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特開2022-122881誘導加熱されるマイクロチャネル反応器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122881
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】誘導加熱されるマイクロチャネル反応器
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/24 20060101AFI20220816BHJP
   B01J 23/75 20060101ALI20220816BHJP
   C01B 3/22 20060101ALI20220816BHJP
   H01M 8/0606 20160101ALI20220816BHJP
【FI】
B01J19/24 A
B01J23/75 M
C01B3/22 Z
H01M8/0606
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080133
(22)【出願日】2022-05-16
(62)【分割の表示】P 2020548858の分割
【原出願日】2018-05-29
(31)【優先権主張番号】15/826,590
(32)【優先日】2017-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520188639
【氏名又は名称】コンタック リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド オコナー
(57)【要約】
【課題】誘導加熱されるマイクロチャネル反応器を提供すること。
【解決手段】本開示は、長さに沿って変化する組成を有する導電性壁を備える複数の平行チャネルを含むマルチチャネルコアを有する効率的なマルチチャネル化学反応器に向けられる。チャネルは、アジャイル周波数またはスペクトラム拡散放出コントローラによって駆動される誘導コイルを備える反応器内の周波数アドレッシングの異なる領域によって加熱される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアを通じて、外部から印加される振動磁場に対してそれぞれ異なる周波数依存誘導結合特性を有する複数の領域を有する複数のチャネルを備え、
それぞれ異なる誘導結合特性を有する前記複数の領域が異なる加熱領域を有するように、前記コアの壁組成又は構造が、前記複数の領域内において位置関数として変化することを特徴とする化学反応器。
【請求項2】
前記コアは、位置の関数として不均質な組成を有する導電性金属を含むことを特徴とする請求項1に記載の化学反応器。
【請求項3】
前記コアの少なくとも1つの第1の部分は、ヒステリシス加熱ではないジュール加熱を受ける少なくとも1つの領域と、ヒステリシス加熱を受ける少なくとも1つの第2の部分とを含むことを特徴とする請求項2に記載の化学反応器。
【請求項4】
共振結合周波数を有する少なくとも1つの導電性ループを備えたことを特徴とする請求項1に記載の化学反応器。
【請求項5】
前記コアは鋼を含むことを特徴とする請求項1に記載の化学反応器。
【請求項6】
前記コアは銅を含むことを特徴とする請求項1に記載の化学反応器。
【請求項7】
前記コアは、主に鋼を含む少なくとも1つの第1の領域と、主に銅を含む少なくとも1つの第2の領域とを含むことを特徴とする請求項1に記載の化学反応器。
【請求項8】
対応する電気信号によって励起されたときに前記振動磁場を発生させることによって、前記コアを誘導加熱するように構成された誘導コイルと組み合わされたことを特徴とする請求項1に記載の化学反応器。
【請求項9】
前記コアの少なくとも2つの対応する領域を表す少なくとも2つの異なる放出周波数を有する前記対応する電気信号、を発生させるように構成されたコントローラと組み合わされたことを特徴とする請求項8に記載の化学反応器。
【請求項10】
前記コアの前記複数の領域の別々に制御された温度を制御するための複数の放出周波数を同時に表す直接シーケンススペクトラム拡散信号を含む前記対応する電気信号、を発生させるように構成されたコントローラと組み合わされたことを特徴とする請求項8に記載の化学反応器。
【請求項11】
前記複数のチャネルの表面上に触媒コーティングをさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の化学反応器。
【請求項12】
金属酸化物担体において触媒ナノ粒子を含む前記複数のチャネルの表面のコーティングをさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の化学反応器。
【請求項13】
酸化アルミニウム担体においてコバルト触媒ナノ粒子を含む前記複数のチャネルの表面のコーティングをさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の化学反応器。
【請求項14】
第1の周波数でヒステリシス加熱を受ける第1の領域と、前記第1の周波数でヒステリシス加熱を受けない第2の領域とを備え、前記第1の領域は、前記第1の周波数で、前記第2の領域よりも高い特定のエネルギー吸収を有し、前記第2の領域は、第2の周波数で、前記第1の周波数よりも大量のジュール加熱を受けるようにされることを特徴とする請求項1に記載の化学反応器。
【請求項15】
前記第2の領域は、前記第2の周波数で、前記第1の領域よりも高い特定のエネルギー吸収を有することを特徴とする請求項14に記載の化学反応器。
【請求項16】
00℃未満のピーク温度で有機水素担体を触媒的に脱水素化して、脱水素化された有機担体および水素を生成するように構成され、前記複数のチャネル内で前記脱水素化された有機担体の分解が無いことを特徴とする請求項1に記載の化学反応器
【請求項17】
水素燃料電池と組み合わされたことを特徴とする請求項1に記載の化学反応器。
【請求項18】
それぞれ異なる誘導結合特性を有する前記複数の領域は、前記コア内の深さと前記チャネルに沿った距離との両方の関数として変化する誘導結合特性を有することを特徴とする請求項1に記載の化学反応器。
【請求項19】
コアを通じて、外部から印加される振動磁場に対してそれぞれ異なる周波数依存誘導結合特性を有する複数の領域を有する複数のチャネルを備えた化学反応器を動作させる方法であって、
前記コアを囲んで、複数の異なる周波数を含む振動磁場を励起するステップと、
前記複数のチャネルを通じて、少なくとも1つの化学反応物を通過させるステップと
を含み、
それぞれ異なる誘導結合特性を有する前記複数の領域が異なる加熱領域を有するように、前記コアの壁組成又は構造が、前記複数の領域内において位置関数として変化することを特徴とする方法。
【請求項20】
化学反応器であって、
複数の反応物チャネルを有するコアであって、前記複数のチャネルは、外部から印加される振動磁場に対してそれぞれ異なる周波数依存誘導結合特性を有する複数の領域を有する、該コアと、
前記コアの少なくとも2つの対応する領域を表す少なくとも2つの異なる制御可能な周波数を有する振動電気信号を生成するように構成されたコントローラと、
前記振動電気信号を受け取り、前記外部から印加される振動磁場を発生させるコイルと
を備え、
それぞれ異なる誘導結合特性を有する前記複数の領域が異なる加熱領域を有するように、前記コアの壁組成又は構造が、前記複数の領域内において位置関数として変化することを特徴とする化学反応器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒化学反応器の分野に関し、詳細には、不均質な表面組成を有するマルチチャネル化学反応器に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によって全体が本明細書に明示的に組み込まれる2017年11月29日に出願された米国特許非仮出願第15/826,590号のPCT出願であり、その優先権の利益を主張する。
【0003】
化学反応は、一般に、加熱された触媒と分子が相互作用させられて1つまたは複数の所望の化学生成物を生成する反応器において行われる。所望の生成物が所望の収率、濃度、純度で生成されることを確実にするために、触媒の精密な加熱が使用される。温度が高すぎるとき、望ましくない化学反応が発生する可能性がある。温度が低すぎるとき、触媒は、一般に、1つまたは複数の所望の生成物を生成するのに十分な活性を有しない。1つまたは複数の入力反応物は、一般に、それらが触媒と密接に接触しているときのみに反応して1つまたは複数の所望の生成物を生成する。したがって、化学反応器は、精密に加熱された触媒粒子を含む厳しく制約された空間を備える。
【0004】
知られているシステムは、触媒および熱の作用によって水素を放出する有機炭化水素(organic hydrocarbon)水素キャリア分子(hydrogen carrier molecule)を使用して、水素の貯蔵および放出を可能にする。大きな表面積を提供するために、平行なマイクロチャネル(microchannels)を有するコアが利用され、それを通じて有機炭化水素水素キャリア分子が流れ、マイクロチャネルの触媒表面に接触する。
【0005】
現在の設計は、熱が外部加熱器からコア内部の深いチャネル(channels)に対して移動する必要があるため、非常に非効率的である。熱は、薄いチャネル壁に沿って伝導を介して熱い外面からより冷たい内面に対して移動する。これは、外側チャネルにおける熱が内部チャネルにおける望ましい熱よりもはるかに高いことを必要とする。熱差は、一般に非常に大きく、最大100℃以上である。温度のこの範囲は、非効率的な動作、および/または意図されないもしくは望ましくない化学分解という結果となる可能性がある。
【0006】
