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特開2022-123366カードゲーム式事業デジタル化学習支援システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123366
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】カードゲーム式事業デジタル化学習支援システム
(51)【国際特許分類】
   G09B 19/00 20060101AFI20220817BHJP
   G09B 1/32 20060101ALI20220817BHJP
   A63F 13/80 20140101ALI20220817BHJP
   A63F 13/95 20140101ALI20220817BHJP
   A63F 13/20 20140101ALI20220817BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20220817BHJP
   G06Q 10/10 20120101ALI20220817BHJP
【FI】
G09B19/00 Z
G09B1/32
A63F13/80 B
A63F13/95 Z
A63F13/20 A
G06Q50/20
G06Q10/10 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020637
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】521065665
【氏名又は名称】DXHR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大矢知 開人
(72)【発明者】
【氏名】前田 一成
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA08
5L049CC34
(57)【要約】      (修正有)
【課題】デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するために必要な技術の学習及び事業モデル開発を支援するカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムを提供する。
【解決手段】カードゲーム式事業デジタル化学習支援システムは、複数枚のカード及びカードを載置するためのゲームボードと、カード及び該カードが載置されたゲームボードの画像の取得並びに画像表示が可能な利用者端末と、利用者端末に通信ネットワークを介して接続された管理サーバと、を備え、複数枚のカードは、事業デジタル化に用いられる個別技術要素の学習用カードであって、事業デジタル化に用いられる複数の技術分野別のカードを複数枚含んで構成され、利用者端末で取得されたカードの裏面に表示されたインデックス番号及び/又は二次元バーコードの画像を、管理サーバに送信すると、受信した画像を認識して、これに関連付けられた学習用情報を利用者端末に返信する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のカード及び前記カードを載置するためのゲームボードと、
前記カード及び前記カードが載置された前記ゲームボードの画像の取得並びに画像表示が可能に構成された利用者端末と、
前記利用者端末に通信ネットワークを介して接続される管理サーバと、を備え、
前記複数枚のカードは、事業デジタル化に用いられる個別技術要素の学習用カードであって、事業デジタル化に用いられる複数の技術分野別のカードを複数枚含んで構成され、
前記複数枚のカードの各々は、カードの表面に個別技術要素の項目名、説明用画像、及び解説文が表示され、前記カードの裏面には前記カードの表面に表示された個別技術要素に関連付けられたインデックス番号及び/又は二次元バーコードが表示され、
前記ゲームボードは、前記複数枚のカードの中から選択されたカードが互いに重なることなく載置された複数の領域と、前記複数の領域のそれぞれを区画するための複数の区画枠と、前記複数の区画枠の間の連結方向を特定する矢印マークとが配置可能なカード載置スペースを有し、
前記利用者端末で、前記カードの裏面に表示された前記インデックス番号及び/又は二次元バーコードの画像を取得して前記管理サーバに送信すると、
前記管理サーバは、受信した前記インデックス番号及び/又は二次元バーコードの画像を、前記管理サーバの画像認識手段で認識し、認識された前記インデックス番号及び/又は二次元バーコードに関連付けられた学習用情報を前記利用者端末に返信し、
前記インデックス番号及び/又は二次元バーコードに関連付けられた学習用情報は、予め前記管理サーバのデータベースに保存されていることを特徴とするカードゲーム式事業デジタル化学習支援システム。
【請求項2】
前記管理サーバは、前記利用者端末から前記カードが載置された前記ゲームボードの画像を受信すると、
前記受信した前記ゲームボードの画像を前記画像認識手段で認識し、前記ゲームボードのカード載置スペースに配置された複数の区画枠の配置位置、前記複数の区画枠の間の連結方向を特定する矢印マーク、及び前記複数の区画枠の各々の中に載置されたカードに表示された個別技術要素の項目名又は説明用画像に基づいて、前記ゲームボードの画像に対応した事業デジタル化のモデル構成図面を生成して、前記利用者端末に返信することを特徴とする請求項1に記載のカードゲーム式事業デジタル化学習支援システム。
【請求項3】
前記管理サーバは、予め前記データベースに保存された複数の標準的な事業デジタル化のモデル構成図面の中から前記生成された事業デジタル化のモデル構成図面との類似度が高い標準的な事業デジタル化のモデル構成図面を選定して、前記生成された事業デジタル化のモデル構成図面と比較し、所定の採点基準に基づいて、前記生成された事業デジタル化のモデル構成図面を採点し、前記載置されたカードの適否、標準的な事業デジタル化のモデル構成との類似度、及び採点結果を前記利用者端末に返信することを特徴とする請求項2に記載のカードゲーム式事業デジタル化学習支援システム。
【請求項4】
前記管理サーバは、前記複数枚のカード及び前記カードを載置するためのゲームボードの画像を含む入力用画面を、前記利用者端末に送信し、
前記利用者端末は、受信した前記入力用画面を前記利用者端末の画像表示手段に表示し、利用者が前記入力用画面により画像上で前記カード載置スペースにカード、区画枠、及び矢印マークを配置可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のカードゲーム式事業デジタル化学習支援システム。
