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特開2022-122783熱伝導シートの供給形態及び熱伝導シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122783
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】熱伝導シートの供給形態及び熱伝導シート
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/18 20060101AFI20220816BHJP
   B32B 7/027 20190101ALI20220816BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20220816BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20220816BHJP
   C08K 3/38 20060101ALI20220816BHJP
   C08K 3/01 20180101ALI20220816BHJP
【FI】
C08J5/18 CER
C08J5/18 CEZ
B32B7/027
B32B9/00 A
C08L101/00
C08K3/38
C08K3/01
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020252
(22)【出願日】2021-02-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 信博
(74)【代理人】
【識別番号】100185845
【弁理士】
【氏名又は名称】穂谷野 聡
(72)【発明者】
【氏名】荒巻 慶輔
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勇磨
(72)【発明者】
【氏名】久保 佑介
【テーマコード(参考)】
4F071
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
4F071AA67
4F071AB18
4F071AB22
4F071AB27
4F071AC16
4F071AE17
4F071AF19Y
4F071AF44
4F071AG25
4F071AG26
4F071AH12
4F071BB01
4F071BB03
4F071BB13
4F071BC01
4F071BC08
4F071BC12
4F100AA13B
4F100AA14B
4F100AA19B
4F100AA25B
4F100AH06B
4F100AK01B
4F100AK42A
4F100AK42C
4F100AK52B
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA06
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100DE02B
4F100EH17B
4F100EJ17B
4F100EJ42B
4F100GB41
4F100JJ01
4F100JJ01B
4F100JL14A
4F100JL14C
4J002CP031
4J002DE107
4J002DE147
4J002DF017
4J002DK006
4J002FA016
4J002FD206
4J002FD207
4J002GM00
4J002GQ00
4J002GQ01
4J002GQ05
(57)【要約】
【課題】表面にタック性を有する熱伝導シートの提供。
【解決手段】熱伝導シート1は、バインダ樹脂2と、鱗片状の窒化ホウ素3とを含み、鱗片状の窒化ホウ素3が熱伝導シート1の厚み方向Bに配向しており、熱伝導シート1の両面がタック性を有する。熱伝導シートの製造方法は、バインダ樹脂2と鱗片状の窒化ホウ素3とを含む熱伝導組成物を調製する工程Aと、熱伝導組成物から成形体ブロックを形成する工程Bと、成形体ブロックをシート状にスライスして熱伝導シート前駆体7を得る工程Cと、熱伝導シート前駆体7をプレスして熱伝導シート1を得る工程Dとを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダ樹脂と、鱗片状の窒化ホウ素とを含み、
上記鱗片状の窒化ホウ素が当該熱伝導シートの厚み方向に配向しており、
当該熱伝導シートの両面がタック性を有する、熱伝導シート。
【請求項2】
当該熱伝導シートの表面に、規則性を有するパターンを有する、請求項1に記載の熱伝導シート。
【請求項3】
請求項1または2に記載の熱伝導シートが剥離フィルムで挟持された、熱伝導シートの供給形態。
【請求項4】
以下の条件で測定したタック力が80gf以上である、請求項3に記載の熱伝導シートの供給形態。
測定方法:当該熱伝導シートの供給形態を0.5MPaで30秒プレス処理し、上記熱伝導シートから剥離フィルムを剥離してから3分以内に、直径5.1mmのプローブにより2mm/秒で上記熱伝導シートを50μm押し込み、10mm/秒で引き抜く。
【請求項5】
上記剥離フィルムを上記熱伝導シートから剥離した際に、上記熱伝導シートを構成する上記バインダ樹脂及び上記鱗片状の窒化ホウ素の一部が上記剥離フィルムに転着する、請求項3または4に記載の熱伝導シートの供給形態。
【請求項6】
上記熱伝導シートが、アルミナ、窒化アルミニウム、酸化亜鉛および水酸化アルミニウムの少なくとも1種をさらに含む、請求項3~5のいずれか1項に記載の熱伝導シートの供給形態。
【請求項7】
上記剥離フィルムが、1枚の熱伝導シートの両面に設けられている、請求項3~6のいずれか1項に記載の熱伝導シートの供給形態。
【請求項8】
上記剥離フィルムが、縦横に所定の間隔で配置された複数の上記熱伝導シートの両面に設けられている、請求項3~6のいずれか1項に記載の熱伝導シートの供給形態。
【請求項9】
請求項3~8のいずれか1項に記載の熱伝導シートの供給形態から、上記剥離フィルムが剥離された、熱伝導シート。
【請求項10】
請求項1、2、9のいずれか1項に記載の熱伝導シートを備える、電子機器。
【請求項11】
請求項1または2に記載の熱伝導シートに用いられる、熱伝導シートの前駆体であって、
90℃、0.5MPaで3分間プレスする前後のタック力の差が4倍以上である、熱伝導シートの前駆体。
【請求項12】
請求項3~8のいずれか1項に記載の熱伝導シートの供給形態における熱伝導シートに用いられる、熱伝導シートの前駆体であって、
90℃、0.5MPaで3分間プレスする前後のタック力の差が4倍以上である、熱伝導シートの前駆体。
【請求項13】
バインダ樹脂と鱗片状の窒化ホウ素とを含む熱伝導組成物を調製する工程Aと、
上記熱伝導組成物から成形体ブロックを形成する工程Bと、
上記成形体ブロックをシート状にスライスして熱伝導シート前駆体を得る工程Cと、
上記熱伝導シート前駆体をプレスして熱伝導シートを得る工程Dと
を有する熱伝導シートの製造方法。
【請求項14】
上記工程Dでは、上記熱伝導シート前駆体をプレスすることで、プレス前の上記熱伝導シート前駆体と比べて4倍以上のタック力を有する上記熱伝導シートを得る、請求項13に記載の熱伝導シートの製造方法。
