(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123330
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/14 20060101AFI20220817BHJP
G03G 15/16 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
G03G15/14 101D
G03G15/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020568
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】太田 修司
【テーマコード(参考)】
2H200
【Fターム(参考)】
2H200FA06
2H200GA12
2H200GA23
2H200GA33
2H200GA34
2H200HA12
2H200HB03
2H200JB06
2H200JB10
2H200KA03
2H200KA21
(57)【要約】
【課題】効果的に剥離放電による画質の低下を抑制する。
【解決手段】シートを搬送する無端ベルトにおける転写ニップ部と一端部との間で、無端ベルトの上方に対向して延在する規制部を設ける。規制部は、シート搬送方向に直交する幅方向に沿って延在する水平部と、水平部の幅方向における両端からそれぞれ幅方向に延在し、幅方向における水平部に近い一端から他端に向かう程無端ベルトに近づく方向に傾斜する一対の傾斜部を備える。規制部は、無端ベルトから浮き上がったシート後端の両端部に当接することで剥離放電を抑制する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤像をシートに転写することにより、シートに画像を形成する画像形成装置であって、
複数のローラ(17,18)と、前記複数のローラ間に架設され、上面を搬送面として前記シートを搬送方向に搬送する無端ベルト(19)とを含む転写ユニット(13)と、
前記無端ベルトの上方に設けられた感光ドラム(15)を含み、前記感光ドラムと前記無端ベルトとの間の転写ニップ部において前記シートに画像を形成するプロセスユニットと、
前記搬送方向における前記転写ニップ部と前記搬送面の
前記搬送方向下流側端部との間で、前記搬送面の上方で前記搬送面と対向する第1規制部であって、前記シートと当接可能な第1規制部(31)と、を備え、
前記第1規制部は、
前記搬送方向と直交する幅方向に沿って延在する第1水平部(32)と、
前記第1水平部の前記幅方向における両端からそれぞれ前記幅方向に延在し、前記幅方向における前記第1水平部に近い一端から他端に向かうほど前記無端ベルトに近づく方向に傾斜する一対の第1傾斜部(33)であって、前記シートの前記幅方向における両端とそれぞれ当接可能な第1傾斜部と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1傾斜部は、前記複数のローラのうち前記搬送方向において最も下流に位置するローラの回動軸中心と前記搬送方向において重複した位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
プロセスユニットは、
前記感光ドラムを支持するドラムフレームを更に備え、
前記第1規制部は、前記ドラムフレームに設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記転写ユニットは、前記複数のローラを回転可能に支持するベルトフレームを更に備え、
前記第1規制部は、前記ベルトフレームに設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記シートに形成された画像を加熱定着する定着器であって、
加熱ローラと、前記加熱ローラと当接して前記シートをニップする定着ニップ部を形成する加圧ローラと、を有する定着器を更に備え、
前記第1傾斜部の前記他端は、前記定着ニップ部と前記転写ニップ部とを結んだ仮想直線より下方に設けられていることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
当該画像形成装置は、前記幅方向における第1の幅を有するシート及び前記第1の幅よりも大きな第2の幅を有するシートに画像を形成することが可能であって、
前記一対の第1傾斜部それぞれの前記他端の間の前記幅方向の距離は、前記第1の幅よりも大きく、前記第1水平部の前記幅方向の距離は前記第1の幅よりも小さいことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記シートに形成された画像を加熱定着する定着器(50)と、
前記シートの搬送経路において、前記搬送方向における第1規制部と定着ニップ部との間に設けられた第2規制部(41)と、を更に備え、
前記定着器は、
加熱ローラと、定着ニップ部において前記加熱ローラと当接して前記シートをニップする加圧ローラを有し、
前記第2規制部は、
前記搬送方向と直交する幅方向に沿って延在する第2水平部(42)と、
前記第2水平部の前記幅方向における両端からそれぞれ前記幅方向に延在し、前記幅方向における前記第2水平部に近い一端から他端に向かうほど下方に傾斜する一対の第2傾斜部(43)であって、前記シートの前記幅方向における両端とそれぞれ当接可能な第2傾斜部と、を有し、
