(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122867
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】デジタル歯科カルテに記入するための歯部状態情報を導出する方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/24 20060101AFI20220816BHJP
A61C 19/04 20060101ALI20220816BHJP
A61B 10/00 20060101ALI20220816BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
A61B1/24
A61C19/04 Z
A61B10/00 E
A61B1/00 511
A61B1/00 512
A61B1/00 526
A61B1/00 530
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022074185
(22)【出願日】2022-04-28
(62)【分割の表示】P 2018528286の分割
【原出願日】2016-12-05
(31)【優先権主張番号】PA201570803
(32)【優先日】2015-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(71)【出願人】
【識別番号】508158023
【氏名又は名称】3シェイプ アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ミーケ ファン デル プール
(72)【発明者】
【氏名】ルーネ フィスカ
(72)【発明者】
【氏名】カール-ヨーゼフ ホルレンベック
(57)【要約】
【課題】患者の各歯に対する歯部状態情報を導出し、且つ、斯かる情報をデジタル歯科カルテに記入する方法及びデジタルツールであって、手作業段階が更に少ないことから人的エラーを生じにくい方法及びデジタルツールに対する要望が在る。
【解決手段】患者の各歯に対する歯部状態情報を導出し、導出された歯部状態情報をデジタル歯科カルテに記入し、且つ、斯かる情報を含む電子データ記録を生成する方法及びデジタルツールが開示される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の各歯のデジタル3D表現物を獲得する段階と、
前記デジタル3D表現物における個々の前記各歯を識別する段階と、
前記デジタル3D表現物から個々の前記各歯をセグメント化する段階と、
前記各歯の内の1つ又は複数の歯に対する診断データを獲得する段階と、
前記診断データから歯部状態情報を導出する段階と、
導出された前記歯部情報を個々の前記各歯に対して相関させる段階と、
を含む、患者の各歯に対する歯部状態情報を導出する方法。
【請求項2】
前記診断データの少なくとも一部が、前記デジタル3D表現物に含まれる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
歯に対する前記歯部状態情報が、前記デジタル3D表現物のセグメント化された前記歯の部分に関する前記診断データの変化から導出される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記診断データの少なくとも一部が、患者の前記各歯の前記デジタル3D表現物に加えて獲得された診断データ群に含まれる請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項5】
当該方法が、前記デジタル3D表現物と、前記診断データ群の前記診断データとの間の空間的相関を決定する段階を含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記デジタル3D表現物と前記診断データとの間の前記空間的相関が、前記デジタル3D表現物の対応部分と前記診断データ群とを整列させることにより決定される請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記歯部状態情報が、識別された前記歯における状態の箇所を含む請求項1乃至6のいずれか一項以上に記載の方法。
【請求項8】
導出された前記歯部情報を、識別された前記各歯に対して相関させる前記段階が、前記歯における前記歯部状態の箇所を決定する段階を含む請求項4乃至7のいずれか一項以上に記載の方法。
【請求項9】
個々の前記各歯を識別する前記段階が、セグメント化された前記各歯を、歯データベースのデジタルテンプレート歯と比較する段階を含む請求項1乃至8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
獲得された前記デジタル3D表現物における前記各歯の識別が、予め獲得された患者の前記各歯のデジタル3D表現物に対して為された識別に基づく請求項1乃至9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記診断データが、歯の色データ若しくは歯のシェードデータのようなテクスチャデータ、蛍光データ、赤外線データ、X線データ、光干渉断層撮影データ、超音波データ、レーザスペックル画像、又は、対合歯同士の間における咬合接触を表すデータから成る群から選択されたデータを含む請求項1乃至10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
導出された前記歯部状態情報が、歯のシェード、歯の摩滅、カリエス、齲蝕原性細菌の存在、以前の歯科的治療に由来する詰め物の存在、酸蝕損傷、歯軋りにより引起こされた損傷、歯の配置、不正咬合、又は、歯肉後退から成る群から選択された情報に関連する請求項1乃至11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法を用いることにより前記各歯の内の1つ又は複数の歯に対する歯部状態情報を導出する段階と、
患者の前記各歯の表面を表す領域を含むデジタル歯科カルテを獲得する段階と、
個々の前記各歯を、前記デジタル歯科カルテの対応する前記領域に対して相関させる段階と、
導出された前記歯部状態情報の表現物を、前記デジタル歯科カルテの対応する1つ又は複数の前記領域に対して付加する段階と、
を含む、歯部状態情報をデジタル歯科カルテに記入する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概略的に、患者の各歯に対する歯部状態情報を導出すると共に、歯科カルテ(dental chart)に歯部状態情報を記入する方法、システム、コンピュータプログラム製品、及び、デジタル環境に関する。更に詳細には、本発明は、患者の各歯のデジタル3D表現物から個々の歯が識別されると共に、導出された歯部状態情報が個々の歯と相関される方法、システム、コンピュータプログラム製品及びデジタル環境に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科業務管理システムは、多くの場合、患者の歯科的状況に関する情報を記憶するために歯科カルテを使用する。斯かる歯科カルテは、患者の各歯の状態に関する情報を視覚化するための効率的ツールとして知られている。
【0003】
標準化された歯科カルテは、患者の口腔内において通常的に見出される個々の歯の表面を表す領域を有することが多い。斯かるカルテにおいては、通常、特定の歯の表面の各々に対して1つの特定領域が在る。上記歯科カルテ上にて、例えば、カリエス、歯科的修復治療箇所、歯根の不具合などを視覚化するために、異なる色、幾何学的図形、又は、他の視覚的表現が使用される。
【0004】
デジタル歯科カルテは、例えば、患者の各歯の走査内容からデジタル歯科カルテを生成すると共に、生成されたデジタル歯科カルテに歯部状態情報を記入する方法が開示される特許文献1からも知られている。
【0005】
先行技術のシステムにおいて、導出された歯部状態情報は、歯科業務管理システムにおいて使用される患者の各歯の標準化された/概略的な表現物上へと、手作業で注記/マッピング/転記される。このことは、時間が掛かると共に、例えば、情報が、歯の不適切な部分に対し、又は、不適切な歯に対してさえも注記され得るなどの人的エラーを生じ易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
故に、患者の各歯に対する歯部状態情報を導出し、且つ、斯かる情報をデジタル歯科カルテに記入する方法及びデジタルツールであって、手作業段階が更に少ないことから人的エラーを生じにくい方法及びデジタルツールに対する要望が在る。上記デジタルツールは、例えば、コンピュータシステム、コンピュータプログラム製品、又は、デジタル環境であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
患者の各歯のデジタル3D表現物を獲得する段階と、
上記デジタル3D表現物における個々の歯を識別する段階と、
上記デジタル3D表現物から個々の歯をセグメント化する段階と、
各歯の内の1つ又は複数の歯に対する診断データを獲得する段階と、
上記診断データから歯部状態情報を導出する段階と、
導出された歯部情報を個々の歯に対して相関させる段階と、
を含む、患者の各歯に対する歯部状態情報を導出する方法が開示される。
【0009】
上記デジタル3D表現物における各歯のセグメント化及び識別によれば、デジタル3D表現物のどの部分が患者の個々の歯に関するかが知られる。故に、デジタル3D表現物における個々の歯の配置も知られる。
【0010】
