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  • 特開-複数の回転翼を有する飛行体 図1
  • 特開-複数の回転翼を有する飛行体 図2
  • 特開-複数の回転翼を有する飛行体 図3
  • 特開-複数の回転翼を有する飛行体 図4
  • 特開-複数の回転翼を有する飛行体 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123162
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】複数の回転翼を有する飛行体
(51)【国際特許分類】
   B64D 35/08 20060101AFI20220817BHJP
   B64C 27/08 20060101ALI20220817BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20220817BHJP
   B64D 25/00 20060101ALN20220817BHJP
【FI】
B64D35/08
B64C27/08
B64C39/02
B64D25/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2019128988
(22)【出願日】2019-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】519015117
【氏名又は名称】株式会社SkyDrive
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】野村 敦
(57)【要約】
【課題】本発明は、複数の回転翼を有する飛行体において、動力源トラブルが発生した場合に、安全に移動または着陸することを課題とする。
【解決手段】本発明によるプロペラ及び当該プロペラを駆動させる推進機構を備える回転翼を複数有する飛行体であって、前記飛行体は、本体部と、前記本体部に接続される複数の回転翼と、前記複数の回転翼に接続され、前記推進機構のそれぞれに動力を伝える複数の動力源を備えており、前記複数の回転翼は、前記飛行体の前記本体部を挟んで対角に配置される回転翼で対をなし、前記対をなす回転翼を組として、前記動力源の各々が少なくとも1組の前記推進機構にそれぞれ接続される。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロペラ及び当該プロペラを駆動させる推進機構を備える回転翼を複数有する飛行体であって、
前記飛行体は、本体部と、前記本体部に接続される複数の回転翼と、前記複数の回転翼に接続され、前記推進機構のそれぞれに動力を伝える複数の動力源を備えており、
前記複数の回転翼は、前記飛行体の前記本体部を挟んで対角に配置される回転翼で対をなし、前記対をなす回転翼を組として、前記動力源の各々が少なくとも1組の前記推進機構にそれぞれ接続される、
ことを特徴とする飛行体。
【請求項2】
前記組は、2組以上である、
ことを特徴とする請求項1に記載の飛行体。
【請求項3】
前記動力源の少なくとも1つは、複数の組に接続されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の飛行体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の回転翼を有する飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、回転翼機であるヘリコプタにおいて、飛行中に何らかのエンジントラブルが発生し、メインロータに回転エネルギーが供給できなくなった場合に安全に着陸する方法として、オートローテーション飛行というものがある。これについて特許文献1には、小型無人ヘリコプタ機体においてオートローテーション飛行を自律的に制御するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-335185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、複数の回転翼を有する飛行体(以下、有人や無人に限らず「マルチコプタ」と総称することがある。)が産業に利用され始めているが、マルチコプタはヘリコプタと比較して小さいプロペラを複数枚装着して飛行している。そのため、飛行中に動力源(例えばバッテリなど)トラブルが発生した場合には、ヘリコプタのようにオートローテーション飛行に必要なエネルギーが得られないので、安全に着陸するためにはオートローテーション飛行に代わる対策が必要となる。
【0005】
特に、従来のマルチコプタは、動力源が1つであるため、動力源でトラブルが発生した場合には、モータ及びプロペラ(以下、「回転翼」と総称することがある。)を動かすために必要なエネルギーを得ることができない。その対策として、補助動力源を搭載することも可能であるが、判定動作や切換制御などのためにフライトコントローラの処理が複雑化する。
【0006】
また、互いに反対方向に回転する2つのプロペラを同軸に上下に備えた同軸二重反転ロータを含む回転翼を有するマルチコプタにおいても、上述の課題を解決する手段については未だ検討がされていない。
