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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122806
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】放射線検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20180101AFI20220816BHJP
【FI】
G01N23/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021063191
(22)【出願日】2021-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】391017540
【氏名又は名称】東芝ITコントロールシステム株式会社
(72)【発明者】
【氏名】神山 民彦
(72)【発明者】
【氏名】富澤 雅美
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001HA13
2G001SA29
(57)【要約】
【課題】最適な拡大率で鮮明な画像を得ることができる放射線検査装置を提供する。
【解決手段】X線源13からのX線ビームを空間分解能をもって検出するX線検出器14と、X線ビーム内で被検体を載置する試料テーブル11と、X線源13とX線検出器14と試料テーブル11の少なくとも1つを相対的に移動させる移動手段とを有する放射線検査装置において、試料テーブル11は、被検体12を載置する面に対して反対側の面が導電性を有し、前記導電性を有する面にX線源13またはX線検出器14が近接したことを検知する近接検出手段を有することを特徴とする放射線検査装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線源と、
前記放射線源からの放射線ビームを空間分解能をもって検出する放射線検出器と、
前記放射線ビーム内で被検体を載置する試料テーブルと、
前記放射線源と前記放射線検出器と前記試料テーブルの少なくとも1つを相対的に移動させる移動手段と、を有する放射線検査装置において、
前記試料テーブルは、前記被検体を載置する面に対して反対側の面が導電性を有し、
前記導電性を有する面に前記放射線源または前記放射線検出器が近接したことを検知する近接検出手段を有することを特徴とする放射線検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線検査装置において、
前記試料テーブルは少なくとも2層から成る積層構造で、前記被検体を載置する面を構成する層は炭素繊維シートから成り、前記被検体を載置する面を構成する層から最も離れた層は導電性のプラスチックフィルムシートから成る放射線検査装置。
【請求項3】
請求項1に記載の放射線検査装置において、
前記試料テーブルは少なくとも3層から成る積層構造で、前記被検体を載置する面から順に最上位層、中間層、最下位層を構成し、前記最上位層は導電性の炭素繊維シートから成り、前記中間層は不導電性のプラスチックフィルムシートから成り、前記最下位層は導電性のプラスチックフィルムシートから成り、
前記最上位層に前記被検体を載置した際に前記被検体が有する静電気を除去する静電気除去手段を有する放射線検査装置。
【請求項4】
請求項1に記載の放射線検査装置において、
前記試料テーブルは少なくとも4層からなる積層構造で、前記被検体を載置する面から順に最上位層、第1中間層、第2中間層、最下位層を構成し、前記最上位層は導電性の炭素繊維シートから成り、前記第1中間層は不導電性のプラスチックフィルムシートから成り、前記第2中間層は導電性のプラスチックフィルムシートから成り、前記最下位層は導電性の炭素繊維シートから成り、
前記最上位層に前記被検体を載置した際に前記被検体が有する静電気を除去する静電気除去手段を有する放射線検査装置。
【請求項5】
請求項4に記載の放射線検査装置において、
前記最上位層と前記最下位層を構成する炭素繊維シートは、それぞれの炭素繊維シートの繊維の方向が互いに交わる方向である放射線検査装置。
【請求項6】
請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の放射線検査装置において、
前記試料テーブルは、前記試料テーブルを構成する炭素繊維シートとプラスチックフィルムシートの各々の融点が近い材料から成り、前記シートを結合する際は、前記融点付近まで熱した後に圧接して貼り合わせる放射線検査装置。
【請求項7】
請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載の放射線検査装置において、