【請求項15】
上記工程Bでは、押出形成法により、上記熱伝導組成物から成形体ブロックを形成する、請求項13または14に記載の熱伝導シートの製造方法。
【請求項16】
上記工程Dでは、剥離フィルムで挟持された上記熱伝導シート前駆体をプレスすることで、上記剥離フィルムで熱伝導シートが挟持された熱伝導シートの供給形態を得る、請求項13~15のいずれか1項に記載の熱伝導シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、熱伝導シートの供給形態及び熱伝導シートに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の高性能化に伴って、半導体素子の高密度化、高実装化が進んでいる。これに伴って、電子機器を構成する電子部品からの発熱をさらに効率的に放熱することが重要である。例えば、半導体装置は、効率的に放熱するために、電子部品が、熱伝導シートを介して、放熱ファン、放熱板等のヒートシンクに取り付けられている。熱伝導シートとしては、例えば、シリコーン樹脂に、無機フィラーなどの充填剤を含有(分散)させたものが広く使用されている。この熱伝導シートのような放熱部材は、更なる熱伝導率の向上が要求されている。例えば、熱伝導シートの高熱伝導性を目的として、バインダ樹脂などのマトリックス内に配合されている無機フィラーの充填率を高めることが検討されている。しかし、無機フィラーの充填率を高めると、熱伝導シートの柔軟性が損なわれたり、粉落ちが発生したりするため、無機フィラーの充填率を高めることには限界がある。
【0003】
無機フィラーとしては、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。また、高熱伝導率を目的として、窒化ホウ素、黒鉛等の鱗片状粒子、炭素繊維などをマトリクス内に充填させることもある。これは、鱗片状粒子等の有する熱伝導率の異方性によるものである。例えば、炭素繊維の場合は、繊維方向に約600~1200W/m・Kの熱伝導率を有することが知られている。また、窒化ホウ素の場合は、面方向に約110W/m・K程度の熱伝導率を有し、面方向に対して垂直な方向に約2W/m・K程度の熱伝導率を有することが知られている。
【0004】
特許文献1には、窒化ホウ素を含む熱伝導シートが記載されている。このような熱伝導シートは、例えば、熱伝導シート形成用の樹脂組成物から成形体ブロックを作製し、スライスすることで得られる。しかし、このように成形体ブロックをスライスして熱伝導シートを作製すると、熱伝導シートの表面にタック性がないという問題がある。このように、熱伝導シートの表面にタック性がないと、熱伝導シートを被着体に貼り付けることができず、熱伝導シートの実装時に位置ずれが起こるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO2019/026745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本技術は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、表面にタック性を有する熱伝導シートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術に係る熱伝導シートは、バインダ樹脂と、鱗片状の窒化ホウ素とを含み、鱗片状の窒化ホウ素が熱伝導シートの厚み方向に配向しており、熱伝導シートの両面がタック性を有する。
【0008】
本技術に係る熱伝導シートの製造方法は、バインダ樹脂と鱗片状の窒化ホウ素とを含む熱伝導組成物を調製する工程Aと、熱伝導組成物から成形体ブロックを形成する工程Bと、成形体ブロックをシート状にスライスして熱伝導シート前駆体を得る工程Cと、熱伝導シート前駆体をプレスして熱伝導シートを得る工程Dとを有する。
【発明の効果】
【0009】
本技術によれば、表面にタック性を有する熱伝導シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、熱伝導シートの一例を示す断面図である。
図2図2は、結晶形状が六方晶型である鱗片状の窒化ホウ素を模式的に示す斜視図である。
図3図3は、熱伝導シートの供給形態の一例を示す断面図である。
図4図4は、熱伝導シートの製造方法における、熱伝導シート前駆体をプレスして熱伝導シートを得る工程Dの一例を説明するための断面図である。
図5図5は、熱伝導シートの製造方法における、熱伝導シート前駆体をプレスして熱伝導シートを得る工程Dの一例を説明するための断面図である。
図6図6は、熱伝導シートを適用した半導体装置の一例を示す断面図である。
図7図7は、熱伝導シートをアルミ板の上に載せ、90°ずらしたときに、アルミ板がずり落ちるかどうかの評価方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において、鱗片状の窒化ホウ素や熱伝導材料の平均粒径(D50)とは、例えば、鱗片状の窒化ホウ素や熱伝導材料の粒子径分布全体を100%とした場合に、粒子径分布の小粒子径側から粒子径の値の累積カーブを求めたとき、その累積値が50%となるときの粒子径をいう。なお、本明細書における粒度分布(粒子径分布)は、体積基準によって求められたものである。粒度分布の測定方法としては、例えば、レーザー回折型粒度分布測定機を用いる方法が挙げられる。
【0012】
本技術に係る熱伝導シートは、バインダ樹脂と、鱗片状の窒化ホウ素とを含み、鱗片状の窒化ホウ素が熱伝導シートの厚み方向に配向しており、熱伝導シートの両面がタック性を有する。このように、本技術に係る熱伝導シートは、熱伝導シートの表面がタック性を有するため、熱伝導シートを被着体に貼り付けることができ、熱伝導シートの実装時の位置ずれを抑制できる。
【0013】
図1は、熱伝導シートの一例を示す断面図である。熱伝導シート1は、バインダ樹脂2と、鱗片状の窒化ホウ素3とを含み、鱗片状の窒化ホウ素3が、熱伝導シート1の厚み方向Bに配向している。換言すると、熱伝導シート1は、鱗片状の窒化ホウ素3の面方向(例えば窒化ホウ素3の長軸)が、熱伝導シート1の厚み方向Bに配向していてもよい。また、熱伝導シート1は、鱗片状の窒化ホウ素3以外の他の熱伝導材料4をさらに含んでもよい。以下、熱伝導シート1の構成要素の具体例について説明する。
【0014】
<バインダ樹脂>
バインダ樹脂2は、鱗片状の窒化ホウ素3と他の熱伝導材料4とを熱伝導シート1内に保持するためのものである。バインダ樹脂2は、熱伝導シート1に要求される機械的強度、耐熱性、電気的性質等の特性に応じて選択される。バインダ樹脂2としては、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂の中から選択することができる。
【0015】
