(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122858
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】制限エリア内の不認可のユーザを識別することを可能にする情報要素をデバイスに提供する方法
(51)【国際特許分類】
G08B 25/04 20060101AFI20220816BHJP
G08B 13/196 20060101ALI20220816BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20220816BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20220816BHJP
G07C 9/25 20200101ALI20220816BHJP
G07C 9/29 20200101ALI20220816BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
G08B25/04 G
G08B13/196
G06T7/00 510F
H04N7/18 D
G07C9/25
G07C9/29
G08B25/04 F
G08B25/00 510M
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046396
(22)【出願日】2022-03-23
(62)【分割の表示】P 2019567611の分割
【原出願日】2018-06-07
(31)【優先権主張番号】17305677.1
(32)【優先日】2017-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】519271263
【氏名又は名称】タレス・ディス・フランス・エス・ア
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-ポール・カルーアナ
(72)【発明者】
【氏名】パスカル・ルロワ
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク・マルティネス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】制限エリア内の少なくとも1人の不認可のユーザを視覚的に識別する方法、データ処理システム、プログラム及び記憶媒体を提供する。
【解決手段】ゲートレスアクセス制御システムにおける方法は、ゲートレス制御エリアを通過しているときに検出された少なくとも1人のユーザのデジタル画像を、画像センサにより提供し、検出したユーザの、提供されたデジタル画像から、第1の顔検出データセットを抽出し、検出されたユーザによって携行されるウェアラブルデバイスに記憶された第2の顔検出データセットを電子リーダにより提供し、第1、第2の顔検出データセットに関連付けられたユーザと同一であるかどうかを決定するために顔認識を適用し、同一である場合は認可されていると識別し、それ以外の場合は不認可であると識別し、不認可のユーザの視覚的識別を容易にするように適合された情報項目を含むメッセージをワイヤレス制御デバイスに送る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制限エリア内の少なくとも1人の不認可のユーザを、視覚的に識別することを可能にする情報要素をワイヤレス制御デバイス(115)に提供するための方法であって、制限エリアは、画像センサ(112)と、ユーザ(110)によって携行されるウェアラブルデバイス(111)の中に記憶されたデータを読み出すことを可能にする近距離無線技術をサポートする電子リーダ(113)とを少なくとも装備したゲートレス制御エリアを含み、方法は、
ゲートレス制御エリアを通過しているときに、検出された少なくとも1人のユーザのデジタル画像を、画像センサにより提供するステップ(120、121)、
検出されたユーザの、提供されたデジタル画像から、第1の顔検出データセットを抽出するステップ、
前記検出されたユーザによって携行されるウェアラブルデバイスに記憶された第2の顔検出データセットを、電子リーダにより提供するステップ(122、123)、
第1の顔検出データセットに関連付けられたユーザが、第2の顔検出データセットに関連付けられたユーザと同一であるかどうかを決定するために、第1および第2の顔検出データセットに顔認識を適用するステップ(130)であって、検出されたユーザは、同一である場合、認可されていると識別され、それ以外の場合は不認可と識別される、ステップ(130)、
不認可のユーザの視覚的識別を容易にするように適合された情報項目を含むメッセージをワイヤレス制御デバイスに送るステップ(126)
を含む、方法。
【請求項2】