前記一対の第2傾斜部それぞれの前記他端の間の前記幅方向の距離は、前記第2の幅よりも大きく、
前記第2水平部の前記幅方向の距離は、前記第2の幅よりも小さいことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第2水平部の前記幅方向の距離は、前記第1傾斜部それぞれの前記他端の間の前記幅方向の距離よりも大きいことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第2傾斜部の前記他端は、前記定着ニップ部と前記第1傾斜部の下端とを結んだ仮想直線より下方に設けられていることを特徴とする請求項7または8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第2傾斜部が水平面となす角度は、前記第1傾斜部が水平面となす角度より大きいことを特徴とする請求項の7~9の何れか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、感光ドラム及び転写ローラを有し、シートに現像剤像を転写するプロセス部と、加熱ローラ及び加圧ローラを有し、シートに現像剤像を定着する定着部とを備えた画像形成装置が知られている。このような画像形成装置で、シートがプロセス部から排出された時に、シートの搬送方向後端側が上方に浮き上がるように急激に変位することがある。この場合に、シートの画像形成面が装置内構造物へ衝突し、定着前の現像剤像が剥離することで、画質が低下する可能性がある。
【0003】
このような画質の低下を抑制するために、定着器入口近傍に入口搬送ガイドを設ける構成が特許文献1に記載されている。
【0004】
特許文献1に記載の発明では、定着装置に記録材を案内する入口搬送ガイド部材であって、定着装置近傍に設けられる入口搬送ガイド部材を、所定の間隙を有する上部部材と下部部材で形成し、該間隙を長手方向の中央部側よりも両端部側で狭くすることで、記録材の後端跳ねが起こった場合でも、記録材の両端の非画像域のみが上部部材に接触し、画像の擦れを防ぐことで画質の低下を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述したような画像形成装置では、感光ドラムと転写ローラ間で転写バイアスが印加されることで無端ベルトの表面が帯電し、この帯電した表面にシートが電気的に吸着して搬送される。そのため、無端ベルトに電気的に吸着しているシートが急な角度で浮き上がると、シートと無端ベルトとの間で剥離放電が発生し、その静電気により、定着前の現像剤が乱され、画質の低下を起こしてしまう。
【0007】
したがって、たとえ特許文献1記載のようにシートの画像形成面が装置内構造物へ衝突することを回避したとしても、この剥離放電により定着前の現像剤像が乱され、画質の低下が起こってしまう。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、剥離放電による画質の低下を効果的に抑制する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために本発明に係る画像形成装置は、現像剤像をシートに転写することにより、シートに画像を形成する画像形成装置であって、複数のローラ(17,18)と、前記複数のローラ間に架設され、上面を搬送面として前記シートを搬送方向に搬送する無端ベルト(19)とを含む転写ユニット(13)と、前記無端ベルトの上方に設けられた感光ドラム(15)を含み、前記感光ドラムと前記無端ベルトとの間の転写ニップ部において前記シートに画像を形成するプロセスユニットと、前記搬送方向における前記転写ニップ部と前記搬送面の前記搬送方向下流側端部との間で、前記搬送面の上方で前記搬送面と対向する第1規制部(31)であって、前記シートと当接可能な第1規制部を備え、前記第1規制部は、前記搬送方向と直交する幅方向に沿って延在する第1水平部(32)と、前記第1水平部の前記幅方向における両端からそれぞれ前記幅方向に延在し、前記幅方向における前記水平部に近い一端から他端に向かうほど前記無端ベルトに近づく方向に傾斜する一対の第1傾斜部(33)であって、前記シートの前記幅方向における両端とそれぞれ当接可能な第1傾斜部を有している。
【0010】
この構成によれば、第1傾斜部は、転写ニップ部から排出されたシート後端が浮き上がった際に、シート後端の幅方向両端と当接して、シートの浮き上がりを抑制する。
【0011】
また、前記第1傾斜部は、前記複数のローラのうち前記搬送方向において最も下流に位置するローラの回動軸中心と前記搬送方向において重複した位置に設けられることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、第1傾斜部は、シートが無端ベルトから離れる際にシート後端が浮き上がった場合にも、シート後端の幅方向両端と当接して、シートの浮き上がりを抑制する。
【0013】
また、本発明に係る画像形成装置は更に、前記感光ドラムを支持するドラムフレームを有するプロセスユニットを備え、前記第1規制部は、前記ドラムフレームに設けられていてもよい。
【0014】