診断データとデジタル3D表現物との間の空間的相関も知られたとき、デジタル3D表現物における各歯のセグメント化及び識別によれば、上記診断データは、個々の歯と相関され得る。すなわち、いずれの歯に対して上記診断データが記録されたかが決定され得る。上記診断データと、上記デジタル3D表現物との間の空間的相関は、例えば、上記診断データが上記デジタル3D表現物に含まれたとき、又は、診断データの各部分をデジタル3D表現物の対応部分に整列させることにより該空間的相関が決定されたときに、知られる。上記診断データがデジタル3D表現物と空間的に相関されたとき、多くの場合、デジタル3D表現物の個々の歯と、診断データから導出された歯部状態情報との間の空間的相関も知られる。
【0011】
したがって、各歯のセグメント化及び識別によれば、導出された歯部情報は患者の個々の歯に対して関連付けられ得、すなわち、与えられた歯部状態情報が、どの歯に対して導出されたかが決定され得る。
【0012】
幾つかの実施例において、導出された歯部情報を、識別且つセグメント化された各歯に対して相関させる段階は、上記歯における歯部状態の箇所を決定する段階を含む。上記歯部状態情報は、そのとき、歯科カルテの上記領域上の正しい位置にマッピングされ得る。
【0013】
上記に説明されたように、歯部状態情報は、デジタル歯科カルテにおいて視覚化され得る。したがって、本明細書においては、
各実施例のいずれかに係る方法、システム、コンピュータプログラム製品、及び/又は、デジタル環境を用いることにより各歯の内の1つ又は複数の歯に対する歯部状態情報を導出する段階と、
患者の各歯の表面を表す夫々の領域を含むデジタル歯科カルテを獲得する段階と、
個々の歯を、上記デジタル歯科カルテの対応領域に対して相関させる段階と、
導出された歯部状態情報の表現物を、上記デジタル歯科カルテの単一又は複数の対応領域に対して付加する段階と、
を含む、歯部状態情報をデジタル歯科カルテに記入する方法も開示される。
【0014】
すなわち、上記方法、コンピュータプログラム製品、デジタル環境、及び、システムは、患者の個々の歯に対する歯部状態情報をデジタル歯科カルテに記入すべく構成され得る。
【0015】
標準化されたデジタル歯科カルテは、多くの場合、患者の口腔内に通常的に見出される個々の歯の表面を表す領域を有する。斯かるカルテには、通常、特定の歯の表面の各々に対して1つの特定領域が在る。上記デジタル3D表現物における個々の歯のセグメント化及び識別によれば、デジタル3D表現物の歯の部分は、デジタル歯科カルテの対応領域に対して関連付けられ得る。
【0016】
上記デジタル3D表現物と上記診断データとの間における空間的相関の知見によれば、導出された歯部状態情報が、どの歯に対して関連するかが知られる。故に、導出された歯部状態情報の表現物は、該歯部状態情報が導出された歯の表面を表す上記歯科カルテの正しい領域に対して付加され得る。
【0017】
導出された歯部状態情報がデジタル歯科カルテに対して付加されたとき、該デジタル歯科カルテは、例えば、カリエス、歯の表面における亀裂、又は、歯科的修復部のような少なくとも1つの歯科的状態に関する少なくとも一本の歯の現在状態を表現する。
【0018】
幾つかの場合、上記デジタル歯科カルテは、歯科業務管理システムにおいて記入且つ視覚化される。本明細書においては、歯科業務管理システムにおいて使用されるべく構成された電子データ記録を生成する方法も開示され、その場合、上記電子データ記録は、患者の個々の歯に対する歯部状態情報を含み、該方法は、
各実施例のいずれかに係る方法、システム、コンピュータプログラム製品、及び/又は、デジタル環境を用いることにより各歯の内の1つ又は複数の歯に対する歯部状態情報を導出する段階と、
識別された歯に対する歯部状態情報を、上記電子データ記録中に記憶する段階と、を含む。
【0019】
患者の各歯のデジタル3D表現物を獲得する段階と、
各歯の内の1つ又は複数の歯に対する診断データを獲得する段階と、
上記デジタル3D表現物の個々の歯を識別する段階と、
上記診断データから歯部状態情報を導出する段階と、
導出された歯部情報を、識別された個々の歯に対して相関させる段階と、
を含む方法が開示される。
【0020】
開示された方法の各段階を操作者が実施することを支援すべく構成されたデジタル環境が開示される。
【0021】
電子データ処理デバイスにより実行されたときに、開示された方法の各段階を実施するためのデジタル環境を提供するコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラム製品が開示される。
【0022】
電子データ処理デバイスと、
開示されたコンピュータプログラム製品によりコード化された持続的コンピュータ可読媒体と、
を有するシステムが開示される。
【0023】
幾つかの実施例において、上記方法、コンピュータプログラム製品、デジタル環境、又は、システムは、患者の個々の歯に対する歯部状態情報を導出するためのものである。
【0024】
幾つかの実施例において、上記方法、コンピュータプログラム製品、デジタル環境、又は、システムは、患者の個々の歯に対する歯部状態情報をデジタル歯科カルテに記入するためのものである。そのとき、上記方法は、導出された歯部状態情報を上記デジタル歯科カルテに記入する段階を含む。
【0025】
幾つかの実施例において、上記方法、コンピュータプログラム製品、デジタル環境、又は、システムは、歯科業務管理システムにおいて使用されるべく構成された電子データ記録を生成するためのものであり、その場合、上記電子データ記録は、患者の個々の歯に対する歯部状態情報を含む。そのとき、上記方法は、識別された各歯に対して導出された歯部状態情報を、上記電子データ記録中に記憶する段階を含む。
【0026】
幾つかの実施例において、上記方法は、上記デジタル3D表現物から個々の歯をセグメント化する段階を含む。
【0027】
デジタル3D表現物における個々の歯のセグメント化及び識別によれば、上記デジタル3D表現物の歯の部分は、上記デジタル歯科カルテの対応領域に対して関連付けられ得る。これにより、人的エラーが生じにくい、更に効率的で更に迅速な手順が提供される。
【0028】
患者の各歯のデジタル3D表現物と、各歯の内の1つ又は複数の歯に対する診断データとをデジタル環境中にロードするデジタルローディングツールと、
上記デジタル3D表現物及び/又は上記診断データを視覚化すべく適合化されたデジタル作業空間と、
上記デジタル3D表現物の個々の歯を識別するデジタル識別ツールと、
上記診断データから歯部状態情報を導出するデジタル導出ツールと、
導出された歯部情報を、識別された個々の歯に対して相関させるデジタル相関ツールと、
を含む、デジタル環境が開示される。
【0029】
幾つかの実施例において、上記デジタル環境は、上記デジタル3D表現物から個々の歯をセグメント化するデジタルセグメント化ツールを含む。
【0030】
幾つかの実施例において、上記デジタル環境は、導出された歯部状態情報をデジタル歯科カルテに記入するデジタル記入ツールを含む。
【0031】
デジタル作業空間を含むデジタル環境であって、
患者の各歯のデジタル3D表現物を獲得すると共に、該デジタル3D表現物をデジタル作業空間に表示し、
各歯の内の1つ又は複数の歯に対する診断データを獲得し、
方法の各段階であって、
上記デジタル3D表現物における個々の歯を識別する段階、
上記デジタル3D表現物から個々の歯をセグメント化する段階、
上記診断データから歯部状態情報を導出する段階、及び、
導出された歯部情報を個々の歯に対して相関される段階、
を含む方法の各段階を操作者が実施することを支援する、
ように構成されたデジタル環境が開示される。
【0032】
患者の各歯のデジタル3D表現物を獲得し、
上記デジタル3D表現物における個々の歯を識別し、
上記デジタル3D表現物から個々の歯をセグメント化し、
各歯の内の1つ又は複数の歯に対する診断データを獲得し、
上記診断データから歯部状態情報を導出し、且つ、
導出された歯部情報を、個々の歯に対して相関させる、
ように構成された、患者の各歯に対する歯部状態情報を導出すべく構成されたユーザインタフェースが開示される。
【0033】
患者の各歯に対する歯部状態情報を導出するシステムであって、該システムは、患者の各歯のデジタル3D表現物、及び、各歯の内の1つ又は複数の歯に対する診断データを獲得すべく構成され、且つ、該システムは、
上記デジタル3D表現物における個々の歯を識別し、
上記デジタル3D表現物から個々の歯をセグメント化し、
上記診断データから歯部状態情報を導出し、且つ、
導出された歯部情報を個々の歯に対して相関させる、
ためのコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラム製品によりコード化された持続的コンピュータ可読媒体を有するシステムが開示される。
【0034】
患者の各歯に対する歯部状態情報を導出するシステムであって、該システムは、
電子データ処理デバイスと、
上記電子データ処理デバイスにより実行されたときに、
i.患者の各歯のデジタル3D表現物を獲得する段階と、
ii.各歯の内の1つ又は複数の歯に対する診断データを獲得する段階と、
iii.上記デジタル3D表現物における個々の歯を識別する段階と、
iv.上記デジタル3D表現物から個々の歯をセグメント化する段階と、
v.上記診断データから歯部状態情報を導出する段階と、
vi.導出された歯部情報を個々の歯に対して相関させる段階と、
を含む方法により、各歯に対する歯部状態情報を導出するデジタル環境を提供するコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラム製品によりコード化された持続的コンピュータ可読媒体と、
を含む、システムが開示される。
【0035】
患者の各歯に対する歯部状態情報をデジタル歯科カルテに記入すべく構成されたユーザインタフェースであって、
患者の各歯のデジタル3D表現物を獲得し、
上記デジタル3D表現物における個々の歯を識別し、
上記デジタル3D表現物から個々の歯をセグメント化し、
各歯の内の1つ又は複数の歯に対する診断データを獲得し、
上記診断データから歯部状態情報を導出し、
導出された歯部情報を個々の歯に対して相関させ、
各歯の表面を表す領域を含むデジタル歯科カルテを獲得し、