少なくとも1つのワイヤレス制御デバイスの位置特定を可能にするデータを受信するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも検出されたユーザによって携行される少なくともウェアラブルデバイスに収容されているアクセス権データを、電子リーダにより提供するステップ、
提供されたアクセス権データに基づいて、提供されたアクセス権データが、検出されたユーザが制限エリアに入ることを可能にしない場合、ユーザを不認可であると識別するステップ
を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
電子リーダ(113)およびウェアラブルデバイス(111)が通信するための近距離技術として、超広帯域(UWB)が使用される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
不認可のユーザの位置特定を可能にするデータを受信するステップと、前記位置特定データを表す情報要素を生成するステップと、この情報要素をワイヤレス制御デバイス(230、231)に送るステップとを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
第1および第2の検出データセットが、事前定義された顔特徴のセットに対応する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
第2の顔検出データセットが、ウェアラブルデバイスの中に安全に記憶される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ゲートレス制御システムを通過している1人または何人かのユーザの存在を検出するために、画像センサ(112)によって捕捉されたデジタル画像を受信し、分析するステップを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ワイヤレス制御デバイス(115)に送信される(126)1つの情報項目が、画像センサ(112)によって捕捉された写真から抽出された写真IDのフォーマットを有する写真である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ワイヤレス制御デバイス(115)に送信される(126)1つの情報項目が、警備員が不認可のユーザの外観を認識することを可能にするように適合される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
複数の不認可のユーザに関係する情報項目が単一のメッセージでワイヤレス制御デバイスに送信されるように、管理報告(126)をフォーマットするステップを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
制限エリアが少なくとも2つの部分エリアからなり、所与の不認可のユーザに関連付けられた1つまたはいくつかの情報要素が、前記関連付けられた不認可のユーザが位置特定された部分エリアに存在するワイヤレス制御デバイスに送信される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法のステップを実行する手段を備えた、データ処理システム。
【請求項14】
プログラムがコンピュータによって実行されたときに、コンピュータに請求項1から12のいずれか一項に記載の方法のステップを実行させる命令を備えた、コンピュータプログラム製品。
【請求項15】
コンピュータによって実行されたときに、コンピュータに請求項1から12のいずれか一項に記載の方法のステップを実行させる命令を備えた、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制限エリア内の不認可のユーザを識別することを可能にする情報要素を、デバイスに提供するための方法に関する。本発明は、ゲートレス制御システムの分野に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
ゲートレスおよびハンドフリーのアクセス制御システムは、輸送およびアクセス環境に関する新しい動向である。ゲートが存在しないと、ユーザが券をタップまたは提示する必要がないため、ユーザに利便性がもたらされる。さらに、ユーザまたは乗客のスループットを最大にし、ボトルネックを回避する。
【0003】
ユーザが移動する(またはアクセスする)権利は、一般に、無線周波数、カメラ、ウェアラブルデバイス(wearable device)、スマート技術または他の技術の使用に基づくリモート機構を通じて検出される。
【0004】
