(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123078
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限の予測方法
(51)【国際特許分類】
G01V 11/00 20060101AFI20220816BHJP
E21B 47/06 20120101ALI20220816BHJP
E21B 49/00 20060101ALI20220816BHJP
E21B 47/04 20120101ALI20220816BHJP
【FI】
G01V11/00
E21B47/06
E21B49/00
E21B47/04
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2022099205
(22)【出願日】2022-06-20
(31)【優先権主張番号】202111248285.7
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SMALLTALK
(71)【出願人】
【識別番号】520328464
【氏名又は名称】中国科学院地質與地球物理研究所
【氏名又は名称原語表記】INSTITUTE OF GEOLOGY AND GEOPHYSICS,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】No.19 Beitucheng West Road,Chaoyang District,Beijing 100000 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】汪文洋
(72)【発明者】
【氏名】朱日祥
(72)【発明者】
【氏名】厖雄奇
(72)【発明者】
【氏名】陳掌星
(72)【発明者】
【氏名】王雅萍
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、オイル・ガス探査の技術分野に属し、具体的に、深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限の予測方法、システム、装置に関し、従来技術においてドライ層掘削遭遇比と深度との関係を直接確立してオイルプール賦存深度下限を予測することができないという問題を解決する。
【解決手段】本発明に係る方法には、海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率に作用する地質的要因を取得し、各地質的要因の絶対値を規格化するステップと、海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率の値を計算するステップと、分析によりM%の空隙率区間当たりのオイル層・水層・ドライ層の割合を得、さらにドライ層の割合と海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率の分布関係を得るステップと、再帰的推定してドライ層の割合と埋込深度との関係を得、さらに深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限を決定するステップと、が含まれる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限の予測方法であって、
海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率に作用する地質的要因を取得し、各地質的要因の絶対値を規格化し、前記地質的要因には、海相カーボナタイト貯蔵層の形成の地質年代、形成後の海相カーボナタイト貯蔵層の動的変形、埋込深度、地層温度および海相カーボナタイト貯蔵層の均質性が含まれるステップS100と、
各地質的要因に対応する影響係数に基づき、規格化された地質的要因の絶対値を結び付けて、オイル・ガス含有盆地沈積物の圧密および続成程度の数学モデルのモドレ係数を計算し、前記モドレ係数に基づき、オイル・ガス含有盆地沈積物の圧密および続成程度の数学モデルにより、海相カーボナタイト貯蔵層の相対的な圧密および続成作用を計算し、さらに海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率の値を計算し、海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率と埋込深度との関係をフィッティングするステップS200と、
採集したフォーメーションテスト資料およびウェルロギングデータを結び付けて、試掘坑の掘削遭遇目的層段階におけるオイル層・ガス層・水層の情況を分析し、M%の空隙率区間当たりのオイル層・水層・ドライ層の割合を得、さらにドライ層の割合と海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率の分布関係を得るステップS300であって、前記空隙率区間がフロントクローズバックオープンの区間であるステップS300と、
ドライ層の割合と海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率の分布関係、海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率と埋込深度との関係に基づき、再帰的推定してドライ層の割合と埋込深度との関係を得、さらに深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限を決定するステップS400と、を含むことを特徴とする、
深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限の予測方法。
【請求項2】
各地質的要因の絶対値を規格化する方法は、以下の通りであることを特徴とする、
請求項1に記載の深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限の予測方法。
海相カーボナタイト貯蔵層の形成の地質年代A/Ma:
動的変形N/構造地層単位:
海相カーボナタイト貯蔵層の埋込深度H/km:
海相カーボナタイト貯蔵層の地層温度t/℃:
海相カーボナタイト貯蔵層の均質性S:
(ただし、r
aは、平均ポアスロート半径を示し、r
maxは、最大ポアスロート半径を示す。)
【請求項3】
前記オイル・ガス含有盆地沈積物の圧密および続成程度の数学モデルのモドレ係数の計算方法は、以下の通りであることを特徴とする、
請求項2に記載の深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限の予測方法。
【数1】
(ただし、x
iは、モドレ係数を示し、a
jは、影響係数を示し、Tは、規格化された地質的要因を示す。)
【請求項4】
前記オイル・ガス含有盆地沈積物の圧密および続成程度の数学モデルは、以下の通りであることを特徴とする、