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等のエチレン-αオレフィン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリフッ化ビニリデン及びポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、スチレン-アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリフェニレン-エーテル共重合体(PPE)樹脂、変性PPE樹脂、脂肪族ポリアミド類、芳香族ポリアミド類、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチルエステル等のポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリル酸類、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルケトン、ポリケトン、液晶ポリマー、シリコーン樹脂、アイオノマー等が挙げられる。
【0016】
熱可塑性エラストマーとしては、スチレン- ブタジエンブロック共重合体又はその水添化物、スチレン-イソプレンブロック共重合体又はその水添化物、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0017】
熱硬化性樹脂としては、架橋ゴム、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂等が挙げられる。架橋ゴムの具体例としては、天然ゴム、アクリルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、ニトリルゴム、水添ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレン-プロピレン共重合ゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、及びシリコーンゴムが挙げられる。
【0018】
バインダ樹脂2としては、例えば、電子部品の発熱面とヒートシンク面との密着性を考慮するとシリコーン樹脂が好ましい。シリコーン樹脂としては、例えば、アルケニル基を有するシリコーンを主成分とし、硬化触媒を含有する主剤と、ヒドロシリル基(Si-H基)を有する硬化剤とからなる、2液型の付加反応型シリコーン樹脂を用いることができる。アルケニル基を有するシリコーンとしては、例えば、ビニル基を有するポリオルガノシロキサンを用いることができる。硬化触媒は、アルケニル基を有するシリコーン中のアルケニル基と、ヒドロシリル基を有する硬化剤中のヒドロシリル基との付加反応を促進するための触媒である。硬化触媒としては、ヒドロシリル化反応に用いられる触媒として周知の触媒が挙げられ、例えば、白金族系硬化触媒、例えば白金、ロジウム、パラジウムなどの白金族金属単体や塩化白金などを用いることができる。ヒドロシリル基を有する硬化剤としては、例えば、ヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサンを用いることができる。バインダ樹脂2は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0019】
熱伝導シート1中のバインダ樹脂2の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、熱伝導シート1中のバインダ樹脂2の含有量は、熱伝導シート1の柔軟性の観点では、20体積%以上とすることができ、25体積%以上であってもよく、30体積%以上であってもよく、33体積%以上であってもよい。また、熱伝導シート1中のバインダ樹脂2の含有量は、熱伝導シート1の熱伝導率の観点では、70体積%以下とすることができ、60体積%以下であってもよく、50体積%以下であってもよく、40体積%以下であってもよく、37体積%以下であってもよい。熱伝導シート1中のバインダ樹脂2の含有量は、例えば、熱伝導シート1の柔軟性の観点では、25~60体積%とすることが好ましく、30~40体積%とすることもでき、33~37体積%とすることもできる。
【0020】
<鱗片状の窒化ホウ素>
熱伝導シート1は、鱗片状の窒化ホウ素3を含む。鱗片状の窒化ホウ素3とは、長軸と短軸と厚みとを有する窒化ホウ素であって、高アスペクト比(長軸/厚み)であり、長軸を含む面方向に等方的な熱伝導率を有する窒化ホウ素である。短軸とは、鱗片状の窒化ホウ素3の長軸を含む面において、鱗片状の窒化ホウ素3の粒子の略中央部で長軸に交差する方向であって、鱗片状の窒化ホウ素3の最も短い部分の長さをいう。厚みとは、鱗片状の窒化ホウ素3の長軸を含む面の厚みを10点測定して平均した値をいう。鱗片状の窒化ホウ素3は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0021】
図2は、鱗片状の窒化ホウ素の一例である、結晶形状が六方晶型である鱗片状の窒化ホウ素3Aを模式的に示す斜視図である。図2中、aは鱗片状の窒化ホウ素3Aの長軸を表し、bは鱗片状の窒化ホウ素3Aの厚みを表し、cは鱗片状の窒化ホウ素3Aの短軸を表す。鱗片状の窒化ホウ素3としては、熱伝導シート1の熱伝導率の観点から、図2に示すように結晶形状が六方晶型である鱗片状の窒化ホウ素3Aを用いることが好ましい。
【0022】
鱗片状の窒化ホウ素3の平均粒径(D50)は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、鱗片状の窒化ホウ素3の平均粒径は、10μm以上とすることができ、20μm以上であってもよく、30μm以上であってもよく、35μm以上であってもよい。また、鱗片状の窒化ホウ素3の平均粒径の上限値は、150μm以下とすることができ、100μm以下であってもよく、90μm以下であってもよく、80μm以下であってもよく、70μm以下であってもよく、50μm以下であってもよく、45μm以下であってもよい。熱伝導シート1の熱伝導率の観点から、鱗片状の窒化ホウ素3の平均粒径は、20~100μmとすることが好ましい。鱗片状の窒化ホウ素3のアスペクト比は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、鱗片状の窒化ホウ素3のアスペクト比は、10~100の範囲とすることができる。鱗片状の窒化ホウ素3の長軸と短軸との比(長軸/短軸)の平均値は、例えば、0.5~10の範囲とすることができ、1~5の範囲とすることもでき、1~3の範囲とすることもできる。
【0023】
熱伝導シート1中の鱗片状の窒化ホウ素3の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、熱伝導シート1中の鱗片状の窒化ホウ素3の含有量は、熱伝導シート1の熱伝導率の観点では、15体積%以上とすることができ、20体積%以上であってもよく、23体積%以上であってもよい。また、熱伝導シート1中の鱗片状の窒化ホウ素3の含有量の上限値は、熱伝導シート1の柔軟性の観点では、例えば、45体積%以下とすることができ、40体積%以下であってもよく、35体積%以下であってもよく、30体積%以下であってもよい。熱伝導シート1の熱伝導率の観点から、熱伝導シート1中の鱗片状の窒化ホウ素3の含有量は、20~35体積%とすることが好ましく、20~30体積%とすることがより好ましく、23~27体積%とすることがさらに好ましい。
