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  • 特開-EFPの治療または低減方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123073
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】EFPの治療または低減方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/48 20060101AFI20220816BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220816BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220816BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
A61K38/48
A61P17/00
A61P43/00 105
A61K9/08
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098817
(22)【出願日】2022-06-20
(62)【分割の表示】P 2020103455の分割
【原出願日】2012-10-19
(31)【優先権主張番号】61/549,863
(32)【優先日】2011-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515140543
【氏名又は名称】エンド グローバル ベンチャーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ハート,スーザン ジー.,エミー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】患者の結合組織の線維症(EFP)を治療または低減する方法を提供する。
【解決手段】本発明は、EFP罹患領域に1回または複数回の低用量コラゲナーゼ注射を投与することを含む患者のEFPを治療または低減する方法であって、1回の注射当たりのコラゲナーゼの用量が、約50~約200ABC単位、および/またはコラゲナーゼの濃度が、約50~約2000ABC単位/ミリリットル(ml)である方法を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1回のコラゲナーゼ皮下注射をEFP罹患領域に投与することを含む患者の結合組織の線維症(EFP)を治療または低減する方法であって、1回の注射当たりのコラゲナーゼの用量が約5~約200ABC単位である、方法。
【請求項2】
複数回の皮下注射が、複数箇所の注射部位に投与される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記投与されるコラゲナーゼの濃度が、約50~約2000ABC単位/ミリリットルである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
各コラゲナーゼ注射が、約0.5ml以下の容量で投与される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記投与されるコラゲナーゼの合計用量が、約5~約2000ABC単位である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記1回の注射当たりのコラゲナーゼの用量が、約5~約100ABC単位である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記1回の注射当たりのコラゲナーゼの用量が、約5~約50ABC単位である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記コラゲナーゼが、クロストリジウム・ヒストリチクムから精製される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記コラゲナーゼが、組換え型コラゲナーゼである、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記クロストリジウム・ヒストリチクムから精製されたコラゲナーゼが、コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIが、1:1の質量比で存在する、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
前記コラゲナーゼが、コラゲナーゼおよび薬学的に許容可能なキャリアーから基本的に構成される医薬組成物中に存在する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記コラゲナーゼが、コラゲナーゼおよび薬学的に許容可能なキャリアーから構成される医薬組成物中に存在する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、1回または複数回のコラゲナーゼ皮下注射を投与することから基本的に構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、1回または複数回のコラゲナーゼ皮下注射を投与することから構成される請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも2回のコラゲナーゼ注射が、前記患部内の2箇所の注射部位に投与される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも5回のコラゲナーゼ注射が、前記患部内の5箇所の注射部位に投与される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
少なくとも10回のコラゲナーゼ注射が、前記患部の10箇所の注射部位に投与される、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記EFP患部が、約1cm~約200cmの面積を有する、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
複数のコラゲナーゼ皮下注射が投与され、注射部位間の距離が少なくとも約1~約4cmである、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記注射部位間の距離が、約2~約3cmである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記EFP罹患領域が約10cmの長さと約8cmの幅を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
注射部位間に約2.5cmの距離が存在する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
各注射が、約0.5mlの容量である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
各注射が、約0.1mlの容量である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
1回または複数回のコラゲナーゼ皮下注射をEFP罹患領域内に投与することを含む患者のEFPを治療または低減する方法であって、前記患部に投与されるコラゲナーゼの合計用量が約5~約5000ABC単位であり、前記複数回の注射がそれぞれ約5~約200ABC単位であり、前記複数回の注射が複数箇所の注射部位に投与される、方法。
【請求項27】
複数回のコラゲナーゼ皮下注射が、複数箇所の注射部位に投与される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記投与されるコラゲナーゼの濃度が、約50~約2000ABC単位/ミリリットルである、請求項26および27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
