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特開2022-123269更生菅用帯状部材の接続方法および帯状部材用の切断案内治具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123269
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】更生菅用帯状部材の接続方法および帯状部材用の切断案内治具
(51)【国際特許分類】
   F16L 1/00 20060101AFI20220817BHJP
   B29C 63/32 20060101ALI20220817BHJP
   F16L 55/163 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
F16L1/00 J
B29C63/32
F16L55/163
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020476
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】高谷 明彦
【テーマコード(参考)】
3H025
4F211
【Fターム(参考)】
3H025EA01
3H025EB07
3H025EB21
3H025ED02
4F211AH43
4F211SA05
4F211SC03
4F211SD01
4F211SD06
4F211SD18
4F211SD19
4F211SD23
4F211SH19
(57)【要約】
【課題】 更生管の製管途中で帯状部材を継ぎ足す場合に、継ぎ目の隙間を小さくできる帯状部材の接続方法を提供する。
【解決手段】
更生管3を製管する途中で、更生管3側の帯状部材5の終端部と、新規の帯状部材5Aの始端部を、帯状部材5の長手方向に延びる接続部材30を介して接続する方法である。この接続方法は、切断工程と連結工程とを備えている。切断工程では、帯状部材5の終端部と帯状部材5Aの始端部をそれぞれ切断することにより、更生管3側に近づくにしたがって帯状部材5,5Aの長手方向に後退するような傾斜を有する傾斜切断面5x、5yを形成する。連結工程では、帯状部材5,5Aの傾斜切断面5x、5y同士を接近対向させることにより、傾斜切断面5x、5y間に更生管3側に近づくにしたがって広がる隙間Dを形成し、この状態で、接続部材30を介して帯状部材5の終端部と帯状部材5Aの始端部を連結する。
【選択図】図3E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製管機を用いて帯状部材を螺旋状に巻回することにより更生管を製管する途中で、更生管側の帯状部材の終端部と、新規の帯状部材の始端部を、前記帯状部材の長手方向に延びる接続部材を介して接続する方法において、
前記更生管側の帯状部材の終端部と前記新規の帯状部材の始端部をそれぞれ切断することにより、前記更生管側に近づくにしたがって前記帯状部材の長手方向に後退するような傾斜を有する傾斜切断面を形成する切断工程と、
前記更生管側の帯状部材と前記新規の帯状部材の前記傾斜切断面同士を接近対向させることにより、前記傾斜切断面間に前記更生管側に近づくにしたがって広がる隙間を形成し、この状態で前記接続部材を介して前記更生管側の帯状部材の終端部と前記新規の帯状部材の始端部を連結する連結工程と、
を備えたことを特徴とする更生管用帯状部材の接続方法。
【請求項2】
切断案内治具を用意し、前記切断案内治具は、位置決め面を有するボデイと、前記ボデイに設けられた挟圧手段と、前記ボデイに設けられ前記位置決め面の法線に対して傾斜するとともに直線状に延びるガイド面を有するガイド手段とを備えており、
前記切断工程において、前記帯状部材の側縁を前記切断案内治具の前記位置決め面に当てて位置決めした状態で前記挟圧手段により前記帯状部材を厚さ方向に挟圧して仮固定し、前記ガイド手段の前記ガイド面に沿って切断装置の刃を進ませることにより、前記帯状部材を切断することを特徴とする請求項1に記載の更生管用帯状部材の接続方法。
【請求項3】
前記ガイド手段が互いに平行に延びる2本のガイド部材を有し、前記ガイド部材の対向面がそれぞれ前記ガイド面として提供され、前記ガイド面間に形成されたスリットに前記切断装置の刃を挿入して前記帯状部材を切断することを特徴とする請求項2に記載の更生管用帯状部材の接続方法。
