(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123265
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】釣り具支持具及び釣り具収納装置
(51)【国際特許分類】
A01K 97/00 20060101AFI20220817BHJP
A01K 97/06 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
A01K97/00 Z
A01K97/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020472
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】593045075
【氏名又は名称】タカ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103975
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】浦川 芳孝
【テーマコード(参考)】
2B109
【Fターム(参考)】
2B109BA35
2B109BA37
2B109FA03
2B109FA10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】釣り竿操作の邪魔になることなく、釣り人の略正面に釣り道具を載置しておくことができ、釣りを円滑に行なうことができる釣り具支持具及びこの釣り具支持具を備えた釣り具収納装置を提供する。
【解決手段】釣り具支持具Aは、船体における船べりCの内側壁部C3の下端部に支持させて用いられる釣り具支持具Aであって、上記船体の船べりCの内側壁部C3に着脱自在に固定させる固定部A1と、上記固定部A1の内側に形成されて釣り具を支持するための釣り具支持部A2とを有していることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体における船べりの内側壁部の下端部に支持させて用いられる釣り具支持具であって、
上記船体の船べりの内側壁部に着脱自在に固定させる固定部と、
上記固定部の内側に形成されて釣り具を支持するための釣り具支持部とを有していることを特徴とする釣り具支持具。
【請求項2】
固定部は、
互いに対向して立設された第1固定板及び第2固定板と、
上記第1固定板及び上記第2固定板の下端部同士を連結している連結部と、
上記第1固定板と上記第2固定板との間に形成された壁部挿入空間部内に挿入された船体の内側壁部を固定するための固定手段とを含むと共に、
釣り具支持部は、
上記連結部から突出して形成された支持底部と、上記支持底部から上方に向かって突設された支持壁部とを含むことを特徴とする請求項1に記載の釣り具支持具。
【請求項3】
釣り具支持部の支持壁部の上端面に係止凹部が形成されている請求項1に記載の釣り具支持具と、
釣り具を収納可能な収納部を有する収納具本体と、上記収納具本体の収納部における上端開口部外面に形成され且つ上記釣り具支持具の釣り具支持部の上記係合凹部に係脱自在に係止する係止片とを有する収納具とを備えた釣り具収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り具収納具及び釣り具収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、船に乗って沖合において釣りを楽しむことが行なわれている。釣り人は、船に乗って沖合に一旦、出ると、釣りの途中で必要なものがあっても陸地に戻ることができないため、釣りに必要な釣り糸、釣り針、疑似餌などの様々な釣り道具を釣り具ケースに収納した状態で乗船している。
【0003】
特許文献1には、ケース本体内に複数の仕切り体を収納した釣り用ケースにおいて、前記複数の仕切り体を、係止部を有するベルト体で結束し、前記ケース本体内に前記ベルト体の係止部と着脱自在に係合する係合部を設け、前記ベルト体の係止部と前記ケース本体内の係合部を係合して前記複数の仕切り体を前記ケース本体内に収納した釣り具ケースが開示されており、船のデッキ上に載置され、釣り人は、釣り具ケース内に収納した釣り具の中から必要なものを取り出して使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、船釣りは、沖合の船上での釣りであるため、船が大きく揺れることがある。特許文献1の釣り具ケースは、船のデッキ上に載置しているため、船の揺れによってデッキ上において移動し、船に同乗している他の釣り人の釣りの邪魔をする虞れがある。