典型的なマルチチャネル(multi-channel)反応器は、チャネルを備えるセラミックコアを有し、チャネルは、辺が約1mmとなる正方形の断面を有し、コアの長さに沿って平行に伸びている。コアの長さは、マイクロチャネルの端部までの反応の確率が高くなるように選択される。チャネルの数は通常、流量および反応速度、ならびにチャネルの出口での未反応分子の期待される部分の関数である。チャネルの数は、設計によっては数百ないし数千になることがある。
【0007】
自動車の触媒コンバータ内で行われるような吸熱反応では、最終的な反応が発生する前にエンジンの熱がチャネル表面を加熱するために使用される。しかしながら、すべての触媒コンバータが発熱エンジンまたは熱源に取り付けられるのではなく、そのような場合、触媒を適切な温度範囲内に維持するために外部熱を必要とする。
【0008】
このタイプのシステムで現在利用可能な反応器は、コアの外側ハウジングに取り付けられた外部加熱要素を有する。このタイプの設計は、熱が外部加熱器からコア内部の深いチャネルに対して移動する必要があるため、非常に非効率的である。コアは、典型的には、体積または重量あたりの表面積が大きく設計され、したがって、コアの中心に対する壁の熱伝導が不十分である。これにより、外側チャネルは内部チャネルよりも高い温度に達する。熱差は、摂氏100度程度またはそれを超えて非常に大きくなる可能性がある。この極端な差により、外側のチャネルが熱くなりすぎ、有機炭化水素水素キャリア分子の望ましくない副反応の可能性が生じる。
【0009】
チャネルの側壁に対する触媒の適用も、現在利用可能な化学反応器では最適に及ばない。現在、コアをスラリー浴に浸漬することが実施されており、スラリーは、小麦ペーストのような粘度の水およびアルミナと少量の割合の触媒を有する懸濁液からなる。アルミナは、触媒をコアチャネルに結合するメカニズムとして使用される。この技法の問題は、混合物が均一でないことである。触媒が混合物内でどこにあるのか見分けるのは難しい。混合物が均一ではないため、一部のチャネルでは触媒がなく、他では触媒が多すぎる。
【0010】
誘導加熱される触媒システムが、たとえば、20170334822; 20170321233; 20170283258; 20170260328; 20170252872; 20170233546; 20170226907; 20170218823; 20170218816; 20170210892; 20170190629; 20170183477; 20170170477; 20170158840; 20170152532; 20170145886; 20170130252; 20170128927; 20170121737; 20170101528; 20170101312; 20170089304; 20170080697; 20170079325; 20170022868; 20170022062; 20170014765; 20170014764; 20170014763; 20170009061; 20170009060; 20170000145; 20160298147; 20160298141; 20160293990; 20160289710; 20160289709; 20160289706; 20160289705; 20160289704; 20160289577; 20160281482; 20160265159; 20160257783; 20160257067; 20160251535; 20160237591; 20160225490; 20160167010; 20160165926; 20160160240; 20160090614; 20160075953; 20160038906; 20160038905; 20160033492; 20160032341; 20160024374; 20160009554; 20150368762; 20150354426; 20150353974; 20150344914; 20150344143; 20150342224; 20150329879; 20150299494; 20150275108; 20150267036; 20150265997; 20150234304; 20150217260; 20150211730; 20150203701; 20150184090; 20150183641; 20150152344; 20150122802; 20150122529; 20150122243; 20150104843; 20150075839; 20150044122; 20150021094; 20150004669; 20140374237; 20140348982; 20140334999; 20140329961; 20140329280; 20140329091; 20140197854; 20140197154; 20140183185; 20140182563; 20140182366; 20140182272; 20140154749; 20140148568; 20140147907; 20140033777; 20140030768; 20140030763; 20130315028; 20130303810; 20130295624; 20130288307; 20130273612; 20130266556; 20130261340; 20130225714; 20130216520; 20130196386; 20130183735; 20130175068; 20130164818; 20130150533; 20130122764; 20130102029; 20130101326; 20130056209; 20130026752; 20130011895; 20120316376; 20120315060; 20120309100; 20120309060; 20120291343; 20120289734; 20120283449; 20120277329; 20120268219; 20120267448; 20120267359; 20120237984; 20120231197; 20120215023; 20120203021; 20120202994; 20120142068; 20120142065; 20120094358; 20120094355; 20120077247; 20120065307; 20120039781; 20120017422; 20120003704; 20110303532; 20110301363; 20110300029; 20110297623; 20110272082; 20110271588; 20110232169; 20110209897; 20110179907; 20110155559; 20110147639; 20110147041; 20110111456; 20110094772; 20110081336; 20110081335; 20110067576; 20110056124; 20110052460; 20110042201; 20110042084; 20110039317; 20110027837; 20110008246; 20100316882; 20100304440; 20100304439; 20100258309; 20100258291; 20100258290; 20100258265; 20100249404; 20100224368; 20100209056; 20100206570; 20100179315; 20100155070; 20100147522; 20100147521; 20100124583; 20100112242; 20100108567; 20100108379; 20100108310; 20100101823; 20100101794; 20100101784; 20100101783; 20100096137; 20100089586; 20100089584; 20100087687; 20100072429; 20100071904; 20100071903; 20100069656; 20100055349; 20100032308; 20100021748; 20090311445; 20090286295; 20090272578; 20090272536; 20090272535; 20090272533; 20090272526; 20090260824; 20090260823; 20090257945; 20090236329; 20090233349; 20090208684; 20090200854; 20090200290; 20090200031; 20090200025; 20090200023; 20090200022; 20090194524; 20090194333; 20090194329; 20090194287; 20090194286; 20090194282; 20090194269; 20090189617; 20090184281; 20090074905; 20090074630; 20090025425; 20090023821; 20090014121; 20090011180; 20080319375; 20080311045; 20080294089; 20080274280; 20080264330; 20080243049; 20080223851; 20080197534; 20080187907; 20080182911; 20080182027; 20080156228; 20080149363; 20080142367; 20080124994; 20080035682; 20070210075; 20070204512; 20070110985; 20070068933; 20060289481; 20060115595; 20060068080; 20060051281; 20050287297; 20050255370; 20050212297; 20050208218; 20050121437; 20050107251; 20040249037; 