(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123173
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 5/16 20060101AFI20220817BHJP
E06B 1/70 20060101ALI20220817BHJP
E06B 1/34 20060101ALI20220817BHJP
E06B 1/32 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B1/70 A
E06B1/34 Z
E06B1/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020313
(22)【出願日】2021-02-11
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】米道 貴広
(72)【発明者】
【氏名】大西 久夫
(72)【発明者】
【氏名】草開 常徳
(72)【発明者】
【氏名】穴井 伊知郎
【テーマコード(参考)】
2E011
2E239
【Fターム(参考)】
2E011MA02
2E239CA02
2E239CA22
2E239CA29
2E239CA32
2E239CA33
2E239CA54
2E239CA62
2E239CA66
(57)【要約】
【課題】建物開口部の内周に配置される下枠をフラットに形成した建具に対して、強度を高め防火性能を向上させる。
【解決手段】アルミ製の枠材と、枠材に支持される障子を備え、枠材の下枠は、外レールと、内レールと、外レールと内レールの間に樹脂製で短尺状の下枠ガイドを挟んで配置されるアルミ製の中空形状のレール間アタッチメントを有し、上面が略同一面に形成されており、レール間アタッチメントは、室外側面及び下面に加熱発泡材が設けられている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミ製の下枠と、下枠に支持される障子を備え、
下枠は、外レールと、内レールと、外レールと内レールの間に樹脂製で短尺状の下枠ガイドを介して配置されるアルミ製の中空形状のレール間アタッチメントを有し、上面が略同一面に形成されており、
レール間アタッチメントは、室外側面及び下面に加熱発泡材が設けられている建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、躯体開口部に設けられる建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、アルミ製の框材などの枠材を四周に組んで形成される枠体を有し、下枠の上面をフラットに形成した建具が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、上記特許文献1に記載された下枠をフラットに形成した建具においても、防火性能を向上させることが求められている。
本発明は、下枠の上面をフラットに形成した建具に対して、防火性能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の建具は、アルミ製の枠材と、枠材に支持される障子を備え、枠材の下枠は、外レールと、内レールと、外レールと内レールの間に樹脂製で短尺状の下枠ガイドを挟んで配置されるアルミ製の中空形状のレール間アタッチメントを有し、上面が略同一面に形成されており、レール間アタッチメントは、室外側面及び下面に加熱発泡材が設けられている建具である。
【発明の効果】
【0006】
本実施形態の建具によれば、建物開口部の内周に配置される下枠をフラットに形成した建具に対して、防火性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】一実施形態に係る建具の下枠の竪断面図であり、(a)は障子閉鎖時において外障子が位置する側の竪断面図であり、(b)は障子閉鎖時において内障子が位置する側の竪断面図である。
【
図5】他の実施形態に係る建具の下枠の竪断面図であり、(a)(b)は障子閉鎖時において外障子が位置する側の竪断面図である。
【
図6】一実施形態に係る建具の下方部分の斜視図である。
【
図7】一実施形態に係る建具のレール間アタッチメントの斜視図であり、(a)は端部キャップが取付けられたレール間アタッチメントの図であり、(b)は端部キャップの図である。
【
