り回転自在でロック位置に回転付勢される。
ハンドル軸部51は、デッドボルト71を組み込むボルト収容空間513を具備する。ボルト収容空間513は、ボルト出入開口516によって下方外周に開放し、そこからデッドボルト71を出没させる。
内筒3は、ハンドル5が収納位置にあるとき、ハンドル軸部51のボルト出入開口516と対向する貫通開口332を具備し、両開口にデッドボルト71を貫通させてロック位置に移動させ、それによりハンドル5を収納位置に拘束する。
軸受け筒部21は、ハンドル5が施錠位置で収納位置にあるとき、ボルト出入開口516及び貫通開口332に対向することにより、デッドボルト71を下方へ露出させるスリット212を具備する。
デッドボルト71は、ロック位置において内筒3の貫通開口332に係合してハンドル5を拘束するロック部712と、ロータカム73と係合する受動当接面715とを具備する。
ロータカム73は、錠前ユニット8のロータ81に応動して非ロック方向へ回転する時、デッドボルト71の受動当接面715と係合してデッドボルト71を非ロック位置へ後退させる駆動当接面736を具備する。
電気解錠機構9は、前方のソレノイド91と後方のキックレバー組立体92とが一体となった電気解錠機構ユニットとして構成される。キックレバー組立体92は、ソレノイド91に応動してデッドボルト71を非ロック位置へ押し上げるキックレバー94を有する。
電気解錠機構ユニット9は、ソレノイド91の前方に、それの前面を遮蔽するように配置される硬質のガードプレート15と共に、ハンドルケース2の鍔部22の下部後面側に、共通のねじ16で着脱自在に設けられる。
キックレバー94は、ソレノイド91に応動してデッドボルト71を非ロック位置へ押し上げるように、ハンドルケース2のスリット212の下方に配置される。
上記ロックハンドル装置1は、使用者の要望に従い、電気解錠機構ユニット9が搭載されず、ガードプレート15が単独でハンドルケース2の鍔部22の下部後面側に固定された構成で提供できる。使用者は、これを錠前8の操作のみにて施解錠を行うように使用することができる。その後、必要に応じて電気解錠機構ユニット9を既設のガードプレート15の後方に、ねじ16にて一体に固定すれば、電気信号による解錠操作機能が付加されたロックハンドル装置として使用することができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明のロックハンドル装置1は、扉Dの解錠を錠前8のキー操作によるほか、電気解錠機構ユニット9の電気的に制御により行う付加機能を有する。
ガードプレート15が、ハンドルケース2の鍔部22の外側からソレノイド91に対するドリル攻撃等による暴力的破壊を防止し、盗犯に対する高い防御性能を発揮する。
電気的解錠機能を必要としない場合には、電気解錠機構ユニット9を搭載せず、ガードプレート15のみを単独で鍔部22の下部後面側に取り付けて防御性能を高めたロックハンドル装置1をより安価に構成することができる。後に必要が生じたときには、電気解錠機構ユニット9を容易に後付けすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る扉のポップアウト型ロックハンドル装置の分解斜視図である。
図2図1のロックハンドル装置の電気解錠機構の分解斜視図である。
図3図1のロックハンドル装置の正面図である。
図4図1のロックハンドル装置の背面図である。
図5】施錠状態における図3のA-A断面図である。
図6】解錠状態における図3のA-A断面図である。
図7】施錠状態における図5のB-Bによる要部の断面図である。
図8】施錠状態における図5のC-Cによる要部の断面図である。
図9】鍵による解錠状態の図5におけるB-Bよる要部の断面図である。
図10図1のロックハンドル装置における電気解錠機構による解錠動作の過程を説明する図であり、(a)は解錠動作途上時、(b)は解錠動作完了時を示す。
図11図1のロックハンドル装置のハンドルケースの正面図である。
図12図1のロックハンドル装置のハンドルケースの背面図である。
図13図11のD-D断面図である。
図14図1のロックハンドル装置の内筒の正面図である。
図15図1のロックハンドル装置の内筒の側面図である。
図16図14のE-E断面図である。
図17図14のF-F面図である。
図18図1のロックハンドル装置のハンドルの正面図である。
図19図1のロックハンドル装置のハンドルの背面図である。
図20図18のG-G断面図である。
図21図1のロックハンドル装置のロータカムの正面図である。
図22図1のロックハンドル装置のロータカムの側面図である。
図23図1のロックハンドル装置のロータカムの背面図である。
図24図1のロックハンドル装置のデッドボルトの正面図である。
図25図24のH-H断面図である。
図26図1のロックハンドル装置の起動部材の正面図である。
図27図1のロックハンドル装置の起動部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1,5,6において、ロックハンドル装置1は、ハンドルケース2、内筒3、錠止部材4、ハンドル5、ばね部材6、施錠機構7、錠前ユニット8、電気解錠機構9を具備する。
【0009】
図1,11~13において、ハンドルケース2は、前後に開放する軸受け筒部21と、この軸受け筒部21の前端部に設けられる鍔部22とを具備し、図5,6に示すように、鍔部22の後面を筐体の扉Dの前面パネルに当接させて当該扉Dに固着される。鍔部22の前面には、ハンドル5のハンドル板部52を受け入れるハンドル受け凹部221が形成される。
【0010】
図1,5,6において、内筒3は、ハンドルケース2の軸受け筒部21内に施錠位置と解錠位置との間で約90°軸周り相対回転可能に嵌挿され、かつ前方のフランジ部31と、後端に固着される錠止部材4とにより、軸受け筒部21に対して前後に移動不能とされる。
【0011】
図1,14~17に示すように、内筒3の周壁33は、前方に開放し、後方は端壁32で閉じられる。図5,6に示すように、端壁32は、軸受け筒部21の後方へ露出し、その後面に錠止部材4が固着される。フランジ部31の後面に形成されたストッパ突起311(図15)が、ハンドルケース2の軸受け筒部21の内周前縁部の上半部に形成された左右一対ほぼ90°の円弧状凹部211(図11)に嵌合することで、ハンドルケース2に対する内筒3の回転範囲が約90°に規制される。内筒3の軸受け筒部21への嵌め込み角度を180°変更することで、内筒3の回転方向を変更することができる。
【0012】
図5,6において、錠止部材4は、内筒3の端壁32の後面に固着され、上下方向に延びて扉Dを筐体に対して錠止する施錠位置と、水平方向に延びて解放する解錠位置との間で、ハンドルケース2に対してハンドル5及び内筒3と一体に約90°の範囲で正逆回転する。
【0013】
図1,18~21において、ハンドル5は、概略円筒状のハンドル軸部51と、それの前端から軸線直交方向に一方(下方)へ延出するハンドル板部52とを具備する。ハンドル軸部51は、周壁511の外周の円弧状の突部512が、内筒3の内周凹部331(図1,14)と嵌合することで、内筒3対して軸周りには相対回転不能、軸方向には所定範囲で相対移動可能に嵌挿される。図5,6によく示すように、ハンドル5の軸方向相対移動範囲は、内筒3の長孔333とこれに係合するストッパボルト12で定まる。
【0014】
したがって、ハンドル5は、ハンドルケース2内に没する収納位置(図5)と、ハンドルケース2から突出する突出位置(図6)との間で内筒3に対して前後に摺動自在であり、また突出位置において、ハンドルケース2に対して内筒3、錠止部材4と一体に施錠位置(図3における実線位置)と解錠位置(図3における仮想線位置)との間を回転操作可能となる。
【0015】
図5に示すように、ハンドル板部52は、収納位置においてハンドルケース2のハンドル受け凹部221内に没して回転操作することができない。図1,20によく示すように、ハンドル板部52は、ハンドル軸部51に連通して前方に開放する開口521と、その外縁に広がるフード受け凹部522を有する。
【0016】
図1,5,6において、ばね部材6は、内筒3の端壁32とハンドル軸部51の後端壁との間に挿入され、ハンドル5を前方突出方向へ付勢する。
【0017】