【請求項4】
前記切断案内治具の前記ガイド手段がフック掛部を有しており、
前記連結工程において、前記接続部材の一方の半部を、前記更生管側の帯状部材の終端部と前記新規の帯状部材の始端部のうちのいずれか一方の端部に挿入するとともに連結した状態で、前記接続部材の他方の半部の先端部を前記更生管側の帯状部材の終端部と前記新規の帯状部材の始端部のうちの他方の端部に挿入するとともに、前記更生管側の帯状部材の終端部と前記新規の帯状部材の始端部のそれぞれに、前記切断案内治具を前記挟圧手段を用いて取り付け、
前記切断案内治具のフック掛部のそれぞれに牽引装置のフックを掛けて牽引することにより、前記接続部材の前記他方の半部を前記他方の端部に挿入し、上記前記更生管側の帯状部材の終端部と前記新規の帯状部材の始端部の前記傾斜切断面同士を接近させることを特徴とする請求項2または3に記載の更生管用帯状部材の接続方法。
【請求項5】
帯状部材の端部側縁を位置決めするための位置決め面を有するボデイと、
前記ボデイに設けられ、前記帯状部材を厚さ方向に挟圧して仮固定する挟圧手段と、
前記ボデイに設けられ、前記位置決め面の法線に対して傾斜するガイド面を有し、このガイド面に沿って切断装置の刃を案内するガイド手段と、
を備えたことを特徴とする帯状部材用の切断案内治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状部材を更生管の製管途中で接続する方法、およびこの接続方法で用いることができる切断案内治具に関する。
【背景技術】
【0002】
老朽化した下水管等の既設管を例えばSPR(Spiral Pipe Renewal)工法によって更生することは公知である。このSPR工法では、既設管内で製管機を用い、帯状部材(プロファイル)を既設管の内周に沿って螺旋状に巻回するとともに一周違いに隣接する縁どうしを嵌合することによって、既設管の内周に沿う更生管を製管する。
【0003】
更生管は連続した1本の帯状部材により製管することが望ましいが、既設管が長い場合には、更生管の製管途中で帯状部材を継ぎ足す必要がある。このような場合には、特許文献1に開示されているように、既に製管されつつある更生管側の帯状部材の終端部と新たに新規の帯状部材の始端部を、帯状部材の長手方向に延びる接続部材を介して接続する。すなわち、更生管側の帯状部材の終端部の端面と新規の帯状部材の始端部の端面を接近対向させるとともに、接続部材の半部を更生管側の帯状部材の終端部に連結し、接続部材の他方の半部を新規の帯状部材の始端部に連結する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-13406
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
継ぎ足される新規の帯状部材は更生管の径より小径の螺旋状に巻き癖が付けられており、大きなピッチで更生管に供給されるため、帯状部材の継ぎ目が製管機を通過する際に、継ぎ目箇所が更生管から遠ざかる方向の力を受ける。更生管側の帯状部材の終端部の端面と新規の帯状部材の始端部の端面は帯状部材の長手方向と直交しているため、互いに接するか微小の隙間を介して対向していると、上記力により上記継ぎ目箇所の更生管に近い部分が互いに干渉して変形してしまう。
そのため、上記干渉が生じないように端面間の隙間を広くすることを余儀なくされるが、そうすると、継ぎ目箇所において更生管から遠い部分では隙間がさらに広がってしまう。このように広い隙間ができると製管後に樹脂で隙間を埋めて封止することが困難になるか封止作業に手間が掛かる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、製管機を用いて帯状部材を螺旋状に巻回することにより更生管を製管する途中で、更生管側の帯状部材の終端部と、新規の帯状部材の始端部を、前記帯状部材の長手方向に延びる接続部材を介して接続する方法において、
前記更生管側の帯状部材の終端部と前記新規の帯状部材の始端部をそれぞれ切断することにより、前記更生管側に近づくにしたがって前記帯状部材の長手方向に後退するような傾斜を有する傾斜切断面を形成する切断工程と、前記更生管側の帯状部材と前記新規の帯状部材の前記傾斜切断面同士を接近対向させることにより、前記傾斜切断面間に前記更生管側に近づくにしたがって広がる隙間を形成し、この状態で前記接続部材を介して前記更生管側の帯状部材の終端部と前記新規の帯状部材の始端部を連結する連結工程と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
