(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123388
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】日射遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/42 20060101AFI20220817BHJP
E06B 9/11 20060101ALN20220817BHJP
E06B 9/58 20060101ALN20220817BHJP
【FI】
E06B9/42 A
E06B9/11 C
E06B9/58 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020674
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(72)【発明者】
【氏名】前川 敏晴
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA06
2E042BA02
2E042CA01
2E042CB05
2E042DA01
(57)【要約】
【課題】日射を遮蔽しつつ眺望や間接光を得ることができるとともに、ケースの内部に雨水が入り込むことを防止できる日射遮蔽装置を提供する。
【解決手段】建物の壁開口部12の外側に設けられる日射遮蔽装置1において、壁開口部12の下端部または下方の外側に設置されるケース4と、ケース4に収納され、ケース4に設けられた開口部41から引き上げられて広がり壁開口部12を外側から遮蔽する遮蔽体3と、遮蔽体3に連結されて、遮蔽体3がケース4に収納されると開口部41を塞ぐ開口部カバー5と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の壁開口部の外側に設けられる日射遮蔽装置において、
前記壁開口部の下端部または下方の外側に設置されるケースと、
前記ケースに収納され、前記ケースに設けられた開口部から引き上げられて広がり前記壁開口部を外側から遮蔽する遮蔽体と、
前記遮蔽体に連結されて、前記遮蔽体が前記ケースに収納されると前記開口部を塞ぐ開口部カバーと、を有する日射遮蔽装置。
【請求項2】
前記開口部は、上方に開口し、
前記開口部カバーは、前記ケースに収納されると前記開口部を上方から覆う請求項1に記載の日射遮蔽装置。
【請求項3】
前記壁開口部の外側には、シャッターが設けられ、
前記シャッターは、
前記壁開口部の上方に設置されたシャッターボックスと、
前記壁開口部の側方に設置されたシャッターレールと、を有し、
前記日射遮蔽装置は、
前記遮蔽体に接続されたワイヤと、
前記壁開口部の上方に位置し、前記ワイヤを巻取り・送り出し可能なワイヤ巻取り部と、を有し、
前記ワイヤ巻取り部は、前記シャッターボックスの内部に設置され、
前記ワイヤは、前記シャッターレールの内部に設置されている請求項1または2に記載の日射遮蔽装置。
【請求項4】
前記遮蔽体と接続され、前記シャッターレールにガイドされて昇降する被ガイド部を有する請求項3に記載の日射遮蔽装置。
【請求項5】
前記壁開口部の外側には、シャッターが設けられ、
前記シャッターは、
前記壁開口部の上方に設置されたシャッターボックスと、
前記壁開口部の側方に設置されたシャッターレールと、を有し、
前記日射遮蔽装置は、
前記遮蔽体に接続されたワイヤと、
前記壁開口部の上方に位置し、前記ワイヤを巻取り・送り出し可能なワイヤ巻取り部と、を有し、
前記ワイヤ巻取り部は、前記シャッターボックスの近傍に設置され、
