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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123222
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】サンプリング装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/04 20060101AFI20220817BHJP
【FI】
G01N1/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020390
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】000112912
【氏名又は名称】フロイント産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102853
【弁理士】
【氏名又は名称】鷹野 寧
(72)【発明者】
【氏名】味園 隼人
(72)【発明者】
【氏名】武内 優貴
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AC19
2G052AD15
2G052BA02
2G052CA02
2G052CA03
2G052CA14
2G052JA23
(57)【要約】
【課題】コンテインメント性を確保しつつ、コーティング処理中に任意のタイミングで自動的にサンプルを取得可能なサンプリング装置を提供する。
【解決手段】サンプリング装置20は、コーティング処理中の錠剤3をコーティングパン2外に取り出すサンプル採取部21と、パン2から取り出した錠剤3を回収するサンプル回収部41とを備える。サンプル採取部21には、パン2に開口形成されたサンプル採取口22と、パン内面側に配されサンプル採取口22に錠剤3を誘導するサンプリングバッフル23と、サンプル採取口22を開閉するトラップドア25を備えた採取口開閉装置24と、を設ける。サンプル採取口22から流出する錠剤3は、サンプル回収部41にて回収され粉粒体処理装置1外に送出される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体処理装置内の被処理物をサンプルとして装置外部に取り出すサンプリング装置であって、
前記被処理物が収容される処理容器から、処理中の前記被処理物を前記処理容器外に取り出すサンプル採取部と、
前記処理容器から取り出した前記被処理物を回収するサンプル回収部と、を備え、
前記サンプル採取部は、前記処理容器に開口形成されたサンプル採取口と、前記処理容器内に設置され、前記被処理物を前記サンプル採取口に導入するガイド部材と、前記サンプル採取口を開閉する採取口開閉装置と、を有し、
前記サンプル回収部は、前記サンプル採取口から流出する前記被処理物を回収し前記粉粒体処理装置外に送出することを特徴とするサンプリング装置。
【請求項2】
請求項1記載のサンプリング装置において、
前記サンプル採取口の前記処理容器外部側には、該サンプル採取口に臨んで、前記サンプル採取口から流出する前記被処理物を前記サンプル回収部に案内するガイドプレートが設けられていることを特徴とするサンプリング装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のサンプリング装置において、
前記採取口開閉装置は、前記サンプル採取口を開閉する蓋部材と、前記蓋部材を移動させ前記サンプル採取口の開放位置と閉鎖位置との間で作動させる開閉駆動手段と、を有することを特徴とするサンプリング装置。
【請求項4】
請求項3記載のサンプリング装置において、
前記開閉駆動手段は空気圧によって作動するエアシリンダであり、
前記エアシリンダに対し圧縮空気を供給するエアチューブは、回転する前記処理容器を支持する回転軸内に配管されることを特徴とするサンプリング装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載のサンプリング装置において、
前記ガイド部材は、その上面に前記被処理物が載り案内されるガイド部と、前記処理容器内面に取り付けられ前記ガイド部を支持する支持部と、を有することを特徴とするサンプリング装置。
【請求項6】
請求項5記載のサンプリング装置において、
前記ガイド部は棒状に形成され、前記ガイド部材を前記処理容器に取り付けたとき前記処理容器内面に沿って延設されることを特徴とするサンプリング装置。
