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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022012328
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】塗装ブース
(51)【国際特許分類】
   B05B 16/60 20180101AFI20220107BHJP
【FI】
B05B16/60
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020114110
(22)【出願日】2020-07-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000149790
【氏名又は名称】株式会社大気社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】岩切 広志
(72)【発明者】
【氏名】後藤 雅之
(72)【発明者】
【氏名】三輪 朋孝
【テーマコード(参考)】
4D073
【Fターム(参考)】
4D073AA01
4D073BB03
4D073CB02
4D073CB24
4D073DC02
4D073DD03
4D073DD08
4D073DD22
4D073DD25
4D073DD28
4D073DD32
(57)【要約】
【課題】塗装不良が生じない気流制御を実施可能でありながらも、風量を大幅に削減して省エネルギー化を図れる塗装ブースを提供すること。
【解決手段】塗装対象物Wにスプレー塗装が行われる塗装室2、塗装室2の天井吹き出し部21を介して略鉛直下方向きで塗装室2内にエアーを供給する給気室3、及び塗装室2におけるエアーと未塗着塗料ミストとを塗装室2の床排出部24を介して吸引する排気室4を備える塗装ブース1において、未塗着塗料ミストに略対向する方向から略鉛直下向き方向にかけて略放射状にエアーを噴出する第1サイドエアー供給部6を、塗装室2における塗装対象物Wの高さよりも高い位置で塗装室2の側壁25a,25bに設けてある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装対象物にスプレー塗装が行われる塗装室、
該塗装室の天井吹き出し部を介して略鉛直下方向きで該塗装室内にエアーを供給する給気室、及び
該塗装室におけるエアーと未塗着塗料ミストとを該塗装室の床排出部を介して吸引する排気室、を備える塗装ブースにおいて、
前記未塗着塗料ミストに略対向する方向から略鉛直下向き方向にかけて略放射状にエアーを噴出する第1サイドエアー供給部を、前記塗装室における塗装対象物の高さよりも高い位置で前記塗装室の側壁に設けてあることを特徴とする塗装ブース。
【請求項2】
前記天井吹き出し部が、前記塗装室の天井幅方向の中央部分に設けられており、該天井吹き出し部の幅方向両端のそれぞれに、垂れ壁部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の塗装ブース。
【請求項3】
前記第1サイドエアー供給部が、前記塗装室の奥行方向全体に渡って設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗装ブース。
【請求項4】
前記塗装室における塗装装置が、前記塗装室の側壁に固定される壁掛け式塗装装置である場合、前記第1サイドエアー供給部が、前記壁掛け式塗装装置の部分で分断されていることを特徴とする請求項3に記載の塗装ブース。
【請求項5】
前記第1サイドエアー供給部が、ソックフィルタを備えることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の塗装ブース。
【請求項6】
前記ソックフィルタの長手方向に直交する縦断面形状が半円形であり、該半円形の直線部分をなす面が前記塗装室の側壁に対面するように該ソックフィルタが配置されており、前記未塗着塗料ミストに略対向する方向に延びるガイド板部材が、該ソックフィルタの上方に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の塗装ブース。
【請求項7】
前記ガイド板部材が、エアーのガイド方向を変更可能に構成されていることを特徴とする請求項6に記載の塗装ブース。
【請求項8】
前記ソックフィルタの長手方向に直交する縦断面形状が四分円形であり、該四分円形の二つの直線部分のうちの一方をなす面を前記塗装室の側壁に対面させたときに、前記一方の直線部分の上端から、他方の直線部分をなす面が水平方向に延びるように、該ソックフィルタが配置されていることを特徴とする請求項5に記載の塗装ブース。
【請求項9】
前記未塗着塗料ミストに略対向する方向にのみエアーを噴出する補助サイドエアー供給部が、前記ソックフィルタの上側に隣接して設けられていることを特徴とする請求項8に記載の塗装ブース。
【請求項10】
前記塗装室の側壁に、前記未塗着塗料ミストに略対向する方向から略鉛直下向き方向にかけて略放射状にエアーを噴出する第2サイドエアー供給部が、前記第1サイドエアー供給部の下側に設けられており、前記第1サイドエアー供給部及び前記第2サイドエアー供給部のそれぞれの風量が、前記第1サイドエアー供給部を単独で使用する場合の風量に比べて小さく設定されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の塗装ブース。