20040229295; 20040185384; 20040180203; 20040170820; 20040157002; 20040155096; 20040150311; 20040149737; 20040149297; 20040139888; 20040129555; 20040127012; 20040076810; 20040050839; 20030220039; 20030212179; 20030207112; 20030175196; 20030121909; 20030075540; 20030071033; 20020102353; 20010024716; 9,803,222; 9,758,638; 9,745,609; 9,745,604; 9,700,868; 9,695,280; 9,676,491; 9,657,622; 9,618,947; 9,607,732; 9,605,288; 9,605,287; 9,587,258; 9,528,322; 9,517,444; 9,493,796; 9,475,698; 9,446,371; 9,409,140; 9,404,005; 9,400,439; 9,352,294; 9,347,661; 9,334,843; 9,309,545; 9,290,780; 9,285,403; 9,283,537; 9,278,896; 9,212,591; 9,208,923; 9,187,769; 9,186,646; 9,175,137; 9,163,114; 9,138,715; 9,132,407; 9,129,728; 9,109,241; 9,101,880; 9,089,628; 9,078,461; 9,074,566; 9,062,328; 9,058,918; 9,051,829; 9,044,900; 9,023,628; 9,023,183; 9,022,118; 9,010,428; 8,999,030; 8,980,602; 8,946,489; 8,900,839; 8,881,806; 8,877,472; 8,876,923; 8,871,964; 8,852,905; 8,852,896; 8,851,170; 8,849,142; 8,846,356; 8,841,101; 8,835,142; 8,771,480; 8,764,978; 8,764,948; 8,763,231; 8,752,904; 8,747,624; 8,734,654; 8,734,643; 8,728,779; 8,716,537; 8,709,771; 8,709,768; 8,708,691; 8,680,399; 8,647,401; 8,637,284; 8,636,323; 8,609,384; 8,603,787; 8,597,921; 8,576,017; 8,576,016; 8,569,526; 8,568,507; 8,562,078; 8,536,497; 8,529,738; 8,518,683; 8,497,366; 8,492,128; 8,475,760; 8,455,580; 8,454,803; 8,448,707; 8,434,555; 8,414,664; 8,382,970; 8,372,327; 8,362,407; 8,357,883; 8,353,347; 8,329,936; 8,327,932; 8,292,987; 8,281,861; 8,276,661; 8,276,636; 8,272,455; 8,267,185; 8,267,170; 8,261,832; 8,256,512; 8,240,774; 8,236,535; 8,220,539; 8,212,087; 8,197,889; 8,196,658; 8,192,809; 8,177,305; 8,172,335; 8,168,038; 8,162,405; 8,162,059; 8,158,818; 8,153,942; 8,151,907; 8,146,669; 8,146,661; 8,142,620; 8,113,272; 8,083,906; 8,080,735; 8,057,666; 8,017,892; 8,011,451; 7,976,692; 7,955,508; 7,932,065; 7,931,784; 7,866,388; 7,866,386; 7,863,522; 7,827,822; 7,816,415; 7,816,006; 7,794,797; 7,776,383; 7,745,355; 7,713,350; 7,655,703; 7,569,624; 7,559,494; 7,517,829; 7,473,873; 7,413,793; 7,390,360; 7,387,673; 7,365,289; 7,361,207; 7,341,285; 7,323,666; 7,233,101; 7,205,513; 7,185,659; 7,168,534; 7,070,743; 7,033,650; 6,926,949; 6,858,521; 6,858,302; 6,849,837; 6,849,109; 6,830,822; 6,803,550; 6,726,962; 6,710,314; 6,689,252; 6,639,198; 6,639,197; 6,630,113; 6,624,337; 6,603,054; 6,509,555; 6,383,706; 6,315,972; 6,261,679; 6,215,678; 6,086,792; 6,066,825; 6,018,471; 6,001,204; 5,958,273; 5,878,752; 5,847,353; 5,846,495; 5,820,835; 5,781,289; 5,737,839; 5,651,906; 5,443,727; 5,423,372; 5,350,003; 5,325,601; 5,321,896; 5,240,682; 5,200,145; 5,152,048; 5,110,996; 5,075,090; 4,952,539; 4,921,531; 4,729,891; 4,716,064; 4,237,111; 4,105,455; and 3,972,372に開示されており、これらは参照によって全体が本明細書に明示的に組み込まれる。触媒は、たとえば、特許文献1および特許文献2に従って生成されてよい。
【0011】
有機化学水素化物は、水素を貯蔵および輸送する手段として、環状炭化水素またはヘテロ芳香族化合物の水素化-脱水素化を利用する。ベンゼン、トルエン、ナフタレンなどの芳香族化合物は、比較的穏やかな条件、たとえば約100℃および2MPaで、適切な金属触媒を使用することによって水素化されることができる。しかしながら、環状炭化水素の脱水素化は吸熱性であり,反応が高温で好まれるだけでなく、1ないし2時間ごとに触媒再生を必要とする触媒表面上のコーキングの問題がある。「液膜状態」条件下での接触脱水素化が報告されており(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、および非特許文献4)、反応物は液体として供給されるので触媒の表面が薄膜で濡れる。脱水素化された反応物の蒸発のために平衡限界が超過された。別の方法は、「wet-dry多相条件」を使用して複数の相を活用して熱力学的平衡限界を克服する(非特許文献5および非特許文献6)。しかしながら、両方のプロセスは、プロセスの揮発性成分の気化のために比較的高い温度を依然として必要とする。純粋な水素生成物を得るため、および水素キャリア材料を再利用するために、混合物から水素を効果的に分離することも重要な要求である。
【0012】
水素を生成可能で式R-XHを有する化合物を触媒基材と反応させて、水素ガスを生成することによって、水素が生成されてよい。特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、および特許文献9を参照されたい。
【0013】
R基は、たとえば、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、置換アルキル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、シクロアルキル、複素環、アルキルアリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アリーレン、オキシアリーレン基、およびそれらの組み合わせから選択される部分を含む。化合物は、標準の温度および圧力で液体であってよい。Xは、硫黄、酸素、もしくはセレン、または窒素、リン、ホウ素などの他のヘテロ原子を含むことができる。硫黄は典型的なヘテロ原子であり、化合物は有機チオールであってよい。本明細書で使用される場合、「置換」は、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、アミド、-C(O)H、アシル、オキシアシル、カルボキシル、スルホニル、スルホンアミド、およびスルフリルなどから選択される1つまたは複数の置換基をさらに有する有機またはヘテロ有機基を指す。炭化水素部分の脱水素化による水素の貯蔵および生成に適した知られている化合物は、たとえば、ブタンチオール、ペンタンチオール、ヘキサンチオール、シクロヘキサンチオール、および1,4-シクロヘキサジチオールを含む。
【0014】
電子供与基の追加は熱力学的にも速度論的にもH2放出を促進するため、H2貯蔵のためのヘテロ原子芳香環が提案された。インドリンの場合、適度な温度(110℃)で脱水素化が可能である(非特許文献7)。N、N’-ジメチルジヒドロベンズイミダゾール、1,3-ジメチル-2-フェニルベンズイミダゾリン、および1,3-ジメチルベンズイミダゾリンを含むベンズイミダゾリンが様々なパラジウム触媒を用いて研究され、80℃でもH2を放出した(非特許文献8)。
【0015】