前記試料テーブルは、前記試料テーブルの外周付近が曲げ構造を有する放射線検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、マイクロ波、赤外線、可視光、紫外線、X線、γ線、中性子線などの放射線を用いて被検体の検査を行う放射線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から放射線検査装置には、CT(Computed Tomography)装置やラミノグラフィ(傾斜型CT装置と呼ばれている)、X線TV(テレビジョン)システムがあり、鋳物、電池、基板、ICチップ、金属や樹脂などの部品、または、組み込んだ状態において、X線などの放射線を用いた検査が行われている。
【0003】
X線などの放射線を用いた検査は、X線などの透過ビームによって可視像をつくり観測する検査、または、被検体により反射または、散乱されたX線などの放射線または、被検体から放射されたX線などの放射線を検出することで行われる。検査は、寸法、形状、面積、体積、質量、員数、配置、構造、材質、色彩、形状、異物、キズ、または、その他の物理量である。
【0004】
例えばX線などの放射線を用いた検査装置において、X線源焦点から被検体の検査面までの距離をFOD(Focus To Object Distance)とし、X線源焦点からX線受像面までの距離をFDD(Focus To Detector Distance)とする。これらから拡大率はFDD/FODで求まる。微小欠陥を検出しようとすると拡大率を大きくしなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-202272号公報
【特許文献2】特開2005-221317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
放射線検査装置において、最適な拡大率で鮮明な画像を得るようにするには、試料テーブルをできるだけ薄くし、試料テーブルと放射線源の照射口を近づける(FODを小さくする)ことがあげられるが、試料テーブルを薄くすると被検体の重量によりテーブルが撓むことがあり、それによって被検体の位置がずれてしまったり、また試料テーブルと放射線源の照射口を近づけ過ぎると、干渉して試料テーブルや放射線源を破損する恐れがある。
【0007】
本実施形態は、上記課題を解決すべく、最適な拡大率で鮮明な画像を得ることができる放射線検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、請求項1記載の放射線検査装置は、放射線源と、前記放射線源からの放射線ビームを空間分解能をもって検出する放射線検出器と、前記放射線ビーム内で被検体を載置する試料テーブルと、前記放射線源と前記放射線検出器と前記試料テーブルの少なくとも1つを相対的に移動させる移動機構と、を有する放射線検査装置において、前記試料テーブルは、前記被検体を載置する面に対して反対側の面が導電性を有し、前記導電性を有する面に前記放射線源または前記放射線検出器が近接したことを検知する近接検出手段を有することを特徴とする。
【0009】
前記目的を達成するため、請求項2記載の放射線検査装置は、請求項1に記載の放射線検査装置において、前記試料テーブルは少なくとも2層から成る積層構造で、前記被検体を載置する面を構成する層は炭素繊維シートから成り、前記被検体を載置する面を構成する層から最も離れた層は導電性のプラスチックフィルムシートから成ることを要旨とする。
【0010】
前記目的を達成するため、請求項3記載の放射線検査装置は、請求項1に記載の放射線検査装置において、前記試料テーブルは少なくとも3層から成る積層構造で、前記被検体を載置する面から順に最上位層、中間層、最下位層を構成し、前記最上位層は導電性の炭素繊維シートから成り、前記中間層は不導電性のプラスチックフィルムシートから成り、前記最下位層は導電性のプラスチックフィルムシートから成り、前記最上位層に前記被検体を載置した際に前記被検体が有する静電気を除去する静電気除去手段を有することを要旨とする。
【0011】
前記目的を達成するため、請求項4記載の放射線検査装置は、請求項1に記載の放射線検査装置において、前記試料テーブルは少なくとも4層からなる積層構造で、前記被検体を載置する面から順に最上位層、第1中間層、第2中間層、最下位層を構成し、前記最上位層は導電性の炭素繊維シートから成り、前記第1中間層は不導電性のプラスチックフィルムシートから成り、前記第2中間層は導電性のプラスチックフィルムシートから成り、前記最下位層は導電性の炭素繊維シートから成り、前記最上位層に前記被検体を載置した際に前記被検体が有する静電気を除去する静電気除去手段を有することを要旨とする。
【0012】
前記目的を達成するため、請求項5記載の放射線検査装置は、請求項4に記載の放射線検査装置において、前記最上位層と前記最下位層を構成する炭素繊維シートは、それぞれの炭素繊維シートの繊維の方向が互いに交わる方向であることを要旨とする。
【0013】
