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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123359
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】口腔内撮像システム及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/14 20060101AFI20220817BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
A61B6/14 300
A61B6/00 320Z
A61B6/00 300S
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020625
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】北村 繁宏
(72)【発明者】
【氏名】宮口 和久
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093CA16
4C093CA33
4C093DA05
4C093EB12
4C093EB13
4C093EB17
4C093EB20
4C093FA18
4C093FD09
(57)【要約】
【課題】対象物の像の適切な取得、撮像装置の取扱い性の向上、及び口腔内での撮像装置の発熱の抑制を実現することができる口腔内撮像システム及び撮像装置を提供する。
【解決手段】口腔内撮像システムは、撮像装置1と、制御装置10と、を備える。撮像装置1は、撮像部20と、制御部30と、撮像部20及び制御部30を収容するケースと、を有する。撮像部20は、対象物の像を取得するために放射線を検出する撮像用検出、及び放射線の線量をモニタするために放射線を検出するモニタ用検出を実施する。制御部30は、撮像用検出によって取得された撮像用信号、及びモニタ用検出によって取得されたモニタ用信号を制御装置10に送信する。制御装置10は、撮像用信号及びモニタ用信号を受信し、モニタ用信号に基づいて生成した制御コマンドを制御部30に送信する。制御部30は、制御コマンドに従って撮像部20を制御する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内に配置された状態で、対象物を透過した放射線を検出する撮像装置と、
前記撮像装置と電気的に接続された制御装置と、を備え、
前記撮像装置は、
前記放射線を検出する撮像部と、
前記制御装置と通信可能に構成されており、前記撮像部を制御する制御部と、
前記撮像部及び前記制御部を収容しているケースと、を有し、
前記撮像部は、前記対象物の像を取得するために前記放射線を検出する第1検出、及び前記放射線の線量をモニタするために前記放射線を検出する第2検出を実施し、
前記制御部は、前記第1検出によって取得された第1信号、及び前記第2検出によって取得された第2信号を前記制御装置に送信し、
前記制御装置は、前記第1信号及び前記第2信号を受信し、前記第2信号に基づいて生成した制御コマンドを前記制御部に送信し、
前記制御部は、前記制御コマンドを受信し、前記制御コマンドに従って前記撮像部を制御する、口腔内撮像システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第1信号に基づいて前記対象物の前記像を生成する、請求項1に記載の口腔内撮像システム。
【請求項3】
前記制御コマンドは、前記第1検出を終了させる終了コマンドを含み、
前記制御部は、前記終了コマンドを受信した場合に、前記第1検出を終了させるように前記撮像部を制御する、請求項1又は2に記載の口腔内撮像システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第2信号に基づいて算出した前記放射線の総線量が所定の閾値を超えた場合に、前記終了コマンドを生成する、請求項3に記載の口腔内撮像システム。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記対象物の撮像条件ごとに前記閾値を記憶しており、
前記撮像条件の入力を受け付け、前記撮像条件に対応する前記閾値を設定する、請求項4に記載の口腔内撮像システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記対象物に関する対象物情報を含む前記撮像条件を受け付け、前記対象物情報に対応する前記閾値を設定する、請求項5に記載の口腔内撮像システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記対象物の撮像方法に関する撮像方法情報を含む前記撮像条件を受け付け、前記撮像方法情報に対応する前記閾値を設定する、請求項5又は6に記載の口腔内撮像システム。
【請求項8】
前記制御部は、有線によって前記制御装置と通信可能に構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の口腔内撮像システム。
【請求項9】
口腔内に配置された状態で、対象物を透過した放射線を検出する撮像装置であって、
前記放射線を検出する撮像部と、
制御装置と通信可能に構成されており、前記撮像部を制御する制御部と、
前記撮像部及び前記制御部を収容しているケースと、を備え、
前記撮像部は、前記対象物の像を取得するために前記放射線を検出する第1検出、及び前記放射線の線量をモニタするために前記放射線を検出する第2検出を実施し、
前記制御部は、
前記第1検出によって取得された第1信号、及び前記第2検出によって取得された第2信号を前記制御装置に送信し、