請求項3に記載の深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限の予測方法。
【数2】
(ただし、U
tは、沈積物の現在圧密・続成程度を示し、U
0は、沈積物の初期圧密・続成程度を示す。)
【請求項5】
前記海相カーボナタイト貯蔵層の相対的な圧密および続成作用の計算方法は、以下の通りであることを特徴とする、
請求項4に記載の深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限の予測方法。
【数3】
(ただし、Zは、海相カーボナタイト貯蔵層の相対的な圧密および続成作用を示す。)
【請求項6】
前記海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率の値の計算方法は、以下の通りであることを特徴とする、
請求項5に記載の深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限の予測方法。
【数4】
【数5】
(ただし、
は、海相カーボナタイト貯蔵層の現在の空隙率の値を示し、
は、カーボナタイトの圧密続成前の空隙率の初期値を示し、Z
1は、空隙率の相対変化値を示す。)
【請求項7】
深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限の予測システムであって、
海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率に作用する地質的要因を取得し、各地質的要因の絶対値を規格化するように構成され、前記地質的要因には海相カーボナタイト貯蔵層の形成の地質年代、形成後の海相カーボナタイト貯蔵層の動的変形、埋込深度、地層温度および海相カーボナタイト貯蔵層の均質性が含まれる地質的要因規格化モジュールと、
各地質的要因に対応する影響係数に基づき、規格化された地質的要因の絶対値を結び付けて、オイル・ガス含有盆地沈積物の圧密および続成程度の数学モデルのモドレ係数を計算し、前記モドレ係数に基づき、オイル・ガス含有盆地沈積物の圧密および続成程度の数学モデルにより、海相カーボナタイト貯蔵層の相対的な圧密および続成作用を計算し、さらに海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率の値を計算し、海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率と埋込深度との関係をフィッティングするように構成される空隙率計算モジュールと、
採集したフォーメーションテスト資料およびウェルロギングデータを結び付けて、試掘坑の掘削遭遇目的層段階におけるオイル層・ガス層・水層の情況を分析し、M%の空隙率区間当たりのオイル層・水層・ドライ層の割合を得、さらにドライ層の割合と海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率の分布関係を得るように構成される分布関係取得モジュールであって、前記空隙率区間がフロントクローズバックオープンの区間である分布関係取得モジュールと、
ドライ層の割合と海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率の分布関係、海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率と埋込深度との関係に基づき、再帰的推定してドライ層の割合と埋込深度との関係を得、さらに深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限を決定するように構成される深度下限決定モジュールと、を含むことを特徴とする、
深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限の予測システム。
【請求項8】
少なくとも1つのプロセッサ、および少なくとも1つの前記プロセッサに通信接続されるメモリーを含む電子装置であって、
前記メモリーには、前記プロセッサにより実行可能な命令が記憶され、
前記命令は、前記プロセッサにより実行されて請求項1~6のいずれか一項に記載の深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限の予測方法を実現するために用いられることを特徴とする、
電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイル・ガス探査の技術分野に属し、具体的に、深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限(oil accumulation depth limit of deep and ultra-deep marine carbonatite reservoirs)の予測方法、システム、装置に関する。
【背景技術】
【0002】
海相カーボナタイト(Carbonatite)は、世界中に広く存在し、中国だけでその面積が4.50×106km2超えである。近年、中国西部重ね合わせ盆地でのオイル・ガス探査は、オイル・ガスが不断に盆地の深層に向かって進むため、深層掘削井戸数が不断に増加し、掘削井戸深度も年々増加している。2019年、中国石油天然気集団有限公司によりタリム盆地において建築された掘削井戸完了リスク試掘坑である輪探1井戸は、深さが8882mに達している。8200m以下で最も深い産業的オイルプールが発見されているので、全く新しい探査分野が開拓されている。同様のオイル・ガスの探査作業は、世界中の他の国で広く行われている。ある地域でのオイル・ガス探査の見込みがどのようであるか、オイル・ガス探査がどのような深さに拡張可能であるかなどは、探鉱者が非常に注目している問題である。オイルプール賦存深度下限が試掘坑のドライ層掘削遭遇比100%に対応する深度である。現在、掘削井戸が既に8882mに突破したが、依然としてオイルプール賦存深度下限に達しないため、ドライ層掘削遭遇比と深度との関係を直接確立してオイルプール賦存深度下限を予測することができない。従って、深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限に対して計算して評価することは、この分野における石油及び天然ガス探査見込みを鋭意認識したり、石油および天然ガスの探鉱作業の効率を改善したり、探鉱作業のコストを大幅に削減したりすることに対して重要な意義を有している。これに基づき、本発明は、深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限の予測方法を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術における上記問題、即ち、ドライ層掘削遭遇比と深度との関係を直接確立してオイルプール賦存深度(油蔵賦存深度)下限を予測することができないという問題を解決するために、本発明は、