この構成によれば、第1規制部は、無端ベルトの搬送面に対して精度良く位置決めされる。これにより、第1傾斜部が、シート後端が浮き上がった際に正確にシート後端の幅方向両端と当接する。
【0015】
また、本発明に係る画像形成装置は更に、前記複数のローラを回転可能に支持するベルトフレームを有する転写ユニットを備え、前記第1規制部は、前記第2筐体に設けられていてもよい。
【0016】
この構成によれば、第1規制部は、無端ベルトの搬送面に対して更に精度良く位置決めされる。これにより、第1傾斜部は、シート後端が浮き上がった際に更に正確にシート後端の幅方向両端部と当接する。
【0017】
また、本発明に係る画像形成装置は更に、前記シートに形成された画像を加熱定着する定着器であって、加熱ローラと、前記加熱ローラと当接して前記シートをニップする定着ニップ部を形成する加圧ローラと、を有する定着器を備える。そして、前記第1傾斜部の前記他端は、前記定着ニップ部と前記転写ニップ部とを結んだ仮想直線より下方に設けられていることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、第1傾斜部は、第1傾斜部と当接したシートが転写ニップ部と定着ニップ部との間を直線上に橋渡ししてしまうことを防ぎ、シートを撓ますことができる。
【0019】
また、本発明に係る画像形成装置は更に、前記幅方向における第1の幅を有するシート及び前記第1の幅よりも大きな第2の幅を有するシートに画像を形成することが可能である。そして、前記一対の第1傾斜部それぞれの前記他端の間の前記幅方向の距離は、前記第1の幅よりも大きく、前記第1水平部の前記幅方向の距離は前記第1の幅よりも小さいことが好ましい。
【0020】
この構成によれば、第1傾斜部は、第1の幅を有するシートの幅方向両端に当接する。
【0021】
また、本発明に係る画像形成装置は更に、前記シートに形成された画像を加熱定着する定着器(50)と、前記シートの搬送経路において、前記搬送方向における第1規制部と前記定着ニップ部との間に設けられた第2規制部(41)とを備え、前記定着器は、加熱ローラと、定着ニップ部において前記加熱ローラと当接して前記シートをニップする加圧ローラを有し、前記第2規制部は、前記搬送方向と直交する幅方向に沿って延在する第2水平部(42)と、前記第2水平部の前記幅方向における両端からそれぞれ前記幅方向に延在し、前記幅方向における前記第2水平部に近い一端から他端に向かうほど下方に傾斜する一対の第2傾斜部(43)であって、前記シートの前記幅方向における両端とそれぞれ当接可能な第2傾斜部と、を有し、前記一対の第2傾斜部それぞれの前記他端の間の前記幅方向の距離は、前記第2の幅よりも大きく、前記第2水平部の前記幅方向の距離は、前記第2の幅よりも小さいことが好ましい。
【0022】
この構成によれば、第2傾斜部は、第1の幅よりも大きな第2の幅を有するシートの幅方向両端部に当接する。
【0023】
また、前記第2水平部の幅方向の距離は、前記第1傾斜部それぞれの前記他端の間の前記幅方向の距離よりも大きいことが好ましい。
【0024】
この構成によれば、第2規制部は、第1傾斜部に当接したシートの画像形成面が第2規制部に接触することを規制する。
【0025】
また、前記第2傾斜部の前記他端は、前記定着ニップ部と前記第1傾斜部の下端とを結んだ仮想直線より下方に設けられていることが好ましい。
【0026】
この構成によれば、第2規制部は、第2傾斜部に当接したシートの画像形成面が第2規制部に接触することを規制する。
【0027】
また、前記第2傾斜部が水平面となす角度は、前記第1傾斜部が水平面となす角度より大きいことが好ましい。
【0028】
この構成によれば、第2規制部は、第1傾斜部に当接したシートの画像形成面が第2規制部に接触することを更に規制する。また、第2規制部は、シートが湾曲したとしてもシートの画像形成面が第2規制部に接触することを規制する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、剥離放電による画質の低下を効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置1の要部を示す側断面模式図である。
【
図2】ドラムユニット22、定着器50近傍の側断面模式図である。
【
図5】ドラムユニット22を定着器50側から見た正面図である。
【
図6】定着器50のシート入り口をシート搬送路下流側から見た正面図である。
【
図7】厚紙S1が画像形成部11から定着器50へ搬送される様子を示した側断面模式図である。
【
図8】薄紙S2が画像形成部11から定着器50へ搬送される様子を示した側断面模式図である。
【
図9】第1規制部31、第2規制部41近傍を拡大した側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0032】
また、以下の説明では、画像形成装置1が使用可能に設置された
図1の状態を基準として上下方向が定義され、
図1において駆動ローラ17に対して従動ローラ18が位置する方向を前方として前後方向が定義され、画像形成装置1を前方から視て左右方向が定義される。上下方向、前後方向、及び左右方向は互いに直交している。本実施形態において、上下方向は鉛直方向であり、前後方向及び左右方向は水平方向であり、左右方向は幅方向の一例である。