図1に示すように、施錠機構7は、デッドボルト71、起動部材72、ロータカム73を具備し、ハンドル軸部51内の各収容空間513,514(図5,6,20)内に組み込まれる。施錠機構7は、錠前ユニット8の施解錠操作又は電気解錠機構9の解錠動作に連動し、ハンドル軸部51を収納位置で内筒3とハンドルケース2に対して前後方向に拘束し、または解放する。
【0018】
錠前ユニット8は、ハンドル軸部51の錠前収容空間515(図5,6,20)に組み込み固定される。錠前ユニット8は、キー操作によるロータ81のロック位置から非ロック位置への回転によって、ロータカム73を介してデッドボルト71をデッドボルト収容空間513内でロック位置(図7,8)から非ロック位置(図9)へ引き上げるように駆動する。キーはロック位置でのみ抜き差し可能である。
【0019】
図1,2において、電気解錠機構9は、ソレノイド91、キックレバー組立体92を具備し、図5,6に示すように、ハンドルケース2の鍔部22の下部後面側に組み込み固定される。電気解錠機構9は、遠隔の制御センター等からの電気信号によって、ソレノイド91、キックレバー組立体92を介してデッドボルト71をロック位置(図7,8)から非ロック位置(図10a,b)へ押し上げるように駆動する。
【0020】
電気解錠機構9は、ソレノイド91とキックレバー組立体92が一体となったユニットとして構成され、ガードプレート15と共に、ハンドルケース2の鍔部22の下部後面側に、ねじ16で着脱自在に設けられる。ロックハンドル装置1には、必要に応じて電気解錠機構9を後付けすることができる。
【0021】
図7,8,9によく示すように、デッドボルト71は、ハンドル軸部51のデッドボルト収容空間513内に組み込まれる。ハンドル軸部51のデッドボルト収容空間513の下方には、ボルト出入開口516が形成される(図20)。デッドボルト71は、下方のロック部712が、ボルト出入開口516から半径方向下方に突出したロック位置(図7,8)と、ハンドル軸部51内に没入した非ロック位置(図9,10b)との間を半径方向に進退自在であり、ばね717でロック位置に付勢される。
【0022】
図1図8に示すように、デッドボルト71は、ロック部712から延出する平行一対の脚部714を具備し、一対の脚部714の間に、ロータカム73の軸筒部732を前後方向に貫通させる。脚部714の先端とハンドル軸部51の内周との間にばね717が介設される。図24,25によく示すように、ロック部712の中央部前面側に、起動部材72を受け入れるガイド凹部713が形成される。一方の脚部714の前面側に、ロータカム73の駆動係合部731と係合する凹部からなる受動係合部711が設けられる。受動係合部711は、ロータカム73の駆動係合部731を所定角度範囲で回転自在に受け入れる。受動係合部711の上端部に受動当接面715、下端部にロック面716が形成される。受動当接面715は、キーによる解錠操作時に、ロータカム73の駆動当接面736に当接して押し上げられる(図9)。ロック面716はデッドボルト71の移動方向に直交するように、ガイド凹部713の直上に設けられる。
【0023】
図7ないし図10によく示すように、起動部材72は、デッドボルト71のガイド凹部713(図24,25)内に、上方の起動位置(図10b)と下方の非起動位置(図7,8,10a)との間を相対移動自在に嵌合する。図26,27によく示すように、起動部材72は、断面L字状に屈曲した板状部材で、デッドボルト71のガイド凹部713に嵌合する起立片721と、ロック部712の下面に沿う下片722とを具備する。起立片721は、肩部に駆動斜面723を具備し、また後面側にガイド突起724を具備する。下片722は、デッドボルト71がロック位置にあるとき非起動位置にあって、自重によりロック部712の下面から下方へ突出している(図7,8)。図8によく示すように、ガイド突起724が、ガイド凹部713の前面側に形成された上下方向のガイド溝718に相対移動自在に係合することで、デッドボルト71に対する起動部材72の上下移動範囲が限定される。
【0024】