海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率に作用する地質的要因を取得し、各地質的要因の絶対値を規格化するステップS100であって、前記地質的要因には、海相カーボナタイト貯蔵層の形成の地質年代、形成後の海相カーボナタイト貯蔵層の動的変形、埋込深度、地層温度および海相カーボナタイト貯蔵層の均質性が含まれるステップS100と、
各地質的要因に対応する影響係数に基づき、規格化された地質的要因の絶対値を結び付けて、オイル・ガス含有盆地沈積物の圧密および続成程度の数学モデルのモドレ係数を計算し、前記モドレ(modeling)係数に基づき、オイル・ガス含有盆地沈積物の圧密および続成程度の数学モデルにより、海相カーボナタイト貯蔵層の相対的な圧密および続成作用を計算し、さらに海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率の値を計算し、海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率と埋込深度との関係をフィッティングするステップS200と、
採集したフォーメーションテスト資料およびウェルロギングデータを結び付けて、試掘坑の掘削遭遇目的層段階におけるオイル層・ガス層・水層の情況を分析し、M%の空隙率区間当たりのオイル層・水層・ドライ層の割合を得、さらにドライ層の割合と海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率の分布関係を得るステップS300であって、前記空隙率区間がフロントクローズバックオープンの区間であるステップS300と、
ドライ層の割合と海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率の分布関係、海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率と埋込深度との関係に基づき、再帰的推定してドライ層の割合と埋込深度との関係を得、さらに深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限を決定するステップS400と、を含む深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限の予測方法を提供する。
【0004】
一部の好適な実施形態において、各地質的要因の絶対値を規格化する方法は、以下の通りである。
海相カーボナタイト貯蔵層の形成の地質年代A/Ma:
動的変形N/構造地層単位:
海相カーボナタイト貯蔵層的埋込深度H/km:
海相カーボナタイト貯蔵層の地層温度t/℃:
海相カーボナタイト貯蔵層の均質性S:
(ただし、r
aは、平均ポアスロート半径を示し、r
maxは、最大ポアスロート半径を示す。)
【0005】
一部の好適な実施形態において、前記オイル・ガス含有盆地沈積物の圧密および続成程度の数学モデルのモドレ係数の計算方法は、以下の通りである。
【数1】
(ただし、x
iは、モドレ係数を示し、a
jは、影響係数を示し、Tは、規格化された地質的要因を示す。)
【0006】
一部の好適な実施形態において、前記オイル・ガス含有盆地沈積物の圧密および続成程度の数学モデルは、以下の通りである。
【数2】
(ただし、U
tは、沈積物の現在圧密・続成程度を示し、U
0は、沈積物の初期圧密・続成程度を示す。)
【0007】
一部の好適な実施形態において、前記海相カーボナタイト貯蔵層の相対的な圧密および続成作用の計算方法は、以下の通りである。
【数3】
(ただし、Zは、海相カーボナタイト貯蔵層の相対的な圧密および続成作用を示す。)
【0008】
一部の好適な実施形態において、前記海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率の値の計算方法は、以下の通りである。
【数4】
【数5】
(ただし、φは、海相カーボナタイト貯蔵層の現在の空隙率の値を示し、φ
0は、カーボナタイトの圧密続成前の空隙率の初期値を示し、Z
1は、空隙率の相対変化値を示す。)
【0009】
第2態様としては、本発明は、
海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率に作用する地質的要因を取得し、各地質的要因の絶対値を規格化するように構成される地質的要因規格化モジュールであって、前記地質的要因には海相カーボナタイト貯蔵層の形成の地質年代、海相カーボナタイトが形成された後の貯蔵層の動的変形、埋込深度、地層温度および海相カーボナタイト貯蔵層の均質性が含まれる地質的要因規格化モジュールと、
各地質的要因に対応する影響係数に基づき、規格化された地質的要因の絶対値を結び付けて、オイル・ガス含有盆地沈積物の圧密および続成程度の数学モデルのモドレ係数を計算し、前記モドレ係数に基づき、オイル・ガス含有盆地沈積物の圧密および続成程度の数学モデルにより、海相カーボナタイト貯蔵層の相対的な圧密および続成作用を計算し、さらに海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率の値を計算し、海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率と埋込深度との関係をフィッティングするように構成される空隙率計算モジュールと、
採集したフォーメーションテスト資料およびウェルロギングデータを結び付けて、試掘坑の掘削遭遇目的層段階におけるオイル層・ガス層・水層の情況を分析し、M%の空隙率区間当たりのオイル層・水層・ドライ層の割合を得、さらにドライ層の割合と海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率の分布関係を得るように構成される分布関係取得モジュールであって、前記空隙率区間がフロントクローズバックオープンの区間である分布関係取得モジュールと、
ドライ層の割合と海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率の分布関係、海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率と埋込深度との関係に基づき、再帰的推定してドライ層の割合と埋込深度との関係を得、さらに深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限を決定するように構成される深度下限決定モジュールと、を含む深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限の予測システムを提供する。
【0010】
第3態様としては、本発明は、
少なくとも1つのプロセッサ、および少なくとも1つの前記プロセッサに通信接続されるメモリーを含む電子装置であって、