図8】一実施形態に係る建具の下枠の図であり、(a)は下枠の一部拡大竪断面図であり、(b)はスペーサの正面図であり、(c)はスペーサの側面図である。
【
図9】一実施形態に係る建具の下枠の図であり、(a)は下枠の一部拡大竪断面図であり、(b)(d)は連結金具の正面図であり、(c)(e)は連結金具の側面図である。
【
図10】一実施形態に係る建具の下枠の図であり、(a)は連結金具の正面図であり、(b)は連結金具の側面図であり、(c)は下枠の一部拡大竪断面図である。
【
図11】一実施形態に係る建具の下枠の図であり、(a)は連結金具の正面図であり、(b)は連結金具の側面図であり、(c)は下枠の一部拡大竪断面図である。
【
図12】室内側部材と室外側部材を樹脂製の断熱ブリッジで連結してなる建具の下枠部分の竪断面図であり、(a)は通常時の竪断面図であり、(b)は火災時の竪断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一実施形態の建具について、枠体の内周に内、外障子を引き違い自在に支持してなる引き違い窓の例を用いて、図面を参考にして説明する。
【0009】
(全体の構成)
本実施形態の建具は、
図1に示すように、上枠11、下枠12及び左、右竪枠13,14を四周に組んでなる枠体1の内周に、上框21,31、下框22,32及び左、右竪框23,24,33,34をそれぞれ四周に組んで内周にパネル体25,35を嵌め込んでなる内、外障子2,3が引き違い自在に支持されて形成されている。
【0010】
(枠体)
枠体1を構成する上枠11は、
図2に示すように、建物開口部Aの室内側内周に配置されるアルミ製の室内側上枠111と、室内側上枠111の室外側に配置されるアルミ製の室外側上枠112と、室内側上枠111と室外側上枠112を連結する樹脂製のブリッジ部材113を有している。
【0011】
室内側上枠111は、建物開口部Aの内周面に対向する見込壁111aと、見込壁111aの室内側端に連設される室内側見付壁111bと、見込壁111aの室外側内周面から下方に延びる上内レール111cを有している。
【0012】
室内側上枠111の上内レール111cの下端から室内側見付壁111bの下端にかけて室内側樹脂上枠114が配置されており、室内側上枠111と室内側樹脂上枠114は、建物開口部Aの内周壁にビス等の固定手段b11によって固定されている。
【0013】
室内側樹脂上枠114は、室内側上枠111の室内側見付壁111bの下端からさらに下方に延設された後に室内側に屈曲して延びるアングル部114bを有しており、アングル部114bが建物開口部Aに配置される額部材Bにビス等の固定手段b12によって固定されている。
【0014】
室外側上枠112は、見込壁112aと、見込壁112aの室外側端に連設される室外側見付壁112bと、見込壁112aの室外側下面より下方に延びる上外レール112cと、見込壁112aの外周面から外周方向に延びる取付片112dを有しており、取付片112dが建物開口部Aの室外側面にビス等の固定手段b13によって固定されている。
【0015】
上枠11は、召合部の下面に風止め部材が設けられており、風止め部材から左竪枠13の間の下面には、上内レール111cから上外レール112cにかけて樹脂カバー115が配置されている。
【0016】
枠体1を構成する下枠12は、
図2に示すように、建物開口部Aの室内側内周に配置されるアルミ製の室内側下枠121と、室内側下枠121の室外側に配置されるアルミ製の室外側下枠122と、室内側下枠121と室外側下枠122を連結する樹脂製の断熱ブリッジ123を有している。
【0017】
室内側下枠121は、建物開口部Aの内周面に設置される中空形状の室内側下枠本体部121aと、室内側下枠本体部121aの室内側から上方に延びる室内側見付壁121bと、室内側見付壁121bの上端が室内側に屈曲してなるアングル部121cと、室内側下枠本体部121aの室外側から上方に延びる下内レール121dと、室内側下枠本体部121aの室内側から室内方向に延びる取付片121eを有しており、室内側下枠本体部121aの室外側面に断熱ブリッジ123を保持するブリッジ保持部121gが設けられている。
【0018】
室内側下枠121は、取付片121eが建物開口部Aの内周面にビス等の固定手段b21によって固定されており、アングル部121cが建物開口部Aに配置される額部材Bにビス等の固定手段b22によって固定されている。
【0019】