【請求項5】
前記管理サーバは、前記画像認識手段で認識された前記インデックス番号及び/又は二次元バーコードに関連付けられた個別技術要素が機能的手段であるか否かを判定し、前記個別技術要素が機能的手段である場合、予め前記データべースに前記インデックス番号及び/又は二次元バーコードに関連付けて保存された前記機能的手段を提供する事業者の紹介情報を、前記利用者端末に送信することを特徴とする請求項1に記載のカードゲーム式事業デジタル化学習支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードゲーム式事業デジタル化学習支援システムに関し、より詳しくは、カードゲームを通じて事業デジタル化モデルを学習及び構築することを支援するカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各企業は、競争力維持・強化のために、デジタルトランスフォーメーション(DX)等、企業・事業・業務プロセス等のデジタル化変革を進めていくことが急務となっている。しかしながら、多くの企業において、DXに関する技術知識の修得や、どのようにDXを進めていけばよいのかといったモデル構築のスキームは十分に獲得されていないのが現状である。
【0003】
このため、DXに対応し得る人材を育成するとともに、企業におけるDX事業モデルを簡単に構築するためのツールが求められている。例えば、特許文献1には、IT分野のプロジェクトメンバーの育成を支援することを目的に、対象者の実務力レベルを評価して、実務力に応じた研修を選択して、対象者に通知する実務力開発支援システムが開示されている。
しかしながら、特許文献1では、特定のプロジェクトに求められる実務力を診断することに主眼が置かれ、IT分野の技術知識や業務システムを構築するスキルを獲得するための研修自体については、その手段や方法も含めて具体的な知見は開示されていない。
【0004】
一方、学習効果の高い教育ツールとして、カードゲームを利用する方法がいくつか提案されている。例えば、特許文献2には、学校受験や国家資格の取得等のための学習を支援する対戦型のカード式学習具が開示され、特許文献3には、コミュニケーション力の向上に役立つ教育用カードゲームが提案されている。
ただし、特許文献2及び特許文献3は、DXに関する技術知識やDX事業モデルを構築するスキームを体験的に学習するために必要な機能や構成を備えておらず、事業のデジタルトランスフォーメーションの推進に要する技術を学習し、事業デジタル化のモデルプラン構築を支援するというニーズに応え得る学習ツールが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-123123号公報
【特許文献2】特開2008-261927号公報
【特許文献3】特開2019-035895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、企業・事業・業務プロセス等のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するために必要な技術知識の学習及びDX事業モデル開発を支援するカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムは、複数枚のカード及び前記カードを載置するためのゲームボードと、前記カード及び前記カードが載置された前記ゲームボードの画像の取得並びに画像表示が可能に構成された利用者端末と、前記利用者端末に通信ネットワークを介して接続される管理サーバと、を備え、前記複数枚のカードは、事業デジタル化に用いられる個別技術要素の学習用カードであって、事業デジタル化に用いられる複数の技術分野別のカードを複数枚含んで構成され、前記複数枚のカードの各々は、カードの表面に個別技術要素の項目名、説明用画像、及び解説文が表示され、前記カードの裏面には前記カードの表面に表示された個別技術要素に関連付けられたインデックス番号及び/又は二次元バーコードが表示され、前記ゲームボードは、前記複数枚のカードの中から選択されたカードが互いに重なることなく載置された複数の領域と、前記複数の領域のそれぞれを区画するための複数の区画枠と、前記複数の区画枠の間の連結方向を特定する矢印マークとが配置可能なカード載置スペースを有し、前記利用者端末で、前記カードの裏面に表示された前記インデックス番号及び/又二次元バーコードの画像を取得して前記管理サーバに送信すると、前記管理サーバは、受信した前記インデックス番号及び/又は二次元バーコードの画像を、前記管理サーバの画像認識手段で認識し、認識された前記インデックス番号及び/又は二次元バーコードに関連付けられた学習用情報を前記利用者端末に返信し、前記インデックス番号及び/又は二次元バーコードに関連付けられた学習用情報は、予め前記管理サーバのデータベースに保存されていることを特徴とする。
【0008】
前記管理サーバは、前記利用者端末から前記カードが載置された前記ゲームボードの画像を受信すると、前記受信した前記ゲームボードの画像を前記画像認識手段で認識し、前記ゲームボードのカード載置スペースに設定された複数の区画枠の配置位置、前記複数の区画枠の間の連結方向を特定する矢印マーク、及び前記複数の区画枠の各々の中に載置されたカードに表示された個別技術要素の項目名又は説明用画像に基づいて、前記ゲームボードの画像に対応した事業デジタル化のモデル構成図面を生成して、前記利用者端末に返信し得る。
前記管理サーバは、予め前記データベースに保存された複数の標準的な事業デジタル化のモデル構成図面の中から前記生成された事業デジタル化のモデル構成図面との類似度が高い標準的な事業デジタル化のモデル構成図面を選定して、前記生成された事業デジタル化のモデル構成図面と比較し、所定の採点基準に基づいて、前記生成された事業デジタル化のモデル構成図面を採点し、前記載置されたカードの適否、標準的な事業デジタル化のモデル構成との類似度、及び採点結果を前記利用者端末に返信し得る。
前記管理サーバは、前記複数枚のカード及び前記カードを載置するためのゲームボードの画像を含む入力用画面を、前記利用者端末に送信し、前記利用者端末は、受信した前記入力用画面を前記利用者端末の画像表示手段に表示し、利用者が前記入力用画面により画像上で前記カード載置スペースにカード、区画枠、及び矢印マークを配置可能に構成されていることが好ましい。