個々の歯を、上記デジタル歯科カルテの対応領域に対して相関させ、且つ、
導出された歯部状態情報の表現物を、上記デジタル歯科カルテの上記対応領域に対して付加する、
ように構成されたユーザインタフェースが開示される。
【0036】
上記デジタル3D表現物は、患者の各歯の内の1つ又は複数の歯の立体的構成を表現する形状データを含む。各歯のセグメント化及び識別は好適には、少なくとも部分的に、これらの形状データに基づく。幾つかの場合、上記デジタル3D表現物は、患者の歯肉に対する形状データも含む。そのとき、歯肉状態情報は、歯部状態情報とは関わり無く、又は、その一部として導出され得る。
【0037】
上記デジタル3D表現物は、口腔内走査により、又は、患者の各歯の印象を、若しくは、印象などを用いて形成された各歯の物理的模型を走査することにより、獲得され得る。
【0038】
幾つかの走査技術は、歯の表面の形状、及び、歯の内側における内部構造を測定し得る。このことは、例えば、コーンビームコンピュータ断層撮影走査器のようなX線式の走査器、及び、光干渉断層撮影走査器に対する場合である。斯かる走査器は、歯の立体的構成に対する形状データ、及び、該歯における内部構造及び表面下の損傷と、カリエス及び歯科的修復部の存在とに関するデータの両方を含むデジタル3D表現物を提供し得る。
【0039】
幾つかの実施例において、上記診断データの少なくとも一部は、上記デジタル3D表現物内に含まれる。この実施例の1つの利点は、上記診断データと、上記デジタル3D表現物からセグメント化された歯の部分とが、既に相関されていることである。上記デジタル3D表現物中に上記診断データが含められたとき、それは多くの場合、セグメント化された各歯の立体的構成を表現する形状データと整列される。例えば、歯のシェードデータは、獲得されたデジタル3D表現物において、各歯に対する該シェードデータ及び形状データが厳密に相関されるように、形状データと同時に記録され得る。
【0040】
故に、診断データを上記デジタル3D表現物の形状データに対して整列させて、両者間の空間的相関を提供又は決定する付加的段階に対する必要性はない。この場合、デジタル3D表現物を獲得する段階、及び、診断データを獲得する段階は、一段階として実施され、すなわち、上記デジタル3D表現物及び診断データは、上記方法の同一段階において獲得される。上記診断データはまた、歯部状態が、例えば歯の摩滅又は歯肉後退に関連しており、該状態が形状データの解析から決定され得るようなときには、上記デジタル3D表現物の形状データでもあり得る。
【0041】
幾つかの実施例において、上記デジタル3D表現物は、形状データ、色又はシェードデータ、及び、蛍光データを含む。斯かるデジタル3D表現物は、(x、y、z、色データ、蛍光強度データ)の形態のデータを含み得る。此処で、(x、y、z)は、歯の表面上の点に対する空間における座標を表し、且つ、色データ及び蛍光強度データは、夫々、歯の表面の(x、y、z)点から測定された歯の色及び蛍光に関する情報を提供する。上記色データは、例えば、(RGB)座標において提供され得る。そのときに上記デジタル3D表現物は、(x、y、z、R、G、B、蛍光強度)の形態のデータを含む。
【0042】
幾つかの実施例において、患者の各歯の診断データ及びデジタル3D表現物は、診断データが最初はデジタル3D表現物の一部ではないように、異なるデバイスを用いて記録される。これは、例えば、デジタル3D表現物は、各歯の表面走査を提供する口腔内走査器を用いて記録される一方、診断データは、CBCT走査器を用いて記録されたデータのようなX線データである、という場合であり得る。
【0043】
幾つかの実施例において、上記診断データの少なくとも一部は、患者の各歯のデジタル3D表現物に加えて、獲得された診断データ群に含まれる。そのとき、歯部状態情報の少なくとも一部は、上記診断データ群から導出される。斯かる診断データ群は、例えば、診断データが、歯の表面に対して十分に厳密又は詳細な形状データを記録しない走査器から抽出されたとき、又は、診断データが、2D画像の形態で提供されたときに、使用され得る。診断データ群から獲得される診断データの他の例は、CBCTデータ、別体的に獲得された蛍光データ及びIRデータである。
【0044】
斯かる場合には、デジタル3D表現物と診断データとの間の空間的相関、すなわち、デジタル3D表現物と、診断データ群の診断データとの間の空間的相関を決定することが有用であり得る。上記相関は、例えば、上記デジタル3D表現物及び診断データを、正しい相対配置を以て共通座標系へともたらす変換として表現され得る。この相関を決定すると、診断データから導出された歯及び/又は歯肉の状態情報と、デジタル3D表現物の形状データとの間の空間的関係も決定される。このことは、例えば、導出された歯及び/又は歯肉の状態情報をデジタル歯科カルテ上へとマッピングするコンピュータプログラム製品を使用するときに有用である。
【0045】
上記空間的相関は、例えば、各基準マーカ、又は、目印識別に基づき、同一表面に関するデジタル3D表現物及び診断データの部分を整列させること、又は、例えば、反復最近接点アルゴリズムを用いて各表面を整列させることに基づいて、決定され得る。
【0046】
幾つかの実施例において、上記デジタル3D表現物は、各歯に対する形状データを含む第1のデジタル3D表現物、及び、診断データを含む第2のデジタル3D表現物から形成される。第1及び第2のデジタル3D表現物の間の空間的相関が決定されているとき、第1のデジタル3D表現物の形状データ、及び、第2のデジタル3D表現物の診断データの両方を含むデジタル3D表現物が形成され得る。
【0047】
導出された歯部状態情報と、デジタル3D表現物の識別された個々の歯との間の相関は、デジタル3D表現物と診断データ群との間において決定された空間的関係に基づき得る。
【0048】
上記デジタル3D表現物からの各歯のセグメント化によれば、好適に、個々の歯に対応するデジタル3D表現物の部分が、デジタル3D表現物の残りの部分から分離される。すなわち、個々の歯に関するデジタル3D表現物の各データは、相互から、且つ、患者の歯肉に関する部分のような、デジタル3D表現物の他の部分から、分離される。
【0049】
上記セグメント化段階は、各歯が識別される前、又は、後に実施され得る。もし、前に実施されるなら、識別は、セグメント化された各歯に基づき得る。もし、後に実施されるなら、識別セグメント化は、デジタル3D表現物の所定部分が、いずれの歯に関連するかの知見に基づき得る。
【0050】
上記セグメント化は、ユーザの相互作用あり、及び、なしの両方にて実現され得る。もしデジタル3D表現物が、コンピュータ画面のようなディスプレイにおいて視覚化されるなら、操作者は、コンピュータマウスのようなポインティングツールを使用して、デジタル3D表現物上の個々の歯の境界をマーク付けし得る。そのとき、デジタル3D表現物からの各歯のセグメント化は、マーク付けされた境界に基づき得る。上記セグメント化が、限られたユーザの相互作用なしで、又は、ありで、為され得るように、例えば、歯の表面から歯肉への遷移部、及び、隣接する歯に対する当該歯の接触箇所における該歯の境界を識別するために、コンピュータ式のアルゴリズムも適用され得る。
【0051】
上記診断データが、色データのようなテクスチャ(表面組織)データを含むとき、上記セグメント化は、少なくとも部分的に診断データにも基づき得る。例えば、歯肉における歯の境界は、各歯及び歯肉の色の違いから検出され得る。
【0052】
幾つかの実施例において、歯に対する歯部状態情報は、デジタル3D表現物のセグメント化された歯の部分に関する診断データの変化から導出される。
【0053】
上記診断データが上記デジタル3D表現物中に含まれるとき、該診断データは本来的に、各歯に対する形状データに対して関連付けられる。歯部状態が、歯から発せられた蛍光の局所的変化から導出された該歯の所定部分におけるカリエスの存在であるときのような、幾つかの場合、導出された歯部状態情報は、デジタル3D表現物の歯の部分に対して既に相関されている。
【0054】
幾つかの実施例において、上記診断データは各歯から記録された信号の強度を表し、且つ、歯の表面に亘る強度の変化は、例えば、カリエス、又は、既存の歯科的詰め物の存在を表す。歯部状態の存在は、該状態の箇所における信号の強度における増大又は減少のいずれによっても表され得る。
【0055】
健康な歯が、約405nmの波長を有する光により照射されたとき、該歯は、通常のエナメル質に典型的である500nmにおける広範囲な放出による蛍光を発する。各歯のカリエス感染領域においては、口腔内細菌中のポルフィリン化合物からの発光に起因する635nm及び680nmにおける付加的ピークが見られることが多い。すなわち、カリエスの存在は、歯の特定領域から記録された635nm及び680nmにおける蛍光信号が、歯の他の(健康な)部分からよりも強力であるか否かを測定することにより、検出され得る。そのとき、蛍光信号の増大された強度は、歯におけるカリエスの直接的な表現物を提供する。
【0056】
例えば、405nmの波長における光により照射された歯から500nmにて発せられた通常の蛍光の減少は、カリエスを備えた領域における散乱により引き起こされ得る。故に、更に弱い(約500nmの)蛍光信号の検出は、歯のその領域におけるカリエスの存在の徴侯であり得る。
【0057】
上記診断データは、歯部状態の空間分布を表現し得る。これは、診断データが、例えば、咬合表面上の特定領域におけるなどの歯の特定領域にて、該歯がカリエスにより攻撃されたことを示す蛍光データである場合であり得る。
【0058】
幾つかの実施例において、上記歯部状態情報は、歯における状態の箇所を含む。故に、導出された情報は、上記状態と、歯のいずれの部分が該状態により影響されているかとの両方を記述する。そのとき、カリエスの場合、歯部状態情報は、上記歯にはカリエスが存在すること、及び、それは、例えば上記歯の咬合表面上に配置されていることを記述する情報を含み得る。
