(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122967
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】ハイブリッド電動飛行機を使用する地域航空交通網を実施するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G08G 5/00 20060101AFI20220816BHJP
G01C 21/36 20060101ALI20220816BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20220816BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
G08G5/00 A
G01C21/36
B64C39/02
B64D27/24
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022090363
(22)【出願日】2022-06-02
(62)【分割の表示】P 2020173683の分割
【原出願日】2015-08-27
(31)【優先権主張番号】62/043,990
(32)【優先日】2014-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】517071782
【氏名又は名称】ズーナム エアロ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】クナップ,バートン,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】クマール,アシシュ,アンドリュー
(57)【要約】
【課題】コスト効果がより高く、かつ便利な地域航空輸送システム提供することによって、地域移動に使用される場合がある現在の航空輸送システムの不利点を克服するためのシステム、装置、及び方法を提供する。
【解決手段】いくつかの実施形態では、本発明の航空輸送システム、運航方法、及び関連する航空機は、効率が高いプラグインの一連のハイブリッド電気パワートレイン(地域的な距離で運航する航空機のために特に最適化された)と、総合的な輸送システム及び関連する技術が開発されると電気式の航空サービスのより初期の効果を可能にする、前方互換性のある、距離が最適化された航空機設計と、パワートレインの半自動最適化及び半自動制御のため、ならびに地域距離のハイブリッド電動飛行機の飛行のための飛行経路の決定の半自動最適化のためのプラットフォームと、を含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド電気動力源航空機であって、
エネルギーの供給源であって、保存電気エネルギーの供給源及び発電機によって提供される発電エネルギーの供給源を含む、前記エネルギーの供給源と、
パワートレインであって、前記エネルギーの供給源から入力エネルギーとして受容し、対応して1つ以上の電動モーターを動作するように動作可能な前記パワートレインと、
1つ以上のプロパルサーであって、各プロパルサーが前記1つ以上の電動モーターのうちの少なくとも1つに連結される前記プロパルサーと、
命令の第1の組がプログラムされた電子プロセッサであって、実行されたときに、前記命令の第1の組が前記航空機の前記動作を管理するための1つ以上の機能又はプロセスを提供し、これらの機能又はプロセスが、
前記保存電気エネルギーの量及び前記航空機に対して現在利用可能な発電機燃料の量の状況を判定し、
前記航空機がその意図される目的地に到達できるように必要な保存電気エネルギーの量及び発電機燃料の量を判定し、
前記航空機に対して現在利用可能な発電エネルギーの前記供給源によって発電することができるエネルギーの量を判定し、
保存電気エネルギー及び発電エネルギーの前記供給源からどのようにしてエネルギーを最適に取り出すかを決定し、かつ
前記パワートレインの構成要素の故障又は異常な動作の場合に、飛行の継続のために前記パワートレインの再構成及び改訂した制御ストラテジを決定するための機能又はプロセスを含む前記電子プロセッサと、
命令の第2の組がプログラムされた電子プロセッサであって、実行されたときに、前記命令の第2の組が前記航空機のために飛行を計画するための1つ以上の機能又はプロセスを提供し、これらの機能又はプロセスが、
前記航空機に対して現在利用可能な保存電気エネルギー及び発電機燃料の前記合計量に関するデータにアクセスし、
前記航空機に対して現在利用可能な保存電気エネルギー及び発電機燃料の量が前記航空機がその意図される目的地に到達できるために十分であるかどうかを判定し、これが保存エネルギーが独占的に使用される第1の航空機運航モードの考慮及び保存電気エネルギーと発電エネルギーとの組み合わせが使用される第2の航空機運航モードの考慮を含み、
前記航空機に対して現在利用可能な前記保存電気エネルギー及び発電機燃料の量が前記航空機がその意図される目的地に到達できるために十分である場合、前記意図される目的地へのルートを計画し、
前記航空機に対して現在利用可能な前記保存電気エネルギー及び発電機燃料の量が前記航空機がその意図される目的地に到達できるために十分である場合、どのようにして前記意図される目的地への前記計画されたルートにわたって前記保存電気エネルギー及び発電エネルギーの供給源からエネルギーを最適に取り出すかを計画し、
前記航空機に対して現在利用可能な前記保存電気エネルギー及び発電機燃料の量が前記航空機がその意図される目的地に到達できるために不十分である場合、中間目的地へのルートを計画し、中間目的地へのルートを計画することが、
1つ以上の可能なエネルギー供給者及び/又は燃料供給者を決定することと、
利用可能な保存電気エネルギー及び発電機燃料が、前記供給者のうちの少なくとも1つへ到達するために十分であるかどうかを判定することと、
前記少なくとも1つの供給者へのルートを作り出すことと、
前記ルートにわたってどのように最適にエネルギーを取り出すかを計画することとをさらに含む、ための機能又はプロセスを含む前記電子プロセッサと、
ルート計画又は再充電及び燃料補給供給源のうちの1つ以上に関するデータを交換するために、前記航空機からのデータを遠隔のデータ処理プラットフォームもしくはオペレーターに転送すること及び前記遠隔のデータ処理プラットフォームもしくはオペレーターからのデータを受信することを可能にするために動作可能な通信要素(複数可)と、を備える前記航空機。
【請求項2】
前記1つ以上のプロパルサーが、ダクト又はシュラウドの中に位置付けられた送風機である、請求項1に記載の航空機。
【請求項3】
前記発電エネルギーの供給源が、燃料の供給源をエネルギーへと変換するように動作する発電機である、請求項1に記載の航空機。
【請求項4】
前記航空機が、短距離離着陸モードでの使用のために前記1つ以上のプロパルサーを構成することができるようにする構成要素及びプロセスをさらに含む、請求項2に記載の航空機。
【請求項5】
前記遠隔のデータ処理プラットフォームが、前記航空機のための再充電及び/又は燃料補給プラットフォームと関連付けられる、請求項1に記載の航空機。
【請求項6】
前記航空機のための前記再充電及び/又は燃料補給プラットフォームが、
再充電及び/又は燃料補給サービス供給者に関する情報を保存するデータベースと、
再充電及び/又は燃料補給サービススケジューラと、をさらに備える、請求項5に記載の航空機。
【請求項7】
ブレーキプロセスの間、保存電気エネルギーの前記供給源を再充電するように動作可能な要素をさらに備える、請求項1に記載の航空機。
【請求項8】
前記パワートレインが、故障又は異常な動作に対する安全かつコスト効果が高い対応のために前記パワートレインを再構成することができるように、構成要素及び回路の多重性を備える、請求項1に記載の航空機。
【請求項9】
前記パワートレインの1つ以上の動作態様のパラメーターが出力と相関し、かつさらに前記相関が燃料の燃焼に基づくエネルギーの供給源を使用するパワートレインに対する相関より弱い、請求項1に記載の航空機。
【請求項10】
航空輸送システムであって、
複数のハイブリッド電動航空機であって、前記航空機の各々が、
エネルギーの供給源であって、保存電気エネルギーの供給源及び発電エネルギーの供給源を含む、前記エネルギーの供給源と、
パワートレインであって、前記エネルギーの供給源から入力エネルギーとして受容し、対応して1つ以上の電動モーターを動作するように動作可能な前記パワートレインと、
1つ以上のプロパルサーであって、各プロパルサーが前記1つ以上の電動モーターのうちの少なくとも1つに連結される前記プロパルサーと、
命令の第1の組がプログラムされた電子プロセッサであって、実行されたときに、前記命令の第1の組が前記航空機の前記運航を管理するための1つ以上の機能又はプロセスを提供し、これらの機能又はプロセスが、
前記航空機に対して現在利用可能な前記保存電気エネルギーの量及び発電機燃料の量の状況を判定し、
前記航空機がその意図される目的地に到達できるように必要な保存電気エネルギーの量及び発電機燃料の量を判定し、
前記航空機のために現在利用可能な発電した電気エネルギーの前記供給源によって発電することができるエネルギーの量を判定し、
保存電気エネルギー及び発電エネルギーの前記供給源からどのようにしてエネルギーを最適に取り出すかを決定し、かつ
前記パワートレインの構成要素の故障又は異常な動作の場合に、飛行の継続のために前記パワートレインの再構成及び改訂した制御ストラテジを決定するための機能又はプロセスを含む前記電子プロセッサと、
命令の第2の組がプログラムされた電子プロセッサであって、実行されたときに、前記命令の第2の組が前記航空機のために飛行を計画するための1つ以上の機能又はプロセスを提供し、これらの機能又はプロセスが、
前記航空機に対して現在利用可能な保存電気エネルギー及び発電機燃料の前記合計量に関するデータにアクセスし、
前記航空機に対して現在利用可能な保存電気エネルギー及び発電機燃料の量が前記航空機がその意図される目的地に到達できるために十分であるかどうかを判定し、これが保存エネルギーが独占的に使用される第1の航空機運航モードの考慮及び保存電気エネルギーと発電エネルギーとの組み合わせが使用される第2の航空機運航モードの考慮を含み、
前記航空機に対して現在利用可能な前記保存電気エネルギー及び発電機燃料の量が前記航空機がその意図される目的地に到達できるために十分である場合、前記意図される目的地へのルートを計画し、
前記航空機に対して現在利用可能な前記保存電気エネルギー及び発電機燃料の量が前記航空機がその意図される目的地に到達できるために十分である場合、どのようにして前記意図される目的地への前記計画されたルートにわたって前記保存電気エネルギー及び発電エネルギーの供給源からエネルギーを最適に取り出すかを計画し、
前記航空機に対して現在利用可能な前記保存電気エネルギー及び発電機燃料の量が前記航空機がその意図される目的地に到達できるために不十分である場合、中間目的地へのルートを計画し、中間目的地へのルートを計画することが、
1つ以上の可能なエネルギー供給者及び/又は燃料供給者を決定することと、
利用可能な保存エネルギー及び発電機燃料が、前記供給者のうちの少なくとも1つへ到達するために十分であるかどうかを判定することと、
前記少なくとも1つの供給者へのルートを作り出すことと、
前記ルートにわたってどのように最適にエネルギーを取り出すかを計画することとをさらに含む、ための機能又はプロセスを含む前記電子プロセッサと、
ルート計画又は再充電及び燃料補給供給源のうちの1つ以上に関するデータを交換するために、前記航空機からのデータを遠隔のデータ処理プラットフォームもしくはオペレーターに転送すること及び前記遠隔のデータ処理プラットフォームもしくはオペレーターからのデータを受信することを可能にするために動作可能な通信要素(複数可)と、をさらに備える、前記航空機と、
複数の航空機離陸地又は着陸地であって、各離陸地又は着陸地が、保存電気エネルギー供給源のための再充電サービス及び発電エネルギーの供給源のための燃料を提供するように動作可能な再充電及び燃料補給プラットフォームを含む、前記複数の航空機離陸地又は着陸地と、
データ処理システム又はプラットフォームであって、ルート計画データを前記複数のハイブリッド動力航空機のうちの1つ以上に提供するように動作可能な、前記データ処理システム又はプラットフォームと、を備える前記航空輸送システム。
【請求項11】
ハイブリッド動力航空機の前記1つ以上のプロパルサーが、ダクト又はシュラウドの中に位置付けられた送風機である、請求項10に記載の航空輸送システム。
【請求項12】
前記発電エネルギーの供給源が、燃料の供給源を電気エネルギーへと変換するように動作する発電機である、請求項10に記載の航空輸送システム。
【請求項13】
前記複数のハイブリッド動力航空機のうちの1つ以上が、前記1つ以上のプロパルサーを短距離離着陸モードでの使用のために構成できるようにする構成要素及びプロセスをさらに含む、請求項10に記載の航空輸送システム。
【請求項14】
前記再充電及び/又は燃料補給プラットフォームのうちの少なくとも1つが、
再充電及び/又は燃料補給サービス供給者に関する情報を保存するデータベースと、
再充電及び/又は燃料補給サービススケジューラと、をさらに備える、請求項10に記載の航空輸送システム。
【請求項15】
前記航空機のうちの1つ以上が、ブレーキプロセスの間、保存電気エネルギーの前記供給源を再充電するように動作可能な要素をさらに備える、請求項10に記載の航空輸送システム。
【請求項16】
前記複数のハイブリッド動力航空機のうちの1つ以上の前記パワートレインの1つ以上の動作態様のパラメーターが出力と相関し、かつさらに前記相関が燃料の燃焼に基づくエネルギーの供給源を使用するパワートレインに対する相関より弱い、請求項10に記載の航空輸送システム。
【請求項17】
一組の命令を上に収容する非一時的コンピューター可読媒体であって、プログラムされた電子処理要素によって実行されるとき、前記命令の組が前記電子処理要素を収容する装置に、
ハイブリッド電動航空機に対して現在利用可能な前記保存電気エネルギーの量及び発電機燃料の量の状況を判定させ、
前記ハイブリッド電動航空機がその意図される目的地に到達できるように必要な保存電気エネルギーの量及び発電機燃料の量を判定させ、また
前記ハイブリッド電動航空機に対して現在利用可能な発電エネルギーの供給源によって発電することができるエネルギーの量を判定させ、
保存電気エネルギー及び発電エネルギーの前記供給源からどのようにしてエネルギーを最適に取り出すかを決定させ、かつ
前記パワートレインの構成要素の故障又は異常な動作の場合に、飛行の継続のために前記パワートレインの再構成及び改訂した制御ストラテジを決定させる、前記非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項18】
前記命令の組が、前記電子処理要素を収容する前記装置に、
ハイブリッド電動航空機に対して現在利用可能な保存電気エネルギー及び発電機燃料の前記合計量に関するデータにアクセスさせ、
前記ハイブリッド電動航空機に対して現在利用可能な前記保存電気エネルギー及び発電機燃料の量が前記航空機がその意図される目的地に到達できるために十分であるかどうかを判定させ、これが保存エネルギーが独占的に使用される第1の航空機運航モードの考慮及び保存電気エネルギーと発電エネルギーとの組み合わせが使用される第2の航空機運航モードの考慮を含み、
前記ハイブリッド電動航空機に対して現在利用可能な前記保存電気エネルギー及び発電機燃料の量が前記航空機がその意図される目的地に到達できるために十分である場合、前記意図される目的地へのルートを計画させ、
前記航空機に対して現在利用可能な前記保存電気エネルギー及び発電機燃料の量が前記航空機がその意図される目的地に到達できるために十分である場合、どのようにして前記意図される目的地への前記計画されたルートにわたって前記保存電気エネルギー及び発電エネルギーの供給源からエネルギーを最適に取り出すかを計画させ、
前記ハイブリッド電動航空機に対して現在利用可能な前記保存電気エネルギー及び発電機燃料の量が前記航空機がその意図される目的地に到達できるために不十分である場合、中間目的地へのルートを計画させ、中間目的地へのルートを計画させることが、
1つ以上の可能なエネルギー供給者及び/又は燃料供給者を決定することと、
利用可能な保存エネルギー及び発電機燃料が、前記供給者のうちの少なくとも1つへ到達するために十分であるかどうかを判定することと、
前記少なくとも1つの供給者へのルートを作り出すことと、
前記ルートにわたってどのように最適にエネルギーを取り出すかを計画することと,
をさらに含む、前記中間目的地へのルートを計画させる命令をさらに含む、請求項17に記載の非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項19】
前記命令の組が、
特定の再充電及び/又は燃料補給サービス供給者と取引があるパイロット、航空機所有者\、又は航空機オペレーター、
特定の再充電及び/又は燃料補給サービス供給者における利用可能な再充電サービス、及びこれらのサービスの価格、ならびに
特定の再充電及び/又は燃料補給サービス供給者において利用可能な前記燃料補給サービス、のうちの1つ以上を考慮することによって前記電子処理要素を収容する前記装置に中間目的地への前記ルートを計画させる命令をさらに含む、請求項18に記載の非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項20】
前記パワートレインの出力が飛行のために十分であるという条件で、保存電気エネルギーの供給源及び発電エネルギーの供給源の各々が出力を変化し得る場合、前記パワートレインがこれらのうちの1つ以上を支援するように運航可能である、請求項1に記載の航空機。
【請求項21】
発電エネルギーの前記供給源のための燃料としての安全リザーブを維持することによって、保存エネルギーの前記供給源の消耗を可能にする要素をさらに備える請求項1に記載の航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2014年8月29日に出願された「System and Methods for Implementing Regional Air Transit Network Using Hybrid-Electric Aircraft」と題する米国仮特許出願第62/043990号の利益を主張し、その全体(付録を含む)はすべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002] 輸送装置及び輸送システムは、商取引及び人々の場所の間の移動を可能にするために使用されるインフラの重要な部分である。このようにこれらは経済の成長、社会の開発、及び地域の効果的な統治のための基本的なサービスである。輸送装置及びシステムは、物品を配送点間で移動するために使用され、面会しながらの会合及び討議可能にし、また一般的に関係の成長を促進する。さらに、輸送の新しいモードが開発されるとともに、移動時間及び貨物運搬能力は劇的に変化し、通信ならびに物品及びサービスの送達の新しくかつ多くの場合より速い方法が可能になる。これについては長年にわたって、輸送システムのいくつかの基本的なタイプが開発されてきた。しかしながら、典型的にはその各々は他の輸送モードと比較してその独自の焦点があり、利点があり、また短所もある。
【0003】
[0003] 例えば、今日の米国では、最初の動力飛行の後100年にわたってほとんどの(>97%)地域長距離移動(すなわち、50~500マイルの)は自家用車で行われている。大規模な鉄道システムを有する国々では移動の10~15%は鉄道によって置き換えられている場合があるが、それでも80%を優に超える移動は自動車によって行われている。これは非効率的であり、かつ移動性に乏しく(ドアツードアの時間が比較的長い)、公害を引き起こし、かつ既存の高速道路インフラに重点を与えるので、社会全体としての最良の利益となっていない場合もある。しかしながら、この距離を包含する現在の商業航空サービスは、多くの場合比較的コストが高くかつ不便である。この非効率性の1つの理由は飛行距離が比較的短いことであり、これは総移動時間の比較的大きい割合(>70%)が地上で費やされることを意味する(この「地上」での時間には、空港へ及び空港からの移動時間、ターミナルを通る時間、ゲートでの時間、又は滑走路上でのタキシングの時間が含まれる)。結果として、かかる状況では航空輸送は一般的に望ましい輸送のモードではなく、また現在のところ航空輸送はかかる地域移動の1%未満にしか使用されていない。
【0004】
[0004] 人々及び貨物のための航空輸送サービスは15年ごとにほぼ2倍になり、かつてない地球規模の移動性及び貨物の配布を可能にしている。対照的に、ほぼすべての(94%)長距離移動が地域的なものであると仮定してもなお、地域的な距離にわたる航空の比較的価値の低い計画(ひいては使用)は、顕著な失敗と考えられる場合がある。この意味では、地域距離航空輸送の望ましい形態に対する実証された必要性があるが、この必要性を満足する望ましいシステムがない。
【0005】
[0005] この地域航空輸送の効果的かつ効率的な形態の開発の失敗は、米国では数十年にわたるドアツードア移動時間の停滞につながり、また移動性の改善を制限する大きな要因となってきた。移動性の制限が商用旅行及び観光旅行、雇用促進及び雇用機会、教育の選択、ならびに社会の成長及び反映のために有利であるその他の要因に影響を与えることは極めて望ましくない。一部の見方では、1960年代以降、航空会社がより大きい航空機及びより長い距離に移行するにつれて、競争力の圧力に対応するため及び輸送の旅客当たりマイル当たりのコストをより低くするために、地域航空輸送の実行可能性は実際には安定的に下がってきている。したがって、現在の経済力は、航空輸送を提供する現行の方法を、本明細書に記述されるシステム及び方法のタイプから常に離れていくように移行させている。
【0006】
[0006] 以下に記述するように、地域移動のために航空輸送サービスを提供する従来の手法は、潜在的な顧客による広範な使用を促進する目的のためには十分に便利又は効果的ではない。本発明の実施形態はこれらの問題及び他の問題を個別に及び集合的に解決することを目的とする。
【発明の概要】
【0007】
[0007] 本明細書で使用される場合、「invention(発明)」、「the invention(本発明)」、「this invention(この発明)」、及び「the present invention(本発明)」という用語は、本書類及び請求項に幅広く記述されるすべての主題を指すことが意図される。これらの用語を含有する陳述は、本明細書に記述される主題を制限しない、又は請求項の意味又は範囲を制限しないものと理解されるべきである。本特許が包含する本発明の実施形態は請求項によって定義され、この発明の概要によって定義されない。この発明の概要は、本発明の様々な態様の高レベルの要約であり、また以下の発明を実施するための形態の項でさらに記述される概念のうちのいくつかを導入する。この発明の概要は、特許請求される主題の重要な、必要な、又は必要不可欠な機能を特定することを意図せず、また特許請求される主題の範囲を画定するための分離に使用されることも意図しない。主題は、本特許の明細書全体の適切な部分、任意の又はすべての図面、及び各請求項を参照することによって理解されるべきである。
【0008】
[0008] 発明者らによって認識されるように、地域航空輸送の必要性への現代の航空サービスの対処の失敗は、従来の航空機技術の使用の直接的な結果である。地域的運航のために従来の航空機を最適化することは、結果として設計及び性能の障害をもたらし、効率に悪影響を及ぼすことが当業者には周知である。例えば、ガスタービン(ジェットエンジン及びターボプロップエンジン)は、より低い高度及びより遅い速度では効率の著しい低下、またより小さい寸法にスケーリングしたときさらに効率の損失を被る。加えて、滑走路が短い運航は、効率的巡航性能のために最適な寸法より大きい翼及び/又はエンジンという寸法設定上の損失を負わされる。結果として、長距離にわたる大きい航空機は乗客マイルあたり最低の運航コストを提供し、500マイル未満の距離及び乗客数が100席(又は25、000ポンドの貨物重量と等価)未満の航空機に対してはコストが急激に増加する。地上モード又は復行モードでは比較的効率が劣ることを考慮すると、スケールダウンしたガスタービンは、短距離運航(より短距離に対しては、地上又は復行時間は著しくかつ総合的な移動時間の比較的より大きい割合を占める)ではより長距離の運航と比較してコストがより高いことに留意されたい。
【0009】
[0009] この非効率的なコストの関係が今日の航空サービス態様の多くを形作っている。競争の圧力がより大きい航空機及びより長い飛行へと航空会社を突き動かしている。これは、より大きい航空機を支援するために十分な乗客数を得ることができるより少ない数のハブ空港からのより少数の飛行につながっている。例えば、米国には約13、500の空港があるが、それでも航空交通量の70%は29のハブ空港に集中しており、また96%は138のハブ空港に集中している。長い地上の移動時間に繋がる少数のますます混雑しているハブからのより数の少ない飛行は、次いで地域移動の目的での航空輸送の比較的低い利用を生じさせる。さらに最近では、航空会社による「定員の統制(capacity discipline)」への重点の強化が、航空会社にさらにより少ないハブ空港の要求への注力を模索させており、問題を悪化させている。
【0010】
[0010] 本発明の実施形態は、よりコスト効果が高くかつより便利な地域航空輸送システムを提供することによって、地域的な移動のために使用される場合がある現行の航空輸送システムの不利点を克服するためのシステム、装置、及び方法を目的とする。いくつかの実施形態では、本発明の航空輸送システム、動作方法、及び関連する航空機は、以下の要素、機能性、又は機能のうちの1つ以上を含む。
1.すなわち、地域的範囲内で運航される航空機のために特異的に最適化された、効率が高いプラグインの一連のハイブリッド電気パワートレインと、
2.総合的な輸送システムとしての電気式航空サービスのより初期の効果を可能にしかつ関連する技術が開発された前方互換性のある、範囲に最適化された航空機設計と、
3.パワートレインの半自動最適化及び制御のため、および地域的距離ハイブリッド電動飛行機の飛行のための飛行経路の決定の半自動最適化のためのプラットフォームと、のうちの1つである。
【0011】
[0011] 一実施形態では、本発明は、ハイブリッド電動飛行機を目的とし、この航空機は、
保存電気エネルギーの供給源及び発電機によって提供される発電エネルギーの供給源を含む、エネルギーの供給源と、
エネルギーの供給源から入力エネルギーとして受容し、対応して1つ以上の電動モーターを動作するように動作可能なパワートレイン、
各プロパルサーが1つ以上の電動モーターのうちの少なくとも1つに連結される、1つ以上のプロパルサーと、
命令の第1の組がプログラムされた電子プロセッサであって、実行されたときに、命令の第1の組が航空機の運航を管理するための1つ以上の機能又はプロセスを提供し、これらの機能又はプロセスが、
航空機に対して現在利用可能な保存電気エネルギーの量及び発電機燃料の量の状況を判定し、
航空機がその意図される目的地に到達できるように必要な保存電気エネルギーの量及び発電機燃料の量を判定し、
航空機に対して現在利用可能な発電エネルギーの供給源によって発電することができるエネルギーの量を判定し、
保存電気エネルギー及び発電エネルギーの供給源からどのようにしてエネルギーを最適に取り出すかを決定し、かつ
パワートレインの構成要素の故障又は異常な動作の場合に、飛行の継続のためにパワートレインの再構成及び改訂した制御ストラテジを決定するための機能又はプロセスを含む前記電子プロセッサ、と
命令の第2の組がプログラムされた電子プロセッサであって、実行されたときに、命令の第2の組が航空機のために飛行を計画するための1つ以上の機能又はプロセスを提供し、これらの機能又はプロセスが、
航空機に対して現在利用可能な保存電気エネルギー及び発電機燃料の合計量に関するデータにアクセスし、
航空機に対して現在利用可能な保存電気エネルギー及び発電機燃料の量が航空機がその意図される目的地に到達できるために十分であるかどうかを判定し、これが保存電気エネルギーが独占的に使用される第1の航空機運航モードの考慮及び保存電気エネルギーと発電エネルギーとの組み合わせが使用される第2の航空機運航モードの考慮を含み、
航空機に対して現在利用可能な保存電気エネルギー及び発電機燃料の量が、航空機がその意図される目的地に到達できるために十分である場合、意図される目的地へのルートを計画し、
航空機に対して現在利用可能な保存電気エネルギー及び発電機燃料の量が、航空機がその意図される目的地に到達できるために十分である場合、どのようにして意図される目的地への計画されたルートにわたって保存電気エネルギー及び発電エネルギーの供給源からエネルギーを最適に取り出すかを計画し、
航空機に対して現在利用可能な保存電気エネルギー及び発電機燃料の量が、航空機がその意図される目的地に到達できるために不十分である場合、中間目的地へのルートを計画し、中間目的地へのルートを計画することが、
1つ以上の可能なエネルギー供給者及び/又は燃料供給者を決定することと、
利用可能な保存エネルギー及び発電機燃料が、供給者のうちの少なくとも1つへ到達するために十分であるかどうかを判定することと、
少なくとも1つの供給者へのルートを作り出すことと、
ルートにわたってどのように最適にエネルギーを取り出すかを計画することと、をさらに含む、ための機能又はプロセスを含む前記電子プロセッサと、
ルート計画又は再充電及び燃料補給供給源のうちの1つ以上に関するデータを交換するために、航空機からのデータを遠隔のデータ処理プラットフォームもしくはオペレーターに転送すること及び遠隔のデータ処理プラットフォームもしくはオペレーターからのデータを受信することを可能にするために動作可能な通信要素(複数可)とを備える。
【0012】
[0012] 別の実施形態では、本発明は、複数の本発明のハイブリッド電動飛行機と、複数の航空機離陸又は着陸地を含む地域航空輸送システムを目的とし、各離陸又は着陸地は、保存された電気エネルギーの供給源のための再充電サービス及び発電エネルギーの供給源のための燃料を提供するように動作可能な再充電及び燃料補給プラットフォーム及び、複数のハイブリッド電動航空機のうちの1つ以上にルート計画データを提供するように動作可能であるデータ処理システム又はプラットフォームを含む。
【0013】
[0013] さらに別の実施形態では、本発明は、一組の命令を上に収容する非一時的コンピューター可読媒体を目的とし、プログラムされた電子処理要素によって実行されるとき、命令の組は、電子処理要素を収容する装置に、
ハイブリッド電動航空機に対して現在利用可能な保存電気エネルギーの量及び発電機燃料の量の状況を判定させ、
ハイブリッド電動航空機がその意図される目的地に到達できるように必要な保存電気エネルギーの量及び発電機燃料の量を判定させ、
ハイブリッド電動航空機に対して現在利用可能な発電エネルギーの供給源によって発電することができるエネルギーの量を判定させ、
保存電気エネルギー及び発電エネルギーの供給源からどのようにしてエネルギーを最適に取り出すかを決定させ、かつ
パワートレイン内の構成要素の故障又は異常な動作の場合に、飛行の継続のためにパワートレインの再構成及び改訂した制御ストラテジを決定させる。
【0014】
[0014] 本発明の他の対象物及び利点は、本発明の詳細な説明及び含まれる図を検討することによって当業者には明らかであろう。
【0015】
[0015] 本開示による本発明の実施形態は、図面を参照して記述される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の輸送システム100の実施形態の実装の中に存在してもよい、ある一定の基本的な構成要素、要素、及びプロセスを図示する略図である。
【
図2】本発明の輸送システム200の実施形態の実装の中に存在してもよい、ある一定の基本的な構成要素、要素、データフロー、及びプロセスを図示する略図である。
【
図3】本発明の輸送システム300の実施形態の実装の中に存在してもよい、ある一定の基本的な構成要素、要素、及びプロセスをさらに図示する略図である。
【
図3a】目的地の空港において必要な再充電及び燃料補給サービスを決定するためのプロセス、方法、動作、又は機能を図示するフローチャート又は流れ図であり、これは本発明のシステム及び方法の実施形態の実装で使用されてもよい。
【
図3b】目的地の空港への飛行中の再充電及び燃料補給サービスを決定するためのプロセス、方法、動作、又は機能を図示するフローチャート又は流れ図であり、これは本発明のシステム及び方法の実施形態の実装で使用されてもよい。
【
図4】本発明の輸送システム400の実施形態の実装の中に存在してもよい、ある一定の基本的な構成要素、要素、及びプロセスをさらに図示する略図である。
【
図5】本発明の地域航空輸送システムの実装で使用されてもよい、本発明の距離に最適化されたハイブリッド電動飛行機500の実施例を図示する略図である。
【
図6】本発明の航空輸送システムの部分である電気ハイブリッド航空機の実施形態で使用されてもよい、可変ピッチのダクト付き電気送風機組み込み推進システム600を図示する略図である。
【
図7】本発明の航空輸送システムの部分として使用される電気ハイブリッド航空機の実施形態で使用されてもよい、パワートレイン700及びその関連する要素を図示する略図である。
【
図8】本発明の輸送システムの実施形態を実施する上で使用されてもよい、代表的な航空機に対する一連のハイブリッド駆動構成800の概略図である。
【
図9】本発明の航空機の実施形態のパイロットによる使用のための例示的なユーザーインターフェース900を図示する略図である。
【
図10】本発明の航空輸送システムの部分として使用されてもよい電気ハイブリッド航空機の実施形態で使用されてもよい、パワートレイン最適化及び制御システム(POCS)の基本的な機能的要素又はモジュールを図示する略図である。
【
図11】本発明の航空輸送システムの実施形態での航空機上のプロセスを制御又は修正するためにアクセス及び使用されてもよい、POCSの基本的な機能的要素又はモジュールを図示する略図である。
【
図12】性能パラメーターを感知し、そして制御信号をパワートレイン又はその制御システム構成要素へ返す目的のためにいくつかのインターフェース/コネクター1202によって搭載されたPOCSに連結される例示的なパワートレイン1200のためのインターフェース構成を示す。
【
図13】本発明の地域航空輸送システムの実施形態で、飛行経路最適化プラットフォーム(FPOP)によって発生され、かつ航空機の運航を制御するために少なくとも部分的に使用される場合がある航空機のための例示的な飛行経路最適化を図示する略図である。
【
図14】本発明の航空輸送システムの部分として使用されてもよい電気ハイブリッド航空機のために飛行経路を決定又は改訂するために使用されてもよい飛行経路最適化プラットフォーム(FPOP)のある一定の入力、機能、及び出力を図示するフローチャート又は流れ図である。
【
図15】本発明の航空輸送システムの実施形態を実装する上で使用されてもよいハイブリッド電動飛行機設計プロセスを図示するフローチャート又は流れ図である。
【
図16】本明細書に記述される原理及びプロセスによって設計されたハイブリッド電動飛行機の実施例の略図である。
【
図17】飛行高度及び必要な出力の関数としてある一定の航空機及びプロパルサー構成の効率を図示する略図である。
【
図18】本発明の地域航空輸送システムの実施形態を実装する部分として使用されてもよい、いくつかの地域的ゾーン及び関連する空港又は着陸区域を図示する略図である。
【
図19】本発明の実施形態による方法、プロセス、機能、又は動作を実施するために構成されるコンピューター装置又はシステム1900の中に存在する場合がある要素又は構成要素を図示する略図である。
【0017】
類似の構成要素及び機能を参照するために開示及び図を通して同一の番号が使用されることに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0037] ここで本発明の実施形態の主題が法定要件を満たす特異性を有して記述されるが、この記述は必ずしも請求項の範囲を制限することを意図するものではない。特許請求される主題は、他のやり方で具象化されてもよく、異なる要素又は工程を含んでもよく、また他の既存の技術又は未来の技術と連携して使用されてもよい。この記述は、個々の工程又は要素の配設の順番が明示的に記述される場合以外は、様々な工程もしくは要素の間でいかなる特定の順番又は配設を暗示するものと解釈されるべきではない。
【0019】