室外側下枠122は、中空形状の室外側下枠本体部122aと、室外側下枠本体部122aの室外側から室外方向に延びる室外側底壁122bと、室外側底壁122bの室外側端から上方に延びる室外側見付壁122cと、室外側下枠本体部122aの内周面から上方に延設される下外レール122dと、室外側下枠本体部122aの室内側から下方に延設される取付片122eを有しており、取付片122eが建物開口部Aの室外側面にビス等の固定手段b23によって固定されている。
【0020】
枠体1を構成する左竪枠13は、
図3に示すように、建物開口部Aに固定される見込壁13aと、見込壁13aの室内側端から見付け方向に延びる室内側見付壁13bと、見込壁13aの室外側端から見付け方向に延びる室外側見付壁13cと、見込壁13aの見込方向で中央付近から内周方向に延びる中央見付壁13dと、見込壁13aの室外側内周面から内周方向に延びる引寄せ壁13eと、見込壁13aの室内寄り外周面から外周方向に延びる取付片13fを有している。
【0021】
左竪枠13は、取付片13fが建物開口部Aの室外側面にビス等の固定手段b32によって固定されており、室内側見付壁13bと中央見付壁13dの間の内周側に樹脂左竪枠132が配置され、左竪枠13の見込壁13aと樹脂左竪枠132は、建物開口部Aの内周面にビス等の固定手段b31によって固定されている。また、樹脂左竪枠132は、アングル部132aを有しており、アングル部132aがビス等の固定手段b33によって額部材Bに固定されている。
【0022】
枠体1を構成する右竪枠14は、
図3に示すように、建物開口部Aに固定される見込壁14aと、見込壁14aの室内側端から見付け方向に延びる室内側見付壁14bと、見込壁14aの室外側端から見付け方向に延びる室外側見付壁14cと、見込壁14aの見込方向で中央付近から内周方向に延びる中央見付壁14dと、見込壁14aの室内側内周面から内周方向に延びる引寄せ壁14eと、見込壁14aの室内寄り外周面から外周方向に延びる取付片14fを有している。
【0023】
右竪枠14は、取付片14fが建物開口部Aの室外側面にビス等の固定手段b42によって固定されており、室内側見付壁14bと引寄せ壁14eの間の内周側に樹脂右竪枠142が配置され、右竪枠14の見込壁14aと樹脂右竪枠142は、建物開口部Aの内周面にビス等の固定手段b41によって固定されている。また、樹脂右竪枠142は、アングル部142aを有しており、アングル部142aがビス等の固定手段b43によって額部材Bに固定されている。
【0024】
(障子)
内障子2及び外障子3は、
図2,3に示すように、上、下框及び戸先框が同様の構成をしているので、ここでは内、外障子について、主に内障子2を用いて説明し、外障子3については、内障子2と異なる構成について説明する。
【0025】
内障子2を構成する上框21は、
図2に示すように、アルミ製の金属上框211と樹脂製の樹脂上框212を有している。
金属上框211は、中空部を有する上框本体部211aと、上框本体部211aの室外側から内周方向に延びる室外側ガラス間口壁211bと、上框本体部211aの外周側に連続するレール案内部211cを有している。
【0026】
樹脂上框212は、金属上框211の室内側に取付けられ、上框本体部211a及びレール案内部211cの室内側を覆う樹脂上框本体212aと、樹脂上框本体212aの内周方向に連続する室内側ガラス間口壁212bを有している。
【0027】
上框21は、金属上框211の室外側ガラス間口壁211bと樹脂上框212の室内側ガラス間口壁212bによってガラス間口が形成されており、ガラス間口内にはガラスの外れ(脱落)を防止するガラス間口補強材が配置されるとともに、グレイチングチャンネルを介してパネル体25が保持されている。
【0028】
内障子2を構成する下框22は、
図2に示すように、アルミ製の金属下框221と樹脂製の樹脂下框222を有している。
金属下框221は、複数の中空部を有する下框本体部221aと、下框本体部221aの室外側から内周方向に延びる室外側ガラス間口壁221bと、下框本体部221aの室外側から下方に延びる垂下片221cを有しており、下框本体部221aの下方の中空部から垂下片221cの室内側にかけて戸車92が配置されている。
【0029】
樹脂下框222は、金属下框221の室内側に取付けられ、複数の中空部を有し下框本体部221aの室内側を覆う樹脂下框本体222aと、樹脂下框本体222aの内周方向に連続する室内側ガラス間口壁222bを有している。
【0030】