前記制御装置から制御コマンドを受信し、前記制御コマンドに従って前記撮像部を制御する、撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内撮像システム及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔内に配置された状態で、対象物を透過した放射線を検出する撮像装置が知られている。このような撮像装置では、放射線の線量がモニタされ、放射線の線量が所定の閾値に低下した場合に、対象物の像を取得するための放射線の検出(すなわち、対象物の撮像)が終了される。しかし、対象物の種類(前歯、奥歯等)及び/又は撮像方法の種類(平行法、二等分法、咬翼法、咬合法等)によって、対象物の像を適切に取得するのに必要十分な放射線の総線量が異なるため、放射線の線量のみに基づいて対象物の撮像が終了されると、対象物の像が適切に取得されない場合がある。そこで、特許文献1に記載の撮像装置では、口腔内に配置された状態で使用されるセンサとは別体で制御モジュールが設けられ、放射線の線量に関する信号をセンサが制御モジュールに送信し、制御モジュールが当該信号を解析することで、対象物の撮像の終了タイミングが決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5715960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の撮像装置では、センサとは別体で設けられた制御モジュールがPC等の制御装置に接続されることが想定されるため、口腔内にセンサが配置される際に制御モジュールが邪魔になる等、撮像装置の取扱い性が低下するおそれがある。その一方で、例えば、センサ及び制御モジュールが単一のケースに収容されていると、撮像装置の取扱い性は向上するものの、口腔内に配置された制御モジュールにおいて放射線の線量に関する信号の解析が実施されることになり、口腔内での撮像装置の発熱が懸念される。
【0005】
本発明は、対象物の像の適切な取得、撮像装置の取扱い性の向上、及び口腔内での撮像装置の発熱の抑制を実現することができる口腔内撮像システム、及び撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の口腔内撮像システムは、口腔内に配置された状態で、対象物を透過した放射線を検出する撮像装置と、撮像装置と電気的に接続された制御装置と、を備え、撮像装置は、放射線を検出する撮像部と、制御装置と通信可能に構成されており、撮像部を制御する制御部と、撮像部及び制御部を収容しているケースと、を有し、撮像部は、対象物の像を取得するために放射線を検出する第1検出、及び放射線の線量をモニタするために放射線を検出する第2検出を実施し、制御部は、第1検出によって取得された第1信号、及び第2検出によって取得された第2信号を制御装置に送信し、制御装置は、第1信号及び第2信号を受信し、第2信号に基づいて生成した制御コマンドを制御部に送信し、制御部は、制御コマンドを受信し、制御コマンドに従って撮像部を制御する。
【0007】
上記口腔内撮像システムでは、制御装置が、放射線の線量に関する第2信号を受信し、第2信号に基づいて生成した制御コマンドを制御部に送信し、制御部が、制御コマンドを受信し、制御コマンドに従って撮像部を制御する。これにより、例えば、対象物の種類及び/又は撮像方法の種類に応じて対象物の撮像の終了タイミングを決定することができ、その結果、対象物の像を適切に取得することができる。また、上記口腔内撮像システムでは、撮像部及び制御部がケースに収容されている。これにより、制御部が撮像部とは別体で設けられている場合に生じる問題、すなわち、口腔内に撮像部が配置される際に制御部が邪魔になるという問題を回避することができる。更に、上記口腔内撮像システムでは、放射線の線量に関する第2信号に基づく制御コマンドの生成が制御装置において実施される。これにより、撮像装置側の制御部の処理負担を軽減することができ、その結果、撮像装置の小型化を図ると共に、撮像装置の発熱を抑制することができる。以上により、上記口腔内撮像システムによれば、対象物の像の適切な取得、撮像装置の取扱い性の向上、及び口腔内での撮像装置の発熱の抑制を実現することができる。
【0008】
本発明の口腔内撮像システムでは、制御装置は、第1信号に基づいて対象物の像を生成してもよい。これによれば、対象物の像を確実に生成することができる。
【0009】
本発明の口腔内撮像システムでは、制御コマンドは、第1検出を終了させる終了コマンドを含み、制御部は、終了コマンドを受信した場合に、第1検出を終了させるように撮像部を制御してもよい。これによれば、例えば、対象物の種類及び/又は撮像方法の種類に応じた適切なタイミングで、対象物の像を取得するための放射線の検出を終了させることができ、その結果、対象物の像を適切に取得することができる。
【0010】
本発明の口腔内撮像システムでは、制御装置は、第2信号に基づいて算出した放射線の総線量が所定の閾値を超えた場合に、終了コマンドを生成してもよい。これによれば、例えば、対象物の種類及び/又は撮像方法の種類に応じた適切な総線量で、対象物の像を取得するための放射線の検出を終了させることができ、その結果、対象物の像を適切に取得することができる。
【0011】
本発明の口腔内撮像システムでは、制御装置は、対象物の撮像条件ごとに閾値を記憶しており、撮像条件の入力を受け付け、当該撮像条件に対応する閾値を設定してもよい。これによれば、入力された撮像条件に応じた適切な閾値が設定されるため、例えば、対象物の種類及び/又は撮像方法の種類によらず、対象物の像を適切に取得することができる。
【0012】
本発明の口腔内撮像システムでは、制御装置は、対象物に関する対象物情報を含む撮像条件を受け付け、対象物情報に対応する閾値を設定してもよい。これによれば、撮像の対象物に応じた適切な閾値が設定されるため、対象物の種類によらず、対象物の像を適切に取得することができる。
【0013】
本発明の口腔内撮像システムでは、制御装置は、対象物の撮像方法に関する撮像方法情報を含む撮像条件を受け付け、撮像方法情報に対応する閾値を設定してもよい。これによれば、対象物の撮像方法に応じた適切な閾値が設定されるため、撮像方法の種類によらず、対象物の像を適切に取得することができる。
【0014】