しかしながら、水素密度は水素貯蔵において重要な因子である。したがって、好ましい熱化学的および速度論的パラメータを維持しながら、高い水素/重量比が望まれる。4-アミノピペリジンおよびピペリジン-4-カルボキサミドのようなより小さな分子は、可逆的水素貯蔵のための提案された化合物である(非特許文献9)。4-アミノピペリジンとピペリジン-4-カルボキサミドの脱水素化と水素化は、C-N開裂や水素化分解生成物などの副産物なしに低温で発生する。脱水素化は、6員環よりも5員環で、特に1、3位置で、環原子または環置換基として、Nヘテロ原子を環に組み込むことによって促進されてよい(非特許文献10)。ヘテロ芳香族配位子は可逆的な水素化/脱水素化のために使用されており、特にN-エチルカルバゾールは72atmおよび160℃でのPd触媒で水素化され、50ないし197℃でRuで脱水素化される。特許文献10および特許文献11を参照されたい。
【0016】
水素燃料の放出、貯蔵、およびリサイクルのための水素燃料の一形態は、脱水素化の際に環化される硫黄含有ヘテロ原子を使用し、再水素化されるとき、環が壊されて直鎖状チオール含有アルカン部分を形成する。
【0017】
水素ガスを放出するリサイクル可能な液体燃料の使用済み形態は、ベンゼンおよびナフチレンなどの芳香族化合物(芳香族基材)を含み、それぞれ可逆的な水素化を受けてシクロヘキサンおよびデカリンを形成する。たとえば、特許文献12は、190℃以上の温度でイリジウム触媒の存在下でそれぞれメチルシクロヘキサン、デカリン、ジシクロヘキシル、およびシクロヘキサンをトルエン、ナフタレン、ビフェニル、およびベンゼンに脱水素化することを記載している。そのような温度であっても、水素放出反応は完全な放出に数分を必要とし、室温で固体として存在することがよくある。
【0018】
化合物と反応して水素を生成するのに適した触媒金属基材は、たとえば、金、銀、白金、銅、および水銀を含むことができる。金属基材は、純粋な金属基材、ならびに金属合金および金属でコーティングされたポリマーなどの金属の混合物を含むことができる。金属は、ナノ多孔性であってよく、またはナノ粒子として提供されてよい。
【0019】
そのように生成された水素は、車両および電子デバイスなどのモバイル用途で使用されてよく、燃焼され、燃料電池で消費され、または化学反応で使用されてよい。
【0020】
水素を生成することができる化合物は、使用済み化合物が再生できるという点で再利用に適することが好ましい。使用済み化合物は、たとえば、式R-X-X-Rを有する化合物などの二量体化合物を含むことができる。吸熱水素放出反応を駆動するために使用されるエネルギー源は、たとえば、熱源またはUV光源を含むことができる。
【0021】
通常の接触水素化において、触媒表面は水素分子間の結合をホモリティックに切断し(H-H 436kJ/mole)、触媒は水素と新たな結合を形成する。金属-水素結合は安定性に欠けるため、水素原子は水素ガスとして表面から離れることができる。水素生成化合物の炭化水素部分(たとえば、上記で定義されたR)は、典型的には水素源である。
【0022】
有機化合物の脱水素化反応は吸熱反応であり、連続運転のために外部熱源を必要とする。マイクロチャネル反応器の壁に統合された熱電対を提供することが知られている。たとえば、特許文献13および特許文献14を参照されたい。
【0023】
1つのプロセスに従って、水素がアルカンチオールから放出され、脱水素化された生成物を捕獲する。具体的には、C5-7アルカンチオールから水素ガスを放出するための開示されたプロセスは、気相においてアルカンチオールを提供することと、約2nmないし約500nmの粒径を有する触媒にアルカンチオールを約150℃ないし約300℃の温度で曝して、1ないし2個のメチル基またはエチル基で置換された5員環状チオエーテル、および少なくとも1モルの二原子水素ガスを形成することと、環状チオエーテル生成物を別の触媒に約130℃ないし約400℃の温度で曝して、チオフェンおよび2モル以上の二原子水素ガスを形成することとを含む。特許文献15および特許文献16を参照されたい。好ましくは、初期触媒は、約500nmないし約2nmの平均粒径を有し、ニッケルまたはクロムを有しない金を含む。触媒は、Au/TiO2、Pt/SiO2、Ag/SO2、Au/Al23、Pt/Al23、Pd/Al23、Rh/Al23、ならびにTiO2、SO2、SiO2、Al23およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるセラミック粒子を有する金属Au、Pt、Ag、Au、Pt、PdおよびRhの組み合わせからなる群から選択されてよい。プロセスはさらに、環状チオエーテルを液相または気相として捕捉してよい。アルカンチオールは、ペンタンチオールまたはヘキサンチオールまたはヘプタンチオールであってよく、それぞれがN1位にチオール部分を有し、またはそれらの混合物である。第2の触媒表面は、白金または金または白金/金の組み合わせの触媒表面であってよい。特許文献15、特許文献16、および特許文献9を参照されたい。
【0024】
マイクロチャネル反応器は、定義によってモノリス反応器を含むように意図され、気相脱水素化プロセスによく適している。それらは、優れた熱伝達および物質移動を得ながら、水素燃料源の脱水素化を行う能力を提供する。液体燃料を気化器に対してポンピングすることができ、次いで、液体燃料は、適切な触媒を含む反応器に入ることができる。したがって、水素の気相生成におけるように圧力降下が克服できない問題にならない。マイクロチャネル反応器およびモノリス反応器は当技術分野で知られている。マイクロチャネル反応器は、2.0mm(好ましくは1.0mm)以下、実施形態によっては50ないし500μmの寸法(壁の間、触媒を計算しない)を有する少なくとも1つの反応チャネルを持つように特徴付けられる。反応マイクロチャネルの高さおよび/または幅は、好ましくは2mm以下であり、より好ましくは1mm以下である。チャネルセクションは、正方形、長方形、円形、楕円形などであってよい。反応チャネルの長さは、チャネルを通じて流れるように平行である。これらの壁は、耐久性があって良好な熱伝導率を有する非反応性材料で作られることが好ましい。ほとんどのマイクロチャネル反応器は、隣接する熱伝達マイクロチャネルを組み込んでおり、実際には、そのような反応器スキームは、一般に、吸熱脱水素化に必要とされる熱を提供するために必要である。例示的なマイクロチャネル反応器は、特許文献17および特許文献18に示されており、参照によって本明細書に組み込まれる。触媒的に修飾され接触脱水素化に使用されてよいモノリス担体は、円形、正方形、または長方形の細長い毛細管チャネルのハニカム構造であり、それにより、気化された燃料ならびに生成された脱水素化生成物および水素ガスは、チャネルを通じて並流して通過することができる。ハニカムモノリス触媒反応器セル壁間隔の典型的な寸法は、プレート間で1ないし10mmの範囲である。あるいは、モノリス担体は、100ないし800、好ましくは200ないし600セル/平方インチ(cpi)を有してよい。チャネルまたはセルは、形状が正方形、六角形、円形、楕円形などであってよい。
【0025】
代表的な脱水素化プロセスにおいて、テトラヒドロチオフェンなどの液体燃料がポンプによって、たとえば1000psiaの反応圧力に気化され、マニホールドを介して第1のマイクロチャネル反応器内の複数の反応チャンバ(モノリス)に対して送られる。全体的な脱水素化圧力は、0.2ないし100気圧の範囲であってよい。脱水素化触媒粒子はモノリス内に充填されるが、あるいは触媒は、モノリスの壁面に埋め込まれ、含浸され、またはコーティングされてよい。モノリスを通じた反応チャネルは、直線的なチャネルであってよく、またはチャネルの体積に対して大きな表面積を提供するように内部特徴を有するチャネルであってよい。
【0026】
従来技術に従って、一連のバンドヒータによって熱がマイクロチャネル反応器に対して供給される。あるいは、モノリスに隣接する一連の熱交換チャネルを通じて熱交換流体の循環があってよい。熱交換流体は、有利には、ハイブリッド車もしくは水素内燃機関において生成されてよい燃焼のガス状副産物などの廃熱を運んでよく、またはそれは、燃料電池動作から熱を除去するために利用される熱交換流体であってよい。たとえば燃料電池からの熱交換流体のように液体熱交換流体が利用されるいくつかの場合において、燃焼ガスまたは熱電ユニットの使用を通じて補助的な熱が加えられてよい。PEM(プロトン交換膜)燃料電池からの熱交換流体は、典型的には、脱水素化の温度の下限である約80℃の温度で回収される。燃焼ガスの使用によって、熱交換流体の温度を上げて、燃料源の多くの脱水素化をサポートするために必要な熱入力を提供することが可能である。より高い温度、たとえば、400℃で動作する燃料電池からの熱交換流体が利用されてもよい。脱水素化は、典型的には、マイクロチャネル反応器内で一般に約200ないし400℃の温度で行われる。脱水素化は、より高い温度、高められた温度、たとえば、400℃以上によって促進され、所望の脱水素化反応速度を得るために必要とされることがある。
【0027】
本明細書で引用されるすべての参考文献は、参照によって全体が明示的に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0187416号明細書
【特許文献2】米国特許第9,421,523号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0003476号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2008/0045408号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2008/0045412号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2009/0093886号明細書
【特許文献7】米国特許第7,186,396号明細書
【特許文献8】米国特許第8,459,032号明細書