上記方法によれば、帯状部材の継ぎ目が製管機を通過する際に、継ぎ目箇所が更生管から遠ざかる方向の力を受けた時に、継ぎ目の隙間が更生管側で狭まっても帯状部材の端部同士の干渉を回避することができる。また、この干渉を回避するために継ぎ目箇所の隙間を全長にわたって広くせずに済み、製管機を通過した後の隙間を狭くすることができる。その結果、製管後に継ぎ目の隙間を樹脂により確実に封止することができるとともに、この封止作業を軽減できる。
【0008】
好ましくは、切断案内治具を用意し、前記切断案内治具は、位置決め面を有するボデイと、前記ボデイに設けられた挟圧手段と、前記ボデイに設けられ前記位置決め面の法線に対して傾斜するとともに直線状に延びるガイド面を有するガイド手段とを備えており、前記切断工程において、前記帯状部材の側縁を前記切断案内治具の前記位置決め面に当てて位置決めした状態で前記挟圧手段により前記帯状部材を厚さ方向に挟圧して仮固定し、前記ガイド手段の前記ガイド面に沿って切断装置の刃を進ませることにより、前記帯状部材を切断する。
上記方法によれば、切断装置の刃をガイド面により案内することにより、所望の傾斜角度で正確に切断することができる。
【0009】
より好ましくは、前記ガイド手段が互いに平行に延びる2本のガイド部材を有し、前記ガイド部材の対向面がそれぞれ前記ガイド面として提供され、前記ガイド面間に形成されたスリットに前記切断装置の刃を挿入して前記帯状部材を切断する。
上記方法によれば、安定して帯状部材を切断できる。
【0010】
好ましくは、前記切断案内治具の前記ガイド手段がフック掛部を有しており、前記連結工程において、前記接続部材の一方の半部を、前記更生管側の帯状部材の終端部と前記新規の帯状部材の始端部のうちのいずれか一方の端部に挿入するとともに連結した状態で、前記接続部材の他方の半部の先端部を前記更生管側の帯状部材の終端部と前記新規の帯状部材の始端部のうちの他方の端部に挿入するとともに、前記更生管側の帯状部材の終端部と前記新規の帯状部材の始端部のそれぞれに、前記切断案内治具を前記挟圧手段を用いて取り付け、前記切断案内治具のフック掛部のそれぞれに牽引装置のフックを掛けて牽引することにより、前記接続部材の前記他方の半部を前記他方の端部に挿入し、上記前記更生管側の帯状部材の終端部と前記新規の帯状部材の始端部の前記傾斜切断面同士を接近させる。
上記方法によれば、接続部材の帯状部材への挿入抵抗が大きい場合に、帯状部材の切断に用いた切断案内治具と牽引装置により、帯状部材同士を接近させることができる。
【0011】
本発明の他の態様は、帯状部材用の切断案内治具において、帯状部材の端部側縁を位置決めするための位置決め面を有するボデイと、前記ボデイに設けられ、前記帯状部材を厚さ方向に挟圧して仮固定する挟圧手段と、前記ボデイに設けられ、前記位置決め面の法線に対して傾斜するガイド面を有し、このガイド面に沿って切断装置の刃を案内するガイド手段と、を備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、帯状部材を正確に斜めに切断することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、帯状部材の継ぎ目の隙間を狭くすることができるので、この隙間を樹脂により確実に封止することができるとともに、この封止作業を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】既設管に沿って更生管を製管する様子を示す断面図である。
図2】更生管の製管に用いられる帯状部材の断面図である。
図3A】本発明の一実施形態に係る帯状部材の接続方法において、更生管側の帯状部材の終端部を切断する工程を平面図である。
図3B】同接続方法において、新規の帯状部材の始端部を切断する工程を示す平面図である。
図3C】同接続方法において、更生管側の帯状部材の終端部に接続部材の半部を挿入し連結する工程を示す平面図である。
図3D】同接続方法において、新規の帯状部材の始端部に接続部材の残りの半部を挿入する工程を示す平面図である。
図3E】同接続方法において、新規の帯状部材の始端部に接続部材の残りの半部を連結した状態を示す平面図である。
図3F】製管機を通過した後の帯状部材の継ぎ目箇所を示す平面図である。
図4】接続部材の縦断面図である。