【0024】
<他の熱伝導材料>
他の熱伝導材料4は、上述した鱗片状の窒化ホウ素3以外の熱伝導材料である。他の熱伝導材料4の形状は、例えば、球状、粉末状、顆粒状、扁平状、繊維状等が挙げられる。他の熱伝導材料4は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0025】
他の熱伝導材料4の材質は、例えば、熱伝導シート1の絶縁性を確保する観点では、酸化アルミニウム(アルミナ、サファイア)、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウムなどを用いることができる。また、他の熱伝導材料4は、熱伝導シート1の熱伝導率の観点では、窒化アルミニウム粒子とアルミナ粒子とを併用する態様や、窒化アルミニウム粒子とアルミナ粒子と酸化亜鉛と水酸化アルミニウムとを併用する態様が好ましい。窒化アルミニウム粒子の平均粒径(D50)は、例えば、1~5μmとすることができ、1~3μmであってもよく、1~2μmであってもよい。また、アルミナ粒子の平均粒径(D50)は、例えば、0.1~10μmとすることができ、0.1~8μmであってもよく、0.1~7μmであってもよく、0.1~2μmであってもよい。酸化亜鉛粒子の平均粒径(D50)は、例えば、0.1~5μmとすることができ、0.5~3μmであってもよく、0.5~2μmであってもよい。水酸化アルミニウム粒子の平均粒径(D50)は、例えば、1~10μmとすることができ、2~9μmであってもよく、6~8μmであってもよい。
【0026】
熱伝導シート1中の他の熱伝導材料4の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択できる。熱伝導シート1中の他の熱伝導材料4の含有量は、熱伝導性シート1の熱伝導率の観点では、10体積%以上とすることができ、15体積%以上であってもよく、20体積%以上であってもよく、25体積%以上であってもよく、30体積%以上であってもよく、35体積%以上であってもよい。また、熱伝導シート1中の他の熱伝導材料4の含有量は、熱伝導シート1の柔軟性の観点では、50体積%以下とすることができ、45体積%以下であってもよく、40体積%以下であってもよい。
【0027】
他の熱伝導材料4として、窒化アルミニウム粒子とアルミナ粒子とを併用する場合、熱伝導シート1中、アルミナ粒子の含有量は10~25体積%とすることが好ましく、窒化アルミニウム粒子の含有量は10~25体積%とすることが好ましい。また、他の熱伝導材料4として、窒化アルミニウム粒子とアルミナ粒子と酸化亜鉛粒子と水酸化アルミニウム粒子とを併用する場合、熱伝導シート1中、アルミナ粒子の含有量は10~25体積%とすることが好ましく、窒化アルミニウム粒子の含有量は10~25体積%とすることが好ましく、酸化亜鉛粒子の含有量は0.1~3体積%とすることが好ましく、水酸化アルミニウム粒子の含有量は0.1~3体積%とすることが好ましい。
【0028】
熱伝導シート1は、本技術の効果を損なわない範囲で、上述した成分以外の他の成分をさらに含有してもよい。他の成分としては、例えば、シランカップリング剤(カップリング剤)、分散剤、硬化促進剤、遅延剤、粘着付与剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、安定剤、着色剤などが挙げられる。例えば、熱伝導シート1は、鱗片状の窒化ホウ素3及び他の熱伝導材料4の分散性をより向上させて、熱伝導シート1の柔軟性をより向上させる観点で、シランカップリング剤で処理した鱗片状の窒化ホウ素3及び/又はシランカップリング剤で処理した他の熱伝導材料4を用いてもよい。
【0029】
熱伝導シート1の厚みは、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、熱伝導シート3の厚みは、0.05mm以上とすることができ、0.1mm以上とすることもできる。また、熱伝導シート1の厚みの上限値は、5mm以下とすることができ、4mm以下であってもよく、3mm以下であってもよい。熱伝導シート1は、取り扱い性の観点では、厚みが0.1~4mmであることが好ましい。熱伝導シート3の厚みは、例えば、熱伝導シート1の厚みを任意の5箇所で測定し、その算術平均値から求めることができる。
【0030】
熱伝導シート1は、電子部品の軽量化の観点では比重が小さいほど好ましい。例えば、熱伝導シート1は、比重が2.7以下であってもよく、2.6以下であってもよく、2.5以下であってもよく、2.4以下であってもよく、2.3以下であってもよい。また、熱伝導シート1は、比重が2.0以上であってもよく、2.1以上であってもよく、2.2以上であってもよい。熱伝導シート1の比重は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
【0031】
熱伝導シート1は、表面に規則性を有するパターンを有していてもよい。熱伝導シート1は、表面に規則性を有するパターンを有することにより、外観上、他の熱伝導シートと容易に区別できる。また、熱伝導シート1は、表面に規則性を有するパターンを有することにより、例えば、被着体に貼り付けられた際に、熱伝導シートと被着体との間に空気が内包されることを抑制でき、熱伝導シートを被着体により確実に貼り付けることができる。そのため、熱伝導シートの実装時の密着性をより良好にすることができる。規則性を有するパターンは、目視可能な模様であり、例えば、互いに直交しない辺を有する多角形状等の幾何学模様や、複数の円形、楕円形が連続する模様、あるいはこれら幾何学模様と円形、楕円形の模様が混在する模様が挙げられる。
【0032】
図3は、熱伝導シートの供給形態の一例を示す断面図である。熱伝導シート1は、図3に示すように、剥離フィルム6で挟持された熱伝導シートの供給形態5とすることもできる。熱伝導シートの供給形態5は、例えば、剥離フィルム6Aと熱伝導シート1と剥離フィルム6Bとをこの順に備える積層体である。換言すると、熱伝導シートの供給形態5は、剥離フィルム6が、1枚の熱伝導シート1の両面に設けられている。また、熱伝導シートの供給形態5は、縦横に所定の間隔で配置された複数の熱伝導シート1の両面に、剥離フィルム6が設けられていてもよい。
【0033】
熱伝導シートの供給形態5は、以下の条件で測定したタック力が20gf以上であることが好ましく、75gf以上であってもよく、80gf以上であってもよい。
測定方法:剥離フィルム6で挟んだ熱伝導シート1(熱伝導シートの供給形態5)を0.5MPaで30秒プレス処理し、熱伝導シート1から剥離フィルム6を剥離してから3分以内に、直径5.1mmのプローブにより2mm/秒で熱伝導シート1を50μm押し込み、10mm/秒で引き抜く。
【0034】