【請求項7】
請求項5記載のサンプリング装置において、
前記ガイド部は断面L字形の板材にて形成され、前記ガイド部材を前記処理容器に取り付けたとき前記処理容器内面に沿って延設されることを特徴とするサンプリング装置。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載のサンプリング装置において、
前記ガイド部材は、前記サンプル採取口を介して、前記処理容器の外部から内部に挿入可能であることを特徴とするサンプリング装置。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項に記載のサンプリング装置において、
前記サンプル回収部は、前記処理容器の近傍に配置された箱状の排出シュートと、前記排出シュートに接続されたサンプル排出管と、前記サンプル排出管に設けられたバルブ装置と、を有することを特徴とするサンプリング装置。
【請求項10】
請求項9記載のサンプリング装置において、
前記バルブ装置は2個設けられ、前記サンプル排出管の上流側に設けられた第1バルブと、前記第1バルブの下流側に設けられた第2バルブとからなり、
前記被処理物を前記処理容器から採取する際、下流側の第2バルブを閉じた状態で、上側の第1バルブを開き、前記サンプル採取口を開けて前記被処理物を取り出し、第2バルブの部位に所望量の前記被処理物が溜まったところで前記サンプル採取口を閉じ、その後、第1バルブを閉じた上で第2バルブを開き、前記被処理物を装置外に排出することを特徴とするサンプリング装置。
【請求項11】
請求項1~10の何れか1項に記載のサンプリング装置において、
前記粉粒体処理装置はパンコーティング装置であり、前記処理容器として、回転軸線を中心に回転自在に設けられ、その内部にコーティング処理の対象となる被処理物が収容されるコーティングパンを有し、
前記サンプル採取口は、前記コーティングパンのコニカル部に、前記コーティングパンの内外を連通させるように開口形成され、
前記ガイド部材は、前記サンプル採取口に臨んで前記コニカル部に設置されることを特徴とするサンプリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体処理装置から処理中の被処理物の一部をサンプルとして取り出すサンプリング装置に関し、特に、パンコーティング装置から錠剤等のサンプルを採取するサンプリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
錠剤等を被処理物とする粉粒体のコーティング処理では、コーティング工程管理として、処理中の被処理物(以下、錠剤を例に取って説明する)を採取してコーティングの進行状況を確認するサンプリング検査が実施される。サンプリング検査は、コーティング処理の間、定期的あるいは必要に応じて行われ、コーティングパン(以下、適宜「パン」と略記する)内から一定量の錠剤サンプルを取り出して実施される。取り出されたサンプルは、その重量を測定することにより、錠剤表面のコーティング皮膜量が算出され、それに基づいてコーティング膜厚を計算しコーティングの進行状況が把握される。
【0003】
このようなサンプリング検査は、従来、コーティング処理中に一旦パンを停止させて処理中の錠剤をすくい出し、その重量を測定する方式が一般的であった。しかし、このような方式では、コーティング処理を止めずにサンプリング検査を行うことができず、生産性が低下するという課題があった。また、サンプル採取に際し、装置前面の小窓等を開放してパン内の錠剤を取り出すため、作業安全性やコンテインメントの点でも課題があった。このため、近年では、特許文献1のように、パン内に吸引管を挿入設置して被処理物を吸い出したり、特許文献2のように、コーティングパンの内部に、錠剤等を取り出すための採取部と案内部を設けたりすることにより、処理を止めることなく、パン内からサンプルを取得できるようにしたものも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-292753号公報