ロータカム73は、ハンドル軸部51のロータカム収容空間514(図20)に組み込まれる。ロータカム73は、錠前ユニット8のロータ81の回転をデッドボルト71へ伝えるもので、デッドボルト71の受動係合部711に係合する駆動系合部731(図7,8)を具備し、ロック位置(図7,8)と非ロック位置(図9,10b)との間を軸周り回転自在である。図9は、キー操作による非ロック位置を示し、図10bは、電気解錠機構9による非ロック位置を示す。ロータカム73は、ロータ81の非ロック方向への回転に応動して非ロック方向へ回転することにより、デッドボルト71を非ロック位置(図7,8)へ押し上げる。ロータカム73は、ばね10でロック方向(図7,8において反時計方向)へ回転付勢される。
【0025】
図18,19,20によく示すように、ハンドル軸部51の内部には、前方から後方へ向かって錠前収容空間515、ロータカム収容空間514、ボルト収容空間513が形成される。錠前収容空間515は、開口521により前方に開放する。ハンドル軸部51の後端壁には、ロータカム73の後端部を回転自在に支持する軸受孔518が形成される。軸受孔518の外周側に、ロータカム73の回転角度を規制する扇型係合凹部519が形成される。デッドボルト収容空間513の下部には、ボルト出入開口516が形成される。デッドボルト収容空間513は、デッドボルト71をボルト出入開口516から半径方向に出没自在に保持する。図1に示すように、錠前収容空間515の周壁511の右方には、錠前固定部材11を挿入するための開口517が形成される。
【0026】
図1,6,17よく示すように、内筒3は、その周壁33に、ハンドル軸部51のボルト出入開口516に対応する貫通開口332を具備する。図5に示すように、貫通開口332は、ハンドル5が収納位置にあるとき、ボルト出入開口516と対向し、デッドボルト71を下方へ貫通させる。これにより、ハンドル5は、収納位置に拘束される。内筒3は、ハンドル5が収納位置にないときは、図6に示すように、周壁33でデッドボルト71を押さえ、これを非ロック位置に保持する。内筒3の周壁33には、貫通開口332に連続して前方へ延びる軸線方向のガイド長孔333が形成され、これに起動部材72の下片722が移動自在に係合する。
【0027】
したがって、ハンドル5は、デッドボルト71のロック部712が貫通開口332の縁332a(図6,16,17)から外れた後、起動部材72の下片722が長孔333に沿って移動する範囲(図6)で内筒3に対して前後方向に移動可能である。
【0028】
貫通開口332及びガイド長孔333は、180度回転対称位置(上下)に一対設けられる。ハンドル軸部51の後部上面に螺合されたストッパボルト12の頭部が上方の開口332及び長孔333に嵌まり、これもハンドル5と内筒3との軸線方向の相対移動範囲を限定する(図6)。
【0029】
図5,6,13に示すように、ハンドルケース2の軸受け筒部21には、下方の貫通開口332とガイド長孔333に対向して軸線方向前後に延びるスリット212が形成される。デッドボルト71が、貫通開口332からロック位置へ突出するとき(図5)、起動部材72の下片722の下端部がスリット212から軸受筒部21の外側下方へ露出する。
【0030】
図7,9に示すように、ロータカム73は、ロック位置(図7)と非ロック位置(図9)の間を軸周り正逆回転自在に、ハンドル軸部51内に組み込まれる。図1,7,21~23に示すように、ロータカム73は、軸筒部732、フランジ部733、駆動係合部731、突条734を具備する。軸筒部732は、錠前ユニット8のロータ81に回転方向にわずかな遊隙を持って嵌合する。フランジ部733は、軸筒部732の前端部に形成される。駆動係合部731は、フランジ部733の後面に突設される。突条734は、軸筒部732の外周に軸線方向に延びるように形成される。
【0031】
図1,5,7に示すように、ロータカム73の軸筒部732は、突条734を扇型係合凹部519に係合させて、後端部においてハンドル軸部51の軸受孔518に支承される。したがって、ロータカム73は、扇型係合凹部519の角度範囲で、錠前ユニット8のロータ81と一体に、ハンドル軸部51に対してロック位置(図7)と非ロック位置(図9)の間を軸周り正逆回転自在である。
【0032】
