(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123244
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/20 20210101AFI20220817BHJP
H01M 50/572 20210101ALI20220817BHJP
H01G 11/12 20130101ALI20220817BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20220817BHJP
【FI】
H01M2/10 E
H01M2/34 B
H01G11/12
H01G11/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020427
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】河手 謙志
【テーマコード(参考)】
5E078
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AA06
5E078AB01
5E078HA05
5E078HA23
5E078JA02
5E078JA07
5H040AA14
5H040AS01
5H040AS04
5H040AS05
5H040AS06
5H040AS07
5H040AT02
5H040AY05
5H040AY10
5H040CC05
5H040CC20
5H040CC32
5H040NN00
5H040NN01
5H040NN03
5H043AA01
5H043BA19
5H043CA05
5H043CA28
5H043FA04
5H043GA26
5H043JA01F
5H043JA06F
5H043LA02F
5H043LA21F
5H043LA34F
(57)【要約】
【課題】蓄電素子の損傷を抑制することができる蓄電装置を提供する。
【解決手段】蓄電装置10は、第一方向に並んで配置される蓄電素子200及び第一スペーサ310と、蓄電素子200及び第一スペーサ310の、第一方向と交差する第二方向の一方側に配置されるサイドプレート500と、を備え、第一スペーサ310は、蓄電素子200の第一方向の一方側の第一面(長側面211)に対向するスペーサ本体311と、スペーサ本体311から第一方向の他方側に突出し、かつ、蓄電素子200の第二方向の一方側の第二面(短側面212)に対向する突出部312と、を有し、突出部312は、第二面とサイドプレート500との間に、第二面とは離間して配置される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向に並んで配置される蓄電素子及び第一スペーサと、
前記蓄電素子及び前記第一スペーサの、前記第一方向と交差する第二方向の一方側に配置されるサイドプレートと、を備え、
前記第一スペーサは、
前記蓄電素子の前記第一方向の一方側の第一面に対向するスペーサ本体と、
前記スペーサ本体から前記第一方向の他方側に突出し、かつ、前記蓄電素子の前記第二方向の一方側の第二面に対向する突出部と、を有し、
前記突出部は、前記第二面と前記サイドプレートとの間に、前記第二面とは離間して配置される
蓄電装置。
【請求項2】
さらに、
前記蓄電素子と前記第一スペーサとの間に配置される絶縁性の第二スペーサを備え、
前記第一スペーサは、前記第二スペーサよりも剛性が高い
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記サイドプレートは、前記突出部に対して固定される
請求項1または2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記突出部は、前記第一スペーサのうちの前記スペーサ本体よりも厚みが厚い部分である
請求項1~3のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記突出部は、前記第一スペーサのうちの前記スペーサ本体から折れ曲がった部分である
請求項3に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子とスペーサとサイドプレートとを備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電素子と、スペーサと、蓄電素子及びスペーサの側方に配置されるサイドプレートと、を備える蓄電装置が広く知られている。例えば、特許文献1には、複数の電池(蓄電素子)と、電池の前部または後部に嵌合する嵌合用凹面を有する囲枠型の電池間スペーサー(スペーサ)とを備え、電池及び電池間スペーサーの側方に横枠部材(サイドプレート)が配置された装置(蓄電装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のような構成の蓄電装置では、外部からサイドプレートに衝撃が加えられた場合等に、サイドプレートが蓄電素子に向けて変形し、蓄電素子を損傷させてしまうおそれがある。例えば、サイドプレートが蓄電素子に向けて変形した場合、サイドプレートが蓄電素子を直接的またはスペーサを介して押圧して蓄電素子を変形させたり、サイドプレートが蓄電素子に接触して、蓄電素子を他の導電部材(他の蓄電素子等)と短絡させたりするおそれがある。
【0005】
本発明は、本願発明者が上記課題に新たに着目することによってなされたものであり、蓄電素子の損傷を抑制することができる蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電装置は、第一方向に並んで配置される蓄電素子及び第一スペーサと、前記蓄電素子及び前記第一スペーサの、前記第一方向と交差する第二方向の一方側に配置されるサイドプレートと、を備え、前記第一スペーサは、前記蓄電素子の前記第一方向の一方側の第一面に対向するスペーサ本体と、前記スペーサ本体から前記第一方向の他方側に突出し、かつ、前記蓄電素子の前記第二方向の一方側の第二面に対向する突出部と、を有し、前記突出部は、前記第二面と前記サイドプレートとの間に、前記第二面とは離間して配置される。
【0007】
これによれば、蓄電装置において、第一スペーサは、スペーサ本体から突出し、蓄電素子の第二面に対向する突出部を有し、突出部は、第二面とサイドプレートとの間に、第二面とは離間して配置される。このように、第一スペーサが、蓄電素子の第二面とサイドプレートとの間に、第二面とは離間した突出部を有していることで、外部からサイドプレートに衝撃が加えられてサイドプレートが蓄電素子に向けて変形した場合でも、サイドプレートが蓄電素子に接近するのを抑制できる。これにより、サイドプレートが蓄電素子を押圧して蓄電素子を変形させたり、サイドプレートが蓄電素子に接触して、蓄電素子を他の導電部材(蓄電素子と直列接続される他の蓄電素子等)と短絡させたりするのを抑制できる。したがって、蓄電素子を保護することができるため、蓄電素子の損傷を抑制することができる。
【0008】
さらに、前記蓄電素子と前記第一スペーサとの間に配置される絶縁性の第二スペーサを備え、前記第一スペーサは、前記第二スペーサよりも剛性が高いことにしてもよい。
【0009】