前記メモリーには、前記プロセッサにより実行可能な命令が記憶され、
前記命令は、前記プロセッサにより実行されて上述した深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限の予測方法を実現するために用いられる電子装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の有益な効果は、以下の通りである。
【0012】
本発明は、ドライ層掘削遭遇比と深度との関係を直接確立してオイルプール賦存深度下限を予測することができないという問題を克服することができる。
【0013】
本発明は、統計分析および数値シミュレーション研究を行い、最終に深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限の予測方法を確立することにより、深層-超深層海相カーボナタイトオイルプール探査見込みを掲示したり、石油および天然ガスの探鉱作業の効率を改善したり、探鉱作業のコストを大幅に削減したりすることに対して重要な意義を有している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下の図面を参照して行われる非限定的な実施例に対する詳細な説明を閲読することにより、本発明の他の特徴、目的及び利点は、より明らかになる。
【0015】
【
図1】本発明の一実施例における深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限の予測方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の一実施例における深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限の予測システムの構造模式図である。
【
図3】本発明の一実施例におけるタリム盆地塔中地域のオルドビス紀下部(Low Ordovician)カーボナタイト空隙率の埋込深度に従う変化の実際の資料と数値シミュレーション結果の比較模式図である。
【
図4】本発明の一実施例におけるタリム盆地塔中地域の試掘坑で掘削遭遇したオルドビス紀下部海相カーボナタイト貯蔵層の流体性質と空隙率の変化模式図である。
【
図5】本発明の一実施例におけるタリム盆地塔中地域のオルドビス紀下部カーボナタイトオイルプール賦存下限深度の予測結果の模式図である。
【
図6】本発明の一実施形態における、本出願の実施形態の電子デバイスを実施するのに適したコンピュータシステムの概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術案を明確且つ完全に説明する。説明される実施例は、本発明の一部の実施例であり、すべての実施例ではないことは明らかである。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を払わずに得られるすべての他の実施例は、本発明の範囲に属している。
【0017】
以下、図面及び実施例を参照しながら、本発明について更に詳しく説明する。ここで記載される具体的な実施例は、本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではないことを理解すべきである。なお、衝突しない限り、本発明における実施例および実施例における特徴は、互いに組み合わせることができる。
【0018】
本発明の第1実施例における深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限の予測方法は、
図1に示すように、
海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率に作用する地質的要因を取得し、各地質的要因の絶対値を規格化するステップS100であって、前記地質的要因には、海相カーボナタイト貯蔵層の形成の地質年代、形成後の海相カーボナタイト貯蔵層の動的変形、埋込深度、地層温度および海相カーボナタイト貯蔵層の均質性が含まれるステップS100と、
各地質的要因に対応する影響係数に基づき、規格化された地質的要因の絶対値を結び付けて、オイル・ガス含有盆地沈積物の圧密および続成程度の数学モデルのモドレ係数を計算し、前記モドレ(modeling)係数に基づき、オイル・ガス含有盆地沈積物の圧密および続成程度の数学モデルにより、海相カーボナタイト貯蔵層の相対的な圧密および続成作用を計算し、さらに海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率の値を計算し、海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率と埋込深度との関係をフィッティング するステップS200と、
採集したフォーメーションテスト資料およびウェルロギングデータを結び付けて、試掘坑の掘削遭遇目的層段階におけるオイル層・ガス層・水層の情況を分析し、M%の空隙率区間当たりのオイル層・水層・ドライ層の割合を得、さらにドライ層の割合と海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率の分布関係を得るステップS300であって、前記空隙率区間がフロントクローズバックオープンの区間であるステップS300と、
ドライ層の割合と海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率の分布関係、海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率と埋込深度との関係に基づき、再帰的推定してドライ層の割合と埋込深度との関係を得、さらに深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限を決定するステップS400と、を含む。
【0019】
以下、本発明に係る深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限の予測方法をより明らかに説明するために、図面を結び付けて本発明の方法実施例における各ステップについて詳しく説明する。
【0020】
本発明は、以下の技術案を講じた。深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限の予測方法であって、1)海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率の埋込深度に従う変化過程を特徴付けるステップと、2)海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率とドライ層の割合との関係を決定するステップと、3)ドライ層の割合と空隙率、空隙率と埋込深度との関係を連立した、ドライ層の割合の埋込深度に従う変化関係に基づき、深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限を決定するステップと、を含む。具体的な処理過程は、以下の通りである。
