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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123387
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】電池ユニット、蓄電装置、及び車両
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6556 20140101AFI20220817BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20220817BHJP
   H01M 10/6562 20140101ALI20220817BHJP
   H01M 10/6566 20140101ALI20220817BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20220817BHJP
   H01M 10/6551 20140101ALI20220817BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20220817BHJP
   H01M 50/20 20210101ALI20220817BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20220817BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M10/613
H01M10/6562
H01M10/6566
H01M10/625
H01M10/6551
H01M10/651
H01M2/10 S
B60K1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020672
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】矢ケ▲崎▼ 義嗣
(72)【発明者】
【氏名】桑原 康雄
(72)【発明者】
【氏名】田中 大智
【テーマコード(参考)】
3D235
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
3D235BB36
5H031AA09
5H031HH08
5H031KK01
5H031KK08
5H040AA01
5H040AA14
5H040AA28
5H040AS07
5H040AT06
5H040AY05
5H040CC33
5H040NN01
(57)【要約】
【課題】部品点数が削減され、かつ剛性と強度がさらに向上した電池ユニット、蓄電装置、及び車両を提供する。
【解決手段】電池ユニットは、内側の空間が一方向に冷媒が流通する冷却通路とされた筒状をなすとともに、筒状の内外を貫通する複数の差込用孔部が形成されたフレームと、差込用孔部に対応するように複数が設けられた電池モジュールと、を備え、各電池モジュールは、フレームの外周面に設けられた電池モジュール本体と、電池モジュール本体に一体に設けられ、差込用孔部にはめ込まれていることで冷却通路内に位置しているとともに、一方向に延びている複数の冷却用フィンと、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側の空間が一方向に冷媒が流通する冷却通路とされた筒状をなすとともに、該筒状の内外を貫通する複数の差込用孔部が形成されたフレームと、
前記差込用孔部に対応するように複数が設けられた電池モジュールと、
を備え、
各前記電池モジュールは、
前記フレームの外周面に設けられた電池モジュール本体と、
該電池モジュール本体に一体に設けられ、前記差込用孔部にはめ込まれていることで前記冷却通路内に位置しているとともに、前記一方向に延びている複数の冷却用フィンと、
を有する電池ユニット。
【請求項2】
前記電池モジュールを外周側から囲むとともに両端部が前記フレームに固定されている押さえ部材をさらに備える請求項1に記載の電池ユニット。
【請求項3】
前記複数の差込用孔部は、前記一方向に配列されているとともに前記冷却通路を挟んで互いに対向するように配置されている請求項1又は2に記載の電池ユニット。
【請求項4】
前記冷却通路を挟んで対向する一対の前記差込用孔部にそれぞれはめ込まれている前記複数の冷却用フィンは、上下方向にずれて配列されている請求項3に記載の電池ユニット。
【請求項5】
前記フレームの上面に設けられ、前記電池モジュールから延びるハーネスを集約する集約部材をさらに備える請求項1から4のいずれか一項に記載の電池ユニット。
【請求項6】