図5】帯状部材と接続部材の連結状態を示す横断面図である。
図6】帯状部材の端部切断に用いられる切断案内治具を示す側面図である。
図7】同切断案内治具を帯状部材の長手方向から見た正面図であり、ガイド手段を省略して示す。
図8】同切断案内治具の平面図であり、挟圧手段を省略して示す。
図9図3Dに示す工程の具体例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、老朽化した既設管1を更生する様子を示したものである。既設管1は、下水道管、上水道管、農業用水管、水力発電導水管、ガス管等であり、マンホール2A,2B間に配管されている。既設管1はその内周に更生管3がライニングされることで、更生される。
更生管3は、マンホール2Aの近傍の地上に設置されたドラム4からマンホール2Aに引き出された帯状部材5(プロファイル)により、製管機6を用いて既設管1内で製管される。
【0015】
図2に示すように、帯状部材5は、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂からなる主帯材10と、スチール等の金属からなる補強帯材20を有し、同一断面を有して帯状に長く延びている。主帯材10は平帯部11を有している。平帯部11の一方の面11aは更生管3の径方向内側に配されるべき面であり、他方の面11bは更生管3の外方向外側に配されるべき面である。面11aは平滑をなしている。
【0016】
平帯部11の幅方向一側部には雌型嵌合部12が形成されている。この雌型嵌合部12は平帯部11の面11a側に開口する段付き溝を有している。平帯部11の幅方向他側部には雄型嵌合部13が形成されている。この雄型嵌合部13は雌型嵌合部12の段付き溝と相補形状をなし、平帯部11の面11bから直角をなして突出している。
さらに主帯材10は、雌型嵌合部12から面11bと直交する方向に突出する補強リブ15と、この補強リブ15と雄型嵌合部13との間において補強リブ15と同方向に突出する補強リブ16と、雌型嵌合部13に隣接した位置から斜めに突出する係止リブ17とを有している。
【0017】
補強帯材20は、コ字形の断面形状を有する中央の主部21と、この主部21の両側縁に連なる一対の係止片22とを有する。一対の係止片22の先端が主帯材10の補強リブ15、16に形成された係止鍔15a,16aに係止されることにより、補強帯材20が主帯材10に取り付けられている。主部21は、平帯部11と平行をなして対向する壁と、この対向壁の両側縁から対向壁と直角をなして平帯部11に向かって延びる側壁とを有しており、平帯部11と協働して矩形の空間25を画成している。
なお、図示した帯状部材5の断面形状はあくまで例示であり、多様な断面形状を採用可能である。
【0018】
図1に示すように製管機6を用いて、巻き癖が付けられた帯状部材5を所定径に巻回しながら隣接する巻き部分(一周違いの部分)の縁部同士を厚み方向に挟圧することにより、図2に示すように、一方の巻き部分の雌型嵌合部12と他方の巻き部分の雄型嵌合部13が嵌合し、一方の巻き部分の係止片17が他方の巻き部分の補強リブ16の上端係止鍔16bに係止される。
【0019】
上記のようにして、更生管3の先端に位置する帯状部材5の巻き部分に帯状部材5の新たな巻き部分が連なり、更生管3がマンホール2Bに向かって延びていく。図1においてこの製管方向を符号Sで示す。帯状部材5は、マンホール2Aから製管途中の更生管3を通って更生管3の先端に供給される。製管機6は。更生管3が延びるに伴いマンホール2Bに向かって移動する(自走する)。やがて更生管3の先端がマンホール2Bに到達して、更生管3の製管工程が完了するとともに、既設管1への更生管3の設置が完了する。
【0020】
既設管1が長い場合には、1つのドラム4から引き出される連続した1本の帯状部材5だけでは足りず、更生管3の製管の途中で新規の帯状部材5A(図3C図3F参照)を継ぎ足す必要がある。この帯状部材5Aは帯状部材5と同一断面形状を有しており、各部位には帯状部材5と同番号を付す。
更生管3側の帯状部材5は例えば製管機6の手前の一周分を残しておき、この帯状部材5の終端部に新規の帯状部材5Aの始端部を接続した後、再び上記製管工程を続ける。以下、帯状部材5,5Aを接続する方法を説明する。
【0021】
更生管側の帯状部材の切断工程