【請求項11】
前記第1サイドエアー供給部及び/又は前記第2サイドエアー供給部から供給されるエアーの密度が、前記塗装室の天井吹き出し部から供給されるエアーの密度よりも高いこと特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の塗装ブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装対象物にスプレー塗装が行われる塗装室、該塗装室の天井吹き出し部を介して略鉛直下方向きで該塗装室内にエアーを供給する給気室、及び該塗装室におけるエアーと未塗着塗料ミストとを該塗装室の床排出部を介して吸引する排気室を備える塗装ブースに関する。
【背景技術】
【0002】
塗装ブースを稼働する際の省エネルギー化や二酸化炭素排出量を削減する方法の一つとして、例えば、給気室に接続されている給気ファンのファン動力を低減させること、即ち、風量を削減することが考えられる。
【0003】
しかしながら、均一流のままで風量を大幅に削減すると、塗装室の側壁付近の風量が少なくなる。その結果、未塗着塗料ミストが塗装室の側壁面に向かって飛散して、側壁面が汚れ易くなる。
【0004】
従って、側壁面の汚れを防ぐため、例えば、すべての風量を側壁側に供給するように設定すると、塗装室の中央を流れるエアーがなくなり、連続して塗装処理される一連の塗装対象物において色被りが生じ易くなると共に、塗装対象物の周りの気流がなくなるため、塗膜の仕上がり品質に悪影響を及ぼす虞がある。
【0005】
そこで、例えば、特許文献1に示されるように、塗装室内にノズル形式で高速エアーを供給するように構成される塗装ブースなどが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭53-40036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ノズルからエアーを供給すると、ノズルから放出されるエアーの流れは速いため、周囲の空気を誘引してしまうことになる。その結果、塗装室内の空気流を乱し、様々な箇所に渦を発生させてしまうため、未塗着塗料ミストを効率良く排気室へ誘導することが困難となり、塗装不良が生じ易くなる。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、塗装不良が生じない気流制御を実施可能でありながらも、風量を大幅に削減して省エネルギー化を図れる塗装ブースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る塗装ブースの特徴は、塗装対象物にスプレー塗装が行われる塗装室、
該塗装室の天井吹き出し部を介して略鉛直下方向きで該塗装室内にエアーを供給する給気室、及び
該塗装室におけるエアーと未塗着塗料ミストとを該塗装室の床排出部を介して吸引する排気室、を備える塗装ブースにおいて、
前記未塗着塗料ミストに略対向する方向から略鉛直下向き方向にかけて略放射状にエアーを噴出する第1サイドエアー供給部を、前記塗装室における塗装対象物の高さよりも高い位置で前記塗装室の側壁に設けてある点にある。
【0010】
本構成によれば、給気室より、塗装室の天井吹き出し部を介して略鉛直下方向きで該塗装室内にエアーが供給されるため、塗装室内の空気流が乱れることもなく、未塗着塗料ミストを効率良く排気室へ誘導することができる。その結果、塗装対象物における塗膜の仕上がり品質が保たれ、色被り等の塗装不良も生じ難くなる。さらに、塗装室に供給されるエアー風量を大幅に削減したとしても、塗装室の側壁面に向かって飛散してくる未塗着塗料ミストに対して、第1サイドエアー供給部から反対方向のエアー(対向流)を供給することによって、未塗着塗料ミストが側壁面に付着するのを軽減することができる。
【0011】
本発明に係る塗装ブースにおいては、前記天井吹き出し部が、前記塗装室の天井幅方向の中央部分に設けられており、該天井吹き出し部の幅方向両端のそれぞれに、垂れ壁部が設けられていると好適である。
【0012】
本構成のごとく、塗装室の天井幅方向の中央部分に天井吹き出し部を設けることによって、塗装室の天井全体に天井吹き出し部が設けられいる従来の塗装ブースの場合よりも、給気室からエアー量を低減させつつ、塗装対象物における塗膜の仕上がり品質を保ち、且つ色被りも生じ難くすることができる。さらに、垂れ壁を設けることによって、天井吹き出し部からのエアーの均一流が幅方向に広がることを防止することができるため、より効率的に、略鉛直下方向きの気流を塗装室に供給することができる。
【0013】
本発明に係る塗装ブースにおいては、前記第1サイドエアー供給部が、前記塗装室の奥行方向全体に渡って設けられていると好適である。
【0014】
本構成によれば、第1サイドエアー供給部からのエアーが、塗装室の奥行方向全体にわたってムラなく供給される。
【0015】
本発明に係る塗装ブースにおいては、前記塗装室における塗装装置が、前記塗装室の側壁に固定される壁掛け式塗装装置である場合、前記第1サイドエアー供給部が、前記壁掛け式塗装装置の部分で分断されていると好適である。