各コラゲナーゼ注射が、約0.5ml以下の容量で投与される請求項25~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記1回の注射当たりのコラゲナーゼの用量が、約5~約200ABC単位である、請求項25~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記患部に投与されるコラゲナーゼの合計用量が、約5~約2000ABC単位である、請求項25~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記患部に投与されるコラゲナーゼの合計用量が、約5~約1000ABC単位である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記コラゲナーゼが、クロストリジウム・ヒストリチクムから精製される、請求項26~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記コラゲナーゼが、組換え型コラゲナーゼである、請求項26~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記クロストリジウム・ヒストリチクムから精製されたコラゲナーゼが、コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIが、1:1の質量比で存在する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
少なくとも2回のコラゲナーゼ注射が、前記患部内の2箇所の注射部位に投与される、請求項26~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
少なくとも5回のコラゲナーゼ注射が、前記患部内の5箇所の注射部位に投与される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
少なくとも10回のコラゲナーゼ注射が、前記患部内の10箇所の注射部位に投与される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
1回または複数回のコラゲナーゼ皮下注射をEFP罹患領域に投与することを含む患者のEFPを治療または低減する方法であって、1回の注射当たり前記患部に投与されるコラゲナーゼの前記用量が、約5~約200ABC単位で、前記患部に投与されるコラゲナーゼの濃度が約50~2000ABC単位/ミリリットルであり、前記複数回の注射が複数箇所の注射部位に投与される、方法。
【請求項41】
前記複数回の注射が、複数箇所の注射部位に投与される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
投与コラゲナーゼ注射のそれぞれの前記容量が、約0.5ml以下である、請求項40および41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
それぞれの注射が約0.2ml以下の容量である、請求項40~42のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2011年10月21日出願の米国特許仮出願第61/549,863号の利益を主張する。上記参照出願の全内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
結合組織の線維症(EFP)は、一般には、セルライトと呼ばれているが、皮膚外観上の組織分布の変化として現れ、思春期後の女性の約90%が発症する状態である(Rawlings(2006)、Int J Cosmetic Sci 2006;28:175-90;Khan et al.(2010)、J Am Acad Dermatol 2010;62:361-70)。EFPは、小さな窪みのある皮膚として現れ、よく言われるオレンジの皮のような外観の皮膚になる。コラゲナーゼで構成されている皮膚隔膜は、皮膚の陥凹形成の原因となる役割をしていると考えられている。
【0003】
コラーゲンを消化する特殊能力を有する酵素であるコラゲナーゼは、例えば、デュピュイトラン拘縮、ペイロニー病、脂肪腫および癒着性関節包炎、などの種々のコラーゲン媒介疾患に用いられてきた。また、米国特許第4,645,668号および米国特許公開第20070224184号も、コラゲナーゼの特定の使用について開示している。コラゲナーゼの主要供給源は、細菌、クロストリジウム・ヒストリチクムの発酵生成物である。ヒストリチクス菌コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを含む注射可能製剤は、デュピュイトラン拘縮の治療用として、XIAFLEX(登録商標)の商標で販売されており、米国食品医薬品局(FDA)から認可されている。
【0004】
本発明は、EFPの治療または低減方法に関し、この方法は、EFP罹患領域に対する
1回または複数回のコラゲナーゼ注射を含む。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、コラゲナーゼEFP罹患領域に対する1回または複数回の低用量注射によりこのEFPを効果的に減らす、または治療できるという発見に基づいている。単回注射のコラゲナーゼの量は、5ABC単位、または0.00029mg(0.29μg)程度に少なくてよい。投与されるコラゲナーゼの合計用量は、治療領域の大きさに依存し、従って、約5~約5000ABC単位である。コラゲナーゼの濃度は、約50~約2000ABC単位/ミリリットル(ml)である。10,000ABC単位は、0.58mgコラゲナーゼに等しい。
【0006】
一実施形態では、本発明は、患者のEFPを治療または低減する方法に関し、この方法は、前記患者のEFP罹患領域に1回または複数回のコラゲナーゼ皮下注射を投与することを含み、1回の注射当たりのコラゲナーゼの用量は、約5~約200ABC単位であり、その複数回の皮下注射は、複数の注射部位に対し投与される。特定の態様では、複数回の皮下注射が複数の注射部位に投与される。さらなる実施形態では、投与されるコラゲナーゼの濃度は、約50~約2000ABC単位/ミリリットルである。追加の特定の実施形態では、それぞれのコラゲナーゼ注射は、約0.5ml以下の容量で投与される。さらなる態様では、投与されるコラゲナーゼの合計用量は、約5~約2000ABC単位である。
【0007】
別の実施形態では、本発明は、患者のEFPを治療または低減する方法に関し、この方法は、前記患者のEFP罹患領域内に1回または複数回のコラゲナーゼ皮下注射を投与することを含み、患部に投与されるコラゲナーゼの合計用量は、約5~約5000ABC単位であり、その複数回の注射は、複数の注射部位に投与される。特定の態様では、それぞれの注射は、約5~約200ABC単位である。一部の実施形態では、投与されるコラゲナーゼの濃度は、約50~約2000ABC単位/ミリリットルであり、および/またはそれぞれのコラゲナーゼの注射は、約0.5ml以下の容量で投与される。
【0008】
さらに別の実施形態では、本発明は、患者のEFPを治療または低減する方法であり、この方法は、前記患者のEFP罹患領域に1回または複数回のコラゲナーゼ皮下注射を投与することを含み、1回の注射当たり患部に投与されるコラゲナーゼの用量は、約5~約200ABC単位で、患部に投与されるコラゲナーゼの濃度は、約50~約2000ABC単位/ミリリットルである。
【0009】
さらなる態様では、本発明は、患者のEFPを治療または低減する方法に関し、この方法は、1回または複数回のコラゲナーゼ皮下注射をEFP罹患領域に投与することを含み、患部に投与されるコラゲナーゼの濃度は、約50~約2000ABC単位/ミリリットルで、コラゲナーゼのそれぞれの注射の容量は、約0.5ml以下である。