【0059】
上記デジタル3D表現物及び/又は診断データが、患者の歯肉に対するデータを含むとき、上記方法は、歯肉の形状、色、各歯に対する空間的関係、又は、歯肉ポケットの深度のような、歯肉の状態に関する情報を導出する段階を含み得る。歯肉の形状、及び、各歯に対するそれの経時的な空間的関係を監視すると、歯肉後退を検出し、且つ、歯肉ポケットの深度増大を検出する手段が提供される。
【0060】
幾つかの実施例において、個々の歯を識別する段階は、セグメント化された各歯を、歯データベースのデジタルテンプレート歯と比較する段階を含む。これは可能である、と言うのも、異なる歯は異なる形状を有するからである(例えば、前側の歯は、後側の歯と同一形状を有さない)。与えられた大臼歯が患者の口腔の左側に属するか右側に属するかは、例えば、患者の各歯のデジタル3D表現物における対応データの箇所から決定され得る。
【0061】
各歯が識別されたとき、識別の結果はユーザインタフェースにおいて視覚化されることで、該識別が正しいことを操作者が確認することを許容し得る。
【0062】
幾つかの実施例において、各歯は、例えば、ユーザインタフェースにおける歯の群の視覚化物上のポインティングツールを用いて、操作者により手作業で識別される。歯科医又は操作者は、処置の間において各歯の視覚化物を参照することが多く、且つ、個々の歯の手作業での識別は、ディスプレイ上における各歯の視覚化物に関してポインティングツールを用いることで行われ得る。
【0063】
幾つかの実施例において、獲得されたデジタル3D表現物における各歯の識別は、予め獲得された患者の各歯のデジタル3D表現物に対して為された識別に基づく。この予め獲得されたデジタル3D表現物は、歯科医に対する以前の来訪の間において上記方法を適用し乍ら解析されていても良い。予めの解析は、現在の来訪の間に獲得されたデジタル3D表現物の歯の部分が、実際の形状と比較され得るように、特定の患者の各歯の実際の形状の知見を提供する。斯かる比較は、可能的に、歯データベースのテンプレート歯との比較よりも容易且つ正確である。
【0064】
幾つかの実施例において、識別された各歯の形状は、電子データ記録中に記憶される。これは、歯科医に対する次続的な来訪の間におけるように、上記方法の次続的な使用の間における各歯の識別が、患者の一群の歯の実際の形状に基づき得る、という利点を提供する。斯かる識別は、可能的に、例えば、各歯が標準的な歯形状との比較に基づいて識別される場合と比較して、相当に迅速であり、且つ、必要とする計算力は更に少ない。
【0065】
幾つかの実施例において、上記診断データは、歯の色データ又は歯のシェードデータのようなテクスチャデータ、蛍光データ、赤外線データ、X線データ、光干渉断層撮影データ、超音波データ、レーザスペックル画像、又は、対合歯同士の間における咬合接触を表すデータから成る群から選択されたデータを含む。基本的に、診断目的であると共に各歯の状態を表現するに適した任意の種類のデータが使用され得る。
【0066】
本開示内容に関連して、「蛍光データ」という語句は、歯の、又は、歯における蛍光物質を貫通し得る波長の光を含むプローブビームによる照射に応じて歯から発せられた蛍光信号を検出する蛍光測定により獲得されたデータを指している。励起は、如何なる物質が励起されるかに依存して、例えば、青又は緑の光を使用し得る。
【0067】
本開示内容に関連して、「赤外線データ」という語句は、例えば、解析される単一又は複数の歯を貫通する赤外線波長における光の透過率又は透過率変化が検出されるという赤外線走査器による赤外線測定により獲得されたデータを指している。歯を貫通して透過された赤外光の強度の変化は、例えば、歯科的詰め物、歯の表面における亀裂、又は、カリエスに起因し得る。
【0068】
対合歯との咬合接触は、例えば、噛合の間における各歯の相対運動を擬態する仮想咬合器を用いて決定され得る。咬合接触はまた、各歯上に色マークを残置する咬合紙を用いても記録され得る。各歯のデジタル3D表現物が、各歯の形状及び色の両方を記録する口腔内走査を用いて獲得されるなら、接触点は、上記デジタル3D表現物から導出され得る。導出された咬合接触は、次に、デジタル歯科カルテ上へとマッピングされ得る。
【0069】
上記X線データは、例えば、コーンビームコンピュータ断層撮影画像、又は、2DのX線画像の形態であり得る。
【0070】
幾つかの実施例において、導出された歯部状態情報は、歯のシェード、歯の摩滅、カリエス、齲蝕原性細菌の存在、以前の歯科的治療に由来する詰め物の存在、酸蝕損傷、歯軋りにより引起こされた損傷、歯の配置、不正咬合、又は、歯肉後退から成る群から選択された情報に関連する。
【0071】
歯の配置は、患者の各歯の配置における変化が監視される歯列矯正治療の一部として導出され得る。そのとき、治療の間において患者の各歯に対して導出された歯部状態情報、すなわち、歯の配置を記憶すると、歯列矯正医が、進展を視覚化すると共に、治療が計画されたように進展していることを確認するための強力なツールが提供される。
【0072】
酸蝕症又は歯軋りにより引き起こされた損傷は、エナメル質上の微細構造に関する情報を提供するレーザスペックル画像から検出され得る。斯かる損傷は、経時的な患者の各歯の形状の変化を監視するためにも検出され得る。
【0073】
微細構造の歯石上の齲蝕原性細菌又は破損の存在は、歯において進展しつつあるカリエスの指標であり得る。
【0074】
情報は、数本の歯に対し、且つ、幾つかの異なる歯科的状態に関して導出され得る。
【0075】
幾つかの実施例において、操作者は、導出された歯部状態情報をデジタル歯科カルテ上に手作業で注記する。
【0076】
幾つかの実施例において、上記方法は、患者の各歯の表面を表す領域を含むデジタル歯科カルテを獲得する段階と、上記歯科的状態情報が導出された単一又は複数の歯に対応するデジタル歯科カルテの単一又は複数の領域に対し、導出された歯部状態情報の表現物を付加する段階とを含む。
【0077】
幾つかの実施例において、上記デジタル歯科カルテは、歯の表面を表す領域を含み、すなわち、患者の一群の歯において通常的に見られる歯の各々に対し、デジタル歯科カルテは、その歯の表面を表す1つ以上の領域を有する。前側の歯に対し、上記デジタル歯科カルテは、各歯に対し、唇側表面を表す領域と、舌側表面を表す領域とを含み得る。後側の歯の各々に対し、上記デジタル歯科カルテは、頬側表面を表す領域と、舌側表面を表す領域と、咬合表面を表す領域とを含み得る。例えば、各犬歯の内の一本においてカリエスが検出されたなら、その歯にカリエスが存在することを歯科医に示す表現物が、この歯を表す歯科カルテの領域に対して付加される。
【0078】
幾つかの実施例において、上記デジタル歯科カルテは、各歯の異なる表面を表す領域を備えた2D歯科カルテを含む。そのとき、セグメント化された歯に対する診断データ、又は、導出された歯部状態情報は、デジタル歯科カルテにおける対応領域上へと投射され得る。上記領域は、例えば、デジタル歯科カルテにおける歯の頬側/唇側、咬合、又は、舌側の表面を表し得る。
【0079】
上記デジタル歯科カルテは、異なる歯を表す各領域が一般化された標準的な歯科カルテの形態であり得る。
【0080】
幾つかの実施例において、各領域は、デジタル歯科カルテが個人用の歯科カルテであるように、各歯の対応表面に基づいて形成され、その場合、歯科カルテの各領域は、患者の口腔における実際の状況にしたがって形状化、及び/又は、着色、及び/又は、配置される。
【0081】
幾つかの実施例において、導出された歯部状態情報をデジタル歯科カルテに付加する段階は、導出された情報の表現物を、デジタル歯科カルテ上にマッピングする段階を含む。そのときに上記歯部状態情報は、デジタル歯科カルテにおける正しい領域において視覚化される。
【0082】
幾つかの実施例において、上記診断データは、上記デジタル歯科カルテ上にマッピングされる。例えば、デジタル歯科カルテが、各領域上に投射された診断データを含む歯の表面の表現物を示すように、デジタル歯科カルテの各領域上にはシェードデータ又は蛍光データがマッピングされ得る。
【0083】
幾つかの実施例において、上記診断データはテクスチャデータを含むと共に、各歯の表面を表すデジタル歯科カルテの領域上には、上記テクスチャデータの表現物が投射される。
【0084】
上記デジタル歯科カルテに対しては、患者の歯肉の状態に関して導出された情報も付加され得る。歯肉状態情報が、デジタル歯科カルテ上へとマッピングされ得る。
【0085】
上記デジタル歯科カルテに対しては、複数のX線画像からの別体的な画像のように、手作業で導出された歯部状態情報が手作業で注記され得る。
【0086】
幾つかの実施例において、歯部状態情報はデジタル歯科カルテ上に、色コード、幾何学的又は文字的な記号、ベクトルマップ、又は、1つ以上の矢印を用いて表される。斯かる矢印は、デジタル歯科カルテが歯列矯正治療を監視すべく使用されるとき、前回におけるカルテ更新からの動きを表すべく使用され得る。
【0087】
故に、デジタル歯科カルテに記入する段階は、上記情報に対する記号を、デジタル歯科カルテの対応領域上へと投射する段階を含み得る。
【0088】
幾つかの実施例において、上記デジタル歯科カルテは、少なくとも部分的に上記デジタル3D表現物から形成される。
【0089】
このことは、診断データが各歯のデジタル3D表現物に含まれるときに利点を提供する、と言うのも、デジタル歯科カルテを形成するときに確立又は使用されたデジタル歯科カルテとデジタル3D表現物との間の相関は、導出された歯部状態情報又は診断データをデジタル歯科カルテ上へとマッピングするためにも使用され得るからである。
【0090】
幾つかの実施例において、上記デジタル歯科カルテは、開示された方法の各段階を提供するコンピュータプログラム製品の命令を実行すべく構成されたコンピュータシステム内へと歯科カルテテンプレートをロードすることにより獲得される。
【0091】