【0016】
本構成によれば、塗装室が、該塗装室の側壁に固定される壁掛け式塗装装置を備える場合であっても、第1サイドエアー供給部が、壁掛け式塗装装置の部分で分断されているため、第1サイドエアー供給部と壁掛け式塗装装置との干渉を回避することができる。
【0017】
本発明に係る塗装ブースにおいては、前記第1サイドエアー供給部が、ソックフィルタを備えると好適である。
【0018】
本構成のごとく、ソックフィルタを使用することによって、未塗着塗料ミストに略対向する方向から略鉛直下向き方向にかけて連続した風速分布を有するエアーの均一流を形成して、周囲空気の誘引を極力抑えることができる。従って、塗装室内の空気を乱すこともなく、様々な箇所に渦を発生させてしまうこともないため、未塗着塗料ミストをさらに効率良く排気室へ誘導して塗装不良を生じ難くすることができる。
【0019】
本発明に係る塗装ブースにおいては、前記ソックフィルタの長手方向に直交する縦断面形状が半円形であり、該半円形の直線部分をなす面が前記塗装室の側壁に対面するように該ソックフィルタが配置されており、前記未塗着塗料ミストに略対向する方向に延びるガイド板部材が、該ソックフィルタの上方に設けられていると好適である。
【0020】
本構成によれば、第1サイドエアー供給部は、長手方向に直交する縦断面形状が半円形であるソックフィルタを備えるため、鉛直上向き方向から鉛直下向き方向にかけて放射状にエアーが噴出するが、ソックフィルタの上方に設けられているガイド板部材によって、ソックフィルタから上向きに噴出するエアーについては未塗着塗料ミストに略対向する方向に効率良く流される。気流方向を変更された当該エアーは、ソックフィルタから元々水平方向に噴出するエアーと合流することとなり、未塗着塗料ミストに対する対向流として相乗効果を奏することとなる。
【0021】
本発明に係る塗装ブースにおいては、前記ガイド板部材が、エアーのガイド方向を変更可能に構成されていると好適である。
【0022】
本構成によれば、ガイド板部材によって、未塗着塗料ミストに対する対向流の向きを調整できるようになる。これにより、より効果的な対向流を作り出すことができるようになるため、例えば塗装対象物が車高の低い車体に変更される場合には、ガイド板部材を調整して対向流を低めに吹き出すようにすることによって、側壁面への塗料付着をより確実に軽減することができる。
【0023】
本発明に係る塗装ブースにおいては、前記ソックフィルタの長手方向に直交する縦断面形状が四分円形であり、該四分円形の二つの直線部分のうちの一方をなす面を前記塗装室の側壁に対面させたときに、前記一方の直線部分の上端から、他方の直線部分をなす面が水平方向に延びるように、該ソックフィルタが配置されていると好適である。
【0024】
本構成のごとく、ソックフィルタの長手方向に直交する縦断面形状を四分円形とすることによって、ソックフィルタのサイズを小さくすることができるため、製造や設置作業にかかるコストを削減することができる。
【0025】
本発明に係る塗装ブースにおいては、前記未塗着塗料ミストに略対向する方向にのみエアーを噴出する補助サイドエアー供給部が、前記ソックフィルタの上側に隣接して設けられていると好適である。
【0026】
ソックフィルタからのエアーだけでは未塗着塗料ミストに対する対向流の運動エネルギーが仮に不足するような場合にも、本構成のごとく、未塗着塗料ミストに略対向する方向にのみエアーを噴出する補助サイドエアー供給部を、長手方向に直交する縦断面形状が四分円形のソックフィルタの上側に隣接して設けることによって、必要に応じて対向流の運動エネルギーを補強することができる。
【0027】
本発明に係る塗装ブースにおいては、前記塗装室の側壁に、前記未塗着塗料ミストに略対向する方向から略鉛直下向き方向にかけて略放射状にエアーを噴出する第2サイドエアー供給部が、前記第1サイドエアー供給部の下側に設けられており、前記第1サイドエアー供給部及び前記第2サイドエアー供給部のそれぞれの風量が、前記第1サイドエアー供給部を単独で使用する場合の風量に比べて小さく設定されていると好適である。
【0028】
例えば塗装対象物として、車高の高い自動車ボディを塗装する場合、第1サイドエアー供給部のみでは、側壁の下の方まで均一流を形成し難くなる場合があるが、本構成のごとく、第1サイドエアー供給部の下側に、さらに第2サイドエアー供給部を設けることによって、側壁の下の方までより確実に均一流を形成することができ、その結果、側壁面への塗料付着を防止することができる。さらに、第1サイドエアー供給部及び第2サイドエアー供給部のそれぞれの風量が、第1サイドエアー供給部を単独で使用する場合の風量に比べて小さく設定されているため、サイドエアー供給部がもう一段増えたとしても、風量を2倍にする必要はなく、第1サイドエアー供給部単独で使用する場合とそれほど変わらない風量で運転することができる。
【0029】
本発明に係る塗装ブースにおいては、前記第1サイドエアー供給部及び/又は前記第2サイドエアー供給部から供給されるエアーの密度が、前記塗装室の天井吹き出し部から供給されるエアーの密度よりも高いと好適である。
【0030】