前記一方向に配列された請求項1から5のいずれか一項に記載の電池ユニットを複数備え、
互いに隣り合う一対の前記フレームの端部同士を接続するとともに弾性変形可能な材料で形成された弾性接続部をさらに備える蓄電装置。
【請求項7】
前記冷却通路に冷媒を圧送するファン部と、
該ファン部と前記冷却通路の端部とを接続し、前記ファン部から前記冷却通路に向かうに従って流路断面積が次第に減少するダクト部と、
をさらに備える請求項6に記載の蓄電装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の蓄電装置を有する車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池ユニット、蓄電装置、及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン電池に代表される蓄電装置を搭載した車両の実用化が進められている。特に、この種の蓄電装置を電動機の電力源として用いる例も増えている。この場合、大容量の蓄電装置が必要となることから、当該蓄電装置の発熱が増大する点が懸念される。そこで、例えば下記特許文献1に記載された構成が提案されている。下記特許文献1に係る装置では、開口部を有するフレームによって蓄電素子を覆い、隣接するフレーム同士の間に風路接続材を設けて開口部を接続する構成が採られている。フレーム内に冷媒を送り込むことで冷媒が蓄電素子の外側を流れ、冷却効果が得られるとされている。
また、この種の蓄電装置では、電池セルの動作に伴って表面に結露が生じる場合がある。さらに、保管中の気温変化によって電池セルの表面に結露が発生することもある。このような結露を防止するための措置として、下記特許文献2には、電池セルの少なくとも一部を結露防止シートによって被う構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6238106号公報
【特許文献2】特許第6157460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようにフレームと風路接続材を用いる場合、部品点数が増加して製造コストやメンテナンスコストが上昇する虞がある。さらに、蓄電装置を車両に搭載する場合には、耐衝撃性や耐振動性を高めるために、各部品の剛性や強度を確保する必要がある。その場合も、剛性や強度を補うための部品の点数が増加する傾向にある。さらに、上記特許文献2のように結露防止シートで電池セルを覆うのみでは結露の発生を十分に防げない可能性がある。
【0005】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、部品点数が削減され、かつ剛性と強度、及び耐結露性がさらに向上した電池ユニット、蓄電装置、及び車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る電池ユニットは、内側の空間が一方向に冷媒が流通する冷却通路とされた筒状をなすとともに、該筒状の内外を貫通する複数の差込用孔部が形成されたフレームと、前記差込用孔部に対応するように複数が設けられた電池モジュールと、を備え、各前記電池モジュールは、前記フレームの外周面に設けられた電池モジュール本体と、該電池モジュール本体に一体に設けられ、前記差込用孔部にはめ込まれていることで前記冷却通路内に位置しているとともに、前記一方向に延びている複数の冷却用フィンと、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、部品点数が削減され、かつ剛性、強度、及び耐結露性がさらに向上した電池ユニット、蓄電装置、及び車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態に係る車両の一例を示す側面図である。
図2】本開示の実施形態に係る蓄電装置の構成を示す斜視図である。
図3】本開示の実施形態に係る蓄電装置の構成を示す平面透視図である。
図4】本開示の実施形態に係る電池ユニットの構成を示す斜視図である。
図5図4におけるV-V線矢視断面図である。
図6】本開示の実施形態に係る電池ユニットの変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態に係る車両100、及び蓄電装置90について、図1から図5を参照して説明する。
(車両の構成)
本実施形態に係る車両100は、主として不整地を移動することを目的として用いられる輸送機械である。一例として図1に示すように、車両100は、車体1と、駆動機構2と、蓄電装置90と、を備えている。(なお、車両100として、下記に示す駆動機構2の代わりに車輪を備える装輪車両や重装輪車両等を含むオフロード特殊自動車を適用することも可能である。)