本発明の口腔内撮像システムでは、制御部は、有線によって制御装置と通信可能に構成されていてもよい。これによれば、制御部と制御装置との間で安定した通信環境を確保することができる。また、撮像部及び制御部が単一のケースに収容されているので、制御部と制御装置とが有線によって物理的に接続されている構成においても、口腔内に撮像部が配置される際に制御部が邪魔になるという問題を回避することができる。
【0015】
本発明の撮像装置は、口腔内に配置された状態で、対象物を透過した放射線を検出する撮像装置であって、放射線を検出する撮像部と、制御装置と通信可能に構成されており、撮像部を制御する制御部と、撮像部及び制御部を収容しているケースと、を備え、撮像部は、対象物の像を取得するために放射線を検出する第1検出、及び放射線の線量をモニタするために放射線を検出する第2検出を実施し、制御部は、第1検出によって取得された第1信号、及び第2検出によって取得された第2信号を制御装置に送信し、制御装置から制御コマンドを受信し、制御コマンドに従って撮像部を制御する。
【0016】
上記撮像装置では、制御部が、第2検出によって取得された第2信号を制御装置に送信し、制御装置から制御コマンドを受信し、制御コマンドに従って撮像部を制御する。これにより、例えば、制御装置において、第2信号に基づいて対象物の種類及び/又は撮像方法の種類に応じて対象物の撮像の終了タイミングを決定することができ、その結果、対象物の像を適切に取得することができる。また、上記撮像装置では、撮像部及び制御部がケースに収容されている。これにより、制御部が撮像部とは別体で設けられている場合に生じる問題、すなわち、口腔内に撮像部が配置される際に制御部が邪魔になるという問題を回避することができる。更に、上記撮像装置では、制御コマンドの生成が制御装置において実施される。これにより、撮像装置側の制御部の処理負担を軽減することができ、その結果、撮像装置の小型化を図ると共に、撮像装置の発熱を抑制することができる。以上により、上記撮像装置によれば、対象物の像の適切な取得、撮像装置の取扱い性の向上、及び口腔内での撮像装置の発熱の抑制を実現することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、対象物の像の適切な取得、撮像装置の取扱い性の向上、及び口腔内での撮像装置の発熱の抑制を実現することができる口腔内撮像システム、及び撮像装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一実施形態の口腔内撮像システムの構成図である。
図2図1に示される撮像装置の断面図である。
図3図1に示される撮像装置及び制御装置のブロック図である。
図4】撮像処理のうち撮像条件の受付から撮像用検出の開始までの処理の流れを示すシーケンス図である。
図5】撮像処理のうち2回目の第1開始コマンドの生成から対象物の像の取得までの処理の流れを示すシーケンス図である。
図6】閾値設定処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[口腔内撮像システムの構成]
【0020】
図1に示されるように、口腔内撮像システム100は、撮像装置1と、制御装置10と、を備えている。撮像装置1は、口腔内に配置された状態で、歯等の対象物を透過した放射線(例えば、X線)を検出する。撮像装置1は、撮像装置1が有するケーブル9によって制御装置10と電気的に接続されている。撮像装置1及び制御装置10は、ケーブル9を介して信号等の送受信(すなわち、通信)を実施する。制御装置10は、例えば、PC、タブレット端末等のコンピュータ装置によって構成されている。口腔内撮像システム100では、対象物を透過した放射線が撮像装置1によって検出されると、それによって生成された電気信号が撮像装置1から制御装置10に送信され、当該電気信号に基づいて対象物の像(放射線透過像)が制御装置10によって生成される。
[撮像装置の構成]
【0021】
図2に示されるように、撮像装置1は、配線基板2と、イメージセンサ3と、FOP(Fiber Optical Plate)4と、シンチレータ5と、制御回路6と、通信モジュール7と、ケース8と、ケーブル9と、を有している。イメージセンサ3は、配線基板2の一方の主面に実装されている。イメージセンサ3は、例えば、COMSイメージセンサ等の固体撮像素子である。FOP4は、イメージセンサ3上に配置されている。シンチレータ5は、FOP4上に配置されている。撮像装置1は、例えば、ケーブル9を介して制御装置10(図1参照)から電力の供給を受ける。
【0022】
制御回路6及び通信モジュール7は、配線基板2の他方の主面に実装されている。制御回路6は、例えば、FPGA(field-programmable gate)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、CPU(Central Processing Unit)等の集積回路によって構成されている。制御回路6は、撮像装置1において種々の制御を実施する。通信モジュール7は、制御回路6の指示に従って、制御装置10と通信する。通信モジュール7は、制御装置10から送信された種々のデータを受信する。通信モジュール7は、例えば、USB(Universal Serial Bus)コントローラ等の集積回路である。一例として、通信モジュール7は、USBコントローラであって、USB規格に準じて、制御装置10と通信する。
【0023】
ケース8は、配線基板2、イメージセンサ3、FOP4、シンチレータ5、制御回路6及び通信モジュール7を収容している。ケース8の壁部のうちシンチレータ5に沿った壁部8aが、放射線の入射が予定された壁部である。配線基板2には、ケース8の壁部のうち壁部8aとは反対側の壁部を貫通したケーブル9の端部が電気的に接続されている。一例として、ケーブル9は、USBケーブルである。
【0024】