【特許文献2】特開2019-5711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような吸引式の装置では、コーティング装置とは別にサンプルを吸引取得する構成が必要となり、システムが大型化する傾向がある。また、特許文献2のように、パン内に採取部と案内部を設ける構成においても、錠剤の取り出しはパン端部の開口からとなり、コンテインメント性の確保が難しいという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、コンテインメント性を確保しつつ、コーティング処理中に任意のタイミングで自動的にサンプルを取得可能なサンプリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のサンプリング装置は、粉粒体処理装置内の被処理物をサンプルとして装置外部に取り出すサンプリング装置であって、前記被処理物が収容される処理容器から、処理中の前記被処理物を前記処理容器外に取り出すサンプル採取部と、前記処理容器から取り出した前記被処理物を回収するサンプル回収部と、を備え、前記サンプル採取部は、前記処理容器に開口形成されたサンプル採取口と、前記処理容器内に設置され、前記被処理物を前記サンプル採取口に導入するガイド部材と、前記サンプル採取口を開閉する採取口開閉装置と、を有し、前記サンプル回収部は、前記サンプル採取口から流出する前記被処理物を回収し前記粉粒体処理装置外に送出することを特徴とする。
【0008】
本発明にあっては、処理中の被処理物をサンプル採取部によって処理容器外に送出し、それをサンプル回収部にて回収して装置外に取り出す。処理容器に開口形成されたサンプル採取口には、処理容器の回転に伴いガイド部材によって被処理物が案内・導入される。サンプル採取口に導入された被処理物は、サンプル採取口から処理容器外に流出する。処理容器外に流出した被処理物は、前記サンプル回収部に回収され、粉粒体処理装置から排出される。
【0009】
前記サンプリング装置において、前記サンプル採取口の前記処理容器外部側に、該サンプル採取口に臨んで、前記サンプル採取口から流出する前記被処理物を前記サンプル回収部に案内するガイドプレートを設けても良い。これにより、サンプル採取口から流出した被処理物が、周囲に飛散することなくサンプル回収部に誘導される。
【0010】
また、前記採取口開閉装置に、前記サンプル採取口を開閉する蓋部材と、前記蓋部材を移動させ前記サンプル採取口の開放位置と閉鎖位置との間で作動させる開閉駆動手段と、を設けても良い。この場合、前記開閉駆動手段は空気圧によって作動するエアシリンダであっても良く、前記エアシリンダに対し圧縮空気を供給するエアチューブを、回転する前記処理容器を支持する回転軸内に配管しても良い。これにより、回転体である処理容器にも無理なく採取口開閉装置を設置できる。
【0011】
前記ガイド部材に、その上面に前記被処理物が載り案内されるガイド部と、前記処理容器内面に取り付けられ前記ガイド部を支持する支持部と、を設けても良い。この場合、前記ガイド部を、棒状に形成したり、断面L字形の板材にて形成したりし、前記ガイド部材を前記処理容器に取り付けたとき前記ガイド部を前記処理容器内面に沿って延設しても良い。また、前記ガイド部材を、前記サンプル採取口を介して、前記処理容器の外部から内部に挿入可能に形成しても良く、これにより、前記ガイド部材を処理容器の外側から着脱することができる。
【0012】
前記サンプル回収部に、前記処理容器の近傍に配置された箱状の排出シュートと、前記排出シュートに接続されたサンプル排出管と、前記サンプル排出管に設けられたバルブ装置と、を設けても良い。この場合、前記バルブ装置として、前記サンプル排出管の上流側に設けられた第1バルブと、前記第1バルブの下流側に設けられた第2バルブの2個を設け、前記被処理物を前記処理容器から採取する際、下流側の第2バルブを閉じた状態で、上側の第1バルブを開き、前記サンプル採取口を開けて前記被処理物を取り出し、第2バルブの部位に所望量の前記被処理物が溜まったところで前記サンプル採取口を閉じ、その後、第1バルブを閉じた上で第2バルブを開き、前記被処理物を装置外に排出するようにしても良い。これにより、処理容器の内外を縁切りした状態で処理容器内から被処理物を取り出すことができ、コンテインメント性を損なうことなくサンプル採取が可能となる。
【0013】