患者の各歯のデジタル3D表現物、及び、各歯の内の1つ又は複数の歯に対する診断データを、電子データ処理デバイスへとロードする段階と、
上記電子データ処理デバイスを用いてコンピュータプログラム製品を実行する段階であって、上記コンピュータプログラム製品は、
上記デジタル3D表現物における個々の歯を識別し、
上記デジタル3D表現物から個々の歯をセグメント化し、
上記診断データから歯部状態情報を導出し、且つ、
導出された歯部情報を、識別された個々の歯に対して相関させる、
ためのコンピュータ可読命令を含む、段階と、
を含む、患者の各歯に対する歯部状態情報を導出する方法が開示される。
【0092】
患者の各歯のデジタル3D表現物、及び、各歯の内の1つ又は複数の歯に対する診断データを、デジタル環境中へとロードする段階と、
上記デジタル環境において、
上記デジタル3D表現物における個々の歯を識別する段階、
上記デジタル3D表現物から個々の歯をセグメント化する段階、
上記診断データから歯部状態情報を導出する段階、及び、
導出された歯部情報を、識別された個々の歯に対して相関させる段階、
を実施する段階と、
を含む、患者の各歯に対する歯部状態情報を導出する方法が開示される。
【0093】
患者の各歯のデジタル3D表現物を獲得し、
各歯の内の1つ又は複数の歯に対する診断データを獲得し、且つ、
手順であって、
上記デジタル3D表現物における個々の歯を識別する段階、
上記デジタル3D表現物から個々の歯をセグメント化する段階、
上記診断データから歯部状態情報を導出する段階、及び、
導出された歯部情報を、識別された個々の歯に対して相関させる段階、
を含む手順により、患者の各歯に対する歯部状態情報を導出する、
ためのコンピュータ可読命令を含む、コンピュータプログラム製品が開示される。
【0094】
電子データ処理デバイスにより実行されたときに、
患者の各歯のデジタル3D表現物を当該デジタル環境中にロードする段階と、
上記デジタル3D表現物中の個々の歯を識別する段階と、
上記デジタル3D表現物から個々の歯をセグメント化する段階と、
各歯の内の1つ又は複数の歯に対する診断データを、上記デジタル環境中へとロードする段階と、
上記診断データから、歯部状態情報を導出する段階と、
導出された歯部情報を、識別された個々の歯に対して相関させる段階と、
を含む方法により、患者の各歯に対する歯部状態情報を導出するデジタル環境を提供するコンピュータ可読命令を含む、コンピュータプログラム製品が開示される。
【0095】
幾つかの実施例において、上記コンピュータ可読命令は、実行されたとき、識別、セグメント化、導出、及び、相関の各段階のような、上記方法の1つ以上の段階を実施する。
【0096】
ユーザインタフェースを含む仮想環境であって、
患者の各歯のデジタル3D表現物を獲得すると共に、該デジタル3D表現物をユーザインタフェースにおいて表示し、
各歯の内の1つ又は複数の歯に対する診断データを獲得し、且つ、
手順であって
i.上記デジタル3D表現物における個々の歯を識別する段階、
ii.上記デジタル3D表現物から個々の歯をセグメント化する段階、
iii.上記診断データから歯部状態情報を導出する段階、及び、
iv.導出された歯部情報を、識別された個々の歯に対して相関させる段階、
を含む手順により、患者の各歯に対する歯部状態情報をユーザが導出することを支援する、
ように構成された仮想環境を提供するコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラム製品が開示される。
【0097】
幾つかの実施例において、上記仮想環境は、上記診断データを、又は、上記診断データを含むデジタル診断データファイルを、ユーザインタフェース中に表示すべく構成される。
【0098】
開示されたコンピュータプログラム製品によりコード化された持続的コンピュータ可読媒体が開示される。
【0099】
幾つかの実施例において、上記電子データ記録は、歯科業務管理システムへとロードされるべく構成される。
【0100】
上記歯科業務管理システムはそのとき、好適には、該歯科業務管理システムが、例えば、導出された歯部状態情報をデジタル歯科カルテにおいて視覚化し得るように、上記電子データ記録から歯部状態情報を読取り得る。上記歯科業務管理システムはまた、ロードされた電子データ記録の歯部状態情報及び/又は歯肉状態情報を、先行する時点にて獲得された診断データから導出された情報と比較する様にも構成され得る。上記デジタル歯科カルテは、例えば、上記歯科業務管理システムのユーザインタフェースにおいて視覚化され得る。
【0101】
幾つかの実施例において、上記ユーザインタフェースは、デジタル歯科カルテの表示と、各歯のデジタル3D表現物の表示との間で切替えるべく構成される。上記デジタル歯科カルテは、例えば、患者の各歯の視認可能表面を視覚化する領域を備えた2D歯科カルテを含み得、その場合、導出された情報はこれらの領域上へとマッピングされる一方、デジタル3D表現物は、各歯から獲得された形状と、例えば、シェード又は蛍光データの両方を示す。
【0102】
これにより、歯科医のような操作者は、種々の概観を容易に切換えることで、種々の概観により提供される種々の知見に対して容易にアクセスし得る、という利点が提供される。
【0103】
種々の概観の切替えは、例えば、仮想的なプッシュボタンが他の任意で適切な様式で押圧又は起動されたときに、提供され得る。
【0104】
幾つかの実施例において、ユーザインタフェースは、導出された歯部情報が対応領域において視覚化されたデジタル歯科カルテの表示と、導出された情報が非表示とされたデジタル歯科カルテの表示との間で切替えるべく構成される。
【0105】
このことは、デジタル歯科カルテ上で、色又は歯のシェードのようなテクスチャデータが視覚化されたときに有用であり得る。そのとき、切替えによれば、歯部状態情報と干渉せずに、例えばシェードデータが明確に視認可能であるデジタル3D表現物を備えた1つの概観、及び、歯部状態情報を提供する別の概観が許容される。
【0106】
幾つかの実施例において、歯科カルテの1つの概観は、形状データのみと、当該デジタル3D表現物の各領域上へとマッピングされた歯部状態情報とを備えたデジタル3D表現物を含む。
【0107】
これにより、歯部状態情報が、デジタル3D視覚化物上に、但し、何らのテクスチャデータが該歯部状態情報と干渉せずに視認される、という利点が提供される。
【0108】
幾つかの実施例において、上記デジタル3D表現物が記録される間に、患者の各歯には咬翼フィルムが配置され、且つ、上記方法は、上記咬翼フィルムのデジタルモデルをデジタル3D表現物に整合させて、患者の各歯に対する咬翼フィルムの情報を導出する段階を含む。
【0109】
開示された実施例は、未記入のデジタル歯科カルテに対する歯及び歯肉の状態情報の付加、又は、患者に対する既存のデジタル歯科カルテの更新のいずれに対しても使用され得る。すなわち、獲得されるデジタル歯科カルテは、未記入のテンプレートデジタル歯科カルテであるか、又は、デジタル歯科カルテを生成すると、患者の各歯に対して更新されたデジタル歯科カルテが提供されるように、患者の各歯に対する診断データ又は歯部状態情報を既に含むべく先に記入されたデジタル歯科カルテであり得る。
【0110】
患者の各歯のデジタル表現物を獲得する段階と、
上記デジタル表現物における個々の歯を識別する段階と、
上記デジタル表現物から個々の歯をセグメント化する段階と、
各歯の内の1つ又は複数の歯に対する診断データを獲得する段階と、
上記診断データから歯部状態情報を導出する段階と、
導出された歯部情報を個々の歯に対して相関させる段階と、
を含む、患者の各歯に対する歯部状態情報を導出する方法が開示される。
【0111】
幾つかの実施例において、各歯のデジタル表現物は、各歯のデジタル2D表現物又はデジタル3D表現物を含む。
【0112】
更に、本開示内容は、当該コンピュータ可読命令がデータ処理システム上で実行されたときに、該データ処理システムにより、上記各実施例の内の任意の実施例に係る方法を実施させるコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラム製品、及び、上記コンピュータ可読命令が自身に記憶されたコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品に関する。
【0113】
コンピュータプログラムを自身に記憶した持続的コンピュータ可読媒体であって、上記コンピュータプログラムは、患者の各歯に対する歯部状態情報をコンピュータ支援式に導出すべく構成され、上記導出段階は、患者の個々の歯を識別すると共に、獲得されたデジタル3D表現物から個々の歯をセグメント化する段階と、各歯の内の1つ又は複数の歯に対して獲得された診断データから、個々の歯に対する歯部状態情報を導出する段階とを含む、持続的コンピュータ可読媒体が開示される。
【0114】
本発明は、上記及び以下において記述される方法、コンピュータプログラム製品、システム、デジタル環境、及び、ユーザインタフェース、及び、対応する方法、コンピュータプログラム製品、システム、及び/又は、ユーザインタフェースを含む種々の見地であって、各々が、最初に言及された見地に関して記述された利益及び利点の1つ以上をもたらし、且つ、各々が、最初に言及された見地に関して記述され、及び/又添付の各請求項に開示される実施例に対応する1つ以上の実施例を有する、という見地に関する。
【0115】
実施例
1.開示された各実施例の内のいずれか1つの実施例に係る方法を用いることにより、各歯の内の1つ又は複数の歯に対する歯部状態情報を導出する段階と、
各歯の表面を表す領域を含むデジタル歯科カルテを獲得する段階と、
識別され且つセグメント化された各歯を、上記デジタル歯科カルテの対応領域に対して相関させる段階と、
導出された歯部状態情報の表現物を、上記デジタル歯科カルテの単一又は複数の対応領域に対して付加する段階と、
を含む、歯部状態情報をデジタル歯科カルテに記入する方法。
【0116】