図3に示されるように、撮像装置1は、撮像部20と、制御部30と、を有している。撮像部20は、上述したイメージセンサ3、FOP4及びシンチレータ5によって構成されている。制御部30は、上述した制御回路6及び通信モジュール7によって構成されている。制御部30は、撮像部20との通信、制御装置10との通信、及び撮像部20の制御を実施する。撮像部20は、ケース8内において、配線(図示省略)によって制御部30と電気的に接続されている。撮像部20及び制御部30は、当該配線を介して信号等の送受信(すなわち、通信)を実施する。制御部30は、有線によって制御装置10と通信可能に構成されている。具体的には、制御部30は、ケーブル9(図1参照)を介して制御装置10と通信可能に構成されている。
【0025】
以上のように構成された撮像装置1では、ケース8が口腔内に配置された状態で、対象物を透過した放射線がケース8の壁部8aを透過して制御部30のシンチレータ5に入射すると、入射した放射線の強度に応じた蛍光がシンチレータ5において発せられる。当該蛍光がFOP4によって導光されてイメージセンサ3に入射すると、入射した蛍光の強度に応じた電気信号がイメージセンサ3において生成され、当該電気信号がケース8内の配線を介して制御部30の制御回路6に送信される。
【0026】
撮像部20のイメージセンサ3は、複数の撮像用画素3Aと、複数のモニタ用画素3Bと、を有している。複数の撮像用画素3Aは、二次元状に配置されており、光検出領域を構成している。複数のモニタ用画素3Bは、例えば、複数の撮像用画素3Aの外周に沿って配置されている。なお、モニタ用画素3Bの数は、少なくとも1つであればよい。
【0027】
撮像部20は、複数の撮像用画素3Aを用いて、対象物の像を取得するために放射線を検出する撮像用検出(第1検出)を実施し、撮像用信号(第1信号)を出力する。具体的には、撮像用検出を開始するよう、制御部30がイメージセンサ3を制御すると、各撮像用画素3Aが、放射線の入射によってシンチレータ5で発せられた蛍光を電荷に変換し、当該電荷を撮像用信号として出力する。より詳細には、制御部30は、スイッチSW1のON/OFFを切り替えることで、各撮像用画素3Aで発生した電荷が撮像用信号として出力されるようにイメージセンサ3を制御する。スイッチSW1は、イメージセンサ3が有するスイッチであって、撮像用画素3A及び制御回路6に接続されている。スイッチSW1は、例えば、トランジスタによって構成されている。
【0028】
撮像部20は、複数のモニタ用画素3Bを用いて、放射線の線量をモニタするために放射線を検出するモニタ用検出(第2検出)を実施し、モニタ用信号(第2信号)を出力する。具体的には、モニタ用検出を開始するよう、制御部30がイメージセンサ3を制御すると、各モニタ用画素3Bが、放射線の入射によってシンチレータ5で発せられた蛍光を電荷に変換し、当該電荷をモニタ用信号として出力する。より詳細には、制御部30は、スイッチSW2のON/OFFを切り替えることで、各モニタ用画素3Bで発生した電荷がモニタ用信号として出力されるようにイメージセンサ3を制御する。スイッチSW2は、イメージセンサ3が有するスイッチであって、モニタ用画素3B及び制御回路6に接続されている。スイッチSW2は、例えば、トランジスタによって構成されている。
【0029】
制御部30は、撮像部20から撮像用信号及びモニタ用信号を取得し、撮像用信号及びモニタ用信号を、制御装置10に送信する。制御部30は、制御装置10から制御コマンドを受信し、制御コマンドに従って撮像部20を制御する。制御コマンドは、第1開始コマンド、第2開始コマンド、及び終了コマンドを含んでいる。第1開始コマンドは、モニタ用信号を取得するためのモニタ用検出を開始させるコマンドである。制御部30は、制御装置10から第1開始コマンドを受信した場合に、モニタ用検出を実施する。具体的には、制御部30は、上述したように、各モニタ用画素3Bによる電荷の蓄積が開始するように撮像部20を制御する。制御部30は、例えば所定の期間が経過した時点で、モニタ用検出を終了させる。具体的には、制御部30は、上述したように、各モニタ用画素3Bによる電荷の蓄積が終了するように撮像部20を制御する。制御部30は、モニタ用検出を終了させて撮像部20からモニタ用信号を取得すると、モニタ用信号を制御装置10に送信する。より詳細には、制御部30は、撮像部20から取得したモニタ用信号を、USB規格の通信プロトコルに準じた信号に変換し、変換したモニタ用信号を制御装置10に送信する。すなわち、制御部30は、制御装置10から第1開始コマンドを受信すると、撮像部20において放射線の線量のモニタを開始させ、所定の期間が経過した時点で当該モニタを終了させ、当該モニタの結果であるモニタ用信号を制御装置10に送信する。
【0030】
第2開始コマンドは、撮像用信号を取得するための撮像用検出を開始させるコマンドである。終了コマンドは、撮像用検出を終了させるコマンドである。制御部30は、制御装置10から第2開始コマンドを受信した場合に、撮像用検出を実施する。具体的には、制御部30は、上述したように、各撮像用画素3Aによる電荷の蓄積が開始するように撮像部20を制御する。制御部30は、終了コマンドを受信した場合に、撮像用検出を終了させる。具体的には、制御部30は、上述したように、各撮像用画素3Aによる電荷の蓄積が終了するように撮像部20を制御する。制御部30は、撮像用検出を終了させて撮像部20から撮像用信号を取得すると、撮像用信号を制御装置10に送信する。より詳細には、制御部30は、撮像部20から取得した撮像用信号を、USB規格の通信プロトコルに準じた信号に変換し、変換した撮像用信号を制御装置10に送信する。すなわち、制御部30は、制御装置10から第2開始コマンドを受信すると、撮像部20において放射線の像の取得ための検出を開始させ、終了コマンドを受信すると、当該検出を終了させ、当該検出の結果である撮像用信号を制御装置10に送信する。
[制御装置の構成]
【0031】