前記ワイヤは、前記シャッターレールの近傍に設置されている請求項1または2に記載の日射遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日射遮蔽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サッシから室内に挿し込む日射を遮蔽するために、ブラインドやロールスクリーンなどの遮蔽体を有する日射遮蔽装置が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。このような日射遮蔽装置は、サッシの室外側に設けられ、使用時には遮蔽体がサッシの室外側に重なってサッシから室内に挿し込む日射を遮蔽し、不使用時には遮蔽体が折り畳まれたり巻き取られたりして収納され、サッシからの採光や眺望を遮らないようにしている。特許文献2に開示されている日射遮蔽装置は、不使用時には遮蔽体がケースの内部に収納可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-257854号公報
【特許文献2】特開2001-123765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
日射遮蔽装置は、一般に遮蔽体が不使用時にはサッシの上方に収納され、使用時に下方に引き出されるように構成されている。このような日射遮蔽装置では、サッシの上方に庇や軒が設けられていたり、太陽高度が低い季節であったりして、サッシから挿し込む日射の高さが低い場合でも、日射を遮蔽するために遮蔽体をサッシの上方からサッシの下端まで全て引き出す必要がある。このため、直接日射が射し込まないサッシの上側部分も遮蔽体で遮蔽されてしまい、サッシからの眺望や間接光を得ることができない。また、サッシの障子を開放して通風する場合、遮蔽体でサッシ全体が遮蔽されることで通風しにくい。
【0005】
また、不使用時に遮蔽体が折り畳まれたり巻き取られたりしてケースに収納される日射遮蔽装置は、ケースに雨水や埃などが入り込まないようにする必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、日射を遮蔽しつつ眺望や間接光を得ることができるとともに、ケースの内部に雨水や埃などが入り込むことを防止できる日射遮蔽装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る日射遮蔽装置は、建物の壁開口部の外側に設けられる日射遮蔽装置において、前記壁開口部の下端部または下方の外側に設置されるケースと、前記ケースに収納され、前記ケースに設けられた開口部から引き上げられて広がり前記壁開口部を外側から遮蔽する遮蔽体と、前記遮蔽体に連結されて、前記遮蔽体が前記ケースに収納されると前記開口部を塞ぐ開口部カバーと、を有する。
【0008】
本発明では、遮蔽体が下から上に引き上げられて広がる構成であるため、壁開口部の下側部分のみ遮蔽体で遮蔽し、その上方は遮蔽しない状態とすることができる。例えば、壁開口部の上方に庇や軒が設けられていたり、太陽高度が低い季節であったりして、壁開口部から挿し込む日射の高さが低い場合に、その日射の高さに合わせて遮蔽体の上端部を配置することで、遮蔽体の上方となる直接日射が射し込まない壁開口部の上側部分は遮蔽体で遮蔽されず、壁開口部からの眺望や間接光を得ることができる。また、日射遮蔽装置は、ケースの開口部を塞ぐ開口部カバーが設けられていることにより、開口部からケースの内部に雨水や埃などが入り込むことを防止できる。
【0009】
また、本発明に係る日射遮蔽装置では、前記開口部は、上方に開口し、前記開口部カバーは、前記ケースに収納されると前記開口部を上方から覆うように構成されていてもよい。
【0010】
このような構成とすることにより、ケースに収納された遮蔽体を上方へ引き出しやすいとともに、開口部からケースの内部に雨水や埃などが入り込むことを防止できる。
【0011】
また、本発明に係る日射遮蔽装置では、前記壁開口部の外側には、シャッターが設けられ、前記シャッターは、前記壁開口部の上方に設置されたシャッターボックスと、前記壁開口部の側方に設置されたシャッターレールと、を有し、前記日射遮蔽装置は、前記遮蔽体に接続されたワイヤと、前記壁開口部の上方に位置し、前記ワイヤを巻取り・送り出し可能なワイヤ巻取り部と、を有し、前記ワイヤ巻取り部は、前記シャッターボックスの内部に設置され、前記ワイヤは、前記シャッターレールの内部に設置されていてもよい。
【0012】