[0038] 本発明の実施形態は、本明細書の一部を形成し、かつ図示のために本発明がこれによって実施されてもよい例示的な実施形態を示す、添付の図面を参照して以下により完全に記述されることになる。しかしながら、この発明は多くの異なる形態で具象化されてもよく、また本明細書に記述される実施形態に制限されるものと解釈されるべきではなく、むしろこれらの実施形態は、この開示が法定要件を満足するように、また本発明の範囲を当業者に伝達するように提供される。
【0020】
[0039] 特に、本発明は、システムとして、1つ以上の方法として、航空機又は輸送システムの1つ以上の要素として、航空機(飛行)制御システムもしくは地域航空機輸送システム制御システムの1つ以上の要素もしくは機能的モジュールとして、又は1つ以上の装置として、全体的に又は部分的に、具象化されてもよい。本発明の実施形態は、実施形態を実装するハードウェア、実施形態を実装するソフトウェア、又はソフトウェア態様とハードウェア態様とを組み合わせる実施形態の形態をとってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、航空機の飛行制御又は輸送システムの飛行制御(又は、制御の他の形態)で使用するための、本明細書に記述される動作、機能、プロセス、又は方法のうちの1つ以上は、顧客装置の部分である1つ以上の好適な処理要素(プロセッサ、マイクロプロセッサ、CPU、コントローラ等など)、サーバー、又はコンピューティングもしくはデータ処理装置/プラットフォームの他の形態によって実施されてもよく、かつこれは一組の実行可能な命令(例えば、ソフトウェア命令)をプログラムされ、命令は好適なデータ保存要素内に保存されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記述される動作、機能、プロセス、又は方法のうちの1つ以上は、プログラマブルゲートアレイ、特定用途向け集積回路(ASIC)、又はこれに類するものなどの特化された形態のハードウェアによって実施されてもよい。したがって、以下の詳細な説明は制限する意味でとられない。
【0021】
[0040] 本発明の航空機及び関連する地域航空輸送ネットワークの複数の実施形態を記述する前に、本明細書で以下の略語又は用語が使用される場合があり、また概念、プロセス、又は要素に関して少なくとも表示された意味を有することを意味することが留意される。
・ADS-B:放送型自動従属監視 - NextGen航空交通量制御を可能にする空対空及び空対地通信及びデータ。
・ATC:航空交通管制 - 航空機に割り当てられたコントローラと飛行経路との両方を指す。
・BPF:翼通過周波数、ダクト付き送風機に対してはHzで示す。回転周波数(Hz)をブレードの数で除算して算出する。
・従来の航空機エンジン:航空機に推進力を提供するために現在使用されている燃焼エンジンであり、レシプロ又はロータリー内燃エンジン、ガスタービン、ターボプロップ、ターボジェット、ターボファン、及びラムジェットが挙げられるが、これに限らない。
・COT:時間のコスト - この文脈では、乗客又はペイロードに対する時間のコストを指す。例えば、ビジネスジェットは乗客に対して非常に高い時間のコストを割り当てるが、一方で貨物のCOTははるかに低い。特定の乗客、一片の貨物等に対する、ある時間の量の「値」の測度(ひいては価格設定の因子)。
・DOC:直接運航コスト、エネルギー(燃料、及び/又は電気)、エネルギー保存ユニットの償却、及び機体及び範囲延長発電機又はエンジンのためのメンテナンスリザーブの合計として計算される。
・ダクト付き送風機:軸流ダクト内に位置付けられたマルチブレード空力プロパルサー。送風機の効率を最大化するようにダクトが形作られる。
・FMS:飛行管理システム、オートパイロット及びオートスロットルインターフェースを通して航空機を制御する組み込みコンピューターシステム。FMSは、典型的には離陸する前にプログラムされ、またパイロットの介入を多く用いずに、又は全く用いずに目的地へ向かう航空機を飛ばすことができる。
・I:時間基準の運航の間接コスト、機体の減価償却、乗員のコスト、保険等を含む。
・マッハ数:車両の移動の音速に対する割合。
・範囲延長発電機:内燃エンジンから成ってもよく、各々1つ以上のモーター発電機を駆動する、あるいは、保存された化学エネルギーを直接的に電気に変換するユニット(例えば、水素燃料電池)から成る可能性がある。
・充電可能なエネルギー保存ユニット:電気エネルギーを保存するためのバッテリーパック、超コンデンサ、又は他の媒体(又はその組み合わせ)から成り、パックの動作及び安全を管理するバッテリー管理システム(複数可)に連結される。各パックは複数の個別に取り外し可能なバッテリーモジュールを備えてもよく、また定置したこれらのモジュールのうちのいくつかを動作してもよく、又はこれらのモジュールすべてを動作してもよい。「エネルギー保存ユニット」とも称される。
・ソリディティ:ブレードによって占められているプロペラディスクの面積の測度。所与の半径における周囲に対するその半径における総翼弦の送風機ディスクの比として定義される。
・STOL:短距離離着陸 - 厳密な定義ではないが、類似の寸法の非STOL装備航空機より著しく短い滑走路長及びより急な進入角度を暗示する。
・TDI:ターボディーゼルインジェクション - ブーストした吸気マニホールド圧力を用いる圧縮点火エンジン。
【0022】
[0041] いくつかの実施形態では、本発明の輸送ネットワークは、空港(及び関連する地上輸送オプション)、航空機、及び地域電気航空輸送サービスのために最適化された需要供給機構によって定義されてもよい。この技術、プロセス、装置、及び制御方法の組み合わせはユーザーに複数の利点を提供するために使用されてもよい。地域電気航空輸送は、代替の移動モード(すなわち、高速道路、高速鉄道、及び従来の空路)より著しく短いドアツードアの移動時間及びマイル当たりのコストを提供する。結果として、本発明のシステムは、以下の4つの大規模用途を推進及び支援する。
A.商用の定期便:地域的電気航空は、従来の航空の2倍のドアツードア速度をおよそ半分の料金で、便利さと快適さとともに提供することができる。大きい航空機が減少している一組の需要の多いハブへと長い距離飛行する、今日の高度に集中した航空ネットワークとは異なり、本発明の地域的電気航空ネットワークは(はるかに)より分散している。より低く飛行するより小さい航空機が多数のコミュニティ空港に就航する。スケジュール及び目的地のより多くの選択肢は、交通量の少ない経路とともに、結果として今日の航空から得られるものよりもはるかに個人向きの旅行経験をもたらすことになる。地域的電気航空は、2つの主要な需要の群、すなわちポイントツーポイント飛行及びフィーダー飛行に就航することになる。ポイントツーポイント飛行は、典型的には従来の航空機及びハブ空港を回避して地域内の一対の目的地に就航する。フィーダー飛行は、地域外の長距離飛行へ接続するために乗客のローカル地域空港からより遠くの従来のハブへと乗客を輸送する。逆に、フィーダー飛行は、長距離の飛行で到着する乗客をそのローカル地域空港に輸送する。両者とも、地域についてだけでなく、混雑したハブを回避し、また地上の交通を減少することによって長距離の移動についてもドアツードア移動時間を劇的に減少する。
B.ビジネス及びオンデマンド:ビジネス及びオンデマンド移動のための地域的電気航空輸送システムの価値提案も強力なものである。電動飛行機は、ビジネスジェットより80~90パーセント低いコストで地域範囲にわたって快適な移動を提供する。加えて、静寂なSTOL(短距離離着陸)の能力はより小さい空港の数多くの選択肢に対してすべての時間帯のアクセスを開放し、これはより長い滑走路を必要とし、また騒音公害及び他の問題を引き起こすより速いビジネスジェットと同等のドアツードア時間を可能にする。さらに、電気航空輸送の破壊的な低コストはこの形態の移動の需要を延ばし、一方で共同利用技術は使用のオプションを何倍にも増やす。今日利用可能なエアタクシー、チャーター、及び分割所有モードに加えて、この能力は共同利用又はオンデマンドベースでも提供され得る。例えば、共同利用飛行では、既存の飛行の空いている座席は他の乗客に多くの場合安い料金で提供される。一方で、オンデマンド飛行では乗客の数に基づいてスケジュールを立てる。これらは、乗客の飛行に対する要求を許容し、要求と履歴的な需要パターンとの組み合わせに基づいて飛行のスケジュールを立てることを可能にするオンデマンド市場を含む。
C.貨物:地域輸送インフラが過去数十年にわたって停滞していてさえも、物品の早急な配達に対する需要はオンライン商取引の急成長に牽引されて何倍にも増えている。電気航空輸送は、同等又はより低いコストで地上より4~5倍より速いドアツードア速度を提供することによって、破壊的な代替を提供する。これは、地域物流ハブにおける又はその近隣の空港からローカルデポにおける又はその近隣の空港への貨物飛行(有人、遠隔パイロット制御、又は自律)を介して可能になる。例として、家庭又はビジネスへの物品の早急な配達は、地域配送センターとローカル供給デポとの間の電気航空輸送貨物飛行によって可能になる。電動飛行機には、配送センターにおいて1つ以上のローカル供給デポへと経路設定された荷物が積み込まれる。積み込まれると、貨物の宛先となっているローカル供給デポの各々に隣接する又は近隣の飛行場への地域的飛行のために、航空機は隣接する又はすぐ近くの飛行場から離陸する。ローカルデポから最終目的地への配達には既存のモード(例えば、配達トラック)、又はいくつかの新たに出現したプラットフォーム(例えば、自律車両、配達ドローン)のうちの1つを使用してもよい。別の実施例としては、使用する場所への物品の早急な配達は、対応する生産現場(例えば、製造設備、農場)又は物流ハブ(例えば、倉庫、輸送ターミナル)からの電気航空輸送飛行によって可能になる。電動飛行機は生産現場又は物流ハブにおいて載貨され、使用場所の近隣の飛行場への急速な飛行のためにすぐ近くの飛行場から離陸する。
D.軍用:過去数十年にわたる軍用技術の驚異的な進歩に反して、地域距離にわたる部隊又は貨物の輸送のためのプラットフォームの開発は大幅に停滞しており、またほとんどが地上コンボイ、又はコスト効果がはるかに低い従来の航空機又は回転翼航空機に制限されたままである。貨物とほとんど同じやり方で、供給コンボイの一部の地上から電動飛行機への移行を可能にすることによって、電動飛行機は地域軍用物流を変換することができる。こうすることによって、地上輸送と同等のコストあるいは地上輸送以下のコストで、敵の攻撃への曝露を低減し、供給チェーンの速度を著しい倍数(5倍以上の倍数が推定される)で増加することになる。例として、シアター(theatre)物流ハブから前進基地への急速な供給を電気航空輸送飛行によって、できるようにする可能性がある。物流ハブにおいて電動飛行機に部隊及び貨物を積み込み、1つ以上の前進基地にルート設定することができる。積み込むと、航空機は、目的地である前進基地の各々の近隣の飛行場への地域飛行のためにすぐ近くの飛行場から離陸する。配達は、貨物を基地に安全に向けるためにパラシュート又は他の機構を使用して、前進基地に接地せずに行うこともできる。他の機会には、より速い移動、ステルス性の増加、及び著しく低いコストのために戦術輸送任務中の従来の航空機又は回転翼航空機と入れ替えることを含む。
E.有人及び無人:自律車両及び遠隔パイロットドローンの急速かつ継続的な開発を仮定すると、上述される地域的電気航空輸送サービスの4つの用途は、従来のパイロットが操縦する航空機だけでなく、自律性の程度を増加して設計された航空機も含んでもよい。これらは、遠隔のパイロットによるバックアップ制御を装備したパイロットが操縦する航空機、遠隔のパイロットによって制御される無人航空機、及び遠隔のパイロットによるバックアップ制御を装備した半自律航空機を含む。
【0023】
[0042] 一実施形態では、本発明の地域航空輸送ネットワークは、4つのクラスの空港を含んでもよく、そのほとんどは1,500フィートを超える滑走路(又はVTOL航空機用のパッド)を有し、また地域ネットワーク内でのそのそれぞれの役割及び高周波数ハイブリッド電気飛行を支援するための装備の程度に基づいて差別化される。
・地域のティアI、ティアII、及びティアIII空港。これらは地域ネットワークの第一のノードである。ティアI空港は高周波数電気飛行のために最良の装備を有し、かつ急速再充電及び交換ステーション、ならびに全天候及び夜間動作の能力を提供する。ティアI空港のうちのいくつかは、従来の航空機の定期飛行にも使用される場合がある。ティアII空港は急速再充電及び交換ステーションを含むが、ティアIII空港は駐機場での基本的な再充電能力を有する。従来のハブ空港とは異なり、比較的交通量がより低いこと及びより小さい航空機を想定して、地域空港はより少ない又はより程度の低い地上サービス(例えば、手荷物、セキュリティーなど)を提供する。これは空港を通して素早いトランジットを可能にし、さらにドアツードア移動時間を減少する。
・メインラインの地域内の大型ハブ空港。小型から中型のハイブリッド電動飛行機に対する支援を有する地域内に位置付けられた大型商業用ハブ空港の一部。これらは、専用の短い滑走路、干渉しない飛行コリドー、比較的急速な再充電及び交換ステーション、地域的電気航空機飛行から従来の航空機飛行へ及び従来の航空機飛行から地域的電気航空機飛行への迅速な乗客輸送を含む可能性がある。地域的電気飛行のほとんどが「ステライルではない(non-sterile)」と仮定すると、ハブ空港はこの交通に空港のステライルされた区域(sterile areas of the airport)へのアクセス設備(例えば、到着した地域乗客に対する手荷物及びセキュリティサービス)も含む可能性がある。
・地域サービスハブ空港。電動飛行機を整備し、かつ収容する装備を有する地域内の空港。これらは典型的には地域のティアI又はティアII空港の一部であり、また典型的には駐機場、メンテナンス設備、及び運航センターを含む。
・貨物空港。物品のネットワークハブ又は配送センター及びローカル配達デポの間の地域的輸送を可能にする空港。これらは、上述のティアI空港、ティアII空港、及びティアIII空港のように高周波数電気飛行のための装備を有し、また共同利用される貨物及び乗客設備を含むことができる。これらの貨物空港は、典型的には物品の発生地点(例えば、ネットワークハブ、配送センター)、又は物品の配達地点(例えば、ローカル配達デポ)の近隣に位置付けられる。
【0024】
[0043] いくつかの実施形態では、本発明のハイブリッド電気式の範囲に最適化された航空機及び関連する地域航空輸送ネットワークは、比較的より静寂で、コスト効果の高い、エネルギー効率の高い、そしてより便利な輸送のモードを提供し得るが、一方で複数の関連する社会的及び経済的利点も提供する。かかる利点としては、地域輸送のために自動車に依存する必要性の減少が挙げられ、これは公害及び交通渋滞の減少を提供することが期待されることになる。本発明の航空機及びシステムは、乗客の時間も節約する場合があり、生産性の増加につながり、より大きい地方開発及び住宅供給を促し、分散化した居住及び勤務形態を支援し、また接続輸送サービスに対する新しい市場を作り出す。
【0025】
[0044] より効果的で効率的な地域航空輸送システムによって提供される機会の実現を許容するために、本発明者らはいくつかの装置、システム、データ処理方法、及び技術を可能にすることの必要性を認識した。これらは、効率が高く静寂な短距離離陸能力を有するハイブリッド電動飛行機、ならびにコミュニティ及び都会の密集地に「近接」した地域的運行のための関連する技術及び適切に最適化された技術を含む、がこれに限定されない。さらに、かかる航空機、支援する空港、及び適切な需要供給の調和機構から成る地域交通網に対する必要性がある。本発明の実施形態の要素は、これらの及び他の必要性に対処するように設計される。特に、本発明のシステム及び方法の実施形態は、以下のうちの1つ以上を含んでもよい。
・地域範囲に対して最適化された、効率が高いプラグインの一連のハイブリッド電気パワートレイン。このパワートレインは、飛行の大部分を表す距離の所定の割合にわたる急速な巡航に対して、パワートレインをより長い範囲に対してより遅く寸法設定することによって、必要なエネルギーを最小化するように設計されてもよい。これは、出力を標準的な巡航に必要とされる出力より少なくすることによって発電機の規模を小さくすることを許容するので、飛行の間エネルギー保存ユニットが継続的に使用され、そして完全に消耗する(FAAが要求するリザーブより少ない)。これは航空機の総重量の12~20%の範囲の比較的高いエネルギー保存質量割合も可能にする。この発電出力に対する電気保存の比が従来のハイブリッド設計と比較してより高い(そして多くの場合巡航モードのために最適化された発電を用いた)ことが、本発明の設計によって実現される65~80%より低いDOC(従来の航空機より)への1つの鍵である。プロパルサー回生ブレーキ及びすべての電気地上動作によってさらなる減少が可能になる。
・範囲に最適化された航空機設計は電気航空の初期効果を可能にする。これまでの商用電動飛行機を設計する努力は、従来の航空機と同等の寸法、速度、及び距離能力に焦点を置いてきた。距離×速度の2乗の飛行のために必要なエネルギーのスケーリングを仮定すると、「控えめな電気式」であってエネルギーの小さい割合だけの保存を搭載するか、又はより電気式であるが高度な電気技術が必要になるか、のいずれかの設計をもたらす。これは電気航空が短期的には制限的な節約を実現し、また重要な技術が成熟するには数十年以上もかかるという見通しをもたらす。対照的に、本発明の航空機を地域範囲に適合させ、また速度、高度、寸法を小さくすることによって、本発明の「範囲に最適化された」設計は著しく短い期間内に利用可能になるであろう技術に基づいて著しく低いDOCを実現することができる。これは市場投入を何年も早くすることができる。
・モジュール化した、前方互換性のある機体に連結された前方互換性のあるパワートレイン推進を介した「未来の保証」(比較的早期の技術的な又はビジネス関連の陳腐化の防止など)の組み込みの度合。急速に改善している電気車両技術と同様に、技術革新によって牽引された電動飛行機の早期の採用に対する重要な障壁は陳腐化である。この電動飛行機及び関連する輸送システムの採用に対する可能性がある阻害要因は、モジュール化、すなわち単純なモジュール交換を介して技術のアップグレードを可能にするパワートレイン、推進、及び機体の前方互換性のある設計によって反論される。これは、エネルギー保存技術及び/又は動作効率の改善を遅れないように保持するためのアップグレードを介して、DOCの継続的な改善を実現するハイブリッド電動飛行機の早期の投入を可能にする。別の重要な実現要因は、本発明のハイブリッド航空機のパワートレイン最適化及び制御システム(本明細書では「POCS」と称する)である。このプラットフォームは、最適性能を実現するために、搭載されたエネルギー保存ユニット及び発電機の特性に基づいてモジュラーパワートレインの動作を調節する。結果として、技術のアップグレードは飛行の目的、速度、効率、騒音に容易に順応し、ペイロードは、詳細なオペレーター又はパイロット介入を必要としないで、搭載されたモジュールを最も良好に活用するやり方でパワートレインを制御するように変換される。
・短距離離着陸(STOL)能力を有する静寂な動作は、「近接した」飛行を可能にし、またコミュニティの理解を得やすくする。静寂なSTOL能力は、航空機がコミュニティ及び居留区に「近接した」飛行を行う能力を劇的に改善し、これによってドアツードア移動時間の減少に急激な変化を実現する。STOLは、混雑したハブを回避し、より小さいコミュニティ空港(米国内で13,000を超える)への運航を可能にする。静寂な動作は、しばしばこのような飛行への制限となるコミュニティの理解を得やすいことになる。本発明のシステム及び航空機は、滑走路要件を減少しかつ騒音レベルを下げるために、静寂な電気ダクト付き可変ピッチファン(本明細書では「eFan」と称する)を推進用に活用し、これによって既存の空港のうちの大多数における運航を可能にする。本発明で提案している送風機設計は、範囲に最適化された航空機の中程度の速度及び高度に対して、空気力学的及び音響学的に最適化されている。これは低圧力比可変ピッチ送風機の使用を含み、より効率を高めるためのプロペラブレードピッチの飛行モードへの適合、及び典型的に騒音をもたらすスポイラーに代わる回生ブレーキの使用を可能にする。送風機は、ダクトの中心に位置付けられ、かつ送風機に直接的に、又は所望による楕円減速機を通して接続された1つ以上の高密度電気モーターによって駆動される。ダクト付き送風機の高安定スラストに連結された電気モーターの低RPMにおける高トルクは、良好なSTOL性能をもたらす。低い送風機翼端速度、ファンのステーター及びダクトの音響設計、ならびにダクトの音響処理の組み合わせは、著しく低い騒音特性を実現する。追加的な利点として、ダクト付き送風機の安全性の増加及び「ジェットのような」外観は、多くの場合地域運航用に使用される開放型のプロペラ航空機と比較して、強い消費者アピールへ変換されることが期待される。この航空機及びパワートレインは、客室騒音及び環境騒音の減少を意図する他の機能も含む。
・本発明の電動飛行機の効果的な大規模運航を可能にする、乗客及び貨物のための分散した地域ハイブリッド電気航空交通網。今日の航空サービスは、乗客(又は貨物を輸送する者)が自分の移動を大型でコスト競争力がある航空機の飛行パターンに合わせる必要がある。対照的に、そして本発明者らによって認識されるように、ハイブリッド電気技術は、反対に航空機及び飛行パターンを乗客の移動の必要性に合わせることができるようにする。これは、比較的多数の近隣の空港及びコミュニティ空港から運航し、そして個々の経路に最適化されたより小さい電動飛行機を運航する、分散した地域的電気航空輸送ネットワークを介して実施される。このネットワークの形態は従来の長距離の航空輸送ネットワーク及びシステムとは著しく異なることになり、このネットワークを実施及び動作するために使用される構成要素及びプロセスに対する独特の要件をもたらす。これらは本明細書に記述され、また空港(地上輸送オプションを含む)及び航空機について、需要供給調和機構対する要件を含む。空港に関しては、一実施形態では、これはすべてが1,500フィートを超える滑走路(又はVTOLパッド)を有する4つのクラスの空港を含み、また地域ネットワーク内での役割及び空港が高周波数電気飛行を可能にするために装備している程度に基づいて差別化される。航空機については、一実施形態では、これは飛行中「燃料節約型」運航用に、そして地上ではサービスレベルの低いコミュニティ空港用に設計されたハイブリッド電動飛行機を含む。これらの要素は連係しており、またそれらの使用は、航空機座席利用率及び利用を改善するために、次世代の地域容量管理を使用して最適化される。
・ハイブリッド電気パワートレインの大規模用途に対する重要な要件である、航空グレードの安全のための航空機パワートレインの耐故障性設計の開発及び使用。一実施形態では、これは、故障が生じたとき安全航行の継続を確保するために、比較的高度の冗長性に対して、パワートレインを設計すること、ならびに最適化及び制御システム(「POCS」システム)を支援することによって対処される。これは、他の要素又はプロセスの中でも、動力源、変換器、センサー、又はモーターの故障の場合に冗長性を提供する機能を含んでもよい。他の安全機能は、航空機の搭乗者に対するリスクを最小化するやり方でプラットフォーム及びモジュールの衝撃に対する応答を確保するように、墜落の前にパワートレインを用意するために使用されるものを含んでもよい。
・半自動化最適化及び制御のために設計されたパワートレインの使用、パイロットの承諾及び最適効率での高周波数運航を可能にするために重要な因子。パイロットのハイブリッド電動飛行機の承諾のための鍵は、従来の航空機の運転を模倣する単純なパイロットインターフェースを有する制御プラットフォームである。このプラットフォーム(その実施例が
図9に図示され、さらに本明細書に記述される)は、パイロットの飛行のための目的に適合するために、組み込まれたパワートレインにわたって(例えば、飛行の途中の発電機動作)、及び各モジュールに対してパワートレインモジュールの動作を最適化(例えば、最大効率のためのモーターRPM及びトルク)するべきである。さらに、制御プラットフォーム(すなわち、POCS)は、適切な故障分離及び復旧機構を通してパワートレインの安全動作を支援するべきである。制御プラットフォームの他の機能は、合理化されたパワートレインの準備及び飛行前の点検、補助された診断及び飛行後のメンテナンス、ならびに電力モジュールの交換後の単純な較正を含んでもよい。これらの機能又は要件の多くは、注記されたパワートレイン及びそのモジュールのために単一の制御プラットフォームとして機能するパワートレイン最適化及び制御システム(POCS)を介して可能になる。
・地域的なハイブリッド電気飛行のために飛行経路を作り出し、かつ修正するための自動化した最適化方法。従来のジェットによる長距離の飛行とは異なり、明確に定義された最適高度及び速度を用いて、1つ以上の地域ハイブリッド電気飛行(典型的には<30,000フィートの高度で飛行する)のための最適経路を決定するのはより複雑であることに留意されたい。例えば、飛行の間に発電機が必要とされる程度に基づく様々な動力源の異なる運航特性は最適な飛行高度の変化をもたらす。したがって、最適経路を決定するために、飛行の間の物理的条件(例えば、地形、天候、及び飛行距離)、及びパイロットの飛行に対する選好(例えば、高速又は経済的)とともに、動力源動作特性を考慮する必要がある。いくつかの実施形態では、最適な飛行経路を定義し、また飛行とともに放出された条件としてこれらを精緻化するために、これは飛行管理システム(FMS)及びPOCSと協働する飛行経路最適化プラットフォーム(本明細書では「FPOP」と称され、また
図13及び
図14を参照して記述される)を介して可能になる。
【0026】
[0045]
図1は、本発明の輸送システムの実施形態の実装の中に存在してもよい、ある一定の基本的な構成要素、要素、及びプロセスを図示する略図である。本明細書に記述されるように、本発明の輸送システム、ならびに関連する装置及びプロセスは、小型から中型(6~90席)のハイブリッド及び電動飛行機(VTOL/STOL能力を有する)に基づいた地域輸送のための分散した航空交通網を含んでもよい。これらは、少数のハブ空港に集中した現行の従来型の長距離の航空輸送システムを補足するために使用される。
【0027】
[0046] 航空交通網は、現行で従来の航空によって適切なサービスを受けていない多数の地域空港への電動飛行機の高周波数運航、ならびに主要なハブ空港への影響が少ない運航のために適合される。これは、航空会社、公共交通機関、エアタクシー、チャーター便の運航者、及び貨物の運航者に、地域にわたる収益性のある、予定の決まっている飛行、又はスケジュールが変更可能な飛行、及びオンデマンド飛行を長距離航空と競争力のあるコスト構成で提案する。本発明の輸送ネットワークは、代替の地域移動モード(すなわち、高速道路、鉄道又は高速鉄道、及び従来の空路)より著しく短いドアツードア移動時間及びマイル当たりより低い合計コストを提供する。いくつかの実施形態では、これは、本発明の静寂な、範囲に最適化されたハイブリッド電動飛行機を使用して、便利な、高周波数の、「近接した」、コミュニティ及び居留区の近隣の多数の地域空港への飛行を介して達成される。
【0028】
[0047] 図に示すように、本発明の輸送ネットワーク100の実施形態は、1つ以上の地域サブネットワーク102を含んでもよい。各サブネットワーク102は、国の地域、州、又は他の地理的地域に属している場合がある。各サブネットワーク102は、典型的には複数の都市及び1つ以上の地域又はハブ空港104を含み、ここから本発明の航空機106のうちの1つ以上が運航する。各地域航空又はハブ空港104は、航空機のスケジュール作成及び「燃料補給」を支援するための要素及びサービスを含んでもよい。ここで燃料補給とは再充電又は保存エネルギーユニットの交換、及び距離延長発電機用の燃料の追加(図内で「再充電及び燃料補給サービス」108によって示唆されるように)を指す。スケジュール作成、燃料補給、及び他のサービスの管理(記録管理など)は1つ以上のサービスプラットフォーム110によって実施されてもよい。かかるプラットフォームは、飛行に関する診断情報へのアクセス及び処理、燃料補給ステーションの運営、及び燃料補給動作のスケジュールのために使用されるものを含んでもよい。いくつかの実施形態では、サービスプラットフォーム110は飛行のスケジュール作成に対する供給と需要の調和、効率的な様式での利用可能な部品の作成、又はネットワーク及びその構成要素の管理に関連する他の望ましい調和又は最適化プロセスを実施する能力を有するプロセスを含んでもよい。
【0029】
[0048]
図2は、本発明の輸送システムの実施形態の実装の中に存在してもよい、ある一定の基本的な構成要素、要素、データフロー、及びプロセスを図示する略図である。図に示すように、かかるシステム200は本発明のハイブリッド電気地域航空機202の実装を含んでもよい。航空機202は、本明細書に記述されるハイブリッドパワートレイン203、パワートレイン最適化及び制御システム(POCS)204、飛行経路最適化プラットフォーム(FPOP)205、飛行管理システム(FMS)206、ならびにシステム200の他の構成要素又はプロセスへのメッセージ及びデータの転送のための通信能力207の実施形態を含む。地域航空輸送オペレーター210は、1つ以上の空港及びそれらの関連する航空機運営に関連した飛行計画及び他のスケジュール作成又は管理業務で使用するための一組のプロセスを含んでもよい。通信能力207は、航空機ペイロード、飛行経路、及びエネルギー状態(他のパラメーターの中でも)に関するデータを地域航空輸送オペレーター210へ転送するために使用されてもよい。航空機202及び輸送オペレーター210のうちの1つ以上から得られたデータ及び/又はこれらによって処理されたデータは、地域容量管理プラットフォーム又はプロセス212を介して飛行スケジュール作成を補助するため、再充電-燃料補給プラットフォーム214を介して「燃料補給」プロセスの管理及びスケジュール作成を補助するため、又はPOCSオンラインプロセス又はプラットフォーム216を介した飛行の間及び飛行後の航空機の動作の監視(パイロットログ及びあらゆる問題の診断の目的で)を補助するために使用されてもよい。
【0030】
[0049] 図によって示唆されるように、地域航空輸送サービスに対する需要は様々な種類の予約、ならびに航空機、部品、及びパイロットの可用性によって推進される場合がある。かかる情報218は、典型的には地域容量管理プラットフォーム又はプロセス212によって、顧客が利用できるようにする飛行の適切な数及びタイプを決定するために使用される。同様に、燃料/エネルギー/動力のサービス供給者は、再充電-燃料補給プラットフォーム214を介して燃料補給動作スケジュールを立てかつこれらの動作に対する支払に応じるために、飛行スケジュール作成、燃料必要性、利用可能な燃料(充電済みモジュールなど)、及び販売/支払220に関する情報を使用する場合がある。航空機製造業者222は、典型的には、航空機を運航するため及び問題を診断するためにパイロット又はプロセスを補助する上で使用するために、航空機及びPOCSオンラインプロセス又はプラットフォーム216に対するそのシステムの構造及び動作に関する情報を提供する。
【0031】
[0050]
図3は、本発明の輸送システム300の実施形態の実装の中に存在してもよい、ある一定の基本的な構成要素、要素、及びプロセスをさらに図示する略図である。図によって示唆されるように、航空機及びパイロット318は、1つ以上のシステム、プラットフォーム、モジュール、又はプロセス(「FMS」、「FPOP」、「POCS」、「現場でのRRP」によって示唆される)を航空機のスケジュール作成又は運航の一部として利用してもよい。現場314での再充電-燃料補給プラットフォーム(「現場でのRRP」)は、1つ以上のシステム、プラットフォーム、モジュール、又はプロセス(「再充電及び燃料補給アシスタント」、「サービス供給者データベース」、「選好」によって示唆される)を利用することによって飛行中又は目的地において必要とされる最適な再充電及び燃料補給サービスを決定することによって、パイロットを補助する。あるいは、再充電及び燃料補給の決定は、航空機及びパイロット318によって提供される情報に基づいて、地域航空輸送オペレーター302によってなされてもよい。現場314での再充電-燃料補給プラットフォームは、示されるようにこれらを同様に補助する。パイロット又はオペレーターによって要求される再充電及び燃料補給サービスについての情報、ならびにサービス供給者が提案するスケジュールは、再充電-燃料補給プラットフォームオンライン316と航空機及びパイロット318又は地域航空輸送オペレーター302との間で好適なインターフェース308を介して交換される。再充再充電-燃料補給プラットフォームオンライン316は、再充電及び燃料補給スケジュールを提供すること、かかるサービスに対する支払を処理すること等の一部として、1つ以上のシステム、プラットフォーム、モジュール、又はプロセス(「サービススケジュール作成」、「サービスカレンダー及びログ」、「供給者データベース」、「支払プラットフォーム」、「プラットフォームのマッピング」等によって示唆される)を利用してもよい。同様に、データは再充電-燃料補給プラットフォームオンライン316と空港燃料サービス供給者306との間で交換されてもよい。
【0032】
[0051] 表示されるように、本発明の地域的電気航空輸送システムによってサービスを受ける空港/エアフィールドは、高周波数電気飛行を可能にする様々なレベルの迅速な交換及び再充電インフラを提供する場合がある。再充電ステーションは、航空機エネルギー保存ユニットの標準的な充電及び急速充電をそのままの位置で可能にするように動作し、一方で交換ステーションは、放電した又は部分的に放電したエネルギー保存ユニットを交換し、かつこれらを充電したものと取り替えるように動作する。本発明の航空機は、標準エネルギー保存ユニット及び延長エネルギー保存ユニットを収容するベイを含み、またこれらは標準パック又は延長パックを備える個別のモジュールの除去を可能にするように各々モジュラーであってもよい。結果として、交換は既存のモジュールをオペレーター要件(次の飛行速度、範囲、ペイロード、及びコストなど)に基づいてより小さい又はより大きい数と取り替えることを含んでもよい。
【0033】
[0052] 航空機の速度、範囲、ペイロード、及び運航コストは、かなりの割合で搭載されたエネルギー保存容量によって決定されることに留意されたい。結果として、エネルギーを供給するモジュールを追加又は除去する能力は、特定の飛行の必要性に対して性能を適合できるようにする。例えば、設計ペイロード未満の飛行では、オペレーターは運航コストを減少することができ、及び/又は最大で設計ペイロードから実際のペイロードを差し引いた重量のエネルギー保存ユニットを追加し、必要な減少した燃料を減らすることによって電気範囲を増加することができる。反対に、オペレーターは、ペイロード超過より大きい重量のエネルギー保存ユニットを除去し、飛行に必要な追加燃料を加えることによって、設計より高いペイロードを順応することができる。この能力によって、オペレーターは、航空機が容量未満の負荷の場合レッグ上のコストを減少し、また過負荷の飛行に順応することができる。さらに、効率的なモジュール交換及び再充電を可能にするために、パイロット又は地域航空輸送オペレーターがエネルギーの必要性を判定し、そしてこれらを目的地の空港もしくは目的地への途上の空港(複数可)における燃料サービス供給者に通信することができるようにするソフトウェア及び通信プラットフォーム312によって輸送ネットワークを支援してもよい。
【0034】
[0053] 記載したように、再充電-燃料補給プラットフォーム304の実施形態のブロック図が
図3に示される。その動作の態様が、
図3aによって図示され、これは目的地における必要な再充電又は燃料補給サービスを決定するための例示的なプロセスのフローチャート又は流れ図であり、また
図3bでは目的地への途上でのかかるサービスを決定するために図示される。これらのプロセス又は動作は、パイロット又はオペレーターの要求に基づくプラットフォーム304の現場での態様314の「再充電及び燃料補給アシスタント」モジュール又はプロセスによって実行される。
【0035】
[0054]
図3a及び
図3bに図示されるプロセス又はプロセスフローは、複数の因子に依存し、これらは、ルートレッグのペイロード及びエネルギー要件、搭載されているエネルギー保存容量及び残っている充電量、交換及び再充電要件を決定するためのターンアラウンド時間及びコストを含む。これらのパラメーター及びデータは、典型的には飛行の詳細、ETA、及びターンアラウンド時間とともに空港燃料サービス供給者306に通信される。これによって、供給者306はサービスのスケジュールを立て、また交換又は再充電が迅速かつ適正に実施されるように準備することができる。目的地の空港における再充電及び燃料補給を行うパイロットを補助するために、プラットフォーム304は次の飛行(飛行セグメントなど)のために必要な追加的なエネルギーを決定し、そして空港において選好されるサービス供給者の能力に基づいて実行可能なオプションを作製する。