制御装置10は、記憶部11と、通信部12と、処理部13と、入力受付部14と、表示部15と、を有している。記憶部11は、例えば、ハードディスク等であり、各種データを記憶している。通信部12は、例えば、通信デバイスである。処理部13は、例えば、プロセッサである。処理部13は、制御装置10が有しているメモリ(図示省略)等に読み込まれたソフトウェア(プログラム)を実行し、メモリ等におけるデータの読み出し及び書き込み、並びに、通信部12による通信を制御する。入力受付部14は、ユーザから各種データの入力を受け付けるインターフェース部である。入力受付部14は、例えば、キーボード、マウス等である。表示部15は、処理部13からの指示に従って種々の情報を表示する。表示部15は、例えば、制御装置10が有しているディスプレイ装置である。なお、表示部15が、例えば、GUI(Graphical User Interface)を構成し、ユーザから各種データの入力を受け付けるインターフェース部として機能してもよい。
【0032】
制御装置10は、制御部30の上位コントローラとして機能する。制御装置10は、ユーザから、対象物の撮像条件の入力を受け付ける。撮像条件の入力は、例えば、ユーザによって、対象物情報、及び撮像方法情報が入力受付部14に入力されることによって実施される。本実施形態では、対象物情報は、対象物の種類である。対象物は、口腔内において撮像対象となる部位であって、例えば、奥歯、及び前歯である。本実施形態では、撮像方法情報は、撮像方法の種類である。撮像方法は、例えば、平行法、二等分法、咬翼法、及び咬合法である。
【0033】
制御装置10は、撮像条件の入力を受け付けると、第1開始コマンドを生成し、第1開始コマンドを撮像装置1の制御部30に送信する。これにより、制御部30では、放射線の線量をモニタするためのモニタ用検出が開始される。すなわち、ユーザによって撮像条件が制御装置10に入力されると、制御装置10は、対象物の像の取得を開始するための前段階の処理として、撮像装置1におけるモニタ用検出を開始させる。
【0034】
そして、制御装置10は、制御部30からモニタ用信号を受信すると、モニタ用信号に基づいて制御コマンドを生成し、生成した制御コマンドを制御部30に送信する。具体的には、制御装置10は、モニタ用信号に基づいて放射線の線量を推定する等の公知の解析(例えば、特許第5715960号公報に記載の解析)を実施し、解析した解析結果が撮像用検出の開始条件を満たしていない場合、再び第1開始コマンドを生成し、第1開始コマンドを制御部30に送信する。一方、制御装置10は、解析結果が撮像用検出の開始条件を満たしている場合には、第2開始コマンドを生成し、第2開始コマンドを制御部30に送信する。そして、制御部30は、第2開始コマンドを制御部30に送信した後、再び第1開始コマンドを生成し、第1開始コマンドを制御部30に送信する。これにより、撮像装置1では、放射線の線量をモニタするためのモニタ用検出、及び対象物の像を取得するための撮像用検出が開始される。すなわち、制御装置10は、撮像装置1において、対象物の像の取得のための放射線の検出を開始させ、且つ適切な対象物の像の取得のために放射線の線量のモニタを継続させる。
【0035】
そして、制御装置10は、制御部30から再びモニタ用信号を受信すると、モニタ用信号に基づいて制御コマンドを生成し、生成した制御コマンドを制御部30に送信する。具体的には、制御装置10は、モニタ用信号が示す放射線の線量に基づいた解析を実施する。制御装置10は、上記解析として、モニタ用信号に基づいて算出した放射線の総線量を算出する。具体的には、制御装置10は、モニタ用信号に基づいて、複数の撮像用画素3Aが受ける放射線の総線量を推定する。本実施形態では、モニタ用信号が示す(すなわち、複数のモニタ用画素3Bによって検出される)放射線の線量と、実際に口腔に入射する放射線の線量との相関関係が予め算出されている。制御装置10は、当該相関関係に基づいた公知の計算(例えば、特許第5715960号公報に記載の計算)を実施することにより、複数の撮像用画素3Aが受ける放射線の総線量を算出する。
【0036】
制御装置10は、解析した解析結果が撮像用検出の終了条件を満たしているか否かを判定する。具体的には、制御装置10は、所定の閾値を設定し、算出した総線量が閾値を超えた場合に、撮像用検出の終了条件を満たしていると判定する。制御装置10は、記憶部11において、対象物の撮像条件ごとに閾値を記憶している。制御装置10は、記憶されている対象物の撮像条件ごとの閾値を参照して、入力受付部14によって受け付けた撮像条件に対応する閾値を設定する。本実施形態では、制御装置10は、対象物の種類及び撮像方法の種類との組合せごとに閾値を記憶しており、入力受付部14によって受け付けた対象物情報及び撮像方法情報に対応する閾値を設定する。閾値の詳細な設定方法については後述する。
【0037】
制御装置10は、解析した解析結果が撮像用検出の終了条件を満たしていない場合には、再び第1開始コマンドを生成し、第1開始コマンドを制御部30に送信する。一方、制御装置10は、解析結果が撮像用検出の終了条件を満たしている場合には、終了コマンドを生成し、終了コマンドを制御部30に送信する。これにより、撮像装置1では、対象物の像を取得するための撮像用検出が終了され、撮像用信号が制御装置10に送信される。すなわち、制御装置10は、上記解析を行うことにより、撮像用検出の適切な終了タイミングを決定し、撮像装置1において実施されている撮像用検出を終了させる。制御装置10は、制御部30から撮像用信号を受信すると、受信した撮像用信号に基づいて、対象物の像を生成する。これにより、対象物の撮像が行われる。
[撮像処理]
【0038】
口腔内撮像システム100において実施される撮像処理について、図4及び図5を参照して説明する。図4は、撮像処理のうち撮像条件の受付から撮像用検出の開始までの処理の流れを示すシーケンス図である。図5は、撮像処理のうち2回目の第1開始コマンドの生成から対象物の像の取得までの処理の流れを示すシーケンス図である。なお、撮像処理における放射線源は、一定の強度のX線を継続して照射する。
【0039】