【0010】
車体1は、乗員や荷物、エンジンや変速機等が収容される車筐1Aと、車筐1Aの幅方向両側に設けられた複数の車輪と、を有している。より具体的には、それぞれ1つの起動輪11と、1つの誘導輪12と、複数(一例として5つ)の下部転輪13Aと、複数(一例として5つ)の上部転輪13Bと、が設けられている。起動輪11は、車筐1Aの前方側の端部に取り付けられている(なお、起動輪11が車筐1Aの後方側に設けられる構成を採ることも可能である。)。起動輪11は、後述するクローラ3に係合する複数の歯部を有している。起動輪11とクローラ3とは駆動機構2を構成している。起動輪11は、エンジンから伝達された動力によって車両100の幅方向に延びる回転軸回りに回転駆動される。なお、以降の説明では、車両100の幅方向を単に「幅方向」と呼ぶ。
【0011】
誘導輪12は、車筐1Aにおける起動輪11とは反対側の端部に設けられている。誘導輪12は、幅方向に延びる回転軸回りに回転自在とされている。言い換えると、誘導輪12には動力は与えられない。下部転輪13Aは、車筐1Aの下部に設けられ、車体1の荷重を支持しつつ、幅方向に延びる回転軸回りに回転自在とされている。上部転輪13Bは、クローラ3の垂れ下がりを防止するため、下部転輪13Aの上方であって、起動輪11と誘導輪12との間に設けられている。
【0012】
(駆動機構の構成)
これら起動輪11、誘導輪12、下部転輪13A、及び上部転輪13Bには、無限軌道としてのクローラ3が外側から囲むようにして巻回されている。より具体的には、クローラ3は、起動輪11から上部転輪13Bを経て誘導輪12に向かって延びるとともに、誘導輪12から下部転輪13Aを経て起動輪11まで延びている。以降の説明では、このクローラ3の延びる方向を「巻回方向」と呼ぶ。
【0013】
クローラ3は、主として鉄によって形成された複数の履板3Bを有している。起動輪11の爪がクローラ3に係合した状態で当該起動輪11を回転させることによって当該クローラ3に駆動力を与えられる。つまり、クローラ3は、巻回方向におけるいずれか一方側に向かって転動する。なお、クローラ3の駆動方式は上記に限定されず、例えば下部転輪13A又は上部転輪13Bによって駆動される方式を採ることも可能である。また、誘導輪12を備えない構成を採ることも可能である。
【0014】
クローラ3は、一例として巻回方向における中途位置で複数に分割されている。つまり、一定の単位長さを有する複数のユニットを連結することで、環状のクローラ3が形成されている。なお、連続する1つのユニットの両端部同士を接続することで環状のクローラ3を構成してもよい。
【0015】
(蓄電装置の構成)
次いで、蓄電装置90の構成について図2から図5を参照して説明する。蓄電装置90は車体1の内部に搭載され、補器類や動力装置の電源として用いられる。図2図3に示すように、蓄電装置90は、複数(一例として2つ)の電池ユニット80と、弾性接続部70と、ケース50と、ファン部60と、ダクト部61と、を備えている。
【0016】
(電池ユニットの構成)
図4に示すように、電池ユニット80は、フレーム81と、このフレーム81に固定された複数の電池モジュール82と、押さえ部材83と、を有する。フレーム81は、電池モジュール82に対する冷却(冷媒の供給)と、電池ユニット80自体の剛性・強度の確保とを目的として設けられている。
【0017】
フレーム81は、アルミ等の金属材料で形成され、上下方向を長手方向とする矩形の断面形状を有する筒状をなしている。フレーム81の内側の空間は、一方向に冷媒(空気)が流通可能な冷却通路Fとされている。なお、以下の説明では、フレーム81が延びる方向を主方向Dmと呼ぶ。図5に示すように、フレーム81の側面(つまり、主方向Dmから見た場合の側面)には、それぞれ取付用孔部Hが形成されている。取付用孔部Hは、フレーム81の各側面上で、主方向Dmに間隔をあけて複数(一例として3つずつ)形成されている。言い換えれば、差込用孔部Hは、主方向Dmに配列されているとともに冷却通路Fを挟んで互いに対向するように配置されている。これら差込用孔部Hには電池モジュール82がはめ込まれている。したがって、本実施形態では計6つの電池モジュール82が電池ユニット80に設けられている。
【0018】