【0036】
[0055] かかるオプションは、保存エネルギー容量をペイロードへと適合すること、エネルギー効率を改善するためにペイロードが低い飛行に保存エネルギーユニットを追加すること、又は追加的なペイロードが必要な飛行上のユニットを除去すること、のうちの1つ以上を含んでもよい。オプションは、コスト、ターンアラウンド時間、又は保存エネルギーユニットの動作寿命への影響のうちの1つ以上に基づいて保存エネルギーユニットに対する交換又は再充電も含んでもよい。このオプションは、コスト及び必要な時間とともにパイロットに提示され、そして所望のオプションのパイロットの選択がサービスのスケジュールを立てるために供給者306に送信される。同様に、目的地へ飛行中のサービスを受けるパイロットを補助するために、プラットフォーム304は、残りの搭載されたエネルギー及び次のレッグのために必要な追加的なエネルギーを仮定して、航空機の範囲を決定する。これは、各選択のコスト及び時間の影響とともに航空機の範囲内のサービス供給者に基づいて実行可能なパイロットオプションを作り出すために行われる場合がある。プラットフォーム304は、単一の飛行のために、連続する複数の飛行のために、又は複数のレッグを有する飛行のために再充電及び燃料補給の計画作成を支援するために使用されてもよいことに留意されたい。複数のステップを有する移動のための連続したサービスは、プラットフォームからのガイダンスに基づいてパイロットによって選択され、そしてサービス供給者へ送信される。移動の途中で、再充電及び燃料補給の必要性ならびにスケジュールは飛行の進捗に基づいて定期的にリフレッシュされ、そしてこれらが著しく異なるか又は特定の規則もしくは条件に適合する場合はいつもサービス供給者に送信される。
【0037】
[0056] かかる取引が効率的に、そして標準的な取引認証、承認、及び処理技法を使用して行われるように、再充電-燃料補給プラットフォーム304は、請求、支払、及び口座管理に対する支援も提供する。エネルギー保存ユニットは航空機のオペレーターによって所有されてもよく、その場合交換ユニットは、今日の交換部品とほぼ同じように飛行パターンに基づいて事前に配備されることになる。エネルギー保存パックは、サービス供給者又は第三者によって所有され、そして航空機オペレーターにサービスとして貸し出される可能性もある。サービス供給者はスペアパックを保存し、かつ再充電し、そして必要に応じてこれらを放電したパックと交換する。
【0038】
[0057] 再充電-燃料補給プラットフォーム304は、航空機に搭載されて又は地域航空輸送オペレーターの建物内で実施される一組の現場での機能的モジュール314、及びインターネット又は他の好適な通信ネットワークを介してアクセス可能な一組のオンライン機能的モジュール316から成る。かかるプラットフォームのオペレーターによって提供されるサービスは本明細書では再充電/燃料補給と称されるが、これらはエネルギー供給源の交換も含む場合もあり、また交換は運航上の必要性に応じてバッテリーパックの合計数をより多く追加すること、又は減少することを伴う場合があることに留意されたい。再充電-燃料補給プラットフォームは、効率が高い燃料補給動作を可能にするために、ハイブリッド-電動飛行機、地域航空輸送オペレーター、及び空港燃料サービス供給者の間の通信を接続しかつ許容する。プラットフォームの要素は、以下のうちの1つ以上を含んでもよい。
・オンライン320及び現場321でのオンラインサービス供給者データベースは、空港、各空港における燃料サービス供給者、各供給者のサービス能力、サービススケジュール、価格、及びその他の物流詳細(例えば、所属、利用できる支払方法等)の定期的に更新される一覧表である。典型的には、このデータベースの最新の総合版がオンラインプラットフォーム316の中に維持される。オンラインプラットフォーム316への依存又は接続性がなくても現場での再充電及び燃料補給アシスタントモジュール/プロセス322が機能することができるように、プラットフォーム304の現場での態様314の一部としてデータベースの短縮版(例えば、地方/地域用にあつらえた)が配置される。しかしながら、分散した現場のうちの1つ以上はバックアップとしてデータベースの総合版のコピーを維持し得ることに留意されたい。中央データレポジトリによって提供されるサービスが中断した場合に再充電及び燃料補給データをパイロット及び地域設備に提供する上で、又は著しく航路からそれたパイロットに補助を提供するために、この冗長性は役に立つ場合がある。安全なアクセスが適切に利用可能で、かつ運航に望ましくない影響を有することなく更新を実施することが可能な場合、短縮版はオンラインデータベースから定期的に更新されてもよい。
・選好データ(要素、プロセス、又はモジュール324及び325)は、航空機又はオペレーターに対する適合された設定の記録である。これらは、デフォルトの単位、通貨及び時間帯、選好される燃料サービス供給者及び慣例価格、通信及び取引プロセス、ならびに特定の経路に対する標準的な燃料補給プロトコルを含んでもよい。これらは現場324だけでなく、オンラインプラットフォーム325の中にも保存される。
・再充電及び燃料補給アシスタント322は、パイロット又はオペレーターが1つ以上の飛行を支援するために必要な最適な燃料補給を決定し、また空港において利用可能な供給者の中で又は航空機の範囲内で選択することができるようにする。機能又はプロセスは、現場での供給者データベース321及び再充電-燃料補給プラットフォーム304の選好データ324、ならびに航空機上でもしくはオペレーターがアクセス可能なPOCS及びFPOPなどの(その機能又は動作は本明細書でより詳細に記述される)一組のモジュール又は機能を活用する。
・サービススケジュールモジュール326は、特定の燃料サービス要求を受信し、そして要求された供給者を用いてこれらのスケジュールを立てようとする。要求された時間枠が利用可能である場合、モジュールは確認を返し、そしてこの航空機のための予約をサービスカレンダー328上に記録する。この時間が利用可能でない場合、モジュールは代替の空き時間を返す。供給者は、再充電-燃料補給プラットフォームに自らのスケジュールを任せる場合があり、及び/又は自身のスケジュールを管理する場合がある。プラットフォームが制御を有する場合、モジュール326は供給者のカレンダー上にサービスのスケジュールを作成し、供給者に通知を送信する。供給者が制御を有する場合、モジュール326は供給者にサービス要求を通知し、そして確認を待つか、又は代替の空きの詳細を伝える。
・サービスカレンダー及びログモジュール328は、航空機及び供給者によってスケジュールが立てられたすべてのサービスの記録を維持する。各々の過去のサービスに対して、モジュールは、処分、サービスが実施されたかどうか、実施されたサービスに対する請求、完了した支払の詳細、未解決の顧客からのフィードバック等を追跡する場合がある。モジュール328は、サービス供給者が、未来の利用可能なサービス枠を画定する、プラットフォームがその代理として予約又は制御を保持することを許容する、プラットフォーム以外で行った予約を反映するようにそのカレンダーを更新すること等を可能にする。
・会計モジュール330は、供給者が請求書を発行し、また顧客が支払を行えるようにする記録管理及び取引モジュールである。このモジュールは、パイロット及びオペレーターによって現在使用されている標準的な支払プラットフォーム332(例えば、EDI、クレジットカード、EFTなど)を活用する。
【0039】
[0058] 本発明のシステム300のさらなる態様は、空港燃料サービス供給者306である。これは、本発明の輸送システムの一部である空港又はエアフィールドのオペレーター又はマネージャーを表す。かかるオペレーター又はマネージャーは、航空機がエネルギー保存ユニットを効率的に再充電又は交換すること、範囲延長発電機のために追加的な燃料取り入れること、これらのサービスに対する支払を処理すること等を可能にする一組のサービスを提供する場合がある。地域空港又はエアフィールドサービス306の供給者は、好適なインターフェース310を介して再充電-燃料補給プラットフォーム304とデータをやり取り及び転送する。
【0040】
[0059]
図3aに戻ると、これは目的地で必要とされる再充電又は燃料補給サービスを決定するための例示的なプロセスのフローチャート又は流れ図であり、一実施形態では、航空機のために利用可能なエネルギー/燃料、到着の場合推定される時間、及び到着後のエネルギー/燃料状況を決定する(工程又は段階350)ためにPOCS(
図11及び
図12を参照してより詳細に記述される)が使用されてもよい。次に、パイロット又は飛行スケジュール作成プロセスからの入力に基づいて、飛行の次のレッグ又はセグメントに関する情報又はデータを受信する場合がある(工程又は段階352)。FPOPプロセス(
図14を参照してより詳細に記述される)は、次のレッグ又はセグメントに対して必要とされる合計エネルギーを決定するために使用される(工程又は段階354)。次に、次のレッグ又はセグメントに対する最大利用可能保存エネルギー容量が判定される(工程又は段階356)。
【0041】
[0060] 次いで、選好データ(
図3を参照して記述される)は、次のレッグ又はセグメントに対して必要とされる合計エネルギーの保存(例えば、バッテリー)と発電(例えば、燃料の使用に基づく)との間の割り当てを決定すると考えられる場合がある。かかる選好が存在する(工程又は段階358の「はい」の分岐で示唆されるように)場合、かかる選好又は条件/制約は、再充電及び/又は燃料補給要件を決定するために使用される(段階又は工程360)。かかる選好が存在しない(又は段階又は工程358の「いいえ」の分岐で示唆されるように何らかの理由で適用できない)場合、再充電及び/又は燃料補給オプションは、可用性、価格等に基づいて決定される(工程又は段階362)。図によって示唆されるように、この決定は空港サービス供給者データベースに含まれるデータの考慮を含む。決定された再充電及び/又は燃料補給オプションはパイロットに示され、そしてパイロットの決定(複数可)が受信されてもよい(段階又は工程364)。
【0042】
[0061] 選好及び/又はパイロットの決定(複数可)に基づいて、再充電及び/又は燃料補給要件は、適切なサービス供給者367へ通信される(段階又は工程366)。これは、飛行、航空機、利用可能かつ必要なエネルギー、エネルギー供給源の構成等に関する情報を含んでもよい。受信及び処理の後、サービス供給者367は、再充電及び/又は燃料補給の発注及びあらゆる関連する情報の確認をパイロットへ提供してもよい(段階又は工程368)。
【0043】
[0062]
図3bに戻ると、これは目的地への飛行中の再充電又は燃料補給サービスを決定するための例示的なプロセスのフローチャート又は流れ図であり、一実施形態では、航空機のために利用可能なエネルギー/燃料、到着の場合推定される時間、及び到着後のエネルギー/燃料状況を決定する(工程又は段階380)ためにPOCS(
図11及び
図12を参照してより詳細に記述される)が使用されてもよい。次に、FPOPプロセス(
図14を参照してより詳細に記述される)は、航空機の残りの範囲を推定して次のレッグ又はセグメントに対して必要とされる合計エネルギーを決定するために使用される(工程又は段階382)。好適な再充電及び/又は燃料補給設備を有するエアフィールドに関する情報源及びデータ源として空港サービス供給者データベースが使用されてもよい(段階又は工程384)。
【0044】
[0063] 次いで、選好データ(
図3を参照して記述される)は、次のレッグ又はセグメントに対して必要とされる合計エネルギーの保存(例えば、バッテリー)と発電(例えば、燃料の使用に基づく)との間の割り当てを決定すると考えられる場合がある。かかる選好が存在する(工程又は段階386の「はい」の分岐で示唆されるように)場合、かかる選好又は条件/制約は、再充電及び/又は燃料補給要件を決定するために使用される(段階又は工程388)。かかる選好が存在しない(又は工程又は段階386の「いいえ」の分岐で示唆されるように何らかの理由で適用できない)場合、再充電及び/又は燃料補給オプションは、1つ以上の再充電/燃料補給サービスオプションの飛行への影響の考慮に基づいて決定されてもよい(段階又は工程390によって示唆されるように)。これは、必要なターンアラウンド時間及び何らかの予想される飛行の遅れ、コスト、エアフィールド料金等の考慮を含む場合がある。決定されたオプション及びいずれかの関連する規則、条件、又は制約の適用に基づいて、可能なオプションの部分が決定され、パイロットに示されてもよく(段階又は工程392及び394によって示唆されるように)、そしてパイロットの決定(複数可)が受信される。
【0045】
[0064] FPOPモジュール又はプロセスを使用して、航空機の推定される到着時間、保存エネルギー、及び利用可能な燃料を判定してもよい(段階又は工程396)。選好及び/又はパイロットの決定(複数可)に基づいて、充電及び/又は燃料補給要件が適切なサービス供給者397へ通信される(段階又は工程398)。これは、飛行、航空機、利用可能かつ必要なエネルギー、エネルギー供給源の構成等に関する情報を含んでもよい。受信及び処理の後、サービス供給者397は、再充電及び/又は燃料補給の発注及びあらゆる関連する情報の確認をパイロットへ提供してもよい(段階又は工程399)。
【0046】
[0065]
図4は、本発明の輸送システム400の実施形態の実装の中に存在してもよい、ある一定の基本的な構成要素、要素、及びプロセスをさらに図示する略図である。
図4を参照すると、いくつかの実施形態では、本発明の輸送システムは、ハイブリッド電気地域航空機402、地域ティアI又はティアII空港404、地域航空輸送オペレーター406、空港燃料サービス供給者408、及び再充電-燃料補給プラットフォーム410を含む。
【0047】
[0066] 図によって示唆されるように、本発明の航空機402の実施形態は、いくつかのモジュラーエネルギー保存ユニットを装備していてもよく、標準的なユニット412は設計ペイロードにおける飛行での使用のために寸法設定されており、また増加した電気範囲のための延長ユニット413は設計ペイロード未満の飛行の使用のために寸法設定されている。これらのパックは、地上にあるとき、クイックリリース機構414を使用した容易な交換のために、翼、翼から吊り下げられたポッド内、胴体の下などの場所に位置してもよい。航空機402制御は、パワートレイン最適化及び制御システム(「POCS」、本明細書でより詳細に記述される)416、飛行管理システム(FMS)417、及び安全なデータリンク418を含む。POCS416及びFMS417は、電子処理要素、CPU、状態機械等で実行される一組のコンピューター/ソフトウェア命令の形態で実施されてもよい。他の機能の中でも、POCS416は搭載されているエネルギー保存容量及び残っているエネルギーを追跡し、FMS417は目的地空港における到着時間を推定し、またデータリンクはオペレーター及び燃料サービス供給者と通信するために使用される。
【0048】
[0067] 地域ティアI又はティアII空港404は、ハイブリッド電気飛行の迅速なターンアラウンドを可能にする交換、燃料補給及び再充電ステーション420を装備している。これはエネルギー保存ユニットの自動化又は半自動化した除去及び交換のための装置、パックの貯蔵庫へ及び貯蔵庫からの輸送、ならびにエネルギー保存ユニットのための保存及び再充電設備を含む。空港404は、現場での発電のためのソーラーファーム422、及び配電網426に接続された現場での定置用保存424を含んでもよい。エネルギー保存ユニットを再充電するための電力は、要件、コスト、可用性等に応じて、ソーラーファーム、定置用保存、及び配電網をわたって最適なやり方で引き出されてもよい。
【0049】
[0068] 再充電-燃料補給プラットフォーム410は、効率的な再充電及び交換の組織化を補助するために航空ネットワークをわたって機関を接続し得る。プラットフォームは動作的な必要性に基づいて供給者及びサービスを特定/選択するためにパイロット又は航空輸送オペレーターと協働する。これらの要求はサービスを確認してスケジュールを立てる供給者へ伝達され、そして航空機の到着のために確実にステーションの用意ができているようにする。プラットフォーム410によって実施されてもよい、ある一定の動作又は機能が
図2及び
図3を参照して本明細書に記述される。地域航空輸送オペレーター406は、乗客、パイロット、及び航空機のためにサービスのスケジュールを立てかつ運営するために動作してもよい。プラットフォーム406によって実施されてもよい、ある一定の動作又は機能が
図2及び
図3を参照して本明細書に記述される。空港燃料サービス供給者408は、保存エネルギーユニット(図中の要素412及び413など)のために再充電及び交換動作の供給のスケジュールを立てかつ運営するため、又は航空機に搭載された範囲-延長発電機に対して燃料を追加するために動作してもよい。プラットフォーム406によって実施されてもよい、ある一定の動作又は機能が
図2及び
図3を参照して本明細書に記述される。
【0050】
[0069]
図5は、本発明の地域航空輸送システムの実装で使用されてもよい、本発明の距離に最適化されたハイブリッド電動飛行機500の実施例を図示する略図である。いくつかの実施形態では、かかる航空機及び/又は航空輸送システムは、以下の特性又は質のうちの1つ以上を有してもよく、ここで地域ハイブリッド-電動飛行機は、典型的には500~1000マイルまでの地域範囲にわたる乗客又は貨物の最適な輸送のために設計されている。
・航空機は、サービスが制限された小規模空港への航空運航を可能にするために、本明細書に記述される要素又はプロセスのうちの1つ以上を用いて、飛行中及び地上での「燃料節約型」運航のために設計される。この飛行中の「燃料節約型」運航は、航空機の以下の機能のうちの1つ以上によって可能になる。
- エネルギー及びコストがより低い:航空機及びパワートレインが地域飛行のために最適化されている。例えば、速度、範囲、及び天井が長距離の大型旅客機より低い。飛行の間のエネルギー使用を1つ以上のエネルギー/動力源の間で最適化するために、パワートレイン最適化及び制御(POCS又は類似のもの)プラットフォームが使用される。
- ATC負荷がより低い:所望による航空交通量制御へのデータリンクを含む搭載されたADS-B。
- パイロットがより少ない:自動着陸(所望する場合)を含むフライバイワイヤ能力。オペレーターアップロードを用いた総合的なFMS。リモートパイロット又は完全自律飛行のための設備を含む高レベルの自動化。
- 全天候運航:天候及び地形の回避を可能にする中高度飛行(例えば、25,000フィート)のための加圧。
- 滑走路の必要性が最低限。5,000フィート未満の釣合滑走路離陸。軟らかい滑走路への着陸能力。
さらに、「燃料節約型」地上動作は、航空機上及び空港における以下の機能によって可能になる。
- 急速な燃料補給及び修理:搭載されたエネルギー保存ユニット(例えば、バッテリー)に対する航空機の傍らでの迅速な再充電又は交換能力。着陸に先立った燃料補給、再充電、及びメンテナンス要件のデータリンクを介した自動又は手動送信。
- 急速なチェックイン及び載荷:小型から中型の航空機では一般的な頭上の空間を少なくするために、航空会社の標準的な持ち込み手荷物を持って乗客が搭乗することができるようにするドア付近の収納棚を備えて設計された客室。同時に、乗客を寸法超過手荷物及びチェックイン手荷物を収納するための安全な保持設備から分離するために、再構成可能な障壁が使用されてもよい。飛行機の傍らでの単純なチェックインプラットフォーム(例えば、スマートフォン、タブレット、PC)は、迅速な身元確認及びチケット確認、ならびに料金収集を可能にし得る。オフラインモードでネットワークアクセスが無い場合でも、乗客名簿及び貨物の積荷目録の事前ダウンロード、及びネットワークによる次の回収までの支払の実行の遅延を介して、設計は運航を支援することになる。
- 飛行の準備:所望によるオペレーターアップロードを用いた総合的なFMS。自動化システムチェックがPOCS又は他のシステムによって実施される。データリンクを有する搭載された航空機監視プラットフォーム。
・航空機座席利用率及び利用の最大化を助けるために、地域航空輸送ネットワークを以下のような次世代容量管理能力によって支援してもよい。
- より高い座席利用率:従来の航空のためのGDSへのリンクを含む地域予約プラットフォーム。予約プラットフォームは、固定スケジュール及び需要に基づくスケジュール(リアルタイムに近い能力を含む)、ならびにオンデマンド及びチャーター運航の提供を含んで、リアルタイムで顧客需要を利用可能な飛行と調和するように動作する。オペレーターは、民間のARS(より大きいオペレーター)を介して、又は各種のホストされた民間のラベルがついたARS製品(典型的にはより小さいオペレーターによって使用される)を介してプラットフォームと協働する。そして航空機の利用をより高める。電動飛行機の仮想「プール」が作成されてもよく、これは所有者及びオペレーターが航空機を短期間(数時間)又は中期間(数日から数週間)提供及び借用できるようにする。プラットフォームは、プールされている航空機を可用性及び借用期間を含んでリスト表示できるようにする。プラットフォームは、要件に基づいて利用可能な航空機を位置付けるため、そして期間及び契約、支払処理及び送金による支払、ならびに航空機の受け取り又は返却について交渉するための合理化されたプロセスを含む。交換部品及びパイロット/乗員に対する類似の仮想プールは、迅速なターンアラウンドやスケジュールの柔軟性を可能にする。
【0051】
[0070]
図5に戻って、以下の表(複数可)は、図に図示される航空機の基本的な要素の説明を提供するが、本発明の航空機と従来の航空機との間の構築、材料、及び要件の差異にも留意されたい。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【0052】
[0071]
図5に示す本発明の航空機の実施形態に関して、この実施形態は範囲に最適化された地域乗客航空機の概念設計であることに留意されたい。推進モーター522のための電気は、エネルギー保存ユニット510及び範囲延長発電機526~527(左側のみを示す)から成る、範囲に最適化された一連のハイブリッド電気パワートレイン(
図7及び
図8を参照して本明細書にさらに記述される)によって提供される。
・エネルギー保存ユニット(この場合バッテリーパック)は翼内に位置付けられ、これには標準的なパック510及び設計ペイロード未満の飛行に使用するための延長パック511が含まれる。他の実施形態では、エネルギー保存ユニットは、翼下方のポッド512内、及び胴体の中の様々な場所に位置してもよい。示される実施形態では、バッテリーパック513は前方胴体内の客室の下に位置する。範囲延長発電機のための燃料は翼-本体フェアリングタンク519内に保存される。
・この実施形態の推進モーター522は、静推力を高めるためにダクト付き送風機523内に埋め込まれ、短距離離着陸、高復行速度、及び静寂な動作を可能にする。追加的な騒音減少は、地上を騒音から遮蔽するためにファンをV尾翼531と胴体の上方との間に位置付けることによって達成される。発電機527は防音空気力学的ナセル521の中に組み込まれる。
・推進モーターへの電力は、保存エネルギーユニット510、511、512、513と範囲延長発電機526、527との任意の組み合わせからエネルギーを調達する電気分配システム525によって送達される。保存ユニット及び発電機からのエネルギーの最適な調達はパワートレイン最適化及び制御システム534(POCS、
図9及び
図10を参照して本明細書にさらに記述される)によって管理される。
・航空機は、「プラグイン」式のハイブリッド電気航空機であり、保存電気エネルギーを地上にある充電ステーションを介してプラグインポイント528を介して再充電するか、又は完全に又は部分的に放電した保存ユニットを充電したものと交換することによるように設計されている。幹線又は急速充電ステーションに接続される充電機構が搭載されて含まれ、そのままの位置で低速又は高速再充電することができる。保存ユニットは、保存ユニット又はそれらのモジュールの急速な交換を可能にするクイックリリース機構も装備している。飛行中又は地上での低出力航行の間、搭載された発電機による保存ユニットの制限された再充電も可能になる。
・航空機サブシステムのすべて又はほとんどは電気式であり、そしてハイブリッド電気パワートレインによって駆動される。これらには、飛行制御システム、着陸装置、環境制御システム、防氷、燃料ポンプ、タキシングモーター、及び照明を含むことができる。
・航空機は、従来のパイロットが搭乗したものから、遠隔補助付きのパイロットが搭乗したもの、遠隔パイロットによるもの、遠隔補助付きの完全自律まで広い範囲の様々な飛行モードを装備していてもよい。結果として、航空機533のコックピットは、パイロットなし、パイロット1人、又は2人用に構成されてもよく、また航空機の遠隔パイロットによる制御、及び自動パイロットユニットによる制御を可能にする能力を含んでもよい。
【0053】
[0072] 本発明の範囲に最適化されたハイブリッド電気地域輸送航空機500の実施形態は、有人又は無人のいずれかでの、比較的より静寂な、地域乗客又は貨物運航用の最適化された前方互換性のあるハイブリッド電動飛行機を示す。いくつかの実施形態では、かかる航空機は、プロペラ又は他の好適な機構、例えば、ダクト付き送風機(
図6を参照してさらに詳細に記述される本発明の「eFan」など)、を介して推力を送達する1つ以上の電気モーターによって駆動される推進システムを使用する。航空機は、距離<1,000マイルの地域運航において高効率で運航するように設計され、巡航速度及び高度はこの範囲に対して最適化され(<M0.7、<30,000フィート)、従来の航空機より典型的には60~80%少ない量の燃料を燃焼する。航空機は、地域経路のより低い乗客数に調和するように従来のジェットより小さく(<100席)、多数のより小さいコミュニティ空港へのアクセスを開くためにより短い滑走路運航(<5,000フィート)のために設計され、また乗客及びコミュニティの理解を得やすいより低い客室及び環境騒音(外部及び客室で<70EPNdB)で運航される。
【0054】
[0073]
図6は、本発明の航空輸送システムの一部である電気ハイブリッド航空機の実施形態に使用されてもよい可変ピッチ電気ダクト付き送風機を組み込んだ推進システム600を図示する略図である。
・推進システム600は、重要である静寂なSTOL能力を可能にする本発明の静寂な電気ダクト付き送風機プロパルサー(本明細書で「eFan」と称される)を活用する。静寂なSTOLは、航空機がコミュニティ及び居留区に「近接した」飛行を行う能力を劇的に改善し、これによって乗客又は貨物のドアツードア移動時間の減少に急激な変化を実現する。STOLは、より小さいコミュニティ空港(米国内で13,000を超える)への運航を可能にし、これによって混雑したハブを回避し、また乗客の時間を短縮する。地上操作のために地上支援装置の代わりに静寂で効率的な逆推進力が使用されてもよく、より小さい空港では利用不可能であり得る人員及びインフラの必要性を減少する。静寂な動作は、しばしばこのような飛行への制限となるコミュニティの理解を得やすいことになる。
・本明細書に記述されるように、本発明者らは、地域ハイブリッド電動飛行機の中間速度及び高度に最適化された空気力学及び音響学を用いた、巡航時の高効率及びSTOLのための高い静推力に重点を置いた、新規な範囲に最適化された設計を提案する。これは、低圧力比(1.02~1.10)可変ピッチ送風機の使用、プロペラブレードピッチを飛行モードに適合できるようにすること、逆推進力、回生ブレーキ、及びフェザリングを含むことによって可能になる。
・eFanは、ダクトの中心に位置付けられ、かつ送風機に直接的に、又は所望による減速機を通して接続された1つ以上の高電力密度電気モーターによって駆動される。モーターの液体冷却又は空気冷却がダクトの中に完全に組み込まれる。変速機は耐故障性であり、モーター、センサー、又は通信故障の場合の継続的な安全運航のために設計されており、これは推力出力を保つか、又はグレースフルデグラデーションを可能にする。
・さらに、推力のグレースフルデグラデーションを可能にするために、可変ピッチ電気送風機は、従来の推進システム及び方法では容易に得ることができない追加的な安全及び効率利点を可能にする。利用可能な高トルク、推力変動の高応答速度は、補助的な飛行制御に適用される場合があり、効率を高め、かつ飛行制御を増強する又は飛行制御を完全に置き換える場合がある(例えば、主制御の故障の場合)。
・通常動作では、プロパルサーの制御は、%出力、%逆出力、又は%回生ブレーキを指令するパイロット又はオートパイロットを介し、POCSシステムによって適切なプロペラ(複数可)ブレードピッチ角度、モーター(複数可)RPM、及びトルク(又は回生RPM及びトルク)へと変換され、そしてモーター及び可変ピッチコントローラへ伝達される。バックアップモードでは、POCSの自動化が回避され、そしてパイロットがモーター及び可変ピッチコントローラを直接的に指令する。
・POCSシステムは、出力計画、%出力、飛行モード、高度、及び速度に基づいて、%全出力をRPM、トルク、及びプロペラブレードピッチ角度に変換する。複数のプロパルサーに対して指令が同期される場合があり、したがってすべての連結されたプロパルサーは同一の設定で動作する。
・同様に、POCSシステムは、プロペラブレードピッチ角度が回生RPM及びトルクの適切なレベルに設定されたモーターと調和するように%回生ブレーキ又は%逆出力を変換する。
・緊急停止の場合、POCSシステムは(又はパイロットがバックアップモードを介して直接的に)プロペラブレードにフェザリング位置を指令し、そしてモーターの動きを止める。
・ダクト付き送風機の高静推力に連結された電気モーターの低RPMにおける高トルクが良好なSTOL性能をもたらす一方で、低送風機翼端速度、送風機-ステーター及びダクトの音響設計、ならびにダクト音響処理の組み合わせは、著しく低い騒音特性を実現する。追加的な利点として、ダクト付き送風機の安全性の増加及び「ジェットのような」外観は、多くの場合地域飛行用に使用される開放型のプロペラ航空機と比較して、強い消費者アピールへ変換されることが期待される。
・プロパルサーは、未来のモーターのより高いトルク及びジャイロ荷重に順応するように設計された構造を用いて、30%より高い速度帯にわたる最適効率を標的とする前方互換性のために設計された。
・範囲に最適化された設計は、地域運航で典型的な中間速度及び高度(マッハ数<0.7、高度<30,000フィート)における高巡航効率に適合される。
・質量流量設計点の選択による前方互換性のある設計は、未来の最大速度及び高度を含む巡航範囲にわたる。この範囲は、マッハ数が<0.7である等価な対気速度では、30~250マイル毎時に延長する。送風機巡航圧力比は、特に復行及びより低い高度、より低速の巡航運航では、設置された高正味効率に対する高速ジェットエンジンと比較してずっとより低く、1.02-1.10である。吸気口及び排気口面積は、質量流量条件のこの範囲にわたる剥離及び歪みを回避するように選択される。
・可変ピッチ送風機ディスク及びブレード601は、標的速度範囲にわたる高効率を可能にする。
【0055】
[0074] いくつかの実施形態では、eFan設計は、以下からなる。
-送風機ディスクは複数の送風機ブレード(6~20枚のブレード)を備え、またディスクソリディティは60%を超える。
-送風機ブレードは低圧力比及び3000~4000RPMの運転における高効率に対して設計される。これは、スパン及び対応する翼弦の増加とともに、空気力学的負荷の増加を伴う。
-送風機の先端部は、高効率のために必要な先端の間隙を小さく維持する一方で、調和するダクト壁の曲面内のピッチの変化を可能とするように球状の断面であってもよい。
-送風機ブレードは、未来の最大速度及び高度へと延長する、標的巡航速度にわたる最適効率に対して設計される。可変ピッチ能力を介した静推力、逆推進力、及び回生ブレーキに対する設計を含む。
-送風機ブレードは、幅広い範囲の角度にわたって機械的にピッチ設定される。送風機ピッチ角度は、0°はブレード先端翼弦平面が回転平面に沿うように測定される。
-送風機ブレードは、速度>100°/秒において角度が変化する可変ピッチである。
-可変ピッチ機構は、最低でも離陸時の細いピッチに対する15°と高速の低RPM巡航時の最高50°との間の通常動作範囲に順応する。
-正の最大角度は、ブレードが流入する流れに沿う、抗力が最低の「フェザリング」位置に対する最高80°である。
-最低角度は、連続的なモーター及び送風機の回転を維持する一方で逆推進力を可能にする、最大-40°であってもよい。
【0056】
[0075]
図6に示すように、送風機ブレード601は、滑走路での制動を強化する逆推進力を提供する負の角度から、飛行中にプロパルサーが停止した場合に抗力が最低になるように完全に流線に沿った角度までの、ブレード角度(ピッチ)の電気機械的変化のためにルート部611において機構610を用いて機械的ハブに取り付けられる。送風機ディスク及び電気駆動モーターとともに機構全体が回転する。ブレードピッチ変更信号は回転境界を超えて伝えられる。機構は機械的リンクを通してブレードのすべてを同時に駆動する。設計は、ピッチ変更が無い期間の間、フィードバックトルクを機構からロックするために、戻りのない方向的なブレーキを含む。
【0057】
[0076] eFanは、静寂なSTOL運航のために必要とされる、騒音減少及び静推力を実現するために、空気力学的に曲面を有する流れダクト603内に設置されてもよい。一実施形態では、ダクトの軸方向長さは直径の50~125%であり、送風機はダクト長さの40~60%の位置に位置付けられる。ダクトは、送風機ディスクの後方に位置付けられた複数のステーター602によって支持される。ダクト吸気口のリップ曲面604は、巡航時の高効率、低速度及び高出力で剥離がないこと、及び前方の送風機音の伝播の減少のために、継続的に半径が変化するように設計される。送風機の前方にあるダクト吸気口のリップ曲面604は、層流を促進する一方で剥離を最低限に抑える。送風機のダクト曲面後部は通常動作エンベロープ内での流れの剥離を避けるために十分になだらかである。ダクト出口面積は、送風機後方の流れを膨張させ、自由流レベルの近くまで流れを減少させることによってジェット騒音を最小化する。ダクトの外側曲面603は抗力を低くするために自然の層流を最大化するように設計される。ダクトの内部断面は、高効率のために必要とされる小さい先端間隙を可能にする、送風機と整列した半径方向の凹部又は他の機構を含む場合がある。
【0058】
[0077] 本発明のeFan600は、以下のうちの1つ以上によって特徴付けられてもよい。
・低騒音運航用に設計され、従来の航空機より騒音が15~25EPNdB低い。以下の機能のうちの1つ以上によって可能になる。
・同等の推力の開放型のプロペラと比べてより短いダクト付き送風機内のブレードは、目標500~600フィート毎秒、上限が800フィート毎秒の翼端速度の減少に起因してより静寂な動作をもたらしまた軸方向騒音成分の減衰はダクト及びダクト防音による。さらに、ブレードは、前縁先端スイープ角、後縁形状、ブレード先端及びルート部形状、ならびにピッチが変化するブレード先端からダクトへの間隙形状を含んで低騒音のために最適化される。
・低騒音のためのステーター設計及び配置を介したローターステーター騒音減少。
・ステーターの数は騒音のために最適化され、また送風機ブレードの数及び一次BPF及び二次BPFが2500Hz未満に確実に下がるようにするブレードRPMによって決定される。(BPF=翼通過周波数)
・ブレードの後ろのステーター間隔は騒音減少のために最適化、すなわち送風機の後方1.5~2.5翼弦にされる。ステーターツイスト及びプラットフォームは、旋回流を除去して乱流渦騒音を減少するように設計される。
・可変ピッチブレードの使用は、特に離陸時のローターステーター騒音の主な原因になっている後流強度を減少する。
・ダクト内の送風機の最適化された軸方向位置、ダクト横断面の設計、送風機音の伝播を最小化する吸気口リップ曲面及び出口形状、ダクト吸気口、中央フェアリング、及び出口の重要区域の音響処理を含んで、ダクトは騒音を減衰させるように設計される。
・このダクトを、著しい機体騒音源である従来のスポイラーと置き換えて可変抗力空気ブレーキとして使用されてもよい。