さらに、前記粉粒体処理装置はパンコーティング装置であっても良く、前記処理容器として、回転軸線を中心に回転自在に設けられ、その内部にコーティング処理の対象となる被処理物が収容されるコーティングパンを設け、前記サンプル採取口を、前記コーティングパンのコニカル部に、前記コーティングパンの内外を連通させるように開口形成し、前記ガイド部材を、前記サンプル採取口に臨んで前記コニカル部に設置するようにしても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明のサンプリング装置によれば、粉粒体処理装置の被処理物を処理容器外に取り出すサンプル採取部と、処理容器から取り出した被処理物を回収するサンプル回収部とを設け、サンプル採取部に、処理容器に開口形成されたサンプル採取口と、処理容器内面側に配されサンプル採取口に被処理物を誘導するガイド部材と、サンプル採取口を開閉する採取口開閉装置と、を設けたので、粉粒体処理装置を運転中に、作業者が処理容器に触れることなく、任意のタイミングで処理容器内からサンプルを採取することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施の形態であるサンプリング装置を備えたパンコーティング装置の構成を示す説明図である。
図2図1のパンコーティング装置の正面図である。
図3】サンプリングバッフルの構成を示す説明図である。
図4】サンプル採取口近傍の構成を示す説明図である。
図5】排出シュートの構成を示す説明図である。
図6】コーティング装置におけるサンプリング処理の様子を示す説明図である。
図7】サンプリングバッフルの変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施の形態であるサンプリング装置を備えたパンコーティング装置(粉粒体処理装置;以下、コーティング装置と略記する)1の構成を示す説明図である。図1のコーティング装置1は、いわゆる全面パンチングタイプのコーティングパン(回転ドラム:処理容器)2を使用したジャケットレスタイプの構成となっている。コーティングパン2(以下、パン2と略記する)内には、コーティング処理の対象となる錠剤(被処理物)3が収容され、そこにコーティング液を噴霧することにより、錠剤3のコーティング処理が行われる。
【0017】
図1に示すように、コーティング装置1は、筐体4のパン室4a内にパン2を回転自在に設置した構成となっている。パン2は、ほぼ水平な回転軸線Oを中心に回転し、その内部には錠剤3が投入される。パン2は、円筒形の胴部5と、胴部5の両端に形成された円錐台状のコニカル部6とを備えている。胴部5はステンレス製の多孔板(パンチングプレート)にて形成されており、胴部5の外周は多数個の通気孔7により通気可能な構成となっている。コニカル部6はステンレス製板材にて形成されており、一方のコニカル部6の端部(図1において右側:パン2の一端側)には前面開口部8が形成されている。他方のコニカル部6の端部(図1において左側:パン2の他端側)はエンドプレート9にて閉鎖されており、回転軸11が取り付けられる。
【0018】
パン室4aの図1において左側は機械室4bとなっており、電動のドラム駆動モータを用いた図示しないドラム回転機構が配置されている。パン2の左端側(他端側)には、前述のように回転軸11が固定されており、この回転軸11には図示しないスプロケットが取り付けられている。スプロケットは、チェーンを介して筐体4内に設置されたモータ側のスプロケットと接続されている。モータを回転させると、その回転に伴ってパン2がチェーン駆動され、回転軸線Oを中心に回転する。パン2の図1において右端側はローラ12によって支持されている。
【0019】
図2は、コーティング装置1の正面図である。図2に示すように、筐体4の正面(図1において右側)は3分割構造となっている。筐体正面の中央には前面ドア13が、その両側にはユニットカバー14a,14bが設けられている。前面ドア13は、一方のユニットカバー14aに回動自在に支持され、筐体4に対し開閉自在に設けられている。ユニットカバー14a,14bも筐体4に対し開閉自在に設けられている。前面ドア13の正面には点検扉15が取り付けられており、また、前面ドア13の下部には、処理完了後の製品を取り出すための製品排出口16が設けられている。また、コーティング装置1には、パン2内に処理気体を供給する給気口17と、給気口17からパン2内に供給された処理気体をドラム外に排出する排気口18が設けられている。
【0020】
パン2内にはさらに、コーティング液噴霧用のスプレーガン61が配置されている。スプレーガン61は、ガンホルダ62に取り付けられており、パン2の前面開口部8からパン内に挿入され、装置正面側からパン内に出し入れ自在に設けられている。スプレーガン61には、ガンホルダ62内に収容された図示しないホースを介して、コーティング液や噴霧エアが供給される。スプレーガン61は、パン2内にて錠剤層面に対して垂直方向に上下移動し、パン2内の錠剤3に対し、所定のスプレー位置から所望のタイミングでコーティング液等が適宜スプレーされ、コーティング処理が実施される。