このような構成とすることにより、日射遮蔽装置をシャッターの部材を利用して設置することができる。このため、日射遮蔽装置を容易に設置することができるとともに、部材点数を減らすことができ、施工管理やメンテナンスを容易にすることができる。また、日射遮蔽装置がシャッターよりも外側に突出しないため、意匠性を損なうことなく日射遮蔽装置を設置することができる。
【0013】
また、本発明に係る日射遮蔽装置では、前記遮蔽体と接続され、前記シャッターレールにガイドされて昇降する被ガイド部を有していてもよい。
【0014】
このような構成とすることにより、シャッターレールに沿って遮蔽体をスムーズに昇降させることができる。
【0015】
また、本発明に係る日射遮蔽装置では、前記壁開口部の外側には、シャッターが設けられ、前記シャッターは、前記壁開口部の上方に設置されたシャッターボックスと、前記壁開口部の側方に設置されたシャッターレールと、を有し、前記日射遮蔽装置は、前記遮蔽体に接続されたワイヤと、前記壁開口部の上方に位置し、前記ワイヤを巻取り・送り出し可能なワイヤ巻取り部と、を有し、前記ワイヤ巻取り部は、前記シャッターボックスの近傍に設置され、前記ワイヤは、前記シャッターレールの近傍に設置されていてもよい。
【0016】
このような構成とすることにより、日射遮蔽装置とシャッターとが近接して設けられるため、壁開口部の回りをすっきりと見せることができ、意匠性を損なうことなく日射遮蔽装置を設置することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、日射を遮蔽しつつ眺望や間接光を得ることができるとともに、ケースの内部に雨水が入り込むことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態による日射遮蔽装置の斜視図で遮蔽体を高さ方向の中間部まで広げた様子を示す図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による日射遮蔽装置の斜視図で遮蔽体を全て収納した様子を示す図である。
【
図3】本発明の第1実施形態による日射遮蔽装置の縦断面図である。
【
図7】第1実施形態におけるケースに収納された状態の遮蔽体を示す斜視図でケースを省略した図である。
【
図8】シャッターケースに収納された状態のワイヤ巻取り部を示す斜視図でシャッターケースを省略した図である。
【
図9】本発明の第2実施形態による日射遮蔽装置の縦断面図である。
【
図10】第2実施形態におけるシャッターケースに収納された状態のワイヤ巻取り部を示す斜視図でシャッターケースを省略した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態による日射遮蔽装置について、
図1-
図8に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態による日射遮蔽装置1は、建物の外壁11の開口部12(以下、壁開口部12とする)から室内15に挿し込む日射を遮蔽する装置である。日射遮蔽装置1は、壁開口部12の外側(室外14側)に設けられている。本実施形態では、壁開口部12には、サッシ13が設けられている。サッシ13は、2枚の障子131,131を有する引き違い窓のサッシを想定している。
【0020】
日射遮蔽装置1は、必要に応じて日射を遮蔽可能に構成されている。
図1に示す日射遮蔽装置1は、壁開口部12の下部側のみを遮蔽している。日射遮蔽装置1は、壁開口部12の高さ全体を遮蔽することも可能である。また、日射を遮蔽しない場合には、
図2に示す日射遮蔽装置1のように、壁開口部12の全体を遮蔽せずに開放することも可能である。
【0021】
以下では、外壁11に沿った水平方向を幅方向(図中の矢印Xの方向)とし、外壁11に直交し、室外14と室内15とを結ぶ水平方向を室内外方向(図中の矢印Y方向)とする。幅方向および室内外方向に直交する鉛直方向(高さ方向)は、図中において矢印Zで表記している。また、長尺の部材の説明では、その部材が延びている方向(長手方向)を長さ方向と表記することがある。
【0022】
図3に示すように、本実施形態では、壁開口部12の外側にシャッター2が設けられている。シャッター2は、壁開口部12の上方に設置されたシャッターボックス21と、サッシ13の縦枠132,132(