前記管理サーバは、前記画像認識手段で認識された前記インデックス番号及び/又二次元バーコードに関連付けられた個別技術要素が機能的手段であるか否かを判定し、前記個別技術要素が機能的手段である場合、予め前記データべースに前記インデックス番号及び/又は二次元バーコードに関連付けて保存された前記機能的手段を提供する事業者の紹介情報を、前記利用者端末に送信し得る。
【発明の効果】
【0009】
本発明のカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムによれば、事業デジタル化に用いられる複数の技術分野の技術を、利用者が互いに意見を交換しながら実践的に学習することができる。また、学習を通じて、DX事業モデルの開発スキームを体系的に学ぶことができるとともに、事業デジタル化のモデルプランをノーコード・ローコードで開発することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムで用いられるカードの構成例を示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態による学習用カードの一例を示す図である。
図3】学習用カードを使用して、事業デジタル化の進め方及びそれに必要な技術知識をカードゲーム形式のワークショップとして学習する例を示す概略図である。
図4】本発明の一実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムの全体構成を示す図である。
図5図4に示すカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムの管理サーバ及びユーザ端末の構成例を示す概略図である。
図6】本発明の一実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムにおけるサービス提供時の動作を示すフロー図である。
図7】ゲームボードに載置された学習用カードの種類と配置に基づいてシステム図面を生成する例を説明するための図である。
図8】本発明の他の実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムの全体構成を示す概略図である。
図9】本発明の他の実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムの管理サーバの構成を示すブロック図である。
図10】本発明の他の実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムの管理サーバから利用者の端末装置に送信されるDX事業モデル研修用のWebページ構成例を示す図である。
図11】本発明の他の実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムの管理サーバから利用者の端末装置に送信されるアプリ情報提供サーバへのリンク構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムで用いられるカードの構成例を示す概略図である。
【0013】
本発明の一実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムで用いられるカードは、複数枚(例えば100枚)のカードを含んで構成される学習用カード10であって、学習用カード10の各々は、例えば、紙やプラスチック板などを材料として形成された、矩形の平板であり、表面と裏面を有するカードである。
【0014】
学習用カード10の各々は、事業デジタル化に用いられる複数の技術分野に応じた複数種類のカテゴリーに分類される。一例として、学習用カード10は、技術分野として、人工知能(以下、AIという)関連カード20、データ関連カード30、システム関連カード40、及びデバイス関連カード50に分類される。なお、各技術分野のカードの枚数は、必要に応じて任意に設定され、異なる技術分野ごとに異なる枚数で構成され得る。
【0015】
図2は、本発明の一実施形態による学習用カードの一例を示す図である。
図2に示すように、学習用カード10の各々の表面10fには、学習対象となる事業デジタル化に用いられる個別技術要素に対応した項目名11、説明用画像12、及び解説文13が表示され、縁部には技術分野のカテゴリーに応じた色帯14が表示され、裏面10bには、表面10fに表示された個別技術要素に対応した二次元バーコード15及び/又はインデックス番号、並びに当該カードの技術分野のカテゴリーに応じた色帯16と該カードの上下左右の向きを特定するためのイメージ(例えば、絵柄17)が表示されている。さらに、当該カードの表面には、解説文に関する技術情報を提供している協賛企業等の紹介情報18を表示してもよい。なお、それぞれの技術分野の学習用カードには、表面に解説文がないか又は白紙のカード(任意カードという)を含んでもよい。白紙のカードには、例えば、新たに導入が必要になった個別技術要素を追加するために使用される。
【0016】
本発明の一実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムでは、学習用カード10とともに、学習用カード10を載置するゲームボードが使用される。ゲームボードの詳細は後述するが、複数枚の学習用カード10が互いに重なることなく載置されるのに十分なスペースを有し、載置された複数枚の学習用カード10を、所望のグループに区画するための枠線(以下、区画枠という)や、離隔した学習用カード間及び区画枠間の連結方向を特定するための矢印(以下、矢印マークという)が任意に記入(配置)できるホワイトボードの形態で構成される(図3を参照)。
【0017】
以下、本実施形態による学習用カードの使用方法(学習又は研修の方法)について、図3を参照しながら説明する。
【0018】
図3は、本実施形態による学習用カードの使用方法の一例として、学習用カードを使用して、事業デジタル化の進め方及びそれに必要な技術知識を、カードゲーム形式のワークショップによって学習する例を示す概略図である。図3に示すように、学習用カード10を利用したカードゲーム形式のワークショップでは、ゲームボード100を囲んで、複数人からなるグループで学習用カード10が使用される。人数は特定の数に限定されないが、3名~10名程度とすることが好ましい。図3では、一例として3名(A~C)の研修者と1名の講師Sによって実施される。
【0019】
まず、講師Sから、学習するテーマと解決すべき課題が提示され、討議の前提条件となる事業デジタル化に用いられる個別技術要素に対応した学習用カード10を、複数の技術分野の学習用カード10の中から選択して、ゲームボード100上に載置する(課題設定)。