・これは総合的な効率を改善する目的で、回生ブレーキを介したエネルギー回収及び航空機速度制御のために設計され、典型的に騒音をもたらす空気ブレーキ機構の必要性を除去する。回生、したがって対気速度制御は、完全に可変であり、また可変ピッチプロペラ及びモーターにかけられる電気的負荷の調節によって可能になる。パイロットは、標準的なパワーレバーの角度を使用して、標準的な飛行アイドルより低いガードされた範囲内へと移動して、%回生ブレーキを要求する場合がある。POCSシステムは、プロペラブレードピッチ角度及びモーター回生出力を制御することによって%回生ブレーキを実現して、モーター出力を介して測定される空気力学的抗力の標的レベルを実現する。
・これは、停止距離の減少、特にブレーキ作用が減少した表面上、及び逆(例えば、標準的なゲート「押し戻し」)を必要とする地上動作を目的とした逆推進力のために設計され、空港動作インフラの必要性が減少する。逆推進力はブレードのピッチが負の角度になっている可変ピッチ送風機を通して可能になる場合があり、又はモーターの回転方向を逆転することによって可能になる場合がある。逆回転は電気送風機特有の能力であり、従来の航空機エンジンでは複雑なギヤ構成なしでは利用不可能である。
・これは航空機の補助的な制御又は主制御のために設計される。高い一定のトルク、ミリ秒の速いモーター応答、及び高速送風機ピッチレート応答は、ダクト付き送風機の迅速な推力出力変更を可能にする。この作動推力又は方向を変えた推力は航空機の重心周りにモーメントを発生し、これは主航空機制御又は補助的な航空機制御を提供するために利用されてもよい。主制御が故障した場合、制御システムは失われた制御権限をある程度復帰するために推力モーメントを利用するように再構成されてもよい。
-作動推力。1つの実施では、1つ以上のプロパルサーからの推力は重心周りのモーメントを提供するように異なる場合がある。モーターの場所及びプロパルサーの数により、これは縦揺れモーメント又は偏揺れモーメントを発生する場合がある。
-方向を変えた推力。より活動的な実施では、1つ以上のプロパルサーからの推力は、排気口のルーバー、プロパルサーのジンバル、又は縦揺れモーメント、偏揺れモーメント、又は横揺れモーメントを発生する他の手段の使用を通して方向を変える場合がある。
・ダクト付き送風機は、直接的に、1つ以上のプロパルサーからの推力の方向が変えられるルーバー、ジンバルが付いた取り付け、又は推力ベクトルを発生するための他の手段を通して、航空機重量(すなわち揚力)を直接的に相殺し、又は排気流を空気力学的表面の上にチャネリングして吸込み(揚力)及び/又は流れの偏向を作り出す(例えば、「ブロウンフラップ」などのコアンダ面)ことによって間接的に、のいずれかで揚力増強のために設計されてもよい。
・これは組み込まれた冷却のために設計される。電気モーター及び関連するコントローラ-インバーター電子部品は著しい量の排熱を発生する。最低限の重量及び抗力の追加で熱除去が達成されることは大いに望ましい。これは以下の様式でダクト付き送風機設計の中へと直接的に実施される場合がある。
-熱交換器表面は、ステーターの中、及び/又はダクトの内側後部表面へと組み込まれる場合がある。このように、追加的な放熱器はなく、また抗力のための追加的な表面積はなく、熱の流れは出力によって直接的に変化し、そして飛行中降下の間ゼロまで下がる場合があるので特に重要であり、そのとき時間冷却損失は無視できる程度であることが望ましい。
-モーターの熱は、着氷性の降水の中を飛行するときに氷の堆積を防止するためにナセルの前縁の中の熱交換器で除去されてもよく、伝熱式の高温の前縁に電力を提供するよりも実質的によりエネルギー効率的である。
・eFan設計は、以下の機能によって例示されるように耐故障性構造であることに留意されたい。
・アセンブリは、継続した安全動作を確保するように、任意の1つのモーターシステムの故障の際に推力のグレースフルデグラデーションを用いて設計され(モーターインバーター、コントローラ、パワーバス等を含む)、POCS(
図10の要素1042及び/又は
図11の要素1160)によって可能になる。ハードウェアは、複数の電気モーターが単一のシャフトに動力を提供する場合があり、電気的絶縁は1つの故障が他のもの(複数可)の安全な動作に影響しないことを確保し、また個々のモーターは連続性能より60~80%高いピーク性能で5~10分の復旧期間の間動作するように設計される場合があり、これによって作動しているモーターがいずれかで起きた故障に部分的又は完全に順応するように出力を発揮することを含むことによって、推力のグレースフルデグラデーションを支援するように設計されている。これは、ピーク動作の延長がモーターを損傷しないように、モーターをより高い出力定格に対して設計すること、及び高温部位の積極的な冷却のための機構を導入することを含んでもよい。モーター故障によりモーター出力を失った場合、POCSはパイロットに警告し、そしてパイロットが安全に操作できるように十分な時間の間推力を保つために出力を健全なユニットに再分配する(
図11の要素1144)。
・物理的損傷による故障を含むプロパルサーの全故障の場合、ブレードを自動的に「ピンホイール」(ブレードは継続的に回転するが、抗力を最低にするために流れからエネルギーは抽出されない)に設定し、又はピッチを完全に流線に沿った角度(「フェザリング」)にし、そしてモーターは回転を防止するためにブレーキをかけた状態にしてもよい。故障又は潜在的な故障はモーター出力対指令した出力の監視を通して、またモーターにおける機械的損傷/故障を検出するための振動の監視によって検出される場合がある。
・通信又はセンサー障害の場合の耐故障性は冗長システムを介して達成されてもよい。モーター及び可変ピッチコントローラのPOCSへの標準的な接続は、POCS介入を有しないコントローラへの直接的なアクセスのための能力を含むバックアップ配線によって補完される。同様に、モーター及びピッチセンサーはバックアップセンサー又はセンサーレス制御能力によって補完される。POCS内のセンサー故障検出能力は、必要に応じてこれらの間で切り替えられる。
【0059】
[0078]
図6に戻って、以下の表は、図に図示されるeFanの基本的な要素の説明を提供するが、本発明のeFanと従来のファン/プロパルサーとの間の構築、材料、及び要件の差異にも留意されたい。
【表2-1】
【表2-2】
【0060】
[0079]
図7は、本発明の航空輸送システムの部分として使用される電気ハイブリッド航空機の実施形態で使用されてもよい、パワートレイン700及びその関連する要素を図示する略図である。図に示すように、一実施形態では、パワートレイン700及び関連する要素は以下の機能、要素、プロセス、又は態様のうちの1つ以上を含んでもよく、又はこれらによって特徴付けられてもよい。
・バッテリー(又は、電気エネルギーを保存するための他の方法(複数可))に化学燃料に基づくエンジンと発電機との組み合わせを所望による範囲延長装置として組み合わせた1つ以上の電気モーターを介した出力を実現する一連のハイブリッド電気パワートレイン。エンジンは、ピストン、タービン、又は他の形態の熱エンジンとすることができ、保存された化学エネルギーを電気に変換する。パワートレインは、電気作動装置を含む飛行制御システム、電気作動着陸装置、環境制御システム、タキシングモーター、防氷、燃料ポンプ、及び照明を含むことができる航空機の他の電気サブシステムへの出力も実現する。
・パワートレインは、電力及び制御回路を備えるパワートレインプラットフォームを介して組み込まれる、一組のモジュール、例えば、バッテリーパック、エンジン、発電機、電力インバーターDC/DC変換器、燃料システム、電気モーター等を備える。各モジュールは、パワートレイン最適化及び制御システム(POCS)への制御回路を介して接続される。モジュールコントローラは、POCSプラットフォームによって照会され又は目的とされ、そして状態の範囲及び性能情報をPOCSにオンデマンドで又は継続的に送信する。モジュールコントローラ通信へのPOCSはAPIによって可能になり、POCS及びモジュールと通信するプロトコルを定義する。
・パワートレインの動作は、パイロットの命令に基づいてPOCSによって半自動化モード(複数可)又は完全自動化モード(複数可)で制御される。これを可能にするために、個々のパワートレインモジュールは、APIを介して、オンデマンドで、及び/又は定期的にモジュールインターフェースにわたってPOCSと通信するコントローラを装備している。POCSに通信される重要な数値指標は、オンオフ、RPM、出力、各モーターの状況;バッテリー容量、出力、各バッテリーパックの状況;燃料レベル及び流量;エンジンのオンオフ、出力、状況;ならびに各変換器の状況を含む場合がある。POCSから受信する重要な制御指令としては、各モーターのオンオフ、RPM及びトルク;各バッテリーパックの出力;エンジンのオンオフ及び出力が挙げられる。
・パワートレインは「プラグイン」であり、また保存された電気エネルギーを地上にある充電ステーションを介して再充電するように設計されている。低出力航行の間のエンジンによって、及び/又は降下の間の風車状態のプロパルサー及び接地後の着陸装置の回生ブレーキによって、飛行中の制限された再充電も可能になる場合がある。記載したように、エネルギー保存ユニットは複数のモジュール内に収容されてもよく、急速な交換又は投げ荷を可能にするように所望によるクイックリリース機構を用いて航空機の内部又は外部に(例えば、翼の中に)取り付けられてもよい。そのままの位置での低速再充電又は高速再充電のために、幹線又は急速充電ステーションに接続される充電機構及び冷却機構が搭載されて含まれる。
【0061】
[0080]
図7を参照すると、パワートレイン700は、1つ以上の電気プロパルサー701と、1つ以上の分配バス730と、1つ以上の再充電可能なエネルギー保存ユニット710と、所望する場合、1つ以上の所望による範囲延長発電機720と、を含む。パワートレイン700は、外部供給源から分配バス730に電力供給するための要素731と、外部供給源から再充電可能な保存ユニット710を充電するための要素713と、航空機の他の電気システムに電力を分配するための要素732と、も含んでもよい。要素713、731、及び732は、電気的インターフェース、ケーブル、カップリング、又はコントローラなどの(しかしこれらに制限されない)任意の好適な形態を取ってもよいことに留意されたい。その形態がいかなるものであっても、要素732は、典型的には電力を典型的には他の電気システム(例えば、環境制御システム、燃料ポンプ、防氷、照明、ならびに不可欠なシステム用のバックアップ/フェイルセーフ分配(例えば、飛行制御及びアビオニクス))によって必要とされるより低い電圧レベルに変換する1つ以上のDC-DC変換器を含む。
【0062】
[0081] パワートレイン700は、再充電可能なエネルギーストレージ710及び範囲延長発電機720から最適に引き出されるエネルギーを用いて電気プロパルサー701に電力供給するように設計されたプラグインの一連のハイブリッドである。典型的に再充電可能なエネルギーストレージ710からのエネルギーの合計コストをより低くすることを想定すると、保存エネルギーが飛行を完了するために不十分な場合、又は操作が再充電可能なストレージ710から利用可能な電力を超える電力を必要とする場合にのみ、範囲延長発電機720から電力を引き出す。再充電可能なエネルギー保存ユニットからのエネルギーの合計コストは、ユニットを充電するために使用されるエネルギーのコスト、ユニットの充電及び放電の効率、及び性能が閾値未満まで劣化する前の充電-放電サイクルの数として定義されるその有効寿命にわたって償却したユニットのコストに等しい。例えば、コスト効果が高いバッテリーパックは、配電網からの低コストの電気を使用して充電することができ、かつ非常に高効率の充電及び放電を提供し、有効寿命は1,000サイクルを超える。
【0063】
[0082] 電気プロパルサー701は、図示されるダクト付きファン(
図6を参照して記述されるものなど)、又は開放型のプロペラのいずれかである。プロパルサーは、示される可変ピッチ機構703、又は調節可能な排気口プラグなどの他の手段を通して複数のモードでの運航用に設計される。可能な運航モードとしては、例えば、離陸、巡航、回生ブレーキ、フェザリング、逆推進力を挙げることができる。送風機702は、機械的故障又は電気的故障の際に継続した運航を可能にするために、個々のモーターを分離するための機構又はプロセスを用いて1つ以上の電気モーター704に機械的に連結される。通常動作では、送風機703は、モーターコントローラ及びDC-ACインバーター整流器705を介して電気エネルギーを分配バス730から受け取る電気モーター704によって駆動される。一方で、回生ブレーキ制動では、送風機703は、電気モーター704を駆動してDC-ACインバーター整流器705を介して分配バス730へ送達される電気エネルギーを発電する。
【0064】
[0083] 再充電可能なエネルギー保存ユニット710は、電気エネルギーを保存するための示されるバッテリーパック711、超コンデンサ、又は他の媒体(又はその組み合わせ)から成り、パックの動作及び安全を管理するバッテリー管理システム(複数可)712に連結される。各パックは複数の個別に取り外し可能なバッテリーモジュールを備えてもよく、また定置したこれらのモジュールのうちのいくつかを動作してもよく、又はこれらのモジュールすべてを動作してもよい。保存ユニット711は主に外部供給源713によって充電されるが、回生ブレーキの間、電気プロパルサー701による、又は低出力飛行の間、範囲延長発電機720による、飛行中の限定的な充電も可能である。再充電可能な保存ユニット710は、放電するとき電力を分配バス730へ送達し、又は再充電するとき電力を分配バス730又は外部供給源713から受け取る。
【0065】
[0084] 保存ユニット711は、外部供給源713を介したそのままの位置での急速な充電の準備が整っており、またクイックリリース機構を用いた急速な交換の準備も整っている。これらは、搭載した保存ユニットの地上に位置する予め充電した交換品との手動の交換又は自動化した交換を可能にする。
【0066】
[0085] 所望による範囲延長発電機720は、各々が1つ以上の発電機723を駆動する内燃エンジン721から成ってもよい。あるいは、これらは、保存された化学的エネルギーを直接的に電気に変換するユニット(例えば、水素燃料電池)から成る可能性がある。内燃エンジン721は、例えば、ディーゼル、ガソリン、ジェット-Aなどの1つ以上の燃焼室内で燃焼を開始及び維持するための様々な燃料のうちの1つを使用する従来のものであってもよい。燃料は1つ以上の燃料タンク722内に保存され、そして必要に応じて発電機にポンプで送られる。エンジン721は、典型的には故障の際に個々の発電機を分離する機構又はプロセスを用いて発電機723へ機械的に接続される。エンジン721は動作すると発電機723を駆動し、電気エネルギーをAC-DC整流器又は能動的整流器724として作用するインバーターを介して分配バス730に送達する。
【0067】
[0086]
図8は、本発明の輸送システムの実施形態を実施する上で使用されてもよい、代表的な航空機に対する一連のハイブリッド駆動構成800の概略図である。以下の機能、要素、プロセス、又は態様に留意されたい。
-パワートレインは、各々が2つの電気モーター802によって動力を受ける2つの電気プロパルサー801と、再充電可能な保存ユニットとしての2つのバッテリーパック803と、単一の範囲延長発電機と、を含む。この実施例では、発電機は2つのモーター発電機805と連結される単一の内燃エンジン804を連結する。
-いくつかの実施形態では、電気モーター802は、効率が90%超のブラシレスで電子制御された軸方向磁束駆動モーターであり、連続出力で出力密度が5kW/kg超であり、かつピーク出力は連続出力より50%超高い。さらに、モーターは低RPM(例えば、<4,000)で直接駆動を可能にするように設計されてもよい。モーター発電機805は、駆動モーターと同一の構造であり、復旧期間(例えば、バッテリーパックの故障)の間ピークにおいて動作することができる。各モーター802及び発電機805は、ソリッドステート変換器-コントローラ(整流器など)に連結され、最低限の損失で精密なモーター制御を提供し、かつモーターを電圧変動から保護する。
-一実施形態では、内燃エンジン804はターボディーゼルピストンエンジンであり、直接的な駆動を可能にするように電気モーターの設計RPMに一致してもよい固定RPMにおいて最大効率で動作するように調整されている。ターボ過給はエンジンが海水位から最高10,000フィートまでで比較的均一な出力を送達できるようにする。
-電力は2つの一次バス806のうちの1つによってプロパルサー801の各々に送達され、その各々は2つのバッテリーパック803のうちの1つ、及び2つのモーター発電機805のうちの1つによって電力を受ける。一次バス806は、ステップダウンDC-DC変換器807を介して電力を航空機810の非推進サブシステムにも分配する。
-第三の主要バス808は、電気モーター、分配バス、バッテリーパック、又は発電機のうちのいずれかの故障に順応するために電力の別経路を設定する。電気モーター802の故障の際には、主要バス808は故障していないモーターへ電力の別経路を設定し、パイロットが復旧操作のためにピーク推力を要求できるようにする。一次バス806の故障の際には、主要バス808は失われた機能性を完全に置き換えるように協働する。バッテリーパック803又は発電機805の故障の際には、主要バス808は電気モーターからのバランスのとれた出力を維持するように故障していない供給源から電力の別経路を設定する。
-一次バス806又はステップダウンDC-DC変換器807のうちの1つの故障の際には、主要バス808は、非推進サブシステム810及びアビオニクス812にも電力の別経路を設定する。
-示される810及び812は、航空機に搭載された非推進サブシステム及びアビオニクスに電力を供給するために使用される標準的な回路を代表するものである。前者は、氷結保護、燃料ポンプ、加圧、冷却、飛行制御、及び中間電圧(例えば、270V)での動作などのシステムを含む。後者は低電圧(例えば、28V)で動作し、また航空機上のほとんどの重要なアビオニクスシステムを含む。示されるように、これらの回路は、典型的には故障の際の耐故障性のための冗長経路及び追加的な動力源を含む。
【0068】
[0087]
図5を参照して記述されるように、本発明の輸送システムは、地域範囲にわたる最大輸送効率のために最適化された航空機設計を含み、特に、新規な範囲に最適化されたハイブリッド電気パワートレインの設計を含む。いくつかの実施形態では、この設計の目標は、下記の機能に寄与することであり、これは総括的には標的の地域範囲にわたって従来の航空機より65~80%低いDOCを可能にする。
・1,000マイル未満の地域範囲にわたる最大輸送効率のために寸法設定されているパワートレインは、3つレベル又は3つのティアの目的を介して設計される。
・(A)電気のみの範囲にわたる最高効率(従来の航空機よりDOCが80+%低い)及び最適速度
・(B)より広いハイブリッド範囲にわたって中間効率(従来の航空機よりDOCが60~70%低い)及び最適速度
・(C)搭載された保存エネルギー及び燃料から安全リザーブを差し引いたものによって決定されるこれらを超えて最大範囲まででの良好な効率(従来の航空機よりDOCが30~60%低い)及びより低い速度
・地域のサブ範囲(B)に対する最適な速度及び高度のために寸法設定されるパワートレインは、目的の機能(例えば、サブ範囲にわたる飛行に対する「DOC+I+COT」)を最小化することによって決定される(範囲(A)及び範囲(B)に対する範囲(C)にわたる移動の相対的な頻度に基づいて、地域サブ範囲(C)にわたるより低い速度に対して最適化される場合もある)。これは、従来のジェット航空機に対するものより遅い速度、より低い高度、及びより短い範囲に対する設計をもたらす。
・再充電可能なエネルギーストレージと範囲延長発電機との組み合わせは、速度及び範囲要件(A)、(B)及び(C)に基づいて寸法設定される。保存エネルギーを最初に使用する設計。これによって範囲(B)及び範囲(C)内の飛行に対しては、必要なリザーブを所望による範囲延長発電機のために燃料として維持しながら、再充電可能なエネルギー保存を完全に消耗するか、又は範囲延長発電機を搭載していない場合は、必要なリザーブを差し引いて消耗する。ハイブリッド範囲(B)にわたって、再充電可能なエネルギーストレージ及び範囲延長発電機は最適速度を可能にするように寸法設定され、また電気のみの範囲(A)にわたって、再充電可能なエネルギーストレージは、最適速度を可能にするように寸法設定される。範囲延長発電機は、範囲(C)にわたってより低い速度での巡航を可能にするように寸法設定され、したがって効率の改善のために最大連続パワートレイン出力の70%未満まで規模が小さくなる(従来の航空機よりはるかに低い)。
・エネルギー保存質量の最適化(航空機重量の12~20%)、及び範囲延長発電機の規模の縮小は、非常に低い出力をもたらし、典型的にはパワートレインの最大連続出力の70%未満(従来の航空機より低い)となる。
【0069】
[0088] 本発明の範囲に最適化された航空機及びパワートレインの実施形態のための設計プロセスが本明細書に記述され、ハイブリッド電気パワートレインの要素を寸法設定するために速度及び範囲要件の記載された3つのティアの組が使用されるプロセスを含むことに留意されたい。本発明の航空機及び関連する要素のための記述される設計は、機体の寿命にわたる運航能力又は主要なパワートレインモジュールの予想されるアップグレードを支援するために前方互換性を有する。EV技術の急速な革新を仮定すると、この機能は、個々のモジュール技術(例えば、バッテリー、超コンデンサ、電気モーター、内燃エンジン、燃料電池)の改善とともに、パワートレインが経時的に競争力を確実に持ち続けるようにする。さらにこの機能は、範囲延長発電機がもはや必要でなくなる点までエネルギー保存技術が改善された際、航空機のハイブリッド電気から全電気へのスムーズな移行を可能にする。
【0070】
[0089] 前方互換性を提供するために、パワートレインは、航空機の立ち上げにおいて利用可能な技術及び今後15年間にわたって利用可能になる技術の予想(ハイブリッド電気から全電気への移行に対する計画を含む)に基づいて、前述の速度及び範囲要件(A)、(B)、及び(C)に対してエネルギー保存ユニットと発電機との組み合わせを寸法設定することによって設計される。これは、搭載された再充電可能なストレージ及び範囲延長発電機に対する予想につながり、そしてさらに、経時的な性能特性(速度、電気及びハイブリッド範囲及び運航コスト)を決定し、技術の進歩とともに電気範囲の増加及び運航コストの低下が得られる。
【0071】
[0090] 前方互換性は、再充電可能なエネルギー保存ユニットの重量を航空機重量の12~20%まで制限することを必要とし、これによってEV技術が進歩するとペイロード容量はおおむね均一になる。重量の割合がより大きいことは、最初の数年間は類似のペイロードを有する航空機より大きくかつより重い設計につながるが、経時的にペイロードは増加する。割合がより低いことは、範囲延長発電機の使用がずっと多くなることを仮定すると、準最適な効率につながる。
【0072】
[0091] 前方互換性を達成するために、パワートレインプラットフォームは、機体の設計寿命(典型的には15~20年)にわたってモジュール技術を支援するように設計される。これは、適切である場合、未来のモジュールを用いたパワートレイン動作に基づいてプラットフォームを設計することによって実現することができ、また未来の技術に順応するために必要とされるアップグレードを確保することは比較的単純かつコスト効果が高い。例えば、電気モーターへの配線は、未来のより強力なモーター及びより高い航空機速度を支援するために、ピーク電力より最高30%高い定格としてもよい。プラットフォームの配線は、再充電可能な保存ユニットのために寸法を大きく設定し、かつ再分配することができるように設計されてもよく、範囲延長発電機のためには寸法を小さく設定するか又は除去することができるように設計されてもよい。エネルギー保存ユニットからの配線は、将来的により高い容量パックを支援するように設計されてもよく、また範囲延長発電機のために使用されるスペースは発電機が除去されたときに再充電可能な保存ユニットの使用のために配線されてもよい。さらに、アップグレードが必要とされる可能性が高いパワートレインのモジュール及び要素(例えば、配線、ハーネス、スイッチ、変換器)は、交換が単純なように、またアクセスが容易なように設計されかつ位置する。
【0073】
[0092] パワートレインプラットフォーム、ならびにパワートレイン最適化及び制御システム(
図9~
図11を参照して記述されるPOCS、及び
図7~
図8に図示される例示的なパワートレイン構成)は、保存技術の改善にともなうパワートレインのハイブリッドから全電気への段階的な移行を可能にするように設計される。これは、所望による範囲延長発電機がある場合又はない場合の運航、燃料又は再充電可能な保存ベースのリザーブ、及び発電機の保存ユニットとの経時的な交換を可能にする設計されたプラットフォームに対する設計を含む。さらに、パワートレインは以下によって特徴付けられる場合がある。
・モジュラー方式 - ハードウェア及びソフトウェアプラットフォームによって接続された一組の交換可能な「プラグアンドプレイ」に近い能力を有するモジュール。これは、パワートレインがモジュールの比較的単純なアップグレードを介して急速に進歩している技術に順応できるようにする。パワートレインモジュールは、再充電可能な保存ユニット、範囲延長発電機、及び電気モーターを含む。パワートレインプラットフォームは、パワートレイン最適化及び制御システム(POCS)、電気配線、分配バス、変換器、燃料システム、センサー、冷却、遮蔽、及びモジュールが連携してパワートレインを形成することを可能にするように動作する任意の追加的なプロセス又は構造を含む。
・モジュラー方式は、パワートレインプラットフォーム、及び機体の寿命にわたって利用可能となる可能性が高い(前述のように)モジュール技術の範囲と互換性を持つようにモジュールをプラットフォームに接続するインターフェースの設計によって容易にされる。これは、モジュールを、電気回路及び制御回路、ならびに冷却、遮蔽、燃料、及び構造などのサービスから成るインターフェースに接続することによって互換性のあるモジュールをパワートレインに差し込むことができるようにする。例えば、範囲延長発電機は、発電機整流器への電気コネクターを介して、発電機コントローラ、内燃エンジンコントローラ及び燃料システムコントローラへのPOCSコネクターを介して、ならびに発電機及びエンジンへの燃料及び冷却サービスを介して、プラットフォームにプラグインする。新しいモジュールに順応するためにアップグレードが必要とされる場合がある区域では、パワートレインは比較的単純かつコスト効果の高い修正を可能にするように設計される。
・パワートレインの動作を組織化するために、個々のモジュールコントローラはパワートレイン最適化及び制御システム(POCS)に接続される。モジュールコントローラは、POCSプラットフォームによって照会され又は目的とされ、そして状態の範囲及び性能情報/データをPOCSにオンデマンドで又は継続的に送信する。モジュールコントローラ通信へのPOCSはAPIによって可能になり、POCS及びモジュールと通信するプロトコルを定義する。パワートレインの動作は、パイロットの命令に基づいてPOCSによって半自動化モード又は完全自動化モードで制御される。これを可能にするために、個々のパワートレインモジュールは、APIを介して、オンデマンドで、及び定期的にモジュールインターフェースにわたってPOCSと通信するコントローラを装備している。POCSに通信される重要な数値指標は、オンオフ、RPM、各モーターの出力/状況;バッテリー容量、各バッテリーパックの出力/状況;燃料レベル及び流量;ならびに発電機のオンオフ、出力/状況を含む場合がある。POCSから受信する重要な制御指令としては、各モーターのオンオフ、RPM及びトルク;各バッテリーパックの出力;ならびに発電機のオンオフ及び出力が挙げられる。
・パワートレインは、比較的単純なモジュール交換/入れ替えを支援するように設計される。パワートレインプラットフォーム及びプラットフォーム、電気的、制御、及びサービス(冷却、遮蔽、燃料、構造など)へのインターフェースは、多種多様なモジュールに順応するように設計される。これらは、対応する配線、制御又は監視及び搭載された他のサービス能力の仕様を含み、各モジュールはある種の「プラグアンドプレイ」対合を可能にする。例えば、バッテリーパックの場合、これは典型的にはピーク及び定常状態放電率、BMSプロトコル、ソケットの説明を含むことになる。POCSは、以下のモジュール変更後のパワートレインの較正も可能にする。これは、事前承認された互換性のあるモジュールの範囲で使用するためのパワートレインのFAA認証を含んでもよい。さらに、いくつかの場合には、パワートレインの設計は、新しいモジュールが修正を要求する場合がある区域での比較的単純な又はコスト効果的な修正を支援する能力を含んでもよい。
・パワートレインの変形は実装されてもよく、これは異なる市場に適合された性能を有し、いくつかの事例ではこれは航空機構成に対する異なる速度、範囲、及び運航コストを提供するためにパワートレインモジュールの選択を変更することによってなされてもよい。例えば、「経済的」コミューターパワートレインは、効率が高いターボディーゼル範囲拡張器を中程度の密度のバッテリーに連結して、このクラスで最高の運航コストを提供する場合があるが、より長い範囲に対する飛行時間は長い。対照的に、「パフォーマンス」ビジネスパワートレインは、効率はより低いがより軽いターボ-シャフト範囲拡張器を高密度バッテリーと連結する場合があり、このクラスで最高の地域速度を提供するが、運航コストは中程度により高い。
・パワートレイン運航は、再充電可能な保存ユニットの最大限の使用を介して地域範囲にわたって最適効率を提供する場合があり、これは飛行の間の完全消耗(又は、電気範囲(A)内の場合、これより低い)を標的とし、飛行を完了するために利用可能な保存エネルギーが不十分な場合にのみ範囲延長発電機のスイッチをオンにすることによって実施される場合がある。これは電気のみの範囲(A)内での超効率的な保存エネルギー飛行をもたらし、またより長いハイブリッド範囲(B)又は合計範囲(C)にわたって非常に効率的なハイブリッド飛行をもたらす。
・安全リザーブは、再充電可能な保存ユニットの使用を最大化するために、再充電可能な保存ユニット及び範囲延長発電機にわたって維持される。例えば、搭載された範囲延長発電機の出力が航空機を安全に操作することができる場合、リザーブは、規制又は他の手段によって決定される時間の長さに対して運航のために十分な発電機のための燃料として維持される。範囲延長発電機が航空機を安全に操作をできない場合、燃料リザーブは標的の時間の長さにわたって操作できるようにするために必要とされるものと同等の保存エネルギーによって補完される。
・パワートレインは「プラグイン」であり、また再充電可能な保存ユニットは地上に置かれた充電ステーションによって補充されるように設計されている。これは、そのままの位置での低速再充電又は高速再充電のための幹線又は急速充電ステーションに接続するための搭載された充電プラットフォームによって可能になる。充電したユニットで消耗したユニットを迅速に置き換えることができるようにするリリース機構を介した再充電可能な保存ユニットの急速な交換能力も含まれる。
・各再充電可能な保存ユニットは複数の個別に交換可能なモジュールから成ってもよい。これは電気のみの範囲を延長するための追加的なモジュールを載貨することによって低ペイロード飛行における効率の増加を可能にする。又はペイロード容量を増加するためにいくつかのモジュールを除荷するが、電気のみの範囲の損失となる。バッテリーの場合には、これはバッテリーパックの中のベイにプラグを差し込むセルモジュールの設計によって可能になる。各モジュールは、第1のレベルの冷却、構造的支持、及び防火機能とともに、配線、センサー、及びコントローラを有する1つ又は多数のセルを収容してもよい。容易な取り付けは、バッテリーパック出力、センサー、制御、及び冷却回路へのコネクター、ならびにクイックリリース機構によって可能になる。
・パワートレイン設計は、プロパルサーの回生ブレーキを介してエネルギー回収を提供する。これを可能にするために、プロパルサーは可変ピッチプロペラ、又は別の機構(例えば、調節可能な排気口プラグ)の使用を通した空気ブレーキの程度の変化を装備している。結果として、再充電可能なエネルギーストレージは、空気ブレーキが係合されているとき発電機として動作する電気モーターからエネルギーを受け取る。パワートレインは、範囲延長発電機による低出力動作の間の選択的充電用のためにも設計されている。このモードでは、範囲延長発電機によって発電された電気エネルギーのうちの一部又はすべては再充電可能なエネルギー保存ユニットに向けられる。
【0074】
[0093] 本発明のパワートレイン設計及び構成は、厳しい航空要件(FAA及びEASA)を超える安全及び耐故障性のためのグレースフルデグラデーションを許容するために構築される。これは、動力源(エネルギー保存ユニット、発電機)、モーター(推進、発電機)、変換器(インバーター、整流器、DC-DC変換器)、分配(バス、配線)、制御(センサー、通信)の故障に耐える能力、ならびにシステムが中程度又は重度の影響を受けた場合の安全のための能力を含む。
【0075】
[0094] これを達成するために、パワートレインはグレースフルデグラデーションのために設計され、これによって任意の区域の故障はパワートレインの性能に対しては部分的な影響しか与えず、修理のためにすぐ近くの空港までの正常に近い飛行が可能になる。本発明のハイブリッドパワートレインの少なくとも3つの独特な態様は、穏当なコスト又は重量の損失のみでこれを可能にする。
・複数の動力源を搭載することが、供給源の寸法を設定し、航空機がこれらの一部のみで飛ぶことができるようにすることによってグレースフルデグラデーションへの単純な道筋を作り出す。
・各々がピークと連続との比が高い性能を有する複数の部分的な構成要素を用いてパワートレインを設計する能力は、故障の影響を機能の等価な割合より少なくなるように限定する。電気構成要素(例えば、モーター、変換器、分配バス、配線、スイッチ)は、機械的構成要素又は油圧構成要素とは異なり、穏当なコスト又は重量損失のみでこれを可能にする。これらの多くはピークと連続との比が高い性能能力(多くの場合熱によって制限される)も有しており、復旧期間の間、故障していない構成要素はある程度まで他のものの故障を補償することができる。
・高速ソリッドステートセンサー及びコネクターは、従来の接触器のマイクロ秒、又はさらに機械的装置の秒とは対照的に、ミリ秒以内での故障の検出及び修復を可能にする。結果として、本発明のハイブリッドパワートレインの実施形態は、物理的と同等の時間スケールで、一意的に冗長構成要素及び故障していない構成要素への電力の再分配に係合することができる。
【0076】
[0095] いくつかの実施形態では、グレースフルデグラデーションのための設計は、動力源、再充電可能なエネルギー保存ユニット、及び範囲延長発電機を寸法設定することを含み、これによりこれらの要素のうちの1つ以上の故障の際に航空機を安全に操作することができる。例えば、航空機は、いずれか一方の故障に耐えるために、再充電可能な保存ユニット単独又は範囲延長発電機単独で飛ぶように設計されてもよい。さらに、供給源の完全損失の可能性を減少するように、保存ユニット又は発電機の多重性がさらなる安全のために使用されてもよい。動力源のこの設計は、故障の際に電力を再ルート構成するために構築される分配要素(例えば、バス、スイッチ、及び配線)と組み合わされ(
図8に図示されるように)、そしてプロパルサーは故障していない供給源からの均等な分配を受ける。この再ルーティングは、パワートレイン最適化及び制御システム(POCS)によって管理される。保存ユニット又は発電機の故障は、POCSの故障検出及び復旧モジュールによって検出され、次にこれは安全な飛行を維持するために電力を最適に再分配する。さらに、POCSは、保存ユニット及び燃料システムが独立して安全要件に適合するように十分なリザーブを保持していることも確実にする。
【0077】
[0096] グレースフルデグラデーションのための設計は、いずれか1つの故障に対する耐故障性のための複数の分割した構成要素、プロパルサー、発電機、モーター、及び保存ユニットの使用も含んでもよい。これは、パワートレインに2つ以上のプロパルサー又は発電機が電力供給することを含んでもよく、また各々が2つ以上のモーターに電力供給し、このためいずれか1つの構成要素の故障は能力全体の損失とは同等ではない。個々のモーターは、5~10分間の復旧期間の間、連続性能より60~80%高いピーク性能となるように設計されてもよく、このため故障していないモーターは他のもののモーター故障を補償するように出力を上げることができる。このピーク出力能力は、構築された分配(バス、スイッチ、配線)と組み合わせられて、電力を故障していないモーターへ再ルート設定して安全にピークにすることができる。プロパルサー、発電機、モーター、又は保存ユニットの故障は、POCSの故障検出及び復旧モジュールによって検出され、次にこれは安全な飛行を維持するために電力を最適に再分配する。