【0021】
ステップS100:海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率に作用する地質的要因を取得し、各地質的要因の絶対値を規格化する。前記地質的要因には海相カーボナタイト貯蔵層の形成の地質年代、形成後の海相カーボナタイト貯蔵層の動的変形、埋込深度、地層温度および海相カーボナタイト貯蔵層の均質性が含まれる。
【0022】
本実施例において、BuryakovskyおよびDzhevanshirが1976年に提出した、オイル・ガス含有盆地沈積物の圧密および続成程度を計算するための数学モデルが用いられる。その基本的な形態は、以下の通りである。
【数6】
(ただし、U
tは、沈積物の現在圧密・続成程度を示し、U
0は、沈積物の初期圧密・続成程度を示す。)
【0023】
オイル・ガス含有盆地沈積物の圧密および続成程度の数学モデルを確立するための要件は、各々のモデル係数(モドレ係数とも呼ばれる)xiが独立するものである。モデル係数について、主に、一部の地質的要因の海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率に対する作用が考えられる。それらの地質的要因には、海相カーボナタイト貯蔵層の形成の地質年代、形成後の海相カーボナタイト貯蔵層の動的変形(すなわち、構造旋回回数)、埋込深度、地層温度および海相カーボナタイト貯蔵層の均質性が含まれる。計算のために、各地質的要因の絶対値に対して規格化変換を行う必要がある。充分の研究により、各地質的要因の規格化数式が得られる(表1)。
【0024】
【表1】
(ただし、r
aは、平均ポアスロート半径を示し、r
maxは、最大ポアスロート半径を示す。)
【0025】
ステップS200:各地質的要因に対応する影響係数に基づき、規格化された地質的要因の絶対値を結び付けて、オイル・ガス含有盆地沈積物の圧密および続成程度の数学モデルのモドレ係数を計算し、前記モドレ係数に基づき、オイル・ガス含有盆地沈積物の圧密および続成程度の数学モデルにより、海相カーボナタイト貯蔵層の相対的な圧密および続成作用を計算し、さらに海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率の値を計算し、海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率と埋込深度との関係をフィッティングする。
【0026】
各々の影響要因は、海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率に対する影響程度が異なる。そのため、大量の実験研究により、表2に示すように、その影響係数には、強、中、弱という3つのレベルが含まれることが決定される。
【0027】
【0028】
本実施例において、数式(2)で示されるように、各地質的要因に対応する影響係数に基づき、規格化された地質的要因の絶対値を結び付けて、オイル・ガス含有盆地沈積物の圧密および続成程度の数学モデルのモドレ係数を計算する。
【数7】
(ただし、x
iは、モドレ係数を示し、a
jは、影響係数を示し、表2から検索可能であり、Tは、規格化された地質的要因を示し、表1から検索可能である。)
【0029】
数式(3)で示されるように、前記モドレ係数に基づき、オイル・ガス含有盆地沈積物の圧密および続成程度の数学モデルにより、海相カーボナタイト貯蔵層の相対的な圧密および続成作用であって海相カーボナタイト貯蔵層岩石の相対変化程度を計算する。
【数8】
(ただし、Zは、海相カーボナタイト貯蔵層の相対的な圧密および続成作用を示す。)
【0030】
海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率の計算数式は、以下の通りである。
【数9】
【数10】
(ただし、φは、海相カーボナタイト貯蔵層の現在の空隙率の値を示し、単位は%であり、φ
0は、カーボナタイトの圧密続成前の空隙率の初期値を示し、単位は%であり、Z
1は、空隙率の相対変化値を示し、無次元である。)
【0031】
また、海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率の埋込深度に従う変化過程を特徴付けることに対しては、本発明において、対応するコンピューターの処理過程、モジュールアプリケーションおよびダイアグラム出力が与えられる。
【0032】
1)コンピューターの処理:
【0033】
ブロック1:影響程度の5つの影響係数を入力する。
【0034】
ブロック2:1000群の貯蔵層(すなわち、海相カーボナタイト貯蔵層)の地質年代シミュレーション区間の乱数を生成する。
【0035】
ブロック3:1000群の貯蔵層の埋込深度シミュレーション区間の乱数を生成する。
【0036】
ブロック4:1000群の形成後の貯蔵層の動的変形シミュレーション区間の乱数を生成する。
【0037】
ブロック5:1000群の地層温度シミュレーション区間の乱数を生成する。
【0038】
ブロック6:1000群の貯蔵層の均質係数シミュレーション区間の乱数を生成する。
【0039】
ブロック7:数式3に基づき、海相カーボナタイト貯蔵層の相対的な圧密作用および続成程度値Zを得る。
【0040】
ブロック8:数式4に基づき、海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率の相対変化値Z1を得る。
【0041】
ブロック9:数式5に基づき、海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率シミュレーション演算を行う。
【0042】
ブロック10:フィッティングしたカーボナタイト空隙率と埋込深度との関係のスキャッタグラムを出力する。
【0043】
2)モジュールアプリケーションおよびダイアグラム出力:
【0044】
ブロック1:非線形フィッティングモジュール法(Nonlinear Fitting Block Method) nonlinear fitting block method)により、海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率と埋込深度をフィッティングし(多項式)、貯蔵層の空隙率と埋込深度の非線形方程および95%の信頼区間パラメータを得る。
【0045】
ブロック2:海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率パラメータの埋込深度に従う変化図を作成する。
【0046】