ゲームボード100の載置位置に関し、図3に示すX方向は、論理フローに対応し、XからXに向かって、プロセス又は段階が進行することを表す。また、Y方向には、同じX位置でのプロセス又は段階で必要となる、又は用いられる同一若しくは異なる技術分野の複数の個別技術要素が載置される。さらに、複数の個別技術要素を区画枠70で囲むことにより、区画枠内の個別技術要素が1つの同じプロセス又は段階に含まれることが特定される。
【0020】
各研修者は、所定の方法で決められた順番又は講師Sの指名により、提示された課題設定に対して、複数の技術分野の学習用カード10の中から、課題解決に必要又は使用できると思われる個別技術要素が表示された学習用カードを選択して、先の課題設定で載置済みの学習用カードに対して、適正と思われる位置に載置していく。この時、載置済みの学習用カードと載置した学習用カードとの間に、連結方向を示す矢印マーク80を記入(配置)する。なお、区画枠70及び矢印マーク80は、ゲームボード100上に、手書きする方式や、予め矢印や枠が印刷されたシートを準備しておき、これを載置する方式を任意に使用可能である。
【0021】
各研修者は、選択した学習用カード10(即ち、事業デジタル化の個別技術要素)の内容を説明するとともに、その位置に載置する理由を説明してもよい。選択した学習用カード10の内容は、当該カードの表面に解説文13として記載されているが、裏面に表示された二次元バーコード15(又はインデックス番号)を各自のスマートフォン等のカメラ付き画像表示対応端末(以下、利用者端末という)で撮影した画像を、学習用カード10の貸し出しを行う事業者(即ち、本カードゲーム式事業デジタル化学習支援システムを提供する事業者)の管理サーバに送信すると、送信画像の二次元バーコード15(又はインデックス番号)に関連付けられた詳細な説明が、管理サーバから提供されるように構成されてもよい。利用者端末を利用して管理サーバから学習用カード10に関連付けられた学習用情報を取得可能とする構成については、後述する。
【0022】
また、他の研修者は、選択した学習用カード10の説明を受けた後、さらに質問を行ってもよい。講師Sは、必要に応じて、学習用カード10の選択や配置に関して、補足説明を行ったり、議論を誘導したりして、研修者が互いの意見を交換しながら、事業デジタル化のスキームに関する理解を深め、研修者全員の技術知識や事業モデル開発のスキルが向上するように指導する。
【0023】
上記のように、本発明の一実施形態による学習用カード10を使用し、各研修者による学習用カード10の選択と載置位置に対して、研修者間で討議を繰り返しながら、最終的に課題解決に到る学習用カード10の種類と載置位置を決定して、DX事業モデルを完成させていく学習方法により、研修者は事業デジタル化のための技術知識及び事業モデルの開発フローを学ぶとともに、構築された事業モデルを視覚的に把握することができる。
なお、上記で説明した本実施形態による学習用カードを用いたカードゲーム形式のワークショップ(以下、「DX事業モデル研修」という)においては、講師が課題設定のために使用することができる標準的なDX事業モデルに対応した学習用カードの配置例が収録された事例集を、予め準備しておいてもよい。
【0024】
以上で説明したように、本実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムを構成する学習用カード、及びこれを使用した学習方法は、事業デジタル化に関する知見が十分でない研修者の心理的負担を軽減しつつ、事業デジタル化の技術知識及びDX事業モデル開発のためのスキームを、複数の研修者で共有することができるので、教育効果を高めることができる。
【0025】
次に、本発明の一実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムについて、図4を参照しながら説明する。
【0026】
図4は、本発明の一実施形態のよるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムの全体構成を示す図である。本実施形態では、例えば、カードゲーム式事業デジタル化学習支援システム1Aを提供する事業者(以下、本システム提供事業者という)の管理サーバ2Aに、インターネット等の通信ネットワーク5を介して、本システムの利用を申し込んだ利用者の利用者端末3が接続され、利用者は通信ネットワーク5を介して本システム提供事業者が提供するDX事業モデル研修に係わる学習支援サービスを利用することができる。
【0027】
図5は、図4に示すカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムの管理サーバ及び利用者端末の構成例を示す概略図である。
【0028】
本実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システム1Aの管理サーバ2Aは、汎用のサーバコンピュータであって、図示しないが、中央処理装置(CPU)並びにROM及びRAM等を有して、所定のプログラムを実行し、各種のデータ処理やシステムの制御を行う制御部200と、各種のプログラム及びデータを格納する記憶部210を含む。さらに、制御部200で所定のプログラムを実行することで機能するサービス処理部220及びデータ処理部230、利用者端末3とのネットワーク接続を行うネットワーク通信部240、及びデータベース250を含む。
【0029】
サービス処理部220は、Webサーバ機能を果たし、サービス要求受け付け手段として利用者端末3からのサービス要求を受け付け、データベース250及びネットワーク通信部240と連携して、利用者の要求に応じたサービスに係る処理を実行する。このサービスに係る処理の詳細については後述する。なお、具体的な入出力装置や周辺装置については一般的なコンピュータシステムにより具現可能なため、その説明を省略する。
【0030】
データベース250は、学習用カードデータベース260及び利用者登録テーブル270を含み、サービス処理部220からの要求に応じて、学習用カードデータベース260に保存されている各学習用カードに関連付けられた解説情報を提供するための学習用情報の保存手段を構成する。
【0031】
学習用カードデータベース260には、図2を参照して説明した各学習用カード10の表面10f及び裏面10bの画像データと、裏面10bの画像データに含まれる二次元バーコード15に関連付けられた事業デジタル化に用いられる個別技術要件の詳細な説明及び協賛企業等の紹介情報とが、この画像データに含まれるインデックス番号に関連付けられて保存される。
【0032】
利用者登録テーブル270には、例えば、利用者毎の名前、住所、サービス購入内容、及び利用者識別番号(利用者ID)を含む利用者情報ファイルが登録される。