前記目的を達成するため、請求項6記載の放射線検査装置は、請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の放射線検査装置において、前記試料テーブルは、前記試料テーブルを構成する炭素繊維シートとプラスチックフィルムシートの各々の融点が近い材料から成り、前記シートを結合する際は、前記融点付近まで熱した後に圧接して貼り合わせることを要旨とする。
【0014】
前記目的を達成するため、請求項7記載の放射線検査装置は、請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載の放射線検査装置において、前記試料テーブルは、前記試料テーブルの外周付近が曲げ構造を有することを要旨とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態のX線検査装置である。
図2】実施形態の試料テーブルである。
図3】実施形態の試料テーブルのA部詳細(3層構造)である。
図4】実施形態の試料テーブルのA部詳細(4層構造)である。
図5】実施形態の試料テーブルのB部詳細である。
図6】実施形態の試料テーブルとX線発生器とX線検出器の傾斜と垂直図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態の構成)
図1は、本発明の実施形態によるX線検査装置10(放射線検査装置)の構成図である。図1(a)は上面図であり、被検体12に対し、旋回フレーム21(移動手段)上のX線源13(放射線源)とX線検出器14(放射線検出器)が垂直状態にある図である。X線源13は図示していない。
【0017】
図1(b)は、図1(a)の正面図であり、被検体12に対し、旋回フレーム21上のX線源13とX線検出器14が垂直状態にある図である。また、制御手段30を示す。
【0018】
制御手段30は、制御処理部、スキャン制御部、位置決め制御部、再構成部、表示部、静電容量センサ距離計算部などがあり、通常のコンピュータ、CPU、メモリ、キーボード・マウス等の入力部、表示部、インターフェース、機構制御基板、ディスク(メモリ)、通信部を持つ。
【0019】
また、制御手段30は、CPUが実施する機能として、被検体12をセットし、旋回機構22(移動手段)、X線源スライド機構23(移動手段)、X線検出器スライド機構24(移動手段)、試料テーブル11のX軸(X方向)・Y軸(Y方向)・Z軸(上下)・θ軸(回転)25のそれぞれの機構(移動手段)、図示しないX線源13、X線検出器14の絞りやシャッタなどをプログラムで定められたシーケンスで制御する機構制御機能がある。また、X線検出器14から取り込んだ透過データを処理し、X線源13に対して、X線のON/OFFなどの指令を出すX線制御機能を持っている。
【0020】
なお、機構要素として、他に、X線を外部に漏らさないためのX線遮蔽箱等を有するが図示省略している。
【0021】
図1(c)は、図1(a)の側面図であり、被検体12に対して、旋回フレーム21上のX線源13とX線検出器14が垂直状態にある図である。
【0022】
図2は、本実施形態によるX線検査装置10の試料テーブル11に、被検体12を載置した鳥瞰図である。
【0023】
図3は、図2実施形態の試料テーブル11のA部詳細図で、3層構造である。第1層(最上位層)は、炭素繊維シート11a(例えば厚さ0.1mm~0.5mm)と第2、3層(中間層、最下位層)はプラスチックフィルムシート11b(例えば厚さ0.5mm以下)を熱(例えば100度C~150度C)と圧力(例えば0.3MPa~0.6MPa)を加えて接合した積層構造に被検体12を載置した図である。
【0024】
試料テーブル11の第1層(最上位層)の炭素繊維シート11aの被検体12を載置する面を第1面11a-1とその反対側の面を第2面11a-2とする。第2、3層(中間層、最下位層)のプラスチックフィルムシート11bは、炭素繊維シート11の第2面11a-2との接合面は不導電面であり第3面11b-3(中間層)とし、その反対側の面の導電面を第4面11b-4(最下位層)とする。
【0025】
静電気取り出しケーブル17について、これを例えば接地されたX線検査装置の筐体に接続することにより、炭素繊維シート11aに載置された被検体12の静電気は除去される(静電気除去手段)。
【0026】
近接するX線源13、X線検出器14、移動機器などの距離を静電容量のノイズ対策した変位量を検知するための静電容量取り出しケーブル19である(近接検出手段)。
【0027】
ここで、図6に示すような試料テーブル11とこれに接近する例えばX線源13との距離を測定する動作について説明する。X線源13が試料テーブル11へ接近すると、静電容量は、静電容量取り出しケーブル19から制御手段30の静電容量センサ距離検査部へ伝送される。静電容量センサ距離検査部には、試料テーブル11とX線源13、X線検出器14、移動機器などとの距離に対する静電容量の相関を予め採取したデータが保存されており、そのデータと比較することにより距離の出力を算出している。
【0028】