【0021】
コーティング装置1のパン室4a側にはさらに、処理中のパン2内から装置を停止させることなく、錠剤3のサンプルを採取可能なサンプリング装置20が設けられている。図1,2に示すように、サンプリング装置20は、サンプル採取部21とサンプル回収部41とを備えた構成となっており、サンプル採取部21によって処理中の錠剤3をパン2外に送出し、それをサンプル回収部41にて回収して装置外に取り出すようになっている。サンプリング装置20では、吸引サンプリング機構のように、パン2の前面側(前面ドア13側)からパン2内に挿入されるような設備はなく、パン内の視認性が確保されている。
【0022】
サンプル採取部21は、パン2のコニカル部6に開口形成されたサンプル採取口22と、コニカル部6のパン内面側に取り付けられたサンプリングバッフル(ガイド部材)23と、サンプル採取口22のパン外面側に設けられた採取口開閉装置24と、を有している。採取口開閉装置24には、サンプル採取口22を開閉するトラップドア(蓋部材)25が設けられている。パン2内の錠剤3は、パン2の回転に伴い、サンプリングバッフル23によってサンプル採取口22に案内される。サンプル採取口22に案内されて来た錠剤3は、トラップドア25が開きサンプル採取口22が開放されていると、そこからパン外に送出される。
【0023】
図3は、サンプリングバッフル23の構成を示す説明図である。図3に示すように、サンプリングバッフル23は、角棒にて形成されたガイドレール(ガイド部)26と、ガイドレール26を支持しパン2に固定するための支持脚(支持部)27とから構成されている。支持脚27は丸棒にて形成されており、サンプリングバッフル23では、ガイドレール26に2個設けられている。支持脚27の一端部側はガイドレール26に溶接固定され、他端部側には雌ねじ孔28が形成されている。コニカル部6には、サンプリングバッフル23を固定するためのガイド固定孔29が開口形成されており、支持脚27は、ガイド固定孔29を介して、ガイド固定ねじ31によってコニカル部6に固定される。
【0024】
コーティング装置1では、支持脚27とガイドレール26を合わせたサンプリングバッフル23の高さ寸法Hは、サンプル採取口22の直径Dよりも小さく設定されている。すなわち、サンプリングバッフル23は、サンプル採取口22を介してパン内に挿入可能となっており、サンプリングバッフル23をパン外から着脱できるようになっている。したがって、サンプリングバッフル23の取り付けに際しては、まず、サンプル採取口22からサンプリングバッフル23をパン2内に入れ、所定の位置に配置する。そして、ガイド固定孔29を通して、パン外から支持脚27にガイド固定ねじ31をねじ込む。これにより、サンプリングバッフル23はパン2内部に固定設置される。
【0025】
サンプリングバッフル23のガイドレール26は、上面26aに錠剤が1~2錠載る程度の幅(20~30mm程度)に形成されており、コニカル部6の内面6aに沿って延設される。サンプリングバッフル23の長さは、全長400~800mm程度であり、錠剤の種類や仕込量(パン内の錠剤層の高さ)に応じて適宜変更する。また、サンプリングバッフル23の取付角度θは、パン2の回転位置との関係で、どの位置までパン2が回転したらガイドレール26上の錠剤3がサンプル採取口22に流れ落ちるか、をパン2の回転速度(回転数)や錠剤のサイズや形状等に応じて勘案して設定する(サンプル採取口22が最も下の位置(最下位置)にあるとき、水平方向に対して5~30度程度、好ましくは10~20度程度)。
【0026】
ガイドレール26の一端側(サンプル採取口22に臨む側)には、サンプル採取口22の外周に合わせる形で湾曲部26bが設けられている。サンプリングバッフル23をパン2に固定すると、湾曲部26bはサンプル採取口22の外周に沿って延びるように配置される。これにより、ガイドレール上面26aに載った錠剤3は、パン2の回転に伴って、サンプル採取口22へと導かれる。サンプル採取口22のパン外部側には、採取口に臨んでガイドプレート32が取り付けられており、サンプル採取口22から流出した錠剤3は、このガイドプレート32により、周囲に飛散することなく、下方のサンプル回収部41に確実に誘導される。
【0027】