タリム盆地は、中国の最大のオイル・ガス含有盆地であり、中国西部の新疆に地理的に位置し、有名な天山フォールド紀およびクンルン山フォールド紀の育成領域であり、沈積盆地の面積が約56×104m2である。タリム盆地は、シルル紀の下の地層が海相カーボナタイト沈積であり、目的層のオルドビス紀下部がオイル・ガスの主な貯蔵層および産出層であり、探査家が最も注目している層の1つであり、盆地塔中地域のオルドビス紀下部カーボナタイト掘削井戸のうち、この層までに掘削した埋込深度が3356mおよび6744mにおいて分布する。
【0047】
本発明において、タリム盆地を例として、タリム盆地塔中地域のオルドビス紀下部海相カーボナタイトの貯蔵層の空隙率が埋込深度に従う変化過程が特徴付けられる。具体的に以下の通りである。
【0048】
タリム盆地塔中地域のオルドビス紀下部イーグルマウンテンフォーメーション(Lower Ordovician Yingshan Formation)海相カーボナタイト貯蔵層の物性を決定した地質影響要因には、主に、埋込深度、地質年代、地層温度、形成後の貯蔵層の動的変形および賦存均質性が含まれる。そして、海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率の埋込深度に従う変化過程を特徴付けるために必要なパラメータを決定する。表3に示すように、ステップS100およびS200に基づき、塔中地域のオルドビス紀下部海相カーボナタイト貯蔵層の地表から10000m深さまでの変化過程およびその空隙率の変化をシミュレーションし、その結果を
図3に示す。貯蔵層は、盆地の浅層に大きな空隙率を有し、2000m前に20%の空隙率を有するが、盆地の中層に進入した後、空隙率の降下幅が大きくなり、僅かに8%~12%であり、継続して盆地の深層に進入した後、その空隙率の値が2%~6%に降下し、盆地の深層に進入した後、その空隙率の降下幅が小さくなる。貯蔵層の空隙率は、埋込深度の増加に従って傾向的に低減する規律を示す。浅層段階における低減が速く、深層段階における低減が遅いが、10000m以降、その空隙率の値が小さく、僅かに1.2%である。
【0049】
【0050】
ステップS300:採集したフォーメーションテスト資料およびウェルロギングデータを結び付けて、試掘坑の掘削遭遇目的層段階におけるオイル層・ガス層・水層の情況を分析し、M%の空隙率区間当たりのオイル層・水層・ドライ層の割合を得、さらにドライ層の割合と海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率の分布関係を得る。前記空隙率区間は、フロントクローズバックオープンの区間である。
【0051】
掘削結果の分析に基づき、一般的に、埋込深度が浅い目的層内に、主に水層に掘削遭遇し、さらに深層へと掘削すると、順にオイル層、水層およびドライ層に掘削遭遇し、深度がさらに増加した後、ドライ層に100%掘削遭遇する。収集したフォーメーションテスト資料およびウェルロギングデータに基づき、試掘坑の掘削遭遇目的層段階におけるオイル層・ガス層・水層の情況を分析し、M%の空隙率区間(フロントクローズバックオープンの区間)当たりのオイル層・水層・ドライ層の割合を得、ドライ層の割合と空隙率の分布関係を得る。本発明において、Mは、0以上の整数であり、0.5とすることが好ましい。
【0052】
本実施例において、収集したフォーメーションテスト資料およびウェルロギングデータに基づき、塔中地域の試掘坑の掘削遭遇目的層段階における3853個のオイル層・ガス層・水層の情況を分析し、0.5%の空隙率区間当たりのオイル層・水層・ドライ層の割合を得る。
図4に示すように、オイルプール賦存下限の臨界条件を直観的に示すことができる。これから分かるように、貯蔵層の空隙率が8%超えると、ほとんどすべてがオイル層および水層に掘削遭遇し、貯蔵層の空隙率が低減すると、掘削遭遇したオイル層、水層が低減するが、ドライ層が徐々に増加し、貯蔵層の空隙率が1.5%~2%の区間(フロントクローズバックオープンの区間)に低減すると、ドライ層の割合が92%に増加し、貯蔵層の空隙率がさらに1%~1.5%の区間に低減すると、ドライ層の割合が100%である。
【0053】
ステップS400:ドライ層の割合と海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率の分布関係、海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率と埋込深度との関係に基づき、再帰的推定してドライ層の割合と埋込深度との関係を得、さらに深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限を決定する。
【0054】
本実施例において、ステップS100およびS200で決定された空隙率と埋込深度との関係、ステップS300で決定されたドライ層の割合と空隙率との関係を連立したドライ層の割合の埋込深度に従う変化関係に基づき、ドライ層の割合100%に対応する深度が賦存深度下限であることを決定する。これに基づき、深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限を決定する。
【0055】
まず、貯蔵層の物性の、深度に従う変化過程(
図5a)を確立し、次にドライ層の割合と空隙率、空隙率と埋込深度との関係を連立して、ドライ層の割合の、埋込深度に従う変化関係を得る(
図5b)。
図5cは、三者の関係である。
図5は、塔中地域のオルドビス紀下部カーボナタイトオイルプール賦存深度下限の予測方法および結果を示している。これにより、タリム盆地塔中地域のオルドビス紀下部深層-超深層カーボナタイトオイルプール賦存下限深度が9000mに達すると予測することができる。しかし、現在、塔中地域のオルドビス紀下部海相カーボナタイト貯蔵層の最大埋込深度が8000mを超えないので、この地層において深層カーボナタイトオイルプール探査を行うことが実行可能で、有望であることを証明することができる。
【0056】
本発明の第2実施例における深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限の予測システムは、
図2に示すように、
海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率に作用する地質的要因を取得し、各地質的要因の絶対値を規格化するように構成される地質的要因規格化モジュール100であって、前記地質的要因には海相カーボナタイト貯蔵層の形成の地質年代、形成後の海相カーボナタイト貯蔵層の動的変形、埋込深度、地層温度および海相カーボナタイト貯蔵層の均質性が含まれる地質的要因規格化モジュール100と、