これによれば、蓄電素子と第一スペーサとの間に絶縁性の第二スペーサが配置され、第一スペーサは、第二スペーサよりも剛性が高い。このように、絶縁性の第二スペーサを配置することで、蓄電素子の絶縁性を確保するとともに、第一スペーサの剛性を高くすることで、外部からサイドプレートに衝撃が加えられた場合でもサイドプレートが蓄電素子に接近するのを抑制する。これにより、蓄電素子を絶縁しつつ蓄電素子の損傷を抑制することができる。
【0010】
前記サイドプレートは、前記突出部に対して固定されることにしてもよい。
【0011】
これによれば、サイドプレートが第一スペーサの突出部に対して固定されることで、サイドプレートが補強される。これにより、外部からサイドプレートに衝撃が加えられた場合でも、サイドプレートが蓄電素子に接近するのを抑制できるため、蓄電素子の損傷を抑制することができる。
【0012】
前記突出部は、前記第一スペーサのうちの前記スペーサ本体よりも厚みが厚い部分であることにしてもよい。
【0013】
これによれば、第一スペーサの突出部を、スペーサ本体よりも厚みが厚い部分とすることで、突出部の強度が高くなる。これにより、外部からサイドプレートに衝撃が加えられた場合でも、サイドプレートが蓄電素子に接近するのを抑制できるため、蓄電素子の損傷を抑制することができる。
【0014】
前記突出部は、前記第一スペーサのうちの前記スペーサ本体から折れ曲がった部分であることにしてもよい。
【0015】
これによれば、第一スペーサの突出部を、スペーサ本体から折れ曲がった部分とすることで、プレス加工等により第一スペーサを折り曲げることで突出部を形成できるため、突出部を容易に形成することができる。
【0016】
本発明は、このような蓄電装置として実現することができるだけでなく、第一スペーサ、第一スペーサと蓄電素子との組み合わせ、第一スペーサとサイドプレートとの組み合わせ、または、第一スペーサと第二スペーサとの組み合わせとしても実現することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明における蓄電装置によれば、蓄電素子の損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施の形態に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る蓄電装置を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【
図3】実施の形態に係る蓄電装置をさらに分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【
図4】実施の形態に係る蓄電素子の構成を示す斜視図である。
【
図5】実施の形態に係る第一スペーサの構成を示す斜視図である。
【
図6】実施の形態に係る蓄電素子及びスペーサを組み付けた状態での構成を示す斜視図である。
【
図7】実施の形態に係る蓄電素子、スペーサ、エンドプレート、サイドプレート、及び、ボトムプレートを組み付けた状態での構成を示す上面図である。
【
図8】実施の形態の変形例1に係る第一スペーサの構成、及び、サイドプレートとの接続構成を示す斜視図及び断面図である。
【
図9】実施の形態の変形例2に係る第一スペーサの構成、及び、サイドプレートとの接続構成を示す斜視図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(その変形例も含む)に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。各図において、同一または同様な構成要素については同じ符号を付している。
【0020】
以下の説明及び図面中において、複数の蓄電素子の配列方向、蓄電素子の容器の長側面の対向方向、蓄電素子とスペーサとの並び方向、または、一対のエンドプレートの並び方向を、X軸方向と定義する。1つの蓄電素子における一対(正極側及び負極側)の電極端子の並び方向、蓄電素子の容器の短側面の対向方向、または、一対のサイドプレートの並び方向を、Y軸方向と定義する。蓄電装置の外装体本体と外装体蓋体との並び方向、蓄電素子の容器本体と容器蓋部との並び方向、蓄電素子とバスバーとの並び方向、または、上下方向を、Z軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。
【0021】
以下の説明において、例えば、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。以下では、X軸方向を第一方向とも呼び、X軸プラス方向及びX軸マイナス方向の一方を第一方向の一方側とも呼び、他方を第一方向の他方側とも呼ぶ場合がある。Y軸方向を第二方向とも呼び、Y軸プラス方向及びY軸マイナス方向の一方を第二方向の一方側とも呼び、他方を第二方向の他方側とも呼ぶ場合がある。さらに、平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が直交している、とは、当該2つの方向が完全に直交していることを意味するだけでなく、実質的に直交していること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。
【0022】
(実施の形態)
[1 蓄電装置10の全般的な説明]
まず、本実施の形態における蓄電装置10の全般的な説明を行う。
図1は、本実施の形態に係る蓄電装置10の外観を示す斜視図である。
図2は、本実施の形態に係る蓄電装置10を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
図3は、本実施の形態に係る蓄電装置10をさらに分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。なお、
図3は、蓄電装置10における外装体100及びバスバー700以外の構成要素を分解して示す分解斜視図である。
【0023】
蓄電装置10は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置であり、本実施の形態では、略直方体形状を有している。例えば、蓄電装置10は、電力貯蔵用途または電源用途等に使用される電池モジュール(組電池)である。具体的には、蓄電装置10は、例えば、自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、船舶、スノーモービル、農業機械、建設機械、または、電気鉄道用の鉄道車両等の移動体の駆動用またはエンジン始動用等のバッテリ等として用いられる。上記の自動車としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)及びガソリン自動車が例示される。上記の電気鉄道用の鉄道車両としては、電車、モノレール、リニアモーターカー、並びに、ディーゼル機関及び電気モーターの両方を備えるハイブリッド電車が例示される。また、蓄電装置10は、家庭用または事業用等に使用される定置用のバッテリ等としても用いることができる。
【0024】
図1に示すように、蓄電装置10は、外装体100を備えている。
図2及び