まず、図4に示されるように、制御装置10は、ユーザから、対象物の撮像条件の入力を受け付ける(ステップS01)。撮像条件の入力は、ユーザによって、対象物情報、及び撮像方法情報が入力受付部14に入力されることによって実施される。続いて、制御装置10は、入力された撮像条件に基づいて、撮像用検出の終了タイミングの決定に用いられる閾値を設定する(ステップS02)。制御装置10は、記憶部11において記憶している撮像条件ごとの閾値を参照して、入力された撮像条件に対応する閾値を設定する。撮像条件の入力の受付及び閾値の設定方法の詳細については後述する。続いて、制御装置10は、複数のモニタ用画素3Bによる撮像用検出を開始させる第1開始コマンドを生成し、第1開始コマンドを撮像装置1の制御部30に送信する(ステップS03)。制御部30は、第1開始コマンドを受信し(ステップS04)、第1開始コマンドに従って、モニタ用検出を開始させるように撮像部20を制御する(ステップS05)。具体的には、制御部30は、撮像部20の各モニタ用画素3Bによる電荷の蓄積を開始させる。続いて、各モニタ用画素3Bは、電荷の蓄積を開始する(ステップS06)。これにより、放射線の線量のモニタが撮像装置1側で開始される。
【0040】
続いて、各モニタ用画素3Bは、所定の期間が経過した時点で、蓄積された電荷に対応するモニタ用信号を制御部30に出力する(ステップS07)。続いて、制御部30は、複数のモニタ用画素3Bからモニタ用信号を受信し(ステップS08)、モニタ用信号を制御装置10に送信する(ステップS09)。制御装置10は、制御部30からモニタ用信号を受信し(ステップS10)、モニタ用信号に基づいて放射線の線量を推定する等の公知の解析(例えば、特許第5715960号公報に記載の解析)を実施する(ステップS11)。続いて、制御装置10は、解析結果が撮像用検出の開始条件を満たしているか否かを判定する(ステップS12)。制御装置10は、解析結果が撮像用検出の開始条件を満たしていないと判定した場合(ステップS12:NO)、ステップS03に処理を戻す。一方、制御装置10は、解析結果が撮像用検出の開始条件を満たしていると判定した場合に(ステップS12:YES)、撮像用検出を開始させる第2開始コマンドを生成し、第2開始コマンドを制御部30に送信する(ステップS13)。
【0041】
続いて、制御部30は、第2開始コマンドを受信し(ステップS14)、第2開始コマンドに従って、撮像用検出を開始させるように撮像部20を制御する(ステップS15)。具体的には、制御部30は、撮像部20の各撮像用画素3Aによる電荷の蓄積を開始させる。続いて、各撮像用画素3Aは、電荷の蓄積を開始する(ステップS16)。これにより、対象物の像の取得のための検出が撮像装置1側で開始される。
【0042】
続いて、図5に示されるように、制御装置10は、第1開始コマンドを再度生成し、第1開始コマンドを撮像装置1の制御部30に送信する(ステップS17)。制御部30は、第1開始コマンドを受信し(ステップS18)、第1開始コマンドに従って、モニタ用検出を開始させるように撮像部20を制御する(ステップS19)。続いて、撮像部20の各モニタ用画素3Bは、電荷の蓄積を開始する(ステップS20)。これにより、撮像装置1において、対象物の像の取得のための放射線の検出が実施されつつ、且つ適切な対象物の像の取得のために放射線の線量のモニタが継続される。
【0043】
続いて、撮像部20は、所定の期間が経過した時点で、モニタ用信号を取得し、モニタ用信号を制御部30に出力する(ステップS21)。制御部30は、撮像部20からモニタ用信号を受信し(ステップS22)、モニタ用信号を制御装置10に送信する(ステップS23)。制御装置10は、制御部30からモニタ用信号を受信し(ステップS24)、モニタ用信号に基づいた解析を実施する(ステップS25)。具体的には、制御装置10は、上記解析として、モニタ用信号に基づいて算出した放射線の総線量を算出する。続いて、制御装置10は、解析結果が撮像用検出の終了条件を満たしているか否かを判定する(ステップS26)。具体的には、制御装置10は、解析により算出した放射線の総線量が、ステップS12で設定した閾値を超えているか否かを判定する。制御装置10は、解析結果が撮像用検出の終了条件を満たしていない(すなわち、放射線の総線量がステップS12で設定した閾値を超えていない)と判定した場合(ステップS26:NO)、ステップS17に処理を戻す。一方、制御装置10は、解析結果が撮像用検出の終了条件を満たしている(すなわち、放射線の総線量がステップS12で設定した閾値を超えている)と判定した場合に(ステップS26:YES)、複数の撮像用画素3Aによる撮像用検出を終了させる終了コマンドを生成し、終了コマンドを制御部30に送信する(ステップS27)。
【0044】
続いて、制御部30は、終了コマンドを受信し(ステップS28)、終了コマンドに従って、撮像用検出を終了させるように撮像部20を制御する(ステップS29)。続いて、各撮像用画素3Aは、電荷の蓄積を終了し(ステップS30)、蓄積された電荷に対応する撮像用信号を制御部30に出力する(ステップS31)。続いて、制御部30は、複数の撮像用画素3Aから撮像用信号を受信し(ステップS32)、撮像用信号を制御装置10に送信する(ステップS33)。続いて、制御装置10は、撮像用信号を受信し(ステップS34)、撮像用信号に基づいて、対象物の像を生成する(ステップS35)。これにより、対象物の撮像が終了する。
[閾値設定処理]
【0045】
撮像処理のステップS12で行われる閾値設定処理について、図6を参照して説明する。図6は、閾値設定処理の一連の流れを示すフローチャートである。前提として、ユーザから制御装置10への撮像条件の入力が完了している(図4のステップS11参照)。
【0046】
一例として、制御装置10の表示部15(図3参照)に、撮像方法及び対象物の種類を選択する画面が表示され、ユーザが、マウス等の入力受付部14を操作して撮像方法及び対象物の種類を選択することにより、撮像条件(すなわち、対象物情報及び撮像方法情報)の入力が実施される。図6に示される例では、撮像方法として、平行法、二等分法、咬翼法、及び咬合法のいずれかが選択され、対象物として、奥歯及び前歯のいずれかが選択される。また、制御装置10は、記憶部11において、対象物の種類及び撮像方法の種類との組合せごとに閾値を記憶している。具体的には、制御装置10は、撮像方法「平行法」と対象物「前歯」との組合せに対応する閾値=「1」といったように、上記組合せごとに適切な閾値を記憶している。具体的には、平行法及び二等分法、咬翼法、並びに咬合法において、複数のモニタ用画素3Bが口腔内の歯、骨等に覆われる割合が高くなる撮像方法であるほど、閾値が高くなるように設定されている。また、対象物が前歯である場合よりも、対象物が奥歯である場合の方が、閾値が高くなるように設定されている。制御装置10は、入力された撮像条件と、上記組合せごとの閾値とを参照することにより、閾値設定処理において閾値を設定する。なお、閾値の値、対象物の種類、及び撮像方法の種類は、本例に限られない。