【0078】
[0097] グレースフルデグラデーションのための設計は、冗長性を有する分配要素(例えば、バス、スイッチ、配線、故障分離構成要素)の構築も含んでもよく、これによってパワートレインは個々の回路で故障に耐性ができる。これは複数のバスの使用を含んでもよく、各々はバックアップバスと同時に1つ以上のプロパルサーに供給し、これによりバスの故障の影響はプロパルサーの一部に制限され、またこれにより影響を受けたプロパルサーへの電力は冗長バスを介して再ルート設定することができる。このバス構造は、配線及びスイッチと組み合わせられ、これによって供給源からの電力は主要バスとバックアップバスとに均等に分配され、そしてこれによってプロパルサーへの電力を主要バス又はバックアップバスを介してルート設定することができる。これは、故障分離を用いた変換器、例えば、冗長変換器又は冗長相脚のための耐故障性スキームも含む場合があり、このため故障した変換器機能性は大部分復旧する。分配システムの故障はPOCSの故障検出及び復旧モジュールによって検出され、次いでこれは安全な飛行を維持するために電力を最適に再分配する。
【0079】
[0098] グレースフルデグラデーションのための設計は、パワートレイン制御システム(POCS)の設計も含み、これにより1つ以上のセンサーの故障の際に安全に航行することができる。これは、重要センサー故障モードをカバーするために、POCSの中の故障検出及び復旧モジュール内のセンサー故障検出能力、ならびにバックアップセンサー、又はセンサーレス(センサー独立)監視を含む場合がある。例えば、プロパルサーモーター耐故障性制御は、問題を検出及び診断するために飛行条件を監視するPOCSの中の故障検出及び復旧モジュールによって管理され、次いで十分な飛行能力を復帰するための最適なやり方で健全なモーターに電力を再分配する。
【0080】
[0099] 本発明の設計(複数可)には、衝突の際の安全のための手順も含む。例えば、パイロットの要求により又は著しい衝撃が検出されたとき、POCSの中の故障検出及び復旧モジュールは、高電圧回路(例えば、保存ユニット、発電機、変換器)の緊急分離を起動する。上述したグレースフルデグラデーション手段は、分配構造と連結されて、故障の際、性能に対する影響を最低限にするように、電力を再ルート設定することに留意されたい。例えば、
図8は、冗長主要バスを使用して実装された、2つの再充電可能な保存ユニット及び単一の範囲延長発電機を有する代表的な双発プロパルサー航空機に対する構造を示す。
【0081】
[0100]
図9は、本発明の航空機の実施形態のパイロットによる使用のための例示的なユーザーインターフェース900を図示する略図である。図は、様々な動作表示及び状態表示を示し、またこれは本発明の航空輸送システムの一部である電気ハイブリッド航空機の実施形態で使用される場合がある。一実施形態では、表示はデジタルであり、そして性能パラメーターを使用の容易のために従来の航空機のものと同一又は類似の形式で示す。図は、「飛行中最適化及び制御」動作モードのパイロットインターフェースの実施例を図示し、また以下の表示及び情報を含有する。
・パイロットの移行が容易なように、業界で典型的な色分けが選ばれる。緑色又は白色のアイテムはラベルであり、マゼンタ色のアイテムはシステム状況のアクティブな指示である。三角形の「バグ」表示は現在の指示又はラベル付きの目標の指示を示す。色分けは標準的に、緑色/黄色/赤色を、正常/注意/危険動作ゾーンに使用する。
・出力指示計(左上)は、パワーレバーによって指令された現在のプロパルサー出力をRPM及び%最大出力で示す。これらは従来のガスタービン出力指示計と非常に類似している。
・速度テープは、現行の対気速度対目標対気速度(右上)を業界の標準的な垂直対気速度指示計を利用して単位、ノット表示対気速度、KIASで示す。この発明に特有のこととして、計算された速度に「スピードバグ」が示され、この実施例では、213KIASに「高」が示され、196KIASに「最適」そしてECONが速度テープの現在の範囲の下方にバグなしで表示されている。
・指示計の第2の列はバッテリー、燃料、及び電力バランスを示す。バッテリー及び燃料は業界で典型的な指示計で示され、正常、注意、及び消耗したエネルギー状態に対する色分けを含む。POCSを通してアクティブな飛行計画と連結されると、着陸時の予想されるエネルギー状態を示す「エネルギーバグ」が有効になる(バッテリー及び燃料について示される)。発電電力とバッテリー電力とのバランスが円グラフで示される。これはハイブリッド-電動飛行機に特有の指示計である。
・下方の象限は、パワートレインシステムのより詳細なデータを示し、これは現在のパワートレイン構成要素に対して構成される。ここに示す実施例は、ターボ-ディーゼル往復動発電エンジンに連結されたバッテリーの3つの個別のパックを利用し、各々に対する関連情報は典型的な指示計の形式を使用して表示される。これらの下方の象限は複数のシステム情報ページを表示してもよく、パイロットは情報間をスクロールすることができる。これらの表示はハイブリッド電気パワートレインの実装に特有である。
・ハイブリッド電気パワートレインへのこのコックピットインターフェースには複数のモードがあり、この実施例ではモード選択は右下のポジションが3つあるノブを通して行う。「飛行」モードはここに示されているものであり、追加的なモードとしては、モジュール変更の度ごとに呼び出される「較正」モードと、開始し、そして内部システムが飛行をセルフチェックして状況を表示することになる「飛行前」モードと、監視しているすべてのシステムに関するより詳細な情報を表示し、そして制御することができ、システム構成、メンテナンス、及び修理のために主に使用される「診断」モードがあり得る。
【0082】
[0101] 図の中の900に示される表示及び関連する航空機機能又はシステムに加えて、下層にあるパワートレイン最適化及び制御システム(POCS)プラットフォームは、再充電可能なエネルギー保存ユニット(例えば、バッテリー、超コンデンサー、及び範囲延長発電機)、内燃エンジン、又は燃料電池を含むがこれに制限されない1つ以上の特定のパワートレイン能力の制御を許容する場合がある。POCSは、取り付け、飛行準備、飛行動作、及び診断を提供するためにパワートレインのモジュールに統合インターフェースを提供する。
【0083】
[0102] POCSの能力は、地域飛行にわたる最高効率のための運航を最適化することによって、迅速かつ安全な故障の修復を介して、パイロットの作業負荷を減少し、かつパイロットの電気パワートレインへの移行を容易にすることによって、及び代替品又は未来の技術へのモジュール変更を単純化することによって、ハイブリッド電動飛行機が早期に採用されるために重要である。POCSの実施形態は、以下のうちの1つ以上の結果として、ハイブリッド電動飛行機に基づく地域航空輸送システムの採用を補助する場合がある。
・飛行経路にわたってエネルギーの供給源を最適化することによって範囲に最適化された地域飛行を可能にする。効率を最大化するために、エネルギー調達は、飛行の過程にわたってコストが高い供給源(典型的には発電機)よりもコストの低い供給源(典型的にはエネルギー保存ユニット)を優先させるべきである。例えば、電気のみの範囲よりも長い範囲にわたる飛行は、安全又はバッテリー寿命の考慮によって決定された最低許容できるレベルまでコストがより低いエネルギー保存ユニットを消耗するべきである。さらに、エネルギーの取り出しが安全及び動作寿命の促進を確保するのと同時に、調達は、旅程を通して保存ユニットと発電機との両方を最適に利用して充電をブレンドするべきである。POCSは、飛行経路及び飛行モード、出発及び到着エネルギー状態、及び航空機の特性に基づいて、飛行の合計コストをシステム制約以内に最低化する最適エネルギー計画(オペレーターが確定する)を決定することによってこれを可能にする。これは、目的地への経路に沿ったハイブリッドパワートレインのエネルギー状態(例えば、バッテリーパックの充電の状態のパーセント、発電機用燃料容量のパーセント)を画定し、そして保存ユニット及び発電機からのリアルタイムの電力の流れをガイドする。POCSは、電気のみの範囲がより長い低ペイロード飛行上のエネルギー保存ユニットの寸法を上げる機会を特定することによって、さらなる最適化を可能にする。
・保存ユニット及び発電機からのリアルタイムの電力の流れを最適に制御して、目標のエネルギー計画を達成する。エネルギー計画は飛行のために総合的な調達ストラテジを画定するが、飛行の環境の予測不可能な変化に順応する必要性を仮定すると、これはリアルタイム制御のためには不適切である。さらに、パワートレインモジュールの各々に要求された電力を最適なやり方(例えば、発電機をその最適な作業曲線上で動作する)で送達するように命令する必要性がある。POCSはこれを2段階で可能にする。第1に、必要とされる電力に対する最適な調達を決定することによって、エネルギー計画に沿ってリアルタイムでエネルギー保存ユニット及び発電機からの電力の流れを画定する。第2に、パワートレインモジュールの設定は要求された出力を最高効率で送達するように最適化され、またこれらはモジュールコントローラに命令するために使用される。例えば、要求された推進力は最適化された設定を介して推進モーター(トルク、RPM)及びプロパルサー(例えば、送風機ピッチ角度、排気口のプラグ位置)に送達される。POCSは、飛行の間の環境発電も、例えば、プロパルサーの回生ブレーキを介して、又は低出力動作の間の発電機を介して管理する。
・パワートレインの耐故障性制御を可能にする:故障の際にオペレーターが正常動作又はグレースフルデグラデーション動作を保つ補助をする。ハイブリッドパワートレインはグレースフルデグラデーションで設計されており、これによりパワートレインの性能は任意の区域での故障の部分的な影響しか受けない。これは、搭載された複数の動力源によって、複数の部分的な構成要素を用いた設計によって、冗長構成要素及び回路の使用によって、及び迅速な検出及び修復のための高速ソリッドステートセンサー及びコネクターの使用によって可能になる。継続的な安全飛行のために故障に対する迅速に補助された対応を可能にすることによって、POCSはこの能力の上に構築される。これは、故障検出及び特定機能によるパワートレインの健全性の連続監視によってなされる。信号とモデルとの組み合わせは、可能な限り迅速かつ正確に故障を特定及び分離するために活用される。故障が発生した場合、POCSはオペレーターに報知して修復対応を起動する。POCSは、故障に対するグレースフルな順応のためのパワートレインの再設計、及び故障によって潜在的に再設計されたパワートレインを調節するためのコントローラの再設計も起動する。パワートレイン及び制御の再設計はオペレーターによって起動されてもよい。POCSは、衝突の際にパイロットの要求により、又は衝撃が検出されたとき、高電圧回路を分離することによっても安全の確保を補助する。
・単純化された統合インターフェースをハイブリッドパワートレインに提供することによって、パイロットの作業負荷を減少し、また従来の航空機からハイブリッド航空機へのパイロットの移行を容易にする。ハイブリッド推進の迅速な採用のための鍵となるのは、パイロットがより複雑なパワートレインを最低限の漸次的訓練によって確実に操作できるようにすることである。パイロットをパワートレインの追加された複雑性から遮蔽し、従来の航空機のものを模倣したインターフェースと連結する、最適化及び制御を介して、POCSはこれを可能にする。さらに、POCSは、パワートレイン較正、飛行前準備、飛行中制御、及びパワートレイン診断などのパイロットの範囲及び保守活動を合理化するために自動化を提供する。
・前方互換性及びモジュラー方式を支援するために新しいモジュールの取り付けを合理化する。この重要なハイブリッドパワートレインの差別化は、POCSによって2つのやり方で可能になる。第1に、POCSは、モジュールの代替物の範囲に、ペイロードを補償するための発電機の切り替え、高度な技術エネルギー保存ユニットへのアップグレード、又は保存モジュールの追加もしくは除去を可能にする標準化した制御及び監視インターフェースを提供する。第2に、POCSは、適合する航空機及びパワートレインモデルのためのアップグレードを介した、オペレーター入力を介した、又はオンラインライブラリからの、取り付けられたユニットにモデルを精密調整するための標的とされる性能試験と連結された新しいモジュールに対する単純な較正を可能にする。モジュールの使用年数対使用とともにモデルの信頼性維持を確保するために、類似の試験が日常的にも実施される。
【0084】
[0103]
図10を参照して記述されるように、POCSはオペレーターに対して、「統合」及び「モジュラー」の2つのインターフェースを提供する。統合はパワートレインに対する単純化されたユーザーインターフェースであり、これは従来の航空機の制御を模倣するものであり、パイロットの作業負荷を減少し、かつ従来航空機からハイブリッド航空機への移行を容易にする。モジュラーは、パワートレインの個々のモジュールに対する直接的なユーザーインターフェースであり、パワートレインの動作の低レベルの精密な制御を可能にする。これらは以下により詳細に記述される。
・統合。フロントエンドからすべてのPOCS能力までを統合することによって、オペレーターは適切な運航モード(較正、飛行前、飛行中制御、診断)を切り替えることができるようになる。表示は、パイロットが新しい技術及び能力に移行するのを容易にするために従来の航空機で使用されているものと同様の性能パラメーターを使用する。「飛行」モードのパイロットインターフェースの実施例を
図9の表示900に示す。表示は、今日の従来型の航空機についているものと類似のコックピット制御と連結され、そしてこれはオペレーター入力を、以下のように飛行のための定義された目的関数に基づいてその下層にあるハイブリッドパワートレインの最適設定へと変換する。
-パワーレバー - 各プロパルサーに対して1つずつあり、プロパルサーの出力を制御する。パワーレバー角度(PLA)は各プロパルサーの出力をフルパワーのパーセントとして決定し、またピークパワーへの制限された期間のサージを可能にする。飛行中制御モジュールは、パワーレバーによって要求された出力を各プロパルサーの最適設定にリアルタイムで変換し、そしてこの出力を搭載された発電機及び保存エネルギーユニットから航空機及びパワートレインの制約内でオペレーターが確定した飛行の目標に適合するように最適に調達する。いくつかの実施形態は、各プロパルサーのRPMを制御するために最大から最低までの範囲でフェザリングの延長を含んだ送風機又はプロペラ制御レバーも提供する。いくつかの実施形態は、すべての連結されたプロパルサーが同一の設定で動作するように複数のプロパルサーを同期させるための制御を許容してもよく、又はオートスロットル動作を許容してもよく、これによって飛行中制御モジュールが飛行経路に基づいてスロットルに命令を与える。これらの状況では、現行の出力設定(標準的なFAAオートスロットル動作)に基づいてスロットルを動かすためにサーボモーター又は類似の機構が使用される。
-回生ブレーキ制御 - 各プロパルサーに対して1つずつあり、プロパルサーの再生出力を制御する。これは専用の回生ブレーキレバーを介して、又はパワーレバーの範囲を負の出力レベルまで延長すること、ゼロ出力からフル回生出力まで延長することによって行われる。いずれの場合にもレバー角度は各プロパルサーの回生出力をフル回生出力のパーセントとして決定する。飛行中制御モジュールは、リアルタイムでレバーによって要求された回生出力を各プロパルサーの最適設定に変換する。
-逆出力制御 - 各プロパルサーに対して1つずつあり、プロパルサーの逆出力を制御する。これは専用の逆出力レバーを介して、又はパワーレバーの範囲を負の出力レベルまで延長すること、ゼロ出力からフル逆出力まで延長することによって行われてもよい。いずれの場合にもレバー角度は各プロパルサーの逆出力をフル逆出力のパーセントとして決定する。飛行中制御モジュールは、リアルタイムでレバーによって要求された逆出力を各プロパルサーの最適設定に変換する。
-低レベル制御 - 発電機、保存ユニット、及び電力分配をオペレーターが手動で制御することを可能にするようにいくつかの実施形態で提供される。これらは、発電機のオンオフの切り替え、アイドリングからピーク出力までの制御発電機出力のための発電機制御を含む。制御は、搭載された供給源からプロパルサーへの電力流を転送するための電力分配制御も含むことができる。左右のプロパルサー及び左右の供給源を有する双発プロパルサー航空機では、これらは、分割流(左から左、右から右)、方向性(分割流に右から左又は左から右を追加したもの)、及び連結(左右から左右)から選んだものを提供することができる。
・モジュラー。直接的なインターフェースをパワートレインの個々のモジュールにその搭載されたコントローラを通して提供する。コントローラを直接的に係合するためにPOCSの飛行最適化能力を回避する必要性がある状況(例えば、修理、緊急時、非標準的な動作)に対して意図される。ハイブリッドパワートレインのサンプルに対してアクセス可能である場合があるモジュールの範囲が
図10に示され、また本明細書により詳細に記述される。
【0085】
[0104]
図10は、本発明の航空輸送システムの部分として使用されてもよい電気ハイブリッド航空機の実施形態で使用されてもよい、パワートレイン最適化及び制御システム(POCS)の基本的な機能的要素又はモジュールを図示する略図である。図の中に示される、要素もしくはモジュールの制御によって又はこれらの制御下で実施される、機能、動作、もしくはプロセスの各々又は組み合わせは、適正にプログラムされた処理要素(コントローラ、状態システム、マイクロコントローラ、CPU、マイクロプロセッサ等、など)による一組の命令の実行によって実施されてもよい。
【0086】
[0105] 図に示されるように、POCSプラットフォーム1000の実施形態の要素又は機能的モジュールは「搭載された」構成要素1002及び「オンライン」構成要素1004を含んでもよい。搭載された構成要素、要素、及びプロセス1002は典型的には制御される航空機上に常駐する一方で、オンライン構成要素、要素、及びプロセス1004は典型的には航空機から遠隔に位置付けられたデータ処理プラットフォーム又はシステム(制御センター内、集中データ処理及びスケジュール作成プラットフォーム内等、などの)上に常駐し、またこれらは搭載された構成要素1002と好適な通信チャネル又は通信チャネルの組み合わせ(サーバーに連結されたインターネットを介して通信する場合があるワイヤレス技術など)を介して通信する(必要に応じて)。
【0087】
[0106] 例示的な実施形態では、POCSプラットフォーム1000の機能性は以下の搭載された能力(構成要素、要素、及びプロセス1002)によって可能になる。
・標準的な手順(要素/構成要素1041)、これはプリセットのライブラリであり、そしてオペレーターはパワートレイン及びそのモジュールに対する標準的な動作手順を画定する。これは以下のものを含む。
・飛行モード(複数可):例えば、最適、高速、経済的、カスタム。
・スキャン及び診断:例えば、初期化スキャン、エネルギースキャン、飛行前スキャン、飛行中スキャン、飛行後スキャン。
・動作規則ライブラリ:安全によって要求される又はオペレーターの選好に基づくパワートレインに対する動作の優先順位を定義する。これらはハイブリッドエネルギープランナー及びハイブリッド出力マネージャーを制約する。また以下を含む。
-適切な安全リザーブを確保するための、最低エネルギー状態。例えば、容量の20%の保存エネルギーユニット、及び45分間の飛行と同等の発電機燃料。
-到着時のエネルギー状態、例えば、保存エネルギーユニットを容量の20%の最低レベルまで消耗した。
-出力分配優先度、飛行レッグによる。例えば、保存エネルギー単独でのタキシング、又は保存エネルギー単独での進入、及び高可用性に対して発電機のアイドリングを用いる。
-飛行レッグによる出力レベル設定。例えば、完全出力の80%での復行、又は初期降下に対するニュートラル推力。
・搭載されたログ。パワートレインの重要な態様及びその性能について情報を捕捉するデータベース。これらは、オペレーター詳細、搭載されたモジュール、オペレーターの選好、ライフサイクル及びメンテナンス記録、性能ログ、点検及び診断ログ、アクセス履歴ログを含む。データベースは、ログを安全なデータリンク(要素/構成要素1043)を介して定期的にオンラインログ(要素/構成要素1023)へ伝送し、そして制限された履歴のみを搭載して保存する。
・安全なデータリンク(要素/構成要素1043)。これは、搭載されたログから特定のパワートレインに対するオンラインログ(複数可)1023への定期的なアップロード、パワートレインの遠隔の診断及びメンテナンス、及び較正又はベンチマークの目的の航空機及びパワートレインライブラリ(要素/構成要素1020)へのアクセスを可能にする。データリンクは2つのレベルのセキュリティを含んでもよく、低い方のレベルは通信するログ又はライブラリデータに対するものであり、そして高い方のレベルは診断及びメンテナンスデータに対するものである。データリンクへのアクセスは安全であり、またすべてのアクセス履歴はログに記録される。これは、飛行データのための、POCSとFPOP/FMSとの間の双方向データフローも可能にする。
・モジュールインターフェース(要素/構成要素1050)。これらは、搭載されたモジュールの範囲の低いレベルのコントローラへのコネクターインターフェースであり、POCSプラットフォームによってコントローラを照会又は命令することができるようにし、また状態の範囲及び性能情報をPOCSオンデマンドに伝送又は継続的に伝送する。典型的には、API明細書は、POCSとモジュールとが通信するためのプロトコルを定義する。制御モジュールは、可変ピッチ送風機コントローラ、プロパルサーモーターコントローラ、バッテリー管理システム、エンジンコントローラ、燃料システムコントローラ、発電機モーターコントローラ、分配コントローラ(スイッチ、コネクター、及び変換器)等を含んでもよい。
図12が、性能パラメーターを感知し、そして制御信号をパワートレイン又はその制御システム構成要素へ返す目的のためにいくつかのインターフェース/コネクター1202によって搭載されたPOCSに連結される例示的なパワートレイン1200のためのインターフェース構成を示すことに留意されたい。同様に、
図10及び
図11は、POCS最適化モジュール1130ならびにパワートレイン及び制御マネージャー1142からパワートレインの調和モジュールインターフェース(要素1050及び要素1150)への通信及びデータフローを示す。システムは、パイロットにモジュラーオペレーターインターフェース(要素/構成要素1012)を介したモジュールコントローラへの二次的な直接的経路(要素1052)を提供する。システムは、冗長性のためのモジュールコントローラへのバックアップコネクターを、バックアップ回路を起動するためのコネクター及びスイッチとともに含んでもよい。
【0088】
[0107] POCSプラットフォーム1000は、安全なPOCSクラウドベースのデータプラットフォーム(要素/構成要素1004)を介して、以下のオンライン能力のうちの1つ以上も提供してもよい。
・航空機及びパワートレインライブラリ(要素/構成要素1020)。航空機及びモジュール性能モデルのライブラリは、各クラスに対する運航モデル、及びクラスのモジュールに対するパラメーターを含む。モデル及びパラメーターは、ベンチマーク及びプラットフォームを介して定期的に更新される(要素/構成要素1021)。データベースは、初期化されたとき、新しいモジュールを較正するとき、又は定期的なリフレッシュのために、搭載されたPOCSによって照会されるように設計される。
・ベンチマークプラットフォーム(要素/構成要素1021)。これは性能ベンチマークのデータベースであり、また外部ベンチマークに対する入力能力、及び個々のパワートレインに対するオンラインログからの性能の生データのアップロードを含んでもよい。ベンチマークを定期的に更新する統計的データ分析又は他のデータ分析手順も含む。
・診断プラットフォーム(要素/構成要素1022)。これは、高度に安全なデータリンク上でのパワートレインの遠隔の診断及びメンテナンスを可能にする能力を有する。
・パワートレインログ(要素/構成要素1023)。これは、プラットフォームベンチマークから引き出された比較性能統計と連結されて、安全なデータリンクを介して定期的にアップロードされた個々のパワートレインからの搭載されたログのアーカイブとして機能する。
【0089】
[0108] 典型的な実施形態では、POCSプラットフォーム(
図10の要素1000など)の実施が以下の機能性又は能力を提供する場合がある。
・較正(要素/構成要素1025によって示される)。これは、未来の技術、航空機の変形、エネルギー保存ユニット又は発電機のサイズの上げ下げ、及びモジュール性能の高信頼性モデリングへのアップグレードを可能にするために、搭載された特定のモジュールを順応させ、最適化及び制御プラットフォームを適合する。いくつかの実施形態ではこれは以下の機能/動作を実施する又は実施を補助する場合がある。
-搭載されたモジュールに対する変化を特定するために最近のスキャンに対してパワートレインをスキャンし、認証し、かつ搭載されたログに記録する。
-すべての変更されたモジュールに対する最適化パラメーター及び制御パラメーターをオンライン航空機及びパワートレインライブラリからデータリンクを介してダウンロードし、そして搭載されたモデルに投入する。
-搭載されたモジュールの性能に対してモデルを較正する。オペレーターは、実際の性能対モデル性能を評価するための初期化スキャン手順によって定義されるモジュールの一連の試験を通して進める。潜在的な問題を特定し、そして報知する。実際の性能により良好に調和するようにモデルパラメーターを調節する。
-オペレーターが、パワートレイン最適化及び制御、表示、報告、監視、及び診断に関する選好の範囲を画定できるようにする。特定の動作環境、ミッションプロファイル、及びトレードオフに適合された設定を含む。搭載されたログ内の選好を保存する。
・飛行準備(要素/構成要素1026によって示される)。これは、パワートレインが計画された飛行を安全に完了するために適切なエネルギーを有していること、及び飛行準備完了状態であることを確認するために自動化した点検を実施する。いくつかの実施形態ではこれは以下の機能/動作を実施する又は実施を補助する場合がある。
-デフォルトで飛行容認モード又は最適、及び飛行詳細:大気経路又は飛行時間(又は距離)、ペイロード及び不確実性因子。これらは手動で、又はFPOPを介して入力することができる。
-エネルギー状態スキャン手順に基づいてエネルギー状態を計算及び表示する。
-ハイブリッドエネルギープランナーを所定の飛行詳細、飛行モード、及びエネルギー状態とともに使用することによって、追加的な発電機燃料又は保存エネルギーが必要かどうかを判断する。安全飛行を確保するため、及び保存エネルギーユニットの容量を増加する選択肢があるかどうかを評価するために、ペイロード対設計ペイロードを審査する。
-追加的な保存エネルギーユニットを介して搭載されたエネルギー又はペイロードが変更された場合、充電又は燃料の増加した状態が、ハイブリッドエネルギープランナーを再実行する。
-動作手順によって定義されているパワートレインの飛行前試験を実施し、問題を特定し、故障検出及び復旧モジュールを起動する。
・飛行中制御(要素/構成要素1027によって示される)。これは、ハイブリッドパワートレインによって送達される出力の単純化された制御を可能にし、オペレーターが選択した飛行モード及び飛行詳細に基づいてパワートレイン及びモジュール性能を最適化する。制御は、半自動化又は全自動化されてもよく、また最適化は基本的又は統合である。いくつかの実施形態ではこれは以下の機能/動作を実施する又は実施を補助する場合がある。
-飛行詳細、飛行モード、及びエネルギー状態に基づくハイブリッドエネルギープランナーを使用して、最適エネルギー計画、到着エネルギー状態、標的速度及び範囲(最大、最適、及び経済的)を計算する。飛行詳細は、基本、入力として飛行時間(又は距離)を用いる、又は入力として大気経路を統合する、のいずれかである。表示到着エネルギー状態及び標的速度。エネルギー計画は、大気経路とともにエネルギー状態を記述する。個別のウェイポイントにおける保存エネルギー及び発電機燃料。
-到着エネルギー状態が最低リザーブレベルより低い場合、オペレーターに報知し、かつ目的地に到達するための代替の飛行モード、標的速度設定を提供する。
-条件が変化すると、エネルギー計画を達成するためにオペレーターの入力と並行してパワートレインをリアルタイムで制御し、保存ユニット及び発電機から電力を最適に調達して調節を行う。
図11は、利用してもよい飛行中制御プロセス及び機能的モジュール又はサブプロセスの要約を提供し、またこれは本明細書に詳細に記述される。この制御プロセスは、以下の機能又は動作を含んでもよい。
-ハイブリッド出力マネージャーを使用してリアルタイムで制御ストラテジを決定し、発電機及び保存エネルギーユニットにわたって最適なエネルギー分配を画定する。
-エネルギー分配をパワートレインモジュールのために最適設定を計算するモジュールオプティマイザーへ渡し、そしてこれらをPOCS内のモジュールインターフェースを介して低レベルモジュールコントローラに伝送する。
-以前の計画からの偏差に基づいてエネルギー計画を定期的にリフレッシュする。
-エネルギー状態スキャン手順を介してエネルギー状態を定期的にリフレッシュする。
-飛行モード及び飛行詳細に対する更新を、手動で又はFPOP(
図14を参照して記述される)を介して可能にし、そしてエネルギー計画をリフレッシュすることによって応答する。
-半自動化動作又は全自動化動作を可能にする。前者ではオペレーターはパワーレバーを制御し、後者では飛行中制御モジュールがすべての機能に命令し、要求された出力レベルを調節して最適な対気速度を実現する。
-モジュールオプティマイザーを介してパワートレインの性能を継続的に監視し、そして飛行中スキャン手順を介してモデル、安全限界を評価する。問題がある場合には、故障検出及び復旧モジュールを起動して、警報と行動とを連係する。
・診断(要素/構成要素1028によって示される)。これは飛行後任務分析、パワートレイン診断、及び問題解決を実施する。いくつかの実施形態ではこれは以下の機能/動作を実施する又は実施を補助する場合がある。
-搭載されたログに保存されている監視データに対して任務分析アルゴリズムを実行し、重要な飛行統計(例えば、距離、時間、平均速度)、使用された総エネルギーの詳細、残りの燃料及び保存エネルギー、重要な性能統計(例えば、総合的な効率及びモジュールごとの効率)を計算及び表示する。結果を搭載されたログに保存する。
-定期的なメンテナンスを必要とする、又は寿命が制限されているモジュールもしくは構成要素の動作履歴を更新する。
-パワートレインの健全性及び性能を監視し、そして飛行後スキャン手順を介してモデル、安全限界を評価する。問題がある場合には、故障検出及び復旧モジュールを起動して、警報と行動とを連係する。
・故障検出及び復旧(要素/構成要素1042によって示される)。これはパワートレインの進行中の監視を実行して、故障を検出及び特定してオペレーターに報知し、そして復旧行動を補助する。いくつかの実施形態ではこれは以下の機能/動作を実施する又は実施を補助する場合がある。
-故障検出及び特定機能によってパワートレインの健全性を監視し、信号とモデルとの組み合わせを活用して故障を可能な限り迅速かつ正確に特定及び分離する。
-故障が発生した場合、パイロットに報知して、パワートレイン警報機能を介して修復対応を起動する。
-故障が発生した場合、必要な行動を決定し、そしてパイロットと協調して実行するためにパワートレイン及び制御マネージャーを起動する。
-修復行動は、実行するためにパワートレイン及び制御マネージャーと協働するパイロットによって開始される場合がある。
【0090】
[0109] いくつかの実施形態では、POCSは飛行詳細及び所定の飛行モードに基づいて最適出力計画を決定する。次いで、POCSは、パワートレイン及びそのモジュールの性能を監視することによって、パワートレイン及びモジュールの飛行の間の動作を出力計画に調和するように制御し、必要に応じて調節する。POCS半自動化動作又は完全自動化動作のために設計され、前者ではパイロットはスロットルの制御を保持し、一方で後者ではPOCSがすべての機能を制御する。しかしながら、パイロットはPOCS設定をオーバーライドすることができる。
【0091】
[0110]
図11は、本発明の航空輸送システムの実施形態での航空機上のプロセスを制御又は修正するためにアクセス及び使用されてもよい、POCSの基本的な機能的要素又はモジュールを図示する略図である。図の中に示される、要素もしくはモジュールの制御によって又はこれらの制御下で実施される、機能、動作、もしくはプロセスの各々又は組み合わせは、適正にプログラムされた処理要素(コントローラ、状態システム、マイクロコントローラ、CPU、マイクロプロセッサ等、など)による一組の命令の実行によって実施されてもよい。
【0092】
[0111] 図に示すように、POCSの実施形態の航空機上プロセス1100の要素又は機能的モジュールは、以下を含む。
最適化モジュール(
図10の要素1030及び/又は
図11の要素1130)
・ハイブリッドエネルギープランナー(
図11の要素1132):
-初期エネルギー状態及び到着エネルギー状態、モジュール性能制約、ならびに動作規則を対象とする非線形コスト目標(下記を参照)を最小化することによって、航空/飛行経路にわたる最適エネルギー経路を決定し、典型的には飛行の経路にわたって保存エネルギーユニットを徐々に消耗するように見える充電をブレンドしたストラテジは、搭載された動力源の各々の最適効率での動作を可能にする。
-移動を、大ざっぱに均一な運航要件(例えば、タキシング、離陸滑走、均一測度での復行、巡航、出力ニュートラル降下(飛行準備の部分として行われる))を有するセグメントからなる航空経路へと分解することによって実施される。次いで、提供される航空経路に沿って最適エネルギー計画を決定するために最適化が実施される。詳細な大気経路が提供されない場合、タキシング、離陸、降下、及び着陸に対するベンチマークのルックアップテーブルに基づく予算管理の後、標準的な消耗プロファイル(例えば、巡航及び復行レッグにわたって線形)が仮定される。
-最適化は、飛行レッグ及び動作条件に基づいて、完全に動的なプログラミング(又は類似のアルゴリズム)、又はルックアップテーブルもしくは発電機及び保存エネルギーユニットにわたって最適出力分配を決定する機能を使用するなどの単純化された手法を介して実施される。発電機の全出力の割合としての発電機出力設定、又は保存エネルギーから引き出される出力の要求される合計出力に対する比に等しい出力比を含む、数多くのやり方のうちの1つで出力分配を記述することができる。
-目的関数は量をハイブリッドエネルギープランナーによって大気経路にわたって最低限に画定する。例えば、目的関数はオペレーターによって定義されるパラメーターとともに以下の項のうちの1つ又はいくつかを含んでもよい。目的関数=燃料のコスト+保存エネルギーのコスト+エンジンメンテナンス及びリザーブのコスト(償却した)+バッテリーパックのコスト(償却した)+乗客及び乗員時間のコスト+航空機のコスト+排気のコスト。
-目的関数は、提供された出発及び到着エネルギー状態、動作規則ライブラリからの動作規則、パワートレイン及びモジュール(プロパルサー、発電機、保存エネルギー)モデルからのパワートレイン及びモジュール性能制約に基づいて最小化される。最適化プロセスは、航空機及びパワートレイン性能モデルによって提供される航空機及びパワートレイン性能のシミュレーションを必要とする。
・ハイブリッド出力マネージャー(
図11の要素1134):
-飛行のための総合的なエネルギー経路に基づいて要求される出力を送達するために、搭載された供給源にわたって発電機出力設定又は出力比などの変数を介して記述されるエネルギー分配を最適化するためにリアルタイムの制御ストラテジを決定する。これは提供されるエネルギー経路を含むモジュール性能制約及び動作規則を対象とする飛行セグメントのために非線形目標を最小化することによって決定される。
-最適化は、最適値のルックアップテーブルから飛行レッグ及び運航条件の個別の範囲によって発電機出力設定(又は出力比)を決定することなどの比較的単純な方法によって実施されてもよく、又はポントリャーギンの最小原理(PMP)もしくは等価消費最小化ストラテジ(ECMS)などのいくつかのアルゴリズムのうちの1つ使用して最適値を決定することなどのより複雑な方法によって実施されてもよい。提供されるエネルギー計画との一致は、外側の制御ループ(例えば、比例プラス積分)によって推進される。