図5に示すように、電池モジュール82は、蓄電素子を収容する電池モジュール本体82Aと、この電池モジュール本体82Aに取り付けられたヒートシンク84と、を有している。ヒートシンク84は、電池モジュール本体82Aに当接する板状のヒートシンク本体84Aと、ヒートシンク本体84Aから突出する複数の冷却用フィン84Bと、を有している。電池モジュール82が取付用孔部Hにはめ込まれている状態では、これら複数の冷却用フィン84Bは、上下方向に間隔をあけて配列されている。また、各冷却用フィン84Bは主方向Dmに延びる板状をなしている。フレーム81を介して互いに対向するヒートシンク84同士の間では、冷却用フィン84Bの上下方向の位置が異なっている。つまり、これら冷却用フィン84Bは上下方向に互いにずれて配置されている。(なお、対向する冷却用フィン84Bの上下方向の位置が同一である構成を採ることも可能である。)
【0019】
再び図4に示すように、フレーム81のそれぞれの側面に位置する3つずつの電池モジュール82は、押さえ部材83によって当該フレーム81に対して脱落不能に固定されている。より具体的には押さえ部材83は、3つの電池モジュール82を外周側から囲む帯状をなすとともに、その両端部がフレーム81の側面に固定されている。(なお、押さえ部材83が1つのみの電池モジュール82を囲む構成を採ることも可能である。)
【0020】
(弾性接続部の構成)
蓄電装置90は、以上のように構成された電池ユニット80を複数(一例として2つ)有している。2つの電池ユニット80は主方向Dmに間隔をあけて配列されている。弾性接続部70は、それぞれの電池ユニット80のフレーム81の端部同士を主方向Dmに接続している。弾性接続部70は、例えばゴムや塩化ビニル等の弾性変形可能な樹脂材料で形成されている。弾性接続部70はフレーム81の形状に対応して筒状をなしている。したがって、一対のフレーム81内の冷却通路Fは弾性接続部70を介して互いに連通している。
【0021】
(ケースの構成)
図1又は図2に示すように、ケース50は、これら電池ユニット80を外側から覆っている。ケース50は樹脂やアルミ等の軽金属で一体成型されることが望ましい。主方向Dmにおけるケース50の各端面には、ファン部60が設けられている。ファン部60は、ケース50(冷却通路F)内に向かって外部の空気を圧送するか、又はケース50(冷却通路F)内の空気を外部に排出するために設けられている。ファン部60は、複数(一例として4つ)のファン本体60Aを有している。ファン本体60Aは電動機によって羽根車を回転させ、ケース50内外で空気を流通させる。4つのファン本体60Aは格子状に配列されている。主方向Dmにおける一方側のファン部60はケース50(冷却通路F)内に向かって空気を圧送するように構成され、他方側のファン部60は空気を排出させるように構成されていることが望ましい。なお、一対のファン部60がともに吸い込み、又は排出を行うように構成されていてもよい。
【0022】
図3に示すように、ケース50内におけるファン部60とフレーム81(冷却通路F)の端部との間には、ダクト部61が設けられている。ダクト部61は、ファン部60によって圧送された外部の空気を冷却通路F内に向かって案内する。ダクト部61は、ファン部60から冷却通路Fに向かうに従って流路断面積が次第に減少している。したがって、ファン部60からダクト部61を経て冷却通路F内に空気が流れ込む際には空気の流速は上がる。一方で、冷却通路Fから空気が排出される際にはダクト部61を通過する際に流速が下がることとなる。
【0023】
(作用効果)
従来、蓄電装置90を構成するに当たっては、電池モジュール82をケース50のみによって覆うことで、当該ケース50を強度部材とすることが一般的であった。また、電池モジュール82の冷却を行うための装置をケース50内に別途設ける必要があった。しかしながら、この場合、部品点数が増加して製造コストやメンテナンスコストが上昇する虞がある。さらに、蓄電装置90を車両100に搭載する場合には、耐衝撃性や耐振動性を高めるために、各部品の剛性や強度を通常よりも大きく確保する必要がある。その場合も、剛性や強度を補うための部品の点数が増加する傾向にある。
【0024】
そこで、本実施形態では上述のように、フレーム81に強度と剛性を負担させるとともに、当該フレーム81内に冷却通路Fを形成している。さらに、フレーム81に形成された差込用孔部Hに電池モジュール82の冷却用フィン84Bがはめ込まれている。これにより、冷却用フィン84Bはフレーム81内の冷却通路Fに露出した状態となる。この冷却用フィン84Bに対して、主方向Dm一方側のファン部60によって圧送された外部の空気が冷媒として接触する。これにより、冷却用フィン84Bを介して電池モジュール本体82Aの熱を冷媒(空気)によって奪い、冷却することができる。冷却に供された空気は冷却通路Fを通じて他方側のファン部60によってケース50の外部に排出される。これにより、電池モジュール82を連続的かつ安定的に冷却し続けることが可能となる。
【0025】