【0010】
一部の実施形態では、1回の注射当たり投与されるコラゲナーゼの用量は、約5~約100ABC単位である。さらなる実施形態では、1回の注射当たり投与されるコラゲナーゼの用量は、約5~約50ABC単位である。
【0011】
コラゲナーゼは、細菌源由来であっても、またはコラゲナーゼの組換え型由来であってもよい。一部の実施形態では、コラゲナーゼは、クロストリジウム・ヒストリチクムから精製される。さらなる実施形態では、コラゲナーゼは、コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを含む。さらなる実施形態では、コラゲナーゼは、クロストリジウム・ヒストリチクムから精製されたコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIであり、コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを含む。
【0012】
前出および他の本発明の目的、特徴、および利点は、以下の本発明の好ましい実施形態のさらに具体的な付随する図で例示される説明から明らかになるであろう。これらの図では、異なる図を通して、類似の参照記号は同じ部分を指す。図は、必ずしも縮尺通りではなく、本発明の原理を示す際には、強調が行われている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】注射テンプレートを示す図で、八角形内の各ドットは、注射部位を表す。円内のXは、「中央のくぼみ」に対する注射部位を表す。4コーナーは、右上(UR)、右下(LR)、左上(UL)、および左下(LL)として標識する。
図2】テンプレートコーナー標識をつけた殿部および上後大腿部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の好ましい実施形態の説明を、以下に示す。
上で考察のように、本発明は、EFP罹患領域に対するコラゲナーゼの低用量注射がコラーゲンの溶解に効果的であり、その結果、前記EFPを低減するか、または治療するという発見に基づいている。単回注射コラゲナーゼの量は、5ABC単位、または0.00029mg程度の少なさであってよい。投与されるコラゲナーゼの合計用量は、治療領域の大きさに依存し、従って、約5~約5000ABC単位であり、および/または本発明の方法では、使われるコラゲナーゼの濃度は、約50~約2000ABC単位/ミリリットル(ml)である。本発明の方法により用いられるコラゲナーゼの用量および濃度は、デュピュイトラン拘縮治療用に現在使われ、米国FDAから認可されているコラゲナーゼの用量および濃度より実質的に低い。
【0015】
単語の「a」または「an」は、特に別義が指定されない限り、1つまたは複数を包含することが意図されている。
【0016】
EFPの「治療(Treating)」または「治療(treatment)」は、本明細書記載の組成物または薬剤を投与し、以前にEFPに罹患した皮膚の外観の改善、および/または美的結果の改善を実現することを含む。例えば、EFPの治療は、目視によるEFPの重症度の低下、または目視による皮膚のくぼみの重症度もしくは数の低減を含んでもよい。
【0017】
本発明は、患者のEFPを治療または低減する方法を含み、方法は、1回または複数回のコラゲナーゼ皮下注射をEFP罹患領域に投与することを含み、その複数回の注射は、EFP罹患領域内の複数の注射部位に注射され、1回の注射当たり投与されるコラゲナーゼの用量は、約5~約200ABC単位である。さらなる実施形態では、1回の注射当たりのコラゲナーゼの用量は、約5~約100ABC単位、または約5~約50ABC単位、または約10~約100ABC単位、または約10~約50ABC単位である。さらなる実施形態では、患部に投与されるコラゲナーゼの合計用量は、約5~約5000ABC単位である。また、本発明は、患部に投与されるコラゲナーゼの濃度が、約50~約2000ABC単位/mlである場合のコラゲナーゼをEFP罹患領域に投与することを含む方法を包含する。さらに、本発明は、複数回のコラゲナーゼ注射をEFP罹患領域に投与し、1回の注射当たりのコラゲナーゼの用量が約5~約200ABC単位である場合の患者のEFPを治療または低減する方法を包含する。
【0018】
EFP罹患領域(本明細書では、「標的領域」または「治療領域」とも呼ぶ)は、典型的な例では、1つまたは複数のくぼみを特徴とする大腿部および/または殿部の皮膚の領域である。一部の実施形態では、1回または複数回のコラゲナーゼ注射で治療されるEFPの領域は、大腿部の外側上面の領域、または殿部の領域で、殿溝を含まない。また、コラゲナーゼで治療される標的領域は、右もしくは左殿部または右もしくは左大腿部の重度のEFP重症度に対し中等度を表す10以上の写真による数値化EFP重症度スケール(CSS)スコアを有する領域であってもよい(Hexsel et al.(2009).「検証された写真による数値化EFP重症度スケール(A validated photonumeric EFP severity scale)」、JEADV 2009;23:523-52。この文献の内容は、参照によって明示的に本明細書に組み込まれる)。CSSは、EFPの5つの重要な形態学的特徴:(A)くぼみの数、(B)くぼみの深さ、(C)皮膚表面の形態学的外観、(D)皮膚のゆるみ、弛緩またはたるみ、および(E)NumbergerとMullerにより、J Dermatol Surg Oncol 1978;4(3):221-29、に最初に記載された分類スケール、を調べる写真による数値化スケールである(Hexsel et al.、2009)。これらの特徴のそれぞれは、低い値の0から高い値の3までの4点スケールで評価される。スケールは、0~15の範囲である。
【0019】
EFPの1回または複数回の注射で治療された標的領域は、通常、患者が立位の場合に、目視で明白な1つまたは複数のくぼみを特徴とする皮膚の領域である。治療領域の幾何学領域は、EFP罹患領域の大きさに依存する。従って、例えば、EFP罹患領域が1つのくぼみを含む場合、標的領域の幾何学領域は、約1cm~約5cmであってもよい。さらなる態様では、EFP罹患領域は、複数のくぼみを含み、1cmを越える幾何学領域を有する。一実施形態では、標的領域は、約1cm~約200cmの幾何学領域を有する。当然のことながら、標的領域は、通常、大腿部または殿部の領域であるから、その領域は、例えば、ほぼ矩形の形であり、約1~約15cmの長さ、約1~約10cmの幅であってよい。さらなる例では、標的領域は、約6~約15cmの長さ、約4~約10cmの幅である。また、当業者なら、標的領域は、所望の治療用領域に応じて、ほぼ円形でも、または他のいずれかの幾何学的形状であってもよいことを理解するであろう。任意選択で、標的領域は、治療されるEFPの領域のほぼ中心にある少なくとも1つの皮膚のくぼみを特徴としてもよく、この場合、EFPの領域は、1回または複数回の注射により治療される。コラゲナーゼ注射部位は、EFP罹患領域内で番号をつけ、間隔を置いて配置して、注射コラゲナーゼの分布と効力の均一化ができるようにしてもよい。コラゲナーゼ注射の数は、通常、治療される領域の大きさに依存する。一部の実施形態では、注射部位の数は、少なくとも1箇所以上である。他の態様では、注射部位の数は、少なくとも約3箇所以上である。別の態様では、注射部位の数は、少なくとも約5箇所以上である。また他の態様では、注射部位の数は、少なくとも約7箇所以上である。さらなる態様では、注射部位の数は、少なくとも10箇所以上である。
【0020】