図3に示すように、外装体100の内方には、複数の蓄電素子200、複数のスペーサ300(310~340)、一対のエンドプレート400(401、402)、一対のサイドプレート500(501、502)、ボトムプレート600、及び、複数のバスバー700等が収容されている。蓄電装置10は、上記の構成要素の他、バスバー700が載置されるバスバーフレーム、蓄電素子200の充電状態及び放電状態を監視するための回路基板、ヒューズ、リレー及びコネクタ等の電気機器、並びに、蓄電素子200から排出されるガスを外装体100の外方へ排気するための排気部等を備えていてもよい。
【0025】
外装体100は、蓄電装置10の筐体(外殻)を構成する箱形(略直方体形状)の容器(モジュールケース)である。外装体100は、複数の蓄電素子200、複数のスペーサ300、一対のエンドプレート400、一対のサイドプレート500、ボトムプレート600、及び、複数のバスバー700等の外方に配置され、当該複数の蓄電素子200等を所定の位置で固定し、衝撃等から保護する。外装体100は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE(変性PPEを含む))、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ABS樹脂、若しくは、それらの複合材料等の絶縁部材、または、絶縁塗装をした金属等により形成されている。外装体100は、これにより、蓄電素子200等が外部の金属部材等に接触することを回避する。なお、蓄電素子200等の電気的絶縁性が保たれる構成であれば、外装体100は、金属等の導電部材で形成されていてもよい。
【0026】
外装体100は、外装体100の本体を構成する外装体本体110と、外装体100の蓋体を構成する外装体蓋体120と、を有している。外装体本体110は、開口が形成された有底矩形筒状のハウジング(筐体)であり、蓄電素子200等を収容する。外装体蓋体120は、外装体本体110の開口を閉塞する扁平な矩形状の部材である。外装体蓋体120は、外装体本体110と、接着剤、ヒートシールまたは超音波溶着等によって接合される。外装体蓋体120には、一対(正極側及び負極側)の外部端子121が設けられている。蓄電装置10は、この一対の外部端子121を介して、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電する。
【0027】
蓄電素子200は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池である。蓄電素子200は、扁平な直方体形状(角形)を有しており、本実施の形態では、8個の蓄電素子200がX軸方向に並んで配列されている。なお、蓄電素子200の大きさ、形状、及び、配列される蓄電素子200の個数等は限定されず、例えば1つの蓄電素子200しか配置されていなくてもよい。蓄電素子200は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。蓄電素子200は、二次電池ではなく、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。蓄電素子200は、固体電解質を用いた電池であってもよい。蓄電素子200は、パウチタイプの蓄電素子であってもよい。蓄電素子200の構成の詳細な説明については、後述する。
【0028】
バスバー700は、蓄電素子200に接続される平板状かつ矩形状の部材である。バスバー700は、複数の蓄電素子200の上方に配置され、複数の蓄電素子200が有する電極端子240(
図2、4等参照)、及び、外部端子121に接続(接合)される。つまり、バスバー700は、複数の蓄電素子200の電極端子240同士を接続し、かつ、端部の蓄電素子200の電極端子240と外部端子121とを接続する。
【0029】
本実施の形態では、バスバー700と電極端子240または外部端子121とは、溶接によって接続(接合)されるが、ボルト締結等によって接続(接合)されてもよい。バスバー700は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、ニッケル等の金属製の導電部材若しくはそれらの組み合わせ、または、金属以外の導電性の部材で形成されている。本実施の形態では、バスバー700は、蓄電素子200を2個ずつ並列に接続して4セットの蓄電素子群を構成し、当該4セットの蓄電素子群を直列に接続する。なお、バスバー700の接続形態は特に限定されず、複数の蓄電素子200がどのような組み合わせで直列に接続され、また、並列に接続されるように配置されていてもよい。
【0030】
スペーサ300は、蓄電素子200の側方(X軸プラス方向またはX軸マイナス方向)に配置され、蓄電素子200と他の部材とを電気的に絶縁する平板状かつ矩形状の部材である。ここで、複数のスペーサ300のうち、蓄電素子200(蓄電素子群)同士の間に配置されるスペーサ300をスペーサ310~330とも呼び、蓄電素子200(蓄電素子群)とエンドプレート400との間に配置されるスペーサ300をスペーサ340とも呼ぶ。つまり、複数の蓄電素子200と複数のスペーサ300(スペーサ310~340)とは、X軸方向(第一方向)に並んで配置されている。
【0031】
スペーサ310~330は、隣り合う2つの蓄電素子200の間に配置され、当該2つの蓄電素子200の間を電気的に絶縁するスペーサ(中間スペーサ)である。本実施の形態では、スペーサ310~330は、並列接続された2個の蓄電素子200からなる蓄電素子群同士の間に配置される。つまり、スペーサ310~330は、直列接続された隣り合う2つの蓄電素子群の間に配置され、当該2つの蓄電素子群の間を電気的に絶縁する。本実施の形態では、4セットの蓄電素子群に対応して、3組のスペーサ310~330が配置されている。
【0032】
なお、蓄電素子群の数が4セット以外の場合には、スペーサ310~330の数も蓄電素子群の数に応じて適宜変更される。例えば、2セットの蓄電素子群に対応して、1組のスペーサ310~330しか配置されていなくてもよい。また、複数の蓄電素子200が全て直列接続される等により、上記の蓄電素子群には1つの蓄電素子200しか含まれない場合も考えられるが、この場合には、上記及び以降の説明において、蓄電素子群を1つの蓄電素子200と読み替えることとする。
【0033】
スペーサ310は、スペーサ320及び330の間に配置され、スペーサ320及び330よりも厚み厚く、かつ、剛性が高いスペーサである。スペーサ310は、Z軸方向においてはスペーサ320及び330と同等の長さを有し、Y軸方向においてはスペーサ320及び330よりも長い形状、つまり、Y軸方向両端部においてスペーサ320及び330から外方に突出した形状を有している。スペーサ310は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、ステンレス鋼、メッキ鋼板等の金属製の部材で形成されている。なお、スペーサ310の材質は特に限定されず、剛性が高い絶縁性の部材で形成されていてもよいし、絶縁処理が施されていたりしていてもよい。スペーサ310の構成の詳細な説明については、後述する。
【0034】