【0047】
まず、制御装置10は、撮像条件に含まれる撮像方法情報が平行法又は二等分法を示すか否かを判定する(ステップS101)。制御装置10は、撮像方法情報が平行法又は二等分法を示すと判定した場合(ステップS101:YES)、対象物情報が前歯を示すか否かを判定する(ステップS102)。制御装置10は、対象物情報が前歯を示すと判定した場合(ステップS102:YES)、閾値を「1」に設定する(ステップS103)。一方、制御装置10は、対象物情報が前歯を示さない(換言すれば、対象物情報が奥歯を示す)と判定した場合(ステップS102:NO)、閾値を「1.3」に設定する(ステップS104)。
【0048】
制御装置10は、ステップS101において、撮像方法情報が平行法又は二等分法を示さないと判定した場合(ステップS101:NO)、撮像方法情報が咬翼法を示すか否かを判定する(ステップS105)。撮像装置は、撮像方法情報が咬翼法を示すと判定した場合(ステップS105:YES)、対象物情報が前歯を示すか否かを判定する(ステップS106)。制御装置10は、対象物情報が前歯を示すと判定した場合(ステップS106:YES)、閾値を「1.3」に設定する(ステップS107)。一方、制御装置10は、対象物情報が前歯を示さない(すなわち、対象物情報が奥歯を示す)と判定した場合(ステップS106:NO)、閾値を「1.5」に設定する(ステップS108)。制御装置10は、ステップS105において、撮像方法情報が咬翼法を示さない(すなわち、撮像方法情報が咬合法を示す)と判定した場合(ステップS105:NO)、閾値を「1.7」に設定する(ステップS109)。以上の閾値設定処理により、撮像装置は、撮像条件に対応する閾値を設定する。
[作用及び効果]
【0049】
撮像装置1を含む口腔内撮像システム100では、制御装置10が、放射線の線量に関するモニタ用信号を受信し、モニタ用信号に基づいて生成した制御コマンドを制御部30に送信し、制御部30が、制御コマンドを受信し、制御コマンドに従って撮像部20を制御する。これにより、例えば、対象物の種類及び/又は撮像方法の種類に応じて対象物の撮像の終了タイミングを決定することができ、その結果、対象物の像を適切に取得することができる。また、口腔内撮像システム100では、撮像部20及び制御部30がケース8に収容されている。これにより、制御部30が撮像部20とは別体で設けられている場合に生じる問題、すなわち、口腔内に撮像部20が配置される際に制御部30が邪魔になるという問題を回避することができる。更に、口腔内撮像システム100では、モニタ用信号に基づく制御コマンドの生成が制御装置10において実施される。これにより、撮像装置1側の制御部30の処理負担を軽減することができ、その結果、撮像装置1の小型化を図ると共に、撮像装置1の発熱を抑制することができる。以上により、口腔内撮像システム100及び撮像装置1によれば、対象物の像の適切な取得、撮像装置1の取扱い性の向上、及び口腔内での撮像装置1の発熱の抑制を実現することができる。
【0050】
口腔内撮像システム100の効果について更に述べる。口腔内撮像システム100では、撮像装置1が、制御部30を有しており、制御部30が、撮像用信号及びモニタ用信号を、汎用の通信規格(USB規格)の通信プロトコルに準じた信号に変換して制御装置10に送信し、制御装置10から受信した制御コマンドに従って撮像部20を制御する。このように、撮像部20の制御のための制御コマンドを生成することで実質的に撮像部20の制御を実施する制御装置10とは別に、撮像装置1が制御部30を有することで、撮像装置1と制御装置10との通信を、汎用的な通信規格に準じた通信とすることができる。その結果、撮像装置1と制御装置10との通信を、簡易な構成で実現することが可能となる。また、制御部30の構成要素である制御回路6としてFPGAが採用される場合には、制御装置10から受信した各制御コマンドを的確なタイミングで確実に処理することができ、且つコストの低減を図ることができる。なお、撮像装置1において制御部30を設ける代わりに、例えば、制御部30と同等の機能をイメージセンサ3に設けることは、コストの面等から現実的ではない。
【0051】
また、例えば、制御部30が、口腔外に配置され、撮像部20と制御部30とが第1のケーブル(図示省略)によって電気的に接続され、制御部30と制御装置10とが第2のケーブル(図示省略)によって電気的に接続されている場合には、制御部30、制御部30と第1のケーブルとの接続部分、及び制御部30と第2のケーブルとの接続部分において、破損及び故障のリスクが懸念される。これに対し、口腔内撮像システム100では、制御部30がケース8に収容されているので、そのようなリスクを回避することができる。また、口腔内撮像システム100では、上述した例と比較してケーブルの数を減らすことができるので、部品点数の削減を図ることができる。
【0052】
また、口腔内撮像システム100では、制御装置10において、制御コマンドの生成、モニタ用信号の解析等の種々の処理が実施されるため、例えば、撮像条件、閾値等の変更及び追加等、種々の処理の変更を容易に実施することができる。
【0053】
口腔内撮像システム100では、制御装置10が、撮像用信号に基づいて対象物の像を生成する。これにより、対象物の像を確実に生成することができる。
【0054】