【特許文献9】米国特許第8,535,381号明細書
【特許文献10】米国特許第7,351,395号明細書
【特許文献11】米国特許第7,186,396号明細書
【特許文献12】米国特許第6,074,447号明細書
【特許文献13】米国特許出願公開第2009/0185964号明細書
【特許文献14】米国特許第8,092,558号明細書
【特許文献15】米国特許出願公開第2011/0020214号明細書
【特許文献16】米国特許第9,623,393号明細書
【特許文献17】米国特許出願公開第2004/0199039号明細書
【特許文献18】米国特許第6,488,838号明細書
【非特許文献】
【0029】
【非特許文献1】Meng et al., Int. J. Hydrogen Energy 22:361-367, 1997
【非特許文献2】Hodoshima et al., Int. J. Hydrogen Energy 28; 197-204, 2003
【非特許文献3】Hodoshima et al., Appl. Catal. A: Gen. 292:90-96, 2005
【非特許文献4】Hodoshima et al., Appl. Catal. A: Gen. 283:235-242, 2005
【非特許文献5】Kariya et al., Appl. Catal. A: Gen. 247:247-259, 2003
【非特許文献6】Kariya et al., Appl. Catal. A: Gen 233:91-102, 2002
【非特許文献7】Moores et al., New J. Chem. 30:1675-1678, 2006
【非特許文献8】Schwarz et al., Chem. Commun. 5919-5921, 2005
【非特許文献9】Cui et al., New J. Chem. 32:1027-1037, 2008
【非特許文献10】Clot et al. Chem. Commun. 2231-2233, 2007
【非特許文献11】en.wikipedia.org/wiki/Induction_heating
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0030】
本技術の様々な態様は、触媒表面を備えるマルチチャネル(multi-channel)コアを有し、その長さに沿って変化する組成を有する効率的なマルチチャネル化学反応器に向けられる。チャネル(channels)は、周波数選択的な方式で反応器の容積内のエネルギーを散逸させる振動磁場を提供することによって加熱される。
【0031】
たとえば、反応器の異なる領域は、磁気エネルギーについて異なる周波数選択的吸収率を備えた組成および構造を有し、したがって、異なる速度で加熱し、および/または固定された誘導励起下で異なる温度を達成する。誘導励起は、期間にわたって、反応器の各ボクセル内に所望の量のエネルギーを与えることを意図された励起エネルギー特性を含む。一実施形態に従って、誘導励起の周波数が経時的に掃引され、各周波数範囲内のエネルギーおよび持続時間は、制御された加熱を提供するように制御される。別の実施形態に従って、反応器の多くの領域が同時にエネルギー伝達の対象とされるように、誘導励起が複数の周波数成分を同時に含む。たとえば、複数の周波数が重ね合わされてよく、または直接シーケンススペクトラム拡散(DSSS)が、周波数の関数として任意に制御されたエネルギーとともに利用されてよい。好都合には、逆フーリエ変換を使用して、周波数の関数としてエネルギー強度のヒストグラムをそれらの特性を有する連続波にマッピングしてよい。
【0032】
したがって、本発明は、マルチチャネル触媒反応器における触媒表面を支持する不均質なコアを提供する。システムは、反応を維持するために外部エネルギーの供給を必要とする吸熱反応のために設計される。発熱反応において、反応物が熱を放出し、熱シェディングが問題となり、その場合、コアの中心が外部のヒートシンク表面よりも熱くなる。さらに、考慮される吸熱反応、たとえば、特定の脱水素化反応および水素化反応が、耐火材料の使用を強制しない温度で発生する。たとえば、脱水素反応は300℃未満で行われてよく、したがって金属製コアが使用されてよい。
【0033】
金属製マルチチャネルコアは、付加製造プロセスでステンレス鋼をレーザ焼結することによって形成されてよい。触媒コーティングは、たとえば、アルミナ中3重量%のコバルトナノ粒子である。典型的な設計では、チャネルは幅が500μmであり、壁は幅が300μmであり、約1000個のチャネルが反応器を通じて通過する。
【0034】
本技術に従う金属製コアは、デバイス内の位置の関数としてレーザ焼結可能な金属の組成を変更することによって形成されてよい。たとえば、合金は、異なる磁気特性を有するオーステナイト、フェライト、およびマルテンサイト形態を含むように、位置によって変えられてよい。さらに、銅、コバルト、ニッケル、バナジウム、他の触媒など、別相のままであってよい他の金属が添加されてもよい。典型的には、動作中に金属は酸化条件に曝されず、結果として、腐食に関して一般的に不安定な組み合わせが形成されても、腐食が抑制される。
【0035】
組成の変化に加えて、選択的に導電性のループが、導電性の低いマトリックス内に形成されてよく、それは異なる周波数で共振する。したがって、励起の周波数は、特定の導電性ループを選択し、他のループと結合しない。ループ構造は、メタマテリアルの特性をデバイスに付与する。
【0036】
好ましい構成では、高周波がコアの周辺領域に対処し、低周波がコアを貫通してコアの中心を励起する。
【0037】
したがって、反応器全体にわたる大きな温度差を回避する方式で熱を供給するために、マルチチャネル反応器の壁は、外部誘導コイルが導電性材料に結合し、電流の流れを誘発することができるように、不均質な組成および/または構成を有する導電性材料で形成され、ジュール加熱および/またはヒステリシス加熱という結果をもたらす。位置の関数としての壁組成および/または構造の変化はエネルギー吸収の空間制御を可能にする。
【0038】
触媒反応器を最適に励起し加熱するために、時間変化する周波数組成電磁信号、または成形されたノイズ信号(同時発生する複数の周波数)が放出されてよい。
【0039】
マルチチャネル反応器のバンドル内の深さの関数として変化することに加えて、エネルギー散逸は、反応器に沿った長さの関数として変化してもよい。
【0040】
したがって、コアを通じて、外部から印加される振動磁場に対してそれぞれ異なる周波数依存誘導結合特性を有する複数の領域を有する複数のチャネルを備える化学反応器を提供することを目的とする。
【0041】
さらに、コアを通じて、外部から印加される振動磁場に対してそれぞれ異なる周波数依存誘導結合特性を有する複数の領域を有する複数のチャネルを備える化学反応器を動作させる方法であって、コアを囲んで、複数の異なる周波数を含む振動磁場を励起するステップと、複数のチャネルを通じて、少なくとも1つの化学反応物を通過させるステップとを含む方法を提供することを目的とする。
【0042】
さらに、化学反応器であって、複数の反応物流路を有するコアであって、複数の流路は、外部から印加される振動磁場に対してそれぞれ異なる周波数依存誘導結合特性を有する複数の領域を有する、コアと、たとえば1:1.5、2:1、1:3、1:4、1:5、1:7.5、1:10、1:15、および/または1:20の範囲を有する制御可能な周波数を有する振動電気信号を生成するように構成されたコントローラと、振動電気信号を受け取り、外部から印加される振動磁場を発生させるコイルとを備える化学反応器を提供することを目的とする。
【0043】
コアは、位置の関数として不均質な組成を有する導電性金属を含んでよい。コアの少なくとも1つの第1の部分は、ヒステリシス加熱ではないジュール加熱を受ける少なくとも1つの領域と、ヒステリシス加熱を受ける少なくとも1つの第2の部分とを含んでよい。
【0044】
化学反応器は、共振結合周波数を有する少なくとも1つの導電性ループを備えてよい。
【0045】
コアは、鋼および/または銅を含んでよい。コアは、主に鋼を含む少なくとも1つの第1の領域と、主に銅を含む少なくとも1つの第2の領域とを含んでよい。
【0046】
化学反応器は、対応する電気信号によって励起されたときに振動磁場を発生させることによって、コアを誘導加熱するように構成された誘導コイルと組み合わされて提供されてよい。
【0047】
化学反応器は、コアの少なくとも2つの対応する領域を表す少なくとも2つの異なる放出周波数を有する対応する電気信号、を発生させるように構成されたコントローラと組み合わされて提供されてもよい。あるいは、化学反応器は、コアの複数の領域の別々に制御された温度を制御するための複数の放出周波数を同時に表す直接シーケンススペクトラム拡散信号を含む対応する電気信号、を発生させるように構成されたコントローラと組み合わされて提供されてよい。制御信号は、定常のもしくはゆっくり変化する多周波もしくはスペクトラム拡散信号、または単一周波数アジャイル信号であってよい。それぞれ異なる誘導結合特性を有する複数の領域は、コア内の深さとチャネルに沿った距離との両方の関数として誘導結合特性を有してよい。
【0048】
化学反応器は、複数のチャネルの表面上の触媒コーティング、金属酸化物担体における触媒ナノ粒子を含む複数のチャネルの表面のコーティング、または酸化アルミニウム担体におけるコバルト触媒ナノ粒子を含む複数のチャネルの表面のコーティングをさらに備えてよい。
【0049】
化学反応器は、第1の周波数でヒステリシス加熱を受ける第1の領域と、第1の周波数でヒステリシス加熱を受けない第2の領域とを備えてよく、第1の領域は、第1の周波数で、第2の領域よりも高い特定のエネルギー吸収を有し、第2の領域は、第2の周波数で、第1の周波数よりも大量のジュール加熱を受けるようにされる。第2の領域は、第2の周波数で、第1の領域よりも高い特定のエネルギー吸収を有してよい。
【0050】