ゲートレスシステムの欠点の1つは、認可されているユーザのみに対して開く仕切りなどの制限エリアに不正なユーザが入るのを阻止する直接的なやり方がないことである。したがって、一般には、1人または何人かの警備員(control officer)が、制限エリアにアクセスするユーザの権利を検査する役割を担う。一人の警備員が所与の制限エリア内にいるすべてのユーザを検査するのは難しいため、この作業は煩瑣で非効率的であり得る。また、不認可のユーザは、そのユーザが制限エリアを出るまたは制限エリアに入る前に、適切なタイミングで検査される必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、制限エリア内の少なくとも1人の不認可のユーザを視覚的に識別することを可能にする情報要素をワイヤレス制御デバイスに提供するための方法に関する。制限エリアは、画像センサと、ユーザによって携行されるウェアラブルデバイスの中に記憶されたデータを読み出すことを可能にする近距離無線技術をサポートする電子リーダとを少なくとも装備したゲートレス制御エリアを含む。方法は以下のステップを含む:
- ゲートレス制御エリアを通過しているときに、検出された少なくとも1人のユーザのデジタル画像を、画像センサにより提供するステップ、
- 検出されたユーザの、提供されたデジタル画像から、第1の顔検出データセットを抽出するステップ、
- 前記検出されたユーザによって携行されるウェアラブルデバイスに記憶された第2の顔検出データセットを、電子リーダにより提供するステップ、
- 第1の顔検出データセットに関連付けられたユーザが、第2の顔検出データセットに関連付けられたユーザと同一であるかどうかを決定するために、第1および第2の顔検出データセットに顔認識を適用するステップであって、検出されたユーザは、同一である場合、認可されていると識別され、それ以外の場合は不認可であると識別される、ステップ、
- 不認可のユーザの視覚的識別を容易にするように適合された情報項目を含むメッセージをワイヤレス制御デバイスに送るステップ。
【0006】
一実施形態によれば、方法は、少なくとも1つのワイヤレス制御デバイスの位置特定を可能にするデータを受信するステップを含む。
【0007】
一例によれば、方法は以下のステップを含む:
- 少なくとも検出されたユーザによって携行される少なくともウェアラブルデバイスに収容されているアクセス権データを、電子リーダにより提供するステップ、
- 提供されたアクセス権データに基づいて、提供されたアクセス権データが、検出されたユーザが制限エリアに入ることを可能にしない場合、ユーザを不認可であると識別するステップ。
【0008】
一例では、電子リーダおよびウェアラブルデバイスが通信するための近距離技術として、超広帯域が使用される。
【0009】
一例によれば、方法は、不認可のユーザの位置特定を可能にするデータを受信するステップと、前記位置特定データを表す情報要素を生成するステップと、この情報要素をワイヤレス制御デバイスに送るステップとを含む。
【0010】
一例によれば、第1および第2の検出データセットは、事前定義された顔特徴のセットに対応する。
【0011】
一例によれば、第2の顔検出データセットは、ウェアラブルデバイスの中に安全に記憶される。
【0012】
一例によれば、方法は、ゲートレス制御システムを通過している1人または何人かのユーザの存在を検出するために、画像センサによって捕捉されたデジタル画像を受信し、分析するステップを含む。
【0013】
一例によれば、ワイヤレス制御デバイスに送信される1つの情報項目は、画像センサによって捕捉された写真から抽出された写真IDのフォーマットを有する写真である。
【0014】
一例によれば、ワイヤレス制御デバイスに送信される1つの情報項目は、警備員が不認可のユーザの外観を認識することを可能にするように適合される。
【0015】
一例によれば、方法は、複数の不認可のユーザに関係する情報項目が単一のメッセージでワイヤレス制御デバイスに送信されるように、管理報告(control report)をフォーマットするステップを含む。
【0016】
一例によれば、制限エリアは少なくとも2つの部分エリアからなり、所与の不認可のユーザに関連付けられた1つまたはいくつかの情報要素が、前記関連付けられた不認可のユーザが位置特定された部分エリアに存在するワイヤレス制御デバイスに送信される。
【0017】
一例によれば、制限エリアは複数の部分エリアに分割され、所与のユーザに帰属されるアクセス権を、そのユーザの位置特定に依存して検証するステップを含む。
【0018】
また、本発明は、上で説明された方法のステップを実行する手段を備えたデータ処理システムにも関する。
【0019】
また、本発明は、プログラムがコンピュータによって実行されたときに、コンピュータに上で説明された方法のステップを実行させる命令を備えたコンピュータプログラム製品にも関する。
【0020】
また、本発明は、コンピュータによって実行されたときに、コンピュータに上で説明された方法のステップを実行させる命令を備えたコンピュータ可読記憶媒体にも関する。
【0021】
本発明のこの他の特徴および利点は、説明のための非制限的な例として与えられる本発明の好ましい一実施形態の詳細な説明を以下の図面と併せて読むと、より明瞭に理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】制限エリア内に存在する不認可のユーザを識別するのを支援するように適合されたゲートレスアクセス制御システムの機能を示すシーケンス図である。
【
図2】4つの部分エリアに分割され、そこで3人の不認可のユーザが識別されている制限エリアを示す図である。
【
図3】制限エリア内の不認可のユーザを識別するために使用され得る集中システムアーキテクチャの一例を提供する図である。
【
図4】いくつかの情報要素が表示されたワイヤレス制御デバイスを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書の記載において、「制限エリア」という表現は、アクセスが制限されたエリアを言う。これは、認可されている者のみが、このエリアに入る、滞在する、および/または自由に進むことを可能にされることを意味する。制限エリアに入る、滞在する、および/またはその中に進む者は、ユーザと呼ばれる。したがって、認可されているユーザと不認可のユーザとがいる可能性がある。
【0024】
「ゲートレス制御エリア」という表現は、一般に制限エリア内に位置するエリアであって、そのエリアを通過するユーザが、制限エリアにアクセスすることが認可されているか、それとも認可されていないかを検証することを可能にするエリアを言う。
【0025】
「ゲートレス入口エリア」は、ゲートレス制御エリアの特定の例を指す。ゲートレス入口エリアは、ユーザが所与の制限エリアにアクセスすることを可能にする。一例によれば、1つまたはいくつかのゲートレス入口エリアがセットアップされて、ユーザが所与の制限エリアにアクセスしたい場合にそれらのうち1つを通る必要があるようにする。
【0026】
さらに、「ゲートレス制御エリア」は、制限エリアにアクセスするために閉じられたゲートを開く必要なく、ユーザが自由に移動できることから、ゲートレスと称される。
【0027】
ユーザは、ユーザがゲートレス入口エリアを通過し、アクセス制御システムによってそのように識別されたときに、検出されたと称される。
【0028】
以下の説明では、ワイヤレス制御デバイスは、ワイヤレスインターフェースでデータを受信し、データをデバイスを携行する警備員に対して表示することができるデバイスを言う。これは、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって実現されることが可能であり、Wi-Fi、Bluetooth、ユニバーサルモバイルテレコミュニケーションシステム(UMTS)、LTE(Long Term Evolution)、モバイル通信のためのグローバルシステム(GSM)などの1つまたはいくつかのワイヤレス技術をサポートする。
【0029】
図1は、制限エリア内に存在する不認可のユーザを識別するのを支援するように適合されたゲートレスアクセス制御システムの機能を示すシーケンス図である。
【0030】
この例によれば、アクセス制御システムは、ゲートレス制御エリア100および制限エリア101を備える。
【0031】
ゲートレス制御エリア100は、画像センサ112を装備し、これによりゲートレス制御エリア100を通過しているユーザの写真を撮ることが可能になる。また、ゲートレス制御エリア100は、ユーザによって携行されるウェアラブルデバイスの中に記憶されたデータを読み出すように適合された電子リーダ113も備える。互いと通信するために、電子リーダおよびウェアラブルデバイスは、少なくとも近距離無線技術をサポートしている。本発明の一実施形態では、超広帯域(UWB)がこの目的のために選択され得る。
【0032】
図1に提供されるシーケンス図では、ユーザ110およびユーザのウェアラブル制御デバイス111も、ゲートレス制御エリア100を通過するものとして表されている。
【0033】
画像センサ112は、ゲートレス制御エリアを通過するユーザのデジタル画像を捕捉する。例えば、画像センサは、ゲートレス制御エリア内の固定された位置に置かれたカメラである。カメラは、ゲートレス制御エリアを通過する各ユーザの写真を1枚撮影するか、またはユーザのいくつかの画像が捕捉された写真を撮影するように構成され得る。例えば、画像センサは、ゲートレス制御エリア内の移動を検出することが可能であり、移動が検出されたとき、デジタル画像の獲得がトリガされる。
【0034】
次いで、獲得されたデジタル画像は、リモートサーバ114に転送される121。リモートサーバは、どこに位置していてもよく、画像センサ112、電子リーダ113、およびコントローラのデバイス115とデータを交換することができる。
【0035】
1つの実施形態によれば、リモートサーバ114は、画像センサ112から受信したデジタル画像を分析することができる。詳細には、リモートサーバは、ゲートレス制御システムを通過するユーザの存在を検出するように構成され得る。例えば、所与のデジタル画像に3人のユーザが捕捉された場合、検出されたユーザの数が推定される。