口腔内撮像システム100では、制御コマンドが、撮像用検出を終了させる終了コマンドを含み、制御部30が、終了コマンドを受信した場合に、撮像用検出を終了させるように撮像部20を制御する。これにより、例えば、対象物の種類及び/又は撮像方法の種類に応じた適切なタイミングで、対象物の像を取得するための放射線の検出を終了させることができ、その結果、対象物の像を適切に取得することができる。
【0055】
口腔内撮像システム100では、制御装置10が、モニタ用信号に基づいて、イメージセンサ3の複数の撮像用画素3Aにおける放射線の総線量を算出し、算出した放射線の総線量が所定の閾値を超えた場合に、終了コマンドを生成する。これにより、例えば、対象物の種類及び/又は撮像方法の種類に応じた適切な総線量で、対象物の像を取得するための放射線の検出を終了させることができ、その結果、対象物の像を適切に取得することができる。また、口腔内撮像システム100によれば、モニタ用信号に基づいて、対象物の像を取得するための放射線の検出処理を終了させるタイミングが、撮像装置1において自動的に調整されるため、放射線源側の放射線の線量及び放射時間の調整を不要とすることができる。
【0056】
口腔内撮像システム100では、制御装置10が、対象物の撮像条件ごとに閾値を記憶しており、撮像条件の入力を受け付け、当該撮像条件に対応する閾値を設定する。これにより、入力された撮像条件に応じた適切な閾値が設定されるため、例えば、対象物の種類及び/又は撮像方法の種類によらず、対象物の像を適切に取得することができる。
【0057】
口腔内撮像システム100では、制御装置10が、対象物に関する対象物情報を含む撮像条件を受け付け、対象物情報に対応する閾値を設定する。これにより、撮像の対象物に応じた適切な閾値が設定されるため、対象物の種類によらず、対象物の像を適切に取得することができる。
【0058】
口腔内撮像システム100では、制御装置10が、対象物の撮像方法に関する撮像方法情報を含む撮像条件を受け付け、撮像方法情報に対応する閾値を設定する。これにより、対象物の撮像方法に応じた適切な閾値が設定されるため、撮像方法の種類によらず、対象物の像を適切に取得することができる。
【0059】
口腔内撮像システム100では、制御部30が、有線によって制御装置10と通信可能に構成されている。これにより、制御部30と制御装置10との間で安定した通信環境を確保することができる。また、撮像部20及び制御部30が単一のケース8に収容されているので、制御部30と制御装置10とが有線によって物理的に接続されている構成においても、口腔内に撮像部20が配置される際に制御部30が邪魔になるという問題を回避することができる。
[変形例]
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、撮像部20は、撮像用検出及びモニタ用検出を実施するものであればよい。一例として、撮像部20は、イメージセンサ3及びシンチレータ5のみによって構成されていてもよいし、或いは、撮像部20は、放射線の入射によって電荷を発生させる直接変換型の撮像素子のみによって構成されていてもよい。また、制御部30は、制御装置10と通信可能に構成され、制御コマンドを受信し、制御コマンドに従って撮像部20を制御するものであればよい。一例として、制御部30は、制御回路6及び通信モジュール7に加えて、或いは、制御回路6及び通信モジュール7に代えて、制御回路6及び通信モジュール7以外の構成要素を含んでいてもよい。また、上記実施形態では、イメージセンサ3は、複数の撮像用画素3A及び複数のモニタ用画素3Bを含んでいたが、イメージセンサ3は、1つの画素領域のみを含み、当該撮像領域において撮像用信号及びモニタ用信号を出力するように構成されていてもよい。また、スイッチSW1及びスイッチSW2は、イメージセンサ3外に設けられていてもよい。
【0061】
口腔内撮像システム100は、複数の撮像装置1を備えていてもよい。そのような複数の撮像装置1は、例えば、動物の口腔内に配置され得る。以下、口腔内撮像システム100が、2つの撮像装置1を備える例について説明する。このような口腔内撮像システム100では、例えば、一方の撮像装置1が、動物の口腔内における奥側に、他方の撮像装置1が、当該口腔内における前側に配置されて使用されることが想定される。その場合、制御装置10が、2つの撮像装置1のうち一方のモニタ用信号が閾値を超えた場合に、各撮像装置1の制御部30に対して終了コマンドを送信する。すなわち、制御装置10は、両方の撮像装置1に対して、対象物の像を取得するための放射線の検出を終了させる。これにより、各撮像装置1の複数の撮像用画素3Aが飽和することを防ぐことができる。したがって、本変形例の口腔内撮像システム100によれば、奥側と前側とで歯及び骨の割合が大きく異なる口腔内の対象物を撮像する場合であっても、適切な総線量で、対象物の像を取得するための放射線の検出を終了させることができ、その結果、対象物の像を適切に取得することができる。
【0062】
また、制御部30と制御装置10とは、無線(例えば、LAN、Bluetooth(登録商標)、Wifi等)により通信可能に構成されていてもよい。
【0063】
口腔内撮像システム100による撮像処理は、上記実施形態に限られない。例えば、制御装置10は、対象物情報及び撮像方法情報の一方に基づいて閾値を設定してもよいし、対象物情報及び撮像方法情報とは異なる撮像条件に応じて閾値を設定してもよい。例えば、制御装置10は、終了コマンドのみを生成してもよい。その場合、制御部30は、例えば、所定の期間が経過した時点で、モニタ用検出を開始してもよい。また、口腔内撮像システム100では、制御装置10が、他の制御コマンドを生成してもよい。
【0064】
また、上述した撮像方法のシーケンス図(図4及び図5)に示した各ステップ、及び上述した閾値設定方法のフローチャート(図6)は、適宜省略されてもよい。また、各ステップの順序は、適宜入れ替えられてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…撮像装置、8…ケース、10…制御装置、20…撮像部、30…制御部、100…口腔内撮像システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6