-目的関数は量をハイブリッドエネルギープランナーによって大気経路にわたって最低限に画定する。例えば、目的関数はオペレーターによって定義されるパラメーターとともに以下の項のうちの1つ又はいくつかを含んでもよい。目的関数=燃料のコスト+保存エネルギーのコスト+エンジンメンテナンス及びリザーブのコスト(償却した)+バッテリーパックのコスト(償却した)+乗客及び乗員時間のコスト+航空機のコスト+排気のコスト。
-目的関数は、提供された出発及び到着エネルギー状態、動作規則ライブラリからの動作規則、パワートレイン及びモジュール(プロパルサー、発電機、保存エネルギー)モデルからのパワートレイン及びモジュール性能制約に基づいて最小化される。最適化プロセスは、航空機及びパワートレイン性能モデルによって提供される航空機及びパワートレイン性能のシミュレーションを必要とする。
・プロパルサーオプティマイザー(
図11の要素1136):
-要求された出力、対気速度、及び環境条件に基づいてプロパルサーの各々に対してリアルタイムの制御ストラテジを決定する。最適効率のために要求された出力をプロパルサー設定に変換する。次いで、最適設定は、モジュールインターフェース(
図10の要素1050及び/又は
図11の要素1150)を介して低レベルモジュールコントローラ(例えば、可変ピッチ送風機コントローラ、モーターコントローラ)をPOCSプラットフォームへと向けるために使用される。最適設定は性能改善のために詳細制御ループを介してさらに修正されてもよい。これは動作点を微調整するためのピーク探索ループ、及び快適に乗れる性能制約、航空機構造的性能制約、又はパワートレイン性能制約によって決定された区間にわたって設定の急激な変化を和らげるための平滑化ループを含んでもよい。
-最適化された設定は、プロパルサーの姿勢、例えば、可変ピッチ送風機角度、排気口プラグの位置、及びプロパルサーモーターインバーターの出力(例えば、トルク、速度)を含んでもよい。オプティマイザーは、標準的な推力、ニュートラル推力、回生ブレーキ、逆推力、及び回収推力を含む航空機運航の範囲にわたってプロパルサー設定を調整する。
-標準的な推力制御に対して、オプティマイザーは各プロパルサーに対する要求された出力、対気速度、及び環境条件によって駆動され、そして送達される推力を最大化するプロパルサー設定を決定する。これは、モーター及びプロパルサー性能モデル(
図10の要素1040及び/又は
図11の要素1140)にわたって段階的な又は連結された最適化を実施することによってなされる。段階的な進入ではモーター及びプロパルサー設定は順次最適化される。例えば、効率を最大化するためのモーター設定は、モーターに対して定義された動作制約内のモーター性能モデルを使用する最適化によって最初に決定されてもよい。これに従って、プロパルサー姿勢(例えば、送風機ピッチ角度又は排気口プラグの位置)は、プロパルサー姿勢に対して定義される動作制約内のプロパルサー性能モデルを使用する最適化によってプロパルサー推力を最大化するように決定される。次いで、これらの設定は、POCS内のモジュールインターフェースを介して低レベルコントローラの動作を命令するために使用される。
-いくつかの実装では、最適に近い値を決定するためにルックアップテーブルが使用され、上述されたもののラインに沿って推定を精緻化するための所望による最適化工程がその後に続いてもよい。
-逆推進力については、オプティマイザーは各プロパルサーに対して要求される逆出力によって駆動され、そして送達される逆推進力を最大化するプロパルサー設定を決定する。標準的な推力に対するものと類似のプロセスによってなされる。段階的な進入の場合、モーター設定は、モーター性能モデルを使用する最適化によって、又はモーター性能のルックアップテーブルによって効率を最大化するように決定される。次いで、調和プロパルサー姿勢は、プロパルサー性能モデルを使用する最適化によって、又はプロパルサー性能のルックアップテーブルによって決定される。
-回生ブレーキ制御に対して、オプティマイザーは各プロパルサーに対する要求された逆出力、対気速度、及び環境条件によって駆動され、そして送達される推力を最大化するプロパルサー設定を決定する。これは、モーター及びプロパルサー性能モデルにわたる段階的な又は連結された最適化を実施することによってなされる。段階的な進入ではモーター及びプロパルサー設定は順次最適化される。例えば、効率を最大化するためのモーター設定は、モーターに対して定義された動作制約内のモーター性能モデルを使用する最適化によって最初に決定されてもよい。これに従って、プロパルサー姿勢(例えば、送風機ピッチ角度又は排気口プラグの位置)は、プロパルサー姿勢に対して定義される動作制約内のプロパルサー性能モデルを使用する最適化によってプロパルサー逆推力を最大化するように決定される。次いで、これらの設定は、POCS内のモジュールインターフェースを介して低レベルコントローラの動作を命令するために使用される。
-ニュートラル推力に対しては、オプティマイザーは低レベルコントローラにモーターへの出力を中断し、かつプロパルサー姿勢を最低抗力に設定する(例えば、可変ピッチファンをフェザリング又はピンホイールに設定し、排気口プラグを最大延長に設定する)ように命令する。
・保存エネルギーオプティマイザー(
図11の要素1138):
-性能制約によって画定される長い寿命範囲の中の動作の確保を補助するためにPOCS内のモジュールインターフェース1150を介して再充電可能な保存ユニットの性能及び状態を監視する。保存ユニットがその長い寿命範囲外である場合、オプティマイザーは、例えば、保存ユニットの効果的コストを増加することによって発電機への出力を再分配するようにハイブリッドエネルギープランナー及びハイブリッド出力マネージャー設定を調節する。
・発電機オプティマイザー(
図11の要素1140):
-要求された出力、対気速度、及び環境条件に基づいて発電機の各々に対してリアルタイムの制御ストラテジを決定する。最適効率のために要求された出力を発電機設定に変換する。次いで、POCSプラットフォーム内のモジュールインターフェース1150を介して低レベルモジュールコントローラ(例えば、エンジン制御ユニット、モーターコントローラ、燃料システムコントローラ)に命令するために最適設定が使用される。最適設定は性能改善のために詳細制御ループを介してさらに修正されてもよい。これは動作点を微調整するためのピーク探索ループ、及び快適に乗れる性能制約、航空機構造的性能制約、又はパワートレイン性能制約によって決定された区間にわたって設定の急激な変化を和らげるための平滑化ループを含んでもよい。
-最適化された設定は、例えば、速度、トルク、及び発電機モーターインバーターの取り出し(例えば、トルク、速度)などの内燃エンジンの出力を含んでもよい。
-オプティマイザーは各発電機に対する要求された出力、対気速度、及び環境条件によって駆動され、そして効率を最大化する発電機設定を決定する。これは、エンジン及びモーター性能モデル(又は組み込み発電機モデル)にわたる段階的な又は連結された最適化を実施することによってなされる。段階的な進入ではエンジン及びモーター設定は順次最適化される。例えば、効率を最大化するためのエンジン設定は、エンジンに対して定義された動作制約内のエンジン性能モデルを使用する最適化によって最初に決定されてもよい。これに続いて、効率を最大化するためのモーター設定は、モーターに対して定義された動作制約内のモーター性能モデルを使用する最適化によって決定される。次いで、これらの設定は、POCS内のモジュールインターフェースを介して低レベルコントローラの動作を命令するために使用される。
-いくつかの実装では、最適に近い値を決定するためにルックアップテーブルが使用され、上述されたもののラインに沿って推定を精緻化するための所望による最適化工程がその後に続いてもよい。
-発電機を過渡、又は要求された出力が発電機最適範囲外の時から隔離するために、発電機からの過剰出力(要求を超える)を保存ユニットに充電するようにルート設定するストラテジを含む。
・パワートレイン及び制御マネージャー(
図11の要素1142):
-パイロット又はパワートレイン及び制御再設計機能からの入力によって駆動され、診断又は解決プロセスを実行し、パワートレインを再構成し、又は制御法を変更する。
-解決又は診断プロセス工程、パワートレイン再構成命令、パイロットからの制御法、ならびにパワートレイン及び制御再設計機能を受け取る。
-矛盾する指令を解決し、また動作規則機能で定義された安全手順に従う。
-モジュールインターフェースを介して低レベルコントローラに命令することによって、及び最適化モジュール、航空機、及びパワートレインモデルを修正することによって安全シーケンス内の合理的な変更の組を実行する。
-例えば、差し迫った緊急着陸の際に、パイロットによって接地の直前に起動される「安全及び分離」シーケンスは、乗客及び貨物を保護するためにパワートレインのすべての高電圧又は可燃性システムを停止又は分離するように、パワートレイン及び制御に機能の再設計を命令することになる。あるいは、故障検出及び特定機能は、航空機状態変数からの衝突の評価に基づいてシーケンスを起動してもよい。
・出力割り当て器(
図11の要素1144):
-パイロットの命令及びパワートレイン能力に基づいて搭載されたプロパルサーにわたる出力分配を決定する。これは以下を含んでもよい。
・複数のプロパルサーを連係するため、例えば、偏揺れモーメントを除去するためのバランスのとれた出力、例えば、航空機重心を中心としたゼロモーメントのために出力を与えるプロパルサー、又はマスタープロパルサーの出力設定によって決定されるプロパルサー出力、のための出力割り当て。
・正常な性能又はグレースフルデグラデーションのための性能を保ちながらプロパルサー故障に最適に順応するための、要求される出力と一致した出力割り当て。例えば、割り当ては、故障を補償するために健全なプロパルサーへの出力をブーストしてもよく、同時に偏揺れモーメントを制限し、その飛行レッグに対して安全な飛行を維持するために必要な最低出力より高い出力を確保し、かつプロパルサー上の制約を超えないようにする。
・要求された偏揺れモーメントを作り出すために出力を分配することによる方向制御のための出力割り当て。
航空機及びパワートレインモデル(
図10の要素1040及び/又は
図11の要素1150)
・航空機性能モデル(
図11の要素1152):
-飛行試験は、航空機重量、速度、空気温度、及び圧力を仮定して現在の飛行のフェーズのために必要な予想される出力、及び復行又は降下率を計算する1自由度の物理学に基づいた性能シミュレーションモデルを較正する(FPOPシステムの考察にこの態様のさらなる記述を示す)。
・パワートレイン及びプロパルサーモデル(複数可)(
図11の要素1153及び1154):
-要求される出力、対気速度、及び環境条件に基づくプロパルサー設定の最適化を可能にする性能モデル、ルックアップテーブル、及び性能制約。これらは以下のうちの1つ以上を含んでもよい。
・モーター性能モデル、例えば、モータートルク、速度、及び電圧の関数としてモーターの効率を記述する。
・プロパルサー性能モデル、例えば、送風機ピッチ角度、トルク、対気速度、送風機速度、及び標準的なブレーキ、逆ブレーキ、又は回生ブレーキの設定の関数としてプロパルサー推力を定義する。
・モーター及びプロパルサー性能ルックアップテーブル、最適化に対する交換として、又は開始近似(starting approximation)を生成するための使用に対して、個別の点において性能関係を定義する。
・性能制約、モーター及びプロパルサー設定上の。例えば、標準的な動作、回生ブレーキ、及び逆推進力に対する送風機ピッチ角度範囲。
・発電機モデル(
図11の要素1156):
-要求された出力、対気速度、及び環境条件に基づいて発電機設定の最適化を可能にする性能モデル、ルックアップテーブル、及び性能制約。これらは以下のうちの1つ以上を含んでもよい。
・エンジン性能モデル、例えば、エンジントルク、速度、及び周囲条件の関数としてエンジン効率を定義する。
・モーター性能モデル、例えば、モータートルク、速度、及び電圧の関数としてモーターの効率を記述する。
・エンジン及びモーター性能ルックアップテーブル、性能モデルに対する交換として、又は開始近似として使用するために、個別の点において性能関係を画定する。
・あるいは、統合エンジンモーター性能(例えば、トルク、速度、電圧、及び周囲条件の関数として発電機効率を記述する)のための発電機モーター。上記と同様に、個別の点において性能関係を定義する発電機性能ルックアップテーブルによって発電機モーターを交換又は補完することができる。
・エンジン及びモーター上の性能制約、又は統合発電機設定。例えば、ブースト及びピークに対する安全期間とともに、エンジン出力は全出力、ブースト、及びピークの範囲となり、モーター出力は全出力、ブースト、及びピークの範囲となる。
・保存エネルギーモデル(
図11の要素1158):
-要求された出力、現在の充電状態、環境条件に基づく、再充電可能な保存エネルギーユニット及び発電機にわたる出力分配の最適化を可能にするための性能モデル、ルックアップテーブル、及び性能制約。これらは以下を含んでもよい。
・保存エネルギーユニットに対する減少モデル、これは、例えば、一般的なクーロンカウンティングを介した現在の引き出されたユニットの充電の状態に関する。
・保存エネルギー性能モデル、これは、引き出された出力、充電の状態、周囲条件、及び他の因子に基づいてユニットの動作効率を決定する。例えば、充電及び温度の状態の関数としては、主要パラメーター(開回路電圧など)に対してモデルに連結されたリント(Rint)タイプ等価回路モデル。
・保存エネルギー性能ルックアップテーブル、最適化に対する交換として、又は開始近似としての使用のために、個別の点において性能関係を定義する。
・保存エネルギーユニット上の性能制約、充電の状態及びユニットから引き出された出力の制限を含む。
故障の検出及び故障の復旧(
図10の要素1042及び/又は
図11の要素1160)
・故障の検出及び故障の特定(
図11の要素1162):
-センサー、作動装置、構成要素又はモジュールの故障を検出する信号ベースの方法及びモデルベースの方法の組み合わせによってパワートレインの健全性を継続的に監視する。
-供給源の範囲から定期的に信号をサンプリングし、POCSから低レベルコントローラへの信号を制御し、低レベルコントローラ、パワートレイン、及びモジュールセンサーから信号、航空機状態変数を出力する。
-パワートレインが性能制約によって定義される安全限界内で動作することを確保するために信号を監視する。安全限界を超えた場合、スパイクの程度及び期間を監視して問題の重大性を評価する。
-パイロットに知らせるために、コックピットインターフェース(
図11の要素1170、及びより具体的にはパイロットに報知する要素1172)を介してパワートレイン警報(要素1164)を起動する。
・ -故障信号を検出するために様々な方法(例えば、フーリエ分析、リミットチェック)を活用する。
-構成要素又はプロセスについてパワートレイン、モジュール、及びサブシステムの性能を内部モデルと比較して、パラメーター推定又はニューラルネットワークなどの方法を介して潜在的な故障を特定する。
-分析的方法及び/又は発見的問題解決法を使用する信号及びモデルを介して故障の場所及び性質を判断する。場所、タイプ、及び重大性に基づいて故障を分類する。
-是正措置を開始するためにパワートレイン及び制御再設計機能/プロセス(
図11の要素1166)を起動する。
航空機及び輸送システムの管理の目的で、パワートレイン構成及び制御法ライブラリが、以下の情報、データ、又はプロセスを含むことに留意されたい。
-パワートレインの故障を解決するために従うべきプロセス工程を記述する解決プロセス。
-各パワートレイン構成は設定を記述し、例えば、スイッチ、コネクター、接触器は、安全再構成を実行するプロセス工程及び再構成されたパワートレインを動作する制御法とともに構造を実施するように集合的に設定される必要がある。
-各制御法はパワートレインのために、目的関数、動作規則、パワートレイン及びモジュール性能制約、ならびに航空機及びパワートレイン性能モデルを含む最適化手順及び制御手順を記述する。
・パワートレイン及び制御再設計(
図11の要素1166):
-事前定義された設計を飛行中合成と組み合わせることによって、通常の性能又はグレースフルデグラデーションした性能が保たれるように、活性化した故障に順応するために必要なパワートレイン及び制御再設計を決定する。
-故障の場所、タイプ、及び重大性に基づいて是正措置が必要かどうかを判定する。
-事前定義された解決プロセスのライブラリの中のルックアップ、パワートレイン構成、及び制御法を、特定の条件に対する応答を適合させるための合成と組み合わせるエキスパートシステム(又は他の決定プロセス)を介して故障に最適に順応するために解決プロセス、パワートレイン構成、及び制御法を選択する。例えば、
・故障したモジュール又は回路の分離。例えば、変換器内のショートスイッチ故障の場合、スイッチに接続された速断型ヒューズを使用することができ、故障したときにヒューズはスイッチを分離して解決する。
・故障に順応するための出力の再分配。例えば、各々が保存エネルギーユニット及び発電機によって動力を得ている左右の双発プロパルサーを備えたパワートレインでは、プロパルサー又は供給源の故障は、出力を最適化するために左右に転送できるようになっている必要がある場合がある。左のプロパルサーの故障では、右側がブーストできるようにすることによって、左から右への転送が補償を補助することになる。同様に、左から右への転送は右の動力源の故障への順応を補助することになり、これによって両方とも均等に動力を受けることができる。
・冗長モジュール又は回路の活性化。例えば、各々バスによって動力を受ける左右の双発プロパルサーを備えるパワートレインでは、いずれかのバスの故障は単一の冗長バスによって順応することができる。さらに左右の転送のための経路を作り出すために冗長バスを使用することもできる。
・高電圧回路の分離。
-パワートレイン警報(
図11の要素1164)及びパワートレイン及び制御マネージャー(
図11の要素1142)機能、動作、又はプロセスを起動することによって報知及び是正措置を開始する。
【0093】
[0112]
図14は、本発明の航空輸送システムの一部として使用されてもよい、電気ハイブリッド航空機のための飛行経路を決定又は改訂するために使用されてもよい飛行経路最適化プラットフォーム(FPOP)のある一定の入力、機能、及び出力を図示するフローチャート又は流れ図である。図に示される要素もしくはモジュールの制御によって又は制御下で実施される機能、動作、又はプロセスの各々もしくは組み合わせは、適正にプログラムされた処理要素(コントローラ、状態システム、マイクロコントローラ、CPU、マイクロプロセッサ等など)によって一組の命令の実行によって実施されてもよい。
【0094】
[0113] 飛行経路最適化プラットフォームの実施はハイブリッド電動飛行機のために最適飛行経路(複数可)を決定するために使用されてもよい。これは、飛行モードによって画定される性能及びコスト目標を満足するのと同時に一連の飛行セグメントの各々に対する速度及び高度、ならびにエネルギー計画を画定することを含む。FPOPは、1つ以上の飛行航路にわたる最適経路を決定し、そうすることによって、航空機及びパワートレイン特性、天候条件、ATC制限、危険等を考慮する。
【0095】
[0114] 複数の動力源を有する地域ハイブリッド電動飛行機のための飛行計画は、長い範囲にわたる有人の従来の航空機より複雑なトレードオフの組を要することに留意されたい。例えば、ハイブリッド電動飛行機については最適飛行高度は、速度対効率目標、飛行距離、空中の天候、航空機空気力学、利用可能なエネルギー及び出力、及び相対的な保存エネルギー対発電機使用の組み合わせによって決定される。対照的に、長距離の商用乗客又は貨物飛行のために設計された飛行高度はFAA要件、政策、及びおおまかな航空機特性のうちの1つ以上によって設定される場合がある。これは従来の長距離飛行のセグメント(複数可)の決定のずっとより単純な様式である。本発明の航空機及び地域航空輸送システムのために必要とされる飛行計画プロセスの複雑さゆえに、飛行前及び飛行の間(条件の変化にともない)の両方で、最適飛行経路を決定するために必要とされる最適化プロセスを実行するためにFPOPが使用される。
【0096】
[0115] 当初の飛行経路計画に加えて、FPOPは、目的地への飛行経路を更新する(風、ATCルーティング設定等の変化を考慮して)ために飛行中に定期的にも利用されてもよく、またパワートレインの中の故障又は他の飛行中の非常事態の場合、代替の目的地又は飛行経路を提供してもよい。
・飛行の間、航空機の現在のエネルギー状態を考慮して範囲内のすべての空港を定期的に特定する。結果は、地図上の範囲リング、地図上の空港を強調して、単純な文字で書かれたリスト等を含む任意の様式の形式でパイロットに対して表示されてもよい。
・あらゆる緊急の状況の場合には、直ちに直近の受け入れ可能な代替の空港への飛行経路を提供する。
・パワートレイン内の部分的な故障の場合には、FPOPはパワートレインが劣化した状態で利用可能な代替の目的地を特定する。部分的な故障の実施例としては、1つ以上のエネルギー保存ユニット、発電モジュール、推進モーター等の故障が挙げられることになる。
【0097】
[0116] FPOPプラットフォーム又はデータ処理システムのいくつかの実施形態又は実装では、最適化プロセスは2つのレベルで実施されてもよい。
・レベル1:飛行モード及び距離に基づく高度及び速度を設定するための標準的なライブラリを使用する単純な規則に基づいた計算。
・レベル2:レベル1の出力によって構築される実現可能な代替の高度及び速度の範囲にわたる最適化。
【0098】
[0117] いくつかの実施形態では、FPOPプラットフォームは、以下の機能、動作、又はプロセスのうちの1つ以上を含んでもよく、又はこれらのアクセスするように構成されてもよい。
経路作製(
図14の要素又はプロセス1404)。これは各飛行航路に対してレベル1飛行経路を画定する。このモジュールは、各セグメントに割り当てられた速度及びエネルギー計画を有する、飛行セグメント(例えば、巡航、復行、降下)によって接続されたウェイポイント(緯度、経度、及び高度)によって画定される3D飛行経路を構築する。巡航は、高度制約及びATCルーティングによって必要とされる1つ以上のセグメントから成ってもよい。レベル2最適化の場合、各進路に対して経路代替作成規則モジュール(1413)を使用して代替的な飛行経路を構築する。各飛行経路に対して速度規則ライブラリを使用してレッグごとに標的速度を決定し、また提供される条件にわたって内挿することによって天候指数及び危険指数を決定する。一般に、経路発電プロセス又は要素は、以下のものなどの性能経験則及び空域制約のライブラリから引き出されたコアシーケンスを利用する。
・経路作製シーケンスは、最初に巡航高度(複数可)及び飛行速度を経験則から設定する。復行距離及び降下距離は中間ウェイポイントを設定するように計算され、空域制約は高度制約を用いてウェイポイントとして計算される。最後に、各セグメントに対して出力比(範囲延長発電機状態)が設定される。
・経路経験則(
図14の要素1407)詳細な飛行経路最適化からのデータベースに基づく高度、速度、及びエネルギー供給源利用のライブラリ。所与の範囲、重量、及び飛行モードに対して、風のない単純な飛行プロファイルに対する最適復行及び降下率、巡航高度及び速度、ならびに範囲延長発電機利用時間を返す。経験則は、本明細書に記述されるプロセスを使用して作成されてもよい。
・空域制約。(
図14の要素1410)開始及び終了ウェイポイントとして飛行航路に沿って制約を課す(緯度、経度、及び高度)、最低又は最高高度制約を決定するために飛行航路と組み合わせられた空域及び地形の航法データベースを利用する。
・復行、降下ライブラリ。(
図14の要素1409)経路経験則によって提供される、2つの高度の間で現在の重量及び速度で復行又は降下するための時間及び距離を返すライブラリ。ライブラリは、内挿法による平滑化又は蓄積した性能計算を用いたテーブルルックアップを含有してもよい。
環境評価。(
図14の要素又はプロセス1412)環境条件が、基準となる経験則による経路を超えた経路のレベルの最適化を保証するかどうかを決定する。天候及び注意データを飛行のルートに適用し、任意の注意、激しい風、又は飛行経路上の風の著しい変化は、L2経路微調整が必要となる。
代替飛行経路作製器(
図14の要素又はプロセス1413)。当初の飛行経路からセグメント高度を変えることによって、一組の代替の飛行経路を構築する。補償されている場合にはブレークポイント作製器を使用して既存の飛行セグメントを追加的なウェイポイントでさらに分割し、次いですべてが可能な経路の組を作製する。経路の最大数(10個程度)は、高度制約(最低、最大)、及び漸次的高度(例えば、米国上では、東回りの飛行巡航は千フィートの奇数倍、すなわち9000フィート、13000フィート等)での巡航を要求する空域規則によって制限される。
ブレークポイント作製器(
図14の要素又はプロセス1414)。このルーチンは、既存の巡航セグメントを注意及び気象指標データに対して比較する(要素1403及び1405)。典型的には、ウェイポイントはいずれかの危険の境界に挿入され、また著しい風速変化があるいずれかの場所にも挿入される。各々の追加的なウェイポイントはオプティマイザーに利用可能な自由度を増加させる。
飛行経路オプティマイザー(
図14の要素又はプロセス1408)。これは、目的関数を最小化する一方で制約に適合するように巡航速度(複数可)及び出力比を飛行経路にわたって変化させる。最適化は、重量、保存エネルギー、及び利用可能な範囲延長発電機燃料、ならびに風、降雨、温度等を含んでもよい環境条件を含む場合がある現在の航空機の状態に対して実施される。最適化プロセスの結果は、最適化された飛行経路、大気経路、エネルギー計画、及び目的関数の値を含んでもよい。飛行経路オプティマイザーは、以下のプロセス、動作、機能、要素等のうちの1つ以上を含んでもよい。
・目的関数。飛行モードによって設定することによって、目的関数は巡航速度及びエネルギー利用ストラテジに影響を与えることになる。性能空間を「一括りにする」例示的な目的関数は、典型的には最大速度(最低時間)、又は最低エネルギーとなることになる。より総括的な目的関数は、以下の項のうちの1つ又はいくつかを含み、パラメーターはオペレーターによって定義される。目的関数=燃料のコスト+保存エネルギーのコスト+エンジンメンテナンス及びリザーブのコスト(償却した)+バッテリーパックのコスト(償却した)+乗客及び乗員時間のコスト+航空機のコスト+排気のコスト。
・最適化変数。オプティマイザーは、巡航速度(複数可)及び出力比を変化させる。例えば、飛行範囲に依存して、最大速度最適化は、結果として高レベルの範囲延長発電機の使用をもたらし、一方で最低エネルギー最適化は、結果として範囲延長発電機の使用のレベルをもたらすことになり、十分短い飛行は範囲延長発電機をまったく使用しないことになる。
・最適化制約。保存エネルギーの最大放電率、飛行の間の任意の点における充電の最低状態、飛行の終了時における最低エネルギーリザーブ(最適化は確定された飛行経路で発生し、あらゆる高度制約は飛行経路製作器によって満足されることに留意されたい)を含む、性能及び安全のために、パワートレインに1つ又はいくつかの制約を含む場合がある。
・最適化プロセス。最適化空間は非線形であり、また発電機の状態の不連続性を含有する場合があり、両者とも閉形式解を除外する。最適化は、現在の航空機構成を使用し、かつ予想される飛行環境での時間依存様式で画定された飛行経路にわたる航空機及びパワートレイン性能のモデリングを必要とする。性能モデルは、結果として目的関数を計算するために使用される時間積分した合計をもたらす(例えば、消費された燃料及び保存エネルギー)。
・飛行モデリングは、動的なプログラミング(例えば、代表的な航空機及びパワートレインモデルを含む飛行シミュレーション(以下に詳細に記述される))を用いて、又は低次元モデルなどの単純化された方法によって達成される場合がある(不連続、時間積分した特性が正しくモデル化される限り)。本明細書に記述される方法は、代表的な航空機及びパワートレインモデルを用いた飛行シミュレータープロセスを利用し、また現在の動作環境影響を組み込む。
・最適化アルゴリズム。単一の巡航速度変数を有する飛行プロファイルは、傾斜降下又はニュートンの方法を用いて最適化される場合がある。出力比の不連続性を有する複数セグメント飛行は、より高度な非線形アルゴリズム(NPSOLなど)を必要とする場合がある。
制約点検(
図14の要素又はプロセス1406)は、最適化された飛行経路の結果を必要とされる飛行終了時のエネルギーリザーブ又は最適化空間を形作るために使用される場合がある他の制約に対して点検する。制約に適合するように最適化することができなかった経路はこの時点ですべて破棄されて見えなくなる。
経路評価(
図14の要素又はプロセス1402)。これはすべての有効な飛行経路を目的関数によってソーティングし、デフォルトの飛行経路(当初要求された)、及び最適化された(すなわち、目的関数が最低の)飛行経路を、すべての関連情報とともに返す。
飛行シミュレーションモデル及びモジュール。飛行シミュレーションモデルは、飛行経路オプティマイザー(
図14の要素又はプロセス1408)によって利用されてもよく、またこれは飛行試験で較正された、単一自由度の、物理学ベースの性能シミュレーションモデルであり、これは航空機重量、速度、空気温度及び気圧、ならびに復行率又は降下率を仮定して現在の飛行のフェーズのために必要とされる予想される出力を計算する。このモデルは、飛行経路に沿って予想天候の存在下で性能を継続的に計算するために時間ステップ及び実験的ルーチンで航空機及びパワートレインモデルを利用する。結果は、時間、距離、及びエネルギーに対する積分合計である。積分距離合計が大気経路である。これらモデルは以下のうちの1つ以上を含んでもよい。
・飛行モジュール。性能は、各飛行セグメントに対して対応する飛行モジュール(例えば、離陸、復行、巡航、降下、着陸等)によって計算される。モジュールは航空機及びセグメント情報で初期化され、そして完全な飛行セグメントに対して統合した性能を返す。表は、各モジュールに対して入力及び出力の詳細を提供し、モジュールは航空機性能を計算するために航空機及びパワートレインモデルを利用する。
・航空機モデル。モデルは、航空機状態(高度、速度、出力レベル、重量、回転率等)及び動作環境(高度、空気温度、圧力、密度)を用いて初期化され、また対応する瞬時性能(エネルギー使用、燃料燃焼、加速、復行又は降下率等)を返してもよい。モデルは力とモーメントの等式(C
L、C
D、C
Di、C
M、F、及びN
ZW)の組み合わせ、及び瞬時航空機性能を決定するための総括的なテーブルルックアップを利用してもよい。ここで、
・C
L-C
L=N
ZW/q/Sの標準的な計算。
・C
D-形態抗力因子を用いたレイノルズに基づくスキンの摩擦方法を通して上昇する、試験抗力に対して修正された抗力。冷却抗力、フラップ及び着陸装置抗力(必要な場合)、突出及び干渉抗力に対する追加的な因子。
・C
Di-基準となるC
L
2/(πARe)により誘発された抗力、eはテーブルルックアップによって提供される、C
Lの関数、フラップ設定。トリム抗力が揚力として主翼に漸次的に追加され、またC
DiはHTから計算される。
・C
M-縦揺れモーメント、航空機重量、CG、及び中立点(速度依存、テーブルルックアップから)から計算される。
・F-推力、利用可能な推力及び必要とされる推力の両方。利用可能なSHPを決定するためにパワートレイン及びプロパルサーモデルが呼び出され、空気力学的プロパルサーモデルを用いて推力へ変換される(効率のテーブルルックアップ対速度)。必要とされる推力が抗力(非最大推力の場合)と釣り合うように計算され、そしてエネルギー/燃料の燃焼のために使用される。
・N
ZW-負荷因子、加速される飛行(旋回率、又は縦揺れ率)に起因し、(g)の分数で表現される。
・パワートレインモデル。ハイブリッド電気パワートレインモジュール及びプロパルサーの物理学を代表する。航空機からの推力要件に対応して、パワートレインモジュールが範囲延長発電機とエネルギー保存ユニットとの間で出力を分配し、利用可能な推力、範囲延長発電機状態(複数可)、燃料燃焼率、及び保存放電率を返す。航空機シミュレーションは、範囲延長発電機運転時間、燃焼した合計燃料、及び保存のうちの使用されたkWhを追跡する。パワートレインモデルについての追加的な情報はパワートレインの項で提供される(例えば、
図11の要素1153及び1154)。
【0099】
[0118] 記載したように、FPOPフローチャート又はフロー制御図は、FPOPプロセスの例示的な実施における工程のシーケンスを示す。これらは典型的には以下を含む。
1.FPOPはPOCS(1409)から開始され、飛行経路作製/最適化のために必要なデータはいくつかの供給源から集められてもよい。
a.パイロット入力飛行モード情報(1410)はPOCSによって提供され、これはエネルギー状態要件(例えば、着陸時に必要なリザーブのレベル)も含む。
b.GPS/FMSは当初のパイロットが入力した最適化されるべき飛行航路(1412)を提供し、2つ以上の飛行航路オプションがあってもよい(例えば、複数の周遊経路、又は地形の上方)。
c.天候情報(1414)はデータリンク上にアップロードされる(ADS-B in)。
d.航空機データバスは、現在の動作又は環境パラメーター(1416)を提供し、これは温度、空気圧力、及びインフライト更新である場合は、航空機位置及び速度を含む。
2.データ前処理(1420)は広域天候情報を飛行航路に沿った場所(緯度、経度、及び利用可能な高度に基づく)に沿って内挿された天候の気象指標(1403)に変換する。同様に、注意(例えば、着氷又は降雨)の供給源は、意図される飛行のルート上でのそれらの可能な効果について点検するために前処理され、データは注意係数(1405)に提供される。
3.FPOPプラットフォームは、入力データの完全に組み立てられた組を用いて呼び出される(工程又は段階1401)。
4.飛行経路作製器(1404)は、提供された2D飛行航路から3次元飛行経路を作り出す。作製した経路は、一組のウェイポイント(緯度、経度、及び高度によって画定される)によって画定され、これはセグメント(復行、巡航、降下)ごとに各セグメントに対して特定された速度を用いて接続される。
a.経路/性能経験則(1407)のライブラリは最適復行率、巡航高度、及び降下率を提供する。経験則は航空機現在の重量及びエネルギー状態に対して修正される。
b.復行及び降下ライブラリ(1409)は、中間ウェイポイントの場所を決定する、復行及び降下距離を提供する率(経験則から)を使用する。
c.中間ウェイポイントは、地形に起因する制約を含む空域制約(1410)に調和するように加えられてもよい。
d.ウェイポイントは飛行セグメントと接続され、速度及び範囲延長発電機状態は、経験則からすべてのセグメントに割り当てられる。
5.環境評価(1412)は、天候データと危険データとを組み合わせて飛行経路を審査して、現実世界の条件下での最適化の点から経路が有利であるか判定する。
a.追加的な最適化が必要ない場合、又は有利にならない場合、経路は飛行経路オプティマイザー(1408)に提供される。
b.さらに最適化が潜在的に有利な場合、代替飛行経路発電機(1413)が呼び出される。
i.ブレークポイント作製器(1414)は、注意及び/又は空中の風の供給源に基づいて巡航セグメントに追加的な中間ウェイポイントを追加してもよく、これは最適化空間により大きい自由度を提供する。
ii.各巡航セグメントの高度は最高(性能限界によって設定される)から最低(制約によって設定される)まで変化する。速度及びエネルギー供給源の利用は、ここでも経験則を使用することによって設定される。
iii.可能な経路のすべての組が飛行経路オプティマイザー(1408)に提供される。
6.飛行経路オプティマイザー(1408)は、任意の特定された制約の中の目的関数を最小化するように、巡航速度及び出力比を飛行経路にわたって変化させる。各飛行経路について、オプティマイザーは、大気経路、エネルギー計画、及び目的関数を作製する。実行可能なエネルギー計画を見出すことができない場合、経路は廃棄される場合があることに留意されたい。
7.すべての実行可能な経路が目的関数によってソーティングされ、そして最適経路が特定され、かつ返される。最終的な出力(1430)は、飛行経路及び航空経路、エネルギー計画、必要とされるリザーブエネルギー、到着エネルギー、ならびに特定された目的関数の値である。
飛行シミュレーションモジュール(これらが可能な実施の実施例を示していることに留意されたい)
【表3-1】
【表3-2】
【0100】