【0006】
更に、上記釣り具ケースは、その大きさが比較的大きいため、釣り人の正面に載置すると、餌又は疑似餌の付け替えや釣り竿の操作がしづらいため、通常、釣り人の側方に載置される。そのため、釣り人は、体をひねった状態で釣り具ケースから釣り具を選択して取り出す必要があり、釣り具ケース内に収納した釣り具の取り出し作業がしづらいという問題点を有する。
【0007】
又、釣り道具を船の船べり上に釣り具の収納ケースを載置した状態に固定することも考えられるが、船が揺れることによって、収納ケース内の釣り道具が海に脱落し、或いは、釣り糸の先端部に取り付けた釣り針や疑似餌、釣った魚が、船べり上の収納ケースに引っ掛かる虞れがあり、釣りを円滑に行なうことができないという問題点を生じる。
【0008】
本発明は、釣り竿操作の邪魔になることなく、釣り人の略正面に釣り道具を載置しておくことができ、釣りを円滑に行なうことができる釣り具支持具及びこの釣り具支持具を備えた釣り具収納装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の釣り具支持具は、
船体における船べりの内側壁部の下端部に支持させて用いられる釣り具支持具であって、
上記船体の船べりの内側壁部に着脱自在に固定させる固定部と、
上記固定部の内側に形成されて釣り具を支持するための釣り具支持部とを有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の釣り具支持具は、その固定部によって、船体における船べりの内側壁部の下端部に支持、固定させて用いられる。従って、釣り具支持具の釣り具支持部を船体の船べりの上端面よりも下方に位置した場所に、船の揺れにも関わりなく安定的に固定させることができる。
【0011】
そして、船体に安定的に固定させた釣り具支持部に、疑似餌を支持させ、或いは、釣り糸や疑似餌などを収納する収納具を支持させることができる。更に、釣り具支持具は、船体のデッキ上に載置しているものはないので、釣り人の足場の邪魔になることなく、釣り人の略正面に配設させることができる。従って、釣り人は、体をひねるなどの無理な姿勢をとることなく、釣り具支持具の釣り具支持部に支持させた釣り道具を直ちに使用することができる。
【0012】
更に、釣り具支持具は、船体の船べりから所定高さだけ下方に位置した場所に固定されているので、釣り糸の先端に取り付けた釣り針や疑似餌、釣った魚が、釣り具支持具に不測に衝突することはなく、釣り竿操作の邪魔になることもない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】(a)釣り具支持具の正面図。(b)釣り具支持具の背面図。(c)釣り具支持具の右側面図。(d)釣り具支持具の平面図。(e)釣り具支持具の底面図。
【
図3】本発明の釣り具支持具に収納具を係止、支持させる要領を示した斜視図である。
【
図4】本発明の釣り具収納装置の使用状態を示した正面模式図である。
【
図5】本発明の釣り具支持具の使用状態を示した正面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の釣り具支持具の一例を図面を参照しつつ説明する。釣り具支持具Aは、
図1に示したように、釣り船の船体Bの船べりCの内側壁部C3に着脱自在に支持、固定させて用いられる。
【0015】
釣り船の船体Bは、海に接する外郭C1と、この外郭C1の上端から内方に向かって水平方向に延設された天板部C2と、この天板部C2の内端から略垂直下方に向かって延設された内側壁部C3とを有する船べり(ブルワーク)Cを有しており、デッキへの波の打ち込み防止や、釣り船に乗船している者の転落防止などの役割を有している。
【0016】
釣り具支持具Aの固定部A1は、
図1~3に示したように、釣り船の船体Bにおける船べりCの内側壁部C3の厚みよりも若干広い寸法を存して互いに対向して立設された正面長方形状の第1固定板1及び第2固定板2を有しており、第1固定板1及び第2固定板2の対向する下端部同士が連結部3でもって左右方向の全長に亘って連結一体化されている。