化学反応器は、約400℃未満のピーク温度で有機水素担体を触媒的に脱水素化して、脱水素化された有機担体および水素を生成するように構成されてよく、複数のチャネル内で脱水素化された有機担体の分解が実質的に無い。
【0051】
化学反応器は、水素燃料電池と組み合わされて提供されてよい。たとえば、化学反応器は、水素キャリア有機分子を脱水素化するように動作されてよく、放出された水素は、水素燃料電池において電力を生成するために使用されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
本発明の非限定的な実施形態が添付の図面を参照して例として説明されるが、添付の図面は概略的であり、原寸に比例して描かれることは意図されていない。図において、図示されている同一またはほぼ同一の各構成要素は、典型的には単一の数字によって表される。明確にするために、すべての構成要素がすべての図でラベル付けされているわけではなく、また、当業者が本発明を理解できるようにするのに例示が必要でない場合に本発明の各実施形態のすべての構成要素が示されているわけではない。
図1】電気コイルに対して交流電流を提供する誘導加熱器を示す図である。
図2】加熱速度に対するヒステリシスの影響を示す図である。
図3】鋼のキュリー温度と炭素含有量の関係を示す図である。
図4】様々な材料についての基準深さを示す図である。
図5】フルブリッジ誘導加熱器を示す図である。
図6】Hブリッジ回路を示す図である。
図7】異なる加熱領域をチャネルが有するように設計された、コアのサンプル2チャネルセクションを示す図である。
図8】支持構造に巻き付けられた完成された誘導コイルの端面図、およびコア内のチャネルを示す図である。
図9】コアを内側に有する支持構造に巻き付けられたインダクタを示す図である。
図10】コアを有するインダクタ支持体に巻き付けられたインダクタの切断図である。
図11】触媒支持体とコア材料の壁支持構造とを含むコアの部分を示す図である。
図12】異なる加熱領域をチャネルが有するように設計された、コアのサンプル2チャネルセクションを示す図である。
図13】より均一な加熱を誘導コイルから提供できるようにチャネルの壁内の金属が異なる、様々な可能な領域を示す図である。
図14】加熱に使用される金属内の双極子の静的状態を示す図である。
図15】方向を変え、すなわち北から南に対して向かい、双極子を回転させる磁束線を示す図である。
図16】反応器および磁束線を示す図である。
図17】外側チャネルと最内側チャネルを加熱するために必要とされる様々な周波数での侵入深さを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
ここで開示されている化学反応器は、反応器チャネルを加熱する効率的な方法を提供する。
【0054】
好ましい設計に従うマルチチャネル反応器は、チャネルを備えるセラミックコアを有し、チャネルは、辺が約1mmとなる正方形(または他の断面)の断面を有し、コアの長さに沿って平行に伸びている。
【0055】
反応器は、典型的には吸熱触媒反応を使用し、反応をサポートするために反応物供給流において提供されない外部熱を必要とする。本化学反応器の一実施態様のチャネルは、領域的または個別の制御下で所望の温度に加熱される。したがって、温度の変動は制御されまたは最小限にされてよい。
【0056】
誘導加熱
誘導加熱は、渦電流によって物体内で発生された熱を通じて、電磁誘導によって導電性物体(通常は金属)を加熱するプロセスである。誘導加熱器は、電磁石と、電磁石を通じて高周波交流(AC)を流す電子発振器とから構成される。急速に交番する磁場が物体を貫通し、渦電流と呼ばれる導体内部に電流を発生させる。材料の抵抗を通じて流れる渦電流は、ジュール加熱によってそれを加熱する。鉄のような強磁性(およびフェリ磁性)材料において、熱が磁気ヒステリシス損失によって発生されてもよい。使用される電流の周波数は、物体サイズ、材料の種類、(ワークコイルと加熱される物体の間の)カップリング、および侵入深さに応じて異なる。誘導加熱は、短い相互作用時間が必要な温度に到達することを可能にする高い電力密度を生成することができる。これは、印加された磁場に非常に密接に従うパターンを用いる加熱パターンの厳密な制御をもたらし、熱による歪みおよび損傷を低減することを可能にする。
【0057】
基本的なセットアップは、低電圧であるが非常に高い電流および高い周波数で電気を提供するAC電源である。加熱するワークは、通常は無効電力を増大させるための共振タンクコンデンサと組み合わされて、電源によって駆動されるエアコイル内に配置される。交番磁場は、ワークに渦電流を誘導する。誘導電流の周波数は、誘導された渦電流がワークに浸透する深さを決定する。固体丸棒の最も単純な場合において、誘導電流は表面から指数関数的に減少する。通電層の「有効な」深さは、
【0058】
【数1】
【0059】
として導き出されることが可能であり、ここで、dは、センチメートル単位の深さであり、ρは、オームセンチメートル単位のワークの抵抗率であり、μは、ワークの無次元相対透磁率であり、fは、Hz単位の交流場の周波数である。ワークの等価抵抗、したがって効率は、基準深さdに対するワーク直径aの関数であり、約a/d=4まで急速に増加する。ワーク直径は、アプリケーションによって固定されるため、a/dの値は基準深さによって決定される。基準深さを減少させるには、周波数を増大する必要がある。誘導電源のコストは周波数とともに増大するため、電源はしばしば、臨界周波数を達成するように最適化され、ここでa/d=4である。臨界周波数未満で動作される場合、ワークの両側からの渦電流が互いに衝突して相殺されるため、加熱効率が低減される。臨界周波数を超えて周波数を増大すると、加熱効率のさらなる向上は最小限になるが、ワークの表面のみを熱処理しようとする用途では使用される。
【0060】
したがって、電磁束が部品において電流を生成するため、誘導加熱が発生する。この電流の流れに対する抵抗によって部品が発熱する。
【0061】
非特許文献11を参照されたい。
【0062】
抵抗
すべての金属は電気を伝導するが、様々な程度の抵抗をもたらす。電流の流れに対する抵抗は、熱として現れる電力の損失を引き起こす。これは、エネルギー保存の法則に従って、エネルギーは1つの形態から別の形態に変換されるが失われないからである。抵抗によってもたらされる損失は、基本的な電気式P=i2Rに基づいており、ここで、iはアンペア単位の電流の量であり、Rはオーム単位の抵抗であり、Pはワット単位の電力である。電力損失(加熱)の量は電流の2乗に比例し、このプロセスはジュール加熱としても知られている。
【0063】
誘導加熱器は、電気コイル(誘導コイル)に対して交流電流を提供するために使用される。誘導コイルは、(ワークと呼ばれる)加熱される金属部品に対して電流を誘導する電源(熱源)となる。ワークと熱源としての誘導コイルとの間の接触は必要とされず、熱は、コイルに直接隣接する局所領域または表面ゾーンに限定される。これは、誘導コイルの交流電流(AC)が周囲の磁場を誘導し、隣接する導電性ワーク内の電流の流れを生じさせるためである。図1は、電気コイルに対して交流電流を提供する誘導加熱器を示す。
【0064】
ヒステリシス
磁性材料は、ヒステリシスによって誘導加熱プロセスを改善する。鋼、ニッケル、および他のいくつかの金属のような高透磁率(100ないし500)を有する材料は、誘導加熱で加熱するのが容易である。ヒステリシス加熱は、材料がそれらの磁気特性を保持するキュリー温度未満で発生する。ワークのキュリー温度未満での高い透磁率は有用である。温度差、質量、および比熱は、ワーク加熱に影響する。
【0065】
炭素鋼から作られた部品のような磁性部品が加熱されると、交番磁束場が材料の磁気双極子を振動させる。磁極がサイクルごとにそれらの極方向を変えるため、熱が発生される。この振動がヒステリシスと呼ばれ、双極子が振動するときにもたらされる摩擦により、少量の熱が発生される。鋼がキュリー温度を超えて加熱されたとき、それらは非磁性になり、ヒステリシスが終わる。加熱された鋼は非磁性であるため、双極子の反転は発生できない。図2は、加熱速度に対するヒステリシスの影響を示す。図3は、鋼のキュリー温度と炭素含有量の関係を示す。
【0066】
表皮効果および浸透の深さ
誘導加熱は、電気の弱い導体であるワークに電流(渦電流)が誘導されたときに発生する。誘導加熱プロセスが効率的かつ実用的であるためには、渦電流を生成する電磁場の周波数とワークの特性との特定の関係が満たされる必要がある。誘導加熱の基本的な性質は、渦電流がワークの外側で生成されることであり、これは「表皮効果」加熱と呼ばれる。熱のほぼすべてが表面で生成されるため、円筒形のワークを流れる渦電流は、外側面で最も強くなる一方、中央での電流は無視できる。加熱の深さは、交流場の周波数、電気抵抗率、およびワークの比透磁率に応じて異なる。実用上、皮膚加熱効果(基準深さ)は、電流の流れの抵抗による加熱の約86%が発生する深さと定義されている。
【0067】
図4は、様々な材料についての基準深さを示す。基準深さは、周波数が高くなると減少し、温度が高くなると増加する。前述されたように、基準深さは、所与の周波数が所与の電力およびワーク温度でもたらす加熱の理論的な最小深さになる。加熱されているワークの断面サイズは基準深さの4倍でなければならず、さもなければ電流キャンセルが発生する。異なるバー径を加熱するための臨界周波数(または最小周波数)がある。ワーク厚さ/基準加熱深さ比が4対1未満に減少すると、正味電流が減少する。正味加熱曲線は正味電流密度を2乗することによって得られ、a/d=4のときに最良の表面熱分布が発生することを示す。
【0068】
固定周波数に関しては、導体の抵抗率が温度によって変化するため、基準深さは温度によって変化する。磁性鋼の場合、透磁率は温度によって変化し、鋼が非磁性になるキュリー温度で1の値(自由空間と同じ)に減少する。鋼がキュリー温度を超えて加熱されると基準深さが増加するため、フェライトをオーステナイトに変化させる熱処理プロセスであるオーステナイト化を行うときの4のa/d比は、鋼がキュリー温度より高い温度にあるときの基準深さに基づく。これらの影響により、非磁性材料の基準深さは広い加熱範囲で2倍または3倍変化する可能性があるが、磁性鋼の場合、それは20倍変化することができる。正味の効果は、冷たい鋼は熱い鋼に比べて基準深さが非常に浅いということである。