【0033】
ネットワーク通信部240は、管理サーバ2Aと利用者端末3との間のインターネット等の通信ネットワークを介した接続を行う。
【0034】
利用者端末3は、利用者がインターネット等の通信ネットワークに接続可能(モデムやターミナルアダプタと、通信ソフト及びWebブラウザ等の閲覧ソフトを有する)な情報機器として使用されるコンピュータ端末である。
【0035】
利用者端末3には、図5に示すようにCPU311と、記憶装置312と、キーボード、マウス、カメラ、マイク等の入力装置313と、ディスプレイ等の表示装置314と、スピーカーやイヤホン等への音声出力を行う音声出力装置315と、インターネット等の通信ネットワークを介してカードゲーム式事業デジタル化学習支援システム1Aの管理サーバ2Aと通信を行う通信装置316と、上述した各装置間のデータの送受信を行うためのインターフェイス317とを備え、記憶装置312には、通信ソフト、Webブラウザ等の閲覧ソフト、Web会議のための会議ソフト、履歴情報、個人情報等が格納され、CPU311が上述した各装置と連携し、これらのソフト(ソフトウェアプログラム)を実行して各機能を遂行する。なお、利用者端末3は、据え置き型のコンピュータに限定されず、タブレット端末、スマートフォン、スマートグラスなどであってもよい。
【0036】
次に、本発明の一実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムの動作について説明する。
【0037】
図6は、本発明の一実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムにおけるサービス提供時の動作を説明するための図であり、利用者がインターネットを利用して学習支援を受ける手順を示す図である。
【0038】
本実施形態において、カードゲーム式事業デジタル化学習支援システムの利用者は、予め本システムの提供事業者と利用契約を結んでおく。このとき、利用者の認証手段を確立しておく(例えば、利用者IDの発行)と、後述する各種サービス購入時の手続を円滑に進めることができる。
【0039】
本実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムによる学習支援サービスは、以下に示すような手順で行われる。
【0040】
まず、本システムの利用登録が完了した利用者には予め電子メール等でカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムの管理サーバ2Aへのアクセス先となるURL(Uniform Resource Locator)が通知される。URLには利用者を特定する情報が引数(パラメータ)として含まれ、利用者毎にユニークな情報として提供される。
【0041】
図6に示すように、利用者端末3は、URL情報を使ってカードゲーム式事業デジタル化学習支援システム1Aの管理サーバ2Aに接続される。管理サーバ2Aのサービス処理部220は、URLに含まれる利用者を特定する情報に基づいて、これに対応する利用者情報をデータベース250から読み出して入力受付Webページ201として生成し、生成した入力受付Webページ201を利用者端末3に表示させる。上記の手段と手順により利用者端末3が、カードゲーム式事業デジタル化支援システム1Aに接続される。
【0042】
一方、利用者端末3が、タブレット端末、スマートフォン、スマートグラスなどの場合は、予め、管理サーバ2Aから、カードゲーム式事業デジタル化支援システムを利用するためのアプリ(アプリケーションプログラム)をダウンロードし、このアプリを通じて利用者登録や、各種サービスの提供を受ける構成とすることができる。この場合、URLを用いたWebページを介しての入力や各種画面操作などは、アプリで代替される。
【0043】
利用者は、ある学習用カード10に記載された事業デジタル化に用いられる個別技術要素について、より詳しい説明を知りたい場合、当該学習用カード10の裏面10bに表示された二次元バーコード15を利用者端末3のカメラで撮影し、撮影した二次元バーコード15の画像を管理サーバ2Aに送信する。
【0044】
管理サーバ2Aのデータ処理部230は、利用者端末3から受信した学習用カード10の二次元バーコード15の画像を読み取って、データベース250の学習用カードデータベース260から、読み取った二次元バーコード15に対応する学習用カード10の詳細な説明情報を、利用者端末3に送信する。これにより、利用者は、知りたいと思った技術に関する詳しい説明を容易に取得することができる。
【0045】
なお、上述した学習用カードに記載された事業デジタル化に用いられる個別技術要素に対する詳しい説明を取得する方法は、二次元バーコード15を用いる構成に限定されず、当該学習用カード10の裏面10bに表示されたインデックス番号や、当該学習用カード10の表面10fに記載された項目名11を利用者端末3のカメラで撮影し、撮影したインデックス番号や項目名の画像を管理サーバ2Aに送信し、管理サーバ2Aのデータ処理部230が、データ処理部230に含まれる画像認識手段により、インデックス番号や項目名を読み取って(認識して)、データベース250の学習用カードデータベース260から、読み取ったインデックス番号や項目名に対応する学習用カード10の詳細な説明情報を、利用者端末3に送信するようにしてもよい。なお、これに対応できるよう、学習用カードデータベース260は、二次元バーコード、インデックス番号、及び項目名で検索可能に構成されることが好ましい。
【0046】
次に、本実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムによる他の学習支援サービスとして、本システムの利用者は、当該利用者が参加したワークショップ(DX事業モデル研修)の成果物として、完成したDX事業モデルに対応する、複数の学習用カード10が載置されたゲームボード100の全体を、利用者端末3のカメラで撮影し、撮影したゲームボード100の全体画像を管理サーバ2Aに送信すると、管理サーバ2Aは、受信したゲームボード100の全体画像をデータ処理部230で画像認識し、ゲームボード100に載置された各学習用カード10の種類と配置に基づいて、完成したDX事業モデルに対応したシステム構成図面又は仕様書の見本を生成し、生成したシステム構成図面又は仕様書の見本を利用者端末3に返信するサービスを受けることができる。
【0047】