各地質的要因に対応する影響係数に基づき、規格化された地質的要因の絶対値を結び付けて、オイル・ガス含有盆地沈積物の圧密および続成程度の数学モデルのモドレ係数を計算し、前記モドレ係数に基づき、オイル・ガス含有盆地沈積物の圧密および続成程度の数学モデルにより、海相カーボナタイト貯蔵層の相対的な圧密および続成作用を計算し、さらに海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率の値を計算し、海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率と埋込深度との関係をフィッティングするように構成される空隙率計算モジュール200と、
採集したフォーメーションテスト資料およびウェルロギングデータを結び付けて、試掘坑の掘削遭遇目的層段階におけるオイル層・ガス層・水層の情況を分析し、M%の空隙率区間当たりのオイル層・水層・ドライ層の割合を得、さらにドライ層の割合と海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率の分布関係を得るように構成される分布関係取得モジュール300であって、前記空隙率区間がフロントクローズバックオープンの区間である分布関係取得モジュール300と、
ドライ層の割合と海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率の分布関係、海相カーボナタイト貯蔵層の空隙率と埋込深度との関係に基づき、再帰的推定してドライ層の割合と埋込深度との関係を得、さらに深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限を決定するように構成される深度下限決定モジュール400と、を含む。
【0057】
当業者であれば、説明を容易にするために、上述したシステムの具体的な動作過程および関連説明は、上述した方法実施例における対応する過程を参照することができるので、ここで繰り返し説明しないことを理解すべきである。
【0058】
なお、上記実施例に係る深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限の予測システムは、上記各機能モジュールの区画のみを例として説明する。実際の適用において、必要に応じて、様々な機能モジュールにより上記機能を実現させることができる。つまり、上述した全て又は一部の機能を完了するように、本発明の実施例におけるモジュールまたはステップを分割しまたは組合せ、たとえば、上記実施例におけるモジュールを1つのモジュールに合併してもよいし、さらに複数のサブモジュールに分割してもよい。本発明の実施例に係るモジュールやステップの名称については、各モジュールまたはステップを区別するためのものに過ぎず、本発明を限定するものと見なされるべきではない。
【0059】
本発明の第3実施例における電子装置は、少なくとも1つのプロセッサ、および少なくとも1つの前記プロセッサに通信接続されるメモリーを含む電子装置であって、前記メモリーには、前記プロセッサにより実行可能な命令が記憶され、前記命令は、前記プロセッサにより実行されて請求項に記載される深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限の予測方法を実現するために用いられる。
【0060】
当業者であれば、説明を容易にするために、上述した電子装置の具体的な動作過程および関連説明は、上述した方法実施例における対応する過程を参照することができるので、ここで繰り返し説明しないことを理解すべきである。
【0061】
本発明は、また、深度下限計算装置、サーバー、掘削装置自動貯蔵デバイスを含む、深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限に基づく一種の掘削装置構成システムを提供している。前記深度下限計算装置は、深層-超深層海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度下限の予測方法に基づいて海相カーボナタイトのオイルプール賦存深度の下限を計算し、該深度の下限を最大掘削深度とするように構成されている。前記サーバーは、表面から最大掘削深度までの温度曲線を計算し、掘削計画で選択されたドリルビットタイプに対して、適用された掘削深度により、且つ上記の温度曲線に基づいて、ドリルビットの温度許容パラメータを選択し、ドリルビットタイプ番号の倉庫外指示(Out-of-warehouse Instructions)を生成するように構成されている。前記掘削装置自動貯蔵デバイスは、ドリルビットタイプ番号の倉庫外指示に基づいてドリルビットを選択し、伝送装置を介して倉庫から出力するように構成されている。
【0062】
温度計算式は
である。
(ただし、T
H、T
0はそれぞれ坑井深度Hの温度と坑口の表面温度(℃)、Hは坑井深度(m)である。)
【0063】
掘削計画で選択されたドリルビットタイプ情報は、必要なドリルビットタイプ、ドリルビットが適用される掘削深度、必要なドリルビット数など、入力デバイスを介してサーバーに入力されている。
【0064】
ドリルビットタイプ番号の倉庫外指示には、選択したドリルビットタイプ番号と数量が含まれている。
【0065】
以下、
図6を参照し、そこには、本願の方法、システム、装置の実施例を実現するのに適したサーバーのコンピュータシステムの構造模式図が示されている。
図6に示すサーバーは、1つの例示的なものに過ぎず、本願の実施例の機能及び使用範囲にいかなる限定も与えるべきではない。
【0066】
図6に示すように、コンピュータシステムは、リードオンリーメモリ(ROM,Read Only Memory)602に格納されるプログラム、又は格納部608からランダムアクセスメモリ(RAM,Random Access Memory)603にロードされるプログラムに応じて各種適切な動作及び処理を実行可能な中央処理ユニット(CPU,Central Processing Unit)601を備える。RAM603には、システムの操作に必要な各種のプログラム及びデータがさらに格納されている。CPU601、ROM602及びRAM603は、互いにバス604を介して繋がる。入力/出力(I/O,Input/Output)インタフェース605もバス604に接続される。
【0067】
以下の部材、即ち、キーボード、マウスなどを含む入力部606と、例えば陰極線管(CRT,Cathode Ray Tube)、液晶ディスプレイ(LCD,Liquid Crystal Display)など、及びスピーカなどを含む出力部607と、ハードディスクなどを含む格納部608と、例えばLAN(ローカルネットワーク,Local Area Network)カード、モデムなどのネットワークインタフェースカードを含む通信部609とは、I/Oインタフェース605に接続される。通信部609は、例えばインターネットのネットワークを介して通信処理を実行する。ドライバ610も必要に応じてI/Oインタフェース605に接続される。リムーバブルメディア611、例えば磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどは、必要に応じてドライバ610に取り付けられ、これにより、そこから読み取られたコンピュータプログラムは、必要に応じて格納部608にインストールされることが容易になる。
