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特開2022-123360パッキン一体型逆止弁とこれに用いるパッキン取付け部材
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  • 特開-パッキン一体型逆止弁とこれに用いるパッキン取付け部材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123360
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】パッキン一体型逆止弁とこれに用いるパッキン取付け部材
(51)【国際特許分類】
   F16K 15/06 20060101AFI20220817BHJP
   F16K 27/00 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
F16K15/06
F16K27/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020626
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】000201593
【氏名又は名称】前澤給装工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073623
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 幸吉
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100098246
【弁理士】
【氏名又は名称】砂場 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】金井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】金子 晃
【テーマコード(参考)】
3H051
3H058
【Fターム(参考)】
3H051AA01
3H051BB02
3H051BB03
3H051CC15
3H051FF02
3H051FF15
3H058AA05
3H058BB29
3H058BB37
3H058CA04
3H058CA06
3H058CB06
3H058CB24
3H058CC05
3H058CC11
3H058CD05
3H058EE02
3H058EE12
(57)【要約】
【課題】水道メーターの一次側に設定するパッキン一体型逆止弁については、カートリッジケージの後端に着合させたフランジ体を、伸縮管ユニットの二次側端部に設けた収嵌スペースの二次側端面と水道メーターの一次側端面に挟着させて収嵌し、伸縮管内周部とカートリッジケージ外周部の止水・周密性をOリングで維持することが行われてきたが、逆止弁の交換に伸縮管の交換が必要となるほか、Oリングの長期の圧着使用により水道メーター交換時等に伸縮管にOリングが固着し取り外しにくくなる問題があった。
【解決手段】先端側をテーパー部に形成した逆止弁体当接弁座5を設け、筒状のカートリッジ本体1に、中心部に逆止弁軸を挿通して引張方向に付勢されたスプリング3によって逆止弁体2を弁座5に当接させたパッキン取付け部材4の後端に、パッキン7が覆着されたパッキン取付け部材を組付けるように構成した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側に、テーパー部に形成した逆止弁座を設け、後端にパッキンが覆着されるフランジ躯体部を設けた筒状のカートリッジ本体に、中心部に逆止弁軸を挿通して引張方向に付勢されるスプリングによって逆止弁体を逆止弁パッキンに当接させた逆止弁機構を、パッキン取付け部材を介して挿嵌して成るパッキン一体型逆止弁。
【請求項2】
中心部に逆止弁軸を摺動支持する挿通孔を設けた摺動支持体部を、周端面にパッキンを覆着するフランジ躯体上に、支持柱体によって支持して成るパッキン取付け部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道メーターの一次側に、伸縮管を介して設定されるパッキン一体型逆止弁とこれに用いるパッキン取付け部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水道メーターの一次側に設定するパッキン一体型逆止弁については、カートリッジケージの後端に着合させたフランジ体を、伸縮管ユニットの二次側端部に設けた収嵌スペースの二次側端面と水道メーターの一次側端面に挟着させて収嵌することが特許文献1によって提案され、その伸縮管内周部とカートリッジケージ外周部の止水・周密性はOリングによって維持されている。
【0003】
特許文献2の記載は、フランジ部一体の筒状内部に逆止弁が取付けられ、特許文献1同様に筒状内周部とOリングで逆流防止性を担う構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6228429号公報