スペーサ320は、スペーサ310のX軸プラス方向に配置されるYZ平面に平行な平板状かつ矩形状のスペーサである。スペーサ320は、スペーサ310のX軸プラス方向に位置する蓄電素子200(蓄電素子群)とスペーサ310との間に配置される絶縁性のスペーサである。具体的には、スペーサ320は、当該蓄電素子200の後述する容器210の長側面211と、スペーサ310の後述するスペーサ本体311との間において、当該長側面211及びスペーサ本体311と対向し、かつ、当該長側面211及びスペーサ本体311と当接した状態で配置される。スペーサ320は、X軸方向から見て、当該長側面211とほぼ同じ大きさ及び形状を有している。スペーサ320は、例えば、上記の外装体100に使用可能ないずれかの樹脂材料等の電気的絶縁性を有する部材、または、ダンマ材等の断熱性を有する部材等で形成されている。
【0035】
スペーサ330は、スペーサ310のX軸マイナス方向に配置されるYZ平面に平行な平板状かつ矩形状のスペーサである。スペーサ330は、スペーサ310のX軸マイナス方向に位置する蓄電素子200(蓄電素子群)とスペーサ310との間に配置される絶縁性のスペーサである。具体的には、スペーサ330は、当該蓄電素子200の容器210の長側面211と、スペーサ310のスペーサ本体311との間において、当該長側面211及びスペーサ本体311と対向し、かつ、当該長側面211及びスペーサ本体311と当接した状態で配置される。スペーサ330は、X軸方向から見て、当該長側面211とほぼ同じ大きさ及び形状を有している。つまり、スペーサ330は、スペーサ320と同様の大きさ及び形状を有している。スペーサ330は、スペーサ320と同様に、例えば、上記の外装体100に使用可能ないずれかの樹脂材料等の電気的絶縁性を有する部材、または、ダンマ材等の断熱性を有する部材等で形成されている。
【0036】
このような構成により、スペーサ310~330は、蓄電素子群同士の間において、スペーサ310で強度を確保して蓄電素子200を保護するとともに、スペーサ320及び330で蓄電素子群同士の間の絶縁(及び断熱)を図っている。また、スペーサ310は、蓄電素子200のサイズ(厚み)が小さい場合に、蓄電素子200のサイズ(厚み)を調整する機能も担っている。
【0037】
スペーサ340は、端部の蓄電素子200とエンドプレート400(401、402)との間に配置され、当該端部の蓄電素子200とエンドプレート400との間を電気的に絶縁する、YZ平面に平行な平板状かつ矩形状のスペーサ(エンドスペーサ)である。スペーサ340は、スペーサ320及び330と同様の大きさ及び形状を有している。つまり、X軸方向両端部の蓄電素子群とエンドプレート401及び402との間に一対のスペーサ340が配置され、当該一対のスペーサ340が、当該両端部の蓄電素子群とエンドプレート401及び402との間を電気的に絶縁する。スペーサ340は、スペーサ320及び330と同様に、例えば、上記の外装体100に使用可能ないずれかの樹脂材料等の電気的絶縁性を有する部材、または、ダンマ材等の断熱性を有する部材等で形成されている。
【0038】
エンドプレート400、サイドプレート500、及び、ボトムプレート600は、複数の蓄電素子200の並び方向(X軸方向)において、蓄電素子200を外方から圧迫(拘束)する拘束部材である。つまり、エンドプレート400、サイドプレート500、及び、ボトムプレート600は、複数の蓄電素子200を当該並び方向の両側から挟み込むことで、複数の蓄電素子200に含まれるそれぞれの蓄電素子200を当該並び方向の両側から圧迫(拘束)する。
【0039】
具体的には、エンドプレート400は、複数の蓄電素子200及び複数のスペーサ300(310~340)のX軸方向両側に配置され、当該複数の蓄電素子200等を、これらの並び方向(X軸方向)の両側から挟み込んで保持する板状の部材(挟持部材)である。ここで、一対のエンドプレート400のうち、X軸プラス方向側のエンドプレート400をエンドプレート401とも呼び、X軸マイナス方向側のエンドプレート400をエンドプレート402とも呼ぶ。つまり、一対のエンドプレート401及び402は、X軸方向(蓄電素子200が有する電極体の極板の積層方向)において複数の蓄電素子200及び複数のスペーサ300を挟む位置に配置されて、これらを拘束する。
【0040】
サイドプレート500及びボトムプレート600は、両端が一対のエンドプレート400(401、402)に取り付けられて、一対のエンドプレート400を繋ぐことで、複数の蓄電素子200及び複数のスペーサ300(310~340)を拘束する板状の部材である。つまり、サイドプレート500及びボトムプレート600は、複数の蓄電素子200及び複数のスペーサ300を跨ぐようにX軸方向に延設されて配置され、当該複数の蓄電素子200等に対してこれらの並び方向(X軸方向)における拘束力を付与する。
【0041】
本実施の形態では、複数の蓄電素子200及び複数のスペーサ300(310~340)のY軸方向両側方(第一方向と交差する第二方向の一方側及び他方側)に、一対のサイドプレート500が配置される。本実施の形態では、一対のサイドプレート500は、当該複数の蓄電素子200等のY軸方向両側方におけるZ軸プラス方向寄りに配置される。そして、一対のサイドプレート500のそれぞれが、X軸方向両端部において、一対のエンドプレート400のY軸方向端部に取り付けられる。これにより、一対のサイドプレート500は、一対のエンドプレート400とともに、当該複数の蓄電素子200等をX軸方向の両側及びY軸方向の両側から挟み込んで拘束する。
【0042】
具体的には、サイドプレート500は、Z軸方向に並ぶ複数(本実施の形態では、2つ)の接続部材500aによって、エンドプレート400(401、402)に接続(接合)される。本実施の形態では、接続部材500aは、ボルトであり、エンドプレート400が有するナットと螺合により締結される。ここで、一対のサイドプレート500のうち、Y軸プラス方向側のサイドプレート500をサイドプレート501とも呼び、Y軸マイナス方向側のサイドプレート500をサイドプレート502とも呼ぶ。
【0043】
同様に、複数の蓄電素子200及び複数のスペーサ300(310~340)のZ軸マイナス方向に、ボトムプレート600が配置される。ボトムプレート600は、X軸方向両端部において、一対のエンドプレート400のZ軸マイナス方向端部に取り付けられる。具体的には、ボトムプレート600は、Y軸方向に並ぶ複数(本実施の形態では、2つ)の接続部材600aによって、エンドプレート400(401、402)に接続(接合)される。本実施の形態では、接続部材600aは、ボルトであり、エンドプレート400が有するナットと螺合により締結される。これにより、ボトムプレート600は、一対のエンドプレート400とともに、複数の蓄電素子200及び複数のスペーサ300をZ軸マイナス方向側から拘束する。
【0044】
[2 蓄電素子200の説明]
次に、蓄電素子200の構成について、詳細に説明する。
図4は、本実施の形態に係る蓄電素子200の構成を示す斜視図である。具体的には、
図4は、
図3に示した複数の蓄電素子200のうちの1つの蓄電素子200の外観を拡大して示している。なお、当該複数の蓄電素子200は、全て同様の構成を有しているため、以下では、1つの蓄電素子200の構成について詳細に説明する。
【0045】