【0007】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、特に、マルチコプタにおいて、動力源トラブルが発生した場合に、安全に移動または着陸可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、プロペラ及び当該プロペラを駆動させる推進機構を備える回転翼を複数有する飛行体であって、前記飛行体は、本体部と、前記本体部に接続される複数の回転翼と、前記複数の回転翼に接続され、前記推進機構のそれぞれに動力を伝える複数の動力源を備えており、前記複数の回転翼は、前記飛行体の前記本体部を挟んで対角に配置される回転翼で対をなし、前記対をなす回転翼を組として、前記動力源の各々が少なくとも1組の前記推進機構にそれぞれ接続される、ことを特徴とする飛行体。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、特に、マルチコプタにおいて、動力源トラブルが発生した場合に、安全に移動または着陸することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態における飛行体のハードウェア構成を例示するブロック図である。
図2】本発明の実施の形態におけるバッテリーとモータとの詳細な接続構成を示すブロック図である。
図3図2の構成において動力源のトラブルが発生した際の一例を示す図である。
図4】本発明の他の実施の形態におけるバッテリーとモータとの詳細な接続構成を示すブロック図である。
図5図4の構成において動力源のトラブルが発生した際の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態による複数の回転翼を有する飛行体及び飛行方法は、以下のような構成を備える。
[項目1]
プロペラ及び当該プロペラを駆動させる推進機構を備える回転翼を複数有する飛行体であって、
前記飛行体は、本体部と、前記本体部に接続される複数の回転翼と、前記複数の回転翼に接続され、前記推進機構のそれぞれに動力を伝える複数の動力源を備えており、
前記複数の回転翼は、前記飛行体の前記本体部を挟んで対角に配置される回転翼で対をなし、前記対をなす回転翼を組として、前記動力源の各々が少なくとも1組の前記推進機構にそれぞれ接続される、
ことを特徴とする飛行体。
[項目2]
前記組は、2組以上である、
ことを特徴とする項目1に記載の飛行体。
[項目3]
前記動力源の少なくとも1つは、複数の組に接続されている、
ことを特徴とする項目1または2に記載の飛行体。
【0012】
<実施の形態の詳細>
以下、本発明の実施の形態による複数の回転翼を有する飛行体及び当該飛行体における飛行方法について説明する。添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号及び名称が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0013】
図1は、飛行体1のハードウェア構成を例示するブロック図である。本体部10は、フライトコントローラ11、ESC14、送受信部17、バッテリー18を含んでいる。なお、本体部10が有する構成は、図示されたものに限らない。
【0014】
フライトコントローラ11は、プログラマブルプロセッサ(例えば、中央演算処理装置(CPU))などの1つ以上のプロセッサを有することができる。また、フライトコントローラ11は、メモリ111を有しており、当該メモリにアクセス可能である。メモリ111は、1つ以上のステップを行うためにフライトコントローラが実行可能であるロジック、コード、および/またはプログラム命令を記憶している。さらに、フライトコントローラ11は、慣性センサ(加速度センサ、ジャイロセンサ)、GPSセンサ、近接センサ(例えば、ライダー)等のセンサ類112を含みうる。
【0015】
メモリ111は、例えば、SDカードやランダムアクセスメモリ(RAM)などの分離可能な媒体または外部の記憶装置を含んでいてもよい。カメラ/センサ類12から取得したデータは、メモリ111に直接に伝達されかつ記憶されてもよい。例えば、カメラ等で撮影した静止画・動画データが内蔵メモリ又は外部メモリに記録される。カメラ12は飛行体1にジンバル13を介して設置される。
【0016】
フライトコントローラ11は、飛行体の状態を制御するように構成された図示しない制御モジュールを含んでいる。例えば、制御モジュールは、6自由度(並進運動x、y及びz、並びに回転運動θ、θ及びθ)を有する飛行体の空間的配置、速度、および/または加速度を調整するために、ESC14(Electric Speed Controller)を経由して飛行体の推進機構(モータ15等)を制御する。バッテリー18から給電されるモータ15によりプロペラ16が回転することで飛行体の揚力を生じさせる。制御モジュールは、搭載部、センサ類の状態のうちの1つ以上を制御することができる。
【0017】
なお、本発明の実施の形態におけるバッテリー18と少なくともモータ15との詳細な接続構成については、後述する。また、モータ15とバッテリー18は、推進機構と動力源であれば、具体的な構成は、これらに限らず、例えば内燃機関と燃料タンクなどでもよいし、複数種類を組み合わせた構成(いわゆる、ハイブリッド)としてもよい。
【0018】
フライトコントローラ11は、1つ以上の外部のデバイス(例えば、送受信機(プロポ)19、端末、表示装置、または他の遠隔の制御器)からのデータを送信および/または受け取るように構成された送受信部17と通信可能である。送受信機19は、有線通信または無線通信などの任意の適当な通信手段を使用することができる。
【0019】
例えば、送受信部17は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、赤外線、無線、WiFi、ポイントツーポイント(P2P)ネットワーク、電気通信ネットワーク、クラウド通信などのうちの1つ以上を利用することができる。
【0020】
送受信部17は、センサ類12で取得したデータ、フライトコントローラ11が生成した処理結果、所定の制御データ、端末または遠隔の制御器からのユーザコマンドなどのうちの1つ以上を送信および/または受け取ることができる。
【0021】