2.上記歯部状態情報を上記デジタル歯科カルテに対して付加する上記段階は、導出された情報の表現物を上記デジタル歯科カルテ上にマッピングする段階を含む、実施例1に係る方法。
【0117】
3.上記歯部状態情報は、色コード、幾何学的又は文字的な記号、ベクトルマップ、又は、1つ以上の矢印を用いて上記デジタル歯科カルテ上に表される、実施例1又は2に係る方法。
【0118】
4.上記デジタル歯科カルテは、少なくとも部分的に上記デジタル3D表現物から形成される、実施例1乃至3のいずれかに係る方法。
【0119】
5.上記診断データはテクスチャデータを含み、且つ、該テクスチャデータの表現物は、各歯の表面を表す上記デジタル歯科カルテの領域上へと投射される、実施例1乃至4のいずれかに係る方法。
【0120】
6.上記デジタル歯科カルテは、各歯の異なる表面を表す領域を備えた2D歯科カルテを含み、且つ、セグメント化された歯に対する診断データ又は導出された歯部状態情報は、上記デジタル歯科カルテにおける対応領域上に投射される、実施例5に係る方法。
【0121】
7.開示された各実施例の内のいずれか1つの実施例の方法を用いることにより、各歯の内の1つ又は複数の歯に対する歯部状態情報を導出する段階と、
識別された各歯に対する歯部状態情報を、上記電子データ記録中に記憶する段階と、
を含む、歯科業務管理システムにおいて使用されるべく構成された、患者の個々の歯に対する歯部状態情報を含む電子データ記録を生成する方法。
【0122】
8.セグメント化され且つ識別された各歯に対する形状データは、上記電子データ記録中に記憶される、実施例7に係る方法。
【0123】
9.上記電子データ記録は、歯科業務管理システム中にロードされるべく構成される、実施例7又は8に係る方法。
【0124】
10.患者の各歯のデジタル3D表現物を獲得し、
上記デジタル3D表現物における個々の歯を識別し、
上記デジタル3D表現物から個々の歯をセグメント化し、
各歯の内の1つ又は複数の歯に対する診断データを獲得し、
上記診断データから歯部状態情報を導出し、
導出された歯部情報を個々の歯に対して相関させる、
ように構成された、患者の各歯に対する歯部状態情報を導出すべく構成された仮想環境。
【0125】
11.上記歯部状態情報は、色コード、幾何学的又は文字的な記号、ベクトルマップ、又は、1つ以上の矢印を用いて上記デジタル歯科カルテ上に視覚化される、実施例19に係る仮想環境。
【0126】
12.当該仮想環境は、上記デジタル歯科カルテの表示と、上記デジタル3D表現物の表示との間で切替わるべく構成される、実施例20に係る仮想環境。
【0127】
13.当該仮想環境は、導出された歯部情報が対応領域に視覚化されたデジタル歯科カルテの表示と、導出された情報が非表示とされたデジタル歯科カルテの表示との間で切替わるべく構成される、実施例20又は21に係る仮想環境。
【0128】
本発明の上記の及び/又付加的な目的、特徴及び利点は、添付図面を参照した本発明の実施例に関する以下の例示的で非限定的である詳細な説明により更に明らかとされよう。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【
図1】歯部状態情報を記録するために使用される歯科カルテを示す図である。
【
図5】実施例に係るユーザインタフェースシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0130】
以下の説明においては、本発明が如何にして実施され得るかを例示的に示す添付図面が参照される。
【0131】
図1は、歯部状態情報を記録するために使用される歯科カルテを示している。
【0132】
この歯科カルテ100は、各々の歯の表面及び根元を表す標準化領域を有している。例えば、歯科カルテ100は、歯番号32の舌側表面、咬合表面及び頬側表面を夫々表す領域101、102及び103を有する一方、領域104は、その歯の根元を表す。
【0133】
各歯の表面を表す領域は、
図1において視認されるよりも更に歯を擬態すべく形状化されるか、又は、更に概略的であり得る。殆どの歯科カルテは、
図1に示されたカルテにおいても視認されるように、人間の口腔内において通常的に見出される全ての歯に対する領域を有している。
【0134】
患者の各歯に対して導出された歯部状態情報を視覚化するために、異なる記号が使用され得る。
図1の歯科カルテにおいては、とりわけ、ドット105で満たされたリングにより記号化された歯11における複合材料の詰め物が在る。
【0135】
斯かる歯科カルテは、数十年に亙り紙面形態で知られていると共に、デジタル歯科カルテが使用される多くのデジタル式の歯科業務管理システムの一部でもある。
【0136】
図2は、実施例に対するフローチャート210の概要を示している。
【0137】
ステップ211においては、患者の各歯の立体的構成を記述する形状データを備えた該歯のデジタル3D表現物が獲得される。上記デジタル3D表現物は、3shape社(3shape A/S)により製造されたTRIOS口腔内走査器のような口腔内走査器を用いて、又は、上記歯の印象を、若しくは、該印象から歯が製造されたなら物理的模型を走査することにより、記録され得る。
【0138】
上記デジタル3D表現物は、該デジタル3D表現物の残りの部分から個々の歯を識別してセグメント化するコンピュータ可読命令を有するコンピュータプログラム製品によりコード化された持続的なコンピュータ可読媒体を有するデータ処理システム内へとロードされる(ステップ212)。これらの機能作用によれば、個々の歯のデジタルモデルが獲得されると共に、対応する歯番号が与えられる。
【0139】
歯の識別は、上記データ処理システムにより実行される歯認識アルゴリズムにより取扱われ得るものであり、その場合、個々の歯のデジタルモデルは、例えば、対象者の口腔内において通常的に見出される種々の形式の歯に対して標準化された歯のCADモデルと比較される。上記識別はまた、歯の付番に対する基準を提供する患者の正中面に跨る対称性にも基づき得る。
【0140】
ステップ213においては、上記歯に対する診断データが獲得される。該診断データは、例えば、色データ、シェードデータ、蛍光データ、赤外線データ、コーンビームコンピュータ断層撮影(CBCT)データ、及び、咬合接触データであり得る。
【0141】
図2は、デジタル3D表現物211及び診断データ213を獲得する段階を、別体的なステップとして示している。しかし、このことは必ずしも真実ではない、と言うのも、幾つかの診断データは、デジタル3D表現物の一部として、すなわち、ステップ211及び213の作用が1つの単一のステップにおいて実施されるように、獲得され得るからである。例えばTRIOS 3口腔内走査器のような口腔内走査器が、色を記録するために設定されるなら、色又はシェードのデータの形態の診断データが、デジタル3D表現物の形状データと同時に記録され得る。そのとき、獲得されたデジタル3D表現物は、上記歯に対する形状データ及び診断データの両方を含む。
【0142】
上記診断データは、データ処理システムにもロードされると共に、ステップ214においては、獲得された診断データから歯部状態情報が導出される。歯部状態情報を導出するための解析は、診断データの特性と、導出されつつある情報とに依存する。
【0143】
診断データが蛍光データである場合、導出された情報は、例えば、患者の歯の一部におけるカリエス若しくは齲蝕(うしょく)原性細菌の存在、又は、詰め物若しくは歯科的修復部の存在に関連し得る。齲蝕原性細菌は、405nmの波長におけるプローブ光による励起に応じて600nm超の波長における蛍光信号を発するポルフィリン化合物を生成する。もし、歯の表面の一部上にポルフィリン化合物が存在するなら、歯の表面のその部分からは更に強力な蛍光信号が在ると共に、齲蝕原性細菌は蛍光の強度の局所的増大から検出される。
【0144】
上記蛍光データは、歯の表面から反射されたプローブ光に基づく形状データを検出すると共に、更に長い波長の蛍光信号を同時に記録する走査器を用いて、上記デジタル3D表現物の一部として記録され得る。このことは、上記プローブ光が、青色LED、又は、405nmの波長にて光を発するレーザにより提供されると共に、走査器の検出器が、反射光及び蛍光信号を区別するためにBayerフィルタを適用するならば、実現され得る。その場合、蛍光データは反射光と同時に記録され得ると共に、記録されたデジタル3D表現物は、形状データ及び蛍光データの両方を含む。
【0145】
上記診断データの解析は、例えば、上記方法の各段階を当該操作者が実施することを支援すべく設定されたユーザインタフェースにおいて、該診断データの視覚化に基づき、操作者により行われ得る。例えば、上記ユーザインタフェースには、患者の各歯に対する赤外線データの形態の診断データが呈示され得ると共に、操作者は、赤外光を散乱する歯の区画を、例えば、カリエスとして、又は、歯のエナメル質における破損として識別し得る。
【0146】
上記解析はまた、例えば、歯の全体に亘る診断データの強度の変化を検出する命令を有するコンピュータプログラム製品によっても実施され得る。例えば、エナメル質における破損による赤外光の散乱は、送出された赤外光の局所的に更に弱い強度を引き起こす。斯かる局所的な強度極小値の存在及び位置は、コンピュータプログラム製品により導出され得ることで、解析された診断データからは歯部状態情報が導出される。
【0147】
ステップ215においては、デジタル歯科カルテが獲得される。これは、歯科業務管理システムのデータベースから獲得されると共に、診療所に対する患者の最初の来訪時の歯部状態情報の記録に対する未記入テンプレートであり得るか、又は、それは、診療所における以前の一回以上の来訪時における斯かる情報が既に記入されたデジタル歯科カルテであり得る。上記デジタル歯科カルテは、
図1に示されたものと同様に、患者の各歯の標準化表現物を有し得る。
【0148】