図4に示すように、蓄電素子200は、容器210と、一対(正極側及び負極側)の電極端子240と、上部ガスケット250と、を備えている。また、容器210の内方には、下部ガスケット、電極体、一対(正極側及び負極側)の集電体、及び、電解液(非水電解質)等が収容されているが、これらの図示は省略する。当該電解液としては、蓄電素子200の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択することができる。
【0046】
蓄電素子200は、上記の構成要素の他、電極体の側方または下方等に配置されるスペーサ、及び、電極体等を包み込む絶縁フィルム等を有していてもよい。さらに、容器210の周囲には、容器210の外面を覆う絶縁フィルム(シュリンクチューブ等)が配置されていてもよい。当該絶縁フィルムの材質は、蓄電素子200に必要な絶縁性を確保できるものであれば特に限定されないが、例えば、PC、PP、PE、PPS、PET、PBTまたはABS樹脂等の絶縁性の樹脂、エポキシ樹脂、カプトン、テフロン(登録商標)、シリコン、ポリイソプレン、及びポリ塩化ビニルなどを例示することができる。
【0047】
容器210は、開口が形成された容器本体220と、容器本体220の当該開口を閉塞する容器蓋体230と、を有する直方体形状(角形または箱形)のケースである。容器本体220は、容器210の本体部を構成する矩形筒状で底を備える部材であり、Z軸プラス方向側に開口が形成されている。容器蓋体230は、容器210の蓋部を構成する矩形状の板状部材であり、容器本体220のZ軸プラス方向側にY軸方向に延設されて配置されている。容器蓋体230には、容器210内方の圧力が過度に上昇した場合に当該圧力を開放するガス排出弁231、及び、容器210内方に電解液を注液するための注液部(図示せず)等が設けられている。容器210(容器本体220及び容器蓋体230)の材質は、特に限定されず、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板など溶接可能(接合可能)な金属とすることができるが、樹脂を用いることもできる。
【0048】
容器210は、電極体等を容器本体220の内方に収容後、容器本体220と容器蓋体230とが溶接等によって接合されることにより、内部が密封される構造となっている。容器210は、X軸方向両側の側面に一対の長側面211を有し、Y軸方向両側の側面に一対の短側面212を有し、Z軸マイナス方向側に底面213を有している。
【0049】
長側面211は、容器210の長側面を形成する矩形状の平面部であり、隣り合う蓄電素子200の容器210の長側面211、または、スペーサ300とX軸方向において対向して配置される。長側面211は、短側面212及び底面213に隣接し、短側面212よりも面積が大きい。短側面212は、容器210の短側面を形成する矩形状の平面部であり、サイドプレート500とY軸方向において対向して配置される。短側面212は、長側面211及び底面213に隣接し、長側面211よりも面積が小さい。底面213は、容器210の底面を形成する矩形状の平面部であり、ボトムプレート600とZ軸方向において対向し、かつ、長側面211及び短側面212に隣接して配置される。
【0050】
電極端子240は、容器蓋体230に配置される蓄電素子200の端子部材(正極端子及び負極端子)であり、集電体を介して、電極体の正極板及び負極板に電気的に接続されている。つまり、電極端子240は、電極体に蓄えられている電気を蓄電素子200の外部空間に導出し、また、電極体に電気を蓄えるために蓄電素子200の内部空間に電気を導入するための金属製の部材である。電極端子240は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などで形成されている。
【0051】
電極体は、正極板と負極板とセパレータとが積層されて形成された蓄電要素(発電要素)である。正極板は、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属からなる集電箔である正極基材層上に正極活物質層が形成されたものである。負極板は、銅または銅合金等の金属からなる集電箔である負極基材層上に負極活物質層が形成されたものである。正極活物質層及び負極活物質層に用いられる活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能なものであれば、適宜公知の材料を使用できる。セパレータは、樹脂からなる微多孔性のシートまたは不織布等を用いることができる。本実施の形態では、電極体は、極板(正極板及び負極板)がX軸方向に積層されて形成されている。なお、電極体は、極板(正極板及び負極板)が巻回されて形成された巻回型の電極体、複数の平板状の極板が積層されて形成された積層型(スタック型)の電極体、または、極板を蛇腹状に折り畳んだ蛇腹型の電極体等、どのような形態の電極体でもよい。
【0052】
集電体は、電極端子240と電極体とに電気的に接続される導電性の部材(正極集電体及び負極集電体)である。なお、正極集電体は、正極板の正極基材層と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金等で形成され、負極集電体は、負極板の負極基材層と同様、銅または銅合金等で形成されている。
【0053】
上部ガスケット250は、容器蓋体230と電極端子240との間に配置され、容器蓋体230と電極端子240との間を絶縁し、かつ封止するガスケットである。下部ガスケットは、容器蓋体230と集電体との間に配置され、容器蓋体230と集電体との間を絶縁し、かつ封止するガスケットである。上部ガスケット250及び下部ガスケットは、電気的絶縁性を有していればどのような素材で形成されていてもよい。
【0054】
[3 第一スペーサ310及びその周囲の構成の説明]
次に、スペーサ310及びその周囲の構成について、詳細に説明する。なお、以下では、スペーサ310を第一スペーサ310とも称し、スペーサ320及び330を第二スペーサ320及び330とも称する。
図5は、本実施の形態に係る第一スペーサ310の構成を示す斜視図である。具体的には、
図5は、蓄電装置10が備える複数の第一スペーサ310のうちの1つの第一スペーサ310を拡大して示している。なお、蓄電装置10が備える複数の第一スペーサ310は、全て同様の構成を有している。
【0055】
図6は、本実施の形態に係る蓄電素子200及びスペーサ300(310~340)を組み付けた状態での構成を示す斜視図である。
図7は、本実施の形態に係る蓄電素子200、スペーサ300(310~340)、エンドプレート400(401、402)、サイドプレート500(501、502)、及び、ボトムプレート600を組み付けた状態での構成を示す上面図である。具体的には、
図7の(a)は、蓄電素子200、スペーサ300、エンドプレート400、サイドプレート500、及び、ボトムプレート600を組み付けた状態での構成を示し、
図7の(b)は、
図7の(a)において破線で囲った部分を拡大して示している。
【0056】