サンプル採取口22に配されたトラップドア25は、エアシリンダ(開閉駆動手段)33を備えた採取口開閉装置24によって開閉される。図4は、サンプル採取口22近傍の構成を示す説明図である。図4に示すように、トラップドア25は、サンプル採取口22の開口に対応して形成された円板状の蓋部材となっており、サンプル採取口22をパン外から塞ぐ形で、コニカル部6の外面6b側に配置されている。トラップドア25は、エアシリンダ33のシリンダロッド34の端部に取り付けられており、エアシリンダ33によって駆動され、開放位置Xと閉鎖位置Yとの間で作動する。
【0028】
エアシリンダ33は、ブラケット35によってパン2に固定されており、回転軸11内に配管されたエアチューブ36を介して、装置外に設けたコンプレッサ(図示せず)から圧縮空気が供給される。このように、サンプリング装置20では、トラップドア25を進退させるエアシリンダ33に対し、回転軸11を介してエアの供給を行うため、回転体であるパン2にも無理なく採取口開閉装置24を設置できる。エアシリンダ33が作動してシリンダロッド34が延伸すると、トラップドア25が閉鎖位置Yに移動しサンプル採取口22が閉鎖される。一方、シリンダロッド34が後退すると、トラップドア25が開放位置Xに移動しサンプル採取口22が開放される。
【0029】
サンプル回収部41は、サンプル採取部21にてパン2から取り出された錠剤3を回収し、装置外に排出する。図1,2に示すように、サンプル回収部41には、箱状の排出シュート42と、排出シュート42に接続されたサンプル排出管43、サンプル排出管43に設けられた第1及び第2開閉バルブ(バルブ装置)44,45とを備えている。排出シュート42は、パン2の近傍にコニカル部6に沿うように配置され、パン2の回転に伴ってサンプル採取口22から勢い良く流出する錠剤3を確実に獲得できるようになっている。
【0030】
図5は、排出シュート42の構成を示す説明図である。図5に示すように、排出シュート42のボックス部46は、パン室4aと機械室4bとの間の隔壁47に固定されており、パン2側の上縁部46aは、コニカル部6の形状に合わせて円弧状に切り欠かれている。ボックス部46の下方はホッパ部48となっており、ボックス部46に流入した錠剤3はホッパ部48にて集約され、下部の排出口49から流出する。排出シュート42の排出口49には、採取したサンプルを装置外に送出するためのサンプル排出管43が接続されている。排出口49から流出した錠剤3は、サンプル排出管43を介して装置外へ排出される。
【0031】
サンプリングの際、当該サンプリング装置20では、下側の第2開閉バルブ45は閉じた状態で、上側の第1開閉バルブ44のみを開き、トラップドア25を開けて錠剤3を取り出す。次に、閉じている第2開閉バルブ45の部位に所望量のサンプルが溜まったところでトラップドア25を閉じる。その後、第1開閉バルブ44を閉じた上で第2開閉バルブ45を開き、そこに溜まっている錠剤3を装置外に排出する。これにより、パン2の内外が縁切りされた状態でコーティング処理中の錠剤3を取り出すことができ、コンテインメント性を損なうことなく、サンプル採取を行うことが可能となる。
【0032】
サンプリング装置20によってコーティング装置1から採取された錠剤3は、エジェクタによる空気搬送によって、別途設けられた錠剤物性測定装置(図示せず)に送られる。錠剤物性測定装置では、サンプルの重量等からコーティング膜圧などの諸物性が測定される。諸物性の測定データは図示しない制御装置に送られ、コーティング処理の進行状況が把握され、コーティング液の噴霧量や処理気体の風量、処理時間等の諸条件がフィードバック制御される。
【0033】
加えて、コーティング装置1では、機械室4bに、パン2の回転数と回転位置を検知するための回転検知部51が設けられている。回転検知部51は、回転軸11に取り付けられた検知突起52,53と、検知突起52,53の近接を検知する近接センサ54,55が設けられている。検知突起52は、回転軸11の外周に複数個(例えば12個)等間隔で突設されている。近接センサ54は、検知突起52と対向する位置に配置されており、検知突起52が接近すると制御装置に対し検知信号を送出する。また、検知突起53は、回転軸11の外周に1個突設されている。近接センサ55は、検知突起53と対向する位置に配置されており、検知突起53が接近すると制御装置に対し検知信号を送出する。
【0034】