下框22は、金属下框221の室外側ガラス間口壁221bと樹脂下框222の室内側ガラス間口壁222bによってガラス間口が形成されており、ガラス間口内にはガラス間口補強材が配置されるとともに、グレイチングチャンネルを介してパネル体25が保持されている。
【0031】
内障子2を構成する左竪框(召合框)23は、
図3に示すように、アルミ製の金属左竪框231と樹脂製の樹脂左竪框232を有している。
金属左竪框231は、見込み方向に並ぶ2つの中空部を有する左竪框本体部231aと、左竪框本体部231aの室内側内周面から内周方向に延びる室内側ガラス間口壁231bと、左竪框本体部231aの室外側内周面から内周方向に延びる室外側ガラス間口壁231cを有している。
【0032】
左竪框本体部231aの室外側の中空部及び室内側の中空部には、それぞれ断面U字状のスチール製の補強材が配置されており、両補強材は室外側の中空部と室内側の中空部を仕切る仕切り壁を介して連結されている。
【0033】
樹脂左竪框232は、金属左竪框231の外周側及び室内側に取付けられ、左竪框本体部231aの室内側(内周側含む)及び室内側ガラス間口壁231bの室内側を覆う見付壁部232a及び内周壁部232cと、左竪框本体部231aの外周側を覆う見込壁部232bを有している。
【0034】
左竪框23は、金属左竪框231の室外側ガラス間口壁231cと室内側ガラス間口壁231bによってガラス間口が形成されており、ガラス間口内にはガラス間口補強材が配置されるとともに、グレイチングチャンネルを介してパネル体25が保持されている。
【0035】
内障子2を構成する右竪框(戸先框)24は、
図3に示すように、アルミ製の金属右竪框241と樹脂製の樹脂右竪框242を有している。
金属右竪框241は、中空部を有する右竪框本体部241aと、右竪框本体部241aの室外側から内周方向に延びる室外側ガラス間口壁241bと、右竪框本体部241aの外周側に連続する戸先側溝部241cを有している。
【0036】
樹脂右竪框242は、金属右竪框241の室内側に取付けられ、右竪框本体部241a及び戸先側溝部241cの室内側を覆う樹脂右竪框本体242aと、樹脂右竪框本体242aの内周方向に連続する室内側ガラス間口壁242bを有している。
【0037】
右竪框24は、金属右竪框241の室外側ガラス間口壁241bと樹脂右竪框242の室内側ガラス間口壁242bによってガラス間口が形成されており、ガラス間口内にはガラス間口補強材が配置されるとともに、グレイチングチャンネルを介してパネル体25が保持されている。
【0038】
外障子3を構成する右竪框(召合框)34は、
図3に示すように、アルミ製で中空部を有する右竪框本体部341aと、右竪框本体部341aの内周側に連続するガラス間口を有している。なお、外障子3を構成する上、下框31,32及び左竪框(戸先框)33については、内障子2と構成が同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0039】
以上、本実施形態の引き違い窓の基本的な構成について説明したが、本実施形態の引き違い窓は、下枠の上面をフラットに形成して出入りをスムーズにすると共に、フラットな上面を持つ下枠の防火性能を向上させている。
以下、本実施形態の建具の下枠について、詳細に説明する。
【0040】
-下枠の構成-
本実施形態の建具の下枠12は、
図4(a)(b)に示すように、室内側下枠121と室外側下枠122が断熱ブリッジ123によって連結されて形成されている。
【0041】
下枠12は、室内側下枠121の室内側見付壁121bと下内レール121dの間に樹脂製のキャップ部材124が配置され、室内側下枠121の下内レール121dと室外側下枠122の下外レール122dとの間にアルミ製のレール間アタッチメント125が配置され、下外レール122dと室外側見付壁122cの間にアルミ製の下枠カバー部材126が配置されることで、上面が略同一面、すなわちフラットに形成されている。
【0042】
下枠12は、下内レール121dとレール間アタッチメント125との間に内障子2の下框22の垂下片221cが案内される案内溝12aが形成されるとともに、下外レール122dと下枠カバー部材126との間に外障子3の下框32の垂下片が案内される案内溝12bが形成されており、内、外障子2,3の走行を安定させるとともに、案内溝12a,12bに気密材を配置することで内、外障子2,3と下枠12の気密ラインを形成している。
