(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122918
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】多層中間層体を有する熱可塑性複合管
(51)【国際特許分類】
B29C 70/30 20060101AFI20220816BHJP
B29C 70/16 20060101ALI20220816BHJP
B29C 70/68 20060101ALI20220816BHJP
B29C 63/34 20060101ALI20220816BHJP
F16L 9/128 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
B29C70/30
B29C70/16
B29C70/68
B29C63/34
F16L9/128
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084782
(22)【出願日】2022-05-24
(62)【分割の表示】P 2018001360の分割
【原出願日】2018-01-09
(31)【優先権主張番号】17150840.1
(32)【優先日】2017-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヤスミン ベアガー
(72)【発明者】
【氏名】ハンス リース
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン フラノッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ライナー ゲーリング
(72)【発明者】
【氏名】ホアスト バイアー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ライナー、第1の複合層のテープマトリックスおよび後続の複合層のテープマトリックスの材料組合せにおける高い自由度を達成すると同時に、臨界的な層界面で極めて良好な付着力を生じさせる、熱可塑性複合管の製造方法を提供する。
【解決手段】前述の課題は、異なるポリマーをベースとする複数のテープ層体を次のようにして互いに結合させることにより解決され、すなわち、フィルムを製造し、該フィルムの一方の表面が、第1の複合層のポリマーBを含み、該フィルムの他方の表面が、後続の複合層のポリマーCを含むようにして行う。次いで、このフィルムを、加熱しながら第1の複合層と結合させ、もう1つのステップにおいて加熱しながら後続の複合層の第1のテープ層体と結合させる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
a)壁部を有する管状のライナーを準備し、ここで、前記壁部は、外面の範囲に熱可塑性ポリマーAを含むものとするステップ、
b)補強用繊維をマトリックス中に含むテープを準備し、ここで、前記マトリックスは熱可塑性ポリマーBを含むものとするステップ、
c)補強用繊維をマトリックス中に含むテープを準備し、ここで、前記マトリックスは熱可塑性ポリマーCを含むものとするステップ、
ここで、ポリマーAとポリマーBとは同一であるかまたは異なり、ポリマーBとポリマーCとは異なるものとする、
d)前記管状のライナーに、ステップb)で準備したテープを溶着により施与するステップ、
e)必要に応じて、ステップd)で施与したテープ層体に、同種のさらなるテープ層体を材料結合の状態で施与するステップ、
f)そのように形成した第1の複合層に、第1のフィルムか、または第1のフィルムとステップc)で準備したテープとからステップg)で製造する結合体を施与し、その際、その前に、それと同時にまたはそれに引き続き、前記第1の複合層の外面および前記第1のフィルムの接触面を溶融させるステップ、
g)前記第1のフィルムの外面に、ステップc)で準備したテープを施与し、その際、その前に、それと同時にまたはそれに引き続き、前記施与した第1のフィルムの外面および前記テープの接触面を溶融させるステップ、
h)必要に応じて、ステップg)で施与したテープ層体に、同種のさらなるテープ層体を材料結合の状態で施与するステップ、
ここで、ステップg)および必要に応じてh)において、第2の複合層が生じるものとする、
i)必要に応じて最後に、高分子材料製の外部被覆層体を施与するステップ
を含む熱可塑性複合管の製造方法であって、
前記第1の複合層と接触させる前記第1のフィルムの表面は、ポリマーBを少なくとも30質量%含む成形材料からなり、前記第1のフィルムの反対側の面は、ポリマーCを少なくとも30質量%含む成形材料からなる方法。
【請求項2】
前記第1のフィルムと、前記ステップc)で準備したテープとを、該テープと該第1のフィルムのポリマーCに富む面とが互いに溶着するように、前記ステップf)の前に互いに面状に結合させることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ポリマーAと前記ポリマーBとは異なっており、前記ステップd)は、以下の部分ステップ:
d1)前記管状のライナーに、第2のフィルムか、または第2のフィルムとステップb)で準備したテープとからステップd2)で製造する結合体を施与し、その際、その前に、それと同時にまたはそれに引き続き、前記ライナーの外面および前記第2のフィルムの接触面を溶融させるステップ、
d2)前記第2のフィルムの外面に、ステップb)で準備したテープを施与し、その際、その前に、それと同時にまたはそれに引き続き、前記施与した第2のフィルムの外面および前記テープの接触面を溶融させるステップ
からなり、
前記ライナーと接触させる前記第2のフィルムの表面は、ポリマーAを少なくとも30質量%含む成形材料からなり、前記第2のフィルムの反対側の面は、ポリマーBを少なくとも30質量%含む成形材料からなることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
最後に、高分子材料製の外部被覆層体を施与することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記第1のフィルムおよび前記必要に応じて使用する第2のフィルムは、2層、3層またはそれを上回る層からなり、これらの層は、互いに材料結合の状態で結合していることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記第1あるいは第2のフィルムの少なくとも1つの層は、1方向の補強用繊維を含むことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記ライナーの前記ポリマーAは、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリフタルアミド、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、フルオロポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホンおよびポリアリーレンエーテルケトンの群から選択されることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記ステップb)で準備するテープの前記ポリマーBは、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリフタルアミド、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、フルオロポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホンおよびポリアリーレンエーテルケトンの群から選択されることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記ステップc)で準備するテープの前記ポリマーCは、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリフタルアミド、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、フルオロポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホンおよびポリアリーレンエーテルケトンの群から選択されることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記ステップb)あるいは前記ステップc)で準備するテープの繊維強化体は、1方向の繊維層体として存在することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記ステップb)あるいは前記ステップc)で準備するテープの繊維割合は、10~85体積%であることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記ステップb)あるいは前記ステップc)で準備するテープの繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ホウ素繊維、セラミック繊維、バサルト繊維、炭化ケイ素繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、液晶ポリエステル製繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリイミド製繊維、ポリエーテルイミド製繊維、ポリフェニレンスルフィド製繊維、ポリエーテルケトン製繊維およびポリエーテルエーテルケトン製繊維の群から選択されることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
内側から外側に向かって、以下の構成要素:
a)壁部を有する管状のライナー、ここで、前記壁部は、外面の範囲に熱可塑性ポリマーAを含むものとする、
b)ポリマーAとポリマーBとが異なる場合のみ存在する、前記ライナーと直接かつ材料結合の状態で結合した中間層体、ここで、前記ライナーと結合した接触面の領域は、ポリマーAを少なくとも30質量%含む成形材料からなり、反対側の、引き続く第1の複合層と結合した接触面の領域は、熱可塑性ポリマーBを少なくとも30質量%含む成形材料からなるものとする、
c)前記ライナーの外面あるいは前記中間層体と直接かつ材料結合の状態で結合した第1の複合層、ここで、該第1の複合層は、マトリックス中に補強用繊維を含み、該マトリックスは、ポリマーBを含むものとする、
d)前記第1の複合層と直接かつ材料結合の状態で結合した中間層体、ここで、前記第1の複合層と結合した接触面の領域は、ポリマーBを少なくとも30質量%含む成形材料からなり、反対側の、第2の複合層と結合した接触面の領域は、ポリマーCを少なくとも30質量%含む成形材料からなるものとする、
e)前記中間層体と直接かつ材料結合の状態で結合した第2の複合層、ここで、該第2の複合層は、マトリックス中に補強用繊維を含み、該マトリックスは、ポリマーCを含むものとする、
f)必要に応じて、高分子材料製の外部被覆層体
を含む熱可塑性複合管であって、
ポリマーAとポリマーBとは同一であるかまたは異なり、ポリマーBとポリマーCとは異なる、熱可塑性複合管。
【請求項14】
アンビリカル、ライザー、ジャンパー導管、フローライン、インターベンション用導管、ダウンライン、噴射用導管または圧力導管であることを特徴とする、請求項13記載の熱可塑性複合管。
【請求項15】
原油、粗ガス、3相系物、処理済み油、処理済みガス、ガソリン、ディーゼル機関用燃料もしくは噴射媒体を輸送するための、または作動油を案内するための、請求項13または14記載の熱可塑性複合管の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、内部ライナー(以下では省略して「ライナー」とも呼ぶ)と、テープ層体から形成される複数の複合層と、異なる複合層の間に配置されてこれらの複合層を結合する単層または多層の中間層体とを含む可とう性の繊維強化複合管およびその製造方法である。内部ライナーの材料、テープ層体のマトリックスおよび中間層体のポリマーは、熱可塑性である。本発明による複合管は、油やガスの採掘に使用され、特に海洋での油やガスの採掘に、ライザーとして、アンビリカルとして、採掘された油やガスを、海底を横断して井戸からライザーへと輸送するために使用され、また陸上での輸送にも使用される。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、こうした適用範囲にはいわゆるアンボンドフレキシブルパイプ(Unbonded Flexible Pipe)が使用されることが非常に多い。この種の管は、通常はプラスチック管の形態の内部ライニングを、搬送される流体の漏出に対するバリアとして含むとともに、こうした内部ライニングの外側に1つまたは複数の補強層を含む。外圧が高い場合に内部ライニングが潰れてしまわないようにするために、アンボンドフレキシブルパイプは付加的な層を含むことができ、例えば内部ライニングの内側に1つまたは複数の補強層を含むことができる。この種の内側補強体は通常は、カーカスと呼ばれる。さらに、こうした補強層や内側に存在するポリマー製や金属製のさらなる機能層に外部周囲から液体が浸入するのを防ぐために、また外部の機械的負荷からの保護として、外部カバーが含まれることもある。
【0003】
典型的なアンボンドフレキシブルパイプは、例えば国際公開第01/61232号(WO 01/61232)、米国特許第6123114号明細書(US 6 123 114)および米国特許第6085799号明細書(US 6 085 799)に記載されており、さらにAPI推奨基準17B(API Recommended Practice 17B)、“Recommended Practice for Flexible Pipe”、第3版、2002年3月およびAPI仕様17J(API Specification 17J)、“Specification for Unbonded Flexible Pipe”、第2版、1999年11月に詳細に記載されている。
【0004】
本発明に関連する「アンボンド」なる表現は、補強層およびプラスチック層を含む層のうちの少なくとも2つが、粘着力によらずに互いに結合していることを意味する。実際には、管は少なくとも3つの補強層を含んでおり、これらの補強層は、管の長さにわたって直接的にも間接的にも、すなわち他の層を介しても、互いに結合していない。それによって、この管は曲げやすくかつ十分にフレキシブルであり、輸送の目的での巻取りが可能である。
【0005】
従来のアンボンドフレキシブルパイプにおいて、1つまたは複数の補強層は、大抵は、螺旋状に配置された鋼製線材、鋼製異形材または鋼製帯材からなり、その際、これらの個々の層は、この管の軸方向に対して様々な巻付け角度で形成されていることができ(軸力補強)、また主に周方向に巻かれた耐圧補強体を有することができる。そのようなアンボンドフレキシブルパイプにおいて、こうした鋼製部分は、搬送される媒体による腐食作用を受けている。それによって材料が選択され、また組立てにかかる費用が高いことから、この種の管は比較的高価である。特に深海における海洋採油のための比較的長いライザーにおいては、高自重であることは極めて不利である。
【0006】
数年来、熱可塑性複合パイプとも呼ばれる熱可塑性複合管を用いた開発に関する記載がなされている。この熱可塑性複合管とは、内部層体として熱可塑性材料製の単層または多層の内部ライナーを有する管である。この熱可塑性複合管には、例えば1方向の繊維強化テープを巻付けることにより複合層体が施与される。これは材料結合した状態で行われるが、大抵の場合には材料結合していない状態で行われる。この種の複合管は、例えば国際公開第95/07428号(WO 95/07428)および国際公開第99/67561号(WO 99/67561)に開示されている。その製造については、さらに国際公開第02/095281号(WO 02/095281)、国際公開第2006/107196号(WO 2006/107196)、国際公開第2012/118378号(WO 2012/118378)、国際公開第2012/118379号(WO 2012/118379)および国際公開第2013/188644号(WO 2013/188644)に記載されている。
【0007】