本構成によれば、第1サイドエアー供給部及び/又は第2サイドエアー供給部から供給されるエアーの密度が、塗装室の天井吹き出し部から供給されるエアーの密度よりも高いため、対向流の運動エネルギーがより大きくなり、より確実に側壁面への塗料付着を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明に係る塗装ブースの第1実施形態の正面概略構成図である。
図2】本発明に係る塗装ブースの第1実施形態の側方概略構成図である。
図3】本発明に係る塗装ブースの第2実施形態の正面概略構成図である。
図4】本発明に係る塗装ブースの第2実施形態の側方概略構成図である。
図5】本発明に係る塗装ブースの第3実施形態の正面概略構成図である。
図6】本発明に係る塗装ブースの第3実施形態の側方概略構成図である。
図7】本発明に係る塗装ブースの第4実施形態の正面概略構成図である。
図8】本発明に係る塗装ブースの第4実施形態の側方概略構成図である。
図9】サイドエアー供給部の別実施形態の概略構成図である。
図10】サイドエアー供給部の別実施形態の概略構成図である。
図11】サイドエアー供給部の別実施形態の概略構成図である。
図12】サイドエアー供給部の別実施形態の概略構成図である。
図13】サイドエアー供給部の別実施形態の概略構成図である。
図14】サイドエアー供給部の別実施形態の概略構成図である。
図15】サイドエアー供給部の別実施形態の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
〔第1実施形態〕
本発明に係る塗装ブース1の第1実施形態について、図面を参照しながら説明をする。
尚、本明細書において、「幅方向」とは、例えば図1のごとく、塗装ブース1の正面における横方向を意味し、また「奥行方向」とは、例えば図2のごとく、塗装ブース1の側面における横方向(塗装対象物Wの搬送方向)を意味するものとする。また、各図面における白抜きの矢印は、エアーの気流を示す。
【0033】
図1及び図2に示すように、塗装ブース1は、例えば自動車のボディ等の塗装対象物Wにスプレー塗装が行われる塗装室2、塗装室2の天井吹き出し部21を介して略鉛直下方向きで塗装室2内にエアーを供給する給気室3、及び塗装室2におけるエアーと未塗着塗料ミストとを該塗装室2の格子製床24(床排出部の一例)を介して吸引する排気室4を備える。
【0034】
給気室3は、塗装室2の直上に配置され、そして図示しない給気ファンが接続されている。給気ファンから加圧供給されるエアーが、塗装室2の天井吹き出し部21から略鉛直下方向きで層流状に塗装室2内に吹き出される。
【0035】
天井吹き出し部21は、除塵フィルタ22を備えており、給気室3のエアーが除塵フィルタ22によって除塵された後に塗装室2内に供給されるように構成されている。
【0036】
天井吹き出し部21は、塗装室2の天井全体ではなく天井20の幅方向の中央部分において、奥行方向全体にわたって設けられている。天井吹き出し部21の幅は、天井20幅のおよそ30%~50%の幅に設定することが望ましい。
【0037】
また、天井吹き出し部21の幅方向両端のそれぞれに、奥行方向全体にわたる垂れ壁部23が設けられている。垂れ壁部23によって、天井吹き出し部21からのエアーの均一流が幅方向に広がることを防止することができる。尚、垂れ壁部23の上下方向の長さについては、長く設定するほど天井吹き出し部21からの気流の直線性を高めることができるが、自動塗装装置5aに干渉し易くなり、また垂れ壁部23自体が汚れ易くなるため、これらを考慮して、例えば、天井20から400mm以下にすることが望ましい。
【0038】
塗装室2は、内部に塗装対象物Wを搬入搬出するコンベア機構CVと、スプレーガンを有する多関節ロボット型の自動塗装装置5aとを備える。コンベア機構CVは、床の幅方向の中央部分において、奥行方向全体にわたって敷設される。自動塗装装置5aは、例えば、塗装室2の床面において、コンベア機構CV(塗装対象物Wの搬送方向)に沿ってその左右両側に並置される。
【0039】
コンベア機構CVによって搬入されて所定位置に停止させた状態の塗装対象物Wに対して、予め設定されたタイムスケジュールに基づく自動塗装装置5aの自動作動によって、所定の塗料がスプレー塗装される。
【0040】
塗装室2の床は床排出部としての格子製床24を備えており、通気可能に構成されている。
【0041】
排気室4は、塗装室2の直下に配置され、図示しない排気ファンが接続されている。塗装室2からのエアーと未塗着塗料ミストとを含む排気気体が、格子製床24を介して吸引される。
【0042】
排気室4は、排気気体から未塗着塗料ミストを分離除去する塗料ミスト除去装置(図示せず)を備える。尚、塗料ミスト除去装置としては、貯留洗浄水に塗料ミストを捕捉させる湿式、及び段ボールフィルタ等に塗料ミストを捕捉させる乾式を問わず、公知の塗料ミスト除去装置を採用して良い。
【0043】
排気ファンの駆動によって排気室4に吸引された排気気体は、塗料ミスト除去装置によって未塗着塗料ミストが分離除去されたのち、塗装ブース1の外部に排出される。
【0044】
塗装室2の幅方向における右側壁25a及び左側壁25bのそれぞれに、塗装室2の奥行方向全体にわたって、第1サイドエアー供給部6が設けられている。
【0045】