【0017】
第1固定板1と第2固定板2との対向面間には、釣り船の船体Bにおける船べりCの内側壁部C3の下端部が挿脱自在に挿入可能な壁部挿入空間部Dが形成されており、壁部挿入空間部Dは、その上端部及び左右端部が全面的に開口した状態に形成されている。
【0018】
第2固定板2の上下方向の中央部における左右部には、螺子孔21、21が第2固定板2の厚み方向に貫通した状態に形成され、この螺子孔21、21のそれぞれに進退自在に固定螺子棒22、22が螺合されて固定手段が構成されており、固定螺子棒22の先端部とこれに対向する第1固定板とによって壁部挿入空間部D内に挿入した船べりCの内側壁部C3の下端部を挟持、固定可能に構成されている。
【0019】
固定部A1の連結部3をその左右方向の全長に亘って前方に向かって一定幅でもって突出させて、この突出部を平面帯状の支持底部4に形成していると共に、この支持底部の前端から垂直上方に向かって正面略長方形状の支持壁部5を突設することによって釣り具支持部A2が構成されている。
【0020】
釣り具支持部A2において、支持壁部5とこれに対向する第1固定板1との対向面間には、後述する収納具Eの係止片E2における第2係止片部E22が挿脱自在に挿入可能な係止片挿入空間部Hが形成されており、係止片挿入空間部Hは、その上端部及び左右端部が全面的に開口した状態に形成されている。
【0021】
釣り具支持部A2の支持壁部5の上端部には、その左右方向の端部を除いた部分を切り欠くことによって係止凹部51が形成されている。この支持壁部5の係止凹部51は、後述する収納具Eの係止片が係脱自在に係止可能に構成されている。
【0022】
そして、支持壁部5の係止凹部51の底部51aには、その左右端部に疑似餌Fの針F1が係脱自在に係止可能な支持凹部51b、51bが形成されている。なお、
図2及び
図3では、係止凹部51の底部51aの左右端部に支持凹部51b、51bを形成した場合を示したが、係止凹部51の底部51aの左右端部以外の部分に形成されてもよく、支持凹部51bの形成個数は、1個であっても複数個であってもよい。
【0023】
釣り具支持具Aは、この釣り具支持部A2に係脱自在に係止させて支持される収納具Eと共となって釣り具収納装置Gを構成する。収納具Eは、釣り糸、釣餌、疑似餌などの釣り具を収納可能で且つ上方が全面的に開口してなる収納部E11を有する収納具本体E1と、この収納具本体E1の上端開口部外面に形成された係止片E2とを有している。なお、収納具本体E1の上端開口部には、開閉自在な蓋体が設けられていてもよい。
【0024】
収納具Eの係止片E2は、収納具本体E1の上端開口部の外面から後方(外側方)に向かって水平方向に延設され且つ左右幅が釣り具支持具Aの釣り具支持部A2の係止凹部51の左右幅に合致し又は僅かに短い寸法を有する平面帯状の第1係止片部E21と、この第1係止片部E21の後端縁における左右方向の全長から略垂直下方に向かって延設された正面長方形状の第2係止片部E22とを有している。
【0025】
収納具Eの係止片E2における第1係止片部E21の上面は、収納具本体E1の上端開口端縁E12と面一になるように形成されており、収納具Eを釣り具支持具Aの釣り具支持部A2に支持させた状態において、収納具Eができるだけ下方に位置するように構成されている。
【0026】
収納具Eの係止片E2における第2係止片部E22の前面下端部の左右部には、前方に向かって突部E221が突設されている。収納具Eの係止片E2における第2係止片部E22を釣り具支持具Aの係止片挿入空間部H内に挿脱自在に挿入すると、第2係止片部E22の突部E221が、釣り具支持具Aの釣り具支持部A2における支持壁部5の後面に弾発的に当接し、釣り具支持具Aの支持壁部5が、収納具Eの第2係止片部E22の突部E221と、収納具Eの収納具本体E1の外面とによって挟持され、収納具Eが釣り具支持具Aの釣り具支持部A2に妄動することなく安定的に支持されるように構成されている。
【0027】
次に、釣り具支持具Aの使用要領を説明する。釣り具支持具Aは、その固定部A1を釣り船の船体Bにおける船べりCの内側壁部C3に着脱自在に固定させて用いられる。