【0033】
画像形成装置1は、カラープリンタであり、上側に位置する開口5を有する筐体2と、開口5を開閉するトップカバー6と、シートに画像を形成するための画像形成部11と、フィーダ部4と、転写ユニット13と、定着器50と、を備える。
【0034】
トップカバー6は、その後端部を支点として揺動可能に筐体2に支持されている。トップカバー6の上面には、排紙トレイ3が配置される。排紙トレイ3は、印刷を終えてシート排出口57から排出されるシートを支持する。
【0035】
画像形成部11は、筐体2の内部に収容され、シートに画像を形成する。フィーダ部4は、画像形成部11にシートを供給するように構成される。転写ユニット13は、フィーダ部4から供給されたシートを画像形成部11に供給する。定着器50は、画像形成部11によってシートに形成された画像をシートに定着させる。
【0036】
画像形成装置1は、画像形成が終了したシートを、定着器50よりも搬送方向の下流に配置された中間搬送ローラ55及び図示しない排出シュートにて、その搬送方向を上方側に略180°転向した後、排出ローラ56によりシート排出口57から排紙トレイ3に排出する。
【0037】
<フィーダ部4>
図1に示すように、フィーダ部4は、給紙トレイ7と、ピックアップローラ8と、一対の給紙ローラ9と、一対のレジストローラ10と、を備える。フィーダ部4は、給紙トレイ7に載置されているシートを、筐体2内の前方側にてUターンさせるようにして、筐体2内の前後方向における略中央部に位置する画像形成部11に搬送する。
【0038】
給紙トレイ7は、筐体2の最下部に収容される。給紙トレイ7は、複数枚のシートを支持し、筐体2に着脱可能である。ピックアップローラ8は、給紙トレイ7の前端部上方に配置され、給紙トレイ7に載置されたシートを給紙ローラ9に向けて送り出す。一対の給紙ローラ9は、ピックアップローラ8よりも搬送方向の下流に位置し、ピックアップローラ8により給紙トレイ7から送り出されたシートを搬送方向に給紙する。一対のレジストローラ10は、給紙ローラ9よりも搬送方向の下流に位置し、給紙ローラ9により給紙されたシートを画像形成部11に向けて搬送する。レジストローラ10に搬送されたシートは、先端が一対のレジストローラ10のニップ部に突き当たることで斜行が矯正される。
【0039】
なお、画像形成装置1は、厚さや剛性、或いはサイズの異なる複数種類のシートに対して画像を形成可能である。シート種は主に、厚さが薄い薄紙と、薄紙よりも厚さが厚い厚紙と、に大別される。厚紙は、薄紙よりも剛性が高いためコシが強い。また、厚紙は一般に、薄紙よりも幅方向における長さが小さいものが多い。薄紙の例としては、210mm×297mmのA4サイズのシートや、大きさの一例が216mm×279mmのレターサイズのシートが挙げられる。また、厚紙の例としては、大きさの一例が100mm×148mmのはがきサイズのシートや、画像形成面が光沢を有する層でコーティングされた光沢紙などが挙げられる。なお、以下の説明では、厚紙のシートを厚紙S1とし、薄紙のシートを薄紙S2とする。厚紙S1は、本発明における第1の幅を有するシートの一例であり、薄紙S2は、本発明における第2の幅を有するシートの一例である。
【0040】
<画像形成部11>
図1に示すように、画像形成部11は、4つのプロセスユニット24と、4つのLEDアレイ12と、を備える。プロセスユニット24は、カラー印刷が可能な、いわゆるダイレクトタンデム方式のものであり、現像カートリッジ25と、ドラムユニット22と、を備える。
【0041】
<現像カートリッジ25>
図1に示すように、4つの現像カートリッジ25は、シートの搬送方向上流側から順にブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色の現像剤(トナー)に対応して4つ配置されている。4つの現像カートリッジ25K、25Y、25M、25Cは、シートの搬送方向に沿って間隔を空けて並んでいる。現像カートリッジ25は、各色の現像剤像を感光ドラム15へ供給する。
【0042】
現像カートリッジ25は、LEDアレイ12の下方側において着脱可能に筐体2内に配置されており、例えばユーザによって交換可能である。
【0043】
現像カートリッジ25Cは、現像剤が収容された現像剤収容室27と、アジテータ23と、供給ローラ28と、現像ローラ16と、層厚規制ブレード29と、を備えている。
【0044】
アジテータ23は、現像剤収容室27に配置される。アジテータ23は、その回転によって、現像剤収容室27に収容されている現像剤を供給ローラ28に搬送する。
供給ローラ28は、その回転によって、アジテータ23によって搬送された現像剤を現像ローラ16に供給する。現像ローラ16は、供給ローラ28から供給された現像剤を表面に担持する。現像ローラ16の表面は感光ドラム15の表面と接触しており、現像ローラ16は、回転することにより現像ローラ16の表面に担持された現像剤を感光ドラム15の表面へ供給する。層厚規制ブレード29は、現像ローラ16の表面に担持された現像剤の厚みが所定の厚みにて均一となるよう調整する。層厚規制ブレード29は、現像ローラ16の後ろ斜め上から現像ローラ16に向かって突出しており、先端が現像ローラ16の表面と当接している。