【0068】
特に、本開示の実施例によれば、上記フローチャートを参照して説明された過程は、コンピュータソフトウェアプログラムとして実現されることができる。例えば、本開示の実施例は、コンピュータ可読媒体に載せられたコンピュータプログラムが備えられるコンピュータプログラム製品を含み、該コンピュータプログラムは、フローチャートに示す方法を実行するためのプログラムコードを備える。このような実施例において、該コンピュータプログラムは、通信部609を介して、ネットワークからダウンロード及びインストールされることができる、及び/又はリムーバブルメディア611からインストールされる。該コンピュータプログラムが中央処理ユニット(CPU601)に実行されると、本願の方法で限定される上記機能が実行される。なお、本発明に係るコンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータ読み取り可能な信号媒体またはコンピュータ読み取り可能な記憶媒体または上記両者の任意の組合せであってもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、たとえば、電気、磁気、光、電磁気、赤外線、または半導体のシステム、装置またはデバイス、または任意の以上の組合せを含んでもよいがこれらに限定されない。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体のより具体例は、1つまたは複数のワイヤを有する電気的接続、ポータブルコンピュータディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリー(RAM)、読み取り専用メモリー(ROM)、消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリー(EPROMまたはフラッシュメモリー)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリー(CD-ROM)、光ストレージコンポーネント、磁気ストレージデバイス、または上記任意の接的な組合せを含んでもよいがこれらに限定されない。本発明において、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、いずれのプログラムを含むまたは記憶する有形媒体であってもよく、該プログラムは、命令実行システム、装置またはデバイスで使用されるか、またはそれと組み合わせて使用させてもよい。本発明において、コンピュータ読み取り可能な信号媒体は、ベースバンドに含まれてもよいか、またはキャリアウェーブの一部として伝送する、コンピュータ読み取り可能なプログラムコードが載せられたデータ信号であってもよい。このような伝送するデータ信号は、複数種の形態を利用することができ、電磁信号、光信号または上記の任意の適当な組合せを含むが、これらに限定されない。コンピュータ読み取り可能な信号媒体は、さらに、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体以外のいずれのコンピュータ読み取り可能な媒体であってもよく、該コンピュータ読み取り可能な媒体は、命令実行システム、装置またはデバイスで使用されるか、またはそれと組み合わせて使用するプログラムを送信、伝送または輸送することができる。コンピュータ読み取り可能な媒体に含まれるプログラムコードは、任意の適当な媒体で輸送されることができ、無線、ワイヤ、光ケーブル、RF(無線周波数)など、または上記の任意の適合な組合せを含むが、これらに限定されない。
【0069】
1種または複数種のプログラムデザイン言語またはその組合せで本発明の操作を実行するためのコンピュータプログラムコードを書き、上記プログラムデザイン言語は、オブジェクト指向プログラミング言語、たとえば、Java(登録商標)、Smalltalk、C++を含み、従来の手続型プログラムデザイン言語、たとえば「C」言語または類似のプログラムデザイン言語をさらに含む。プログラムコードは、完全にユーザコンピュータで実行され、部分的にユーザコンピュータで実行され、1つの独立なソフトウェアパッケージとして実行され、部分的にユーザコンピュータで部分的にリモートコンピュータで実行され、または完全にリモートコンピュータまたはサーバーで実行されてもよい。リモートコンピュータに関する状況において、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークによってユーザコンピュータに接続されることができ、或いは、外部コンピュータに接続される(たとえば、インターネットサービスプロバイダを用いてインターネットによって接続される)ことができる。
【0070】
図面におけるフローチャートとブロック図は、本発明の各種の実施例に係るシステム、方法及びコンピュータプログラム製品の実現可能なシステムアーキテクチャ、機能及び操作を示す。この点では、フローチャートまたはブロック図における各ボックスは1つのモジュール、プログラムセグメント、またはコードの一部を代表することができ、該モジュール、プログラムセグメント、またはコードの一部が1つまたは複数の所定のロジック機能を実現するための実行可能な命令を含む。注意すべきものとして、幾つかの切り替え可能な実現において、ボックスに表記した機能も図面に表記した順序と異なるもので発生することができる。例えば、2つの連続して示すボックスは実際に基本的に並行して実行でき、それらは関連する機能によれば、逆の順序で実行される場合がある。また、注意する必要があるものとして、ブロック図及び/またはフローチャートにおける各ボックス、及びブロック図及び/またはフローチャートにおけるボックスの組み合わせは、所定の機能または操作を実行する専用のハードウェアに基づくシステムで実現されることができるか、または専用のハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせで実現されることができる。
【0071】
用語「含む」または他の類似用語は、非排他的に含むことを意味する。したがって、一連の要素を含む過程、方法、物または装置/デバイスには、それらの要素に加え、その他明示しない要素、または、それらの固有する要素を含むことができる。
【0072】
ここに至って、図面に示す好適な実施形態を結び付けて本発明の技術案について説明したが、当業者であれば、本発明の保護範囲は、これらの具体的な実施形態に限定されないことを理解すべきである。本発明の原理から逸脱しない限り、当業者が関連技術特徴に対して均等な変更または置換を行うことができ、これらの変更または置換された技術案は、本発明の保護範囲に含まれるべきである。