本実施の形態によるセンサ類12は、慣性センサ(加速度センサ、ジャイロセンサ)、GPSセンサ、近接センサ(例えば、ライダー)、またはビジョン/イメージセンサ(例えば、カメラ)を含み得る。
【0022】
なお、飛行体1は、例えば、有人飛行や配達、測量、点検などの用途を勘案し、図示しない構成(例えば、座面や操縦用装置、荷物台など)を有してもよいし、図示している構成(例えば、カメラ/センサ類など)が省略されてもよい。
【0023】
図2及び図3では、本発明の実施の形態におけるバッテリー18とモータ15との詳細な接続構成と、当該接続構成に基づく飛行方法について例示する。本例では、6つの回転翼を有する構成を示す。なお、バッテリー18と他の構成(例えば、ESC14など)との接続関係については、本発明の効果が得られる範囲内であれば特に限定されない。
【0024】
バッテリー18は、飛行体1の本体部10を挟んで対角に配置されるプロペラ16で対をなし、対をなすプロペラ16ごとにバッテリー18をそれぞれ接続することができる。より具体的な例として、図2では、モータ151Aおよびモータ151Bが対をなしてバッテリー181に接続されており、モータ152Aおよびモータ152Bが対をなしてバッテリー182に接続されており、モータ153Aおよびモータ153Bが対をなしてバッテリー183に接続されている。なお、各バッテリー181-183は、従来のバッテリーよりも小容量かつ軽量のものであってもよい。
【0025】
図3では、動力源のトラブルの例として、バッテリー181が故障した場合を例示する。このような場合であっても、従来とは異なり、バッテリー18が複数のバッテリー181-183で構成されているため、残りのバッテリー182及び183に接続されるモータおよびプロペラの動作を維持することが可能である。したがって、これらから得られるエネルギーによって安全に移動または着陸をすることができる。また、フライトコントローラ11等による制御を伴わずに対になるプロペラを実質的に同時に停止することができるので、迅速かつ簡便にバランスを取りながら安全に移動または着陸をすることができる。なお、例えば、残りのバッテリー182及び183に接続されるモータの駆動力は、バッテリー181の故障に応じて平常時よりも大きく設定されてもよい。それにより、残ったプロペラによる移動や着陸をより安定させることができる。
【0026】
図2及び図3では、6つの回転翼を有する構成あったが、これに限定されることはなく、マルチコプタとして飛行可能であれば、例えば8つの回転翼を有する構成(いわゆる、オクトコプター)やそれ以上であってもよい。その際、個々のバッテリーに例えば二対(二組)以上の回転翼を接続してもよい。また、4つの回転翼を有する場合には、残った一対(一組)の回転翼のみで上下の移動または着陸をすることも可能ではあるが、例えば本体部10の下面などに重心を安定させるための部材をさらに設けることで、上下の移動または着陸を安定させることができる。
【0027】
図4及び図5では、本発明の他の実施の形態におけるバッテリー18とモータ15との詳細な接続構成と、当該接続構成に基づく飛行方法について例示する。本例では、4つの回転翼が、それぞれ同軸二重反転ロータを含む点で、先の実施の形態とは異なる。なお、同軸二重反転ロータは、本体部10から延びるアームに対して、上下いずれかの同じ側に配置されてもよいし、上下に分かれて配置されてもよい。また、上下のモータに対してそれぞれアームが設けられてもよいし、共通化されていてもよい。
【0028】
図4では、各回転翼が有する上下のプロペラのそれぞれは、飛行体の本体部を挟んで対角に配置される互いに反対方向に回転するプロペラ同士で対をなし、個別のバッテリー18に接続することができる。より具体的な例として、例えば各回転翼が有する上側のプロペラ16Uは反時計回り、下側のプロペラ16Lは時計回りに回転し、下側のモータ151ALおよび上側のモータ151BUが対をなしてバッテリー181に接続されており、上側のモータ151AUおよび下側のモータ151BLが対をなしてバッテリー182に接続されており、上側のモータ153AUおよび下側のモータ153BLが対をなしてバッテリー183に接続されており、下側のモータ153ALおよび上側のモータの153BUが対をなしてバッテリー183に接続されている。
【0029】
図5では、動力源のトラブルの例として、バッテリー181が故障した場合を例示する。このような場合であっても、従来とは異なり、バッテリー18が複数のバッテリー181-184で構成されているため、残りのバッテリー182-184に接続されるモータおよびプロペラの動作を維持することが可能である。したがって、これらから得られるエネルギーによって安全に移動または着陸をすることができる。また、フライトコントローラ11等による制御を伴わずに対になるプロペラを実質的に同時に停止することができるので、迅速かつ簡便にバランスを取りながら安全に移動または着陸をすることができる。なお、例えば、残りのバッテリー182-184に接続されるモータの駆動力は、バッテリー181の故障に応じて平常時よりも大きく設定されてもよい。それにより、残ったプロペラによる移動や着陸をより安定させることができる。
【0030】
図4及び図5では、4つの回転翼を有する構成あったが、これに限定されることはなく、マルチコプタとして飛行可能であれば、例えば6つの回転翼を有する構成やそれ以上であってもよい。また、すべての回転翼が同軸二重反転ロータでなくてもよく、例えば一対のみが同軸二重反転ロータであってもよい。
【0031】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0032】
1 飛行体
11 フライトコントローラ
15 モータ
16 プロペラ
18 バッテリー
図1
図2
図3
図4
図5