こうした複合管における一般的な問題点の1つに、材料の組合せが最適でない場合に、繊維に富むテープ層体と隣接面との間の付着力が不十分であり、例えば継手との連結や把持装置を用いた組立てといった特に海上での適用における設置時や運転中の応力や、こうした構造物が受ける厳しい試験条件に耐えられないという点が挙げられる。ここでは例示的に、急速ガス減圧試験(Rapid Gas Decompression Test)における、または強い曲げ力が作用した際の、層の剥離が挙げられる。したがって従来技術においては好ましくは、テープマトリックスと、隣接面、例えば内部ライナー外面とに対して、同種のポリマーを使用するという試みが行われている(これに関しては例えば、英国エディンバラで2009年に開催されたICCM 17会議におけるJ.L.C.G. de KanterおよびJ. Leijtenによる講演“Thermoplastic Composite Pipe: An Analysis And Testing Of A Novel Pipe System For Oil & Gas”を参照のこと)。
【0008】
単壁型ライナーを備えた熱可塑性複合パイプの場合には、低温範囲(持続温度約50℃まで)ではポリエチレン製のライナー管が使用され、約80℃までの比較的高温では例えばPA11やPA12といったポリアミド製のライナー管が使用される。これよりもさらに高温では、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)といった高価な材料が使用される。耐薬品性、耐老化性および温度安定性に関する要求を考慮すると、多くの場合、PA11またはPA12のマトリックスを有する複合体を使用することができる。異なる複合層から複合層体を作り上げることが合理的であるということがしばしば判明し、その際、これらの異なる複合層は、それぞれ異なるポリマーをベースとするマトリックスを有する。したがって多くの場合、外側に配置された複合層のマトリックスは、比較的安価であるかまたは高い可とう性を示すポリマーをベースとすることができる。このことが可能となるのは、管壁の外側範囲に対して課されている温度安定性、搬送すべき媒体に対する耐久性および拡散バリア作用の点での要求が、さほど高くないためである。しかし異なる材料を組合せた場合には一般に、異なる複合層の間で必要とされる付着力がどの程度達成されるかが問題となる。
【0009】
当業者は、異なる2つの熱可塑性層同士の結合が、材料の相容性または化学反応のいずれかによって生じうることを知っている。材料の相容性とは理想的には、これらが同一のポリマーである場合に得られる。多層管の開発や多成分系射出成形における経験から、例えば同時押出の際に溶融物の上に溶融物を載せる場合、温度を高めかつ滞留時間を延長すれば、化学結合を非常に良好に実現しうることが知られている。しかし、凝固した表面を高温の溶融物によりまず溶融させる必要があり、化学反応に利用できる時間がわずかしかない場合には、同一の材料組合せ物の良好な付着力を実現することは、非常により困難となる。ポリマーが同種であっても、そのようにして生じさせた結合の強度が不十分である場合がある。結合パートナーを双方ともに接合前にその表面上で溶融させてから互いに圧着させれば、より良好な結合が実現される。しかしこの場合にも、化学反応の時間が短いため、通常は、化学反応や材料相容性によって(つまり拡散プロセスによって)実現しなければならない結合よりも、同種のポリマー間での結合の方が良好な付着力を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第01/61232号
【特許文献2】米国特許第6123114号明細書
【特許文献3】米国特許第6085799号明細書
【特許文献4】国際公開第95/07428号
【特許文献5】国際公開第99/67561号
【特許文献6】国際公開第02/095281号
【特許文献7】国際公開第2006/107196号
【特許文献8】国際公開第2012/118378号
【特許文献9】国際公開第2012/118379号
【特許文献10】国際公開第2013/188644号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】API推奨基準17B(API Recommended Practice 17B)、“Recommended Practice for Flexible Pipe”、第3版、2002年3月
【非特許文献2】API仕様17J(API Specification 17J)、“Specification for Unbonded Flexible Pipe”、第2版、1999年11月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、熱可塑性複合管の製造方法であって、一方ではライナー、第1の複合層のテープマトリックスおよび後続の複合層のテープマトリックスの材料組合せにおける高い自由度を達成し、他方では臨界的な層界面で極めて良好な付着力を生じさせる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
基礎となる前述の課題は、異なるポリマーをベースとする複数のテープ層体を次のようにして互いに結合させることにより解決され、すなわち、フィルムを製造し、該フィルムの一方の表面が、第1の複合層のポリマーBを含み、該フィルムの他方の表面が、後続の複合層のポリマーCを含むようにして行う。次いで、このフィルムを、加熱しながら第1の複合層と結合させ、もう1つのステップにおいて加熱しながら後続の複合層の第1のテープ層体と結合させる。
【0014】
したがって本発明の対象は、以下:
a)壁部を有する管状のライナーを準備し、ここで、前記壁部は、外面の範囲に熱可塑性ポリマーAを含むものとするステップ、
b)補強用繊維をマトリックス中に含むテープを準備し、ここで、前記マトリックスは熱可塑性ポリマーBを含むものとするステップ、
c)補強用繊維をマトリックス中に含むテープを準備し、ここで、前記マトリックスは熱可塑性ポリマーCを含むものとするステップ、
ここで、ポリマーAとポリマーBとは同一であるかまたは異なり、ポリマーBとポリマーCとは異なるものとする、
d)前記管状のライナーに、ステップb)で準備したテープを溶着により施与するステップ、
e)必要に応じて、ステップd)で施与したテープ層体に、同種のさらなるテープ層体を材料結合の状態で施与するステップ、
f)そのように形成した第1の複合層に、フィルムか、またはフィルムとステップc)で準備したテープとからステップg)で製造する結合体を施与し、その際、その前に、それと同時にまたはそれに引き続き、前記第1の複合層の外面および前記フィルムの接触面を溶融させ、その際、前記フィルムの接触面の領域は、ポリマーBを少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも40質量%、特に好ましくは少なくとも50質量%、殊に好ましくは少なくとも60質量%、極めて特に好ましくは少なくとも70質量%含む成形材料からなり、前記フィルムの反対側の面(外面)の領域は、ポリマーCを少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも40質量%、特に好ましくは少なくとも50質量%、殊に好ましくは少なくとも60質量%、極めて特に好ましくは少なくとも70質量%含む成形材料からなるものとするステップ、
g)前記フィルムの外面に、ステップc)で準備したテープを施与し、その際、その前に、それと同時にまたはそれに引き続き、前記施与したフィルムの外面および前記テープの接触面を溶融させるステップ、
h)必要に応じて、ステップg)で施与したテープ層体に、同種のさらなるテープ層体を材料結合の状態で施与するステップ、
ここで、ステップg)および必要に応じてh)において、第2の複合層が生じるものとする、
i)必要に応じて最後に、高分子材料製の外部被覆層体を施与するステップ
を含む熱可塑性複合管の製造方法である。
【0015】
第1の実施形態において、ポリマーAとポリマーBとは同一である。この場合には、ステップd)において、テープをライナーの外面に直接施与し、その際、その前に、それと同時にまたはそれに引き続き、該ライナーの外面および該テープの接触面を溶融させる。
【0016】
第2の実施形態において、ポリマーAとポリマーBとは異なる。この場合には、テープとライナーとを次のようにして互いに結合させ、すなわち、フィルムを製造し、該フィルムの一方の表面が、ライナー表面のポリマーAを含み、該フィルムの他方の表面が、テープマトリックスのポリマーBを含むようにして行う。次いで、このフィルムを加熱しながらライナーと結合させ、もう1つのステップにおいて加熱しながら第1のテープ層体と結合させる。したがって、異なる複合層を結合させる場合と同一の構想が用いられる。したがってこの場合、ステップd)は、以下の部分ステップからなる:
d1)管状のライナーに、フィルムか、またはフィルムとステップb)で準備したテープとからステップd2)で製造する結合体を施与し、その際、その前に、それと同時にまたはそれに引き続き、前記ライナーの外面および前記フィルムの接触面を溶融させ、その際、前記フィルムの接触面の領域は、ポリマーAを少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも40質量%、特に好ましくは少なくとも50質量%、殊に好ましくは少なくとも60質量%、極めて特に好ましくは少なくとも70質量%含む成形材料からなり、前記フィルムの反対側の面(外面)の領域は、ポリマーBを少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも40質量%、特に好ましくは少なくとも50質量%、殊に好ましくは少なくとも60質量%、極めて特に好ましくは少なくとも70質量%含む成形材料からなるものとするステップ、
d2)前記フィルムの外面に、ステップb)で準備したテープを施与し、その際、その前に、それと同時にまたはそれに引き続き、前記施与したフィルムの外面および前記テープの接触面を溶融させるステップ。
【0017】
本発明につき以下に詳説するが、この説明は、別段の記載がない限り第1の実施形態にも第2の実施形態にも明らかに等しく関連するものである。
【0018】
管状のライナーは通常は、15~400mmの範囲内、好ましくは20~300mmの範囲内、特に好ましくは25~255mmの範囲内の内径を有する。その肉厚は通常は、2~40mmの範囲内であり、好ましくは2.5~30mmの範囲内であり、特に好ましくは3~20mmの範囲内である。ライナーは、単層であってもよいし多層であってもよい。ライナーが単層である場合には、このライナーは、成形材料であって、該成形材料全体を基準としてそれぞれ少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも40質量%、特に好ましくは少なくとも50質量%、極めて特に好ましくは少なくとも60質量%、殊に好ましくは少なくとも70質量%、少なくとも80質量%または少なくとも85質量%のポリマーAを含む成形材料からなる。ライナーが多層である場合には、外部層はこの成形材料からなり、内部層は、例えば搬送すべき媒体の成分に対する遮断作用や化学的な保護機能を示す成形材料からなることができる。内部層と外部層とは、付着促進剤層により互いに結合されていてよい。
【0019】
ポリマーAは例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリフタルアミド(PPA)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、フルオロポリマー、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン(PPSU)またはポリアリーレンエーテルケトン、例えばPEEKまたはPEKであってよい。好ましい一実施形態において、単層ライナーの成形材料あるいは多層ライナーの外部層の成形材料は、ポリマーA以外にさらなるポリマーを含まない。
【0020】
ステップb)およびc)で準備したテープは、補強用繊維を含む。この補強用繊維は例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ホウ素繊維、セラミック繊維(例えばAl2O3製またはSiO2製)、バサルト繊維、炭化ケイ素繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、液晶ポリエステル製繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリイミド製繊維、ポリエーテルイミド製繊維、ポリフェニレンスルフィド製繊維、ポリエーテルケトン製繊維およびポリエーテルエーテルケトン製繊維であってよい。ここでは、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維およびバサルト繊維が好ましい。繊維の横断面は例えば、円形、三角形、楕円形、長円形または繭状であることができる。その横断面が円形から逸脱した繊維(例えば扁平ガラス繊維)を用いると、完成部品における繊維充填度を高めることができ、ひいてはより高い強度を得ることができる。繊維を、短繊維として使用することも長繊維として使用することもでき、好ましくは連続繊維として使用することができ、これを例えば、織物の形態であるかまたは特に好ましくは1方向の繊維層体として使用することができる。
【0021】
テープにおける補強用繊維の体積割合は通常は、10~85%であり、好ましくは15~80%であり、特に好ましくは20~75%であり、殊に好ましくは25~70%である。
【0022】
ステップb)あるいはc)で準備したテープにおいて、補強用繊維の種類およびその体積割合は、異なっていてよい。
【0023】
このテープのマトリックスはそれぞれ、成形材料であって、該成形材料全体を基準としてそれぞれ少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも40質量%、特に好ましくは少なくとも50質量%、極めて特に好ましくは少なくとも60質量%、殊に好ましくは少なくとも70質量%、少なくとも80質量%または少なくとも85質量%のポリマーBあるいはポリマーCを含む成形材料からなる。ポリマーBあるいはポリマーCは例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリフタルアミド(PPA)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、フルオロポリマー、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン(PPSU)またはポリアリーレンエーテルケトン、例えばPEEKまたはPEKであってよい。ポリマーBとポリマーCとは、異なる。このことは、これらのポリマーの相違点は化学組成にあり、分子量、分枝度または末端基の相違は顕著でないことを意味する。第2の実施形態において、ポリマーAとポリマーBとの相違についても同様のことが該当する。
【0024】
これらのテープを、従来技術のいずれの方法によって製造してもよい。1方向の連続繊維強化テープの製造は例えば、欧州特許出願公開第0056703号明細書(EP 0 056 703 A1)、欧州特許出願公開第0364829号明細書(EP 0 364 829 A2)、米国特許第4883625号明細書(US 4 883 625)、国際公開第2012/149129号(WO 2012/149129)、国際公開第2013/188644号(WO 2013/188644)および国際公開第2014/140025号(WO 2014/140025)に詳細に記載されている。考えられる製造方法は例えば、溶融物の施与、ポリマー溶液への含浸および溶媒の除去、フィルムの含浸または粉末の含浸である。
【0025】
通常は、使用するテープは、5~500mmの幅、好ましくは8~200mmの幅を有し、一方で厚さは通常は、0.1~1mmの範囲内であり、好ましくは0.1~0.5mmの範囲内であり、特に好ましくは0.15~0.35mmの範囲内である。複合層体全体、つまりすべてのテープ層体あるいは複合層の合計はこの場合、1~100mmの範囲内であり、好ましくは5~90mmの範囲内であり、特に好ましくは10~80mmの範囲内である。異なるテープ層体に対して、異なるテープジオメトリを用いることができる。使用するテープは、それぞれ適した横断面を有することができる。さらに、異なるテープ層体に対して異なる補強用繊維を使用することができる。
【0026】