第1サイドエアー供給部6には、図示しない給気ファンが接続されている。尚、当該給気ファンについては、給気室3に接続されているものを共用するようにして良いし、あるいは別に構成しても良い。尚、第1サイドエアー供給部6への給気は、塗装室2の側壁側、奥行方向の端部側、又は第1サイドエアー供給部6の上方からなど、どこから供給しても良い。
【0046】
本実施形態における第1サイドエアー供給部6は、長手方向に直交する縦断面形状が半円形であるソックフィルタ60とガイド板部材62とを備える。ソックフィルタ60は、その半円形の直線部分をなす面が塗装室2の右側壁25a及び左側壁25bのそれぞれに対面するように配置されている。ガイド板部材62は、水平方向に延びており、ソックフィルタ60の上方に設けられている。
【0047】
ソックフィルタ60は、略水平方向(未塗着塗料ミストに略対向する方向の一例)から略鉛直下向き方向にかけて連続した風速分布を有するエアーの均一流を形成して、周囲空気の誘引を極力抑え得る構成であれば良い。つまり、エアーの吹出口が、開口率と開口径が比較的小さい織布、多孔板、金網などであって、吹き出し風速が均一であり、かつ、吹出口から発達した流れに成長するまでの助走距離が短い気流を生じさせる構成であることが望ましい。そのような構成を実現し得る素材としては例えば、繊維状の合成樹脂を積層した不織布を利用した布袋、ガラス繊維からなる布袋、金属体のメッシュ袋、パンチング板、メッシュ金網などが挙げられる。
【0048】
第1サイドエアー供給部6は、塗装室2に搬入される塗装対象物Wの高さよりも高い位置に設けられている。ただし、設置位置が高過ぎると側壁面沿いを流れる下降気流が少なくなるため、例えば、塗装対象物Wの天井面から800mmの高さまでに設置することが望ましい。
【0049】
第1サイドエアー供給部6は、略水平方向から略鉛直下向き方向にかけて略放射状にエアーを噴出するように構成されている。尚、本実施形態における第1サイドエアー供給部6は、長手方向に直交する縦断面形状が半円形であるソックフィルタ60を備えるため、図1の破線の矢印で示されるように、鉛直上向き方向から鉛直下向き方向にかけて放射状にエアーが噴出するが、ソックフィルタ60の上方に設けられているガイド板部材62によって、ソックフィルタ60から上向きに噴出するエアーについては効率良く横方向に流される。気流方向を変更された当該エアーは、ソックフィルタ60から元々水平方向に噴出するエアーと合流することとなり、未塗着塗料ミストに対する対向流として相乗効果を奏することとなる。
【0050】
ソックフィルタ60とガイド板部材62との距離は、離れ過ぎるとガイド板部材62による気流案内効果が著しく低減するため、例えば300mm以下とすることが望ましい。
【0051】
ガイド板部材62のガイド長さ(塗装室2の側壁面からガイド板部材62の端までの長さ)は、長くするほど気流案内効果が高まるが、自動塗装装置5aに干渉し易くなり、またガイド板部材62自体が汚れ易くなるため、これらを考慮して、例えば400mm以下にすることが望ましい。
【0052】
本実施形態の塗装ブース1において塗装処理を実施する際、塗装室2における天井吹き出し部21及び第1サイドエアー供給部6の両方からエアーが供給される。このとき、天井吹き出し部21からの風量が第1サイドエアー供給部6からの風量よりも多くなるように設定し、且つ天井吹き出し部21からの風速が第1サイドエアー供給部6からの風速よりも小さくなるように風量制御することが望ましい。例えば、4000mm~6000mmのブース幅、及び数メートル~数十メートルのブース長を有する標準的な自動車専用塗装ブース1に本発明を適用する場合、天井吹き出し部21からの風速を0.05~0.15m/秒とし、第1サイドエアー供給部6からの風速を0.5~2.0m/秒に設定することが望ましい。
【0053】
塗装対象物Wとして、例えば自動車ボディに塗装処理が実施される場合、基本的には塗装面に対して垂直方向に塗料が噴射されるが、自動車ボディのルーフなどの略水平な被塗装面上で水平方向に塗料が噴射される瞬間があり、こうした瞬間が繰り返されることで、塗装室2の側壁面が汚れ易くなる。
【0054】
しかしながら本実施形態によれば、第1サイドエアー供給部6が、略水平方向から略鉛直下向き方向にかけて放射状にエアーを噴出するため、水平から下向きまで連続した風速分布を生じさせ、風速差による気流の乱れが少なく、未塗着塗料ミストが拡散し難い気流が作られる。
【0055】
そして、右側壁25a及び左側壁25bのそれぞれから、塗装室2の幅方向中心に向かう気流となるため、右側壁25a及び左側壁25bのそれぞれに対して未塗着塗料ミストが付着するのを防止することができると共に、右側壁25a及び左側壁25bのそれぞれの壁面に沿う、塗装室2の下方向へ向かう気流も形成されるため、右側壁25a及び/又は左側壁25bに飛散してくる未塗着塗料ミストを積極的に排気室4に向かわせることができる。
【0056】
また、塗膜の仕上がり品質を確保するために、塗膜表面の温度と湿度を所定範囲内に維持する必要がある。つまり、塗装対象物Wの廻りに一定の気流が存在しなければ、塗膜表面の温度と湿度を維持することができなくなり、塗膜の仕上がり品質に悪影響を及ぼすことがある。
【0057】