図3Aに示すように、更生管3側の帯状部材5の終端部を、帯状部材5の長手方向と直角をなす面Pに対して傾斜した切断面5xとなるように直線的に切断する。この傾斜切断面5xは、更生管3から遠い側(本実施形態では雌型嵌合部12側)に比べて、更生管3に近い側(本実施形態では雄型嵌合部13側)が面Pから帯状部材5の長手方向に後退するように、直線をなして傾斜している。この傾斜切断面5xの面Pに対する傾斜角度は1.5~3°である。例えば、帯状部材5の幅が12mmの場合、傾斜切断面5xの更生管3側の端と面Pとの間の間隙が約3mmとなるように切断する。
【0022】
新規の帯状部材の切断工程
図3Bに示すように、新規の帯状部材5Aの始端部を、帯状部材5Aの長手方向と直角をなす面Pに対して傾斜した切断面5yとなるように切断する。この傾斜切断面5yも、更生管3から遠い側(雌型嵌合部12側)に比べて、更生管3に近い側(雄型嵌合部13側)が面Pから後退するように直線をなして傾斜している。傾斜切断面5yの傾斜角度は傾斜切断面5xと同程度である。
【0023】
更生管側の帯状部材への接続部材の連結工程
図3Cに示すように、傾斜切断面5xが形成された更生管3側の帯状部材5の終端部に帯状部材5の長手方向に延びる細長い接続部材30の半部を連結する。この接続部材30は例えばスチール等の金属からなり、図4図5に示すように矩形断面形状を有して中空をなし、更生管3と等しい曲率半径で湾曲している。なお、本実施形態の接続部材30は、その外周部に長手方向に間隔をおいて複数のスリット31を有しており、断面形状を変えることなく帯状部材5に対応した湾曲形状に容易に加工可能である。接続部材30の両端部は後述の挿入を容易にするために先細をなしている。
【0024】
接続部材30のほぼ半部を上記帯状部材5の空間25に隙間なく挿入し、残りの半部を帯状部材5の傾斜切断面5xから突出させる。接続部材30の挿入時に抵抗が大きい場合には、接続部材30に潤滑油を塗りハンマーで叩いて空間25に押込む。
【0025】
上記接続部材30の半部の挿入後に、図3C図5に示すようにネジ35により接続部材30の半部と帯状部材5の終端部を連結する。具体的には、帯状部材5の補強帯材20の主部21における平帯部11に対向する壁と接続部材30の外周壁にドリルで小孔を形成し、この小孔にネジ35をタッピングしながらねじ込む。なお、ネジ35のねじ込み位置は接続部材30のスリット31を回避して設定される。同様にして平帯部11と接続部材20内周壁とをネジ35で連結する。
【0026】
新規の帯状部材への接続部材の連結工程
次に、図3Dに示すように、接続部材30の残りの半部の先端部を新規の帯状部材5Aの空間25に挿入してから、帯状部材5、5Aを互いに近づける。これにより、図3Eに示すように帯状部材5,5Aの傾斜切断面5x、5yを隙間Dを介して接近対向させる。この状態で帯状部材5の場合と同様に帯状部材5Aと接続部材30の残り半部とをネジ35で連結する。
【0027】
上記のようにして2本の帯状部材5,5Aが接続部材30を介して連結され、接続工程が完了する。帯状部材5,5Aの傾斜切断面5x、5yは、更生管3側(雄型嵌合部13側)が後退するように傾斜しているので、傾斜切断面5x、5y間の隙間Dは更生管3側に向かって徐々に広がるような、いわゆる楔形状を有している。傾斜切断面5x、5yにおける更生管3の反対側(雌型嵌合部12側)の端では隙間Dは僅かであるかゼロである(すなわち傾斜切断面5x、5yの端が突き当たっている)。
【0028】
上記接続工程の完了後に製管機6を再稼働する。帯状部材5,5Aが更生管3より小径の巻き癖が付けられ、大きなピッチで製管機6へ供給されるため、帯状部材5,5Aの継ぎ目箇所は、製管機を通過する際に製管方向S(更生管3の反対方向)に突出するような力を受け、図3Fに示すように傾斜切断面5x、5yの更生管3側の端が互いに近づく。しかし、上記のように更生管3側の隙間Dが十分に広いので、傾斜切断面5x、5yの更生管3側の部位が干渉することなく、その変形を防止することができる。
【0029】
製管機3を通過する過程で、継ぎ目の隙間Dは更生管3側で狭まり反対側では大きな変化がないため、製管機6を通過した後の継ぎ目の隙間D’を、図3Fに示すように全長にわたって狭くすることができる。例えば3mm以下にすることができる。その結果、間隙D’を塩化ビニル樹脂等の樹脂溶接により容易かつ確実に封止することができる。
【0030】
切断案内治具
図3Aに示す帯状部材5の切断工程では、図6図8に示す切断案内治具7を用いるのが好ましい。切断案内治具7は、平坦な位置決め面41を有するボデイ40と、このボデイ40に設けられたジャッキ50(挟圧手段)と、ガイド手段60とを主たる構成要素として備えている。