剥離フィルム6は、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ポリオレフィン、ポリメチルペンテン、グラシン紙等が挙げられる。剥離フィルム6の厚みは、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、5~200μmとすることができる。また、剥離フィルム6は、厚みが薄い方が、熱伝導シート1に対する追従性(密着性)がより良好となり、熱伝導シート1のタック力をより効果的に発現できる。例えば、熱伝導シート1のタック力をより効果的に発現させる観点では、剥離フィルム6は、厚みが薄いPETフィルムが好ましい。剥離フィルム6Aと剥離フィルム6Bは、材質が同じであってもよいし、材質が異なっていてもよい。また、剥離フィルム6Aと剥離フィルム6Bは、厚みが同じであってもよいし、厚みが異なっていてもよい。
【0035】
次に、熱伝導シート1の製造方法について説明する。熱伝導シート1の製造方法は、熱伝導組成物を調製する工程Aと、熱伝導組成物から成形体ブロックを形成する工程Bと、成形体ブロックをシート状にスライスして熱伝導シート前駆体を得る工程Cと、熱伝導シート前駆体をプレスして熱伝導シートを得る工程Dとを有する。
【0036】
工程Aでは、バインダ樹脂2と、鱗片状の窒化ホウ素3とを含む熱伝導組成物を調製する。熱伝導組成物は、バインダ樹脂2と、鱗片状の窒化ホウ素3の他に、他の熱伝導材料4をさらに含んでもよい。熱伝導組成物は、各種添加剤や揮発性溶剤ととともに公知の手法で均一に混合してもよい。工程Aの一態様としては、鱗片状の窒化ホウ素3と、他の熱伝導材料4とをバインダ樹脂2に分散させた熱伝導組成物を調製する。
【0037】
工程Bでは、工程Aで調製した熱伝導組成物から成形体ブロックを形成する。成形体ブロックの形成方法としては、押出成形法、金型成形法などが挙げられる。押出成形法、金型成形法としては、特に制限されず、公知の各種押出成形法、金型成形法の中から、熱伝導組成物の粘度や熱伝導シートに要求される特性等に応じて適宜採用することができる。
【0038】
例えば、押出成形法において、熱伝導組成物をダイより押し出す際、あるいは金型成形法において、熱伝導組成物を金型へ圧入する際、バインダ樹脂2が流動し、その流動方向に沿って鱗片状の窒化ホウ素3が配向する。
【0039】
成形体ブロックの大きさ・形状は、求められる熱伝導シート1の大きさに応じて決めることができる。例えば、断面の縦の大きさが0.5~15cmで横の大きさが0.5~15cmの直方体が挙げられる。直方体の長さは必要に応じて決定すればよい。押出成形法では、熱伝導組成物の硬化物からなり、押出方向に鱗片状の窒化ホウ素3の面方向(鱗片状の窒化ホウ素3の長軸a)が配向した、柱状の成形体ブロックを形成しやすい。
【0040】
工程Cでは、成形体ブロックをシート状にスライスして、熱伝導シート前駆体7を得る。スライスにより得られる熱伝導シート前駆体の表面(スライス面)には、鱗片状の窒化ホウ素3が露出する。スライスする方法としては特に制限はなく、成形体ブロックの大きさや機械的強度により公知のスライス装置(好ましくは超音波カッタ)の中から適宜選択することができる。成形体ブロックのスライス方向としては、成形方法が押出成形法である場合、押出し方向に配向しているものもあるため、押出し方向に対して60~120度であることが好ましく、70~100度の方向であることがより好ましく、90度(垂直)の方向であることがさらに好ましい。工程Bで押出成形法により柱状の成形体ブロックを形成した場合、工程Cでは、成形体ブロックの長さ方向に対して略垂直方向にスライスすることが好ましい。
【0041】
工程Dでは、熱伝導シート前駆体7をプレスして熱伝導シート1を得る。具体的に、工程Dでは、熱伝導シート前駆体7のスライス面をプレスする。このように、工程Cで得られた熱伝導シート前駆体7をプレスすることにより、バインダ樹脂2と、鱗片状の窒化ホウ素3とを含み、鱗片状の窒化ホウ素3が熱伝導シート1の厚み方向Bに配向しており、両面がタック性を有する熱伝導シート1が得られる。このように、工程Dで得られる熱伝導シート1は、両面がタック性を有するため、熱伝導シート1の実装時の位置ずれを抑制できる。
【0042】
工程Dでは、工程Cで得られた熱伝導シート前駆体7をプレスすることにより、熱伝導シート前駆体7を構成するバインダ樹脂2が熱伝導シート1(プレス後の熱伝導シート前駆体7)の表面に染み出し、熱伝導シート1がタック性を有するようになる。熱伝導シート1の表面に染み出すバインダ樹脂2は、未硬化の状態であってもよく、数%程度硬化が進んだ状態であってもよい。
【0043】
また、工程Dで得られる熱伝導シート1は、表面がより平滑化され、他の部材と熱伝導シート1との密着性をより向上させることができる。
【0044】
熱伝導シート前駆体7のプレスには、平盤と表面が平坦なプレスヘッドとからなる一対のプレス装置を使用できる。また、ピンチロールで熱伝導シート前駆体7をプレスしてもよい。プレスの際の圧力は、例えば、0.1~100MPaの範囲とすることができ、0.1~1MPaの範囲であってもよく、0.1~0.5MPaの範囲であってもよい。プレスの効果をより高め、プレス時間を短縮するために、熱伝導シート前駆体7を構成するバインダ樹脂2のガラス転移温度(Tg)以上でプレスを行ってもよい。プレス温度は、例えば、0~180℃の範囲とすることができ、室温(例えば25℃)~100℃の範囲であってもよく、30~100℃の範囲であってもよい。プレス時間は、例えば、10秒~5分の範囲とすることができ、30秒~3分の範囲であってもよい。熱伝導シート1のタック性をより効果的に発現させる観点では、例えば、プレスの際の圧力は0.3~0.6MPaの範囲が好ましく、プレス温度は60~100℃の範囲が好ましい。
【0045】
図4,5は、熱伝導シートの製造方法における、熱伝導シート前駆体をプレスして熱伝導シートを得る工程Dの一例を説明するための断面図である。図4,5中の矢印は、プレスの方向を表す。工程Dでは、図4に示すように、熱伝導シート前駆体7を剥離フィルム6で挟持した状態、すなわち、剥離フィルム6Aと熱伝導シート前駆体7と剥離フィルム6Bとの積層体をプレスしてもよい。これにより、熱伝導シート前駆体7をプレスする際に、熱伝導シート前駆体7がプレス装置に付着してしまうことを防止できる。
【0046】
工程Dでは、図4に示す剥離フィルム6として、表面に規則性の凹凸を有するフィルムを用いてもよい。これにより、上述のような表面に規則性を有するパターンが形成された熱伝導シート1が得られるとともに、熱伝導シート1に対する剥離フィルム6の追従性(密着性)がより良好となり、熱伝導シート1のタック力をより効果的に発現できる。また、熱伝導シート前駆体7をプレスする際に熱伝導シート前駆体7がプレス装置に付着してしまうことを防止できる。規則性の凹凸とは、熱伝導性シート1に上述した規則性を有するパターンを形成可能な形状、例えば、平面視における凹部または凸部の形状が、互いに直交しない辺を有する多角形状等の幾何学模様や、複数の円形、楕円形が連続する模様、あるいはこれら幾何学模様と円形、楕円形の模様が混在する模様であることが挙げられる。また、規則性の凹凸は、平面視における凹部または凸部の形状が、ライン状や波状であってもよい。表面に規則性の凹凸を有する剥離フィルム6の具体例としては、石島化学工業社製の製品名NEF(表面にダイヤ形状の凹凸を有するエンボスフィルム)が挙げられる。
【0047】