回転検知部51から検知信号を受けた制御装置は、近接センサ54から続々と送られてくる検知信号に基づき、パン2の回転数を算出する。一方、検知突起52は、パン2のサンプル採取口22が最も高い位置(最上位置)に来たとき、近接センサ55と対向するようになっている。すなわち、近接センサ55は、サンプル採取口22が最上位置に来たとき検知信号を送出する。したがって、制御装置は、近接センサ55からの検知信号を受信したとき、サンプル採取口22が最上位置に来ていると認識する。これにより、制御装置では、パン2の回転位置と回転数から、パン2の作動状態がリアルタイムで把握される。
【0035】
このようなサンプリング装置20では、次のようにして処理中の錠剤3をサンプリングする。図6は、コーティング装置1におけるサンプリング処理の様子を示す説明図である。サンプリング処理は、必要に応じて任意のタイミングで実施したり、プログラミングにより自動的に実施したりすることが可能である。すなわち、コーティング装置1では、作業者の指示によるマニュアルでのサンプリング処理や、予め工程プログラムにサンプリングのタイミングを指定しておき、所定時間(例えば5分)に1回などの自動処理が可能となっている。
【0036】
サンプリングを行う場合、まず、採取口開閉装置24のエアシリンダ33を作動させ、トラップドア25を後退させてサンプル採取口22を開放する。サンプル採取口22の開放・閉鎖は、錠剤3がトラップドア25に挟まれたりしないように、サンプル採取口22が最上位置に来たタイミングで実行される。サンプル採取口22が最上位置にない状態でサンプリング開始の指示があった場合は、サンプル採取口22が次に最上位置に来たときに採取口が開けられる。前述のように、サンプル採取口22を開放する際には、下側の第2開閉バルブ45は閉じ、上側の第1開閉バルブ44のみを開いた状態とする。
【0037】
サンプル採取口22を開放した状態でパン2が回転すると、サンプリングバッフル23が錠剤層56に進入する(図6A)。さらにパン2が回転すると、ガイドレール26は錠剤3を載せつつ錠剤層56内を移動し、やがて錠剤層56から離脱する(図6A→C)。その際、ガイドレール26の一端側(サンプル採取口22側)が他端側よりも低くなると、サンプリングバッフル23上の錠剤3は、ガイドレール26上を流れ落ちる形でサンプル採取口22側に移動する(図6B)。ガイドレール26上を流れ落ちる錠剤3は、サンプル採取口22に導入され、開放状態の採取口からパン2外へ送り出される。
【0038】
パン2の回転に伴ってサンプル採取口22からパン外に出た錠剤3は、ガイドプレート32に案内され、周囲に飛び散ることなく排出シュート42に流入する。排出シュート42内に入った錠剤3は、ボックス部46からホッパ部48に集まり、下部の排出口49からサンプル排出管43に流出する。その際、サンプリング装置20では、前述のように、サンプリング時は上側の第1開閉バルブ44のみが開かれ、下側の第2開閉バルブ45が閉じている。このため、サンプル排出管43に流入した錠剤3は、第2開閉バルブ45の部位で止められ、そこに溜まる。
【0039】
当該コーティング装置1では、このようなサンプリングをパン2回転分実施する。すなわち、サンプリング処理中に上述のような錠剤3の採取が2回行われ、第2開閉バルブ45の部位には2回分のサンプルが溜められる。この場合、1回のサンプリングでは、概ね50~60錠程度のサンプルが得られ、これを2回行うことで約100錠程度のサンプルが採取される。そこで、制御装置は、サンプリングを2回(パン2回転分)実施した後、つまり、サンプリング処理開始後に近接センサ55からの検知信号を2回受信したとき、サンプル採取口22を閉鎖してサンプル採取を終了する。なお、前述のように、サンプル採取口22の閉鎖も採取口が最上位置に来たタイミングで行われる。
【0040】
制御装置は、採取口開閉装置24のエアシリンダ33を作動させ、トラップドア25を前進させてサンプル採取口22を閉じた後、上側の第1開閉バルブ44を閉じる。その上で下側の第2開閉バルブ45を開き、そこに溜まっている錠剤3を装置外に排出する。これにより、パン2の内外を非連通状態に保ったまま、所望量の錠剤3がパン2内から取り出される。そして、コーティング装置1から取り出されたサンプルは、錠剤物性測定装置に送られ、コーティング膜厚等が算出される。
【0041】
このように、サンプリング装置20は、コーティング処理中の錠剤3をパン2外に取り出すサンプル採取部21と、パン2から取り出した錠剤3を確実に回収するサンプル回収部41とを備え、サンプル採取部21に、パン2に開口形成されたサンプル採取口22と、パン内面側に配されサンプル採取口22に錠剤3を誘導するサンプリングバッフル23と、サンプル採取口22を開閉するトラップドア25を備えた採取口開閉装置24と、を設けることにより、パンコーティング装置1を運転中に、作業者がパン2に触れることなく、任意のタイミングでパン2内からサンプルを採取することができる。