【0031】
図6図7に示すように、ジャッキ50は、ボデイ40に固定されたC字形状の支持部材51を有している。支持部材51の一端部には受板部52が形成され、他端部には雌ねじ部53が形成されている。雌ねじ部53にはネジ棒55が螺合されている。ネジ棒55の一端には上記受板部52と対向する押板部56が固定されており、他端にはレバー57が着脱可能に取り付けられている。
【0032】
図7に示すように、帯状部材5の終端部を受板部52と押板部56との間に配置させた状態で、帯状部材5の幅方向一方側の側縁(例えば雄型嵌合部13側の側縁)をボデイ40の位置決め面41に当てて位置決めする。この状態でジャッキ50のネジ棒55を回して押板部56を受板部52に近づけることにより、押板部56と受板部52との間で帯状部材5を厚さ方向に挟圧し、仮固定することができる。
【0033】
図6図8に示すように、ガイド手段60は互いに平行をなす断面矩形の2本のガイド部材60を有している。ガイド部材61は、その一端部がボデイ40に固定されており、位置決め固定された帯状部材5の上方に配置されるようになっている。2本のガイド部材60の互いに平行をなす対向面がガイド面61aとして提供される。対向するガイド面61a間にはスリット62が形成されている。図8に示すように、これらガイド面61a、スリット62は、位置決め面41の法線Nに対して傾斜している。なお、一方のガイド部材61には、後述の役割を担うフック掛部65が取り付けられている。
【0034】
図6に示すように、スリット62に切断装置(図示しない)の刃8を挿入した状態で、切断装置を駆動しながら刃8をスリット62に沿って(ガイド面61aに沿って)移動させることにより、帯状部材5の終端部を切断する。その結果、帯状部材5に正確に直線状に延びる傾斜切断面5xを形成することができる。
【0035】
新規の帯状部材5Aの始端部を切断することにより傾斜切断面5yを形成する際には、上記切断案内治具7と左右対称の構造を有する切断案内治具7A(図9参照)が用いられる。この切断案内治具7Aの各構成部の役割は切断案内治具7と同じであるので、同番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0036】
帯状部材を接近させる工程
図3Dに示すように、帯状部材5に接続部材30の半部が挿入連結された状態で、残り半部を帯状部材5Aに挿入連結する際に、挿入抵抗が大きい場合には、上記切断案内治具7を用いることができる。簡単に説明すると、図9に示すように、切断案内治具7,7Aを傾斜切断面5x、5yから十分に離れた位置で、帯状部材5,5Aに位置決め固定する。この位置決め固定の仕方は切断時と同様である。この状態で切断案内治具7,7Aのガイド部材61に設けられたフック掛部65のそれぞれに、レバーホイスト等の牽引装置9のチェーンの先端のフックを掛け、この牽引装置9を駆動することにより、帯状部材5,5Aを互いに近づけるように牽引する。
【0037】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
実施形態で説明した工程の順序は、適宜変更可能である。例えば更生管側の帯状部材に接続部材の半部を挿入連結した後で、新規の端部の切断を実行してもよい。また、接続工程において、新規の帯状部材に接続部材の半部を挿入連結した後で、接続部材の残りの半部を更生管側の帯状部材に挿入連結してもよい。
帯状部材に接続部材を挿入すべき空間が無い場合には、例えば接続部材を帯状部材の補強リブ等に沿わせて連結してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、老朽化した下水管等の既設管の更生技術に適用できる。
【符号の説明】
【0039】
1 既設管
3 更生管
5 更生管側の帯状部材
5A 新規の帯状部材
5x、5y 傾斜切断面
6 製管機
7、7A 切断案内治具
8 切断装置の刃
9 牽引装置
10 主帯材
20 補強帯材
30 接続部材
40 ボデイ
41 位置決め面
50 ジャッキ(挟圧手段)
60 ガイド手段
61 ガイド部材
61a ガイド面
62 スリット
D 傾斜切断面間の隙間
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
図5
図6
図7
図8
図9