[0119] 飛行経路最適化(FPOPによって実施されるものなど、そして本明細書に記述されるように)は航空機効率及びコストに影響を与えるパラメーターに依存し、これらが、以下の表に示されるように、従来のプラットフォームとハイブリッドプラットフォームとの間で著しく変化することに留意されたい。
【表4-1】
【表4-2】
【0101】
[0120] いくつかの実施形態では、本明細書に記述されるように、最適化プロセスは、FPOP飛行経路作製器のために経路又は他の経験則を作製するために行われてもよい。以下は、本発明のハイブリッド電気地域航空輸送システムのために実施され得るものと、従来の航空機及び輸送システムのために使用され得るものとの間の最適化プロセスの差異に関する情報を含有する表である。
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【0102】
[0121]
図13は、飛行経路最適化プラットフォーム(FPOP)によって作製され、かつ本発明の地域航空輸送システムの実施形態で航空機の運航を制御するために少なくとも部分的に使用されてもよい航空機に対する例示的な飛行経路最適化を図示する略図である。図に示すように、飛行経路1300は、1つ以上のセグメント(図中で、「A」、「A.1」、「B」、「C」、「D」等によって特定されているものなど)から組み立てられていてもよく、各セグメントは適正に実施するために航空機及び制御システムの特定の構成を必要とする場合がある(例えば、航空機の運航に(移動距離、燃料(エネルギー)レベル、燃料消費、合計重量等によって)課せられる制約の対象となる)。図は、飛行経路最適化プロセスのグラフ表示の実施例を断面で示し、したがって距離の関数としての高度プロファイルのみである。この実施例では、デフォルトの飛行経路1300は単一の起点、単一の目的地の経路であり、これはFPOPの経路作製モジュール/機能によって複数のセグメントに分断されている。
【0103】
[0122] FPOPモジュールの経路作製プロセスによって作り出された当初の経路(破線で示される)は、起点(A)、目的地(D)、及び地形障害物に対する高度制約に基づく。このデフォルトの経路は、初期復行(セグメントA~A*)、最適な無風高度における巡航モード(セグメントA*~B)、障害物をかわすためのより高い高度におけるセグメント(B~B.1)、障害物制約が無くなったときの最適巡航高度への戻り(セグメントB.1~C)、及び降下点の頂点までの巡航(セグメントC~C.1)をもたらし、着陸への降下(セグメントC.1~D)が後に続く。経路作製プロセスは、飛行経路の中間点(すなわち、A.1、B.1、及びC.1)を決定するために復行及び降下率を使用する。最適復行及び降下率、巡航高度及び速度、ならびに発電機停止点(点Cと点C.1との間に三角形で表示された)が飛行モード及び範囲によって決定されることに留意されたい。例えば、中程度の範囲にわたる「高速」モードは最大高度に対して復行の最良の率をもたらし、これはすべての巡航に対して範囲延長発電機を用いてピーク発電出力を可能にするが、一方で同一の距離にわたる経済的モードは、より低速で、より低い高度で、そして巡航を通して範囲延長発電機を部分的に停止して巡航し、保存エネルギー単独で飛行を完了する場合がある。この経路はエネルギー最適化モジュールに提供され、次いでFPOPの経路評価モジュールに提供される。
図13に図示される例示的な最適化プロセスに戻ると、いくつかの実施形態では(また
図14によって示唆されるように)、典型的な最適化プロセスでは、環境評価モジュール/機能1412は、潜在的な巡航セグメントのために気象指標1403及び注意係数1405をチェックし、そしてさらなる最適化を実施するべきかどうかを、風速、風向又は速度の変化等に基づいて判定するべきである(
図14の「精緻化経路?」決定工程1415の「はい」又は「いいえ」分岐によって表示されるように)。
・ブレークポイント作製器1414は、まず風力勾配に基づいて既存の巡航レッグ(すなわち、A、B、及びC)に追加的な下位分割が必要かどうかを決定し、風は各レッグに対して一定なので、この場合、答えは「いいえ」となる(
図13に示される風速W1及びW2によって示唆されるように)。
・代替飛行経路作製モジュール1413は、A.1、B、及びCにおける高度を変更し、これは飛行経路の点A.3、B.1、C、及びC.1の場所を修正する。航空機の規制は、巡航を漸次的高度(例えば、米国内では2,000フィートごと)において行うことを要求しているので、実行可能な変更には限られた数があることに留意されたい。巡航高度の下向きは最低ルート高度(MEA、地形及び空域によって画定される)によって設定されるが、上向きは航空機性能能力によって設定される。この変化プロセスの結果は一組の潜在的な飛行経路である。
・各潜在的な飛行経路は、飛行経路最適化モジュール1408によって、その経路に対する最低エネルギー使用を見出すために飛行シミュレーションプロセスを実施することによって分析される。
・経路をランク付けするために経路評価モジュール1402が使用され、そしてデフォルトの経路(複数可)と目的関数を最小化する経路(複数可)との両方が返される。
【0104】
[0123] この実施例では(
図13に示すデフォルトの飛行経路1300と比較して)、経路最適化モジュール1408は、初期高度を低限界まで低下して向かい風を避け、地形障害物との間隔をとるためにBまで復行するために十分な距離を確保するためにA.3の位置で戻る。Bにおける高度は変化しないが、障害物をかわした後、Cにおけるより低い巡航高度は追い風の利点を利用することができ、また追い風を利用できる範囲で降下点(C.1)の頂点を遅らせることができる。初期セグメントでのエネルギー使用量の減少により、発電機をより早期に停止することができる(図中の点Cにより近い三角形によって示唆されるように)。
【0105】
[0124] 以下の表は、最適化された経路内の各ウェイポイント、中間ウェイポイントの供給源、各レッグに対する所望の高度及び速度(複数可)、及び最適化プロセスが本来のデフォルト飛行経路をどのように修正したかを示す。表では、A.2、B、B.1、及びCウェイポイントの速度及び/又は高度が最適化されている。表は、各レッグに対してどのように速度が決定されたかについても一覧表示している。高度が最適化されたレッグは、速度も最適化されていることに留意されたい。
【表6】
【0106】
[0125] 記載したように、複数の動力源を有する地域ハイブリッド電動飛行機のための飛行経路計画は、長い範囲にわたる従来の航空機より複雑なトレードオフを要する。例えば、最適飛行高度は、速度対効率目標、飛行距離、空中の天候、航空機空気力学、利用可能なエネルギー、及び相対的なエネルギー保存対範囲延長発電機又は代替の動力源使用の組み合わせによって決定される。FPOPプロセスは、最適飛行経路(複数可)を決定するために、条件の変化に応じて飛行前及び飛行中の両方でこの最適化を可能にする。
【0107】
[0126] 本明細書に記述されるように、いくつかの実施形態では、ハイブリッド電動飛行機用のFPOPプラットフォーム又はシステムは、以下の特性を有してもよく、及び/又は表示された機能を実施してもよい。
・飛行モードに対して最適化された1つ以上の飛行経路を作製し、そしてこれは航空機及び環境制約に適合する(例えば、最終エネルギー状態、及び空域制限)。決定又は改訂された飛行経路は、パイロット又はオートパイロットによって実行されるように、FMS(
図3及び
図4に示す)にアップロードされてもよい。
・複数のエネルギー供給源を有する地域ハイブリッド電動飛行機に対する飛行計画は、従来の航空機より複雑なトレードオフを要求され、また複数の供給源エネルギーリザーブの使用の複雑性により、飛行の安全もより重要である。任務にわたる航空機性能は本質的に非線形であり、また典型的には、最適化方法(例えば、合計飛行エネルギーを最小化するためのエネルギー方法)と連結されたいくつかのレベルの動的プログラミング(例えばシミュレーション)を用いて取り組まれる。ハイブリッド電気性能はさらなるレベルの複雑性を伴い、その中でエネルギーの寄与は複数の供給源に由来し、これらは物理的に独特であり(エネルギー供給源、又は動力源のいずれか)、これらは時間、又は飛行にわたるコストに関して連続的でない場合がある。これは結果として、従来の飛行経路計画では対処できない複雑な最適化プロセスをもたらす。
・記述されるように、ハイブリッド電気パワートレインのための飛行経路最適化プラットフォーム(FPOP)は、典型的には2工程プロセスを使用する。(1)巡航高度を含む総合的な飛行プロファイルを設定するための飛行経路の画定、続いて(2)現在の運航環境での最適化。
・飛行経路の画定は、環境条件に依存して1つ又は2つのレベルで発生する場合がある。
-レベル1:経験則を使用する3D飛行経路の当初の画定であり、所望の範囲及び飛行モードに対する最適高度、巡航速度、及びエネルギー計画を提供する。飛行環境が比較的単純な場合(弱風、注意又は危険がない)、典型的にはレベル1で十分である。
-レベル2:風又は注意がレベル1の経路に悪影響を及ぼす場合、代替経路を作製するために呼び出される。一組の修正経路を作製するために、レベル1飛行経路巡航セグメント(複数可)の高度(複数可)を変える。
・最適化は、目的関数を制約内に最小化するように巡航速度及びエネルギー計画(出力比)調節することによって各飛行経路に対して実施され、一方で現在の運航環境を考慮する(天候、及び航空機状態)。結果は大気経路、エネルギー計画、及び目的関数の値である。複数の飛行経路の場合には、最低の目的関数を有する経路が最適として返される。
【0108】
[0127] 長距離飛行で運航する従来の航空機と比較すると、地域ハイブリッド電動飛行機の飛行プロファイルには速度及び高度に対するずっとより多くのオプションがあり、また高度及び出力需要に対して異なる応答をする複数のエネルギー供給源を使用し、また異なるコストを有するため、著しくより複雑である。この新機軸の部分として、本発明者らは、従来の航空機飛行計画は、ハイブリッド電動飛行機に対して安全で効率的な飛行経路を提供するためには不適切であること、そして飛行の安全及びパイロットの作業負荷の減少を確保するためにこの能力を提供する必要があることを認識した。本発明のFPOPプラットフォーム/システムの実施は、本発明者らによるハイブリッド電気パワートレインと従来の航空機のパワートレインとの間の運航及び最適化の差異の認識に基づいている。これらの差異又は特徴的な特性には以下のものを含む。
・従来の長距離飛行航空機は、所定の復行及び降下プロファイルの制限された組及び31,000~40,000フィートの高度における巡航を使用する。巡航高度は、空中の風及び航空交通量要件から簡単に決定され、また「最適化」は一般に燃料の価格を調節するための速度の調節とたいした違いがない。
・地域航空機は、復行及び降下に飛行経路/時間のずっとより多い割合を費やし、また巡航高度は範囲、天候、地形、及び航空交通量制御に依存して幅広く変わる。それでも、従来の地域運航の航空機に対する最良の巡航効率は、典型的には巡航範囲を実用的に考慮して最高高度への復行に依存する。
・従来の航空機でのエネルギー計画は、典型的には飛行に必要とされるより多くの燃料が利用可能であることを確保するプロセスである。燃料の燃焼は、計画された飛行セグメント及び必要とされるリザーブから計算される(時間、又は時間+代替への迂回として表現される)。計算は、パイロット又はFMSによって航空機重量、巡航高度、及び速度からなるテーブルルックアップのシステムを使用してなされる。
・巡航速度は、利用可能な時間及び燃料のコストに依存して、高速巡航(最大出力)、又は長距離巡航(経済的に最良)の間で選ばれる。
・従来の航空機エンジンは高度とともに出力を失い、また「全出力」(すなわちフルスロットル)飛行でさえ燃料リザーブをそれほど迅速に使い尽くすことはない。
・従来の飛行経路最適化は、典型的には燃料コストと運航コストとの単純な比に基づく。例えば、いくつかの航空機製造業者は、これを「コスト係数」と呼び、オペレーターによって単一の数字が設定されており、これを航空機FMSは復行速度、巡航速度、及び降下の頂点を設定するために使用する。
・対照的に、ハイブリッド電気地域航空機は、幅広い範囲の高度にわたって効率的であり、巡航速度は利用可能な出力ではなくエネルギーによって決定され、また合計コスト対エネルギーコストはより複雑である。
・巡航高度は主に速度、及び利用可能な動力源/範囲延長発電機出力に影響を与える(これは、所与の速度に対する範囲に影響を与える)。効率のずっとより小さい変化によって、オプティマイザーは、エネルギー効率のためよりも、速度のためにより高い高度を選ぶ(合計コストを最小化する)(従来の飛行計画とは逆である)。
・エネルギー計画は、異なる運航特性を有する2つ/複数のエネルギー供給源により著しく複雑である。
a.保存エネルギーは、高度又は速度とは関係なく幅広い範囲の出力を提供するが、比較的制限された量のエネルギーを有する。保存エネルギーは、出力の関数としての効率損失に悩まされる場合があり、高い放電率で動作するとき、保存エネルギーの量を効果的に減少する。
b.範囲延長発電機は利用可能な燃料によって制限される合計エネルギーを用いて一定の出力を提供する。範囲延長発電機出力及び効率は高度によって変化する場合がある。
c.安全な飛行が常時維持されることを確保するために、各供給源に対してリザーブエネルギーが十分であるように特定される必要がある。
・範囲の関数である、最大エネルギーに由来する巡航速度範囲(巡航+発電*時間のために利用可能な保存エネルギーの合計)、及び最低エネルギー;巡航速度は標的の未来のエネルギー状態に調和するように設定される。
・電気推進は高度により出力を失わず、高い高度で最大出力で飛行を継続するパイロットは、従来のパイロットが予想するよりずっと迅速な保存エネルギーの消耗を被る。
・飛行経路最適化は、運航コストに対して、エネルギー及び出力(保存エネルギーコスト+発電コスト)の合計コストと取引する。保存されたエネルギー対発電エネルギーのコストの差は、基本的な最適化を延長して、エネルギー調達の最適化(例えば、POCSハイブリッドエネルギープランナー機能)を含む。
【0109】
[0128] 本発明の航空機及び地域輸送システムを作り出すことの一部として、本発明者らは、前方互換性のあるハイブリッド電動飛行機の設計及び最適化のためのプロセス又はプロセスの組を開発した。設計プロセスは、パワートレイン構成要素の寸法設定、推進の統合化、翼の寸法設定、及び騒音減少を含み、これは集合的に従来の航空機より直接的な運航コストが60~80%減少し、滑走路能力が20~30%より短く、また騒音が15~25EPNdBより低い航空機をもたらした。さらに、前方互換性は、特定のパワートレインモジュールの比較的単純なアップグレードを介して航空機が未来のEV/ハイブリッド技術に順応できるようにすることを確保する。結果として、本発明の航空機の実施形態は、機体の標的とされる寿命にわたって競争力を保持することが予想され、モジュールアップグレードとともに、改善された性能及びコストの低下を提供する。さらに、同一又は類似のプロセスを、特定の市場に適合される異なる性能を有する航空機の変形を開発するために使用することができる(外部機体又はプロパルサーにはいかなる変更も行わずにパワートレインモジュールの選択を介して)。これは、特定の市場に最適化された航空機の最低限のエンジニアリング及び再認証要件での開発を可能にする。この設計及び最適化概念の組、ならびに本発明の地域航空輸送システムの部分として利用されてもよい航空機のためのプロセスは、
図15及び
図16を参照してさらに詳細に記述される。従来の航空機設計プロセスは、ハイブリッド電気パワートレイン構成要素を寸法設定することができず、航空機及びパワートレインが急速に進化するEV/ハイブリッド技術に確実に遅れずについていくことができず、又は画期的な効率、短距離離着陸能力及び低騒音運航を含む電気推進の独特の利点を完全に活用することができないことに留意されたい。
【0110】
[0129]
図15は、本発明の航空輸送システムの実施形態を実装する上で使用されてもよいハイブリッド電動飛行機設計プロセスを図示するフローチャート又は流れ図である。いくつかの点では、総合的なフローは従来の航空機設計と同様であるが、ある一定の工程(太字で示した)は修正されたか又は完全にハイブリッド電気設計プロセスに独特である。以下の表は、これらの変更された工程の各々の記述を従来のプロセスと比較して提供する。
【0111】
[0130]
図15のフローチャートは、本発明の航空機設計サイクル中の主要構成要素を図示する。航空機設計は、重量の主たる設計パラメーター(ペイロード、燃料、及び航空機)、推進出力、及び主たる構造的な寸法設定(翼、尾部、着陸装置等)の相互依存のために、高度に繰返しのプロセスである。太字で示された動作又はプロセスは、ハイブリッド電気パワートレイン及び本発明の地域航空輸送システムの部分としてのその使用によって著しく影響を受けているものであることに留意されたい。
1.設計プロセスは、ペイロード、客室寸法、巡航速度及び範囲、最大高度、離着陸滑走路性能、ならびに騒音及びコスト要件を含むトップレベルの設計要件から開始する(工程又は段階1502)。
2.重量は航空機設計では単一の最も重要な原動力である。最大重量は必要とされるエンジン出力、翼寸法、及び構造重量、ならびに必要とされる巡航出力(エネルギー)に直接的に影響を与える。各設計サイクルは、重量への更新から開始する(工程又は段階1504)。
3.最大重量に基づいて、航空機翼及び尾部区域は寸法設定され、また必要な推進出力、ならびに範囲及び速度要件に適合するためのエネルギー容量を決定するために、大ざっぱな性能分析が使用される。航空機構成は、主な構成要素、翼、尾部、着陸装置等の場所も配置する(工程又は段階1506)。
a.ハイブリッド車両の独特な点は、保存エネルギーの量及び発電出力容量を考慮に入れた、パワートレイン構成要素寸法設定である(工程又は段階1507)。本明細書に記述される3ティア設計プロセスは、コストと組み合わせて範囲及び速度を使用し、この機能のために必要な要件及び制約を提供する。
4.寸法設定及び構成から、一連のモデル及び構成要素重量から重量を累積することができる(工程又は段階1508)。例えば、翼のパラメーター重量は厚さ、翼幅、面積、スイープ、及びテーパーを考慮に入れて幾何学的形状から典型的な重量を推定するが、一方でエンジン及び着陸装置は典型的には固定されており、構成要素重量は供給業者から提供される。
5.すべての航空機重量の合計は空虚重量をもたらし、空虚重量+ペイロード重量+燃料重量+保存エネルギー重量が最大重量を超えた場合、更新された重量を用いて設計プロセスの関連する部分が再度実施される。
6.ここで航空機性能を推定するために性能モデリング(工程又は段階1510)が使用され、これは、寸法設定する工程から作り出された重量、構成、及びパワートレイン情報を使用する代表的な空気力学的及び推進モデルの適用を含む。
7.ハイブリッド電気推進は、2つの独立したモデルを必要とし、その1つはプロパルサーのため、もう1つはパワートレインのためであることに留意されたい(工程又は段階1511)。
a.プロパルサーモデルは、工程(3)で寸法設定されたモーターを、プロパルサー(例えば、プロペラ)の空気力学的特性と組み合わせて特定の推力レベルに対して必要な出力を計算する。
b.プロパルサーモデルは、パワートレインモデルに基づいて利用可能な推力を決定し、そして保存エネルギーユニット及び発電機を含む。パワートレインモデルは、利用可能な最大出力、ならびに所与の出力要件に対する発電に対する保存の比、保存放電率、及び範囲延長発電機の燃料燃焼を決定する。
8.揚力及び抗力モデルは、構成の幾何学的形状(工程3)に基づき、そして巡航、離陸、着陸、フラップ上げ及びフラップ下げ、着陸装置上げ及び着陸装置下げ、速度ブレーキ配置等を含む様々な構成の性能計算を可能にする。電気プロパルサーは、従来のスポイラーに代わる回生ブレーキを使用してもよいことに留意されたい。
9.性能モデリングは、各工程に対して時間、燃料、エネルギー、距離、及び高度の変化を計算する数値近似及び時間ステップ方法を含んでもよい物理学に基づくモデルを採用する。
a.性能モデルは、従来のバージョンからプロパルサーとパワートレインモデルとの両方を制御及び追跡するように修正されてもよい。これは、発電機のオン/オフを制御すること、燃料燃焼及び運転時間を追跡すること、ならびに保存エネルギーの使用を含む。
b.コストは性能モデルを代表的な飛行経路に適用すること、及びコストの値を時間、燃料の燃焼、及び使用された保存エネルギーの統括された合計に適用することによって計算されてもよい。
10.ここで性能は設計要件に対してチェックされ、不備は設計変更及び別の設計サイクルを必要とする(工程又は段階1512)。
【0112】
[0131] 以下の表は、本発明者らによってハイブリッド電気設計プロセスのために開発された、従来の航空機設計プロセスに対するある一定の変更の記述を、従来のプロセスとの比較とともに提供する。
【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【表7-4】
【表7-5】
【表7-6】
【表7-7】
【表7-8】
【0113】
[0132] 少なくとも以下が、従来の航空機設計プロセスに対する本発明者らによってハイブリッド電気設計プロセスのために開発されたものの変更を示すことに留意されたい。
・設計要件は、主要なパワートレイン構成要素の寸法設定を可能にするために、航空機の標的寿命にわたるEV技術との互換性を確保するやり方で延長される。これは、未来のEV技術の範囲にわたって特定される、上述の電気、ハイブリッド、及び延長巡航飛行に対する3ティアの範囲及び速度の組を用いて達成される。15~20年後の未来へ向けた予想性能を代表する地域動作及び3つのレベルのパワートレイン技術に対する範囲及び速度を用いたこの進入の実施例が
図17に示される。
・対照的に、従来の設計要件は、典型的には航空機の寿命の間固定されたままになる特定のエンジンを使用した最大速度及び範囲の標的に対するものである。
・翼設計条件及び制約は、3ティア範囲及び速度に調和するように延長する。
・翼設計は、最適ハイブリッド速度において最大巡航効率を有し、また復行、電気のみ、及び延長範囲巡航速度に対して非常に良好な効率を有する、範囲及び速度の3ティアの組にわたる変形を構成するための重み付けされた多点最適化である。従来の翼設計は、典型的には、狭く定義された長距離巡航条件に焦点を置いている。
・離陸性能は、典型的には最小翼寸法に対する制約であり、またこれは電気推進モーターからの高いピーク出力容量によってある程度緩和される。ピーク出力は、釣合滑走路寸法設定要件に適用される場合があり、プロパルサーの故障後失った推力の多くを復帰し、また復行のための「エンジン停止」距離を劇的に減少する。これは結果的に所与の滑走路要件に対してより小さい、巡航時により効率的な翼をもたらす。これは従来のエンジンでは利用不可能であり、緊急時に対して最大でも10%のピーク出力増加に限られる。
・ハイブリッド電気推進に独特の追加的な最低翼寸法制約が設計プロセスに追加される場合がある。これは、いずれか1つのエネルギー供給源が故障した後、パワートレイン出力容量を減少して飛行運航が安全に確実に継続され得るようにする。
・推進システム寸法設定は、推力発生(推進モーター)とハイブリッド電気出力発電(保存エネルギー及び発電出力)との両方を含むのに対して、従来の手法は推力発生を寸法するのみである。
・推進モーターは典型的には単一点性能基準によって寸法設定されており、一般的な3つは離陸距離、復行性能の頂点、及び最大巡航速度である。電気モーターはこれらの寸法設定する点に影響を与える。
・離陸出力は、最大連続より著しく高いピーク出力を限られる時間の間使用することができる。これはより小さいモーターが同一の離陸要件に適合できるようにする。
・モーターは高度の増加にともなって失効(推力を失う)しない。その結果として、電動飛行機は復行の頂点又は巡航中にほとんど出力を制限されない。
・この機能の組み合わせは、より小さいモーターを選択できるようにするが、これは航空機が復行率を予想されるより少ししか持続できない状態にする場合があり、復行の最低持続率の追加的な寸法設定点につながる。
・ハイブリッドパワートレイン出力構成要素の保存エネルギーに対する寸法設定及び発電出力は、点性能条件に基づいて実施することができない。その代わり、これらは性能モデリングを使用して、未来の技術レベルを含む3ティア範囲及び速度要件によって画定される一組のミッションプロファイルにわたって寸法設定される。寸法設定は、安全のために目的関数を、いずれかの供給源からの利用可能なシステム重量、容積、及び最低出力の制約の中に最小化することによって決定される。
・目的関数はオペレーターによって定義されるパラメーターとともに以下の項のうちの1つ又はいくつかを含んでもよい。例示的な目的関数=燃料のコスト+保存エネルギーのコスト+エンジンメンテナンス及びリザーブのコスト(償却した)+バッテリーパックのコスト(償却した)+乗客及び乗員時間のコスト+航空機のコスト+排気のコスト。
・電気推進の統合は、利用可能な推進出力(モーター)を推力生成プロパルサー(送風機、プロペラ)から分離する。設計者は、仮定された効率を用いてモーター出力レベルを寸法設定し、そしてプロパルサーは仕様通りに設計される。この機能的分離は寸法にかかわらず高効率で動作する電気モーターによって可能になり、また簡単にプロペラ、ローター、ダクト付きファン等と統合される。対照的に、従来の推進エンジンは、出力と推力発生が組み合わせられた一体構造ユニットであり、そして一旦選ぶと、統合のためにはわずかしかない実行可能な経路に沿って航空機設計に経路を設定する(例えば、商用ジェットは常にエンジンが翼の下にある)。
・例として、
図16に示す実施形態は、低騒音及び離陸性能の強化のための3つのダクト付きファンが特徴となっており、胴体及び尾部から遮蔽することによって騒音はさらに減少する。抗力減少の強化は、後流のダクト付きファンからの充填を有する、清浄な、層流翼、胴体境界層摂取、及びより短く、より軽い胴体を通して達成される。
・性能モデリングで使用される推進モデルは、推進力及び推力、複数の供給源からの発電、システム効率損失、使用される非推進力、及び回生ブレーキからエネルギーを保存する能力を示すハイブリッド電気設計プロセスのために強化される。対照的に従来の推進モデルはより単純で、また典型的には現在の飛行条件に対して推力及び燃料燃焼を提供することによってエンジンを示す。
・本発明のシステム及び方法で使用されるモーターモデルは、トルク、RPM、及びコントローラ損失の関数として出力消費を提供する。モデルは、時間制限されたピーク出力に対するモーター能力も示す。
・本発明のシステム及び方法で使用される出力発電モデルは各供給源の特性及び伝送及び変換に起因する損失を示す。例えば、
・保存エネルギーは、高度又は速度に依存せず、また幅広い範囲の出力レベルを取り出すことができる。しかしながら、高い放電率は非効率的であり、利用可能な合計エネルギーを減少し、また保存エネルギーレベルが下がるとピーク出力は低下する。
・発電エネルギーは電力を提供するために一定のレベルで燃料を消費する。対照的に、従来のモデルでは、出力及び燃料効率は典型的には高度に依存する。
・効率因子は、パワーエレクトロニクス及び配線の損失に対して特定される。
・推進モデルは、降下の際にプロパルサーを使用して保存エネルギーを再充電する回生ブレーキの可用性を含んでもよく、モーター及びコントローラ効率、出力伝送及び変換、ならびに保存エネルギー充電効率からの損失を含む。
・性能モデリング方法は、出力(及び出力発電)を別個に制御し、かつ追跡するために強化される。従来の性能方法は、エンジン出力を制御し、また燃料燃焼を追跡する。ハイブリッド電気パワートレインでは、モデルは、モーター出力、範囲延長発電機の状態(オン/オフ/出力)、保存エネルギー出力(充電又は放電)を制御し、また使用される保存エネルギー、燃料燃焼、及び範囲延長発電機運転時間(これは飛行時間とは異なる)を追跡する。ハイブリッド電動飛行機性能を分析し、またパワートレイン構成要素の寸法設定及び最適化のために性能モデリングを使用するために方法へのこれらの変更が必要である。
・性能モデリング方法は、「保存エネルギーを最初に」、及び「降下の間は発電オフ」などのパワートレイン動作の規則を組み込むようにさらに強化されてもよい。
【0114】
[0133] 本発明の、地域運航での最大効率のために設計された、範囲に最適化されたハイブリッド電動飛行機は、以下の機能、技法、態様、又は要素のうちの1つ以上を組み込んでもよく、これは集合的に従来の航空機より60~80%低いDOCを可能にする。
・エネルギー保存ユニットの容量及び範囲延長発電機の出力は、最大効率のために地域範囲にわたって最適化される。これは、航空機の最大重量の12~20%における保存エネルギーユニット、及びパワートレインの最大連続出力の70%未満で動作する範囲延長発電機を介して結果として従来の航空機より60~80%低いDOCをもたらす。これは、より長い範囲に焦点を置いたハイブリッド航空機に対するあまり効率的でない設計又は実践的な設計とは対照的であり、そしてより低い保存エネルギー容量、及びより高い発電機出力に基づいて、従来の航空機よりDOCの30%未満の減少を得る。
・3ティア要件にわたる目的関数を最小化するように設計された航空機は、主にハイブリッド巡航要件(B)に対して重み付けされる。
・目的関数はオペレーターによって定義されるパラメーターとともに以下の項のうちの1つ又はいくつかを含んでもよい。目的関数=燃料のコスト+保存エネルギーのコスト+エンジンメンテナンス及びリザーブのコスト(償却した)+バッテリーパックのコスト(償却した)+乗客及び乗員時間のコスト+航空機のコスト+排気のコスト。
・以前述べた3ティアの速度及び範囲設計要件の組は、パワートレイン及び航空機設計に使用され、その実施例が
図17に示される。一実施形態ではこれらのティアは以下によって定義される。
・範囲A:電気のみの範囲にわたって最高効率(従来の航空機よりDOCが80+%低い)及び最適速度。
・範囲B:より広いハイブリッド範囲にわたって中間効率(従来の航空機よりDOCが60~70%低い)及び最適速度
・範囲C:搭載された保存エネルギー及び燃料から安全リザーブを差し引いたものによって決定されるこれらを超えて最大範囲まででの良好な効率(従来の航空機よりDOCが30~60%低い)及びより低い速度
・本発明の設計プロセスの実施例として、下記の表は、従来のターボプロップと範囲に最適化されたハイブリッド電気との間で地域飛行の各フェーズについて燃料燃焼を比較する。全飛行に対してハイブリッド燃料燃焼はターボプロップより72%低く、これは離陸及び復行での90%近く、巡航での67%、及び降下及び着陸での88%の減少によることに留意されたい。
【表8】
・本発明の航空機は、より低い高度での効率的運行のために設計され、従来の航空機より50~90%低い燃料燃焼が標的である。記載したように、地域運航は、典型的には飛行時間のより高い割合が復行又は降下に関与し、また従来の長距離航空機と比較して低い高度で巡航する。これは、これらのフェーズの間の運航効率にはるかにより大きい注目を課す。したがって、本発明のハイブリッド電動飛行機は、復行及び降下で従来の航空機より70~90%低い燃料燃焼、及び高度が4,000~30,000フィートの巡航で50~80%より低い燃料燃焼、ならびに150~400マイル/時間の速度に対して設計される。いくつかの実施形態では、これは以下のうちの1つ以上によって達成される。
・高度又は速度と無関係に高効率を実現する電気モーターによる推進であり、また負荷を受けていないとき、エネルギーを消費しない。対照的に、航空機ガスタービンは、より低い高度及び速度では30~50%より低い効率を被り、また飛行アイドルにおいてさえも最低限の燃料燃焼を必要とする。
・航空機は、範囲延長発電機に対してより低い合計コストを仮定して、保存エネルギーユニットによる飛行を可能な程度まで最大化するように設計される。これは、ずばぬけた低高度、低速度性能に変換され、高度又は速度とは無関係で非常に高い変換効率を提供する保存エネルギーユニット、例えば、バッテリーパックを仮定する。これは、燃料効率が高度及び速度に強く依存する航空機エンジンとは対照的である。
・地域運航では典型的な低速及び中速の範囲(例えば、150~300マイル/時間)にわたる高効率のために設計された、推進モーターと低圧力可変ピッチプロペラ又はダクト付きファンとの対合。特に、これらは、復行、又は低高度巡航で、従来のターボ送風機よりはるかに高い効率を提供する。
・航空機は、空港の近隣の動作(例えば、タキシング、離陸、進入、着陸)の間の、非常に高い効率に対して、これらのモードでの従来の航空機運航と比較して90%を超える燃料燃焼の減少の標的で設計される。
・タキシング、進入、及び着陸は、効率が高い保存エネルギーユニットを利用して電気のみとなるように設計される。航空機ガスタービンの必要な最低燃料燃焼とは違い、発電機のスイッチがオフであることを想定してハイブリッド電動飛行機はこれらのフェーズでは燃料を消費しない。
・降下は、アイドル状態において燃料燃焼の持続が必要とされる従来の航空機エンジンとは異なり、発電機を切ってゼロエネルギーで飛ぶように設計される。
・より急な降下は、従来の航空機のスポイラーなどの抗力生成装置の使用とは異なり、エネルギー回収を可能にする電気プロパルサーの回生ブレーキによって可能になる。
・離陸は、保存エネルギーユニットと発電機との組み合わせを使用し、これは従来の航空機よりずっと低い燃料燃焼に変換される。
・航空機は、従来の航空機より15~25EPNdB低い運航の騒音を有する、静寂な、短距離離着陸(STOL)運航のために設計され、また必要とする滑走路が20~30%より短く、両者とも巡航効率への影響が最低限である。
・航空機は、標準的な米連邦規則集14パート36の基準によって測定して、15~25EPNdBより低い騒音のために設計される。これは、航空機騒音の3つの主要供給源(発電、推力発生、及び機体)にわたって騒音発生を制限及び抑制するための設計によって達成される。
・著しい騒音を生成しない電気推進モーター及びエネルギー保存ユニットの使用を仮定すると、発電騒音は著しく減少する。一方で、範囲延長発電機は、最大連続出力の70%未満まで規模を小さくし、また機体の中の防音チャンバ内に組み込む(例えば、後部胴体内に埋め込む)。
・推力発生騒音は、低騒音可変ピッチプロパルサー(低RPM、静寂なプロペラ、又は可変ピッチダクト付きファンなど)の使用によって著しく減少する。さらに、プロパルサーは、騒音を地面への伝播から遮蔽するやり方で機体内に組み込まれてもよく、例えば、航空機翼、胴体、又は尾部の飛行表面を使用する。
・機体騒音は、従来のスポイラーの代わりに低騒音プロパルサーを用いた回生ブレーキを介して著しく減少する。
・航空機運航は、ハイブリッド電気パワートレインの独特の機能を活用することによってさらなる騒音減少に対して最適化される場合がある。
・発電機スイッチを切った、エネルギー保存ユニットでの静寂なタキシング、降下、及び着陸。
・より短い地上滑走及び騒音に感受性の高い区域上方での急な角度での復行は離陸騒音を減少する。これは、電気推進モーターの高いピーク出力能力、及び高い静推力に対する低騒音ダクト付き送風機の使用によって可能になる。
・進入及び着陸騒音は、可変ピッチ電気プロパルサーを使用する回生ブレーキを用いた、急激な、制御された降下によって減少する。
・典型的な性能損失なしにこれを達成するために、航空機及び関連する飛行運航は、ハイブリッド電気パワートレインの機能を活用することによって従来の航空機よりも20~30%より短い滑走路の使用のために設計される。類似のSTOL性能は、従来の航空機ではより大きい翼及びエンジンを要することになり、結果として効率及びペイロードの減少がもたらされる。
・設計は、電気推進モーターのピーク出力能力を活用することによって離陸の間推力ブーストを達成し、これによってモーターの寸法を上げる必要なしにSTOL動作を可能にする(例えば、離陸及び初期復行の間、連続出力の上に2~4分間の20%のブースト)。
・設計は、より大きい翼又はエンジンを用いずにより短い釣合滑走路を実現する。「釣合滑走路」は、離陸の間のエンジン故障の後必要となる最大滑走路を計算し、そして滑走路上で停止するか、又は残りのエンジンで障害物間隔高さ(FAAの標準は35フィート又は50フィート)の上まで離陸を継続するかのいずれかで必要な距離の釣り合いをとる。釣合滑走路(ひいては必要な滑走路)は、残りのエンジン(複数可)の復行率(斬新なシステムの部分として、部分的又は完全な故障の際に故障していないプロパルサーの最高200%までのブーストによって故障後の復行距離が劇的に減少している)、及び停止距離(推力をゼロ又は負(逆推力)、まで迅速に下げることによって減少している)によって支配される。故障の検出及び補償のための推力のブーストは、本発明のパワートレイン最適化及び制御システム(POCS)によって自動的に管理される。従来の航空機では、類似の推力過剰ブーストシステムは10%未満のブーストに限られ、一方でスプールダウン時間及び故障していないエンジンの推力残留によって停止距離は妨げられる。