治療領域が、単一くぼみ領域であるか、またはそれ以外の約5cm未満の幾何学領域である一実施形態では、単一注射部位のみがあり、約5~約200ABC単位のコラゲナーゼが注射される。任意選択で、単回注射をくぼみの中心に行ってもよい。治療領域がさらに大きい実施形態では、複数の注射部位になり、1回の注射当たり約5~約200ABC単位のコラゲナーゼが投与される。任意選択で、複数回の注射は、1つのくぼみの中心に投与される少なくとも1回の注射を含む。例えば、注射部位は、相互に約1~約4cmの間隔であってもよい。さらに他の態様では、注射部位は、相互に約2~約3cmの間隔であってもよい。例えば、特定の実施形態では、EFP罹患領域は、約8cmの幅と約10cmの長さの寸法で、投与されるコラゲナーゼ注射の数は、10回、注射部位間の距離は、約2.5cmである。特定の態様では、目的の注射部位を示す標識を含む注射テンプレート(例えば、薄い透明材料で作られた)が標的領域上に配置され、テンプレートにより示された部位に1回または複数回の注射が行われる。
【0021】
標的領域は、1回または複数回の同時コラゲナーゼ注射で治療される。本明細書で使われる同時注射は、同じ時間、または同じ期間内、すなわち、単一治療作業の間に順次投与される注射である。上で考察のように、EFP罹患領域に投与されるコラゲナーゼの合計用量は、コラゲナーゼの約5~約5000ABC単位である。投与されるコラゲナーゼの合計用量は、治療領域の大きさに依存する。コラゲナーゼの合計用量は、1回または複数回のコラゲナーゼ注射により投与される用量の合計である。特定の態様では、それぞれのコラゲナーゼ注射は、等用量のコラゲナーゼを含む。例えば、治療領域に分布させる注射の数が10で、それぞれの注射がコラゲナーゼ200ABC単位である場合、標的領域に投与されるコラゲナーゼの合計用量は、2000ABC単位となる。さらなる例では、治療領域に分布させる注射の数が10で、それぞれの注射がコラゲナーゼ5ABC単位の場合、標的領域に投与されるコラゲナーゼの合計用量は、50ABC単位になる。さらなる例では、治療領域に分布させる注射の数が5で、それぞれの注射がコラゲナーゼ5ABC単位の場合、標的領域に投与されるコラゲナーゼの合計用量は、25ABC単位になる。単回注射のみが行われ、選択された用量が5ABC単位の場合、投与されるコラゲナーゼの合計用量は、5ABC単位になる。罹患領域に投与されるコラゲナーゼの濃度は、約50ABC単位/ml~約2000ABC単位/mlである。コラゲナーゼは、1回の注射当たり約0.5ml以下の容量で投与できる。別の態様では、コラゲナーゼは、1回の注射当たり約0.1ml~約0.5mlの用量で投与できる。例えば、投与されるコラゲナーゼの全容量は、約0.1ml(単一注射部位が使われる場合)~約7ml(複数の注射部位に対し)でよく、また、さらに大きな寸法の治療領域に対しては、より多くてよい。一実施形態では、治療領域が約80cmの場合、投与される全容量は、0.1ml~0.5mlの10回の注射の合計で、約1~約5mlである。
【0022】
コラゲナーゼは、コラーゲンを消化する特殊能力を有する酵素である。コラゲナーゼの1つの商用供給源は、クロストリジウム・ヒストリチクムによる発酵によるものである。特定の態様では、コラゲナーゼは、精製されたクロストリジウム・ヒストリチクムコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの組み合わせを含む。コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIは、約1:1の質量比で存在することが好ましい。コラゲナーゼAUX Iは、分子量115kDaの約1000アミノ酸からなる単一ポリペプチド鎖を持つ。また、コラゲナーゼAUX IIは、分子量110kDaの約1000アミノ酸からなる単一ポリペプチド鎖を持つ。ヒストリチクス菌由来の粗製コラゲナーゼは、例えば、ヘパリン親和性クロマトグラフィー、硫酸アンモニウム沈殿法、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、および金属キレート化クロマトグラフィー、などの当業者に既知の種々の方法で精製できる。また、ヒストリチクス菌由来粗製コラゲナーゼの精製方法は、米国特許第7,811,560号に記載されている。この特許の内容は、参照により明示的に本明細書に組み込まれる。上で考察のように、ヒストリチクス菌コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを含む注射可能製剤は、XIAFLEX(登録商標)の商標により米国で販売されており、デュピュイトラン拘縮治療薬として米国FDAにより認可されている。例えば、コラゲナーゼは、ほぼ1:1質量比の2種のコラゲナーゼ:コラゲナーゼI(AUX-I、クロストリジウムI型コラゲナーゼ)およびコラゲナーゼII(AUX-II;クロストリジウムタイプIIコラゲナーゼ)からなる非経口の凍結乾燥生成物であってもよい。コラゲナーゼは、約1:1の質量比で、逆相高速液体クロマトグラフィーで測定した面積で少なくとも約95%の純度(例えば、米国特許第7,811,560号に記載のように)を有するコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを含むのが好ましい。
【0023】
また、本発明のコラゲナーゼ組成物は、特定の数の活性単位または特定の質量の精製された酵素を混合して調製できる。コラゲナーゼ活性は、酵素の合成ペプチドまたはコラーゲン基質を加水分解する能力により測定できる。当業者なら、本明細書で開示されたもの以外の酵素アッセイを使っても、機能的に等価な酵素組成物を定義し、調製できることに気付くであろう。
【0024】
用語の「コラゲナーゼI」、「ABCI」、「AUXI」、「コラゲナーゼAUXI」、および「コラゲナーゼABCI」は、同じものを意味し、区別なく使用できることは、理解されよう。同様に、用語の「コラゲナーゼII」、「ABCII」、「AUXII」、「コラゲナーゼAUXII」、および「コラゲナーゼABCII」は、同じ酵素を意味し、区別なく使用できる。
【0025】
さらなる特定の実施形態では、本明細書記載の方法により投与されるコラゲナーゼは、組換え型コラゲナーゼである。
【0026】
コラゲナーゼは、コラゲナーゼおよび薬学的に許容可能なキャリアーまたは希釈剤を含む医薬組成物として投与される。一部の実施形態では、組成物は、コラゲナーゼ以外のプロテアーゼ酵素(細菌発酵から精製されたコラゲナーゼに存在する可能性のある少量または痕跡量のタンパク分解性酵素以外の)を含まない。さらなる実施形態では、医薬組成物は、コラゲナーゼ以外の酵素(細菌発酵から精製されたコラゲナーゼに存在する可能性のある少量または痕跡量の酵素以外の)を含まない。当業者なら、細菌発酵由来のコラゲナーゼは、精製後でも、他のプロテアーゼ酵素などの他の酵素を含む少量または痕跡量の不純物を含む場合があることを理解するであろう。例えば、少量または痕跡量の不純物は、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満のコラゲナーゼ組成物であってもよい。一部の実施形態では、少量または痕跡量の不純物は、逆相高速液体クロマトグラフィーで測定して、約1%、2%、3%、4%または5%未満の面積であってもよい。別の態様では、医薬組成物は、基本的に、コラゲナーゼおよび薬学的に許容可能なキャリアーまたは希釈剤から構成される。本明細書で使われる「コラゲナーゼおよび薬学的に許容可能なキャリアーまたは希釈剤から基本的に構成される」薬学的に組成物は、医薬組成物から、他の上述の少量または痕跡量以外のプロテアーゼ酵素およびヒアルロニダーゼを除くことを意図している。さらなる特定の態様では、「コラゲナーゼから基本的に構成される」組成物は、組成物から、コラゲナーゼ以外の酵素を除外する。さらに別の実施形態では、医薬組成物は、コラゲナーゼおよび薬学的に許容可能なその塩から構成される。
【0027】
EFPを治療または低減する方法は、局部麻酔薬を使った標的領域の前処理をさらに含んでもよい。
【0028】