さらに、フレーム81自体が電池ユニット80の剛性と強度を主となって負担することから、当該フレーム81は冷却通路Fを形成する部品と強度部材とを兼ねることとなる。これにより、強度部材を別個に用意する必要がなくなり、装置全体の部品点数を削減することが可能となる。その結果、製造コストやメンテナンスコストを大幅に削減することができる。
【0026】
また、上記構成によれば、押さえ部材83によって電池モジュール82がフレーム81に対して強固に固定される。これにより、電池モジュール82の脱落や位置ずれを回避することができる。つまり、この押さえ部材83によって電池モジュール82をフレーム81に密接させることで、フレーム81による剛性負担をさらに大きくし、蓄電装置90全体の強度をさらに向上させることができる。
【0027】
加えて、上記構成では、複数の差込用孔部Hが主方向Dmに配列されているとともに冷却通路Fを挟んで互いに対向するように配置されている。この構成によれば、複数の差込用孔部Hを通じて複数の電池モジュール82を効率的に冷却することができる。さらに、複数の電池モジュール82が冷却通路F(フレーム81)を挟んで対向して配置される。これにより、フレーム81は背骨のような役割を果たすことになり、例えば複数の電池モジュール82を外側から他の強度部材(外骨格)によって覆う構成に比べて強度や剛性をさらに高めることができる。
【0028】
また、上記構成によれば、対向して配置される冷却用フィン84Bが上下方向にずれて配列されていることから、冷媒の流路面積が確保されるとともに圧力損失が減少する。これにより、電池モジュール82をより効率的に冷却することができる。
【0029】
さらに加えて、上記構成によれば、互いに隣り合う一対のフレーム81の端部同士が弾性接続部70によって接続されている。これにより、フレーム81に外力が加わった場合には弾性接続部70がこの外力によって優先的に弾性変形する。その結果、フレーム81自体には外力の影響が及びにくくなり、電池モジュール82を外力から保護することができる。したがって、蓄電装置90の耐久性をさらに高めることが可能となる。
【0030】
さらに、上記構成によれば、ダクト部61の流路断面積が次第に減少していることから、ファン部60から冷却通路Fに至るまでの間に冷媒の流速を上げることができる。これにより、単位時間当たりにより多くの冷媒が冷却用フィン84Bに向かって供給されることとなる。その結果、冷媒による冷却効果をさらに向上させることができる。また、このように高速の冷媒が冷却通路Fを流通することで、電池モジュール82の表面に結露が生じる可能性も低減することができる。
【0031】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施形態について説明した。なお、本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば、上記実施形態では電池モジュール82から延びる配線(ハーネス)の取り回しについては説明を省略した。しかしながら、図6に示すように、それぞれの電池モジュール82から延びるハーネス41を、フレーム81の上面に設けられた集約部材40によって集約する構成を採ることが可能である。上記構成によれば、フレーム81の上面にハーネス41を集約することで、例えば各電池モジュール82から個別にハーネス41を取り回しした場合に比べて、配線に要する部品点数を削減することができる。また、ハーネス41が集約されることで、装置全体の寸法体格をさらに小さく抑えることも可能となる。
【0032】
また、上記実施形態では、フレーム81の各側面に3つずつ、計6つの電池モジュール82が設けられている例について説明した。しかしながら、電池モジュール82の個数は上記実施形態によっては限定されず、設計や仕様に応じて適宜変更することが可能である。さらに、上記実施形態ではフレーム81における互いに対向する2つの側面のみに電池モジュール82を設ける例について説明した。しかしながら、他の例として、フレーム81に対して3つ以上の方向から電池モジュール82を取り付ける構成を採ることも可能である。具体的には、フレーム81を円筒状に形成し、当該フレーム81に対して4つの方向から電池モジュール82を取り付ける例が考えられる。このような構成によっても上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0033】
<付記>
各実施形態に記載の電池ユニット80、蓄電装置90、及び車両100は、例えば以下のように把握される。
【0034】