【0036】
異なる種類のデータを抽出するための分析も行われ得る。本発明によれば、顔認識技術が使用され、認可されているユーザを不認可のユーザから区別する。この目的のために、リモートサーバは、検出された各ユーザの顔を分離し、顔ごとに、例えば事前定義された顔特徴のセットを備える第1の顔検出データセットを抽出するように適合され得る。
【0037】
次いで、電子リーダ113が、検出された各ユーザによって携行されるウェアラブルデバイス111に記憶されたデータを読み出す。例えば、ウェアラブルデバイスは、その所有者の生体データを提供される。好ましい一実施形態では、ウェアラブルデバイス所有者に対応してその中に提供された第2の顔検出データセットが、ウェアラブルデバイスの中に安全に記憶される。この機密性のある(sensible)情報は、暗号化された形態で格納され得る。この第2の顔検出データセットの暗号化および/または復号は、その場合、ウェアラブルデバイス111に埋め込まれたセキュアなエンクレーブによって制御され得る。したがって、第2の顔検出データセットは、ウェアラブルデバイス111から電子リーダ113によって取得され122、次いでリモートサーバ114に転送される123。
【0038】
この段階で、リモートサーバ114は、検出されたユーザごとに、第1および第2の顔検出データセットに顔認識アルゴリズムを適用することができる。
【0039】
当業者は、最新の技術に属する様々な顔認識アルゴリズムを適用することができる。例えば、第1および第2の顔検出データセットは、選択された顔特徴に対応する。顔特徴の一例は、ユーザの眼の位置および大きさである。2つのセットを分析することにより、画像センサ112によって捕捉されたデジタル画像上で顔が検出されたユーザが、ウェアラブルデバイスの所有者に相当するかどうかを決定することが可能である。それに代えて、またはその補完として、他の既存の技術が使用されてよく、それは、次の非制限的なリスト:3次元認識、皮膚テクスチャ分析、固有顔分析またはニューラルネットワーク分析、に挙げられる技術の中から選択され得る。
【0040】
第1および第2の顔検出データセットに適用される顔認識アルゴリズムは、第1の顔検出データセットに関連付けられたユーザが、第2の顔検出データセットに関連付けられたユーザと同一であるかどうかを決定する130ことを可能にする。同一である場合、検出されたユーザは認可されているとして識別される。それに対し、第1の顔検出データセットに関連付けられた検出されたユーザが、第2の顔検出データセットに関連付けられた検出されたユーザと同一でない場合、ユーザは不認可のとして識別される。
【0041】
別の事例もアクセス制御システムによって考慮され得る。ユーザがウェアラブルデバイスを携行せずにゲートレス制御エリアを通るときには、1つのデータセット、すなわち、捕捉されたデジタル画像から抽出されるデータセットしか入手できないため、顔認識アルゴリズムを適用することができない。
【0042】
そして、リモートサーバ114は、警備員が不認可のユーザを視覚的に識別することを容易にする、1つまたはいくつかの情報項目を含んだメッセージを用意する131。メッセージは、次いで、警備員に割り当てられたワイヤレス制御デバイスに送信される126。
【0043】
ワイヤレス制御デバイスに送信126される1つまたはいくつかの情報項目は、様々な種類であり得る。例えば、画像センサ112によって捕捉された写真から抽出された写真IDのフォーマットを有する写真。別の例は、ユーザの服装など、不認可のユーザの外見に関する情報を提供するものである。例えば、ある情報項目は、不認可のユーザがスカートかそれともズボンを履いているかを示し、別のデータ項目は、不認可のユーザが着ているコートの色を提供する。これらのデータ項目は、画像センサ112によって捕捉されたデジタル写真に人工知能処理を適用することによってリモートサーバ114によって生成され得る。
【0044】
何人かの不認可のユーザが識別された場合、管理報告126は、複数の不認可のユーザに関係する情報項目が、単一のメッセージでワイヤレス制御デバイスに送信されるようにフォーマットされ得る。
【0045】
別の例によれば、アクセス権データが、ウェアラブルデバイス111から電子リーダ113によって取得され124、次いでリモートサーバ114に送信される125。
【0046】
例えば、制限エリアが地下鉄の駅である場合、アクセス権データは、ユーザが必要なサブスクリプションフィーを払うことによって駅に入ることを認可されていることを示すサブスクリプション情報に相当してよい。したがって、提案される機構は、第1および第2の機構のうちの少なくとも1つの検証機構を含むように適合され得る。第1は、制限エリアに入るユーザがウェアラブルデバイスの真正の所有者であることを識別することを可能にし、第2の機構は、ユーザのアクセス権を検証することを可能にする。
【0047】