【特許文献2】意匠登録第1092792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1・2におけるパッキンフランジ体は、カートリッジケージの後端に着合して一次側から二次側への流圧に対しての支持力を強化させ、伸縮管ユニットの二次側端部に設けた収嵌スペースにカートリッジケージを収嵌させてフランジ体をカートリッジケージの後端にスナップフィットさせるように構成しているため、逆止弁の交換時に伸縮管についても逆止弁に適した伸縮管への交換が必要となる問題があった。
【0006】
既設伸縮管の継続使用については、水道水の長期流通による内径部の変色、異物の付着や水道水含有塩素による緑青など腐食部位の発生、更には、伸縮管ユニット内径が異なっていたり、同内径が鋳物で形成されているため鋳肌が露出していたり、Oリング等での逆流防止が困難な場合には継続使用できないという問題がある。なお、伸縮管交換の費用負担、伸縮管内面でのOリング等による止水対応など継続使用に対する要望は残っている。
【0007】
また、カートリッジケージを直接フランジ体によって支持することにより逆止弁軸の摺動支持体部の長さが長く必要となり、更に、伸縮管内周部とカートリッジケージ外周部との止水・周密性をOリングによって維持するため、水道メーター交換時等に長期の圧着使用により伸縮管にOリングが固着し取り外しにくくなる問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、先端側に、テーパー部に形成した逆止弁座を設け、後端にパッキンが覆着されるフランジ躯体部を設けた筒状のカートリッジ本体に、中心部に逆止弁軸を挿通して引張方向に付勢されるスプリングによって逆止弁体を逆止弁パッキンに当接させた逆止弁機構を、パッキン取付け部材を介して挿嵌するようして、伸縮管ユニットとパッキン一体型逆止弁の組み合わせを限定せず、伸縮管内周部の逆流防止性にOリングを使用しないで、逆止弁のカートリッジ本体を筒状とすると共に、逆止弁機構を支持柱体によって、周端面にパッキンを覆着するフランジ躯体上に支持するパッキン取付け部材を設定することによりパッキン一体型逆止弁の内部で逆止弁体、スプリング、逆止弁パッキン、カートリッジ本体と逆止弁座で止水する構造として水道メーター上流側用のパッキン一体型逆止弁を構成するようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
これにより、伸縮管内径部の腐食・メーカー違い等による内径寸法の差異・鋳肌で製作されている場合等でも、パッキン一体型逆止弁の交換や設置を容易にすることができる。更に、特許文献1記載発明に符号17で示される伸縮管内周部とカートリッジケージ外周部との止水・周密性を維持するOリングを無くすことで、水道メーター交換時等に長期の圧着使用により伸縮管にOリングが固着して取り外しにくくなる問題も解消される。
【0010】
カートリッジ本体を筒状にすると、特許文献1記載発明におけるように、フランジ体とカートリッジケージを一体とした場合よりも逆止弁軸の摺動支持体部を支持する柱の長さを短くすることができ、部品製作がしやすいメリットがある。しかし、カートリッジ本体を筒状にすると、通過水路の容積(通水断面積)が制約され、通水のための圧力損失の増加が問題となる。
【0011】
そこで、本願発明においては、カートリッジ本体を筒状としながら圧力損失の増加を抑制する構成が検討されたものである。圧力損失の増加を抑制することができれば、給水圧力の低い場所での使用、給水施設の小型化が可能となる。なお、日本水道協会規格 JWWA B 129 水道用逆流防止弁で、給水装置で使用する場合の圧力損失の最大値が規定されている。本願発明は、逆止弁体を受けるパッキン取付け部材の先端部をテーパー部に形成して圧力損失の増加を抑制することにより、上記規格にも適合できるように構成した。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明によるパッキン一体型逆止弁の実施例を示す逆止弁の止水状態における断面図と、その右側面図を対応させた対応図である。
図2】同じく、図1の逆止弁の通水状態における断面図である。
図3】同じく本発明によるパッキン一体型逆止弁の構成部材を示す分解図で、パッキン取付け部材の横断面図と、その外側表面外観図の対応図である。
図4】同じく本発明によるパッキン一体型逆止弁の構成部材を示す分解図で、パッキン取付け部材の正面図、右側断面図、同外観図と背面図を対応させた対応図である。
図5】同じく本発明によるパッキン一体型逆止弁の構成部材を示す分解図で、カートリッジ本体の正面図、縦断面図、背面図を対応させた対応図である。
図6】本発明によるパッキン一体型逆止弁を、伸縮管を介して止水栓に挿嵌する状況を示す分解側面図
図7】本発明によるパッキン一体型逆止弁を、止水栓、伸縮管、水道メーターを順次連結したその他の配管を省略した状態を示す要部を切欠して示す全体側面図である。
図8】日本水道協会規格の規制に基づく圧力損失の最大値を確保可能な基本構造を示すパッキン一体型逆止弁の断面構造と、これに対応する同右側面図の対応構造説明図である。