本実施形態によれば、天井吹き出し部21から供給されるエアーが、塗装対象物Wに当たると、その表面全体を覆うように分散して流れるため、塗膜表面の温度と湿度が所定範囲内に維持され、塗膜の仕上がり品質を保つことができる。さらに、連続的に搬入されて塗装処理される一連の塗装対象物Wの間では、エアーが衝突するものがないため、天井吹き出し部21からの下降気流と、第1サイドエアー供給部6からの塗装室2の幅方向中心に向かう気流とが合流して、未塗着塗料ミストを速やかに排気室4へと誘導することができる。このため、天井吹き出し部21から供給されるエアーの風量を低下させても、一連の塗装対象物Wにおける色被りが生じ難くなる。
【0058】
尚、本発明を適用した塗装ブース1によれば、塗装室2の天井吹き出し部21からのエアーの風速が0.3m/秒であって5500mmのブース幅を有する標準的な自動車専用塗装ブース1の場合と比べて、エアー風量を30%~70%削減することができる。
【0059】
次いで、本発明に係る塗装ブース1が、自動塗装装置5aとして壁掛け塗装ロボット5bを備える場合の実施形態について以下に説明する。尚、これらの実施形態について図面を参照しながら説明を行うが、上述の第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略し、異なる構成を主に説明する。
【0060】
〔第2実施形態〕
図3及び図4に示すように、本実施形態に係る塗装ブース1の塗装室2は、自動塗装装置5aとして固定式の壁掛け塗装ロボット5bを備える。本実施形態では、塗装室2に搬入される塗装対象物Wの高さよりも高く、且つ右側壁25a及び左側壁25bのそれぞれに固定されるロボット本体50よりも下の位置に、第1サイドエアー供給部6が設けられている。
【0061】
また、第1サイドエアー供給部6のソックフィルタ60とガイド板部材62の幅方向の長さは、壁掛け塗装ロボット5bのスプレー部51と右側壁25a及び左側壁25bのそれぞれの壁面との距離よりも短くなるように設定されている。
【0062】
即ち、第1サイドエアー供給部6は、壁掛け塗装ロボット5bのロボット本体50とスプレー部51のいずれにも干渉しない構成となっている。
【0063】
〔第3実施形態〕
図5及び図6に示すように、本実施形態では、塗装ブース1の塗装室2が上述の第2実施形態と同じく自動塗装装置5aとして固定式の壁掛け塗装ロボット5bを備えるものであるが、その設置位置が低く、もし上述の第1実施形態や第2実施形態と同じように第1サイドエアー供給部6を設けようとすると、壁掛け塗装ロボット5bのロボット本体50と干渉してしまうため、これを回避するための構成が示されている。
【0064】
本実施形態では、第1サイドエアー供給部6が、壁掛け塗装ロボット5bの部分で分割された状態で設けられている。第1サイドエアー供給部6の分割部分6bは、ロボット本体50の真下に設けられている。分割部分6bのソックフィルタ60とガイド板部材62のそれぞれの幅方向の長さは、壁掛け塗装ロボット5bのスプレー部51と右側壁25a及び左側壁25bのそれぞれの壁面との距離よりも短い長さに設定されている。
【0065】
分割部分6bのソックフィルタ60は、第1サイドエアー供給部6のソックフィルタ60と接続ダクト64を介して連結されており、これにより分割部分6bのソックフィルタ60にエアーが供給される。
【0066】
尚、分割部分6bは、塗装室2に搬入される塗装対象物Wの高さと同程度、もしくはそれ以上の高さに設けることが望ましい。
【0067】
〔第4実施形態〕
図7及び図8に示すように、本実施形態における塗装室2は、自動塗装装置5aとして移動式の壁掛け塗装ロボット5bを備える。
【0068】
本実施形態における壁掛け塗装ロボット5bは、側壁に敷設されたレールRに沿って移動可能に構成されており、レールRは、塗装室2の奥行方向全体に渡って設けられている。
【0069】
本実施形態では、塗装室2に搬入される塗装対象物Wの高さよりも高く、且つレールR及びレールRを移動するロボット本体50よりも下の位置に、第1サイドエアー供給部6が設けられている。
【0070】
また、第1サイドエアー供給部6のソックフィルタ60とガイド板部材62の幅方向の長さは、壁掛け塗装ロボット5bのスプレー部51と右側壁25a及び左側壁25bのそれぞれの壁面との距離よりも短い長さに設定されている。
【0071】
即ち、第1サイドエアー供給部6は、レールR及び壁掛け塗装ロボット5bのロボット本体50とスプレー部51のいずれにも干渉しない構成となっている。
【0072】
(その他の実施形態)
1.上述の実施形態における第1サイドエアー供給部6は、長手方向に直交する縦断面形状が半円形であるソックフィルタ60を採用しているが、これに限定されるものではなく、他にも例えば、長手方向に直交する縦断面形状が、円弧に近い多角形状であっても良いし、あるいは、例えば図12に示すような角部が一つしかない形状や、図13に示すような角部が存在しないような直線的な形状としても良く、未塗着塗料ミストに略対向する方向から略鉛直下向き方向にかけて略放射状にエアーを噴出可能な形状であれば、特に限定されるものではない。
【0073】