また、工程Dでは、図5に示すように、熱伝導シート前駆体7を剥離フィルム6A,6Bで挟持し、さらにこの剥離フィルム6A,6Bの外側に、規則性の模様を有するラバークッション8を配置した状態、すなわち、ラバークッション8A、剥離フィルム6A、熱伝導シート前駆体7、剥離フィルム6B及びラバークッション8Bをこの順に有する積層体をプレスしてもよい。このような態様でも、上述した、表面に規則性を有するパターンが形成された熱伝導シート1が得られるとともに、熱伝導シート1に対する剥離フィルム6の追従性(密着性)がより良好となり、熱伝導シート1のタック力をより効果的に発現できる。また、熱伝導シート前駆体7をプレスする際に熱伝導シート前駆体7がプレス装置に付着してしまうことを防止できる。規則性の模様を有するラバークッション8とは、例えば、平面視におけるラバークッション8の模様が、上述した規則性の凹凸と同様であることが挙げられる。規則性の模様を有するラバークッション8の具体例としては、ヤマウチ社製の製品名YOM-F01 FDRR(表面にダイヤ形状の模様を有するラバークッション)が挙げられる。
【0048】
工程Dでは、図4,5に示すように、熱伝導シート前駆体7を剥離フィルム6で挟持した状態でプレスすることで、図3に示す剥離フィルム6で熱伝導シート1が挟持された熱伝導シートの供給形態5が得られる。この熱伝導シートの供給形態5から剥離フィルム6が剥離された熱伝導シート1は、両面がタック性を有するため、被着体に貼り付けることができ、実装時の位置ずれを抑制できる。なお、工程Dにおける熱伝導シート前駆体7をプレスする方法は、図4,5に示す方法に限定されず、例えば、熱伝導シート前駆体7をステージに置いて、熱伝導シート前駆体7の上側からのみプレスする態様であってもよい。このような方法でも、図4,5に示す方法と同様に熱伝導シート1を得ることができる。
【0049】
例えば、工程Dで図3に示す熱伝導シートの供給形態5を、90℃、0.5MPaで3分間プレスする場合、プレス前後の熱伝導シート前駆体7のタック力の差を4倍以上とすることができる。すなわち、熱伝導シートの供給形態5を、90℃、0.5MPaで3分間プレスする場合、熱伝導シート1(プレス後の熱伝導シート前駆体7)のタック力をプレス前の熱伝導シート前駆体7のタック力の4倍以上とすることができる。このように、熱伝導シート1のタック力が、プレス前の熱伝導シート前駆体7のタック力の4倍以上であることにより、例えば、熱伝導シート1と被着体(例えばIC)との密着性がより向上し、熱伝導シート1と被着体との位置ずれをより効果的に抑制できる。また、熱伝導シート1のタック力が、プレス前の熱伝導シート前駆体7のタック力の4倍以上であることにより、一度貼り付けた熱伝導シート1に対してある程度の振動が加えられても、熱伝導シート1の位置ずれが起こりにくくなるため、作業性や生産性の向上、歩留まりの改善などの観点で好ましい。
【0050】
<電子機器>
熱伝導シート1は、例えば、発熱体と放熱体との間に配置させることにより、発熱体で生じた熱を放熱体に逃がすためにそれらの間に配された構造の電子機器(サーマルデバイス)とすることができる。電子機器は、発熱体と放熱体と熱伝導シート1とを少なくとも有し、必要に応じて、その他の部材をさらに有していてもよい。
【0051】
発熱体としては、特に限定されず、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの集積回路素子、トランジスタ、抵抗器など、電気回路において発熱する電子部品等が挙げられる。また、発熱体には、通信機器における光トランシーバ等の光信号を受信する部品も含まれる。
【0052】
放熱体としては、特に限定されず、例えば、ヒートシンクやヒートスプレッダなど、集積回路素子やトランジスタ、光トランシーバ筐体などと組み合わされて用いられるものが挙げられる。放熱体としては、ヒートスプレッダやヒートシンク以外にも、熱源から発生する熱を伝導して外部に放散させるものであればよく、例えば、放熱器、冷却器、ダイパッド、プリント基板、冷却ファン、ペルチェ素子、ヒートパイプ、金属カバー、筐体等が挙げられる。
【0053】
図6は、本技術に係る熱伝導シートを適用した半導体装置の一例を示す断面図である。例えば、熱伝導シート1は、図6に示すように、各種電子機器に内蔵される半導体装置50に実装され、発熱体と放熱体との間に挟持される。図6に示す半導体装置50は、電子部品51と、ヒートスプレッダ52と、熱伝導シート1とを備え、熱伝導シート1がヒートスプレッダ52と電子部品51との間に挟持される。熱伝導シート1が、ヒートスプレッダ52とヒートシンク53との間に挟持されることにより、ヒートスプレッダ52とともに、電子部品51の熱を放熱する放熱部材を構成する。熱伝導シート1の実装場所は、ヒートスプレッダ52と電子部品51との間や、ヒートスプレッダ52とヒートシンク53との間に限らず、電子機器や半導体装置の構成に応じて、適宜選択できる。
【実施例0054】
以下、本技術の実施例について説明する。本技術は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0055】
<実施例1>
実施例1では、シリコーン樹脂33体積%と、結晶形状が六方晶型である鱗片状の窒化ホウ素(D50が40μm)27体積%と、窒化アルミニウム(D50が1.2μm)20体積%と、アルミナ粒子(D50が1μm)19体積%と、シランカップリング剤1体積%とを均一に混合することにより、熱伝導シート形成用の樹脂組成物を調製した。押出成形法により、熱伝導シート形成用の樹脂組成物を、直方体状の内部空間を有する金型(開口部:50mm×50mm)中に流し込み、60℃のオーブンで4時間加熱させて成形体ブロックを形成した。なお、金型の内面には、剥離処理面が内側となるように剥離PETフィルムを貼り付けておいた。得られた成形体ブロックをスライサーで1mm厚のシート状にスライスすることにより、鱗片状の窒化ホウ素がシートの厚み方向に配向した熱伝導シート前駆体を得た。得られた熱伝導シート前駆体を剥離処理したPETフィルムの間に挟み、90℃、0.5MPa、3分の条件でプレスした。これにより、実施例1の熱伝導シート(熱伝導シートがPETフィルムで挟持された熱伝導シートの供給形態)を得た。
【0056】
<実施例2>
実施例2では、シリコーン樹脂37体積%と、結晶形状が六方晶型である鱗片状の窒化ホウ素(D50が40μm)23体積%と、窒化アルミニウム(D50が1.5μm)20体積%と、アルミナ粒子(D50が1μm)17体積%と、水酸化アルミニウム(D50が8μm)1体積%と、シランカップリング剤1体積%とを均一に混合することにより、熱伝導シート形成用の樹脂組成物を調製したこと以外は、実施例1と同様の方法で熱伝導シート前駆体を得た。得られた熱伝導シート前駆体を剥離処理したPETフィルムの間に挟み、90℃、0.5MPa、3分の条件でプレスした。これにより、実施例2の熱伝導シート(熱伝導シートがPETフィルムで挟持された熱伝導シートの供給形態)を得た。
【0057】
<実施例3>