ロータ81は、平行な二平面84を有するHカット軸であり、これが嵌合する軸筒部732の軸受孔735は対向扇形断面形状である。ロータ81と軸筒部732の軸受孔735との間には、回転方向にわずかな遊隙が形成される。
【0033】
図23によく示すように、駆動係合部731は、駆動当接面736、ロック面737、受動当接面738を具備する。
【0034】
駆動当接面736は、ロータカム73の非ロック側への回転方向の側面に設けられ、キー操作に伴ってロータカム73が非ロック位置へ回動するとき、デッドボルト71の受動当接面715に当接してデッドボルト71を非ロック位置へ押し上げる(図9)。
【0035】
ロック面737は、ロータカム73がロック位置(図8)にあるとき、デッドボルト71のロック面716に当接し、両者の垂直方向突っ張り係合により、デッドボルト71が非ロック方向(上方)へ動くのを阻止する。
【0036】
受動当接面738は、駆動当接面736とほぼ回転方向の反対側の面に設けられ、起動部材72がキックレバー94により起動位置まで押し上げられるとき、それの駆動斜面723に押されてロータカム73を非ロック方向へわずかに初期回転させ、ロック面737をデッドボルト71のロック面716との垂直方向の押し合い位置から外し、続くデッドボルト71の押し上げを許容する。
【0037】
図1,5に示すように、錠前ユニット8は、錠前ケース82と、固定リング13との間にガードフード14を介在させてハンドル5に組み込まれる。錠前ケース82は、円筒状で外周にねじ部83を有すると共に、対向側面部に軸線と平行な一対の平坦面84を有する。固定リング13は、外周に環状溝131を有し、錠前ケース82の外周に螺合固定される。ガードフード14は、硬質材からなり、ドリル等による暴力的破壊に有効に対抗する。
【0038】
図1図5に示すように、錠前ユニット8は、固定金具挿入用開口517を通してハンドル軸部51に軸線直交方向に挿入される固定部材11により、ハンドル軸部51内に固定される。
【0039】
図2に示すように、キックレバー組立体92と共に電気解錠機構9を構成するソレノイド91は、箱型のソレノイドケース911から上方へ突出するプルプランジャ912を具備する。
キックレバー組立体92は、ブラケット部材93、キックレバー94、押し上げ部材95を具備する。
【0040】
ブラケット部材93は、ソレノイドケース911の左右対向側面に沿う平行一対の取り付け板部931と、これらの上部の軸受板部932と、取り付け板部931の後端縁間を接続してソレノイドケース911の後面に間隔を置いて沿うガイド板部933と、取り付け板部931の前縁から直角に左右外側方向へ起立する一対の固定翼片934とを具備する。ブラケット部材93は、取り付け板部931においてソレノイドケース911にねじ935で固定される。
【0041】
したがって、電気解錠機構9を構成するソレノイド91とキックレバー組立体92は、ブラケット部材93を介して一体のユニットとして構成される。
【0042】
キックレバー94は、中間部において水平の枢ピン941で軸受板部932に枢支されると共に、前端側において水平の枢ピン942でプランジャ912に枢着される。キックレバー94は、ばね943で後部がデッドボルト71の下端から離れる方向(下方)の元位置に付勢され、プランジャ912の引き下げにより、後部が起き上がってロック解除位置へ回動する。キックレバー94は、ロック解除位置へ回動するとき、押し上げ部材95を介してロック位置にあるデッドボルト71を非ロック位置へ押し上げる。
【0043】
押し上げ部材95は、枢支部951と、それの上方の押し上げ部952と、下方へ延出する摺動係合部953とを具備し、枢支部951において水平の枢ピン954でキックレバー94の後部に枢支される。摺動係合部953は、ブラケット部材93のガイド板部933に上下方向に摺動自在に係合する。
【0044】
したがって、押し上げ部材95は、キックレバー94が元位置からロック解除位置へ回動するとき、摺動係合部954をガイド板部933に対して垂直上方へ摺動させながら、キックレバー94に対して枢ピン954を中心に相対回動し、押し上げ部952をほぼ垂直に上方へ押し上げる。
【0045】