2.図9に示すように、第1サイドエアー供給部6のソックフィルタ60として、その長手方向に直交する縦断面形状が四分円形を有するものを使用しても良い。この場合、該四分円形の二つの直線部分のうちの一方をなす面を塗装室の右側壁25aに対面させたときに、一方の直線部分の上端から他方の直線部分をなす面が水平方向に延びるように、ソックフィルタ60が配置される。尚、この場合も上述の実施形態と同様に、水平方向に延びるガイド板部材62が、ソックフィルタ60の上方に設けられる。尚、図9では、塗装室の右側壁25aに第1サイドエアー供給部6を設ける構成が示されているが、塗装室の左側壁25bについてもこれと同様に第1サイドエアー供給部6を設けるようにして良い。
【0074】
3.図10に示すように、長手方向に直交する縦断面形状が四分円形のソックフィルタ60において、水平面の部分61の素材を変更することによって、水平面の部分61からエアーが噴射されないように構成しても良い。尚、図10では、塗装室の右側壁25aに第1サイドエアー供給部6を設ける構成が示されているが、塗装室の左側壁25bについてもこれと同様に第1サイドエアー供給部6を設けるようにして良い。
【0075】
4.図11に示すように、長手方向に直交する縦断面形状が四分円形のソックフィルタ60において、略水平方向にのみエアーを噴出する補助サイドエアー供給部63が、ソックフィルタ60の上側に隣接して設けられている構成としても良い。尚、図11では、塗装室の右側壁25aに第1サイドエアー供給部6を設ける構成が示されているが、塗装室の左側壁25bについてもこれと同様に第1サイドエアー供給部6を設けるようにして良い。
【0076】
5.図示しないが、塗装室の右側壁及び左側壁のそれぞれに、略水平方向から略鉛直下向き方向にかけて略放射状にエアーを噴出する第2サイドエアー供給部が、第1サイドエアー供給部の下側に設けられており、第1サイドエアー供給部及び第2サイドエアー供給部のそれぞれの風量が、第1サイドエアー供給部を単独で使用する場合の風量に比べて小さく設定されている構成としても良い。第2サイドエアー供給部は、第1サイドエアー供給部と同様に、例えばソックフィルタとガイド板部材とを備えるものとして良い。このとき、第1サイドエアー供給部及び第2サイドエアー供給部におけるエアーの風速を同程度とし、ソックフィルタ径を小さくすることによって、第1サイドエアー供給部及び第2サイドエアー供給部のそれぞれの風量を低下させるようにしても良い。また第2サイドエアー供給部は、塗装室の床面から第1サイドエアー供給部までの高さのおよそ半分ほどの高さに設置されることが望ましい。
【0077】
6.第1サイドエアー供給部及び/又は第2サイドエアー供給部から供給されるエアーの密度は、塗装室の天井吹き出し部から供給されるエアーの密度よりも高くしても良い。
【0078】
7.上述の実施形態では、水平方向に延びるガイド板部材62が例示されているが、ガイド板部材については当該構成に限定されるものではなく、例えば図14及び図15に示すように、ガイド板部材が、エアーのガイド方向を変更可能に構成されているものであっても良い。図14に示すガイド板部材62は、その先端部分を水平から下方に傾斜させることができるように構成されており、その傾斜角度θは例えば0°(水平)~約30°である。また図15に示すガイド板部材62は、その全体が水平から上方及び下方のいずれにも傾斜させることができるように構成されており、その傾斜角度θは、上方及び下方いずれの場合も0°(水平)~約30°である。この構成によれば、未塗着塗料ミストに略対向する方向を、水平方向だけでなく、水平方向よりも若干下方若しくは上方に変更可能となるため、より効果的な対向流を作り出すことができるようになる。
【0079】
8.上述の実施形態では、第1サイドエアー供給部及び第2サイドエアー供給部がソックフィルタを備える構成が示されているが、この構成に限定されるものではない。ソックフィルタの替わりとして、例えば、パンチング部材といった他の公知素材を使用しても良く、未塗着塗料ミストに略対向する方向から略鉛直下向き方向にかけて略放射状にエアーを噴出可能な素材であれば、特に限定されるものではない。
【0080】
尚、上述のように図面を参照しつつ本発明を説明したが、本発明は当該図面の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の塗装ブースは、例えば自動車、鉄道車両、航空機、船舶などにおけるボディ全体又はこれを構成する種々のパーツについての塗装を行う技術分野において特に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 塗装ブース
2 塗装室
20 天井
21 天井吹き出し部
22 除塵フィルタ
23 垂れ壁部
24 格子製床(床排出部の一例)
25a 右側壁
25b 左側壁
3 給気室
4 排気室
5a 自動塗装装置
5b 壁掛け塗装ロボット
50 ロボット本体
51 スプレー部
6 第1サイドエアー供給部
60 ソックフィルタ
61 水平面の部分
62 ガイド板部材
6b 分割部分
63 補助サイドエアー供給部
64 接続ダクト
W 塗装対象物
CV コンベア機構
R レール


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2021-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装対象物にスプレー塗装が行われる塗装室、