図1参照)の外側に設置された2本のシャッターレール22,22と、シャッター本体25と、を有している。
【0023】
シャッターボックス21は、壁開口部12(サッシ13)の幅方向の寸法と略同じ長さの長尺の箱状に形成されている。シャッターボックス21は、幅方向に延びる向きで壁開口部12の上方に設置されている。2本のシャッターレール22は、それぞれ上下方向に延びる向きで配置される。一方のシャッターレール22は、シャッターボックス21の幅方向の一方側の端部の下に接続され、他方のシャッターレール22は、シャッターボックス21の幅方向の他方側の端部の下に接続されている。シャッター本体25は、シャッターボックス21から下方に引き出されて広がり、壁開口部12を覆うように構成されている。
【0024】
図1および
図3に示すように、日射遮蔽装置1は、遮蔽体3と、ケース4と、開口部カバー5と、ワイヤ6と、ワイヤ巻取り部7と、駆動部(不図示)と、を有している。
【0025】
遮蔽体3は、壁開口部12から室内15に挿し込む日射を遮蔽する。本実施形態では、遮蔽体3は、膜状で巻取り可能なロールスクリーンを想定している。遮蔽体3は、広げられると壁開口部12、すなわちサッシ13の障子131,131に沿った長方形となる。
図3および
図4に示すように、遮蔽体3は、広げられた形状の長方形の下辺に対応する下縁部に巻き取られる軸部(以下、遮蔽体巻取り軸部31とする)が接続されている。遮蔽体巻取り軸部31は、が幅方向に延びる向きに設置される。遮蔽体巻取り軸部31は、遮蔽体3を巻き取る方向に回転するように付勢されている。遮蔽体3は、広げられた形状の長方形の下辺に対応する上縁部に開口部カバー5が接続されている。開口部カバー5については後述する。
【0026】
ケース4は、巻き取られた遮蔽体3を収納可能に構成されている。ケース4は、長尺の箱状の部材である。ケース4は、幅方向に延びる向きで壁開口部12の下端部の外側に設置される。ケース4は、シャッターレール22,22の間に配置されている。
【0027】
ケース4の内部には、遮蔽体3が収納される収納空間42が形成されている。ケース4は、収納空間42の上側に位置する上板部43を有している。上板部43には、幅方向の略全体にわたって延びる溝状の開口部41が形成されている。ケース4に収納された遮蔽体3は、開口部41を介して上方に引き上げられて広がるように構成されている。遮蔽体巻取り軸部31は、ケース4に収納され、ケース4に回転可能に支持されている。
【0028】
開口部カバー5は、ケース4と略同じ長さの長尺の板状の部材である。開口部カバー5は、幅方向に延びて、板面が略水平面となる向きに設置される。以下では、開口部カバー5は上記の姿勢であるものとする。
図5および
図6に示すように、開口部カバー5は、長さ方向の中間部分となる遮蔽体接続部51と、遮蔽体接続部51の両端それぞれと接続されるワイヤ接続部52,52と、を有している。
図5および
図6では、一方のワイヤ接続部52のみを示している。遮蔽体接続部51とワイヤ接続部52,52とは一体に形成されている。ワイヤ接続部52,52は、遮蔽体接続部51よりも室内外方向の寸法(板面の短手方向の寸法)が小さい。
【0029】
図7に示すように、遮蔽体接続部51は、下面に遮蔽体3の上縁部が接続されている。遮蔽体接続部51の幅寸法は、遮蔽体3の幅寸法と略同じ大きさである。ワイヤ接続部52,52は、それぞれ遮蔽体3の幅方向の外側に配置されている。すなわち、幅方向の一方側のワイヤ接続部52は、遮蔽体3の幅方向の一方側の端部よりも幅方向の一方側に突出し、幅方向の他方側のワイヤ接続部52は、遮蔽体3の幅方向の他方側の端部よりも幅方向の他方側に突出している。
【0030】
図3に示すように、開口部カバー5は、ケース4の上方に位置し、遮蔽体3が遮蔽体巻取り軸部31に巻き取られてケース4に収納されると、開口部41の上に配置される。