(1)第1の態様に係る電池ユニット80は、内側の空間が一方向に冷媒が流通する冷却通路Fとされた筒状をなすとともに、該筒状の内外を貫通する複数の差込用孔部Hが形成されたフレーム81と、前記差込用孔部Hに対応するように複数が設けられた電池モジュール82と、を備え、各前記電池モジュール82は、前記フレーム81の外周面に設けられた電池モジュール本体82Aと、該電池モジュール本体82Aに一体に設けられ、前記差込用孔部Hにはめ込まれていることで前記冷却通路F内に位置しているとともに、前記一方向に延びている複数の冷却用フィン84Bと、を有する。
【0035】
上記構成によれば、フレーム81に形成された差込用孔部Hに電池モジュール82の冷却用フィン84Bがはめ込まれている。これにより、冷却用フィン84Bはフレーム81内の冷却通路Fに露出した状態となる。したがって、この冷却用フィン84Bを介して電池モジュール本体82Aの熱を冷媒によって奪い、冷却することができる。さらに、フレーム81自体が電池ユニット80の剛性と強度を負担することから、当該フレーム81は冷却通路Fを形成する部品と強度部材とを兼ねることとなる。これにより、強度部材を別個に用意する必要がなくなることから、装置全体の部品点数を削減することが可能となる。
【0036】
(2)第2の態様に係る電池ユニット80は、前記電池モジュール82を外周側から囲むとともに両端部が前記フレーム81に固定されている押さえ部材83をさらに備える。
【0037】
上記構成によれば、押さえ部材83によって電池モジュール82がフレーム81に対して強固に固定される。これにより、電池モジュール82の脱落や位置ずれを回避することができる。
【0038】
(3)第3の態様に係る電池ユニット80では、前記複数の差込用孔部Hは、前記一方向に配列されているとともに前記冷却通路Fを挟んで互いに対向するように配置されている。
【0039】
上記構成によれば、複数の差込用孔部Hを通じて複数の電池モジュール82を効率的に冷却することができる。さらに、複数の電池モジュール82が冷却通路F(フレーム81)を挟んで対向して配置される。これにより、例えば複数の電池モジュール82を外側から覆う構成に比べて強度や剛性をさらに高めることができる。
【0040】
(4)第4の態様に係る電池ユニット80では、前記冷却通路Fを挟んで対向する一対の前記差込用孔部Hにそれぞれはめ込まれている前記複数の冷却用フィン84Bは、上下方向にずれて配列されている。
【0041】
上記構成によれば、対向して配置される冷却用フィン84Bが上下方向にずれて配列されていることから、冷媒の流路面積が確保され、電池モジュール82をより効率的に冷却することができる。
【0042】
(5)第5の態様に係る電池ユニット80は、前記フレーム81の上面に設けられ、前記電池モジュール82から延びるハーネス41を集約する集約部材40をさらに備える。
【0043】
上記構成によれば、フレーム81の上面にハーネス41を集約することで、例えば各電池モジュール82から個別にハーネス41を取り回しした場合に比べて、配線に要する部品点数を削減することができる。
【0044】
(6)第6の態様に係る蓄電装置90は、前記一方向に配列された電池ユニット80を複数備え、互いに隣り合う一対の前記フレーム81の端部同士を接続するとともに弾性変形可能な材料で形成された弾性接続部70をさらに備える。
【0045】
上記構成によれば、互いに隣り合う一対のフレーム81の端部同士が弾性接続部70によって接続されている。これにより、フレーム81に外力が加わった場合には弾性接続部70がこの外力によって優先的に弾性変形する。その結果、フレーム81自体には外力の影響が及びにくくなり、蓄電装置90の耐久性をさらに高めることが可能となる。
【0046】
(7)第7の態様に係る蓄電装置90は、前記冷却通路Fに冷媒を圧送するファン部60と、該ファン部60と前記冷却通路Fの端部とを接続し、前記ファン部60から前記冷却通路Fに向かうに従って流路断面積が次第に減少するダクト部61と、をさらに備える。
【0047】
上記構成によれば、ダクト部61の流路断面積が次第に減少していることから、ファン部60から冷却通路Fに至るまでの間に冷媒の流速を上げることができる。これにより、冷媒による冷却効果をさらに向上させることができる。
【0048】
(8)第8の態様に係る車両100は、蓄電装置90を有する。
【0049】
上記構成によれば、車両100をより安定的に運用することが可能となる。
【符号の説明】
【0050】
100 車両
90 蓄電装置
1 車体
1A 車筐
2 駆動機構
3 クローラ
11 起動輪
12 誘導輪
13A 下部転輪
13B 上部転輪
40 集約部材
41 ハーネス
50 ケース
60 ファン部
60A ファン本体
61 ダクト部
70 弾性接続部
80 電池ユニット
81 フレーム
82 電池モジュール
83 押さえ部材
84 ヒートシンク
84A ヒートシンク本体
84B 冷却用フィン
F 冷却通路
H 取付用孔部
図1
図2
図3
図4
図5
図6