【0042】
したがって、点検扉15を開閉して作業員が手でサンプルを取り出したり、排出させたりする必要がなく、制御装置の操作によって処理中の錠剤3を採取でき、作業者の安全が確保されると共に、コンテインメントにも対応可能となる。また、サンプリングに際し、パン2を停止させたり逆転させたりする必要がないため、コーティング処理の効率化も図られる。さらに、コーティング処理工程において、所望量のサンプル採取を自動で行うこともでき、パンコーティング装置におけるサンプリング検査処理を自動化でき、コーティング工程管理の効率化が図られる。
【0043】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、前述の実施形態では、サンプリングバッフル23のガイドレール26を角棒にて形成した例を示したが、ガイドレール26の形状は棒状には限られず、図7に示したような断面L字形のプレート部材(ステンレス鋼板材)であっても良い。図7のようなガイド部構成とすると、1回に採取できる錠剤量が多くなり、その場合には、2回のサンプリングを1回で終了させても良い。また、サンプリングバッフル23の設置角度を変更可能なように、パン2のコニカル部6にガイド固定孔29を複数組設けても良い。
【0044】
さらに、前述の実施形態では、サンプリング装置20をパン2の後部側(機械室4b側)に設けた構成を示したが、サンプリング装置20をパン2の前面側に配置することも可能である。加えて、採取口開閉装置24を、空気圧を用いたエアシリンダ33にて構成した例を示したが、電動の開閉装置を用いることも可能である。その場合、ワイヤレスの装置にて配線を省くことも可能であり、特に、作業性を考慮しサンプリング装置をパン前面側に配置した構成では、パン2と共に回転する採取口開閉装置に対するエア配管や電気配線が不要となり有用である。
【0045】
加えて、前述のコーティング装置1では、パン2として、円筒形の胴部5を備えたものを示したが、胴部5の形状は円筒形には限定されず、例えば、断面八角形状などの多角柱状であっても良い。また、サンプリング装置20によって採取された錠剤3について、前述の実施形態では、空気搬送によって錠剤物性測定装置に送り重量等を測定する構成を示したが、物性測定方法は特に限定されず、採取した錠剤を作業員がそのまま回収し、人の手で重量測定等を行っても良く、採取後の錠剤の取り扱いも、物性測定には限られず、サンプリングの目的やサンプルの用途等に応じて任意に採択可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、薬や健康食品などの錠剤以外にも、ガムやチョコレートなどの菓子や他の食品のコーティング処理にも適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 パンコーティング装置(粉粒体処理装置)
2 コーティングパン(処理容器)
3 錠剤(被処理物)
4 筐体
4a パン室
4b 機械室
5 胴部
6 コニカル部
6a 内面
6b 外面
7 通気孔
8 前面開口部
9 エンドプレート
11 回転軸
12 ローラ
13 前面ドア
14a,14b ユニットカバー
15 点検扉
16 製品排出口
17 給気口
18 排気口
20 サンプリング装置
21 サンプル採取部
22 サンプル採取口
23 サンプリングバッフル(ガイド部材)
24 採取口開閉装置
25 トラップドア(蓋部材)
26 ガイドレール(ガイド部)
26a 上面
26b 湾曲部
27 支持脚(支持部)
28 雌ねじ孔
29 ガイド固定孔
31 ガイド固定ねじ
32 ガイドプレート
33 エアシリンダ(開閉駆動手段)
34 シリンダロッド
35 ブラケット
36 エアチューブ
41 サンプル回収部
42 排出シュート
43 サンプル排出管
44 第1開閉バルブ(バルブ装置)
45 第2開閉バルブ(バルブ装置)
46 ボックス部
46a 上縁部
47 隔壁
48 ホッパ部
49 排出口
51 回転検知部
52 検知突起
53 検知突起
54 近接センサ
55 近接センサ
56 錠剤層
61 スプレーガン
62 ガンホルダ
H サンプリングバッフル高さ寸法
O 回転軸線
X 開放位置
Y 閉鎖位置
θ サンプリングバッフル取付角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7