ポリマーA、ポリマーBおよびポリマーCに関して例示的に挙げたポリマーは、当業者に十分に知られており、多数の品種で市販されているため、これ以上の詳細な説明は不要である。ポリオレフィンとしては例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンまたは架橋ポリエチレンが挙げられる。適切なポリアミドは例えば、PA6、PA66、PA610、PA88、PA8、PA612、PA810、PA108、PA9、PA613、PA614、PA812、PA128、PA1010、PA10、PA814、PA148、PA1012、PA11、PA1014、PA1212およびPA12、またはこれらのポリアミドのうちの1つをベースとするポリエーテルアミドもしくはポリエーテルエステルアミドである。ポリフタルアミドは例えば、PA66/6T、PA6/6T、PA6T/MPMDT(MPMDは、2-メチルペンタメチレンジアミンを表す)、PA9T、PA10T、PA11T、PA12T、PA14T、PA6T/6I、PA6T/10T、PA6T/12、PA10T/11、PA10T/12もしくはPA612/6Tであってよい。フルオロポリマーとしては例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、第3成分、例えばプロペン、ヘキサフルオロプロペン、フッ化ビニルまたはフッ化ビニリデンで変性されたETFE(例えばEFEP)、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体(E-CTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル-テトラフルオロエチレン共重合体(CPT)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロペン-フッ化ビニリデン共重合体(THV)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロペン共重合体(FEP)またはテトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が適している。ここでは、フッ化ビニリデンをベースとし、他のモノマー、例えばトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、エチレン、プロペンおよびヘキサフルオロプロペンを40質量%まで有する共重合体も挙げられる。
【0027】
本発明により使用される成形材料は、ポリマーAあるいはポリマーBあるいはポリマーCの他に、必要に応じてさらなるポリマーおよび通常の助剤または添加剤を含むことができる。好ましい一実施形態において、ライナーの成形材料は、ポリマーA以外にさらなるポリマーを含まない。もう1つの実施形態においては、ライナーの成形材料も、第1の複合層のテープの成形材料も、ポリマーAあるいはポリマーB以外にさらなるポリマーを含まない。
【0028】
ステップf)で施与するフィルムは、第1の実施形態においては単層フィルムであり、第2の実施形態においては多層フィルムである。
【0029】
第1の実施形態の場合には、フィルムの熱可塑性樹脂分は、成形材料であって、該成形材料全体を基準としてそれぞれ少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも35質量%、特に好ましくは少なくとも40質量%のポリマーBと、少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも35質量%、特に好ましくは少なくとも40質量%のポリマーCとを含む成形材料からなる。ポリマーBとポリマーCとは異なるため、これらは通常は互いに相容性を示さない。この場合には、これらの成形材料が相容性促進剤を含まなければならないか、またはポリマーBおよびCの双方が少なくとも部分的に化学反応によって互いに結合しているかのいずれかである。
【0030】
相容性促進剤を含む成形材料の一例は、例えばPA11やPA12のようなポリアミドを少なくとも30質量%と、例えばPVDFのようなフルオロポリマーを少なくとも30質量%と、有効量のアクリレートコポリマーとを含む成形材料である。適切なアクリレートコポリマーは例えば、欧州特許出願公開第0673762号明細書(EP 0 673 762 A2)に開示されている。アクリレートコポリマーは、成形材料中に例えば0.1~10質量%含まれていてよく、成形材料を製造する際には、フルオロポリマーとアクリレートコポリマーとを溶融物中で予備混合することが合理的である。
【0031】
化学結合を有する成形材料の一例は、例えばPA11やPA12のようなポリアミド少なくとも30質量%と、例えばPA6T/6、PA6T/66、PA6T/6I、PA6T/10TまたはPA6T/12のような半芳香族ポリアミドあるいはポリフタルアミド(PPA)少なくとも30質量%とを含む成形材料である。ここで、溶融混合の際に、高温ゆえにアミド基転移反応が生じ、それによってPA11ブロックまたはPA12ブロックとPPAブロックとを有するブロック共重合体が生じる。このブロック共重合体が、両成分の間での相容性促進剤として作用する。
【0032】
第2の実施形態において、多層フィルムは、最も単純なケースでは2層からなる。好ましくは、多層フィルムは3層からなる。しかし、多層フィルムが4層、5層またはそれを上回る層からなることもできる。層の数に課されている制約は、それを上回ると制限なく薄い層を押出すことができなくなってしまうという上限のみである。したがって実施可能性の理由から、上限は9層であり、好ましくは7層である。
【0033】
2層フィルムの例は、以下の通りである:
- 第1の複合層に向いた層は、ポリマーB 50~80質量%とポリマーC 20~50質量%とを含む成形材料からなり、第2の複合層に向いた層は、ポリマーC 50~80質量%とポリマーB 20~50質量%とを含む成形材料からなる。これら2つの成形材料は、好ましくはさらに相容性促進剤を0.1~10質量%含む。この場合、パーセンテージのデータは、以下の例と同様に、それぞれの層の成形材料全体を基準としたものである。
【0034】
- 第1の複合層がPVDF製の外面を有する場合には、この第1の複合層に向いたフィルムの層は、PVDF少なくとも30質量%と、欧州特許出願公開第0673762号明細書(EP 0 673 762 A2)に開示されたアクリレートコポリマー2.5~50質量%とを含む成形材料からなり、第2の複合層に向いた層の少なくとも50質量%は、第2の複合層のマトリックスと同一のポリアミド、例えばPA11またはPA12からなる。
【0035】
- 第1の複合層がPPA製の外面を有する場合には、この第1の複合層に向いたフィルムの層は、同一のPPA少なくとも40質量%を含む成形材料からなり、第2の複合層に向いた層の少なくとも50質量%は、第2の複合層のマトリックスと同一のポリアミド、例えばPA11またはPA12からなる。これらの成形材料はいずれもさらに、酸無水物基含有ポリオレフィン系耐衝撃性改良剤0.1~25質量%を含むことができる。
【0036】
- 第1の複合層がPPS製の外面を有する場合には、この第1の複合層に向いたフィルムの層は、PPS少なくとも50質量%と、酸無水物基含有ポリオレフィン系耐衝撃性改良剤3~30質量%とを含む成形材料からなり、この耐衝撃性改良剤はアクリレート成分を含むこともでき(商品名、例えばLOTADER(登録商標))、第2の複合層に向いた層の少なくとも50質量%は、第2の複合層のマトリックスと同一のポリアミド、例えばPA11またはPA12からなる。
【0037】
- 第1の複合層がPA11製の外面またはPA12製の外面を有する場合には、この第1の複合層に向いたフィルムの層は、同一のポリアミド少なくとも40質量%と、酸無水物基含有ポリプロピレンまたは酸無水物基含有ポリエチレン30~60質量%とを含む成形材料からなり、第2の複合層に向いた層の少なくとも50質量%は、第2の複合層のマトリックスと同一のポリプロピレンまたはポリエチレンからなる。
【0038】
- 第1の複合層がPEEK製の外面を有する場合には、この第1の複合層に向いたフィルムの層は、PEEK少なくとも30質量%と、ポリイミドまたはポリエーテルイミド20~70質量%とを含む成形材料からなり、第2の複合層に向いた層の少なくとも50質量%は、第2の複合層のマトリックスと同一のPPAからなり、その際、この層のPPAは好ましくは、付着力向上のために過剰量のアミノ末端基を含む。第2の複合層のPPAは、末端基含分の点でこれとは異なることができる。
【0039】
3層フィルムの例は、以下の通りである:
- 第1の複合層に向いた層は、ポリマーBを少なくとも40質量%含む成形材料からなる。これに続いて、ポリマーB少なくとも30質量%と、ポリマーC少なくとも30質量%と、必要に応じて相容性促進剤0.1~20質量%とを含む成形材料でできた付着促進剤層が存在する。第2の複合層に向いた層は、ポリマーCを少なくとも40質量%含む。
【0040】
- 第1の複合層がPVDF製の外面を有する場合には、この第1の複合層に向いたフィルムの層は、PVDFを少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも50質量%含む成形材料からなる。これに続いて、欧州特許出願公開第0673762号明細書(EP 0 673 762 A2)に記載のアクリレートコポリマーでできた、または欧州特許出願公開第0618390号明細書(EP 0 618 390 A1)に記載のポリアミド/アクリレートコポリマー混合物でできた、付着促進剤層が存在する。第2の複合層に向いた層の少なくとも50質量%は、付着促進剤層のポリアミドと同様に第2の複合層のマトリックスと同一のポリアミドからなり、この例は、PA11またはPA12である。
【0041】
- 第1の複合層がPPA製の外面を有する場合には、この第1の複合層に向いたフィルムの層は、同一のPPAを少なくとも40質量%含む成形材料からなる。これに続いて、このPPA少なくとも30質量%と、これに結合可能なポリアミド少なくとも30質量%とを含む成形材料でできた付着促進剤層が存在する。第2の複合層に向いた層の少なくとも50質量%は、第2の複合層のマトリックスと同一のポリアミド、例えばPA11またはPA12からなる。
【0042】
- 第1の複合層がPPS製の外面を有する場合には、この第1の複合層に向いたフィルムの層は、PPSを少なくとも50質量%含む成形材料からなる。これに続いて、PPS少なくとも50質量%と、酸無水物基含有ポリオレフィン系耐衝撃性改良剤3~30質量%とを含む成形材料でできた付着促進剤層が存在し、この耐衝撃性改良剤はアクリレート成分を含むこともできる(商品名、例えばLOTADER(登録商標))。第2の複合層に向いた層の少なくとも50質量%は、第2の複合層のマトリックスと同一のポリアミド、例えばPA11またはPA12からなる。
【0043】
- 第1の複合層がPA11製の外面またはPA12製の外面を有する場合には、この第1の複合層に向いたフィルムの層は、同一のポリアミドを少なくとも40質量%含む成形材料からなる。これに続いて、(第2の複合層のマトリックスがポリエチレンをベースとする場合には)酸無水物で官能化されたポリエチレンまたは(第2の複合層のマトリックスがポリプロピレンをベースとする場合には)酸無水物で官能化されたポリプロピレンでできた付着促進剤層が存在する。第2の複合層に向いた層の少なくとも50質量%は、第2の複合層のマトリックスと同一のポリエチレンまたはポリプロピレンからなる。
【0044】
- 第1の複合層がPEEK製の外面を有する場合には、この第1の複合層に向いたフィルムの層は、PEEKを少なくとも40質量%含む成形材料からなる。これに続いて、ポリイミドまたはポリエーテルイミドを少なくとも50質量%含む成形材料でできた付着促進剤層が存在する。第2の複合層に向いた層の少なくとも50質量%は、第2の複合層のマトリックスと同一のPPAからなり、その際、この層のPPAは好ましくは、付着力向上のために過剰量のアミノ末端基を含む。第2の複合層のマトリックスのPPAは、末端基含分の点でこれとは異なることができる。
【0045】
これらの例における質量%のデータは単なる例示であり、特許請求の範囲および明細書における包括的なデータに応じて変動しうる。
【0046】
第2の実施形態の場合、ライナーと、第1の複合層の第1のテープ層体とを、ステップd)において同様に、中間に位置する相応するフィルムによって結合させる。ここでは、ステップf)で施与するフィルムについての上記記載と同一の実施形態が該当する。単に、「第1の複合層」なる概念を「ライナー」に置き換え、「ポリマーB」なる概念を「ポリマーA」に置き換え、「ポリマーC」なる概念を「ポリマーB」に置き換え、「第2の複合層」なる概念を「第1の複合層」に置き換えるだけである。
【0047】
どちらの実施形態の場合にも、単層フィルムを公知の様式で押出法によって製造し、多層フィルムも同様に公知の様式で同時押出法、押出被覆法または積層法によって製造する。
【0048】
施与すべきフィルムは通常は、テープとして存在する。このフィルムテープを、第1の複合層あるいはライナーの周囲に螺旋状に巻付け、その際、角度はテープ幅および管直径に依存する。重要なのは、第1の複合層の外面あるいはライナーの外面を十分にすきまなく、好ましくは実質的に完全にすきまなく覆うことのみであり、このフィルム層体をシワなく巻付けることができれば、巻付け角度は基本的には重要ではない。好ましくは、重なりもすきまも生じないようにフィルムを巻付ける。しかし、わずかな重なりやすきまは、場合によっては許容されうる。この巻付けを、巻付け張力またはクランプ装置によって生じるクランプ圧下で行う。フィルムの引張強さを高め、ひいては巻付け時に軟化したフィルムが破断してしまうのを防ぐために、1つまたは複数のフィルム層は、1方向の補強用繊維を含むことができる。しかしこの場合には、隣接する層の付着力を低下させないようにするために、繊維含分が高くなりすぎることのないように繊維含分を選択することが推奨される。総じて、繊維含分は3~20体積%の範囲内で十分である。これらのうち特別な一実施形態は、フィルムが3層以上からなり、(フィルムが3層の場合には)中央の層か、または(フィルムが4層以上からなる場合には)中央の層のうちの少なくとも1つは、1方向の補強用繊維を含む。この場合、繊維含分は例えば、3~40体積%の範囲内である。1方向の補強用繊維は総じて、フィルムテープの軸方向に配向している。繊維強化層を含むこの種の多層フィルムを例えば、個々の層を積層することにより、補強済みの層の上に未補強層を押出すことにより、または広げた繊維層体の上に成形材料を押出すことにより、製造することができる。
【0049】
考えられる一実施形態において、準備したフィルムと、後続の複合層の第1のテープ層体のテープとを直接、面状に結合させ、その際、このテープと相応するポリマーに富むフィルム面とを互いに溶着させる。この実施形態の場合、ステップd2)あるいはステップg)を先行して行う。この実施形態の利点の1つは、フィルムがテープで補強されているため、このフィルムが必要な巻付け張力によって破断する可能性がないという点にある。このような結合体を例えば、テープおよびフィルムの積層により製造することができる。
【0050】
重要な点は、第1の複合層とフィルムとを溶着させる際に、あるいはライナーとフィルムとを溶着させる際に、2つの接触面を溶融させることである。一実施形態において、2つの接触面を、例えば赤外線放射、熱風、高温ガス、レーザー放射、マイクロ波放射によって、または接触加熱によって直接、溶融させる。次いで、溶融させたこれらの接触面を、例えば巻付け張力を用いて、またはクランプ体、例えばローラまたはジョーを用いて互いに圧着させる。その場合、溶融させた範囲が凝固するまでクランプ圧を保持することが望ましい。もう1つの実施形態においては、フィルムを巻付け、次いでこれを間接的または直接的に、加熱可能なクランプ体を用いて外部から溶融させる。この際に第1の複合層の外面あるいはライナーの外面も溶融するように、加熱出力を調節する必要がある。その後、溶融させた範囲が凝固するまでクランプ圧を保持する。このプロセスを、例えば国際公開第2012/118379号(WO 2012/118379)に記載されているような巻回ステーションとそれに続く後続の硬化ステーションとを用いて行うことができる。
【0051】
フィルムの厚さは、巻付け力を受けうるのに十分な厚さでなければならない。他方で、フィルムは十分に曲げやすくなければならない。フィルムは通常は、0.1~3mmの範囲内、好ましくは0.3~2mmの範囲内、特に好ましくは0.5~1.2mmの範囲内の厚さを有する。
【0052】