【0043】
なお、下枠12は、
図4(a)に示す外障子3側(障子閉鎖時において外障子3が位置する側)においては、下外レール122dの室外側面及び外下レール122dの下端近傍の底部に加熱発泡材fが配置されており、
図4(b)に示す内障子2側(障子閉鎖時において内障子2が位置する側)においては、下内レール121dの室外側面に加熱発泡材fが配置されており、火災時にはそれぞれ案内溝12a,12b内に充満して下枠12と内、外障子2,3との間に室内外に連通する隙間の発生を抑制している。
【0044】
-レール間アタッチメント-
下枠12の上面に配置されるレール間アタッチメント125は、断面略矩形中空形状、すなわち中空断面を有する長尺部材であり、
図6に示すように、下枠12の外障子3側に配置されるレール間アタッチメント125と内障子2側に配置されるレール間アタッチメント125が樹脂製の止水ピース71を挟んで配置されており、両レール間アタッチメント125,125の止水ピース71が設けられている側と反対側の端部、すなわち左、右竪枠13,14側の端部には、樹脂製の端部キャップ72が取付けられている。
【0045】
レール間アタッチメント125の下面の複数位置には、
図4,
図7(a)に示すように、樹脂製で短尺状の下枠ガイド73が取付けられており、レール間アタッチメント125は、室外側下枠122との間に下枠ガイド73を挟んで配置されることで室外側下枠122に対して所定の間隔を開けて配置されている。
【0046】
レール間アタッチメント125は、
図8(a)に示すように、上面が平坦面である中空形状の本体部125aと、本体部125aの室外側の下方部分から下方に延びる脚部125bと、本体部125aの室内側面から室内方向に延びる載置部125cを有しており、本体部125aの室内側面の上方部分には気密材保持溝125dが形成されている。
なお、室内側下枠121の下内レール121dの室外側面には、レール間アタッチメント125の気密材保持溝125dと対向するように気密材保持溝121fが形成されている。
【0047】
そして、レール間アタッチメント125は、本体部125aの室外側面及び下面にレール間アタッチメント125のほぼ全長に亘って加熱発泡材f1、f2が設けられているとともに、本体部125aの中空部内の止水ピース側に加熱発泡材f3が設けられている。
なお、レール間アタッチメント125の本体部125aの室外側面及び下面に設けられる加熱発泡材f1、f2は、必ずしもレール間アタッチメント125の全長に亘って設けられなくてもよい。
【0048】
また、両レール間アタッチメント125の枠側端部に取付けられる端部キャップ72は、
図7(b)に示すように、レール間アタッチメント125の中空部内に挿入される装着部72aと、レール間アタッチメント125の端部を覆うキャップ部72bを有しており、キャップ部72bの見込面には加熱発泡材f4が配置されている。
【0049】
以上のように、本実施形態の建具は、下枠12の上面をフラットにするためのレール間アタッチメント125が下枠12と別体に形成されており、樹脂製で短尺状の下枠ガイド73を介して配置されているので、レール間アタッチメント125と下枠12の室外側下枠122とのメタルタッチを防止すると共に、レール間アタッチメント125のがたつきを防止することができ、清掃の際のレール間アタッチメント125の着脱時にレール等を傷つけにくくし、また、着脱を容易にすることができる。
【0050】
また、下枠ガイド73は短尺状であるので、下枠12における排水経路を確保するとともに、可燃性材料の部材を少なくして火災時の延焼を抑制している。
また、レール間アタッチメント125の室外側面及び下面に設けられる加熱発泡材f1、f2が下枠ガイド73によって形成される空間に設けられるので、下枠12の上面を通る水に加熱発泡材が触れて濡れることを抑制することができる。
【0051】