該塗装室の天井吹き出し部を介して略鉛直下方向きで該塗装室内にエアーを供給する給気室、及び
該塗装室におけるエアーと未塗着塗料ミストとを該塗装室の床排出部を介して吸引する排気室、を備える塗装ブースにおいて、
前記未塗着塗料ミストに略対向する方向から略鉛直下向き方向にかけて略放射状にエアーを噴出する第1サイドエアー供給部を、前記塗装室における塗装対象物の高さよりも高い位置で前記塗装室の側壁に設けてあり、
前記天井吹き出し部が、前記塗装室の天井幅方向の中央部分に設けられており、該天井吹き出し部の幅方向両端のそれぞれに、垂れ壁部が設けられていることを特徴とする塗装ブース。
【請求項2】
前記第1サイドエアー供給部の全体が、前記塗装対象物の高さよりも高い位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の塗装ブース。
【請求項3】
前記第1サイドエアー供給部が、前記塗装室の奥行方向全体に渡って設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗装ブース。
【請求項4】
塗装対象物にスプレー塗装が行われる塗装室、
該塗装室の天井吹き出し部を介して略鉛直下方向きで該塗装室内にエアーを供給する給気室、及び
該塗装室におけるエアーと未塗着塗料ミストとを該塗装室の床排出部を介して吸引する排気室、を備える塗装ブースにおいて、
前記未塗着塗料ミストに略対向する方向から略鉛直下向き方向にかけて略放射状にエアーを噴出する第1サイドエアー供給部を、前記塗装室における塗装対象物の高さよりも高い位置で前記塗装室の側壁に設けてあり、
前記第1サイドエアー供給部が、前記塗装室の奥行方向全体に渡って設けられており
前記塗装室における塗装装置が、前記塗装室の側壁に固定される壁掛け式塗装装置である場合、前記第1サイドエアー供給部が、前記壁掛け式塗装装置の部分で分断されていることを特徴とする塗装ブース。
【請求項5】
前記第1サイドエアー供給部が、ソックフィルタを備えることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の塗装ブース。
【請求項6】
塗装対象物にスプレー塗装が行われる塗装室、
該塗装室の天井吹き出し部を介して略鉛直下方向きで該塗装室内にエアーを供給する給気室、及び
該塗装室におけるエアーと未塗着塗料ミストとを該塗装室の床排出部を介して吸引する排気室、を備える塗装ブースにおいて、
前記未塗着塗料ミストに略対向する方向から略鉛直下向き方向にかけて略放射状にエアーを噴出する第1サイドエアー供給部を、前記塗装室における塗装対象物の高さよりも高い位置で前記塗装室の側壁に設けてあり、
前記第1サイドエアー供給部が、ソックフィルタを備え
前記ソックフィルタの長手方向に直交する縦断面形状が半円形であり、該半円形の直線部分をなす面が前記塗装室の側壁に対面するように該ソックフィルタが配置されており、前記未塗着塗料ミストに略対向する方向に延びるガイド板部材が、該ソックフィルタの上方に設けられていることを特徴とする塗装ブース。
【請求項7】
前記ガイド板部材が、エアーのガイド方向を変更可能に構成されていることを特徴とする請求項6に記載の塗装ブース。
【請求項8】
塗装対象物にスプレー塗装が行われる塗装室、
該塗装室の天井吹き出し部を介して略鉛直下方向きで該塗装室内にエアーを供給する給気室、及び
該塗装室におけるエアーと未塗着塗料ミストとを該塗装室の床排出部を介して吸引する排気室、を備える塗装ブースにおいて、
前記未塗着塗料ミストに略対向する方向から略鉛直下向き方向にかけて略放射状にエアーを噴出する第1サイドエアー供給部を、前記塗装室における塗装対象物の高さよりも高い位置で前記塗装室の側壁に設けてあり、
前記第1サイドエアー供給部が、ソックフィルタを備え
前記ソックフィルタの長手方向に直交する縦断面形状が四分円形であり、該四分円形の二つの直線部分のうちの一方をなす面を前記塗装室の側壁に対面させたときに、前記一方の直線部分の上端から、他方の直線部分をなす面が水平方向に延びるように、該ソックフィルタが配置されていることを特徴とする塗装ブース。
【請求項9】
前記未塗着塗料ミストに略対向する方向にのみエアーを噴出する補助サイドエアー供給部が、前記ソックフィルタの上側に隣接して設けられていることを特徴とする請求項8に記載の塗装ブース。
【請求項10】
前記塗装室の側壁に、前記未塗着塗料ミストに略対向する方向から略鉛直下向き方向にかけて略放射状にエアーを噴出する第2サイドエアー供給部が、前記第1サイドエアー供給部の下側に設けられており、前記第1サイドエアー供給部及び前記第2サイドエアー供給部のそれぞれの風量が、前記第1サイドエアー供給部を単独で使用する場合の風量に比べて小さく設定されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の塗装ブース。
【請求項11】
前記第1サイドエアー供給部及び/又は前記第2サイドエアー供給部から供給されるエアーの密度が、前記塗装室の天井吹き出し部から供給されるエアーの密度よりも高いこと特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の塗装ブース。