ステップd2)あるいはg)において、そのようにして得られた構造体に、あるいはポリマーB[ステップd2)]またはポリマーC[ステップg)]に富むフィルム表面に、クランプ圧をかけながらテープを施与する。必要なクランプ圧は、フィルムにおいて、巻付け張力によって達成することも、クランプ体を用いて達成することもできる。ここでも、一実施形態において、2つの接触面を、例えば赤外線放射、熱風、高温ガス、レーザー放射、マイクロ波放射によって、または接触加熱によって溶融させる。次いで、溶融させたこれらの接触面を、互いに圧着させる。その場合、溶融させた範囲が凝固するまでクランプ圧を保持することが望ましい。もう1つの実施形態においては、テープを巻付け、次いでこれを間接的または直接的に、加熱可能なクランプ体を用いて外部から溶融させる。この際に予め施与したフィルムの外面も溶融するように、加熱出力を調節する必要がある。その後、溶融させた範囲が凝固するまでクランプ圧を保持する。テープを巻付け、必要に応じてその上にステップe)およびh)でさらなるテープ層体を巻付けることは、従来技術である。したがって、この方法の詳細な説明は不要である。詳細については、本明細書の冒頭に記載した従来技術が参照されよう。
【0053】
適用の観点から必要な場合には、先行する複合層との材料結合が保証されうるのであれば、ステップh)に続いて、他のポリマーをベースとする成形材料でできたマトリックスを有する1つまたは複数のさらなる複合層を施与することができる。例えば、上記と同様に、相応して構成される単層または多層のフィルムによって付着力を生じさせることができる。こうしたさらなる複合層が存在する場合にも、テープにおける補強用繊維の体積割合は通常は、10~85%であり、好ましくは15~80%であり、特に好ましくは20~75%であり、殊に好ましくは25~70%であり、その際、繊維は好ましくは、1方向の繊維層体として存在する。
【0054】
外部複合層を保護するために、必要に応じて最後に、複合層体に続く層を、補強済みまたは未補強の高分子材料製の外部被覆層体として施与することができる。これは、熱可塑性成形材料であるか、または熱可塑性もしくは架橋可能なもしくは架橋されたエラストマーである。好ましくは、この被覆層体は、外部テープ層体にしっかりと付着する。このためには、外部複合層のマトリックス中と同一のポリマーまたはこれと相容性を示すポリマーを少なくとも30質量%含む被覆層体材料を選択することが好ましい。この場合、被覆層体を例えば、クロスヘッド押出ダイを用いて施与することができ、そのようにして、外部複合層と材料結合させることができる。しかし、被覆層体が、外部複合層の材料との相容性を示さないポリマーをベースとしている場合には、上記と同様に、相応して構成される単層または多層のフィルムによって付着力を生じさせることができる。付着力を、架橋可能なエラストマーの架橋によって生じさせることもできる。
【0055】
本発明による方法を用いて製造することができる熱可塑性複合管も、本発明の対象である。該熱可塑性複合管は、内側から外側に向かって、以下の構成要素:
a)壁部を有する管状のライナー、ここで、前記壁部は、外面の範囲に熱可塑性ポリマーAを含むものとする、
b)ポリマーAとポリマーBとが異なる場合のみ存在する、前記ライナーと直接かつ材料結合の状態で結合した中間層体、ここで、前記ライナーと結合した接触面の領域は、ポリマーAを少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも40質量%、特に好ましくは少なくとも50質量%、殊に好ましくは少なくとも60質量%、極めて特に好ましくは少なくとも70質量%含む成形材料からなり、反対側の、引き続く第1の複合層と結合した接触面の領域は、熱可塑性ポリマーBを少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも40質量%、特に好ましくは少なくとも50質量%、殊に好ましくは少なくとも60質量%、極めて特に好ましくは少なくとも70質量%含む成形材料からなるものとする、
c)前記ライナーの外面あるいは前記中間層体と直接かつ材料結合の状態で結合した第1の複合層、ここで、該第1の複合層は、マトリックス中に補強用繊維を含み、該マトリックスは、ポリマーBを含むものとする、
d)前記第1の複合層と直接かつ材料結合の状態で結合した中間層体、ここで、前記第1の複合層と結合した接触面の領域は、ポリマーBを少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも40質量%、特に好ましくは少なくとも50質量%、殊に好ましくは少なくとも60質量%、極めて特に好ましくは少なくとも70質量%含む成形材料からなり、反対側の、第2の複合層と結合した接触面の領域は、ポリマーCを少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも40質量%、特に好ましくは少なくとも50質量%、殊に好ましくは少なくとも60質量%、極めて特に好ましくは少なくとも70質量%含む成形材料からなるものとする、
e)前記中間層体と直接かつ材料結合の状態で結合した第2の複合層、ここで、該第2の複合層は、マトリックス中に補強用繊維を含み、該マトリックスは、ポリマーCを含むものとする、
f)必要に応じて、高分子材料製の外部被覆層体
を含み、ここで、ポリマーAとポリマーBとは同一であるかまたは異なり、ポリマーBとポリマーCとは異なるものとする。
【0056】
好ましくは、熱可塑性複合管は、構成要素a)、c)~e)もしくはa)、c)~f)からなる(第1の実施形態)か、または構成要素a)~e)もしくはa)~f)からなる(第2の実施形態)。
【0057】
この熱可塑性複合管の詳細な実施形態は、製造方法に関する上記記載から明らかである。
【0058】
本発明による方法において、臨界的な処理ステップにおいて同一のポリマーを結合させることにより、付着レベルの向上が達成される。さらに、単層のライナー管を使用することができる。したがって、既存の大型の管の押出装置を、改造せずにそのまま利用することができる。それと同時に、複合層体のマトリックスまたは第2の複合層のマトリックスについて、ライナーのポリマーよりも廉価であるかまたは応用技術的により有利なポリマーを選択することができる。
【0059】
本発明による管は、特に油やガスの採掘における海上での適用に適しており、例えば生成物をプラットフォームへ輸送するために、鋼製導管へ接続するために、輸送用導管として、特に例えばアンビリカルとして、ライザーとして、ジャンパー導管として、フローラインとして、インターベンション用導管として、ダウンラインとして、噴射用導管としてまたは圧力導管として、適している。場合により圧力下にある炭化水素またはその混合物、例えば原油、粗ガス、3相系物(すなわち油/ガス/水混合物)、処理済み油(既に海底で部分的に後処理されたもの)、処理済みガス、ガソリンまたはディーゼル機関用燃料、噴射媒体、例えば水(例えば空洞内の圧力を保持するための)、油田用薬品、メタノールまたはCO2を輸送するための、および(例えば海底の作動装置用の)作動油を案内するための使用も、同様に本発明の対象である。さらに、本発明による管は、陸上範囲での、または他の工業用途での圧力伝達体としても適しており、特に管と接続要素との間で摩擦結合の状態で管の軸方向に比較的大きな力を伝達しなければならない工業用途での圧力伝達体としても適している。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
a)壁部を有する管状のライナーを準備し、ここで、前記壁部は、外面の範囲に熱可塑性ポリマーAを含むものとするステップ、
b)補強用繊維をマトリックス中に含むテープを準備し、ここで、前記マトリックスは熱可塑性ポリマーBを含むものとするステップ、
c)補強用繊維をマトリックス中に含むテープを準備し、ここで、前記マトリックスは熱可塑性ポリマーCを含むものとするステップ、
ここで、ポリマーAとポリマーBとは同一であるかまたは異なり、ポリマーBとポリマーCとは異なるものとする、
d)前記管状のライナーに、ステップb)で準備したテープを溶着により施与するステップ、
e)必要に応じて、ステップd)で施与したテープ層体に、同種のさらなるテープ層体を材料結合の状態で施与するステップ、
f)そのように形成した第1の複合層に、第1のフィルムか、または第1のフィルムとステップc)で準備したテープとからステップg)で製造する結合体を施与し、その際、その前に、それと同時にまたはそれに引き続き、前記第1の複合層の外面および前記第1のフィルムの接触面を溶融させるステップ、
g)前記第1のフィルムの外面に、ステップc)で準備したテープを施与し、その際、その前に、それと同時にまたはそれに引き続き、前記施与した第1のフィルムの外面および前記テープの接触面を溶融させるステップ、