実施例3では、実施例1と同様の熱伝導シート形成用の樹脂組成物を用いて熱伝導性シート前駆体を得た。得られた熱伝導シート前駆体を剥離処理した規則性の凹凸があるPETのエンボスフィルムの間に挟み、90℃、0.5MPa、3分の条件でプレスした。これにより、実施例3の熱伝導シート(熱伝導シートがPETフィルムで挟持された熱伝導シートの供給形態)を得た。
【0058】
<実施例4>
実施例4では、実施例1と同様の熱伝導シート形成用の樹脂組成物を用いて熱伝導性シート前駆体を得た。得られた熱伝導シート前駆体を剥離処理したPETフィルムの間に挟み、さらに、このPETフィルムの外側に規則性の模様があるラバークッションを配置し、90℃、0.5MPa、3分の条件でプレスした。これにより、実施例4の熱伝導シート(熱伝導シートがPETフィルムで挟持された熱伝導シートの供給形態)を得た。
【0059】
<比較例1>
比較例1では、実施例1と同様の方法で熱伝導シート前駆体を得た。そして、比較例1では、得られた熱伝導シート前駆体を剥離処理したPETフィルムの間に挟んだ。しかし、比較例1では、実施例1のように、得られた熱伝導シート前駆体をプレスしなかった。
【0060】
<比較例2>
比較例2では、シリコーン樹脂37体積%と、結晶形状が六方晶型である鱗片状の窒化ホウ素(D50が40μm)23体積%と、窒化アルミニウム(D50が1.5μm)20体積%と、アルミナ粒子(D50が1μm)19体積%と、シランカップリング剤1体積%とを均一に混合することにより、熱伝導シート形成用の樹脂組成物を調製した。この熱伝導シート形成用の樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で熱伝導シート前駆体を得た。そして、比較例2では、得られた熱伝導シート前駆体を剥離処理したPETフィルムの間に挟んだ。しかし、比較例2では、実施例1のように、得られた熱伝導シート前駆体をプレスしなかった。
【0061】
<熱伝導率>
熱伝導シートの厚み方向の熱伝導率(W/m・K)をそれぞれ測定した。具体的には、ASTM-D5470に準拠した熱抵抗測定装置を用いて、荷重1kgf/cmをかけて、プレス前およびプレス後(プレス直後)の熱伝導シートの熱伝導率を測定した。実施例1~4では、プレス前の熱伝導シートの供給形態(熱伝導シート前駆体)の熱伝導率と、プレス後の熱伝導シートの供給形態からPETフィルムを剥がした熱伝導シートの熱伝導率を測定した。比較例1,2では、プレス前の熱伝導シート前駆体の熱伝導率を測定した。結果を表1に示す。表1中、プレス直後の熱伝導率が「-」とは、プレスを行わなかったため測定しなかったことを意味する。
【0062】
<比重>
実施例1~4で得られた熱伝導シート及び比較例1,2で得られた熱伝導シート前駆体について、シートの縦、横の長さと厚みから求めた体積と熱伝導シートの重量を測定することにより、熱伝導シート又は熱伝導シート前駆体の比重を求めた。結果を表1に示す。
【0063】
<アルミ板への固定>
図7は、熱伝導シートをアルミ板の上に載せ、90°ずらしたときに、アルミ板がずり落ちるかどうかの評価方法を説明するための図である。図7(A)に示すように、水平に置いたアルミ板9の上に熱伝導シート1を載せた後、図7(B)に示すように、熱伝導性シート1を保持しながらアルミ板9を90°傾けたときに、アルミ板9がずり落ちるかどうかを評価した。結果を表1に示す。表1中、「置くだけで固定」とはアルミ板9がずり落ちなかったことを表し、「固定されない」とはアルミ板9がずり落ちたことを表す。なお、図7中の熱伝導性シート1として、実施例1~4では、熱伝導シートの供給形態からPETフィルムを剥がした熱伝導シートを使用し、比較例1,2では、熱伝導シート前駆体を使用した。
【0064】
<シートを剥がした後の転着>
実施例1~4で得られたプレス後の熱伝導シートの供給形態を、0.5MPaで30秒プレス処理し、この熱伝導シートの供給形態からPETフィルムを剥がした際に、このPETフィルムに、熱伝導シートの跡(白色)が付着したかどうかを目視で確認した。また、比較例1,2で得られたPETフィルムで挟持された熱伝導シート前駆体を、0.5MPaで30秒プレス処理し、このPETフィルムで挟持された熱伝導シート前駆体からPETフィルムを剥がした際に、このPETフィルムに、熱伝導シート前駆体の跡(白色)が付着したかどうかを目視で確認した。結果を表1に示す。
【0065】
<シート表面>
実施例1~4で得られた熱伝導シートの表面を目視により評価した。結果を表1に示す。表1中、シート表面が「-」とは、プレスを行わなかったため評価しなかったことを意味する。
【0066】
<シート化直後のタック力>
得られた熱伝導シート前駆体について、直径5.1mmのプローブにより熱伝導シート前駆体を2mm/秒で50μm押し込み、10mm/秒で引き抜いた際の熱伝導シート前駆体の表面のタック力(gf)を求めた。なお、実施例1~4では、スライス後プレス前の熱伝導シート前駆体を対象とした。結果を表1に示す。
【0067】
<プレス後のタック力>
実施例1~4で得られた熱伝導シート(プレス直後の熱伝導シート前駆体)表面のタック力(gf)を、次の方法で測定した。実施例1~4で得られた熱伝導シートの供給形態を上述した条件でプレス処理した後、さらに、この熱伝導シートの供給形態を、0.5MPaで30秒プレス処理し、熱伝導シートの供給形態からPETフィルムを剥離して3分以内に、直径5.1mmのプローブにより2mm/秒で熱伝導シートを50μm押し込み、10mm/秒で引き抜いた際の熱伝導シート表面のタック力を測定した。結果を表1に示す。表1中、プレス後のタック力が「-」とは、プレスを行わなかったため測定しなかったことを意味する。
【0068】
【表1】
【0069】
実施例1~4で得られた熱伝導シートは、バインダ樹脂と、鱗片状の窒化ホウ素とを含み、鱗片状の窒化ホウ素が熱伝導シートの厚み方向に配向していた。また、実施例1~4で得られた熱伝導シートは、熱伝導シートの両面がタック性を有することが分かった。また、実施例1~4で得られた熱伝導シートをアルミ板の上に置いたときに固定されることが分かった。このことから、実施例1~4における熱伝導シートは、熱伝導シートの実装時の位置ずれを抑制できることが示唆された。
【0070】
一方、比較例1,2では、熱伝導シート(熱伝導シート前駆体)の両面がタック性を有しないことが分かった。比較例1,2では、実施例1~4のように、熱伝導シート前駆体をプレスしなかったためと考えられる。
【符号の説明】
【0071】
1 熱伝導シート、2 バインダ樹脂、3 鱗片状の窒化ホウ素、3A 鱗片状の窒化ホウ素、a 長軸、b 厚み、c 短軸、4 他の熱伝導材料、5 熱伝導シートの供給形態、6 剥離フィルム、7 熱伝導シート前駆体、8 ラバークッション、9 アルミ板、50 半導体装置、51 電子部品、52 ヒートスプレッダ、53 ヒートシンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-09-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダ樹脂と、鱗片状の窒化ホウ素と、他の熱伝導材料とを含み、
上記バインダ樹脂がシリコーン樹脂であり、
上記鱗片状の窒化ホウ素が当該熱伝導シートの厚み方向に配向しており、