代替例によれば、サーバ114は、第1の顔検出データセットに関連付けられた、検出されたユーザが、前記サーバ114からアクセス可能な外部データベースの内部に記憶された第2の顔検出データセットに関連付けられたユーザと同一であるかどうかを決定できるように構成され得る。その場合は、ユーザがウェアラブルデバイス111を携行する必要も、電子リーダ113を使用する必要もない。
【0048】
図2は、4つの部分エリアに分割され、そこで3人の不認可のユーザが識別されている制限エリアを示す。
【0049】
この例では、制限エリア200は、4つの部分エリア210、220、230、および240を備える。所与の部分エリアに入るために、ユーザは、ゲートレス入口エリアを横断しなければならない。より正確には、部分エリア210に入るには、ユーザは、ゲートレス入口エリア214または233を通らなければならない。同様に、部分エリア220に入るには、ユーザは、ゲートレス入口エリア224または243を通らなければならない。部分エリア230に入るには、ユーザは、ゲートレス入口エリア233を通らなければならない。部分エリア240に入るには、ユーザは、ゲートレス入口エリア243または244を通らなければならない。
【0050】
この例によれば、4つの部分エリア210、220、230、および240の各々にユーザが存在する。これらのユーザのうちの何人かは、認可されている211、212、221、222、241として識別され、何人かの他のユーザは、不認可である223、231、242として識別されている。さらに、2人の警備員がワイヤレス制御デバイス213、232を装備している。第1の警備員は部分エリア210に存在し、第2の警備員は部分エリア230に存在している。部分エリア220および240には警備員が存在しないことに留意すべきである。
【0051】
ユーザは、ゲートレス入口エリアを通過するときに検出される。ゲートレス入口は、画像センサと、ユーザによって携行されるウェアラブルデバイスに記憶されたデータを読み出すことができる電子リーダとを少なくとも装備している。本発明によれば、検出されたユーザが、所与の制限エリア、または所与の制限エリアの一部分である所与の部分エリアに入ることが認可されているか、または認可されていないかが検証される。これは、
図1を用いて説明されたものと同じ処理を使用して実現され得る。
【0052】
この例では、いずれもウェアラブルデバイスを携行している2人の認可されているユーザ211、212が、部分エリア210に存在する。これらのユーザは、所与のゲートレス入口エリアを通るときに検出され、次いで認可されているとして識別された。この目的のために、所与のゲートレス入口エリアの画像センサによって捕捉された写真が、ユーザが、ユーザに関連付けられたウェアラブルデバイスの正当な所有者であると識別されることを可能にした。
【0053】
別のユーザ231は、入口エリア214を通るとき250に最初に検出され、不認可であると識別された。1つの実施形態では、ユーザ231が部分エリア210にいて、不認可であると識別されたときに、例えば、検出されたユーザに関係するデータが管理されるサーバによって情報要素が生成される。この情報要素は、以下の中から選択され得る:
- 不認可のユーザの顔を含む、写真識別文書にあるものと同様の写真;
- 不認可のユーザがどのような服装をしているかの説明、この種の情報は、画像センサによって取得されたデジタル写真の分析から取得される;
- サブスクリプションの有無に関する情報;
- 不認可のユーザが位置特定された部分エリアの識別子。
【0054】
上記のリストは非制限的なものであり、例示の目的のみで提供される。一実施形態によれば、次いで、1つまたはいくつかの情報要素が、部分エリア210内で位置特定されたワイヤレス制御デバイス213に送信され得る。この段階で、警備員は、不認可のユーザがこの部分エリアに入ったことに気づき、そのデバイスに表示された受信した情報要素が、不認可のユーザを視覚的に識別することを可能にし、必要な場合は追加的な検証を行う、および/または罰金を発行する。
【0055】
不認可のデバイスは、次いでゲートレス入口エリア233を通り250、部分エリア230に到達する。不認可のユーザは部分エリアが変化する際に検出されるので、部分エリア232に存在する警備員のワイヤレス電子デバイス232は、少なくとも、不認可のユーザ231の視覚的識別を容易にする少なくとも1つの情報要素を含んだアラートを受信する。
【0056】
不認可のユーザ223が部分エリア220に存在し、不認可のユーザ242が部分エリア240に存在するが、そこには警備員が存在しない。その場合、不認可のユーザが位置特定された部分エリアを識別する情報要素を含むアラートが、ワイヤレス電子デバイス213および232に送信され得る。警備員は、次いでそれらの部分エリアに向かって移動することを決定し得る。
【0057】