図4は、図2のA部詳細図であり、炭素繊維シート11a(例えば厚さ0.1mm~0.5mm)とプラスチックフィルムシート11b(例えば厚さ0.5mm以下)とさらに、炭素繊維シート11c(例えば厚さ0.1mm~0.5mm)を接合した積層構造を示した図である。
【0029】
図5は、図4のB部詳細図である。第1層(最上位層)の炭素繊維シート11aの被検体12を載置する面を第1面11a-1とその反対側の面を第2面11a-2とする。第2、3層(第1中間層、第2中間層)のプラスチックフィルムシート11bは、炭素繊維シート11aの第2面11a-2との接合面は不導電面であり第3面11b-3(第1中間層)とし、その反対側の面の導電面を第4面11b-4(第2中間層)である。また、第4層(最下位層)の炭素繊維シート11cは、プラスチックフィルムシート11bの第4面11b-4との接合面を第5面11c-5とし、その反対側の面を第6面11c-6とする。
【0030】
ここで、炭素繊維シートとプラスチックフィルムシートとの接合について詳述する。炭素繊維シート(例えば厚さ0.1mm~0.5mm)とプラスチックフィルム(例えば厚さ0.5mm以下)は融点が互いに例えば100度C~150度Cのものを選定する。炭素繊維シートとプラスチックフィルムシートをそれぞれ融点近辺まで加熱し、その後、両シートを貼り合わせて圧力(例えば0.3MPa~0.6MPa)を加えると接合することができる。これは接着剤などで接合するのではないので、透視画像に接着剤などの影が映ることなく被検体12の鮮明な透視画像を得ることができる。
【0031】
図6は、本実施形態の試料テーブル11に対して、垂直に撮影するX線源13とX線検出器14と、さらに試料テーブル11の角端部を撮影するX線源13とX線検出器14を表した図である。
【0032】
また、図6は、試料テーブル11の形状に倣って、X線源13とX線検出器14が移動し、任意の位置で停止することができることを示した図ある
【0033】
(実施形態の作用、効果)
本実施形態の作用について改めて図1から図6を用いて説明する。
【0034】
図1において、X線検査装置10の積層構造の試料テーブル11は被検体を載置する。旋回フレーム21は、旋回機構22により、X線源13とX線検出器14に対しX線ビーム(放射線ビーム)内で被検体12を中心に相対的に旋回することができる。X線源13とX線源スライド機構23の組合せと、さらにX線検出器14とX線検出器スライド機構24の組合せを旋回フレーム21に設置しており、それぞれのスライド機構により自由に移動でき、鮮明な画像、任意の拡大率の位置で停止することできる。
【0035】
試料テーブル11には、X軸(X方向)・Y軸(Y方向)・Z軸(上下)・θ軸(回転)25のそれぞれの機構がある。被検体12は、試料テーブル11に載置される。被検体12はX線源13とX線検出器14に挟まれ、さらに試料テーブル11のX軸(X方向)・Y軸(Y方向)・Z軸(上下)・θ軸(回転)25のそれぞれの機構と旋回フレーム22の垂直から傾斜と水平により位置を確保し、透過データを収集することができる。さらに、透過データを再構成するCT装置、ラミノグラフィ(傾斜型CT装置)やX線TV(テレビジョン)システムにおいても適用できる。
【0036】
被検体12の拡大率はX線焦点27から被検体12までを(FOD)として、X線源焦点27からX線受像面29を(FDD)とすると、拡大率は(FDD/FOD)となり、X線源13のスライド機構23により、X線源13とX線検出器14を移動させて拡大率を決定させる。
【0037】
上記の各構成機器の動作は制御手段30によるプログラムや電気信号等により実現される。
【0038】
図2について説明する。被検体12を載置した試料テーブル11の鳥観図である。試料テーブル11をトレイ型の折り曲げ構造にすることにより、部材の変形し難さを表す断面二次モーメントを増すことで曲げと圧縮などの外力と相互作用の外力による強度を増すことができる。また、深さがあるために試料テーブル11上の被検体12を下部の側面方向からもX線透視検査ができる。さらに、トレイ型の折り曲げ構造の試料テーブル11において、被検体12が、例えばゼリーなどの軟体形状内の異物検査、小動物などの被検体12にも適用できる。
【0039】
図3について説明する。炭素繊維シート11aは、導電性があり被検体12を載置する部分の面11a-1に接触すると、被検体12が静電気を帯びていても、炭素繊維シート11aの炭素繊維束方向15に設けられた静電気取出しケーブル17より即座に放電することができる。この炭素繊維シート11aの面11a-1の反対側の面11a-2とプラスチックフィルムシート11bの面11b-3とが接合される。この面11b-3は不導電シート(ポリカーボネート)である。また、このプラスチックフィルムシート11bの面11b-3の反対側の面11b-4は、導電性高分子(ポリアセチレン)で静電容量センサとなる。さらに保護する導電性シート(ポリエチレンテレフタレート)がある。
【0040】