さらなる態様では、本発明は、患者のEFPの治療または低減に関し、1回または複数回のコラゲナーゼ注射をEFP罹患領域に投与することから基本的に構成され、投与されるコラゲナーゼの用量は、約5~約200ABC単位であり、任意選択で、さらに、コラゲナーゼの濃度は、約50~約2000ABC単位/mlである。またさらなる態様では、本発明は、複数回のコラゲナーゼ注射を投与することから構成される患者のEFPの治療または低減に関し、1回の注射当たり投与されるコラゲナーゼの用量は、約5~約200ABC単位であり、任意選択で、さらに、コラゲナーゼの濃度は、約50~約2000ABC単位/mlである。
【0029】
薬学的に許容可能なキャリアーは、1つまたは複数の液体キャリアーまたは注射に適する賦形剤であってよい。本明細書で使われる用語の「薬学的に許容可能なキャリアーまたは賦形剤」は、非毒性、不活性の、液体注入剤、希釈剤、封入材料または任意のタイプの処方補助剤を意味する。薬学的に許容可能なキャリアーの役割ができる材料の一部の例は、ラクトース、グルコースおよびショ糖などの糖;コーンスターチおよびバレイショデンプンなどのデンプン;カルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのセルロースとその誘導体;粉末化トラガント;麦芽;ゼラチン;滑石;プロピレングリコールなどのグリコール;エチルオレアートおよびエチルラウラートなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよびアルミニウム水酸化物などの緩衝剤;アルギン酸;発熱性物質不含水;等張性食塩水;リンゲル液;エチルアルコール、およびリン酸塩緩衝液であり、さらに、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの他の非毒性の相溶性潤滑剤、ならびに着色料、解除剤、コーティング剤、芳香剤、防腐剤および抗酸化剤も、処方者の判断により、組成物中に存在させることができる。注射可能製剤、例えば、無菌の注射可能水性または油性懸濁液は、適切な分散または湿潤剤および懸濁剤を使って、既知の技術により処方できる。また、無菌注射可能製剤は、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒中の無菌注射可能溶液、懸濁液または乳剤であってもよく、例えば、1,3-ブタンジオール中溶液としてもよい。採用可能な許容できるビークルおよび溶剤には、水、リンゲル液、U.S.P.および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の不揮発性油が溶媒または懸濁剤として都合よく採用される。この目的では、合成モノまたはジグリセリドなどの任意の無刺激の不揮発性油を採用できる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸を注射液の調製に使用できる。
【0030】
注射可能製剤は、例えば、除菌フィルターを通す濾過により、または使用前に無菌水または他の無菌注射可能溶媒に溶解または分散できる無菌固体組成物の形の滅菌剤の添加により、滅菌できる。また、無菌溶液は、後で使用するために、凍結乾燥してもよい。一実施形態では、コラゲナーゼを含む医薬組成物は、ラクトースで処方された注射可能凍結乾燥組成物である。一実施形態では、1ミリグラムの注射可能コラゲナーゼに対し、1.9mgのラクトースで処方される。別の実施形態では、1ミリグラムの射コラゲナーゼは、合成基質のpzGPGGPAを使った効力検定で測定して、約2800SRCユニットおよび51000ユニットであるのが好ましい。
【0031】
別の実施形態では、本発明の方法で使われるコラゲナーゼ組成物は、約8.0のpHレベルのショ糖、トリスで、処方された凍結乾燥注射可能組成物である。例えば、1.0mgの本発明の医薬品有効成分は、約8.0のpHの60mMショ糖、10mMトリス(これは、製剤緩衝液中の20.5mg/mLのショ糖および1.21mg/mLのトリスに等しい)で処方される。通常、塩化カルシウム、などのカルシウム源が、製剤中に含まれる。
【0032】
本発明は、以下の実施例に関連してさらによく理解されよう。この実施例は、例示のみの目的であり、本発明の範囲を制限する意図はない。開示実施形態に対する種々の変更および修正は、当業者には明らかであると思われ、また、このような変更と修正は、本発明の趣旨、および添付請求項の範囲を逸脱することなく、行うことができる。
【0033】
実施例
実施例1:ゲッチンゲンミニブタの皮膚コラーゲン溶解におけるコラゲナーゼクロストリジウム・ヒストリチクムの有効性
コラゲナーゼクロストリジウム・ヒストリチクム(Auxilium Product Operation、Malvern、PA)は、ほぼ1:1質量比の2種のコラゲナーゼ:コラゲナーゼI(AUX-I、クロストリジウムI型コラゲナーゼ)およびコラゲナーゼII(AUX-II;クロストリジウムII型コラゲナーゼ)から構成される非経口凍結乾燥生成物である。これらのコラゲナーゼは、クロストリジウム・ヒストリチクムの発酵から単離、精製される。凍結乾燥生成物の再構成用ビークルは、0.03%(2mM)塩化カルシウムを含む食塩水(0.9%塩化ナトリウム)とした。以下でさらに詳細に記載される製剤の希釈と調製用のビークルは、10mM(0.13%)TRIZMA(登録商標)(Sigma Aldrich、Inc.、St.Louis、MO)、60mM(2.0%)ショ糖(Sigma Aldrich、Inc.、St.Louis、MO)、および2mM塩化カルシウム(pH8.0)(Aldrich Chemical Corporation、Allentown、PA)を含む食塩水(注射用0.9%塩化ナトリウム;Baxter Healthcare Corporation、Deerfield、IL)とした。IN HC1(塩酸)を使って、希釈用ビークルのpHを8.0にした。処方、サンプリングおよび用量投与手続きを通して、希釈用ビークルを混合した。希釈用ビークルは、その後、0.22μmPVDFシリンジフィルターを使って除菌し、無菌のバイアルに入れ、セプタムで蓋をした。希釈用ビークルは、無菌ガラス製品および用具を使って層流フード内で無菌法により調製した。
【0034】
下表に示す試験品(コラゲナーゼクロストリジウム・ヒストリチクム)の濃度で投薬製剤を調製した。
【表1】
【0035】
投薬製剤を投薬の日に調製した。再構成用ビークルを使って凍結乾燥生成物を再構成し、2.5mg/mLストック試験品溶液を得た。希釈用ビークルを使って、ストック試験品溶液を希釈し、投薬に使用される製剤を調製した。投薬の前、および投薬の間、製剤をウエットアイス上で維持した。製剤を無菌ガラス製品および用具を使って層流フード内で無菌法により調製した。
【0036】
この調査の試験系としてゲッチンゲンミニブタを使った。この種および交配動物は、一般毒性調査に適すると認められており、各種訓練の生物医学的な研究モデルとして利用されてきた。ブタは、心臓血管の解剖学的形態と生理機能、消化生理機能、および外皮構造と機能において、人間と多くの類似性を示す。ブタと人間の間の皮膚の解剖学的形態および生理機能の類似性の故に、ブタは、プラスチック手術、創傷治癒、および皮膚毒性調査のための標準的モデルになっている(Svendsen et al、(1998)、Scandinavian Journal of Animal Science 1998、25(supplement 1):27-30)。歴史的には、ブタは、有望な治療薬の中毒学的評価に使用されてきた。
【0037】