そして、火災時に加熱発泡材f1、f2が発泡することで下枠ガイド73によって形成されるレール間アタッチメント125と下枠12との間の間隔を閉塞することができる。また、レール間アタッチメント125の中空部内の止水ピース側に加熱発泡材f3が設けられているので、火災時に樹脂製の止水ピース71が溶融しても、下枠12の召合せ部の下部における室内外方向の連通を抑制するとともに、レール間アタッチメント125の中空部内を通って煙やガス等が室内に侵入することを抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態の建具は、レール間アタッチメント125の左右竪枠側の端部に取付けられた端部キャップ72の見込面に加熱発泡材f4が設けられていることで、火災時に樹脂製の端部キャップ72が溶融しても、左、右竪枠13,14とレール間アタッチメント125,125の端部との間において室内外方向に連通することを抑制するとともに、加熱発泡材f4が発泡して溶融した端部キャップ72に代わってレール間アタッチメント125の中空部内に進入することで、レール間アタッチメント125の中空部内を通って煙やガス等が室内に侵入することを抑制することができる。
【0053】
-室外側中空部-
下枠12の上面に配置される下枠カバー部材126は、
図4(a)に示すように、室内側見付壁126aと、室内側見付壁126aの上端が室外側に延びて形成される上壁126bと、上壁126bの室外側に形成された係止片126cと、上壁126bの下面から下方に延びる垂下部126dを有している。
【0054】
下枠カバー部材126は、室内側見付壁126aの下端を室外側下枠122の室外側底壁122bの上面に当接させるとともに係止片126cを下枠12の室外側見付壁122cの上端に係合させた状態で室外側下枠122に取付けられており、室外側下枠122と下枠カバー部材126によって下枠12の室外側に室外側中空部12cが形成されている。
【0055】
室外側中空部12cは、
図2,
図3,
図6に示すように、見込み方向で左、右竪枠13,14よりも室外側に突出しており、室外側中空部12cの両端部には樹脂製の下枠端部キャップ76,76が装着されている。
【0056】
下枠12の室外側中空部12c内には、
図4(a)に示すように、室外側中空部12cの上壁(下枠カバー部材126の上壁126b部分)に対向する見込部81bと室外側中空部12cの室内側壁(下枠カバー部材126の室内側見付壁126a部分)に対向する見付部81aを有する下枠カバー補強材81が配置されている。
【0057】
下枠カバー補強材81は、スチール等の金属材料からなり、見込部81bが下枠カバー部材126の上壁126bの下面に当接した状態で見付部81aが下枠カバー部材126の室内側見付壁126aにビス止めされて固定されており、見付部81aが少なくとも室外側中空部12cの室内側壁を室外側から覆うように配置されている。
そして、下枠カバー補強材81は、見付部81aの室外側面に火災時に発泡する加熱発泡材fが配置されている。
【0058】
また、下枠12の室外側中空部12c内には、室外側中空部12cの底壁(室外側下枠122の室外側底壁122b部分)に対向する見込部82aと室外側中空部12cの室外側壁(室外側下枠122の室外側見付壁122c部分)に対向する見付部82bを有する断面略L字型の下枠補強材82が配置されている。
【0059】
下枠補強材82は、スチール等の金属材料からなり、見込部82aが室外側底壁122bにビス止めされて固定されている。
そして、室外側下枠122の室外側見付壁122cの室内側面に火災時に発泡する加熱発泡材fが配置されている。
【0060】
以上のように、本実施形態の建具は、下枠12の室外側中空部12cの室内側壁に対向する見付部81aを有する下枠カバー補強材81が設けられることで、室外側中空部12cの強度を向上させることができる。
さらに、下枠カバー補強材81は、室外側中空部12cの上壁に対向する見込部81bを有しているので、室外側中空部12cの強度をさらに向上させることができ、左、右竪枠13,14よりも室外側に突出して片持ち状態となっている場合などにも室外側中空部12cの上面を水平に保ち、上面が水平で略同一面(フラット面)となる下枠を構成することができる。
【0061】
そして、少なくとも室外側中空部12cの室内側壁を室外側から覆うように配置されている下枠カバー補強材81の見付部81aの室外側面に火災時に発泡する加熱発泡材fが配置されているので、火災時に室外側中空部12cに向かって発泡することで、室外側中空部12cの室内側壁を保護することができ、耐火性を向上させることができる。
【0062】
また、本実施形態の建具は、下枠12の室外側中空部12c内に下枠12の室外側底壁122b及び室外側見付壁122cに対向する見込部82a及び見付部82bと有する下枠補強材82を設けられることで、室外側中空部12cの強度をさらに向上させることができるとともに、下方からの火炎に対しても室外側中空部12cの室内側壁を保護し、防火性能を向上させることができる。
【0063】