この時、システム構成図面又は仕様書の見本の生成に加えて、管理サーバ2Aは、受信したゲームボード100の全体画像から読み取ったDX事業モデルに対して、予めデータベース250に保存された標準的なDX事業モデルの事例集の中から、類似度の高い標準的なDX事業モデルを選定し、選定された標準的なDX事業モデルとの比較評価を行って、ゲームボード100の全体画像から読み取ったDX事業モデルの構成中に選択ミス(不適切な個別技術要素のカード選択や不適切なカード配置など)があるか否かを判定し、所定の採点基準に基づいて、読み取ったDX事業モデルの完成度を採点して、ゲームボード100に載置された各学習用カードの適否(若しくは正誤)、選定された標準的なDX事業モデルのシステム構成との類似度、及び採点結果を利用者端末3に返信するサービスを提供する構成をさらに備えることができる。なお、完成度を採点するための採点基準は、例えば、課題設定から期待される出力が何割実現されたか、採点対象のシステム構成の冗長度(使用した個別技術要素の数)などを、標準的なDX事業モデルの該当する項目に対して設定した数値指標として、設定することができる。
【0048】
なお、DX事業モデルの構成中に選択ミスがあるか否かを判定したり、完成度を採点する処理は、予め利用者端末3側に当該処理を行うアプリをダウンロードして、利用者端末3側で実行する構成(所謂、エッジコンピューティング)とすることも可能である。
【0049】
管理サーバ2Aは、上述したワークショップで完成したDX事業モデルの採点処理を通じて、学習(ワークショップで完成したDX事業モデルを学習データとする機械学習)を行い、事例集に含まれる標準的なDX事業モデルを更新したり、新たなDX事業モデルとして登録する処理を実行するように構成され得る。
【0050】
図7は、ゲームボードに載置された学習用カードの種類と配置に基づいて、完成したDX事業モデルに対応したシステム構成図面又は仕様書の見本を生成する手順を説明するための図である。
【0051】
図7に示すゲームボード100には、異なる技術分野の中から選択された複数の学習用カード(AI関連カード20a~20e、データ関連カード30a~30e、システム関連カード40a~40b、デバイス関連カード50a~50b)が載置され、同一カテゴリーの複数の学習用カードを囲む区画枠70と、異なる区画枠の間に所定の方向を指示する矢印マーク80が記入されている。なお、矢印マーク80は、直線的に配置されていない区画枠の間を結ぶために、屈曲部分を含む矢印コネクタの形式を使用してもよい。また、区画枠70及び矢印マーク80は、手書きされるか、又は予め矢印や枠が印刷されたシートを使用してもよい。
【0052】
本実施形態による管理サーバ2Aのデータ処理部230は、学習用カード10の表面10f又は裏面10bに表示された画像と、ゲームボード100に記入(配置)された区画枠70及び矢印マーク80を、画像認識手段で認識し、認識された学習用カード10の画像内容と、区画枠70及び矢印マーク80の方向に基づいて、完成したDX事業モデルに対応したシステム構成図面又は仕様書の見本を生成する。なお、ゲームボード100に載置された学習用カード10の上下左右の向きは、表面に記載された項目名11の位置または裏面に表示された絵柄17の位置などを利用して判別することができる。
【0053】
その後、管理サーバ2Aは、生成したシステム構成図面又は仕様書の見本をネットワーク通信部240を介して、利用者端末3に送信する。これにより、利用者は、ワークショップを通じて得られた成果物を容易に図面化又は仕様書化して取得することができる。
【0054】
また、管理サーバ2Aから送信される完成したDX事業モデルに対応したシステム構成図面又は仕様書の見本には、DX事業モデルに対する採点結果や個別技術要素の選択に関する正誤表が添付されてもよい。
【0055】
以下、本発明の他の実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムについて説明する。
【0056】
図8は、本発明の他の実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムの全体構成を示す概略図である。図2及び図3を参照して説明した学習用カード10及びゲームボード100の実施形態では、これらの構成物を物理的かつ有形の存在(実体)として説明したが、本発明の他の実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムでは、このような学習用カード10及びゲームボード100をコンピュータ上で仮想的に実現する。すなわち、後述するコンピュータ端末のディスプレイ上に、学習用カード10と、ゲームボード100とが画像で表示される。また、研修者A~C、及び講師Sもアイコン又は画像で表示される。
【0057】
図8に示すように、本発明の他の実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システム1Bは、インターネット等の通信ネットワーク5を介して、管理サーバ2B、ユーザ企業のクライアントコンピュータ4、及び個人として本システム提供事業者が提供する「DX事業モデル研修」のサービスを利用する複数の利用者端末(6a、6b)が接続されて構成される。また、管理サーバ2Bは、通信ネットワーク5を介して協賛企業等が運営するアプリ情報提供サーバ7に接続されてもよい。管理サーバ2Bは、本発明の他の実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システム1Bの提供事業者が運営管理するサーバコンピュータである。
【0058】
本実施形態による管理サーバ2Bは、学習用カードに関連したHTML文書や画像情報、さらに本システムで独自に学習されたコンテンツ等を蓄積しておき、Webブラウザを実装したWebクライアント(ユーザ企業のクライアントコンピュータ4及び複数の利用者端末(6a、6b))とネットワークを介して、例えば、HTTPで通信し、これらの情報をWebクライアントへ送信する所謂Webサーバとしての機能を備える。また、管理サーバ2Bは、各種プログラムの実行環境やデータベースへの接続機能、特に、学習用カードを利用した学習サービス、すなわち、DX事業モデル研修に関連する処理の流れを規定した各種プログラムが実装されたアプリケーションサーバでもある。
【0059】