【0069】
上記の説明から、誘導加熱の基本的な性質は、渦電流がワークの外側面に生成されることであり、これは「表皮効果」加熱としばしば呼ばれる。各チャネルの表皮効果を利用することによって、各チャネルは、チャネルの側壁に埋め込まれたそれ自体の導電性金属を有する。したがって、この表皮効果深さは、加熱が正しく機能するようにチャネルごとに変更される必要がある。言い換えれば、磁束密度は、コア内により深く浸透するために周波数とともに変化する必要がある。周波数をより高い周波数からより低い周波数に掃引し、駆動コイル内の電流の振幅を変更することにより、侵入深さを外側チャネルからコア構造内のより深いチャネルに移動させる。
【0070】
様々な材料内の加熱およびエネルギー要件の例が以下に提供される。
Q=cρ m dT
ここで、
Q=熱の量(kJ)
ρ=比熱(kJ/kgK)
m=質量(kg)
dT=高温側と低温側の温度差(K)
【0071】
炭素の比熱は0.71kJ/kg Kであり、鉄については0.45kJ/kg Kであり、ニッケルについては0.44kJ/kg Kであり、銅については0.39 kJ/kg Kである。
【0072】
炭素のモル重量は、12.011g/molであり、Fe鉄については55.845g/molであり、Niニッケルについては58.6934g/molであり、Cu銅については6.3.546g/molである。
チャネル加熱要件
加熱要素の体積は、0.05mm×0.5mm×38.lmmまたは0.9525mm’または0.0009525ccである。
【0073】
炭素加熱要素の質量は、0.00141グラム、1.41×10-6kgである。
【0074】
鉄についての質量は、0.004905グラム、4.905×10-6kgである。
【0075】
ニッケルについての質量は、0.008485グラム、8.485×l0-6kgである。
【0076】
銅についての質量は、0.008525グラム、8.525×10-6kgである。
【0077】
炭素について、Q=0.71×1.41×10-6×125K=1.25×10-4kJ。
【0078】
鉄について、Q=0.45×4.905×10-6×125K=2.759×10-4kJ。
【0079】
ニッケルについて、Q=0.44×8.485×10-6×125K=4.667×10-4kJ。
【0080】
銅について、Q=0.39×8.525×10-6×125K=4.156×10-4kJ。
【0081】
1つのコアは、1019チャネルから構成される。各チャネルは、1つの隣接する壁を有し、その隣にチャネルがある。壁内には、加熱デバイスとして使用される金属の単一のセクションがある。したがって、加熱要素の数は、チャネルの数に1を加えたものであり、これは1020個の加熱要素と等しい。
【0082】
1度の変更に関して、
加熱要素あたりの炭素について、Q=0.71×1.41×10-6=1.0011×10-3J。
【0083】
チャネルについて、Q=1.0011×10-3J×4=4.004×10-3J。
【0084】
コアあたりセルシウス度あたり、Q=4.004×10-3J×1020=4.084J。
【0085】
摂氏125度の変更に関して、
Q=125×4.084J=511ジュール
ワット単位の電力=ジュール/秒単位のエネルギー
P(w)=E(j)/t(s)
P=511J/1秒
P=511ワット
【0086】
反応器コンポーネント
制御
図5は、フルブリッジ誘導加熱器を示す。
【0087】
図6は、Hブリッジ回路を示す。Hブリッジ設計を使用した誘導加熱は現行の技術である。しかしながら、本技術に従う周波数および電圧/電流の掃引はそうではない。パルス周波数変調またはPFM、および駆動信号の振幅(またはパルス幅)は、ルックアップテーブルに基づくか、またはMOSFET、IGBT、もしくは他の種類のトランジスタであってよいパワー半導体スイッチを駆動するように構成された組み込みコントローラ内でオンザフライで計算される。NチャネルMOSFETトランジスタペアをデジタルアナログコンバータから駆動することによって、MOSFETのゲートに対する駆動電圧のパルス幅、タイミング、および振幅が制御される。トランジスタ対602ないし603が1つのケースにおいてオンになり、電流をコイルを通じて一方向に流し、磁束線に沿って双極子を整列させる。次いで、トランジスタ対604ないし605がオンになり、電流の流れをコイルを通じて逆方向にして、ダイポールを前の方向から180度回転させる。ゲート駆動電圧の振幅は、誘導励起コイルを通じた電流の振幅を制御し、それにより、誘導コイルによって生成される磁束密度を制御する。パルスのオン対オフ時間またはデューティサイクルおよび周波数が、誘導コイルの磁束の浸透深さを制御する。双極子が非磁性になる点、すなわちキュリー点まで金属を加熱するのを回避するために、制御された磁気双極子振動が望ましい。したがって、曲線のヒステリシス領域にコントロールがあるようにしたい。
【0088】
チャネル説明
図7は、チャネルの典型的な構造を示す。要素702ないし703は、壁構造支持体、典型的には、セラミック、ガラス、またはポリマーなどの非導電性の材料を示す。要素704は、典型的には銅、ニッケル、アルミニウム、または金属合金などの電導体金属である加熱材料の端面図を示す。要素705は、反応器壁内で機能性触媒が支持される表面である。
【0089】
コアに巻き付けられたインダクタ説明
図8は、支持構造804に巻き付けられた完成された誘導コイル802の端面図、およびコア806内のチャネルを示す。
【0090】
図9は、コアを内側に有する支持構造に巻き付けられたインダクタを示す。要素902は、冷却液入口でもあるインダクタの一端であり、要素903は、インダクタの他端であり、冷却液の出口である。要素904は、コイルが巻かれるコイル支持構造である。
【0091】
図10は、コア1004を有するインダクタ支持体1003に巻き付けられたインダクタ1002の切断図を示す。
【0092】
図11は、コアの部分を示し、1102が触媒支持体であり、1104がコア材料の壁支持構造である。
【0093】
図12は、異なる加熱領域をチャネルが有するように設計された、コア1214のサンプル2チャネルセクションを示す。チャネルの長さに沿って異なる金属1204、1206、1208、および1210を適用することによって、異なる金属間の透磁率の違いにより各領域が異なるように加熱される。たとえば、これにより、反応物分子が1202でチャネルに入り、領域1204で、加熱された触媒と接触して反応することを可能にする。分子が領域1204から領域1206に対して移動すると、それらは、1212でチャネルから出るまで、別の温度領域でおそらく別の触媒と接触する。
【0094】
図13は、より均一な加熱を誘導コイルから提供できるようにチャネルの壁内の金属が異なる、様々な可能な領域を示す。領域1302は、その加熱要素のために鉄を有してよく、領域1304は銅を有してよく、領域1306は合金を有する。他の領域1308、1309および1310は、異なる組成を有してよい。異なる領域は、熱を生成する必要な渦電流を提供するために、材料の透磁率とそれらの領域内の磁束密度を変更することによってプログラムされてよい。
【0095】
これらの領域は、加法的または減法的な製造プロセスによって生成されたメタマテリアルであってよいことに留意されたい。したがって、各領域は、金属の均一な層である必要はなく、実際には、パターンおよびパターンを形成する材料の変動が可能なパターン化された不均質な材料であってよい。これは、調整された吸収の可能性を開き、したがって、特定の領域が励起の周波数に従って特定的に対処されてよい。
【0096】
磁性説明
図14は、加熱に使用される金属内の双極子の静的状態を示す。要素1402は、チャネル壁支持構造である。要素1404は、加熱に使用される壁の金属部材であり、要素1406は、金属バルク内の典型的な双極子である。
【0097】
図15は、方向を変え、すなわち北から南に対して向かい、双極子を回転させる磁束線1502を示す。磁場極性を北から南に変更し、十分な速度で再び元に戻すことによって、双極子に摩擦を生じさせ、発熱させる。
【0098】
制御のための表皮効果および浸透の深さの使用
図16は、反応器および磁束線を示し、外側チャネルと最内側チャネルを加熱するために必要とされる様々な周波数での侵入深さを示す。計算例では、10mm(-4)の深さ、または加熱器金属にニッケルを使用したコアの直径の約1/2の深さに関して、チャネル長38mm、コア直径25.4mm、および発電機出力400ワットの場合、周波数は60Hzである必要があることを示す。最外側チャネル(-1)に関して、侵入深さ1.8mm、およびニッケルを使用する同じ駆動力の場合、周波数は2kHzである必要がある。外側チャネルは壁内に鉄を有してよく、内側に近いチャネルは加熱器金属として銅を有してよい。したがって、いくつかのチャネルは、単一コアのための加熱器として壁内に銅、ニッケル、および鉄がすべて埋め込まれてよい。
【0099】
周波数を60ヘルツから2キロヘルツに掃引することによって、わずか400ワットの電力ですべてのチャネルが摂氏145度の最適温度まで均等に加熱されてよい。例示的な周波数が以下の表1にある。掃引は、周波数の変更として説明されることも可能であり、変更の後、期間中に保持し、次いで別の周波数に移り、次いで再び保持し、次いですべてのチャネルが均一に加熱されるまで繰り返す。したがって、基本的には、表皮効果および渦電流は、駆動周波数を変更することによってコア内でより深く移動される。
【0100】
【表1】

【0101】