ゲッチンゲンミニブタ(4匹の雄と3匹の雌)を、Marshall BioResources、North Rose、NYから良好な健康状態で入手した。動物は、受け入れ時、約3~4月齢であった。各動物は、全部で12治療の内の1用量の投与を受け、1動物当たり約0.43mgコラゲナーゼクロストリジウム・ヒストリチクムの合計用量であった。動物は、投薬時、約4月齢であった。体重は、用量投与時、雄で7185g~8646gの範囲で、雌では、9333g~9633gであった。試験製剤を、試験0日目に、テラゾール/キシラジンの皮下注射(ボーラス)麻酔した動物に投与した。注射の前日、必要に応じ、注射の指定領域の毛を切った。適切な大きさのシリンジと針(16~23ゲージ)を使って、各動物の右と左の外側胴部に沿って6回の注射を投与した。動物の同じ部位に2回以上の投与はしなかった。各皮下注射は、異なる、無作為に割り付けた治療(製剤濃度と投与容量の組み合わせ)から構成された。注射部位を、間隔を開けて十分離して配置し、起こりうる隣接注射部位からの反応を防いだ。試験品沈着部位のすぐ周辺領域を永久マーカーでマークし、必要に応じ再度マークした。個別注射部位を標識した。この試験のための選択投与経路は、皮下注射とした。
【0038】
脂肪細胞、神経、付属器構造(毛包、汗腺および皮脂腺)または被覆表皮に、薬剤関連組織学的影響は検出されなかった。コラーゲンの推定溶解度で評価して、性別間、または投薬後24もしくは48時間で安楽死させた動物の間で、コラーゲン溶解性の一貫した差異は認められなかった。投薬後24および48時間での死体解剖による結果を性別にまとめて下表に示した。0.015mg/mLより低い濃度で、コラーゲン溶解度は、ほぼ用量反応性であった。0.015mg/mL以上の濃度では、コラーゲン溶解度は、投与容量にほぼ比例した。これは、合計用量または製剤濃度に対する変化とは対照的であった(例えば、試験品7および8では、試験品7が、より低い濃度およびより多い容量の投与により、試験品8と同じ合計用量を表す)。
【表2】
【0039】
0.0015~0.15mg/mLの範囲の濃度の単回皮下注射として投与したコラゲナーゼクロストリジウム・ヒストリチクムは、この試験で、0.015mg/mL以上のコラゲナーゼクロストリジウム・ヒストリチクム濃度で治療した部位で、局所的膨潤を生じ、また、全ての用量、投与容量、および製剤濃度で、コラーゲン溶解(コラゲナーゼクロストリジウム・ヒストリチクムの期待される薬理的効果)を生じた。本試験での最小限の有効量は、0.0003mgタンパク質であり、最小限の有効濃度は、0.0015mg/mLであった。0.015mg/mLより低い濃度では、全体として、コラーゲン溶解度に対する用量反応性が明確であった。0.015mg/mL以上の濃度では、効果的なコラーゲン溶解度は、合計用量または製剤濃度よりも、投与容量に対する関係が大きかった。
【0040】
コラーゲン溶解は、常に、いくつかの二次的変化を伴った。これらの変化には、全有効量レベルで常に認められた出血および/または急性炎症;0.003mg/mL以上の濃度で肉様層の筋繊維の壊死(合計用量≧0.0006mgタンパク質);血管周囲および壁内浮腫、血管新生/線維症、血管壊死、および/または0.009mg/mL以上の濃度で散発的に認められる血栓症(合計用量≧0.0018mgタンパク質);および0.030mg/mL以上の製剤濃度で散発的に認められる動脈壁内出血(合計用量≧0.003mgタンパク質)が含まれていた。脂肪細胞、神経、付属器構造または被覆表皮に対するコラゲナーゼクロストリジウム・ヒストリチクム媒介効果は認められなかった。
【0041】
この試験の結果は、全コラゲナーゼクロストリジウム・ヒストリチクム用量濃度で皮膚隔壁のある程度の組織学的に検出可能なコラーゲン溶解を示した。しかし、0.015mg/mL以上の濃度で、より多くの皮膚隔壁の完全溶解領域が認められた。この試験では、脂肪細胞、神経、付属器皮膚構造または被覆表皮に対しコラゲナーゼクロストリジウム・ヒストリチクム媒介効果は無かった。各濃度でのコラゲナーゼクロストリジウム・ヒストリチクムの局所効果(出血および/または急性炎症)が、死体解剖時の肉眼および/または顕微鏡調査で観察された。コラーゲンの推定溶解度に関し、性別間、または投薬後24または48時間で安楽死させた動物間でコラーゲン溶解性に一貫した差異は認められなかった。
【0042】
皮膚隔壁の完全溶解に有効な濃度で、用量および容量依存性コラーゲン溶解が約2.5cmの直径内で発生することがミニブタ試験により示された。
【0043】
実施例2:EFP治療のための第1b相非盲検用量漸増および薬物動態学的試験
この試験の目的は、80cmの領域における、0.0029mg~0.116mg(50~2000ABC単位)の範囲の漸増合計用量、および0.0029mg/mL~0.116mg/mL(50~2000ABC単位/mL)の範囲の漸増濃度でのコラゲナーゼクロストリジウム・ヒストリチクムのEFPによる成人女性の治療に対する安全性、有効性、薬物動態学、および免疫原性を評価することである。
【0044】
ミニブタ試験(実施例1)に関し上記で考察した知見に基づいて、注射間で約2.5cmの距離を許容するように第1相臨床試験用の注射テンプレートが設計される。この距離により、治療領域内での大きなギャップまたはオーバーラップなしに、EFPの8cmx10cm領域内でコラゲナーゼクロストリジウム・ヒストリチクムの適切な分布および作用を可能とすることが期待される。EFP治療用の最適用量(例えば、最低限の局所有害作用で効果的な)を決定するために、臨床的開発および診療ならびにミニブタ試験由来のデータの両方に基づき、今日までコラゲナーゼクロストリジウム・ヒストリチクムの好ましい安全性プロファイルの考察の後で、用量選択を行った。結果として、10回の別々の0.00029mg用量により、8cmx10cm標的EFP領域内に0.0029mg/mLの濃度で投与される0.0029mgの出発用量が相1試験に対し提案される。
【0045】
この試験は、第lb相、非盲検、用量漸増および薬物動態学的試験である。選別来院中、被験者が立位のままで、試験責任医師または有資格被指名人が、左および右殿部ならびに左および右大腿部を検査し、中等度の重度EFP重症度を表す10以上の写真による数値化EFP重症度スケール(CSS)スコアの(Hexsel et al.、2009)四分円を選択する。試験責任医師または有資格被指名人が、少なくとも8cmx10cm(すなわち、標的EFP領域)で、治療に適する選択四分円内のEFP領域(すなわち、大腿部の外側上面または殿部内にあり、殿溝を含まない領域)を特定する。標的EFP領域は、被験者が立位にあるとき、皮膚を挟むまたは筋肉収縮をさせるなどの何らかの操作をすることなく、目視で判断できなければならない。各被験者は、1日目の試験薬剤の注射の前に、試験適格性の観点から、21日以内に、選別される。
【0046】
この試験では、63被験者が、標的EFP領域内にそれぞれ10回の同時等容量のコラゲナーゼクロストリジウム・ヒストリチクム注射を受けることになる。試験適格性選別の完了後、被験者は、コホート1、2、3、および4(表3)に順次割り付けられる。最初の9人の被験者は、コホート1(1mL全容量/標的EFP領域)に割り付けられる。残りのコホート2~4のそれぞれに対し、各コホートの最初の9人の被験者は、5mL全容量/標的EFP領域に割り付けられ、続いて、次の9人の被験者は、1mL全容量/標的EFP領域に割り付けられる。投薬は、コホート1から開始する。コホート2と3での投薬は、安全性モニタリング委員会(SMC)によるコホート1の被験者の安全性の評価が完了するまで開始されない。コホート4の投薬は、SMCによるコホート2と3の被験者の安全性評価が完了するまで開始されない。
【0047】
8cmx10cmのEFP領域の治療に提案された用量は、デュピュイトラン拘縮用認可製品で使われる濃度の0.1%(0.0029mg/mL)~5%(0.116mg/mL)の濃度で、デュピュイトラン拘縮用単回注射で使われる用量の0.5%(0.0029mg)~20%(0.116mg)である。
【表3】
【0048】