ステップ216において、獲得されたデジタル歯科カルテには、導出された歯部状態情報が記入される。上記情報が、上記デジタル3D表現物と空間的に相関された診断データから導出されているとき、すなわち、デジタル3D表現物の診断データ及び形状データの空間的相関が既知であるとき、導出された情報は、上記デジタル歯科カルテの対応する領域上へと即時に投射され得る。この空間的相関が確立されないならば、操作者は、例えばコンピュータマウスを用いて、歯部状態情報が歯科カルテの歯の領域の何処に付加されるべきかを表して、導出された情報をデジタル歯科カルテ上に手作業で注記することも可能である。もし、診断データから、炎症の存在又はポケットの深さのような、歯肉状態情報が導出されているなら、この情報もまた、デジタル歯科カルテに対して付加され得る。
【0149】
ステップ211乃至214は、歯部状態情報を導出する方法に関するのみである一方、ステップ211乃至216は、歯部状態情報を導出すると共に、導出された情報をデジタル歯科カルテに記入する方法に関する。
【0150】
各ステップは、患者の各歯のデジタル3D表現物、1つ又は複数の歯に対する診断データ、及び、デジタル歯科カルテを受信且つ記憶し得る持続的コンピュータ可読媒体を有するシステムにより実施され得る。上記媒体上には、歯部状態情報を導出すると共に、導出された歯部状態情報をデジタル歯科カルテに記入するための命令を有するコンピュータプログラム製品も記憶される。記入されたデジタル歯科カルテのグラフ表現物は、上記システムの表示ユニット上に表示され得る。斯かるシステムは、
図4に関して記述される。
【0151】
図3は、歯部状態情報を導出すると共に、導出された情報をデジタル歯科カルテに記入する各ステップを示している。
【0152】
図3Aは、獲得されたデジタル3D表現物320の概要を示している。該デジタル3D表現物は、操作者に対し、コンピュータ画面のようなディスプレイ上に呈示されたデジタル作業空間において視覚化され得る。デジタル3D表現物320は、歯肉321の一部と、患者の上顎の6本の前歯、すなわち、汎用歯番号付けシステム(Universal tooth numbering system)における歯番号6~番号11との表面に対する形状データを有している。歯の立体的構成を表現する形状データに加え、デジタル3D表現物320は、蛍光データの形態の診断データも提供する。上記蛍光データは、患者の上顎中切歯324及び上顎側切歯325上の2つの区画322において、相当に強力な強度を有する。上記蛍光データは、例えば、405nmにおける光によりポルフィリン化合物が励起されたとき、これらから600nm超の波長にて発せられた蛍光に由来し得る。上述されたように、ポルフィリン化合物は、齲蝕原性細菌が存在することを表している。
【0153】
上記デジタル3D表現物は、患者の各歯を照射する青色LEDを用いて口腔内走査器により獲得され得る。上記歯の立体的構成は、歯の表面から反射された青色光から導出され得る一方、歯部状態情報は、上記青色光に応じて感染領域322における蛍光物質により発せられた赤色光から導出される。これにより、蛍光データ、すなわち、診断データが、形状データと同時に獲得され、且つ、該蛍光データは、デジタル3D表現物の一部なので、上記歯に対する形状データに対して空間的に相関される。
【0154】
図3Bは、上顎中切歯が自身からセグメント化された、獲得済みのデジタル3D表現物320を示している。セグメント化された部分は、図中において点線として示された上顎中切歯(歯番号8)のデジタルモデル327を形成する。上記デジタル3D表現物からの歯のセグメント化は、各歯に対する表面の境界の検出を伴う。歯肉における境界は、上記デジタル3D表現物の形状データ、又は、該デジタル3D表現物の色データに基づいて検出され得る。上記セグメント化は、上記デジタル3D表現物における各境界を検出すべく設定された命令を有するコンピュータプログラム製品により、又は、上記デジタル3D表現物上に各境界をマーク付けする操作者により、実施され得る。コンピュータアルゴリズムにより検出された各境界はまた、検出された各境界が正しいことを操作者が確認し得るように、デジタル作業空間においても視覚化され得る。
【0155】
個々の歯は、上記デジタル3D表現物から識別を行うべく設定されたコンピュータプログラム製品を用いて識別される。このことは、セグメント化された各歯の形状の解析に基づき、及び/又、各歯の標準的な形状及び相対サイズを記述するテンプレート歯との比較により、実現され得る。もし、上記デジタル3D表現物が、各中切歯に対する形状データを有するなら、これらの中切歯は、それらの対称性と、これらの中切歯に対する残りの歯の通常の位置に基づいて識別された該残りの歯とに基づいて検出され得る。
図3Bにおいて、セグメント化された歯は、汎用歯番号付けシステムを用いて歯番号8として識別される。コンピュータプログラム製品を用いる代わりに、操作者は、例えば、デジタル作業空間に関してポインティングツールを用いて各歯を手作業で識別し得る。
【0156】
上記デジタル3D表現物の一部として、蛍光データが獲得されたときには、該蛍光データと形状データとの間の空間的相関が知られる。もし、上記蛍光データの解析により、上顎中切歯324及び上顎側切歯325の切縁における区画322のような、各歯の幾つかの区画から記録された蛍光信号が、各歯の他の部分からの蛍光信号よりも相当に強力であることが結論付けられたならば、これらの区画には齲蝕原性細菌が存在する虞れがあることが結論付けられる。すなわち、蛍光データに基づき、上記システム又は操作者は、上顎中切歯324及び上顎側切歯325上の区画322においては、カリエスが存在し又は進展しつつある、歯部状態情報を導き出す。導出された情報は、
図3Cに示されたように、セグメント化された歯327のデジタルモデル上の記号330を用いて視覚化される。
【0157】
図3Dは、
図1において記述されたものと同様にデジタル歯科カルテ332の対応領域上に投射された上顎の中切歯及び側切歯に対して導出された歯部状態に対する記号330、331を示している。これにより記入されたデジタル歯科カルテは、記憶されると共に、例えば、歯科診療所に対する次の来訪時に吟味されることで、前回の来訪から何が変化したかが決定され得る。
【0158】
図4は、実施例に係るシステムの概要を示している。システム440は、コンピュータ可読媒体442と、マイクロプロセッサ443の形態の電子データ処理デバイスとを備えたコンピュータデバイス441を有する。上記システムは更に、視覚的ディスプレイユニット444と、操作者が上記コンピュータシステムの機能性を利用することを許容する少なくとも一台のアクセスデバイス及び/又はインタフェースとを有する。上記アクセスデバイス及び/又はインタフェースとしては、限定的なものとしてでは無く、キーボード、マウス、タッチスクリーン、スタイラス、ジョイスティック、ライトペン、トラックボール、音声対話機能、3次元グローブ、ソリッド3次元マウスボール、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)、ディスプレイ画面、プリンタ、及び、他の公知の入力又は出力デバイス及びインタフェースが挙げられる。
図4において、アクセスデバイスは、データを入力し、且つ、視覚的ディスプレイユニット444上に視覚化されたユーザインタフェースの仮想ボタンを起動するための、コンピュータキーボード445及びコンピュータマウス446である。視覚的ディスプレイユニット444は、例えば、コンピュータ画面であり得る。コンピュータデバイス441は、いずれもがコンピュータ可読媒体442に記憶され且つ処理のためにマイクロプロセッサ443に対してロードされ得る患者の各歯のデジタル3D表現物及び診断データを獲得し得る。上記デジタル3D表現物は、3Shape TRIOS社(3Shape TRIOS A/S)により製造されたTRIOS 3口腔内走査器のような、各歯の形状及び色の両方を記録し得る3Dカラー走査器450から獲得され得る。
【0159】
上記コンピュータシステムは、獲得されたデジタル3D表現物が、自動的に、又は、操作者の指令に応じて操作され得る各方法段階の実行に対処している。上記コンピュータは、多様な種々のソフトウェアアプリケーションを実行し得る汎用コンピュータ、又は、特定の機能に限定された専用デバイスであり得る。幾つかの実施例において、上記コンピュータは、複数台のコンピュータデバイスのネットワーク又は他の構成である。上記コンピュータは、任意の形式、台数、形態又は構成の、プロセッサ、システムメモリ、コンピュータ可読媒体、周辺機器、及び、オペレーティングシステムを含み得る。一実施例において上記コンピュータはパーソナルコンピュータ(PC)を含み、これは、デスクトップ、ラップトップ、タブレットPCの形態、又は、他の公知の形態のパーソナルコンピュータであり得る。
【0160】
診断データは、赤外線データ及びCBCTデータを夫々記録する赤外線走査器及びCBCT走査器のような、種々の形式の診断デバイス451を用いて記録され得る。記録されたデータは、コンピュータ可読媒体442内にロードされると共に、マイクロプロセッサ443を用いて解析されることで、患者の各歯に対する歯部状態情報が導出される。
【0161】
患者に対して予め記録されたデータを含むデジタル歯科カルテは、コンピュータ可読媒体442に記憶され、そこから、マイクロプロセッサ443へとロードされると共に、歯科医が患者の歯科履歴を思い出し得るまでのように、視覚的ディスプレイ444上に視覚化され得る。
【0162】
システム441は、操作者が、デジタル3D表現物及び診断データを、解剖学的に正しい配置を最適に反映する空間的配置にしたがって配置すること許容すべく構成される。このことは、デジタル3D表現物と診断データとの間の空間的相関が必要であるが未知であるときに該当する。これは、例えば、診断データが、デジタル3D表現物から独立して記録されたCBCTデータである場合であり得る。上記デジタル3D表現物及び診断データは、例えばコンピュータマウスを用いて、視覚的ディスプレイユニット444上のデジタル3D表現物及び診断データの視覚化物をドラッグ又は回転することで、相互に対して3次元で移動され得る。操作者が相対配置に満足したとき、該操作者はユーザインタフェースにおける仮想的なプッシュボタンを起動すると共に、上記空間的関係はコンピュータ可読媒体442に記憶される。