これらの図に示すように、第一スペーサ310は、X軸方向における両端部が同様の形状(X軸方向中心位置のYZ平面に対して面対称となる形状)を有し、かつ、Y軸方向における両端部が同様の形状(Y軸方向中心位置のXZ平面に対して面対称となる形状)を有している。つまり、第一スペーサ310は、中心位置を通りZ軸方向に平行な軸を中心に180°回転させた場合に、回転対称となる形状を有している。第一スペーサ310は、スペーサ本体311と、突出部312と、を有している。
【0057】
スペーサ本体311は、第一スペーサ310の本体部を構成する、YZ平面に平行な平板状かつ矩形状の部位である。スペーサ本体311は、X軸方向においては、第二スペーサ320及び330よりも厚みが厚く形成され、Z軸方向においては、蓄電素子200の容器210の長側面211、並びに、第二スペーサ320及び330と同等の長さを有している。スペーサ本体311は、Y軸方向においては、長側面211並びにスペーサ320及び330よりも長い形状、つまり、Y軸方向両端部において、長側面211並びにスペーサ320及び330からY軸方向両側に突出した形状を有している(
図7等参照)。
【0058】
スペーサ本体311は、第二スペーサ320及び330の間において、第二スペーサ320及び330と対向し、かつ、第二スペーサ320及び330と当接した状態で配置される。言い換えれば、スペーサ本体311は、X軸方向において、第二スペーサ320及び330を介して、蓄電素子200の容器210の長側面211に対向する位置に配置される。つまり、スペーサ本体311は、蓄電素子200のX軸方向(第一方向)の一方側の長側面211に対向して配置される。
【0059】
この蓄電素子200の第一方向の一方側の長側面211は、第一面の一例である。例えば、第一スペーサ310のX軸プラス方向側においては、スペーサ本体311は、第一スペーサ310のX軸プラス方向に位置する蓄電素子200のX軸マイナス方向の長側面211に対向して配置される。この場合、X軸マイナス方向が第一方向の一方側(X軸プラス方向が第一方向の他方側)となり、当該蓄電素子200のX軸マイナス方向の長側面211が第一面の一例となる。第一スペーサ310のX軸マイナス方向側においては、スペーサ本体311は、第一スペーサ310のX軸マイナス方向に位置する蓄電素子200のX軸プラス方向の長側面211に対向して配置される。この場合、X軸プラス方向が第一方向の一方側(X軸マイナス方向が第一方向の他方側)となり、当該蓄電素子200のX軸プラス方向の長側面211が第一面の一例となる。
【0060】
突出部312は、スペーサ本体311からX軸方向に突出する突出部(凸部、突起)である。これにより、第一スペーサ310は、突出部312の位置において、X軸方向における厚みが厚くなる。つまり、突出部312は、第一スペーサ310のうちのスペーサ本体311よりも厚みが厚い部分である。
【0061】
本実施の形態では、スペーサ本体311のY軸方向両端部かつX軸方向両端部に、Z軸方向に間隔を空けて並ぶ複数の突出部312がそれぞれ配置されている。つまり、スペーサ本体311のY軸方向両端部かつX軸プラス方向の端部においては、X軸プラス方向に突出する突出部312が、Z軸方向に間隔を空けて複数並んで配置されている。スペーサ本体311のY軸方向両端部かつX軸マイナス方向の端部においては、X軸マイナス方向に突出する突出部312が、Z軸方向に間隔を空けて複数並んで配置されている。
【0062】
これにより、突出部312は、蓄電素子200の容器210の短側面212に対向する位置に配置される。具体的には、突出部312は、X軸方向において、蓄電素子200の短側面212に沿って、短側面212の半分よりも短い長さ(容器210の厚みの半分よりも短い長さ)まで延設される。本実施の形態では、
図7に示すように、突出部312は、蓄電素子200の短側面212の角部のアール部分(曲面部分)に対向する位置まで突出して配置される。これにより、第一スペーサ310の変形等により突出部312が短側面212に向けて移動しても、突出部312が短側面212に接触するのが抑制される。なお、突出部312は、蓄電素子200の短側面212の平面部分に対向する位置まで延設されてもよく、短側面212の半分以上の長さまで延設されてもよい。
【0063】
このように、突出部312は、スペーサ本体311からX軸方向(第一方向)の他方側に突出し、かつ、蓄電素子200のY軸方向(第二方向)の一方側の短側面212に対向する。この蓄電素子200の第二方向の一方側の短側面212は、第二面の一例である。
【0064】
例えば、第一スペーサ310のX軸プラス方向及びY軸プラス方向側においては、突出部312は、スペーサ本体311からX軸プラス方向に突出し、かつ、第一スペーサ310のX軸プラス方向に位置する蓄電素子200のY軸プラス方向の短側面212に対向する。この場合、X軸プラス方向が第一方向の他方側(X軸マイナス方向が第一方向の一方側)となり、Y軸プラス方向が第二方向の一方側(Y軸マイナス方向が第二方向の他方側)となり、当該蓄電素子200のY軸プラス方向の短側面212が第二面の一例となる。第一スペーサ310のX軸マイナス方向及びY軸プラス方向側においては、突出部312は、スペーサ本体311からX軸マイナス方向に突出し、かつ、第一スペーサ310のX軸マイナス方向に位置する蓄電素子200のY軸プラス方向の短側面212に対向する。この場合、X軸マイナス方向が第一方向の他方側(X軸プラス方向が第一方向の一方側)となり、Y軸プラス方向が第二方向の一方側(Y軸マイナス方向が第二方向の他方側)となり、当該蓄電素子200のY軸プラス方向の短側面212が第二面の一例となる。第一スペーサ310のX軸プラス方向及びY軸マイナス方向側、及び、第一スペーサ310のX軸マイナス方向及びY軸マイナス方向側においても同様である。
【0065】
また、複数の突出部312は、サイドプレート500に対応する位置に配置される。つまり、当該複数の突出部312は、スペーサ本体311のY軸方向両端部かつX軸方向両端部におけるZ軸プラス方向寄りに配置されて、サイドプレート500とY軸方向において対向する。
【0066】
具体的には、
図7に示すように、X軸方向(第一方向)に並んで、蓄電素子200、第一スペーサ310、並びに、第二スペーサ320及び330が配置される。また、蓄電素子200、第一スペーサ310、並びに、第二スペーサ320及び330のY軸方向(第一方向と交差する第二方向)の一方側にサイドプレート500が配置される。例えば、第一スペーサ310のY軸プラス方向においては、第一スペーサ310のY軸プラス方向にサイドプレート501が配置されるため、Y軸プラス方向が第二方向の一方側(Y軸マイナス方向が第二方向の他方側)となる。第一スペーサ310のY軸マイナス方向においては、第一スペーサ310のY軸マイナス方向にサイドプレート502が配置されるため、Y軸マイナス方向が第二方向の一方側(Y軸プラス方向が第二方向の他方側)となる。
【0067】
そして、突出部312は、蓄電素子200の容器210の短側面212(第二面)とサイドプレート500との間に、短側面212(第二面)とは離間して配置される。本実施の形態では、突出部312は、短側面212(第二面)及び第二スペーサ320または330とサイドプレート500との間に、短側面212(第二面)及び第二スペーサ320または330とは離間して配置される。なお、突出部312は、第二スペーサ320または330とは当接していてもよい。
【0068】