【0045】
<ドラムユニット22>
ドラムユニット22は、感光ドラム15と、帯電器26と、感光ドラム15を支持するドラムフレーム30を備えている。
【0046】
感光ドラム15は、シートに転写される画像を担持するもので、最表層がポリカーボネード等からなる正帯電性の感光層により形成される円筒状の感光体であり、シートと当接することで表面に形成された静電潜像をシートに転写する。感光ドラム15は、転写ユニット13の上方に配置され、表面が無端ベルト19の搬送面19Bと対向している。
【0047】
帯電器26は、感光ドラム15の表面を帯電させるもので、感光ドラム15の後側斜め上方において、感光ドラム15と接触しないように所定間隔を有して感光ドラム15の表面と対向している。
【0048】
なお、帯電器26は、タングステン等からなる帯電用ワイヤからコロナ放電を行うことにより感光ドラム15の表面に略均一に正電荷を帯電させる、スコロトロン型帯電器である。
【0049】
<LEDアレイ12>
LEDアレイ12は、その先端に複数のLEDを備える。LEDアレイ12は、トップカバー6から吊り下げられるようにトップカバー6に保持されている。トップカバー6を閉じた状態において、LEDアレイ12は、感光ドラム15の上方において感光ドラム15の表面と対向して配置されている。具体的には、LEDアレイ12は、トップカバー6の開閉によって、感光ドラム15を露光する露光位置と、露光位置よりも上方に離れた退避位置とに移動する。
【0050】
LEDアレイ12は、複数のLEDが画像データに基づいて明滅することで、対応する感光ドラム15の表面を露光し、その表面に静電潜像を形成する。
【0051】
<転写ユニット13>
図1および
図2に示すように、転写ユニット13は、駆動ローラ17と、従動ローラ18と、無端ベルト19と、転写ローラ20と、ベルトフレーム14と、を備える。
【0052】
駆動ローラ17は、図示しないモータから駆動が入力されることで回転する。従動ローラ18は、駆動ローラ17よりも前方に隔離した位置に回転可能に配置される。無端ベルト19は、駆動ローラ17と従動ローラ18との間を架け渡すように張架されている。無端ベルト19は、駆動ローラ17が回転することで駆動ローラ17及び従動ローラ18に連れ回って回転する。ベルトフレーム14は、駆動ローラ17、従動ローラ18、無端ベルト19及び転写ローラ20を支持する。なお、駆動ローラ17と従動ローラ18は、本発明における複数のローラの一例である。
【0053】
図2に示すように、無端ベルト19は、搬送面19Bを有する。搬送面19Bは、無端ベルト19の外表面のうちシートを下方から支持する上側の面である。転写ユニット13は、フィーダ部4から搬送されてきたシートを、無端ベルト19の搬送面19Bに載置した状態で定着器50側に向けて搬送する。
【0054】
転写ローラ20は、無端ベルト19を挟んで、上下方向において感光ドラム15と対向して配置されている。
図2に示すように、転写ローラ20は、感光ドラム15との間で無端ベルト19を挟むことにより、感光ドラム15と無端ベルト19が接触する位置に転写ニップ部21を形成する。感光ドラム15及び転写ローラ20は、転写ニップ部21においてシートを挟持すると共に圧接する。転写ローラ20は、転写ニップ部21において感光ドラム15に帯電した電荷と逆極性の電圧を画像形成面の反対側からシートに印加させることにより、感光ドラム15の表面に付着した現像剤をシートの画像形成面に転写する。
【0055】
なお、感光ドラム15及び転写ローラ20は、その回転軸の軸方向が、シートの搬送方向及び搬送されてくるシートの厚み方向と直交する方向に一致している。そのため、各感光ドラム15及び転写ローラ20は、その回転軸と直交する方向に沿って配置された構成となっている。
【0056】
<定着器50>
定着器50は、画像形成部11から排出されたシートに転写された現像剤を加熱溶融させてシートに定着させるものである。定着器50は、ドラムユニット22よりもシートの搬送方向において下流に配置されている。定着器50は、筐体2に着脱可能に組み付けられている。
【0057】
定着器50は、加熱ローラ51と、加圧ローラ52と、定着フレーム54と、を備えている。加熱ローラ51は、無端ベルト19の搬送面19Bに支持されたシートの画像形成面の上方に配置され、シートに転写された現像剤を加熱しながらシートに搬送力を付与する。加圧ローラ52は、上下方向においてシートを挟んで加熱ローラ51と反対側に配置され、シートを加熱ローラ51側に押し付ける。加熱ローラ51及び加圧ローラ52は、互いに圧接することで定着ニップ部53を形成し、定着ニップ部53においてシートを挟持する。定着器50は、定着ニップ部53においてシートに熱を与えて現像剤を溶融させ、現像剤をシートに定着させる。定着フレーム54は、加熱ローラ51及び加圧ローラ52を収納している。
【0058】
<第1規制部31>
図2は、ドラムユニット22、定着器50近傍の側面断面図である。また、
図9は、第1規制部31、第2規制部41近傍を更に拡大した側面断面図である。
図2および