【0163】
コンピュータ可読媒体442には、診断データを解析して患者の各歯に対する歯部状態情報を導出する命令を有するコンピュータプログラム製品も記憶される。
【0164】
コンピュータ可読媒体442は更に、デジタル3D表現物からの各歯のセグメント化、及び、個々の歯の識別のためのコンピュータプログラム製品を記憶する。デジタル3D表現物に対して適用されたとき、結果は、対応する歯番号が既知である個々の歯のデジタルモデルである。これらのデジタルモデルは、コンピュータ可読媒体442における患者の電子原簿内にデジタル歯科カルテと共に記憶され、且つ、次の来訪において、該来訪においてデジタル3D表現物内に記録される個々の歯の識別のために再使用され得る。
【0165】
デジタル3D表現物と診断データとの間の空間的相関が既知であるときには、与えられた歯部状態情報が、いずれの単一又は複数の歯に対して導出されるかも既知である。故に、歯部状態情報が一旦導出されたなら、それは、視覚的ディスプレイユニット444において視覚化されたデジタル歯科カルテ上へと投射され得る。これにより、歯科医は、患者の歯科的状況を評価すると共に、一切の問題を処理するためにいずれの治療が適用され得るかを決定するために有用なツールを獲得する。
【0166】
図5は、実施例に係るデジタル環境のデジタル作業空間の概要を示している。
【0167】
デジタル作業空間555の第1部分557においては、デジタル3D表現物からセグメント化された歯527が示される。歯部状態情報530は、獲得された診断データから導出されていると共に、上記セグメント化された歯上に視覚化される。デジタル作業空間555の第1部分557には、デジタル歯科カルテ560も視認される。操作者が、導出された歯部状態情報を確認したとき、該情報に対する記号は、仮想的なプッシュボタン561を起動することにより、デジタル歯科カルテ560上へと投射され得る。上記仮想的なプッシュボタンは、例えば、コンピュータマウスボタンを用いることにより起動され得る。同一のマウスボタンは、それを行うことを操作者が望むなら、上記歯を表すデジタル歯科カルテの領域上の記号の位置を調節するためにも使用され得る。
【0168】
上記デジタル作業空間の第2部分558は、例えば、患者の歯科的状況に関する歯科医のコメントを入力し、どの診断データを解析するかを選択し、且つ、上記歯部状態情報が記録されるべきデジタル歯科カルテを選択するためのデータ入力区画562、563を含む。
【0169】
上記デジタル作業空間は、開示された方法を実現すべく構成されたシステムの一部であるコンピュータ画面のような視覚的ディスプレイユニット上に視覚化され得る。
【0170】
図5に示されたデジタル環境及び作業空間は、該デジタル作業空間内に表示され得る1つ以上のデジタルツールを含む。これらのデジタルツールによれば、操作者は、例えばデータを入力することによりデジタル環境と対話し、且つ、識別、セグメント化、導出及び相関の各ステップの内の少なくとも1つのステップにおける要素であることが許容される。
図5においては、これらのツールの1つが、仮想的なプッシュボタン561として具現されている。起動されたとき、上記仮想的なプッシュボタンは、導出された歯部状態情報を上記デジタル歯科カルテに記入する命令の実行を引き起こす。デジタル3D表現物から個々の歯をセグメント化して識別するデジタルツールは、各歯の自動的なセグメント化及び識別を許容するコンピュータプログラム製品の命令により具現され得る。
【0171】
幾つかの実施例が詳細に記述して示されてきたが、本発明は、それらに制限されるのではなく、以下の各請求項において定義された主題の有効範囲内で、他の様式でも具現され得る。特に、本発明の有効範囲から逸脱せずに他の実施例が利用され得ると共に、構造的及び機能的な改変が為され得ることは理解される。
【0172】
幾つかの手段を列挙するデバイス請求項において、これらの手段の幾つかは、全く同一のハードウェアにより具現され得る。幾つかの手段が、相互に異なる従属請求項において記述され、又は、異なる実施例において記述されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが効果的に使用され得ないことを表してはいない。
【0173】
請求項は、先行請求項のいずれかを参照することがあり、且つ、「いずれか」という表現は、先行請求項の「いずれか一項以上」を意味すると理解される。
【0174】
本明細書において使用されたとき、「含む/含んでいる」という語句は、述べられた特徴、整数、段階又は構成要素の存在を指定すると解釈されるが、1つ以上の他の特徴、整数、段階、構成要素、又は、それらの群の存在若しくは付加を排除しないことが強調されるべきである。
【0175】
上記において、及び、以下において記述される方法の特徴は、ソフトウェアにおいて実現され得ると共に、データ処理システム上で、又は、コンピュータ実行可能命令の実行により引き起こされる他の処理手段上で実施され得る。上記命令は、記憶媒体から、又は、コンピュータネットワークを介して他のコンピュータから、RAMのようなメモリ内にロードされたプログラムコード手段であり得る。代替的に、記述された特徴は、ソフトウェアの代わりの、又は、又は、ソフトウェアと組み合わされた、ハード結線された回路機構により実現され得る。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の各歯に対する歯部状態情報を導出すると共にデジタル歯科カルテに記入するように構成された仮想環境であって、
患者の各歯のデジタル3D表現物を獲得し、
前記デジタル3D表現物における個々の前記各歯を識別し、
前記デジタル3D表現物から個々の前記各歯を自動的にセグメント化して、前記デジタル3D表現物からの前記各歯のセグメント化が、個々の前記各歯に対応する前記デジタル3D表現物の部分を、前記デジタル3D表現物の残りの部分から分離することを含み、
前記各歯の内の1つ又は複数の歯に対する診断データを獲得し、
前記診断データから前記各歯の内の1つ又は複数の歯の特定箇所についての歯部状態情報を導出し、
前記各歯の内の1つ又は複数の歯の前記特定箇所についての導出された前記歯部状態情報を個々の前記各歯に対して相関させ、
導出された前記歯部状態情報を、前記デジタル歯科カルテに対し、前記デジタル歯科カルテの対応領域における対応する前記特定箇所に対して記入して、記入された前記デジタル歯科カルテのグラフ表現物が当該仮想環境のディスプレイユニット上に表示される、
ように構成された仮想環境。
【請求項2】
前記診断データ及び/又は前記診断データを含むデジタル診断データファイルをユーザインタフェース中に表示するように構成された請求項1に記載の仮想環境。
【請求項3】
前記歯部状態情報が、色コード、幾何学的又は文字的な記号、ベクトルマップ、又は、1つ以上の矢印を用いて前記デジタル歯科カルテ上に視覚化される請求項1又は2に記載の仮想環境。
【請求項4】
前記デジタル歯科カルテの表示と前記デジタル3D表現物の表示との間で切替えるべく構成された請求項1に記載の仮想環境。
【請求項5】
種々の概観の前記切替えが、仮想的なプッシュボタンを起動させると提供される請求項4に記載の仮想環境。
【請求項6】
導出された前記歯部状態情報が対応領域に視覚化された前記デジタル歯科カルテの表示と、導出された前記歯部状態情報が非表示とされた前記デジタル歯科カルテの表示との間で切替わるべく構成された請求項1に記載の仮想環境。
【請求項7】
前記デジタル3D表現物から自動的にセグメント化された各歯を視覚化するように構成されたデジタル作業空間を含み、導出された前記歯部状態情報が、前記セグメント化された各歯上に視覚化される請求項1乃至6のいずれか一項に記載の仮想環境。
【請求項8】
前記デジタル作業空間が、前記デジタル歯科カルテを視覚化するように構成され、前記セグメント化された各歯上に視覚化された前記歯部状態情報が、前記視覚化されたデジタル歯科カルテ上へ投射されるように構成されている請求項7に記載の仮想環境。
【請求項9】
前記セグメント化された各歯の導出された前記歯部状態情報が、ユーザによる仮想的なプッシュボタンの起動によって視覚化された前記デジタル歯科カルテ上へ投射される請求項8に記載の仮想環境。
【請求項10】
ユーザインタフェースを含む仮想環境であって、
患者の各歯のデジタル3D表現物を獲得し、且つ、ユーザインタフェースに前記デジタル3D表現物を表示し、
前記各歯の内の1つ又は複数の歯に対する診断データを獲得し、
手順であって、
i.前記デジタル3D表現物における個々の前記各歯を識別する段階と、
ii.前記デジタル3D表現物から個々の前記各歯を自動的にセグメント化する段階であって、前記前記デジタル3D表現物からの前記各歯のセグメント化が、個々の前記各歯に対応する前記デジタル3D表現物の部分を、前記デジタル3D表現物の残りの部分から分離することを含む段階と、
iii.前記診断データから前記各歯の内の1つ又は複数の歯の特定箇所についての歯部状態情報を導出する段階と、
iv.前記各歯の内の1つ又は複数の歯の前記特定箇所についての導出された前記歯部状態情報を個々の前記各歯に対して相関させる段階と、
を含む手順によって患者の前記各歯の歯部状態情報をユーザが導出することを支援する、
ように構成された仮想環境を提供するコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項11】
前記手順が、導出された前記歯部状態情報を、デジタル歯科カルテに対し、前記デジタル歯科カルテの対応領域における対応する前記特定箇所に対して記入する段階を含む請求項10に記載のコンピュータプログラム製品。
【外国語明細書】