また、突出部312は、サイドプレート500とY軸方向において当接する。本実施の形態では、第一スペーサ310のスペーサ本体311及び突出部312が、サイドプレート500とY軸方向において当接する。なお、スペーサ本体311及び突出部312は、サイドプレート500と離間して配置されてもよいが、サイドプレート500が蓄電素子200の短側面212(第二面)に接近するのを抑制するために、サイドプレート500と当接して配置されるのが好ましい。突出部312は、短側面212(第二面)との距離を確保する点からも、サイドプレート500と当接して配置されるのが好ましい。
【0069】
[4 効果の説明]
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電装置10によれば、第一スペーサ310は、スペーサ本体311から突出し、蓄電素子200の第二面(短側面212)に対向する突出部312を有し、突出部312は、第二面とサイドプレート500との間に、第二面とは離間して配置される。このように、第一スペーサ310が、第二面とは離間した突出部312を有していることで、外部からサイドプレート500に衝撃が加えられてサイドプレート500が蓄電素子200に向けて変形した場合でも、サイドプレート500が蓄電素子200に接近するのを抑制できる。これにより、サイドプレート500が蓄電素子200を押圧して蓄電素子200を変形させたり、サイドプレート500が蓄電素子200に接触して、蓄電素子200を他の導電部材(蓄電素子200と直列接続される他の蓄電素子200等)と短絡させたりするのを抑制できる。したがって、蓄電素子200を保護することができるため、蓄電素子200の損傷を抑制することができる。また、蓄電素子200のサイズ(Y軸方向の幅)が小さい場合に、第一スペーサ310が、蓄電素子200のサイズ(Y軸方向の幅)を調整する機能も担うことができる。
【0070】
蓄電素子200と第一スペーサ310との間に絶縁性の第二スペーサ320及び330が配置され、第一スペーサ310は、第二スペーサ320及び330よりも剛性が高い。このように、絶縁性の第二スペーサ320及び330を配置することで、蓄電素子200の絶縁性を確保するとともに、第一スペーサ310の剛性を高くすることで、外部からサイドプレート500に衝撃が加えられた場合でもサイドプレート500が蓄電素子200に接近するのを抑制する。これにより、蓄電素子200を絶縁しつつ蓄電素子200の損傷を抑制することができる。
【0071】
第一スペーサ310の突出部312を、スペーサ本体311よりも厚みが厚い部分とすることで、突出部312の強度が高くなる。これにより、外部からサイドプレート500に衝撃が加えられた場合でも、サイドプレート500が蓄電素子200に接近するのを抑制できるため、蓄電素子200の損傷を抑制することができる。また、第一スペーサ310の厚みを厚くすることで突出部312を形成できるため、突出部312を容易に形成することができる。
【0072】
[5 変形例の説明]
(変形例1)
次に、上記実施の形態の変形例1について、説明する。
図8は、本実施の形態の変形例1に係る第一スペーサ310Aの構成、及び、サイドプレート500との接続構成を示す斜視図及び断面図である。具体的には、
図8の(a)は、第一スペーサ310Aを拡大して示す斜視図であり、
図5に対応する図である。
図8の(b)は、
図8の(a)の第一スペーサ310Aの突出部312Aを、VIIIb-VIIIb線を含むXY平面に平行な面で切断した場合の構成を示す断面図である。なお、
図8の(b)では、突出部312Aにサイドプレート500が接続(固定)された状態での構成を示している。
【0073】
図8に示すように、本変形例では、上記実施の形態における第一スペーサ310に代えて、第一スペーサ310Aが配置されている。第一スペーサ310Aは、上記実施の形態における第一スペーサ310が有する突出部312に代えて、突出部312Aを有している。その他の構成については、上記実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0074】
突出部312Aは、スペーサ本体311からX軸方向の両側に突出する突出部である。これにより、第一スペーサ310Aは、突出部312Aの位置において、X軸方向における厚みが厚くなる。つまり、突出部312Aは、第一スペーサ310Aのうちのスペーサ本体311よりも厚みが厚い部分である。本変形例では、スペーサ本体311のY軸方向両端部に、Z軸方向に並ぶ2つの突出部312Aがそれぞれ配置されている。
【0075】
突出部312Aには、凹部313Aが形成されている。サイドプレート500の凹部313Aに対向する位置には、貫通孔510が形成されている。これらサイドプレート500の貫通孔510及び突出部312Aの凹部313Aに固定部材314が挿入されることにより、サイドプレート500が突出部312Aに対して固定される。具体的には、固定部材314は、雄ネジ部が形成された軸部を有するネジであり、凹部313Aには、雌ネジ部が形成されている。固定部材314は、この軸部が、サイドプレート500の貫通孔510に挿入され、かつ、凹部313Aの雌ネジ部と螺合することにより、突出部312Aに固定される。これにより、サイドプレート500が突出部312Aに対して固定されて、サイドプレート500が第一スペーサ310Aに対して固定される。突出部312Aのその他の構成については、上記実施の形態における突出部312と同様である。
【0076】
なお、突出部312Aの大きさ、形状及び個数等は、特に限定されず、サイドプレート500が固定可能な大きさ、形状及び個数等であればよい。また、サイドプレート500を突出部312Aに対して固定する手法は、特に限定されない。例えば、サイドプレート500は、レーザ溶接若しくは抵抗溶接等の溶接、接着剤若しくは両面テープ等による接着、溶着、または、かしめ接合等により、突出部312Aに対して固定されてもよい。また、サイドプレート500は、突出部312Aに直接固定されるのではなく、突出部312Aの近傍の部位に固定されることで、突出部312Aに対して固定される構成でもよい。
【0077】
以上のように、本変形例に係る蓄電装置によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。特に、本変形例では、サイドプレート500が第一スペーサ310Aの突出部312Aに対して固定されることで、サイドプレート500が補強される。これにより、外部からサイドプレート500に衝撃が加えられた場合でも、サイドプレート500が蓄電素子200に接近するのを抑制できるため、蓄電素子200の損傷を抑制することができる。
【0078】
(変形例2)
次に、上記実施の形態の変形例2について、説明する。
図9は、本実施の形態の変形例2に係る第一スペーサ310Bの構成、及び、サイドプレート500との接続構成を示す斜視図及び断面図である。具体的には、
図9は、
図8に対応する図である。
【0079】
図9に示すように、本変形例では、上記変形例1における第一スペーサ310Aに代えて、第一スペーサ310Bが配置されている。第一スペーサ310Bは、上記変形例1における第一スペーサ310Aが有する突出部312Aに代えて、突出部312Bを有している。その他の構成については、上記変形例1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0080】