キックレバー94自体でデッドボルト71を押し上げる場合には、キックレバー94が回転しながらデッドボルト71の下面に当接することになるので、その押し上げ力は、入力角度の垂直分力になる。この垂直分力は、ソレノイド91の吸引力より小さいから、デッドボルト71を押し上げるためには、相応にソレノイド91の励磁電力を大きくする必要がある。しかし、ソレノイド91の励磁に使える電力に制限がある場合には、キックレバー94の回転力のみではデッドボルト71の押し上げ力に足りないおそれがある。押し上げ部材95は、この力不足を補うために設けられる。
【0046】
すなわち、キックレバー94が回転するとき、押し上げ部952をほぼ垂直上方に突出させてデッドボルト71を押し上げるので、ソレノイド91の吸引力が相対的に小さくても、十分な押し上げ力を得ることができる。
【0047】
ソレノイド91の前方には、硬質金属製のガードプレート15が配置される。ガードプレート15は、ハンドルケース2の鍔部22の外側からソレノイド91に対するドリル攻撃等による暴力的破壊を妨げる。
【0048】
ガードプレート15は、ソレノイド91の前方を遮蔽する矩形の遮蔽板部151と、遮蔽板部151の左右両縁からソレノイドケース911の左右側面に沿うように直角に後方へ起立し、相互間にケース911の前方半部を受け入れる凹部153を形成する一対の側板部152と、側板部152から遮蔽板部151と平行に左右に延出する固定翼片154とを具備する。ガードプレート15は、固定翼片154をブラケット部材93の固定翼片934と重ねて、共通の固定ボルト16でキックレバー組立体92と一体に、ハンドルケース2の鍔部22の下部後面側に固着される。
【0049】
なお、電気的解錠機能を必要としない場合には、電気解錠機構9を具備しないロックハンドル装置1をより安価に構成することができる。そのようなロックハンドル装置1には、必要に応じて電気解錠機構9を後付けすることができる。
【0050】
電気解錠機構9を具備しないロックハンドル装置1においては、ハンドル板部52の正面から鍔部22の下部をドリル破壊して外側からデッドボルト71の下端部を押し上げる暴力的盗犯の可能性が生じる。これを防止するために、電気解錠機構9が組み込まれない場合にも、鍔部22の下部後面側にガードプレート15が単独で取り付けられる。
【0051】
いま、扉Dが錠止部材4により閉鎖状態で筐体に錠止されている図5に示す状態から、扉Dの錠止を解き、これを開いて作業完了後、再び閉鎖して錠止するまでの過程を説明する。
【0052】
図5図7,8に示す状態で、錠止部材4は施錠位置にあり、ハンドル5はハンドルケース2に没入し、デッドボルト71は内筒3の貫通開口332に係合したロック位置にあり、錠前ユニット8のロータ81、ロータカム73もすべてロック位置にある。
【0053】
この状態から、錠前ユニット8にキーを挿入して図8において時計方向に回転してロータ81を非ロック位置に持ち来すと、ロータカム73の駆動係合部731がデッドボルト71の当接面715を押しながら、デッドボルト71を非ロック位置へ引き込む。デッドボルト71が内筒3の貫通開口332から抜けると(図9)、ばね部材6によりハンドル5がハンドルケース2から押し出される(図6)。この状態で、デッドボルト71は、内筒3の周壁33により非ロック位置に保持される。一方、ロータ81は、ロータカム73と共にばね10の付勢力でロック位置に復帰する。
【0054】
これにより、ハンドル5を握って、例えば、これを反時計方向へ90°回転させると、内筒3と共に錠止部材4が解錠位置へ回転し、図示しない筐体の対応係合部から外れるので、扉Dを開くことができる。
【0055】
所要の作業が完了して扉Dを閉じ、ハンドル5を内筒3及び錠止部材4と共に、時計方向へ90°回転させて施錠位置へ戻し、ハンドル5をハンドルケース2へ押し込む。ハンドル5をハンドルケース2へ押し込むと、デッドボルト71が内筒3の貫通開口332と対向した位置で、ばね717に押されて自動的にハンドル軸部51から突出して貫通開口332に係合し、ハンドル5が拘束されるから、扉Dは筐体に錠止される。ロックハンドル装置1は、図7,8のロック状態に戻り、キーを錠前ユニット8から抜き取ることができる。
【0056】