本明細書では本発明のいくつかの実施形態が説明および図示されているが、機能を実行しならびに/または本明細書に記載された結果および/もしくは利点の1つもしくは複数を得るための他の様々な手段ならびに/または構造を、当業者は容易に想到するであろうし、そのような変形および/または修正のそれぞれは、本発明の範囲内であると見なされる。より一般的には、本明細書に記載されているすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成が例示であることを意図されること、ならびに実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成が、本発明の教示が使用される特定の1つまたは複数の用途に依存することを、当業者は容易に理解するであろう。当業者は、本明細書に記載された本発明の特定の実施形態に対する多くの等価形態を認識し、または単に日常的な実験を用いて確認することができるであろう。したがって、上述の実施形態は例としてのみ提示されており、添付の特許請求の範囲およびその等価形態の範囲内で、具体的に説明および請求された以外のやり方で本発明が実施されてよいことを理解されたい。本発明は、本明細書に記載された個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法に向けられる。さらに、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しない場合は、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の組み合わせが、発明の範囲内に含まれる。
【0102】
本明細書で定義および使用されたすべての定義は、辞書定義、参照によって組み込まれた文書内の定義、および/または定義された用語の通常の意味を制御するものと理解されたい。
【0103】
本明細書および特許請求の範囲において使用される不定冠詞「a」および「an」は、明確に反対に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味するものと理解されたい。本明細書および特許請求の範囲において使用される「および/または」という語句は、そのように結合された要素の「いずれかまたは両方」、すなわち、ある場合には結合的に存在し他の場合には分離的に存在する要素を意味するものと理解されたい。「および/または」で列挙された複数の要素は、同じ様式で解釈されるべきであり、すなわち要素のうちの「1つまたは複数」がそのように結合される。「および/または」という語句によって具体的に識別される要素以外に他の要素が任意に存在してよく、具体的に識別される要素に関連付けられるか関連付けられないかに関わらず存在してよい。したがって、非制限的例として、「Aおよび/またはB」に対する参照は、「含む」などの非限定的言葉と組み合わせて用いられるとき、一実施形態ではAのみに言及し(任意選択でB以外の要素を含み)、別の実施形態ではBのみに言及し(任意選択でA以外の要素を含み)、さらに別の実施形態ではAとBの両方に言及する(任意選択で他の要素を含む)。
【0104】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、「または」は、上記に定義されたような「および/または」と同じ意味を有するものと理解されたい。たとえば、リストにおいて項目を分離するとき、「または」または「および/または」は、包含的であり、すなわち少なくとも1つを含むが、要素の数またはリストのうちの2つ以上も含み、任意選択でさらなる列挙されない項目を含むものとして解釈されるべきである。「の1つのみ」もしくは「の正確に1つ」または請求項で用いられるときの「からなる」のような明確に反対に示される用語のみが、要素の数またはリストの正確に1つの要素を含むことを指す。一般に、本明細書で使用されるとき、用語「または」は、「いずれか」、「の1つ」、「の1つのみ」、または「の正確に1つ」のような排他的用語によって先行されるとき、排他的代替(すなわち「一方または他方であるが両方ではない」)を示すものとしてのみ解釈されるべきである。「から本質的になる」は、請求項で使用されるとき、特許法の分野で使用されるその通常の意味を有する。
【0105】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、1つまたは複数の要素のリストを参照する語句「少なくとも1つ」は、要素のリストにおける任意の1つまたは複数の要素から選択されるが、要素のリスト内に具体的に列挙されるすべての各要素の少なくとも1つを含む必要は必ずしもないが、要素のリストにおける要素の任意の組み合わせを排除しない、少なくとも1つを意味することを理解されたい。この定義はまた、語句「少なくとも1つ」が言及する要素のリスト内で具体的に識別される要素以外に、要素が、具体的に識別される要素に関連付けられるか関連付けられないかに関わらず、任意に存在してよいことを可能にする。したがって、非制限的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または等価に「AまたはBの少なくとも1つ」または等価に「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、Bが存在せずに(および任意選択でB以外の要素を含む)任意選択で2つ以上を含む少なくとも1つのAに言及し、別の実施形態では、Aが存在せずに(および任意選択でA以外の要素を含む)任意選択で2つ以上を含む少なくとも1つのBに言及し、さらに別の実施形態では、任意選択で2つ以上を含む少なくとも1つのAおよび任意選択で2つ以上を含む少なくとも1つのB(および任意選択で他の要素を含む)に言及することなどができる。
【0106】
また、明確に反対に示されない限り、2つ以上のステップまたは行為を含むここで請求される任意の方法において、この方法のステップまたは行為の順序は、この方法のステップまたは行為が記載される順序に必ずしも限定されないことも理解されるべきである。
【0107】
特許請求の範囲および明細書において、「包含する」、「含む」、「保持する」、「有する」、「含有する」、「伴う」、「保有する」、「構成される」などのすべての移行句は、非限定的、すなわち限定されずに含むことを意味することを理解されたい。米国特許商標庁特許審査手続マニュアルのセクション2111.03に記載されているように、「からなる」および「から本質的になる」という移行句のみが、それぞれクローズまたはセミクローズの移行句であるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2022-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアを通じて、固定された誘導励起下で、異なる速度で加熱する複数の領域を有する複数のチャネルを備えたことを特徴とする化学反応器。
【請求項2】
前記コアは、位置の関数として不均質な組成を有する導電性金属を含むことを特徴とする請求項1に記載の化学反応器。
【請求項3】
前記コアの少なくとも1つの第1の部分は、ヒステリシス加熱ではないジュール加熱を受ける少なくとも1つの領域と、ヒステリシス加熱を受ける少なくとも1つの第2の部分とを含むことを特徴とする請求項2に記載の化学反応器。
【請求項4】
共振結合周波数を有する少なくとも1つの導電性ループを備えたことを特徴とする請求項1に記載の化学反応器。
【請求項5】
前記コアは鋼および/または銅を含むことを特徴とする請求項1に記載の化学反応器。
【請求項6】
前記コアは、主に鋼を含む少なくとも1つの第1の領域と、主に銅を含む少なくとも1つの第2の領域とを含むことを特徴とする請求項1に記載の化学反応器。
【請求項7】
対応する電気信号によって励起されたときに前記振動磁場を発生させることによって、前記コアを誘導加熱するように構成された誘導コイルと組み合わされたことを特徴とする請求項1に記載の化学反応器。
【請求項8】
前記コアの少なくとも2つの対応する領域を表す少なくとも2つの異なる放出周波数を有する前記対応する電気信号を発生させるように構成されたコントローラと組み合わされ、又は、
前記コアの前記複数の領域の別々に制御された温度を制御するための複数の放出周波数を同時に表す直接シーケンススペクトラム拡散信号を含む前記対応する電気信号を発生させるように構成されたコントローラと組み合わされたことを特徴とする請求項7に記載の化学反応器。
【請求項9】
前記複数のチャネルの表面上に触媒コーティング、および任意選択で、
金属酸化物担体において触媒ナノ粒子を含む前記複数のチャネルの表面のコーティング、好ましくは、前記触媒ナノ粒子はコバルト触媒ナノ粒子であり、および、前記金属酸化物担体は酸化アルミニウム担体であることを特徴とする請求項1に記載の化学反応器。
【請求項10】
第1の周波数でヒステリシス加熱を受ける第1の領域と、前記第1の周波数でヒステリシス加熱を受けない第2の領域とを備え、前記第1の領域は、前記第1の周波数で、前記第2の領域よりも高い特定のエネルギー吸収を有し、前記第2の領域は、第2の周波数で、前記第1の周波数よりも大量のジュール加熱を受けるようにされることを特徴とする請求項1に記載の化学反応器。
【請求項11】
前記第2の領域は、前記第2の周波数で、前記第1の領域よりも高い特定のエネルギー吸収を有することを特徴とする請求項10に記載の化学反応器。
【請求項12】
約400℃未満のピーク温度で有機水素担体を触媒的に脱水素化して、脱水素化された有機担体および水素を生成するように構成され、前記複数のチャネル内で前記脱水素化された有機担体の分解が実質的に無いことを特徴とする請求項1に記載の化学反応器。
【請求項13】
水素燃料電池と組み合わされたことを特徴とする請求項1に記載の化学反応器。
【請求項14】
それぞれ異なる誘導結合特性を有する前記複数の領域は、前記コア内の深さと前記チャネルに沿った距離との両方の関数として変化する誘導結合特性を有することを特徴とする請求項1に記載の化学反応器。
【請求項15】
前記複数の領域は、固定された誘導励起下で、異なる温度を達成することを特徴とする請求項1に記載の化学反応器。