図9図8の断面構造によるパッキン一体型逆止弁の実施例を、呼び径ごとにその主要な設計値を示す設計値一覧表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図8は、日本水道協会規格 JWWA B 129に基づく圧力損失の最大値以下を確保する規制構造値を示すパッキン一体型逆止弁の断面構造を示すもので、パッキン取付け部材4に柱体41を形成し、柱の本数は呼び径13~40で2本とし、逆止弁体2を受ける先端部をテーパー部46に形成して圧力損失の増加を防止するようにした。
【0014】
その結果,呼び径20で、日本水道協会規格 JWWA B 129の基準流量38[L/min]同基準での基準圧力損失値20[kPa]以下とされているところ、特許文献1の構造を用いた場合12[kPa]で、本件筒状カートリッジ本体を用いた場合でも14[kPa]で上記基準値を確保できていることが確認された。
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明すると、1は逆止弁カートリッジの外殻を構成するカートリッジ本体で、一次側に先端をテーパー面に形成した逆止弁体2を受容する逆止弁座5を組付けし、逆止弁座5、逆止弁パッキン6に接触開閉する逆止弁体2をスプリング3によって一次側に付勢させて支持するパッキン取付け部材4を組付けしている。
【0016】
逆止弁座5の外径側の先端をテ―パ―面に形成しているが、二面幅部を設けることで、カートリッジ本体1やパッキン取付け4部材とのねじ接合による組付けをしやすくすることができる。
【0017】
パッキン一体型逆止弁の二次側端にはフランジ躯体13と、パッキン取付け部材4の二次側端に形成されたフランジ躯体44によって構成されるフランジ部が形成されている。フランジ躯体には、ゴム等の弾性素材によるパッキン7が覆着される。なお、フランジ部はパッキン取付け部材4又はカートリッジ本体1のフランジ躯体だけで形成しても良い。
【0018】
パッキン取付け部材4は、カートリッジ本体1に組付けされ、その一次側端部は、中央部に摺動支持体42が形成され、逆止弁体の弁軸21を挿通して案内する摺動支持体42の中心部に弁軸挿通孔43が貫通する。しかして、弁軸挿通孔43に逆止弁軸21を挿通し、スプリング3によって逆止弁体2を開閉可能にしている。
【0019】
パッキン取付け部材4の支持柱体41の数は、逆止弁カートリッジ内の通水断面を制約するので少ない方が好ましく、呼び径13~40で2本程度であり、多くても4本程度までである。パッキン取付け部材4の二次側には、雄ねじ45が設けられ、カートリッジ本体1の二次側に設けられた雌ねじ12と螺合してパッキン一体型逆止弁が形成される。
【0020】
パッキン取付け部材4の柱体41の外径とカートリッジ本体1の内径の隙間は、0.01~0.3mmとすることで、逆止弁体が通水径の中心になるようにして、逆流防止性能を向上させると共に、逆止弁体の摩耗を防ぐことができる。
【0021】
パッキン取付け部材4の逆止弁軸挿通孔43と逆止弁体2の逆止弁軸21の隙間は、0.01~0.3mmとすることで、逆止弁体が通水径の中心になるようにして、逆流防止性能を向上させると共に、逆止弁体の摩耗を防ぐことができる。
【0022】
本件発明では、パッキン一体型逆止弁の構造として、図8に示すように、カートリッジ本体1の一次側端部に逆止弁座5等を設定する。伸縮管内径とΦBを図9の寸法値とした場合、流入部の径ΦAはΦBに対して1.05~1.5倍とし、逆止弁体が全開となる近傍の内径部を、カートリッジ本体1の中心軸を基軸として角度15~90°拡開させることにより増径させて、ΦBに対してΦCを1.3~1.8倍とし、ΦCに対してΦDを0.7~0.95倍に設定するように構成しているので、圧力損失の問題がクリアされる。
【0023】
以上のように構成されたパッキン一体型逆止弁は、水道メーターMに接合されている既設の止水栓Pを閉栓して、水道メーターMを取り外し、既設の伸縮管Sに取り付ける。取り付けたうえで、伸縮管Sに取り付けられている袋ナットNと水道メーターMを接合し止水栓Pを開栓する。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明に係るパッキン一体型逆止弁とこれに用いるパッキン取付け部材は、上記のように、伸縮管内径部の腐食・メーカー違い等による内径寸法の差異・鋳肌で製作されている場合等、新設や配管途中でも、パッキン一体型逆止弁の交換や設置を容易にすることができるので水道機器産業において極めて有為に利用することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 カートリッジ本体
11 カートリッジ本体のフランジ躯体
12 パッキン取付け部材の雄ねじと螺合する雌ねじ
13 逆止弁座の雄ねじと螺合する雌ねじ
14 逆止弁体が全開となる近傍の内径部
2 逆止弁体
21 逆止弁軸
22 逆止弁体先端のテーパー部
3 スプリング
4 パッキン取付け部材
41 パッキン取付け部材の支持柱体
42 逆止弁軸を案内する摺動支持体
43 逆止弁軸挿通孔
44 パッキン取付け部材のフランジ躯体
45 カートリッジ本体の雌ねじと螺合する雄ねじ
46 パッキン取付け部材のテーパー部
5 逆止弁座
6 逆止弁パッキン
7 パッキン
M 水道メーター
N 袋ナット
P 止水栓
S 伸縮管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9