当該熱伝導シートの両面が以下の条件で測定したタック力が80gf以上である単層の熱伝導シート。
測定方法:剥離フィルムで挟持された当該熱伝導シートを0.5MPaで30秒プレス処理し、当該熱伝導シートから上記剥離フィルムを剥離してから3分以内に、直径5.1mmのプローブにより2mm/秒で当該熱伝導シートを50μm押し込み、10mm/秒で引き抜く。
【請求項2】
当該熱伝導シートの表面に、規則性を有するパターンを有する、請求項1に記載の熱伝導シート。
【請求項3】
上記他の熱伝導材料が、アルミナ、窒化アルミニウム、酸化亜鉛および水酸化アルミニウムの少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の熱伝導シート。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の熱伝導シートが剥離フィルムで挟持された、熱伝導シートの供給形態。
【請求項5】
上記剥離フィルムを上記熱伝導シートから剥離した際に、上記熱伝導シートを構成する上記バインダ樹脂及び上記鱗片状の窒化ホウ素の一部が上記剥離フィルムに転着する、請求項に記載の熱伝導シートの供給形態。
【請求項6】
上記剥離フィルムが、1枚の熱伝導シートの両面に設けられている、請求項4又は5に記載の熱伝導シートの供給形態。
【請求項7】
上記剥離フィルムが、縦横に所定の間隔で配置された複数の上記熱伝導シートの両面に設けられている、請求項~6のいずれか1項に記載の熱伝導シートの供給形態。
【請求項8】
請求項のいずれか1項に記載の熱伝導シートの供給形態から、上記剥離フィルムが剥離された、熱伝導シート。
【請求項9】
荷重1kgf/cm をかけたときの厚み方向の熱伝導率が8.0W/m・K以上である、請求項1~8のいずれか1項に記載の熱伝導シート。
【請求項10】
請求項1~3、8、9のいずれか1項に記載の熱伝導シートを備える、電子機器。
【請求項11】
請求項1~3、8、9のいずれか1項に記載の熱伝導シートに用いられる、熱伝導シートの前駆体であって、
90℃、0.5MPaで3分間プレスする前後のタック力の差が4倍以上である、熱伝導シートの前駆体。
【請求項12】
請求項のいずれか1項に記載の熱伝導シートの供給形態における熱伝導シートに用いられる、熱伝導シートの前駆体であって、
90℃、0.5MPaで3分間プレスする前後のタック力の差が4倍以上である、熱伝導シートの前駆体。
【請求項13】
バインダ樹脂と鱗片状の窒化ホウ素とを含む熱伝導組成物を調製する工程Aと、
上記熱伝導組成物から成形体ブロックを形成する工程Bと、
上記成形体ブロックをシート状にスライスして熱伝導シート前駆体を得る工程Cと、
上記熱伝導シート前駆体をプレスすることで、プレス前の上記熱伝導シート前駆体と比べて4倍以上のタック力を有する熱伝導シートを得る工程Dと
を有する熱伝導シートの製造方法。
【請求項14】
上記工程Bでは、押出形成法により、上記熱伝導組成物から成形体ブロックを形成する、請求項13に記載の熱伝導シートの製造方法。
【請求項15】
上記工程Dでは、剥離フィルムで挟持された上記熱伝導シート前駆体をプレスすることで、上記剥離フィルムで熱伝導シートが挟持された熱伝導シートの供給形態を得る、請求項13又は14に記載の熱伝導シートの製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-11-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダ樹脂と、鱗片状の窒化ホウ素と、他の熱伝導材料とを含み、
上記バインダ樹脂がシリコーン樹脂であり、
上記鱗片状の窒化ホウ素が当該熱伝導シートの厚み方向に配向しており、
当該熱伝導シートの両面が以下の条件で測定したタック力が80gf以上である単層の熱伝導シート。
測定方法:剥離フィルムで挟持された当該熱伝導シートを0.5MPaで30秒プレス処理し、当該熱伝導シートから上記剥離フィルムを剥離してから3分以内に、直径5.1mmのプローブにより2mm/秒で当該熱伝導シートを50μm押し込み、10mm/秒で引き抜く。
【請求項2】
当該熱伝導シートの表面に、規則性を有するパターンを有する、請求項1に記載の熱伝導シート。
【請求項3】
上記他の熱伝導材料が、アルミナ、窒化アルミニウム、酸化亜鉛および水酸化アルミニウムの少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の熱伝導シート。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の熱伝導シートが剥離フィルムで挟持された、熱伝導シートの供給形態。
【請求項5】
上記剥離フィルムを上記熱伝導シートから剥離した際に、上記熱伝導シートを構成する上記バインダ樹脂及び上記鱗片状の窒化ホウ素の一部が上記剥離フィルムに転着する、請求項4に記載の熱伝導シートの供給形態。
【請求項6】
上記剥離フィルムが、1枚の熱伝導シートの両面に設けられている、請求項4又は5に記載の熱伝導シートの供給形態。
【請求項7】
上記剥離フィルムが、縦横に所定の間隔で配置された複数の上記熱伝導シートの両面に設けられている、請求項4~6のいずれか1項に記載の熱伝導シートの供給形態。
【請求項8】
請求項4~7のいずれか1項に記載の熱伝導シートの供給形態から、上記剥離フィルムが剥離された、熱伝導シート。
【請求項9】
荷重1kgf/cmをかけたときの厚み方向の熱伝導率が8.0W/m・K以上である、請求項1~8のいずれか1項に記載の熱伝導シート。
【請求項10】
請求項1~3、8、9のいずれか1項に記載の熱伝導シートを備える、電子機器。
【請求項11】
請求項1~3、8、9のいずれか1項に記載の熱伝導シートに用いられる、熱伝導シートの前駆体であって、
90℃、0.5MPaで3分間プレスする前後のタック力の差が4倍以上である、熱伝導シートの前駆体。
【請求項12】
請求項4~7のいずれか1項に記載の熱伝導シートの供給形態における熱伝導シートに用いられる、熱伝導シートの前駆体であって、
90℃、0.5MPaで3分間プレスする前後のタック力の差が4倍以上である、熱伝導シートの前駆体。
【請求項13】
バインダ樹脂としてのシリコーン樹脂鱗片状の窒化ホウ素とを含む熱伝導組成物を調製する工程Aと、
上記熱伝導組成物から成形体ブロックを形成する工程Bと、
上記成形体ブロックをシート状にスライスして熱伝導シート前駆体を得る工程Cと、
上記熱伝導シート前駆体を、25~100℃の範囲、0.1~1MPaの範囲、10秒~5分の範囲の条件でプレスすることで、プレス前の上記熱伝導シート前駆体と比べて4倍以上のタック力を有する熱伝導シートを得る工程Dと
を有する熱伝導シートの製造方法。
【請求項14】
上記工程Bでは、押出形成法により、上記熱伝導組成物から成形体ブロックを形成する、請求項13に記載の熱伝導シートの製造方法。
【請求項15】
上記工程Dでは、剥離フィルムで挟持された上記熱伝導シート前駆体をプレスすることで、上記剥離フィルムで熱伝導シートが挟持された熱伝導シートの供給形態を得る、請求項13又は14に記載の熱伝導シートの製造方法。