ユーザ企業のクライアントコンピュータ4は、通信ネットワーク5を介して管理サーバ2Bにアクセス可能に接続される。また、ユーザ企業のクライアントコンピュータ4は、サーバ機能を備えて、社内ネットワーク等を介して社員端末(A1、A2)からアクセス可能に構成されてもよい。社員端末(A1、A2)は、一般的なパーソナルコンピュータ(PC)、携帯型PC、タブレット端末などである。ユーザ企業のクライアントコンピュータ4は、管理サーバ2Bと通信して、当該コンピュータ自身又は社員端末が備える入出力装置を使用して、本サービスの利用者に対して、DX事業モデル研修の実行処理に伴う各種情報の入力及び出力手段を提供する。ここで、入出力装置は、個別のディスプレイやキーボード及びポインティング装置で構成されるか、又はタッチ入力機能を備えた表示パネル等で構成される。また、手書き入力にも対応していることが好ましい。
【0060】
利用者端末(6a、6b)は、通信ネットワーク5にアクセス可能な環境下にあって、本実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システム1Bを利用する個人ユーザが所有するコンピュータ端末である。利用者端末(6a、6b)は、一般的なパーソナルコンピュータ(PC)、携帯型PC、タブレット端末、スマートフォンなどで構成される。各利用者端末は、管理サーバ2Bと通信して、利用者端末が備える入出力装置を使用して、利用者に対し、後述する学習用カード情報の入出力手段を提供する。なお、利用者端末が備える入出力装置は、手書き入力に対応していることが好ましい。
【0061】
ユーザ企業のクライアントコンピュータ4及び社員端末(A1、A2)と、利用者端末(6a、6b)とは、Webページを閲覧し、所定のデータをWebサーバに送信するためのWebブラウザや、電子メールシステムのためのソフトウェアを実装する。
【0062】
但し、上述した学習用カードを利用した学習サービス(DX事業モデル研修)を実現するための構成は、Webブラウザを利用した方法に限定されるものではなく、本学習サービスをサポートするアプリケーションプログラム(アプリともいう)を、予め管理サーバ2Bからユーザ企業のクライアントコンピュータ4に接続された社員端末(A1、A2)及び複数の利用者端末(6a、6b)にダウンロードし、このアプリを通じて、入出力を含む各種操作を行う構成とすることができる。
【0063】
図9は、本発明の他の実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムの管理サーバの構成を示すブロック図である。
【0064】
図9に示すように、管理サーバ2Bは、汎用のサーバコンピュータであって、図示しないが、中央処理装置(CPU)並びにROM及びRAM等を有して、所定のプログラムを実行し、各種のデータ処理やシステムの制御を行う制御部200と、各種のプログラム及びデータを格納するSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)等からなる記憶部210と、キーボードやマウス等の入力機器を介してユーザからの指令や各種データの入力を受け付ける入力部202と、液晶ディスプレイ等の表示機器に画像や文字等を出力して表示させる表示部203と、プリンタやコンピュータ読み取り可能な記録媒体へのデータ書き込み装置等にデータを出力する出力部204と、を含む。さらに、管理サーバ2Bは、ユーザ企業のクライアントコンピュータ4、利用者端末(6a、6b)、及びアプリ情報提供サーバ7とのネットワーク接続を行うためのネットワーク通信部240を含み、学習用カードデータベース260及び利用者登録テーブル270を含むデータベース250に接続される。
また、制御部200は、所定のプログラムを実行することで具現されるサービス処理部220及びデータ処理部230を制御する。
【0065】
本実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システム1Bの管理サーバ2Bは、認証機能を有して、ユーザ企業の予め登録された特定の社員(以下、認定者という)と、その他の一般社員及び個人利用者とで、使用できる機能を分けるように構成され得る。この場合、管理サーバ2Bは、アクセス要求者を認証した結果に基づいて、認証レベルに応じたDX事業モデル研修に関連する各処理を実行し、所定の応答をアクセス元のクライアントコンピュータ又は各端末(社員端末及び利用者端末)に送信する形態で構成され得る。
【0066】
先に説明した実施形態と同様に、本発明の他の実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムも、利用に先立って、本システムの提供事業者と利用契約を結び、利用者の認証手段としての利用者IDを取得しておく。
【0067】
各利用者は、それぞれの端末装置(社員端末及び利用者端末)から、本システムの利用登録が完了した利用者に通知されたカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムへのアクセス先のURL(Uniform Resource Locator)を使って、カードゲーム式事業デジタル化学習支援システム1Bの管理サーバ2Bにアクセスする。
【0068】
図10は、本発明の他の実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムの管理サーバから利用者端末に送信されるDX事業モデル研修用のWebページ構成例を示す図である。
【0069】
管理サーバ2BはURLに含まれる利用者を特定する情報に基づいて、対応する利用者情報をデータベース250から読み出してDX事業モデル研修用のWebページ501を生成して、アクセス元の利用者の端末装置(社員端末及び利用者端末)の画面に、DX事業モデル研修用のWebページ501を表示させる。Webページ501には仮想のゲームボード500が表示され、さらに学習用カードを選択するためのGUI画像502や、所定の操作用アイコン503が表示される。さらに、カードゲーム式事業デジタル化学習支援システム1Bは、複数の利用者が同時に参加する場合にも対応し、この場合には、複数の利用者がそれぞれの端末装置の画面上で同じWebページ501を共有し、当該Webページ501には利用者を特定するための画像504が表示されるようにしてもよい。
【0070】
各利用者は、操作用アイコンやポインティングツール(以下、ポインタという)を使用して、各利用者が使用する端末装置(社員端末及び利用者端末)の画面に表示された仮想のゲームボード500に、所望の学習用カードを載置し、その配置位置を任意に動かしたり、枠線や矢印を加えたりすることができる。また、個々の学習用カードを指定して、当該学習用カードに関連付けられた解説情報を取得することができる。個々の学習用カードを指定する方法は、当該学習用カードをポインタでダブルクリックしたり、当該学習用カードに表示された二次元バーコードを選択した上、管理サーバ2Bに送信したりすることで実行され、このように指定された当該学習用カードに関連付けられた解説情報を取得することができる。