図9に示すように、ドラムフレーム30は、リブ形状を有する第1規制部31を備える。第1規制部31は、シート搬送方向における最下流に位置する転写ニップ部21Aと、無端ベルト19の無端ベルト一端部19Aとの間で且つ無端ベルト19よりも上方に位置し、無端ベルト19の搬送面19Bと上下方向において対向する。無端ベルト一端部19Aは、無端ベルト19の搬送面19Bにおける後端部であって、詳細には、駆動ローラ17の回動軸中心の略直上に位置する。
【0059】
図3は、ドラムユニット22の斜視図である。また
図5は、ドラムユニット22を定着器50側から見た正面図である。
図3および
図5に示すように、第1規制部31は、第1水平部32と、一対の第1傾斜部33と、を備えている。第1水平部32は、左右方向に延在している。一対の第1傾斜部33は、第1水平部32の左右方向における両端からそれぞれ左右方向に延在している。また、一対の第1傾斜部33は、左右方向における中央から両端に向かうほど無端ベルト19に近づく方向に傾斜している。詳細には、一対の第1傾斜部33のうち右側に位置する第1傾斜部33Rは、左端が第1水平部32の右端と接続して、左端から右端に向かって徐々に無端ベルト19に近づくように傾斜している。一対の第1傾斜部33のうち左側に位置する第1傾斜部33Lは、右端が第1水平部32の左端と接続して、右端から左端に向かって徐々に無端ベルト19に近づくように傾斜している。ここで第1傾斜部33の下端34は、第1傾斜部33Rの右端34Rおよび第1傾斜部33Lの左端34Lを示す。
【0060】
また、
図2および
図9に示すように、一対の第1傾斜部33は、その一部がシート搬送方向において無端ベルト一端部19Aの直上に設けられている。
【0061】
そして、
図2および
図9に示すように、第1傾斜部33の下端34は、転写ニップ部21Aと定着ニップ部53との間を結んだ仮想直線L1より下方に位置し、第1規制部31の中で上下方向において最も無端ベルト19に接近した位置にある。
【0062】
なお、
図3及び
図5に示すように、第1傾斜部33Lの左端34Lと、第1傾斜部33Rの右端34Rとの間の左右方向の距離W1は、厚紙S1の左右方向における幅よりも大きく、第1水平部32の左右方向の距離は、厚紙S1の幅よりも小さい。なお、厚紙S1としては、はがきが例示でき、その場合の幅は、100mmである。
【0063】
ここで、画像形成装置1は、シート搬送経路の左右方向における中心をシートの左右方向における中心と一致させてシートを搬送する、所謂中央基準によりシート搬送を実行する。そして、第1水平部32は、無端ベルト19により搬送されるシートの左右方向における中心と、第1水平部32の左右方向における中心と、が略一致するような位置に配置されている。
【0064】
<第2規制部41>
図4は定着器50の斜視図である。また
図6は、定着器50のシート入り口をシート搬送路下流側から見た正面図である。
図4および
図6に示すように、定着フレーム54は、リブ形状を有する第2規制部41を備える。第2規制部41は、定着器50の入口側、つまり転写ニップ部21Aから定着器50に至るシートの搬送経路の上方に配置されている。第2規制部41は、第2水平部42と、一対の第2傾斜部43と、を備えている。第2水平部42は、左右方向に沿って延在している。一対の第2傾斜部43は、第2水平部42の左右方向における両端からそれぞれ左右方向に延在している。また、第2傾斜部43は、左右方向における中央から両端に向かうほど、下方に傾斜している。詳細には、一対の第2傾斜部43のうち右側に位置する第2傾斜部43Rは、一端が第2水平部42の右端と接続して、左端から右端に向かって右下向きに傾斜している。一対の第2傾斜部43のうち左側に位置する第2傾斜部43Lは、右端が第2水平部42の左端と接続して、一右から左端に向かって左下向きに傾斜している。ここで第2傾斜部43の下端44は、第2傾斜部43Rの右端44Rおよび第2傾斜部43Lの左端44Lを示す。
【0065】
そして、
図2および
図9に示すように、第2傾斜部43の下端は、第1傾斜部33の下端34と定着ニップ部53との間を結んだ仮想直線L2より下方に位置する。
【0066】
なお、
図4および
図6に示すように、第2傾斜部43Lの左端44Lと第2傾斜部43Rの右端44Rとの間の距離W2は、薄紙S2の左右方向における幅よりも大きく、第2水平部42の左右方向の距離は、薄紙S2の幅よりも小さい。また、第2水平部42の左右方向の距離は、厚紙S1の幅よりも大きい。そして、第2水平部42の左右方向の距離は、第1傾斜部33Lの左端34Lと第1傾斜部33Rの右端34Rとの間の距離W1よりも大きい。
【0067】
また、
図6に示すように、第2傾斜部43と水平面とがなす角度θ
2は、第1傾斜部33と水平面とがなす角度θ
1よりも大きい。
【0068】
<本実施形態における作用効果>
画像形成装置1は、転写ニップ部21Aで画像が形成されたシートを、無端ベルト19によって、定着器50に向けて搬送する。シートは、前端と後端とをそれぞれ定着ニップ部53と転写ニップ部21Aとにおいて挟持されているとき、安定した姿勢をとっている。シート後端が転写ニップ部21Aから排出されると、シートは、定着ニップ部53で前端のみを挟持された状態になる。このとき、挟持されていないシート後端は、シート排出の際にシートにかかる衝撃や、定着ニップ部53においてシートにかかる力によって、搬送面19Bから浮き上がる虞がある。このようにシート後端が搬送面19Bから浮き上がると、搬送面19Bと浮き上がったシートとの間で剥離放電が発生し、定着前の現像剤像が、発生した静電気やその衝撃等によって乱されることで画質の低下に繋がる虞がある。