コラゲナーゼクロストリジウム・ヒストリチクムの成分は、混合コラゲナーゼAUX-IおよびAUX-II、10mMトリス、60mMショ糖、である。再構成用コラゲナーゼクロストリジウム・ヒストリチクム無菌希釈剤Aの成分は、0.9%(154mM)塩化ナトリウム(NaCL)溶液中0.03%(2mM)塩化カルシウム(CaCL)、pH6.0~7.0、で、最終無菌化液として3.0mL/バイアルで供給される。追加希釈用無菌コラゲナーゼクロストリジウム・ヒストリチクム緩衝無菌希釈剤Bの成分は、0.03%(2mM)塩化カルシウムおよび0.9%(154mM)塩化ナトリウム中の0.12%(10mM)トロメタミン(トリス)、pH8.0塩化物で、最終無菌化液として3.0mL/バイアルで供給される。希釈剤Aによる再構成、および希釈剤Bによる追加希釈後、A4500溶液は、投与前1時間まで室温(20°~25℃/68°~77°F)で保持、または投与前4時間まで2°~8℃(36°~46°F)で冷蔵できる。
【0049】
注射テンプレートが薄い透明材料で作られる。8cmx10cm注射テンプレートには、図1に示す線図および注射部位が予め印刷される。八角形内のそれぞれの黒色ドットは、注射部位を示す。丸で囲んだ「X」は、中央のくぼみ(すなわち、標的領域(図1)中の最も深い陥凹部の領域)の注射部位を表す。それぞれの黒色ドット(中央のくぼみおよび4つのコーナーの部位を含む)は、試験責任医師が必要に応じ、標的EFP領域をマークできるように切り抜かれている。図1の八角形内のそれぞれのドットは、注射部位を表す。円内のXは、「中央のくぼみ」に対する注射部位を表す。4つのコーナーは、右上(UR)、右下(LR)、左上(UL)、および左下(LL)と標識される。
【0050】
選別来院中、被験者が立位のままで、試験責任医師または有資格被指名人は、左と右殿部および左と右上後大腿部を検査し、重度EFPに対する中程度の(CSSスコアが10以上)四分円を選択する。試験責任医師または有資格被指名人は、少なくとも8cmx10cmの治療に適した(例えば、上後大腿部または殿部内で、殿溝を含まない)選択四分円内のEFP領域(この実施例では、標的EFP領域と呼ぶ)を特定する。また、標的EFP領域は、何らかの操作(皮膚を挟むまたは筋肉収縮をさせるなどの)をすることなく、被験者が立位のときに、目視で判断できなければならない。
【0051】
その後、試験責任医師は、注射テンプレートを標的EFP領域の上に置き(被験者は立位のままで)、テンプレートの丸で囲んだ「X」を、標的領域内の最大深さの陥凹部(例えば、中央のくぼみ)の中心に重ねて置く。試験責任医師は、サージカルマーカーを使って、被験者の皮膚にテンプレートの2つのコーナー位置をマークする。試験責任医師は、テンプレートを取り除き、どの2つのテンプレートのコーナーがマークされたかを記録する(例えば、右上、右下、左上、左下)。試験責任医師は、巻尺を使って下記のように測定する:
1.膝窩の中心から始まる上大腿部および殿部の正中線を特定する(図2)。
2.正中線に垂直で、第1のテンプレートコーナーマークを通る線を特定する(図2の[線BC]で示されるような)。点BとCの間の距離を測定する(距離を記録する)。
3.図2で示されるように点A~点Bの距離を測定する(距離を記録する)。
4.ステップ2と3を繰り返し、第2のテンプレートコーナーマーク(図2の[点A、D、およびE])の測定を行う。
それぞれの記録測定値は、注射前、および各効力評価時点の前に、8cmx10cm標的EFP領域を再配置するのに使用される。
【0052】
注射後1日目に、部位を特定、マーク(上述のように)、写真撮影、および注射前効力評価を完了し、被験者は、前にマークした注射部位を備えた8cmx10cm標的EFP領域全体が目視でき、試験責任医師が評価できるように、診察台上で腹臥位に配置される。注射部位領域には、アルコールなどの適切な消毒薬を使って準備がなされる。
【0053】
前に調製した30ゲージ1/4インチ針を備えた5mLまたは1mLシリンジ(コホートの割付けに応じて)を使って、試験責任医師は、0.5mLまたは0.1mLの用量のコラゲナーゼクロストリジウム・ヒストリチクムを、10箇所の注射部位のそれぞれに投与する。10箇所の部位のそれぞれで、試験薬剤を、被験者の皮膚に垂直に、1/4インチ(約7mm)の深さまで注入する。
【0054】
試験責任医師は、それぞれの10箇所の部位が、単回0.5mLまたは0.1mLコラゲナーゼクロストリジウム・ヒストリチクム注射を確実に受けられる手順で試験薬剤を投与する。10箇所目の注射後、最大許容容量の試験薬剤が投与されたことになる(5mLまたは1mL)。注射後の注射部位表面のいずれの注入液(溢血を示唆する)にも注意して、関連注射部位を記録する。試験薬剤の注射後、局部マッサージまたは触診を行ってはいけない。
【0055】
90日目に以下の主要エンドポイントが評価される。
・試験責任医師による標的EFP領域の全体的美的改善スケール評価;
・被験者による標的EFP領域の全体的美的改善スケール評価;および
・3-Dデジタル写真に基づく標的EFP領域の表面のでこぼこの標準偏差のベースラインからの30%以上の改善が得られた被験者の比率に基づくレスポンダー分析
【0056】
本発明は、その好ましい実施形態に言及しながら詳細に示され、説明されてきたが、当業者には、添付請求項に包含される本発明の範囲を逸脱することなく形態と詳細の種々の変更が可能であることが理解されよう。
【0057】
本願は以下の発明をも包含する。
(1)
少なくとも1回のコラゲナーゼ皮下注射をEFP罹患領域に投与することを含む患者の結合組織の線維症(EFP)を治療または低減する方法であって、1回の注射当たりのコラゲナーゼの用量が約5~約200ABC単位である、方法。
(2)
複数回の皮下注射が、複数箇所の注射部位に投与される(1)に記載の方法。
(3)
前記投与されるコラゲナーゼの濃度が、約50~約2000ABC単位/ミリリットルである、(1)に記載の方法。
(4)
各コラゲナーゼ注射が、約0.5ml以下の容量で投与される、(1)~(3)のいずれかに記載の方法。
(5)
前記投与されるコラゲナーゼの合計用量が、約5~約2000ABC単位である、(1)~(4)のいずれかに記載の方法。
(6)
前記1回の注射当たりのコラゲナーゼの用量が、約5~約100ABC単位である、(1)~(5)のいずれかに記載の方法。
(7)
前記1回の注射当たりのコラゲナーゼの用量が、約5~約50ABC単位である、(1)~(5)のいずれかに記載の方法。
(8)
前記コラゲナーゼが、クロストリジウム・ヒストリチクムから精製される、(1)~(7)のいずれかに記載の方法。
(9)
前記コラゲナーゼが、組換え型コラゲナーゼである、(1)~(8)のいずれかに記載の方法。
(10)
前記クロストリジウム・ヒストリチクムから精製されたコラゲナーゼが、コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを含む、(8)に記載の方法。
(11)
前記コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIが、1:1の質量比で存在する、(5)に記載の方法。
(12)
前記コラゲナーゼが、コラゲナーゼおよび薬学的に許容可能なキャリアーから基本的に構成される医薬組成物中に存在する、(1)~(5)のいずれかに記載の方法。
(13)
前記コラゲナーゼが、コラゲナーゼおよび薬学的に許容可能なキャリアーから構成される医薬組成物中に存在する、(1)~(5)のいずれかに記載の方法。
(14)
前記方法が、1回または複数回のコラゲナーゼ皮下注射を投与することから基本的に構成される、(1)~(5)のいずれかに記載の方法。
(15)
前記方法が、1回または複数回のコラゲナーゼ皮下注射を投与することから構成される(1)~(5)のいずれかに記載の方法。
(16)
少なくとも2回のコラゲナーゼ注射が、前記患部内の2箇所の注射部位に投与される、(1)~(5)のいずれかに記載の方法。
(17)
少なくとも5回のコラゲナーゼ注射が、前記患部内の5箇所の注射部位に投与される、(16)記載の方法。
(18)
少なくとも10回のコラゲナーゼ注射が、前記患部の10箇所の注射部位に投与される、(17)記載の方法。
(19)
前記EFP患部が、約1cm~約200cmの面積を有する、(1)~(18)のいずれかに記載の方法。