【0071】
また、本実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムは、複数の利用者が同時に管理サーバ2Bにアクセス可能とする構成をサポートすることにより、コンピュータ上で仮想のワークショップを実現することができる。この場合、管理サーバ2Bは、複数の利用者が利用者間で互いに討議することを可能とするため、Web会議用のツール及びソフト(アプリケーションプログラム)をサポートするよう構成される。仮想のワークショップの進行は、先に説明した実物の学習用カード10とゲームボード100を使用した実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0072】
上記の仮想のワークショップに参加した各利用者は、当該利用者が参加したワークショップの成果物として、それそれの端末装置(社員端末及び利用者端末)の画面上で、完成したDX事業モデルに対応する仮想のゲームボード500全体をポインタ等を使って選択し、選択された表示画像に対応する(該表示画像を構成する)画像データを管理サーバ2Bに送信することで、ゲームボード500に載置された複数の学習用カードの種類と配置位置、及び区画枠や矢印マークを、管理サーバ2Bが認識し、送信したゲームボードの表示画像に対応したシステム構成図面又は仕様書の見本を生成して、各利用者が使用する端末装置に返信することも可能である。なお、各利用者それそれの端末装置に表示されるゲームボード500の画像は、複数の利用者が同時に参加するワークショップの場合、複数の利用者間で共有された画像が表示されたものである。一方、各利用者が単独で、DX事業モデル研修を行った場合は、当該利用者の端末装置に表示されるゲームボード500の画像は、利用者個別の研修の成果物となる画像が表示されたものとなる。
【0073】
また、管理サーバ2Bは、受信したゲームボード500の表示画像に対応する画像データから読み取ったDX事業モデルに対して、予めデータベース250に保存された標準的なDX事業モデルの事例集の中から、類似度の高い標準的なDX事業モデルを選定し、選定された標準的なDX事業モデルとの比較評価を行って、読み取ったDX事業モデルの構成中に選択ミス(不適切な個別技術要素のカード選択や不適切なカード配置など)があるか否かを判定し、所定の採点基準に基づいて、読み取ったDX事業モデルの完成度を採点して、各利用者が使用する端末装置に返信するサービスを提供することができる。なお、完成度を採点するための採点基準は、図6を参照して説明した実施形態と同様に設定してもよい。
【0074】
図11は、本発明の他の実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムの管理サーバから利用者の端末装置に送信されるアプリ情報提供サーバへのリンク構成の一例を示す図である。
【0075】
本発明の他の実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムは、付加機能として、上述した仮想のゲームボード500全体に載置された複数の学習用カードの配置から、完成したDX事業モデルに対応したシステム構成図面又は仕様書の見本を生成する段階において、管理サーバ2Bは、複数の学習用カードの中に、事業デジタル化に用いられる機能的手段(例えば、音声や画像認識手段、各種センサや計測機器など)を示す学習用カードが含まれる場合、その機能的手段を提供する予め登録された協賛企業等への紹介情報を利用者が使用する端末装置に送信する。
【0076】
各学習用カードの画像データには、協賛企業等のアプリ情報提供サーバ7のサービス受け付けWebページ701へのリンクが張られており、例えば、DX事業モデル研修用のWebページ501で、紹介情報が通知された学習用カードが選択される(ポインタでダブルクリック)と、管理サーバ2Bから送信された学習用カード情報が協賛企業等のアプリ情報提供サーバ7に通知される。これは、例えば、インターネットアプリケーションのハイパーリンク機能によって、リンク情報のパラメータとして管理サーバ2Bから協賛企業等のアプリ情報提供サーバ7に渡すことができる。なお、このようなパラメータ情報は暗号化して通知することが望ましい。
【0077】
なお、本発明の他の実施形態によるカードゲーム式事業デジタル化学習支援システムで、上述した学習用カードを利用した学習サービスを実現するための構成は、Webブラウザを利用した方法に限定されるものではなく、本学習サービスをサポートするアプリケーションプログラム(アプリともいう)を、予め管理サーバ2Bからユーザ企業のクライアントコンピュータ4に接続された社員端末(A1、A2)及び複数の利用者端末(6a、6b)にダウンロードし、このアプリを通じて、上述した各種操作を行う構成とすることができる。
【0078】
上述の構成により、利用者は、システム構成図面又は仕様書の見本に記載された各機能的手段に関する実用可能な商品情報を取得することができ、取得した機能的手段を協賛企業等から購入してシステム構成図面に従って連結することで、ノーコード・ローコードのシステム開発を進めることができる。
【0079】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0080】
1A、1B カードゲーム式事業デジタル化学習支援システム
2A、2B 管理サーバ
3、6a、6b 利用者端末
4 クライアントコンピュータ
5 通信ネットワーク
7 アプリ情報提供サーバ
10 学習用カード
11 項目名
12 説明用画像
13 解説文
14、16 色帯
15 二次元バーコード
17 絵柄
18 紹介情報
20 AI関連カード
30 データ関連カード
40 システム関連カード
50 デバイス関連カード
70 区画枠
80 矢印マーク
100、500 ゲームボード
200 制御部
201 入力受付Webページ
202 入力部
203 表示部
204 出力部
210 記憶部
220 サービス処理部
230 データ処理部
240 ネットワーク通信部
250 データベース
260 学習用カードデータベース
270 利用者登録テーブル
311 CPU
312 記憶装置
313 入力装置
314 表示装置
315 音声出力装置
316 通信装置
317 インターフェイス
501、701 Webページ
502 GUI画像
503 操作用アイコン
504 画像

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11