【0069】
第1規制部31の一対の第1傾斜部33は、シートが無端ベルト19から浮き上がる位置である転写ニップ部21Aと無端ベルト19の一端部19Aとの間に配置され、且つ無端ベルト19の搬送面19Bの上方において搬送面19Bと対向している。
【0070】
この構成によれば、一対の第1傾斜部33は、シート後端が搬送面19Bから浮き上がった際に、浮き上がったシート後端の左右方向における両端に当接し、シート後端を直接押さえることが可能で、シート後端の浮き上がりを抑えて剥離放電を効果的に抑制することができる。
【0071】
転写ニップ部21Aから排出されたシートは、さらに搬送されると無端ベルト19の無端ベルト一端部19Aにおいて後端が搬送面19Bから離れる。この場合にも、無端ベルト19による支持をなくしたシート後端が浮き上がり、剥離放電が発生する虞がある。
【0072】
第1規制部31の一対の第1傾斜部33は、その一部が無端ベルト19の無端ベルト一端部19Aの略直上部とシート搬送方向において重複した位置に配置されている。
【0073】
この構成によれば、シート後端が搬送面19Bから離れる際においても一対の第1傾斜部33は、シート後端の左右方向における両端に当接し、シート後端を直接押さえることが可能で、シート後端の浮き上がりを抑えて剥離放電を効果的に抑制することができる。
【0074】
また、一対の第1傾斜部33は、左右方向において中央から両端に向かって徐々に無端ベルト19の搬送面19Bに近づくように傾斜している。
【0075】
この構成によれば、第1傾斜部33は、シートの左右方向における両端に当接した際に、シートの左右方向における中央側の画像形成面が第1規制部31に接触することを規制することが可能で、定着前画像の画像擦れによる画質の低下を抑制することができる。
【0076】
ところで、定着ニップ部53が無端ベルト19の搬送面19Bよりも上方に配置されている場合には、厚紙のように剛性が高くコシの強いシートに画像形成する際に、シート後端の浮き上がりによる剥離放電が顕著に起こる可能性が高い。コシの強いシートは、薄紙のように撓むことなく転写ニップ部21Aと定着ニップ部53との間を略直線状に橋渡ししてしまうため、無端ベルト19の搬送面19Bに大きく傾いてシート後端が浮き上がり易い。このようにシート後端が大きく浮き上がった際に、剥離放電による衝撃が大きくなるため、特にコシの強いシートでは、剥離放電による画質の低下が顕著になる可能性が高い。なお、本実施形態において、厚紙S1をコシの強いシートの一例としている。
【0077】
本実施形態では、第1傾斜部33Lの左端34Lと、第1傾斜部33Rの右端34Rとの間の左右方向の距離W1は、厚紙S1の左右方向における幅よりも大きく、第1水平部32の左右方向の距離は、厚紙S1の幅よりも小さい。
【0078】
この構成によれば、第1傾斜部33は、厚紙S1の左右方向の両端に当接し、厚紙S1の後端の浮き上がりを抑えることで、剥離放電を効果的に抑制することができる。
【0079】
また、
図9に示すように、第1傾斜部33の下端34は、転写ニップ部21Aと定着ニップ部53とを結んだ仮想直線L1より下方に配置されている。
【0080】
図7は、厚紙S1が画像形成部11から定着器50へ搬送される様子を示した側面断面模式図である。この構成によれば、
図7に示すように第1規制部31は、第1傾斜部33が厚紙S1と当接した際には、厚紙S1が転写ニップ部21Aと定着ニップ部53との間を直線上に橋渡ししてしまうことを防ぎ、厚紙S1を撓ますことができる。厚紙S1が撓むことで厚紙S1の後端が浮き上がる際の衝撃が和らぎ、剥離放電の更なる抑制になる。
【0081】
また、第1規制部31は、転写ニップ部21Aにおいて転写ユニット13と接しているドラムユニット22に配置されている。
【0082】
この構成によれば、第1規制部31は、無端ベルト19の搬送面19Bに対して精度良く位置決めされる。これにより、第1傾斜部33は、シート後端が浮き上がった際に正確にシートの左右方向における両端部と当接し、効果的に剥離放電を抑制することができる。
【0083】
ところで、無端ベルト19によって搬送されるシートが、第1傾斜部33Rの右端34Rと第1傾斜部33Lの左端34Lとの間の左右方向の距離W1よりも、左右方向の幅が大きな薄紙S2である場合、薄紙S2が無端ベルト19の搬送面19Bから浮き上がった際に、第1規制部31は薄紙S2の画像形成面と接触し、定着前画像に画像擦れが発生してしまう虞がある。
【0084】
そこで本実施形態では、第2傾斜部43の下端44が第1傾斜部33の下端34と定着ニップ部53とを結んだ仮想直線L2より下方に配置されている。
【0085】
図8は薄紙S2が画像形成部11から定着器50へ搬送される様子を示した側面断面模式図である。この構成によれば、
図8に示すように第2傾斜部43は、薄紙S2の画像形成面が第1傾斜部33に接触する前に薄紙S2に接触する。これにより、第2規制部41は、薄紙S2の浮き上がりを規制して剥離放電を抑制するとともに、薄紙S2の画像形成面が第1規制部31に接触することを規制しており、薄紙S2の定着前画像の画像擦れによる画質の低下も同時に抑制する。