そして、室外側見付壁122cの室内側面に加熱発泡材fが設けられているので、火災時に室外側中空部12cの室外側壁と下枠補強材82の見付部82bとの間で発泡して室外側中空部12cの室外側を保護して、防火性能をさらに向上させることができる。
【0064】
なお、下枠12の室外側中空部12c内に配置される補強材は、下枠カバー補強材81もしくは下枠補強材82のいずれか一方のみを設けるようにしてもよい。
例えば、
図5(a)に示すように、下枠12の室外側中空部12c内に下枠カバー補強材81のみを配置して、下枠カバー補強材81の見付部81aの室外側面及び/又は下枠12の室外側見付壁122cの室内側面に加熱発泡材fを配置してもよい。
【0065】
火災時には、下枠カバー補強材81の見付部81aの室外側面及び/又は下枠12の室外側見付壁122cの室内側面に配置された加熱発泡材fが下枠12の室外側中空部12c内に向かって、本実施形態では、室外側中空部12cの室外側壁と下枠カバー補強材81の見付部81aの間で発泡することで、室外側中空部12cを保護し、防火性能を向上させることができる。
【0066】
また、
図5(b)に示すように、下枠12の室外側中空部12c内に下枠補強材82のみを配置して、下枠補強材82の見付部82bの室外側面及び室内側面の少なくとも一方に加熱発泡材fを配置してもよい。
【0067】
火災時には、下枠補強材82の見付部82bの室内側面に設けられた加熱発泡材が下枠12の室外側中空部12c内に発泡することで、室外側中空部12cの室内側壁を保護して防火性を向上させることができる。また、下枠補強材82の見付部82bの室外側面に設けられた加熱発泡材は、下枠12の室外側が火炎により熱せられた場合に直ちに発泡して補強材の室外側を覆い、補強材による室外側中空部12cの維持を長持ちさせて下外レール122dの溶融を抑制することができ、さらに防火性能を向上させることができる。
【0068】
なお、下枠カバー補強材81に加えて下枠補強材82を設けた場合には、
図4(b)に示すように、下枠カバー補強材81の見付部81aに配置される加熱発泡材fを省略してもよい。また、下枠カバー補強材81に加えて下枠補強材82を設けた場合であっても、下枠補強材82の見付部82bの室外側面及び室内側面の両方に加熱発泡材を設けてもよい。
【0069】
さらに、加熱発泡材の配置に際しては、下枠12の室外側中空部12cが、下枠12の室外側下枠122とは別体の下枠カバー部材126によって形成されていることで、加熱発泡材を室外側中空部12c内に容易に配置することができ、施工性がよい。
【0070】
-連結金具-
下枠12は、
図4,
図8(a)に示すように、室内側下枠121の下内レール121dと室外側下枠122の下外レール122dとの間であって、レール間アタッチメント125の室内側に樹脂製のスペーサ74が複数配置されている。
【0071】
スペーサ74は、
図8(b)(c)に示すように、室外側の上方位置に載置面74bを有するブロック形状をしており、下面74aを室内側下枠121のブリッジ保持部121gの上面に載置して配置され、載置面74bによってレール間アタッチメント125の載置部125cを支持することでレール間アタッチメント125の転びを防止して、下枠12の上面が水平となるように安定して取り付けることができる。
【0072】
また、下枠12は、
図9(a)に示すように、左右方向で下枠ガイド73が存在しない位置で、障子閉鎖時に内、外障子2,3の戸車位置もしくは戸車位置近傍(以下、「戸車位置近傍」という)において、室外側下枠122と室内側下枠121を連結する連結金具75が断熱ブリッジ123を跨いで連結されている。
【0073】
連結金具75は、アルミ等の金属材料からなる短尺状の部材であり、
図9(b)(c)に示すように、室外側下枠122の室外側下枠本体部122aの上面に固定される平板状の室外側固定部75aと、室内側下枠121の室内側下枠本体部121aに固定されるブロック状の室内側固定部75bを有している。
【0074】
連結金具75は、室外側固定部75aに上下方向z1に貫通する二つの貫通孔75c,75cが連結金具75の長さ方向に並んで形成されており、室内側固定部75bには、下枠12に固定された状態で室外側から室内側に向かって上方より斜め下方向z2に貫通する二つの貫通孔75d,75dが連結金具75の長さ方向に並んで形成されている。
【0075】