【0028】
具体的には、釣り具支持具Aの固定部A1の固定螺子棒22を螺退させて、固定螺子棒22の先端が壁部挿入空間部D内に突出していない状態とする。しかる後、釣り具支持具Aの壁部挿入空間部D内に船体Bにおける船べりCの内側壁部C3の下端部を挿入する。この時、釣り具支持具Aの固定部A1の連結部3上面に船体Bにおける船べりCの内側壁部C3の下端が当接した状態とする。そして、釣り具支持具Aの固定部A1の固定螺子棒22を前方に螺進させて、固定螺子棒22の先端部とこれに対向する第1固定板とによって、船べりCの内側壁部C3の下端部を挟持、固定する。
【0029】
この状態において、釣り具支持具Aの釣り具支持部A2の支持壁部5は、船体Bにおける船べりCの内側壁部C3の下端部の前方において、内側壁部C3の下端部に沿って起立状態に配設されており、船体Bの船べりCの天板部C2よりも下方に位置している。
【0030】
釣り具支持具Aにおける釣り具支持部A2の係止片挿入空間部H内に、収納具Eの係止片E2における第2係止片部E22を上方から挿入し、釣り具支持部A2の支持壁部5の係止凹部51に、収納具Eの係止片E2における第1係止片部E1を係脱自在に係止させ、釣り具支持具Aの釣り具支持部A2に収納具Eを着脱自在に左右方向に妄動することなく安定的に支持させる。
【0031】
収納具Eは、釣り船のデッキ上ではなく、釣り具支持具Aに支持されているので、釣り人の足場の邪魔になることはないと共に、船の揺れにも関わらず、釣り人の略正面に収納具Eを位置させておくことができる。そして、釣り人の略正面に取り付けることができるので、釣り船の狭いデッキ上において、他の釣り人の邪魔になることもない。
【0032】
一方、
図4に示したように、船釣りにおいて、船体Bの船べりCの天板部C2に竿受け具Iを取付け、この竿受け具Iに釣り竿Jを支持させて、竿受け具Iを支点にして釣り竿Jを上下に操作して釣りを行なうことがある。
【0033】
このような場合であっても、上記釣り具支持具Aは、船体Bにおける船べりCの内側壁部C3の下端部を利用して固定させているので、竿受け具Iの取付けの邪魔になることはない。更に、竿受け具Iに支持させた釣り竿の操作の邪魔にならないようにしながら、釣り人の略正面に釣り具支持具Aを固定し、釣り具支持具Aに支持させた釣り具を釣り場の状況変化に応じて容易に用いることができ、釣果の向上を図ることができる。
【0034】
更に、釣り具支持具Aの釣り具支持部A2に収納具Eを支持させた状態において、釣り具支持具A及び収納具Eは、船体Bの船べりCの上端面(天板部C2の上面)よりも下方に位置している。従って、釣り糸の先端に取り付けた釣り針及び疑似餌、並びに釣った魚が、釣り具支持具A及び収納具Eに衝突することはなく、釣り竿Jの操作を安定して行なうことができる。
【0035】
又、釣り具支持具Aの釣り具支持部A2に支持された収納具Eは、船体Bの船べりCの上部によって、波しぶきから保護されており、収納具E内に収納した釣り具が不測に海水で濡れるようなことも概ね防止することができる。
【0036】
上記では、釣り具支持具Aの釣り具支持部A2に収納具Eを支持させて用いる場合を説明したが、収納具Eを支持させることなく、
図5に示したように、釣り具支持部A2の支持壁部5の係止凹部51に凹設した支持凹部51bに疑似餌Fの針F1を係脱自在に係止させてもよい。
【0037】
又、釣り具支持具Aの釣り具支持部A2への収納具Eの取付け及び除去は、収納具Eの係止片E2の第2係止片部E22を釣り具支持具Aの係止片挿入空間部H内に挿脱させるという簡単な操作でもって行なうことができるので、釣りの途中で、釣り場の状況に応じて収納具Eの使用又は撤去を簡単に行なうことができ、船体のデッキ上の狭い空間を有効に利用して釣果の向上を期待することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 第1固定板
2 第2固定板
22 固定螺子棒
3 連結部
4 支持底部
5 支持壁部
51 係止凹部
51b 支持凹部
A 釣り具支持具
A1 固定部
A2 具支持部
B 船体
C 船べり
C3 内側壁部
D 壁部挿入空間部
E 収納具
E1 係止片部
E1 収納具本体
E2 係止片
E21 第1係止片部
E22 第2係止片部
F 疑似餌
H 係止片挿入空間部
G 釣り具収納装置