(20)
複数のコラゲナーゼ皮下注射が投与され、注射部位間の距離が少なくとも約1~約4cmである、(1)~(5)のいずれかに記載の方法。
(21)
前記注射部位間の距離が、約2~約3cmである、(20)に記載の方法。
(22)
前記EFP罹患領域が約10cmの長さと約8cmの幅を有する、(19)に記載の方法。
(23)
注射部位間に約2.5cmの距離が存在する、(22)に記載の方法。
(24)
各注射が、約0.5mlの容量である、(1)~(5)のいずれかに記載の方法。
(25)
各注射が、約0.1mlの容量である、(1)~(5)のいずれかに記載の方法。
(26)
1回または複数回のコラゲナーゼ皮下注射をEFP罹患領域内に投与することを含む患者のEFPを治療または低減する方法であって、前記患部に投与されるコラゲナーゼの合計用量が約5~約5000ABC単位であり、前記複数回の注射がそれぞれ約5~約200ABC単位であり、前記複数回の注射が複数箇所の注射部位に投与される、方法。
(27)
複数回のコラゲナーゼ皮下注射が、複数箇所の注射部位に投与される、(26)に記載の方法。
(28)
前記投与されるコラゲナーゼの濃度が、約50~約2000ABC単位/ミリリットルである、(26)および(27)のいずれかに記載の方法。
(29)
各コラゲナーゼ注射が、約0.5ml以下の容量で投与される(25)~(28)のいずれかに記載の方法。
(30)
前記1回の注射当たりのコラゲナーゼの用量が、約5~約200ABC単位である、(25)~(29)のいずれかに記載の方法。
(31)
前記患部に投与されるコラゲナーゼの合計用量が、約5~約2000ABC単位である、(25)~(30)のいずれかに記載の方法。
(32)
前記患部に投与されるコラゲナーゼの合計用量が、約5~約1000ABC単位である、(31)に記載の方法。
(33)
前記コラゲナーゼが、クロストリジウム・ヒストリチクムから精製される、(26)~(32)のいずれかに記載の方法。
(34)
前記コラゲナーゼが、組換え型コラゲナーゼである、(26)~(32)のいずれかに記載の方法。
(35)
前記クロストリジウム・ヒストリチクムから精製されたコラゲナーゼが、コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを含む、(33)に記載の方法。
(36)
前記コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIが、1:1の質量比で存在する、(35)に記載の方法。
(37)
少なくとも2回のコラゲナーゼ注射が、前記患部内の2箇所の注射部位に投与される、(26)~(32)のいずれかに記載の方法。
(38)
少なくとも5回のコラゲナーゼ注射が、前記患部内の5箇所の注射部位に投与される、(37)に記載の方法。
(39)
少なくとも10回のコラゲナーゼ注射が、前記患部内の10箇所の注射部位に投与される、(38)に記載の方法。
(40)
1回または複数回のコラゲナーゼ皮下注射をEFP罹患領域に投与することを含む患者のEFPを治療または低減する方法であって、1回の注射当たり前記患部に投与されるコラゲナーゼの前記用量が、約5~約200ABC単位で、前記患部に投与されるコラゲナーゼの濃度が約50~2000ABC単位/ミリリットルであり、前記複数回の注射が複数箇所の注射部位に投与される、方法。
(41)
前記複数回の注射が、複数箇所の注射部位に投与される、(40)に記載の方法。
(42)
投与コラゲナーゼ注射のそれぞれの前記容量が、約0.5ml以下である、(40)および(41)のいずれかに記載の方法。
(43)
それぞれの注射が約0.2ml以下の容量である、(40)~(42)のいずれかに記載の方法。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-07-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の結合組織の線維症(EFP)を低減する方法に用いられる医薬組成物であって、前記医薬組成物は、唯一の活性成分としてコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを1:1の質量比で含み、前記コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIは逆相高速液体クロマトグラフィーで測定した面積で少なくとも約95%の純度を有し、前記コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIが0.58ミリグラム当たり10,000ABC単位の特異的活性を有し、前記方法は、前記医薬組成物を準備し、約10cmの長さと約8cmの幅を有する線維症(EFP)罹患領域に前記医薬組成物を複数回の同時皮下注射により投与することを含み、1回の注射当たりのコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの用量が約0.00029~約0.0116ミリグラムであり、複数回の同時皮下注射により投与されるコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの合計用量が、約0.00029~約0.116ミリグラムであり、注射部位間の距離が少なくとも約1~約4cmである、医薬組成物。
【請求項2】
複数回の皮下注射が、複数箇所の注射部位に投与される請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記投与されるコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの濃度が、約0.0029~約0.116ミリグラム/ミリリットルである、、請求項1に記載の医薬組成物
【請求項4】
皮下注射が、約0.5ml以下の容量で投与される、請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬組成物
【請求項5】
1回の皮下注射当たりのコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの用量が、約0.00029~約0.0058ミリグラムである、請求項1~のいずれか1項に記載の医薬組成物
【請求項6】
1回の皮下注射当たりのコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの用量が、約0.00029~約0.0029ミリグラムである、請求項1~のいずれか1項に記載の医薬組成物
【請求項7】
前記コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIが、クロストリジウム・ヒストリチクムから精製される、請求項1~のいずれか1項に記載の医薬組成物
【請求項8】
前記コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIが、組換え型コラゲナーゼIおよび組換え型コラゲナーゼIIである、請求項1~のいずれか1項に記載の医薬組成物
【請求項9】
少なくとも2回の前記医薬組成物の皮下注射が、患部内の2箇所の注射部位に投与される、請求項1~のいずれか1項に記載の医薬組成物
【請求項10】
少なくとも5回の前記医薬組成物の皮下が、患部内の5箇所の注射部位に投与される、請求項9に記載の医薬組成物
【請求項11】
少なくとも10回の前記医薬組成物の皮下注射が、患部の10箇所の注射部位に投与される、請求項10に記載の医薬組成物
【請求項12】
前記注射部位間の距離が、約2cm~約3cmである、請求項に記載の医薬組成物
【請求項13】
注射部位間に約2.5cmの距離が存在する、請求項12に記載の医薬組成物
【請求項14】
皮下注射が、約0.5mlの容量である、請求項1~のいずれか1項に記載の医薬組成物
【請求項15】
皮下注射が、約0.1mlの容量である、請求項1~のいずれか1項に記載の医薬組成物