本発明の一態様によれば、複数の部分エリアに分割された制限エリアが、所与のユーザの位置特定に依存する、ユーザに帰属されるアクセス権を正確に扱うことができる。例えば、所与のユーザは、彼が部分エリア210に行くことを可能にするが、部分エリア230に行くことは可能にしないアクセス権を有し得る。これは、例えば、部分エリア210内で位置特定されたときにはゲートレスアクセスシステムによって認可されているとして識別され、部分エリア230内で位置特定されたときには不認可として識別されるユーザ231の場合である。
【0058】
電子リーダおよびウェアラブルデバイスは、近距離技術を実現するために必要とされるハードウェアおよびソフトウェア構成要素のセットを埋め込んでいる。
【0059】
1つの実施形態によれば、近距離通信技術は超広帯域(UWB)通信である。この技術は、低いエネルギー消費のための高帯域幅通信を提供することに加えて、大きな利点を有する。
【0060】
UWB技術では、電気の短いベースバンドのパルスを使用して超広帯域幅の信号が生成される。この技術を使用して、ウェアラブルデバイスやタグを良好な精度で位置特定することが可能である。通例、10メートルにおいて15センチメートルが達成され得る。このことは、ゲートレス制御エリア内でユーザが検出されたときに、正確に位置特定され得ることを意味する。この技術によって取得される地理的座標に対応する情報要素が、警備員によって携行されるワイヤレス電子デバイスに送信され得る。一例として、ワイヤレス電子デバイスにインストールされたアプリケーションが、不認可のユーザの位置を地図上に表示することを可能にする。
【0061】
本発明の一態様では、ゲートレス制御エリアに加えて、制限エリアは、少なくとも部分的に複数の近距離トランシーバによってカバーされ、それらを位置特定し、それらの移動を追いかけることを可能にする。不認可のユーザの位置特定情報の更新は、警備員によって携行されるワイヤレス電子デバイスに送信され得る。
【0062】
図3は、制限エリア内の不認可のユーザを識別するために使用され得る集中システムアーキテクチャの一例を提供する。
【0063】
この例では、3つのゲートレス制御エリア302、304、305が制限エリア内に配備されている。これらのゲートレス制御エリアは、画像センサ310、320、330、および電子リーダ311、321、331を備える。さらに、いくつかのワイヤレス電子デバイス301、303、例えばスマートフォンが、制限エリア内に配備される。ユーザがゲートレス制御エリアを横断しているときに、データが捕捉され、リモートサーバ300に送信される。例えば、デジタル画像が画像センサによって獲得され、ユーザによって携行されるウェアラブルデバイス内に収容されている生体データがリーダによって取得され得る。リモートサーバ300は、これらのデータを中央に集め、1つまたはいくつかの処理を適用して不認可のユーザを識別する役目を担う。リモートサーバ300はまた、ワイヤレス電子デバイス301、303に送信される情報要素を生成する役割も担う。リモートサーバ300は、有線および、または無線ネットワークを通じて他のデバイスと通信することができる。
【0064】
このアーキテクチャは、例示の目的のみで提供されるものであり、当業者は、他の代替例が考案され得ることを認識されよう。例えば、デジタル画像および/またはアクセス権に基づいて不認可のユーザの識別を可能にする処理は、それらのうちのいくつかについては、リーダ内または画像センサ内でローカルに扱われ得る。さらに、
図3には、1つのみのサーバ300を表している。しかし、上述の機能を行うためにいくつかのサーバが使用され得る。
【0065】
図4は、いくつかの情報要素が表示されたワイヤレス制御デバイスを表す。
【0066】
この例によれば、2人の不認可のユーザがゲートレスアクセス制御システムによって識別されている。いくつかの情報要素が警備員のワイヤレス制御デバイスに送信されている。
【0067】
第1のユーザ410については、写真IDおよび3つの追加的なデータ項目411、の4つの情報要素が警備員に受信されている。
【0068】
第2の不認可のユーザ420については、写真IDおよび3つの追加的なデータ項目421、の4つの情報要素が警備員に受信されている。
【0069】
受信された情報項目に基づいて、警備員は、制限エリア内の不認可のユーザを容易に識別し、必要な措置を取ることができる。例えば、不認可のユーザ410は、盗まれたウェアラブルデバイスを所持しているため危険であり得る。したがって、警備員は、支援を要請し、410を監督する前に不認可のユーザ420を管理することができる。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制限エリア内の少なくとも1人の不認可のユーザを、視覚的に識別することを可能にする少なくとも1つの情報要素をワイヤレス制御デバイス(115)に提供するための方法であって、制限エリアは、画像センサ(112)と、ユーザ(110)によって携行されるウェアラブルデバイス(111)の中に記憶されたデータを読み出すことを可能にする近距離無線技術をサポートする電子リーダ(113)とを少なくとも装備したゲートレス制御エリアを含み、方法は、