プロパルサーの部分的又は完全な故障(例えば、バードストライク、又は飛行中の1つ以上のプロパルサーモーターの欠損に起因する)の際には、POCSが故障していないプロパルサーの出力を限られた時間の間補償のためにブーストし、これによってパイロットが是正措置をとるための延長された対応時間ウィンドウを可能にし、そしてすぐ近くの空港又は着陸区域への安全な降下を提供する。
従来の航空機エンジンの制限されたブースト能力とは異なり、電気推進モーターは、典型的にはシステムの熱的な制限によって決定される限られた時間の間、最高で連続出力の200%までブーストすることができる。
電気モーターに連結された可変ピッチプロパルサーは、ゼロまでの非常に迅速な推力の減少を可能にし、これはスプールダウン時間及び推力残留効果を考慮すると航空機ガスタービンより短い停止距離を意味する。
【0115】
[0134] 本明細書に述べたように、本発明の航空機及び設計プロセスは、機体、パワートレイン及び推進システム(複数可)にわたって前方互換性を提供することが意図される。これは、いくつかの根底にある原理又は設計ガイドラインを組み込むことによって達成される。
・航空機は、アップグレードによって可能になる改善された飛行性能を含む、未来のEV技術へのアップグレードに機体の寿命にわたって順応するように設計される。EV技術の急速な革新を仮定すると、この機能は、技術(例えば、バッテリー、超コンデンサ、電気モーター、内燃エンジン、燃料電池等)の進歩とともに、航空機が経時的に競争力を確実に持ち続けるようにする。さらにこの機能は、範囲延長発電機がもはや必要でなくなる点までエネルギー保存技術が改善された際、航空機のハイブリッド電気から全電気へのスムーズな移行を可能にする。性能改善の急激な変化に対してハイブリッド電気パワートレインの構成要素をアップグレードする能力は、本発明のハイブリッド電動飛行機に独特なものであり、またほとんどが一体構造エンジンを有する従来の航空機と対照をなすものである。
・前方互換性を確保するために、本発明のハイブリッド電動飛行機は速度及び記載された3ティア範囲要件(A)、(B)、及び(C)に対して寸法設定されているパワートレインを備えて多角的に設計されているが、航空機の立ち上げ時点において利用可能な技術とその標的寿命にわたって利用可能になる予想とに基づいている(いくつかの設計についてはハイブリッド電気から全電気への潜在的な移行を含む)。これは、搭載されたパワートレインに対する予想につながり、そしてさらに、経時的な性能特性(速度、電気及びハイブリッド範囲、ならびに運航コストなど)を決定する(技術の進歩にともなう電気範囲の増加及び運航コストの低下への期待を含む)。
・航空機は複数の個別のパワートレインに対して設計され、標的設計にわたる改善されたEV技術へのアップグレードの予想を反映している。例えば、これらは300Wh/kgから1,200Wh/kgへのエネルギー保存密度の変更、4.5kW/kgから10kW/kgへのモーター出力密度の変更、及び1kW/kgから5kW/kgへの内燃エンジン出力密度の変更を含む可能性がある。航空機設計サイクルは、漸進的に進歩しているEV技術に対して3ティア範囲及び速度要件を調節することによって個別のパワートレインの各々のために繰り返される。
・下記の表に示される実施例では、各列は未来の時点で利用可能なEV技術に基づく個別のパワートレインを示す。各個別のパワートレインについて、速度及び範囲設計要件(A)、(B)、及び(C)は目的関数を最小化することによって決定されてもよい(例えば、DOC+I+COT)。これらの個々の要件は、航空機をその標的の寿命にわたって設計する必要がある速度、範囲、高度を含む設計点の耐用年数にわたるエンベロープを画定する。
【表9】
・機体及びプロパルサーは、エネルギー保存技術の進歩とともに、この耐用年数に及ぶ飛行エンベロープにわたって効率的に運航するように設計され、典型的には経時的により速くまたより高い飛行へと変換される(
図17に示すように)。
・本明細書に記述される設計プロセスの1つの結果は、前方互換性が典型的には再充電可能なエネルギー保存ユニットの重量を航空機重量の12~20%に制限するという認識であり、これによりEV技術が改善されてもペイロード容量は大ざっぱに均一である。重量割合が高くなると、当初の数年間は同様のペイロードの航空機より大きくかつより重い航空機をもたらすことになるが、経時的にペイロードが増加すると割合がより低くなり、範囲延長発電機の使用がずっと多くなると仮定すると準最適な効率につながる。
【0116】
[0135] 記述されるように、いくつかの実施形態では、本発明のハイブリッド電動飛行機は、パワートレインが互換性のあるモジュール(再充電可能な保存ユニット、範囲延長発電機、及び電気モーターなど)の比較的単純な交換によって様々なEV技術に順応できるように確実にするための機能を含んでモジュラーハイブリッド電気パワートレインを組み込むように設計される。これは、様々な現在のモジュール及び予想されるモジュールを収容するベイを、モジュール交換のためのアクセスとともに用いて機体を設計することによって達成されてもよい。互換性のあるモジュールは、パワートレインプラットフォームを用いた運航のために設計されたものであり、またこれは航空機の設計によって支援される。これらは、標準及び延長エネルギー保存ユニット、高及び低出力範囲延長発電機、及び代替的なエネルギー保存技術を含んでもよい。かかる機能は以下のものを含んでもよい。
・再充電可能なエネルギー保存ユニット(標準又は延長)を収容するように設計された複数のベイ、そのすべてが任意の特定の飛行で利用されなくてもよく、またそのうちのいくつかは多用途空間(例えば、発電機、保存ユニット、燃料タンク、又は貨物)であってもよい。各ベイは、保存ユニットの迅速な据付又は除去を可能にするために構造、配線、及びアクセスを提供する。これらは以下の組み合わせを含むことができる(そのうちのいくつかは
図5に示される)。
・翼の内部、標準及び延長。
・翼の外部の空気力学的ポッド内。
・主客室の下に位置する中部胴体の中。
・後部胴体の中、発電機又は貨物に加えて、又はこれに代えて。
・モジュラーエネルギー保存ベイは、直接的に主要航空機構造(例えば、翼の桁箱)へと組みまれてもよく、これによりモジュールは、エネルギー保存の収容及び主要荷重経路の二重の目的で機能する。モジュールの中のエネルギー保存ユニットの存在は、構造的効率の増加及び重量の減少のために主要構造の強度をさらに高める場合がある。
・冷却を必要するエネルギー保存ユニット又は他のシステムは、熱を取り除くために航空機のスキンを利用してもよい。この冷却は受動的な接触を通して生じてもよく、又は熱源とスキンに接触する排熱コイルとの間の冷媒の循環を通して強化されてもよい。
・範囲延長発電機は、発電機代替物、発電機のアップグレード及び除去物を収容するように設計されたモジュラーベイの中に組み込まれてもよく、また発電機の代わりにもしくは発電機に加えてエネルギー保存ユニットを収容するためにベイを使用してもよい。これはベイを寸法設定し、アクセス、構造的支持、及び支援するインフラ(例えば、燃料ライン、冷却、配線等)を提供することによって達成されてもよい。発電機ベイは、以下のいくつかの場所のうちの1つ以上に位置してもよい。
・主客室後部の胴体ベイ。
・翼に取り付けられたナセル。
・非構造的フェアリング。
・プロパルサーは、新しい送風機を含んでもよい、より高い効率又はより高い出力のモーターへのアップグレードのために設計される。従来のエンジンとは異なり、これは最低限の(再)エンジニアリングを用いて達成される。
【0117】
[0136] ハイブリッド電気パワートレインのモジュラー方式によって、異なる市場に性能を適合した航空機の変形が容易に可能なことに留意されたい。推力発生(電気プロパルサーによる)と発電(ハイブリッド電気パワートレインによる)との分離は、場合によってはプロパルサーの変更に結合したパワートレインモジュールの用途への適合を介して幅広く様々な性能を有する航空機の変形の開発を可能にする。これは、パワートレインモジュール及びプロパルサーの選択に基づいて、幅広くさまざまな性能、速度、範囲、及び運航コストを有する航空機の開発を可能にする。結果として得られる航空機の取扱い及び最大重量への限定的な影響を仮定すると、必要とされる(再)エンジニアリングs及び認証は穏当なものである。これは変形が著しいエンジニアリング及び認証のための修正を必要とする従来の航空機では対照的である。いくつかの実施形態では、航空機の変形の開発は以下のプロセスによって行われてもよい。
・ハイブリッド電動飛行機の変形は、アクセス、内装の配置、加圧、コックピット、及び性能に焦点を置いた圧縮された航空機設計プロセスを介して基準となる航空機を修正することによって開発されてもよい。かかる場合には、変形を設計するために以下の工程/段階を使用してもよい。
・内装の構成及びペイロード要件を画定する。
・コックピット構成(例えば、未来の無人運航に対する準備を有する有人システム)を画定する。以下の種類の航空機制御が支援される場合がある。
・完全にパイロットによる制限。
・遠隔のバックアップ付きのパイロット制御 - 主として航空機に搭乗している1人以上のパイロットによって制御され、かつ遠隔のパイロットによる2次的な制御を装備している。
・遠隔パイロット - 補助的な搭乗パイロット付き又は補助的な搭乗パイロットなしで、遠隔のパイロットによる主要制御を装備している。
・完全自律 - 人的制御なしで主要な飛行を装備しており、また遠隔又は搭乗しているパイロットによる2次的な制御を装備している場合がある。
・標的市場範囲及び運航条件(本明細書に記述される3ティア(A)、(B)、及び(C)範囲/設計要件など)に対して技術レベルによる差異を含む性能要件を特定し、そして基準となる航空機の空気力学及び推進を用いた任務分析を使用してパワートレインをこれらの要件に適合するように最適化する。
【0118】
[0137] 以下は、記述される方法を使用して設計及び実施されてもよい航空機の変形の実施例を示す。
実施例1:商業用の変形
・客室は、エコノミー座席、乗客手荷物の商用航空会社の基準に従った割り当てに対して構成される。客室及び荷物室の内装の中の手荷物空間。
・制御システム、最低でも1人のパイロット用に構成され、遠隔パイロットをバックアップとして有し、オプションとして必要な場合又は訓練生として第2のパイロットを有して構成される。
・範囲の上限は、乗客が時間及びコストがより効率的なので商用ジェット旅行に切り替える点である。延長範囲運航は稀である。
・市場セグメントは、(DOC+I)に極めて敏感であり、COTにはそれほど敏感ではない。したがってより低い設計速度に沿ったコストがより低い範囲延長発電機(例えば、TDI)を有するものが適合する。非常に短いレッグ(200マイル未満)に使用する変形を除いて、より低い高度までの加圧を行う。
・
図17に示す、速度、範囲、及び結果として得られるパワートレイン構成のサンプルは、このクラスの航空機の代表的なものである。
実施例2:ビジネス用の変形
・客室は、商用航空会社の基準より高いビジネス座席、手荷物割り当てのために構成される。客室及び荷物室の内装の中の手荷物空間。
・制御システム、最低でも1人のパイロット用に構成され、遠隔パイロットをバックアップとして有し、オプションとして必要な場合又は訓練生として第2のパイロットを有して構成される。
・あまり予定されない経路、延長範囲をより頻繁に使用する。
・COTに極めて敏感であり、(DOC+I)にはあまり敏感ではなく、変形は、延長距離巡航に対してより高い設計速度及び高度と一致するより高い出力範囲延長発電機(例えば、航空機ガスタービン)に適合する場合があり、加圧は中間高度に対する。
実施例3:貨物用の変形
・加圧又は客室の備え付け家具なし。
・制御システムは、パイロットが所望による飛行に対して構成され、無人レッグでは遠隔パイロットによる制御を用いる。
・速度及び距離は、地上輸送と商用航空機との隙間の標的に特定され、典型的には200~700マイルで中間速度である。
・市場セグメントは、(DOC+I)に極めて敏感であり、COTにはほとんど興味がなく、したがってより長い距離の要件によって必要とされない限り、より低い設計速度に一致したより低いコストの範囲延長発電機(例えば、TDI)に適合する。
【0119】
[0138] 本明細書に記述されるように、本発明の航空機は、グレースフルデグラデーションのために構築されたパワートレインを介して、航空要件(FAA及びEASA)を超える安全及び耐故障性に対して設計されている。これは、動力源(エネルギー保存ユニット、発電機)、モーター(推進、発電機)、変換器(インバーター、整流器、DC-DC変換器)、分配(バス、配線)、制御(センサー、通信)での故障に耐える能力だけでなく、システムに中程度又は激しい衝撃を受けた場合の安全を含む。
【0120】
[0139] 本発明の航空機及びパワートレイン動作は、地域的な範囲にわたる最適効率のために設計され、これは部分的にFPOP及び最適効率のためのパワートレインの動作によって実施される飛行経路最適化プロセスに起因し、そして回生ブレーキを通したエネルギー回収、及び保存エネルギーの位置付けを通した抗力減少のための重心調節をさらに含む場合がある。これらの態様は以下にさらに記述される。
・飛行効率はハイブリッド電動飛行機独特の飛行経路最適化能力によって改善され、これは低い高度における効率的飛行と保存エネルギーを最初に利用することとを含む。最適化は本明細書に記述される飛行経路最適化プラットフォーム(FPOP)を通して達成される。これは、効率が高度に強く依存し、また飛行経路を修正する好機が可能な限り高く飛ぶ以外にはほとんど無い従来の飛行経路最適化と対照をなすものである。
・本明細書に記述されるように、最適化された飛行経路の中で、パワートレインは最適効率のために動作される。
・本明細書に記述されるように、パワートレインは、プロパルサーの回生ブレーキを介したエネルギー回収のために設計される。従来の航空機はスポイラーなどのエネルギーを抗力作製装置から回収するすべはなかった。
・胴体内の保存エネルギーユニットは、荷重を単純化するように、及び巡航モードにおいて抗力を減少するように航空機重心(CG)を調節するために使用されてもよい。航空機ペイロード重量は、CGが揚力の中心に近い確立されたエンベロープの中になるように分散するべきであり、そしてエンベロープの中では、CGを後方へ動かすことによって航空機の抗力は減少する。比較的迅速にCGの場所を調節できると、搭載プロセスを迅速化することによってオペレーター効率を増やすことができ、また抗力が減少する。
・保存エネルギーユニットを用いたCGの移動は、胴体に沿って一連のベイを提供し、そして前部又は後部の場所のみを選択的に利用することによって達成される場合がある。別の実施は、エネルギー保存ユニットを軌道上に取り付け、パイロット又は飛行制御システムが指令すると前部及び後部に平行移動できるようにする。
・従来の航空機は、燃料システム内の異なるタンクの選択的な使用によってCGを移動する何らかの能力を有する場合があるが、飛行中に一旦燃料を燃焼すると、利点は減少し、そして典型的には利点は失われる。
【0121】
[0140] 以下の表は、本明細書に記述される原理及びプロセスに従って設計されたハイブリッド電動飛行機の実施例に対するある一定のパラメーターを含有する。
図16の4枚の図は、本発明のHEV航空機設計プロセスを使用して設計された40人乗り/座席の地域ハイブリッド電動飛行機の概念を示す。総合的な寸法及び重量は、従来のATR-42-500(48席、ツインエンジンターボプロップ)と同様である。エネルギー要件を仮定すると、航空機の設計は600Wh/kg~900Wh/kgの範囲のバッテリーエネルギー密度に基づく。これらは、380KTASの最低巡航速度にて、170~280nmの電気範囲、425~500+nmのハイブリッド、そして18,000~25,000フィートの巡航高度を可能にする。
【0122】
[0141]
図16に図示される航空機は、定められた一般的な要件に適合する航空機に対する1つの可能な構成で描かれていることに留意されたい。この実施例では、推力を提供するために3つの統合型電気ダクト付き送風機プロパルサーが使用され、そして後部胴体上の位置は境界層摂取を通した抗力及び後流運動量欠失復帰を減少する。垂直尾翼の基部にあるポッドは、ガスタービン発電機を収容し、抗力を減少するために発電機を運転してはいないとき、吸気口及び排気口はフェアオーバー(faired over)している。臨界未満の巡航マッハ値は軽量の真っ直ぐな翼の使用を可能にし、そして尾部のプロパルサーの場所は短い軽量の着陸装置を可能にする。騒音減少は、静寂なダクト付きファンを通して、またこれを胴体の上方及び尾部の間に取り付けて送風機の騒音のほとんどを遮ることによる追加的な減少を用いて達成される場合がある。設計された航空機の重量、寸法、及び性能は、未来のエネルギー密度がより高いバッテリーによって可能になる改善を含んで以下に示される。
【表10】
【表11】
【表12】
表はハイブリッド電気設計独特の態様のうちのいくつかを示す。燃料燃焼及び燃料容量は、従来の均等物の半分未満である。巡航性能は2つのレベルの保存エネルギー(600Wh/kg及び900Wh/kg)で与えられ、4~8年間の航空機の運航寿命にわたるエネルギー保存技術の進歩に依存してこのレベルの改善が期待されることになる。最後に、最大巡航速度は、高度において全出力を保持する推進モーターを用いて予想され得るよりずっと高い。
【0123】
[0142] 述べたように、
図17は、飛行高度及び必要な出力の関数としてある一定の航空機及びプロパルサー構成の効率を図示する略図である。この曲線は、エネルギー(出力ではなく)が制限されている航空機は、エネルギー制限の増加とともに、どのように連続してより高い速度及び高度で巡航することがきるかを図示する。エンベロープは、350Wh/kg程度の初期エネルギー保存密度を有する200KTAS程度の初期巡航速度から延び、保存密度が900Wh/kgに改善すると260KTASを超えて増加し、エネルギー保存技術の現在の改善率を仮定すると、約10年間にわたって2.6倍の変化が生じることが予測される。この新機軸の一部として、この性能改善は、より高い速度及び高度が設計プロセスの最初から設計点として含まれている場合にのみ(初期性能を制限するのではなく、従来の推進を用いて行うことになる)、オペレーターに利用可能となることが認識される。
【0124】
[0143]
図18は、本発明の地域航空輸送システムの実施形態を実装する部分として使用されてもよい、いくつかの地域的ゾーン及び関連する空港又は着陸区域を図示する略図である。図に示されるように、各地域的ゾーン(例えば、「パシフィックノースウエスト」、「パシフィックサウスウエスト」等)は、複数の着陸場及び/又は正式な空港(地域の中に点で表示される)を含む場合がある。各地域的ゾーンが本発明の航空機のための数十から数百の潜在的な空港又は離陸/着陸地を含み、また地域ハブ又は他の形態の中心になる場所を含む場合があることに留意されたい。地域航空輸送システムの制御の態様は、いくつかのデータセンター又はスケジュール作成/飛行監視設備のうちの1つに位置付けられる場合がある。かかる設備は、個別に及び/又は集合体で、複数の空港において飛行のスケジュールを立て、飛行計画/経路及び対応する命令を1つ以上の航空機に対して作成し、かかる命令を1つ以上の航空機に通信し、そして1つ以上の航空機に対して飛行及びその飛行データを監視するように動作していてもよい。
【0125】
[0144] 本発明のハイブリッド電気航空輸送システムは、代替の地域移動モード(高速道路、鉄道又は高速鉄道、又は従来の空路など)より著しく短いドアツードア移動時間及びマイル当たりより低い合計コストを提供する。これは、静寂な、範囲に最適化されたハイブリッド電動飛行機を使用して、便利な、高周波数の、「近接した」、コミュニティ及び居留区の近隣の多数の地域空港への飛行を介して達成される。システムの追加的な有利な機能は以下を含む。
・空港の現場での電気エネルギー発電及び保存の可用性。多くの空港は、電気コストを最小化するために現場での発電及び保存設備を装備している場合がある。現場での発電(例えば、太陽光、風力等)、は、航空機のバッテリーを再充電するため及び空港に電力供給するために使用され、余剰を現場での保存又は配電網へと送達してもよい。現場での電気保存は、配電網からの電気の最適な購入(例えば、オフピーク率にて)、及び現場で発電した電気を後で使用するために保存することを可能にする。引退した航空機バッテリーを、廃棄前の晩年を通して現場での保存に使用することができる。
・出発点から及び目的地への様々なコスト効果的な最後の数マイルの地上移動の選択肢が空港にある。地域空港は乗客に、今日のハブでない空港よりも幅広く様々な地上移動の選択肢を提供する場合がある。最近出てきたいくつかの強力な傾向がこれを奨励している。電気及び自律車両(例えば、Tesla、Google、Uber、Apple)、ライドシェアリング(例えば、Lyft、Uber、Sidecar、RelayRides)、部分的自動車レンタル(ZipCar、Hertzオンデマンド)。今日ではいくつかの地域空港はすでにローカルのマストランジットに接続されており、次の5~10年間にわたって電気及び自律シャトルは空港の大部分がマストランジットへの安価な接続を提供するのを可能にするであろう。これは、上記の傾向によって可能になる複数の自家用車及びタクシーの代替物によって補完され、例えば、自律自動車、部分的自動車レンタル、及び様々な形態のライドシェアリングによって迎えが来る。
【0126】
[0145] 本発明の一実施形態によれば、本発明の航空機、輸送システム、及び航空機制御システム又は輸送システム制御システムを可能にするためのシステム、装置、方法、要素、プロセス、機能、及び/又は動作は、全体的に又は部分的に、1つ以上のプログラムされたコンピュータープロセッサ(中央処理装置(CPU)又はマイクロプロセッサなどの)によって実行される一組の命令の形態で実施されてもよい。かかるプロセッサは、システムの他の構成要素によって操作される、又はこれと通信する装置、サーバー、顧客又は他の計算装置又はデータ処理装置の中に組み込まれていてもよい。実施例として、
図19は、本発明の実施形態による方法、プロセス、機能、又は動作を実施するために構成されるコンピューター装置又はシステム1900の中に存在する場合がある要素又は構成要素を図示する略図である。
図19に示されるサブシステムは、システムバス1902(
図4及び
図5に図示されるサブシステムのうちの1つ以上であってもよい)を介して組み込まれる。追加的なサブシステムとしては、プリンター1904、キーボード1906、固定ディスク1908、及びモニター1910が挙げられ、これはディスプレイアダプター1912に連結される。I/Oコントローラ1914に連結される周辺装置及び入力/出力(I/O)装置を、シリアルポート1916などの、当該技術分野で周知の任意の数の手段によってコンピューターシステムに接続することができる。コンピューター装置1900を、インターネットなどの広域ネットワーク、マウス入力装置、及び/又はスキャナーを含むさらなる装置及び/又はシステムに接続するために例えば、シリアルポート1916又は外部インターフェース1918を利用することができる。システムバス1902を介した相互接続は、1つ以上のプロセッサ1920が各サブシステムと通信すること、及びシステムメモリー1922及び/又は固定ディスク1908内に保存されてもよい命令の実行を制御すること、ならびにサブシステム間の情報の交換を可能にする。システムメモリー1922及び/又は固定ディスク1908は、有形のコンピューター可読媒体を具体化してもよい。
【0127】
[0146] 本発明の地域航空輸送システムの実施形態の記述の中で、以下の変数、パラメーター、及び単位が使用されるものとして理解されることに留意されたい。
【表13-1】
【表13-2】
【表14】
【0128】
[0147] 上述のように本発明は、コンピューターソフトウェアを使用してモジュラー様式又は組み込み様式で制御ロジックの形態で実施することができることを理解するべきである。本明細書に提供される開示及び教示に基づくと、当業者は、ハードウェア及びハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを使用して本発明を実施するための他のやり方及び/又は方法を知りかつ理解しているであろう。
【0129】
[0148] 本出願に記述されるソフトウェア構成要素、プロセス、又は機能のうちのいずれかは、プロセッサによって任意の好適なコンピューター言語(例えば、Java、JavaScript、C++、又はPerlなどの)を使用して実行されるソフトウェアコードとして、例えば、従来の技法又はオブジェクト指向の技法を使用して実施されてもよい。ソフトウェアコードは、一連の命令又は指令として、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、磁気媒体(ハードドライブもしくはフロッピーディスクなど)、又は光学媒体(CD-ROMなど)などのコンピューター可読媒体上に保存されてもよい。任意のかかるコンピューター可読媒体は単一の演算装置上又はその中に常駐してもよく、またシステムもしくはネットワーク内の異なる演算装置上又はその中に存在してもよい。
【0130】
[0149] 本明細書に引用した出版物、特許出願、及び特許を含むすべての参考文献は、あたかも各参考文献が本明細書に参照により組み込まれ及び/又はその全体が説明されるように個別にかつ具体的に示されているのと同一の程度まで参照により本明細書に組み込まれる。
【0131】
[0150] 「a」及び「an」、及び「the」といった用語、ならびに類似の指示語の明細書及び以下の請求項内での使用は、本明細書に別途表示されない限り又は文脈によって明確に否認されない限り、単数及び複数を包含すると解釈されるべきである。「having(有する)」、「including(含む)」、「containing(収容する)」といった用語、ならびに類似の指示語の明細書及び以下の請求項内での使用は、別途注記されない限りオープンエンド用語(例えば、「含むが、これに限らない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書での値の範囲の記述は、本明細書に別途示されない限り、範囲の中に含まれる各別個の値を個別に参照する簡潔な方法の役割を果たすことを単に意図し、また各別個の値はあたかも個別に本明細書に記述されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記述されるすべての方法は、本明細書に別途示されない限り又は文脈によって明確に否認されない限り任意の好適な順番で実施することができる。本明細書に提供される任意の及びすべての実施例、又は例示的な言語(例えば、「などの」)の使用は、別途主張しない限り、本発明の実施形態を単により良好に照らすことが意図され、かつ本発明の範囲に制限をもたらさない。本明細書内のいかなる言語も、いずれかの特許請求されていない要素が本発明の各実施形態に不可欠なものとして示されると解釈されるべきではない。
【0132】
[0151] 図面内に図示される又は上述される構成要素の異なる配設、ならびに示されない又は記述されない構成要素及び工程が可能である。同様に、いくつかの機能及び副組み合わせは有用であり、かつ他の機能及び副組み合わせを参照することなく採用されてもよい。本発明の実施形態は例証的でかつ制限的でない目的で記述され、また代替的な実施形態は本特許の読者には明らかであろう。したがって、本発明は上述された実施形態又は図面内に図示された実施形態に限定されず、また以下の請求項の範囲から逸脱することなく様々な実施形態及び修正を作製することができる。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド電気動力源航空機であって、
エネルギーの供給源であって、保存電気エネルギーの供給源及び発電機によって提供される発電エネルギーの供給源を含む、前記エネルギーの供給源と、
パワートレインであって、前記エネルギーの供給源から入力エネルギーとして受容し、対応して1つ以上の電動モーターを動作するように動作可能な前記パワートレインと、
1つ以上のプロパルサーであって、各プロパルサーが前記1つ以上の電動モーターのうちの少なくとも1つに連結される前記プロパルサーと、
命令の第1の組がプログラムされた電子プロセッサであって、実行されたときに、前記命令の第1の組が前記航空機の前記動作を管理するための1つ以上の機能又はプロセスを提供し、これらの機能又はプロセスが、
前記保存電気エネルギーの量及び前記航空機に対して現在利用可能な発電機燃料の量の状況を判定し、
前記航空機がその意図される目的地に到達できるように必要な保存電気エネルギーの量及び発電機燃料の量を判定し、
前記航空機に対して現在利用可能な発電エネルギーの前記供給源によって発電することができるエネルギーの量を判定し、
保存電気エネルギー及び発電エネルギーの前記供給源からどのようにしてエネルギーを最適に取り出すかを決定し、かつ
前記パワートレインの構成要素の故障又は異常な動作の場合に、飛行の継続のために前記パワートレインの再構成及び改訂した制御ストラテジを決定するための機能又はプロセスを含む前記電子プロセッサと、
命令の第2の組がプログラムされた電子プロセッサであって、実行されたときに、前記命令の第2の組が前記航空機のために飛行を計画するための1つ以上の機能又はプロセスを提供し、これらの機能又はプロセスが、
前記航空機に対して現在利用可能な保存電気エネルギー及び発電機燃料の前記合計量に関するデータにアクセスし、
前記航空機に対して現在利用可能な保存電気エネルギー及び発電機燃料の量が前記航空機がその意図される目的地に到達できるために十分であるかどうかを判定し、これが保存エネルギーが独占的に使用される第1の航空機運航モードの考慮及び保存電気エネルギーと発電エネルギーとの組み合わせが使用される第2の航空機運航モードの考慮を含み、
前記航空機に対して現在利用可能な前記保存電気エネルギー及び発電機燃料の量が前記航空機がその意図される目的地に到達できるために十分である場合、前記意図される目的地へのルートを計画し、
前記航空機に対して現在利用可能な前記保存電気エネルギー及び発電機燃料の量が前記航空機がその意図される目的地に到達できるために十分である場合、どのようにして前記意図される目的地への前記計画されたルートにわたって前記保存電気エネルギー及び発電エネルギーの供給源からエネルギーを最適に取り出すかを計画し、
前記航空機に対して現在利用可能な前記保存電気エネルギー及び発電機燃料の量が前記航空機がその意図される目的地に到達できるために不十分である場合、中間目的地へのルートを計画し、中間目的地へのルートを計画することが、
1つ以上の可能なエネルギー供給者及び/又は燃料供給者を決定することと、
利用可能な保存電気エネルギー及び発電機燃料が、前記供給者のうちの少なくとも1つへ到達するために十分であるかどうかを判定することと、
前記少なくとも1つの供給者へのルートを作り出すことと、
前記ルートにわたってどのように最適にエネルギーを取り出すかを計画することとをさらに含む、ための機能又はプロセスを含む前記電子プロセッサと、
ルート計画又は再充電及び燃料補給供給源のうちの1つ以上に関するデータを交換するために、前記航空機からのデータを遠隔のデータ処理プラットフォームもしくはオペレーターに転送すること及び前記遠隔のデータ処理プラットフォームもしくはオペレーターからのデータを受信することを可能にするために動作可能な通信要素(複数可)と、を備える前記航空機。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー保存ユニットと、
範囲延長発電機と、
航空機に推力を提供するように構成された電気プロパルサーと、
電気プロパルサーがエネルギー保存ユニットおよび範囲延長発電機から選択的に電力を引き出すことができるように、エネルギー保存ユニットと範囲延長発電機を結合する分配バスと、を備えている、
航空機用のパワートレイン。
【請求項2】
前記エネルギー保存ユニットは、地上にある充電ステーションを介して再充電されるように構成されている、
請求項1に記載のパワートレイン。
【請求項3】
前記範囲延長発電機は、前記エネルギー保存ユニットに電気的に結合され、少なくとも1つの前記エネルギー保存ユニットを選択的に再充電するように構成されている、
請求項1に記載のパワートレイン。
【請求項4】
前記範囲延長発電機および前記エネルギー保存ユニットに通信可能に結合されたPOCS(Powertrain Optimization and Control System)をさらに備え、前記POCSは、前記範囲延長発電機および前記エネルギー保存ユニットから前記電気プロパルサーに供給される電力の流れを制御するように構成されている、
請求項3に記載のパワートレイン。
【請求項5】
前記範囲延長発電機および前記エネルギー保存ユニットに通信可能に結合されたハイブリッドエネルギープランナーであって、飛行経路の複数のセグメントのそれぞれについて前記エネルギー保存ユニットおよび前記範囲延長発電機のそれぞれから引き出されるエネルギーの量を記述する前記飛行経路のエネルギー計画を決定するように構成されたハイブリッドエネルギープランナーをさらに備え、前記エネルギー計画は、部分的には前記エネルギー保存ユニット内に貯蔵されているエネルギーの量に基づいて決定され、前記飛行経路のコースにわたって燃料よりも前記エネルギー保存ユニット内に貯蔵されているエネルギーを優先的に消耗するよう構成されている、
請求項3に記載のパワートレイン。
【請求項6】
前記範囲延長発電機と前記エネルギー保存ユニットとの間のエネルギー分配を最適化するためにリアルタイムで制御ストラテジを決定するように構成されたハイブリッド出力マネージャをさらに備えることを特徴とする、
請求項3に記載のパワートレイン。
【請求項7】
前記分配バスは第1の分配バスであり、
前記POCSは、前記第1の分配バスに故障が発生した場合、第2の分配バスを通じて電力を再ルート構成するように構成されている、
請求項4に記載のパワートレイン。
【請求項8】
前記電気プロパルサーは電気モーターを含み、
前記範囲延長発電機は内燃機関または燃料電池の少なくとも1つを含み、
前記電気モーターのモーター出力密度は4.5kW/Kg~10kW/kgの第1範囲にあり、
前記エネルギー保存ユニットのエネルギー保存密度は300Wh/kg~1200Wh/kgの第2範囲にあり、
前記内燃機関または燃料電池の少なくとも一方のモーター出力密度は1kW/kg~5kW/kgの第3範囲にある、
請求項3に記載のパワートレイン。
【請求項9】
パワートレインには最大連続出力があり、
前記範囲延長発電機は出力レベルのエネルギーを航空機に供給し、
前記出力レベルがパワートレインの最大連続出力の70%未満である、
請求項3に記載のパワートレイン。
【請求項10】
電気配線と、複数の電気的インターフェースと、電気モーターと、変換器と、を含むモジュールインターフェースをさらに備え、
前記モジュールインターフェースは、(i)前記エネルギー保存ユニット、(ii)前記範囲延長発電機、(iii)電気モーター、または、(iv)前記変換器の少なくとも1つに対し、航空機へのおよび航空機からの機械的接続および機械的接続解除を可能にする複数の機械的インターフェースを含み、
前記複数の電気的インターフェースは、(i)前記エネルギー保存ユニット、(ii)前記範囲延長発電機、(iii)電気モーター、または、(iv)前記変換器の少なくとも1つに対し、分配バスへのおよび分配バスからの電気的接続および電気的接続解除を可能にする、
請求項3に記載のパワートレイン。
【請求項11】
請求項3に記載のパワートレインに加え、機体をさらに含み、
前記機体は、前記エネルギー保存ユニットの設置、保管、および取り外しを容易にするための複数のアクセス可能なベイを含み、前記複数のアクセス可能なベイからの各ベイが、電気プロパルサーおよび航空機からの前記エネルギー保存ユニットの電気的および機械的な接続および接続解除を容易にするための電気的インターフェースと機械的インターフェースとを含む、
航空機。
【請求項12】
前記エネルギー保存ユニットは、第1のエネルギー保存ユニットを含み、
前記範囲延長発電機は、第1の範囲延長発電機を含み、
前記電気プロパルサーは、第1の電気プロパルサーを含み、
第2のエネルギー保存ユニットと、
第2のエネルギー保存ユニットに電気的に結合され、第2のエネルギー保存ユニットを再充電するように構成された第2の範囲延長発電機と、
航空機に推力を提供するように構成され、第2のエネルギー保存ユニットおよび第2の範囲延長発電機に電気的に結合されて選択的に電力を引き出すように構成された第2の電気プロパルサーと、
第1の電気プロパルサーを第2のエネルギー保存ユニットまたは第2の範囲延長発電機の少なくとも1つに選択的かつ電気的に結合するよう構成されたスイッチと、をさらに備える、
請求項2に記載のパワートレイン。
【外国語明細書】