突出部312Bは、スペーサ本体311からX軸プラス方向に突出する突出部である。本変形例では、スペーサ本体311のY軸方向両端部に、スペーサ本体311のZ軸方向の全長に亘って延設される突出部312Bがそれぞれ配置されている。つまり、突出部312Bは、第一スペーサ310Bのうちのスペーサ本体311から折れ曲がった部分である。例えば、矩形状の板状部材のY軸方向両端部を折り曲げることで、スペーサ本体311のY軸方向両側に突出部312Bを形成して、第一スペーサ310Bを作製することができる。なお、プレス加工、鍛造または鋳造等により折れ曲がった形状の突出部312Bを形成することで、第一スペーサ310Bを作製することにしてもよい。
【0081】
突出部312Bには、Z軸方向に並ぶ2つの貫通孔313Bが形成されている。サイドプレート500の貫通孔313Bに対向する位置には、貫通孔510が形成されている。これらサイドプレート500の貫通孔510及び突出部312Bの貫通孔313Bに固定部材314が挿入されることにより、サイドプレート500が突出部312Bに対して固定される。具体的には、上記変形例1と同様に、貫通孔313Bには雌ネジ部が形成されており、固定部材314の軸部が、サイドプレート500の貫通孔510に挿入され、かつ、貫通孔313Bの雌ネジ部と螺合することにより、突出部312Bに固定される。これにより、サイドプレート500が突出部312Bに対して固定されて、サイドプレート500が第一スペーサ310Bに対して固定される。突出部312Bのその他の構成については、上記変形例1における突出部312Aと同様である。
【0082】
なお、突出部312Bの大きさ及び形状、並びに、突出部312Bに形成される貫通孔313Bの個数等は、特に限定されず、サイドプレート500が固定可能な大きさ、形状及び個数等であればよい。スペーサ本体311の厚みについても特に限定されない。また、サイドプレート500を突出部312Bに対して固定する手法は、特に限定されず、上記変形例1におけるサイドプレート500を突出部312Aに対して固定する種々の手法を採用することができる。
【0083】
以上のように、本変形例に係る蓄電装置によれば、上記変形例1と同様の効果を奏することができる。特に、本変形例では、第一スペーサ310Bの突出部312Bを、スペーサ本体311から折れ曲がった部分としている。これにより、プレス加工等により第一スペーサ310Bを折り曲げることで突出部312Bを形成できるため、突出部312Bを容易に形成することができる。つまり、例えば変形例1に示した構成では、プレス加工で第一スペーサ310Aに突出部312Aを形成するのは困難であり、アルミニウムの鋳造(ダイキャスト)または押出成形等で製造することになる。これに対し、本変形例の構成では、鋼材のプレス加工で第一スペーサ310Bに突出部312Bを容易に形成できるため、製造が容易になり、コスト低減を図ることができる。なお、本変形例では、サイドプレート500が突出部312Bで第一スペーサ310Bに対して固定されているため、外部からサイドプレート500に衝撃が加えられた場合でも、サイドプレート500が座屈するのが抑制される。
【0084】
(その他の変形例)
以上、本実施の形態(その変形例も含む、以下同様)に係る蓄電装置について説明したが、本発明は、上記実施の形態には限定されない。今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではなく、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【0085】
例えば、上記実施の形態では、2つの蓄電素子200の間に、第一スペーサ310(または310A若しくは310B、以下同様)と第二スペーサ320及び330とが配置されていることとした。しかし、2つの蓄電素子200の間の絶縁性が確保できる、または、絶縁性を確保する必要がない等の場合には、2つの蓄電素子200の間に、第二スペーサ320及び330の少なくとも一方は配置されていなくてもよい。つまり、2つの蓄電素子200の間には、少なくとも第一スペーサ310が配置されていればよい。また、一対のスペーサ340のうちの1つのスペーサ340が配置されていなくてもよいし、一対のスペーサ340ともに配置されていなくてもよい。
【0086】
上記実施の形態では、第一スペーサ310は、2つの蓄電素子200の間に配置される中間スペーサであることとした。しかし、第一スペーサ310は、端部の蓄電素子200とエンドプレート400との間に配置されるエンドスペーサであってもよい。つまり、スペーサ340に代えて、第一スペーサ310、または、第一スペーサ310と第二スペーサ320及び330とが、端部の蓄電素子200とエンドプレート400との間に配置されてもよい。
【0087】
上記実施の形態では、第一スペーサ310は、第二スペーサ320及び330よりも剛性が高いこととした。しかし、第一スペーサ310は、第二スペーサ320または330と同等の剛性を有していてもよいし、第二スペーサ320または330よりも剛性が低くてもよい。
【0088】
上記実施の形態では、全ての第一スペーサ310が同様の構成を有していることとしたが、いずれかの第一スペーサ310が上述とは異なる構成を有していてもよい。
【0089】
上記実施の形態では、第二スペーサ320及び330は、同様の構成を有していることとしたが、異なる構成を有していてもよい。スペーサ340についても、第二スペーサ320または330とは異なる構成を有していてもよい。
【0090】
上記実施の形態では、蓄電素子200の第一面として、容器210の長側面211を例示し、第二面として、短側面212を例示した。しかし、短側面212等の長側面211以外の面を第一面としてもよいし、底面213、容器蓋体230の外面、または、長側面211を第二面としてもよい。
【0091】
上記実施の形態及びその変形例に含まれる構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0092】
本発明は、このような蓄電装置として実現することができるだけでなく、第一スペーサ310、第一スペーサ310と蓄電素子200との組み合わせ、第一スペーサ310とサイドプレート500との組み合わせ、または、第一スペーサ310と第二スペーサ320、330との組み合わせとしても実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、リチウムイオン二次電池等の蓄電素子を備えた蓄電装置等に適用できる。
【符号の説明】
【0094】
10 蓄電装置
100 外装体
200 蓄電素子
210 容器
211 長側面
212 短側面
240 電極端子
300、340 スペーサ
310 スペーサ(第一スペーサ)
310A、310B 第一スペーサ
311 スペーサ本体
312、312A、312B 突出部
313A 凹部
313B、510 貫通孔
314 固定部材
320 スペーサ(第二スペーサ)
330 スペーサ(第二スペーサ)
400、401、402 エンドプレート
500、501、502 サイドプレート
600 ボトムプレート
700 バスバー