ゲートレス制御エリアを通過しているときに、検出された少なくとも1人のユーザのデジタル画像を、画像センサにより提供するステップ(120、121)、
検出されたユーザの、提供されたデジタル画像から、第1の顔検出データセットを抽出するステップ、
前記検出されたユーザによって携行されるウェアラブルデバイスに記憶された第2の顔検出データセットを、電子リーダにより提供するステップ(122、123)、
第1の顔検出データセットに関連付けられたユーザが、第2の顔検出データセットに関連付けられたユーザと同一であるかどうかを決定するために、第1および第2の顔検出データセットに顔認識を適用するステップ(130)であって、検出されたユーザは、同一である場合、認可されていると識別され、それ以外の場合は不認可と識別される、ステップ(130)、
少なくとも1つのワイヤレス制御デバイスの位置特定を可能にするデータを受信するステップ
を含み、
前記方法は、ゲートレス制御エリアが、制限エリアにアクセスするために閉じられたゲートを開く必要なく、ユーザが自由に移動できるエリアであり、第2の顔検出データセットが、前記検出されたユーザによって携行されるウェアラブルデバイスに記憶されることを特徴とし、
前記方法はさらに、
制限エリアの少なくとも1つの第1の部分エリアに存在する少なくとも1人の不認可ユーザの位置特定を可能にするデータを表す情報項目を生成し、第1の部分エリアには警備員が存在しない、ステップ、
位置特定データを表す情報項目と、不認可のユーザの視覚的識別を容易にするように適合された少なくとも1つの情報項目とを含むメッセージを、第2の部分エリアに存在する警備員のワイヤレス制御デバイスに送るステップ(126)
を含み、
電子リーダ(113)およびウェアラブルデバイス(111)が通信するための近距離技術として、超広帯域(UWB)が使用される、方法。
【請求項2】
少なくとも検出されたユーザによって携行される少なくともウェアラブルデバイスに収容されているアクセス権データを、電子リーダにより提供するステップ、
提供されたアクセス権データに基づいて、提供されたアクセス権データが、検出されたユーザが制限エリアに入ることを可能にしない場合、ユーザを不認可であると識別するステップ
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1および第2の検出データセットが、事前定義された顔特徴のセットに対応する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第2の顔検出データセットが、ウェアラブルデバイスの中に安全に記憶される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ゲートレス制御システムを通過している1人または何人かのユーザの存在を検出するために、画像センサ(112)によって捕捉されたデジタル画像を受信し、分析するステップを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ワイヤレス制御デバイス(115)に送信される(126)1つの情報項目が、画像センサ(112)によって捕捉された写真から抽出された写真IDのフォーマットを有する写真である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ワイヤレス制御デバイス(115)に送信される(126)1つの情報項目が、警備員が不認可のユーザの外観を認識することを可能にするように適合される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
複数の不認可のユーザに関係する情報項目が単一のメッセージでワイヤレス制御デバイスに送信されるように、管理報告(126)をフォーマットするステップを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
制限エリアが少なくとも2つの部分エリアからなり、所与の不認可のユーザに関連付けられた1つまたはいくつかの情報要素が、前記関連付けられた不認可のユーザが位置特定された部分エリアに存在するワイヤレス制御デバイスに送信される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法のステップを実行する手段を備えた、データ処理システム。
【請求項11】
プログラムがコンピュータによって実行されたときに、コンピュータに請求項1から9のいずれか一項に記載の方法のステップを実行させる命令を備えた、コンピュータプログラム製品。
【請求項12】
コンピュータによって実行されたときに、コンピュータに請求項1から9のいずれか一項に記載の方法のステップを実行させる命令を備えた、コンピュータ可読記憶媒体。