一方、室外側下枠122は、連結金具75が固定される室外側下枠本体部122aの上壁に上方から上下方向z1にねじが切られたねじ孔が形成されており、室内側下枠121は、連結金具75が固定される室内側下枠本体部121aの室外側見付壁に斜め下方向z2にねじが切られたねじ孔が形成されている。
【0076】
そして、連結金具75は、室内側下枠121と室外側下枠122との間で断熱ブリッジ123を跨いで配置された後に、室外側固定部75aを室外側下枠122にねじ止め固定するとともに、室内側固定部75bを室内側下枠121にねじ止め固定することで、室内側下枠121と室外側下枠122を連結している。
【0077】
なお、連結金具75は、ブロック形状に限定されるものではなく、
図9(d)(e)に示すように、板状の部材を曲げ加工して室外側固定部75a及び室内側固定部75bを形成し、貫通孔75c,75c,75d,75dを形成したものであってもよい。
【0078】
さらに、上記の実施形態の建具では、連結金具75とスペーサ74が別体として設けられているが、連結金具75とスペーサ74を一体的に形成してもよい。
例えば、
図10(a)(b)(c)に示すように、連結金具75は、室内側固定部75bの一部分、具体的には左右の貫通孔75d,75dの間にレール間アタッチメント125の載置部125cを載置する載置面75fを有するスペーサ部75eが一体的に形成された形状のものであってもよい。
【0079】
また、
図11(a)(b)(c)に示すように、連結金具75は、板状の連結金具に対してブロック状のスペーサ部75eを固定した形状のものであってもよい。
連結金具75とスペーサ74を一体物とすることで、施工性を向上させることができる。
【0080】
さらに、連結金具75は、
図10,
図11に示すように、断熱ブリッジ123を跨ぐ面に絶縁シート75gが設けられていてもよい。
連結金具75の下面に絶縁シート75gを設けることで、連結金具75によって室外側下枠122から室内側下枠121へ冷熱が伝達されることを抑制することができ、断熱ブリッジ123による断熱効果が減少すること防ぐことができる。
【0081】
以上のように、本実施形態の建具は、下枠12の室内側下枠121と室外側下枠122を連結金具75によって連結することで、火災初期に断熱ブリッジ123が溶融することで室外側下枠122が室外に倒れて外障子3が外れてしまうような事態(
図12(a)(b))を防ぐことができる。
【0082】
そして、本実施形態の建具は、連結金具75が内、外障子2,3の戸車位置もしくは戸車位置近傍で室内側下枠121と室外側下枠122を連結することで、下枠12にかかる内、外障子2,3の荷重を連結金具75で連結された部分で受けることができるので障子(特に外障子3)の荷重に対する強度を向上させることができる。
【0083】
また、連結金具75は、室外側固定部が上下方向のねじ孔へのねじによって固定されるとともに、室内側固定部が室外側上方から室内側下方へ斜め下方に向かってねじ止め固定されることで、既設の建具の内周側から固定することができるので、既設の下枠に対して強度や防火性能を付与することができる。
また、連結金具75は、下枠ガイド73によって形成されるレール間アタッチメント125と下枠12との間の間隔内に納めることができるので、既設の下枠12の部材を変更することなく、補強することができるとともに、補強後は連結金具がレール間アタッチメント125の下方位置に配置されて覆われることになるので、意匠性がよい。
【0084】
以上の実施形態は,請求項に記載された発明を限定するものではなく,例示として取り扱われることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0085】
12 :下枠
12c :室外側中空部
71 :止水ピース
72 :端部キャップ
73 :下枠ガイド
74 :スペーサ
75 :連結金具
75a :室外側固定部
75b :室内側固定部
75c :貫通孔
75d :貫通孔
81 :下枠カバー補強材
81a :見付部
81b :見込部
82 :下枠補強材
81a :見付部
81b :見込部
92 :戸車
121 :室内側下枠
121a :室内側下枠本体部
121b :室内側見付壁
121d :下内レール
122 :室外側下枠
122a :室外側下枠本体部
122b :室外側底壁
122c :室外側見付壁
122d :下外レール
123 :断熱ブリッジ
125 :レール間アタッチメント
126 :下枠カバー部材
126a :室内側見付壁
126b :上壁
f1-f4:加熱発泡材