h)必要に応じて、ステップg)で施与したテープ層体に、同種のさらなるテープ層体を材料結合の状態で施与するステップ、
ここで、ステップg)および必要に応じてh)において、第2の複合層が生じるものとする、
i)必要に応じて最後に、高分子材料製の外部被覆層体を施与するステップ
を含む熱可塑性複合管の製造方法であって、
前記第1の複合層と接触させる前記第1のフィルムの表面は、ポリマーBを少なくとも30質量%含む成形材料からなり、前記第1のフィルムの反対側の面は、ポリマーCを少なくとも30質量%含む成形材料からなる方法。
【請求項2】
前記第1のフィルムと、前記ステップc)で準備したテープとを、該テープと該第1のフィルムのポリマーCに富む面とが互いに溶着するように、前記ステップf)の前に互いに面状に結合させることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ポリマーAと前記ポリマーBとは異なっており、前記ステップd)は、以下の部分ステップ:
d1)前記管状のライナーに、第2のフィルムか、または第2のフィルムとステップb)で準備したテープとからステップd2)で製造する結合体を施与し、その際、その前に、それと同時にまたはそれに引き続き、前記ライナーの外面および前記第2のフィルムの接触面を溶融させるステップ、
d2)前記第2のフィルムの外面に、ステップb)で準備したテープを施与し、その際、その前に、それと同時にまたはそれに引き続き、前記施与した第2のフィルムの外面および前記テープの接触面を溶融させるステップ
からなり、
前記ライナーと接触させる前記第2のフィルムの表面は、ポリマーAを少なくとも30質量%含む成形材料からなり、前記第2のフィルムの反対側の面は、ポリマーBを少なくとも30質量%含む成形材料からなることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
最後に、高分子材料製の外部被覆層体を施与することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記第1のフィルムおよび前記必要に応じて使用する第2のフィルムは、2層、3層またはそれを上回る層からなり、これらの層は、互いに材料結合の状態で結合していることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記第1あるいは第2のフィルムの少なくとも1つの層は、1方向の補強用繊維を含むことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記ライナーの前記ポリマーAは、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリフタルアミド、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、フルオロポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホンおよびポリアリーレンエーテルケトンの群から選択されることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記ステップb)で準備するテープの前記ポリマーBは、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリフタルアミド、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、フルオロポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホンおよびポリアリーレンエーテルケトンの群から選択されることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記ステップc)で準備するテープの前記ポリマーCは、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリフタルアミド、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、フルオロポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホンおよびポリアリーレンエーテルケトンの群から選択されることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記ステップb)あるいは前記ステップc)で準備するテープの繊維強化体は、1方向の繊維層体として存在することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記ステップb)あるいは前記ステップc)で準備するテープの繊維割合は、10~85体積%であることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記ステップb)あるいは前記ステップc)で準備するテープの繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ホウ素繊維、セラミック繊維、バサルト繊維、炭化ケイ素繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、液晶ポリエステル製繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリイミド製繊維、ポリエーテルイミド製繊維、ポリフェニレンスルフィド製繊維、ポリエーテルケトン製繊維およびポリエーテルエーテルケトン製繊維の群から選択されることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
内側から外側に向かって、以下の構成要素:
a)壁部を有する管状のライナー、ここで、前記壁部は、外面の範囲に熱可塑性ポリマーAを含むものとする、
b)ポリマーAとポリマーBとが異なる場合のみ存在する、前記ライナーと直接かつ材料結合の状態で結合した中間層体、ここで、前記ライナーと結合した接触面の領域は、ポリマーAを少なくとも30質量%含む成形材料からなり、反対側の、引き続く第1の複合層と結合した接触面の領域は、熱可塑性ポリマーBを少なくとも30質量%含む成形材料からなるものとする、
c)前記ライナーの外面あるいは前記中間層体と直接かつ材料結合の状態で結合した第1の複合層、ここで、該第1の複合層は、マトリックス中に補強用繊維を含み、該マトリックスは、ポリマーBを含むものとする、
d)前記第1の複合層と直接かつ材料結合の状態で結合した中間層体、ここで、前記第1の複合層と結合した接触面の領域は、ポリマーBを少なくとも30質量%含む成形材料からなり、反対側の、第2の複合層と結合した接触面の領域は、ポリマーCを少なくとも30質量%含む成形材料からなるものとする、
e)前記中間層体と直接かつ材料結合の状態で結合した第2の複合層、ここで、該第2の複合層は、マトリックス中に補強用繊維を含み、該マトリックスは、ポリマーCを含むものとする、
f)必要に応じて、高分子材料製の外部被覆層体
を含む熱可塑性複合管であって、
ポリマーAとポリマーBとは同一であるかまたは異なり、ポリマーBとポリマーCとは異なる、熱可塑性複合管。
【請求項14】
アンビリカル、ライザー、ジャンパー導管、フローライン、インターベンション用導管、ダウンライン、噴射用導管または圧力導管であることを特徴とする、請求項13記載の熱可塑性複合管。
【請求項15】
原油、粗ガス、3相系物、処理済み油、処理済みガス、ガソリン、ディーゼル機関用燃料もしくは噴射媒体を輸送するための、または作動油を案内するための、請求項13または14記載の熱可塑性複合管の使用。
【請求項16】
前記ステップf)で施与されるフィルムは単層フィルムである、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記成形材料は、さらに相溶性促進剤を含むか、あるいは化学結合を有する、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記フィルムは、押出法、同時押出法、押出被覆法または積層法によって製造される、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。