【0086】
また、
図9に示すように、第2傾斜部43の下端44は、第1傾斜部33の下端34と定着ニップ部53とを結んだ仮想直線L2より下方に設けられている。すなわち、第2傾斜部43の下端44は、転写ニップ部21Aと定着ニップ部53とを結んだ仮想直線L1よりも下方に配置されている。
【0087】
この構成によれば、
図8に示すように第2規制部41は、薄紙S2が第2傾斜部43に当接した際には、薄紙S2が転写ニップ部21Aと定着ニップ部53との間を直線上に橋渡ししてしまうことを防ぎ、薄紙S2を撓ますことができる。薄紙S2が撓むことで薄紙S2の後端が浮き上がる際の衝撃が和らぎ、剥離放電の更なる抑制になる。
【0088】
また、第2傾斜部43は、左右方向において中央から両端に向かうにつれて、下方に傾斜している。
【0089】
この構成によれば、第2傾斜部43は、シートの左右方向における両端に当接した際に、シートの左右方向における中央側の画像形成面が第2規制部41に接触することを規制し、定着前画像の画像擦れによる画質の低下を抑制することができる。
【0090】
また、
図6に示すように、第2傾斜部43と水平面とがなす角度θ
2は、第1傾斜部33と水平面とがなす角度θ
1よりも大きくなっている。
【0091】
この構成によれば、一対の第2傾斜部43は、左右の傾斜部43Lと43Rとの間の空間を広げることで、該空間を通って定着器50に搬送される厚紙S1の画像形成面が第2規制部41に接触することを規制する。
【0092】
ところで、シートが上に凸の向きに湾曲した場合、シートの左右方向の両端と第2傾斜部43が当接していたとしても、シートの左右方向における中央側の画像形成面が第2規制部41に接触してしまう虞がある。そして、薄紙S2は、厚紙S1よりもコシが弱く、湾曲しやすい傾向にある。
【0093】
第2傾斜部43は、水平面となす角度θ2が角度θ1よりも大きいことで、薄紙S2が上に凸の向きに湾曲したとしても、薄紙S2の画像形成面が第2規制部41に接触することを更に規制し、定着前画像の画像擦れによる画質の低下を抑制することができる。
【0094】
以上、実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、下記のように発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0095】
例えば、上述の実施形態では、第1規制部31は、ドラムフレーム30に設けられていたが、これに限定されるものではない。例えば、第1規制部31は、転写ユニット13のベルトフレーム14に設けられてもよい。この場合、シートを搬送する無端ベルト19と第1規制部31がともにベルトフレーム14に支持されるため、第1規制部31が搬送面19Bに対して精度よく位置決めされる。これにより、第1傾斜部が、シート後端が浮き上がった際に、更に正確にシート後端の幅方向両端部と当接することができる。
【0096】
また、第1傾斜部33は、上述の実施形態の形状に限定されるものではなく、左右方向中央から両端に向けて搬送面19Bに近づく方向に傾斜していればよい。また、左右の第1傾斜部33Lと33Rの形状は同一でなくてもよい。
【0097】
また、第2傾斜部43は、上述の実施形態の形状に限定されるものではなく、幅方向中央から両端に向けて下方に傾斜していればよい。また、左右の第2傾斜部43Lと43Rの形状は同一でなくてもよい。
【0098】
また、上述の実施形態では、LEDアレイ12として、LEDを用いた露光器を例示したが、これに限定されるものではない。例えば露光器は、レーザ光源、ポリゴンミラー、fθレンズ及び反射鏡等から構成される露光器であってもよい。この場合、画像データに基づいてレーザ光源からレーザービームが発光される。レーザービームは、ポリゴンミラーで偏向されて、fθレンズを通過した後、反射鏡によって光路が折り返され、反射鏡によってさらに光路が下方に屈曲されることにより、感光ドラム15の表面上に照射され、感光ドラム15に静電潜像が形成される。
【0099】
また、上述の実施形態では、定着部として、加熱ローラ51と、加圧ローラ52とを有する定着器50を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、定着部は、エンドレスベルトと、エンドレスベルトの内側に配置されて加圧ローラ52との間でエンドレスベルトを挟むニップ部材とを有する加熱部を備えた定着器などであってもよい。
【0100】
また、上述の実施形態では、カラー画像を形成する画像形成装置1を例示したが、これに限定されず、例えば、モノクロ画像を形成する画像形成装置1であってもよい。また、画像形成装置1は、レーザープリンタの他、フラットベッドスキャナなどの原稿読取装置を備える複写機や複合機などであってもよい。
【0101】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0102】
1 画像形成装置
2 筐体
13 転写ユニット
15 感光ドラム
17 駆動ローラ
18 従動ローラ
19 無端ベルト
19B 搬送面
21 転写ニップ部
24 プロセスユニット
31 第1規制部
32 第1水平部
33 第1傾斜部
41 第2規制部
42 第2水平部
43 第2傾斜部
50 定着器