面11b-4は、静電容量センサであり、X線源13、X線検出器14、さらには、図示しないX線源13、X線検出器14の絞りやシャッタ、被検体12の把持ハンドなどの機器が微小距離の非接触で静電容量を応用して検知する。その後、制御手段30内の静電容量センサ距離検査部など制御機器を介して電気信号を発する。
【0041】
次に、この電気信号は、X線源13、X線検出器14、または、試料テーブル11、さらには、図示しないX線源13、X線検出器14の絞りやシャッタ、被検体12の把持ハンドなど透視画像に不必要なものは放射線光軸内から移動させることができる。
【0042】
また、静電容量センサを備えたプラスチックフィルムシート11bの外側形状に倣って、X線源13とX線検出器14は、被検体12に対して相対的に移動し、その移動間にX線源13より、連続的と、断続的と、一部分的にX線を照射し、X線ビーム28内の被検体12の透過データを1つ、または、2つ以上収集し、透視画像を作成することができる。
【0043】
図4図5について説明する。炭素繊維シート11aは、導電性があり試料テーブル11に被検体12を載置すると面11a-1に接触し、被検体12が静電気を帯びている場合は、炭素繊維シート11aの炭素繊維束方向15に設けられた静電気取出しケーブル17より即座に放電することができる。この炭素繊維シート11aの面11a-1の反対側の面11a-2とプラスチックフィルムシート11bの面11b-3とが接合される。この面11b-3は不導電シート(ポリカーボネート)である。また、このプラスチックフィルムシート11bの面11b-3の反対側の面11b-4は、導電性高分子(ポリアセチレン)で静電容量センサとなる。さらに保護する導電性シート(ポリエチレンテレフタレート)がある。炭素繊維シート11cは、導電性があり面11b-4と面11c-5が接合される。炭素繊維シート11cの面11c-6は、静電容量センサとなり、静電容量取り出しケーブル19より非接触センサとして静電容量を取り出し、制御手段30内の静電容量センサ距離検査部などの制御機器を介して電気信号を発し、近接センサとして機能する。
【0044】
次に、この電気信号は、X線源13、X線検出器または、試料テーブル11、さらには、図示しないX線源13、X線検出器14の絞りやシャッタ、被検体12の把持ハンドなど透視画像に不必要なものは放射線光軸内から移動させることができる。
【0045】
さらに、炭素繊維シート11cの面11c-6は、静電容量センサであるため外側形状に倣って、X線源13とX線検出器14は、被検体12に対して相対的に移動し、その移動間にX線源13より、連続的と、断続的と、一部分的にX線を照射し、X線ビーム28内の被検体12の透過データを1つ、または、2つ以上収集し、透視画像を得ることができる。
【0046】
拡大率を上げるためにはFODを小さくすれば良いが、図6から分かる通り試料テーブル11を薄くすればするほどその効果が得られる。本実施形態では試料テーブル11に炭素繊維シートを用いているが、これを薄くするためには炭素繊維が一方向のみに並んだシートを用いれば良いが、一方で強度が得られないという問題が生じる。そこで、炭素繊維シート11aの炭素繊維束方向15と第3層の炭素繊維シート11cの炭素繊維束方向16は交差し、一直線方向をなすことのないように積層することにより強度を高めている。また、中間層であるプラスチックフィルムシート11bを挟み込み、クッション材として多方面からの曲げ力などの外力から割れを防止する積層構造としている。
【0047】
図6に示すように、適切な拡大率を得るためにX線源13を被検体12に近づけた場合であっても、試料テーブル11が近接センサの機能を有するため互いが接触することを未然に防止することができ、機器の損傷を回避することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
10・・X線検査装置(放射線検査装置)
11・・試料テーブル
11a・・第1層(例えば厚さ0.1~0.5mmの炭素繊維シート)
11b・・第2層(例えば厚さ0.5mm以下のプラスチックフィルムシート)
11c・・第3層(例えば厚さ0.1~0.5mmの炭素繊維シート)
11a-1・・第1面
11a-2・・第2面
11b-3・・第3面
11b-4・・第4面、
11c-5・・第5面
11c-6・・第6面
12・・被検体
13・・X線源
14・・X線検出器
15・・第1層の炭素繊維束方向
16・・第3層の炭素繊維束方向
17・・静電気取り出しケーブル
18・・静電気取り出しケーブルコネクタ
19・・静電容量取り出しケーブル
20・・静電容量取り出しケーブルコネクタ
21・・旋回フレーム
22・・旋回フレーム軸
23・・X線源スライド機構
24・・X線検出器スライド機構
25・・試料テーブルのX軸(X方向)・Y軸(Y方向)・Z軸(上下)・θ軸(回転)
26・・X線照射口
27・・X線焦点
28・・X線ビーム
29・・X線受像面
30・・制御手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6