また、ロックハンドル装置1は、キーによる錠前ユニット8の操作によらずに、電気解錠機構9を遠隔からの電気信号で起動させることにより、解錠することができる。
【0057】
図5に示すロック位置において、起動部材72は下位の非起動位置にあり、キックレバー94は後方下がりに傾斜し、押し上げ部材95の上面はほぼ水平に起動部材72の下面に接している。この状態からソレノイド91を励磁すると、図6に示すように、プランジャ912が下方へ引っ込んで、キックレバー94が枢ピン941を中心に反時計方向へ回転し、押し上げ部材95をほぼ垂直に上方へ押し上げる。
【0058】
押し上げ部材95は、最初に起動部材72の下面に当接してこれを上方の起動位置へ押し上げる(図10a)。起動部材72が上昇すると、それの駆動斜面723に押されてロータカム73が非ロック方向(図10aにおいて時計方向)へわずかに初期回転する。ロータカム73の初期回転により、図8においてデッドボルト71のロック面716と垂直方向に突っ張り係合していたロック面737がロック面716から外れ、デッドボルト71の垂直方向の拘束が解ける。さらにキックレバー94が回動して、押し上げ部材95が、デッドボルト71を起動部材72と一体に非ロック位置まで押し上げる(図10b)。これにより、デッドボルト71のロック部712が貫通開口332から抜け、ハンドル5がハンドルケース2から突出する(図6)。
【0059】
デッドボルト71は、ロック位置において、ばね717で下方のロック位置に付勢されると共に、ロータカム73のロック面737により上方の非ロック方向への移動が阻止されている(図8)。したがって、デッドボルト73を外部から押し上げるためには、ロータカム73をばね10に抗して非ロック方向へ回動させたうえに、ばね717を圧縮させる力を要する。このため、外部から暴力的な振動や衝撃加えられてデッドボルト73が上向きの力を受けても、非ロック方向へ上昇することがなく、盗犯に対する高い防御性能を発揮する。
【符号の説明】
【0060】
1 ロックハンドル装置
2 ハンドルケース
21 軸受筒部
211 円弧状凹部
212 スリット
22 鍔部
221 ハンドル受け凹部
223 開口
3 内筒
31 フランジ部
311 突起
32 端壁
33 周壁
331 凹部
332 貫通開口
4 錠止部材
5 ハンドル
51 ハンドル軸部
511 周壁
512 突部
513 デッドボルト収容空間
514 ロータカム収容空間
515 錠前収容空間
516 ボルト出入開口
517 錠前固定部材
518 軸受孔
519 扇形係合凹部
52 ハンドル板部
521 開口
522 フード受け凹部
6 ばね部材
7 施錠機構
71 デッドボルト
711 受動係合部
712 ロック部
713 ガイド凹部
714 脚部
715 当接面
716 ロック面
717 ばね
718 ガイド溝
72 起動部材
721 起立片
722 下片
723 斜面
724 ガイド突起
73 ロータカム
731 駆動係合部
732 軸筒部
733 フランジ部
734 突条
735 軸受孔
736 駆動当接面
737 ロック面
738 受動当接面
8 錠前ユニット
81 ロータ
82 ケース
83 ねじ部
84 平坦面
9 電気解錠機構
91 ソレノイド
911 ソレノイドケース
912 プランジャ
92 キックレバー組立体
93 ブラケット部材
931 取り付け板部
932 軸受板部
933 ガイド板部
934 固定翼部
935 ねじ
94 キックレバー
941 枢ピン
942 枢ピン
95 押し上げ部材
951 枢支部
952 押し上げ部
953 摺動係合部
954 枢ピン
10 ロータカム付勢ばね
11 錠前固定部材
12 ストッパボルト
13 固定リング
14 ガードフード
15 ガードプレート
151 遮蔽板部
152 側板部
153 凹部
154 布袋翼片
16 固定ボルト
D 扉
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
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図22
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図27