図5に示すように、開口部カバー5が開口部41の上に配置されると、遮蔽体接続部51は、開口部41全体を上側から覆い、開口部41を閉塞する。ワイヤ接続部52,52は、開口部41よりも幅方向の外側に配置される。ワイヤ接続部52,52は、シャッターレール22の内部に配置される。シャッターレール22におけるワイヤ接続部52,52が配置される部分は、上下方向(シャッターレール22の長さ方向)に延びる溝状に形成されている。このシャッターレール22におけるワイヤ接続部52,52が配置される溝部をワイヤ配置溝部221とする。
【0031】
図5および
図7に示すように、ワイヤ接続部52,52には、戸車53が接続されている。戸車53もシャッターレール22のワイヤ配置溝部221に配置され、ワイヤ配置溝部221に形成されたガイド部23に沿って上下方向に移動可能に構成されている。戸車53は、中心軸は幅方向に延びる向きに設置される。戸車53の外周面には、周方向全体に戸車外周溝部54が形成されている。ガイド部23は、戸車53の室内15側および室外14側の両方に設けられた凸条24,24であり、鉛直方向に延びる向きに設置されている。
【0032】
一方の凸条24は、戸車53の室内15側に設けられ、室外14側に突出し先端部が戸車53の戸車外周溝部54と接触している。他方の凸条24は、戸車53の室外14側に設けられ、室内15側に突出し先端部が戸車53の戸車外周溝部54と接触している。一方の凸条24と他方の凸条24とは、室内外方向に間隔をあけて重なる位置に配置されている。
【0033】
シャッターレール22は、日射遮蔽装置1が設置されない場合には、凸条24,24が不要である。シャッターレール22は、日射遮蔽装置1が設置されない場合には、凸条24,24ではなく、凸条24,24が設けられている位置に1枚の板が配置され、日射遮蔽装置1が設置されない場合にも使用できるように構成されている。
【0034】
図6および
図8に示すワイヤ6は、2本設けられている。
図6および
図8では、1つのワイヤ6のみを示している。一方のワイヤ6は、一端が一方のワイヤ接続部52と接続され、一方のワイヤ6は、一体が他方のワイヤ接続部52と接続されている。ワイヤ6は、開口部カバー5を介して遮蔽体3に接続されている。上述しているように、ワイヤ接続部52,52は、シャッターレール22のワイヤ配置溝部221に配置される。ワイヤ6は、上下方向に延び、ワイヤ配置溝部221に配置される。
【0035】
ワイヤ巻取り部7は、壁開口部12の上方に位置し、シャッターボックス21の内部に設置されている。ワイヤ巻取り部7は、2つのワイヤ巻取り軸部71を有している。2つのワイヤ巻取り軸部71は、幅方向に延びる軸線上に同軸に配置されている。一方のワイヤ巻取り軸部71は、シャッターボックス21の幅方向の一方側の端部近傍に配置され、他方のワイヤ巻取り軸部71は、シャッターボックス21の幅方向の他方側の端部近傍に配置されている。
図3に示すように、本実施形態では、シャッターボックス21は、シャッターレール22よりも室内外方向の寸法が大きく室外14側に突出している。ワイヤ巻取り軸部71は、シャッター2の部材と干渉しないように、シャッターレールの22のワイヤ配置溝部221の直上(鉛直方向の上方)よりも室外14側に配置されている。
【0036】
一方のワイヤ巻取り軸部71には、一方のワイヤ6の他端(ワイヤ接続部52と接続されていない側の端部)が接続されている。他方のワイヤ巻取り軸部71には、他方のワイヤ6の他端(ワイヤ接続部52と接続されていない側の端部)が接続されている。上述しているように、ワイヤ巻取り軸部71は、シャッターレール22のワイヤ配置溝部221の直上(鉛直方向の上方)よりも室外14側に配置されている。このため、
図8に示すように、ワイヤ6は、ワイヤ配置溝部221の内部では上下方向に延びているが、シャッターレール22の上端部において室外14側に屈曲してワイヤ巻取り軸部71に達するように構成されている。本実施形態では、シャッターレール22におけるワイヤ配置溝部221の室外14側に配置される板部分222の上端部にワイヤ6が屈曲して通過するためのスリット223が形成されている。
【0037】
駆動部は、電動モータなどを有し、ワイヤ巻取り部7を電動で駆動させるように構成されている。駆動部は、シャッターボックス21の内部に設置されている。駆動部を制御する制御部や、使用者が操作するための操作部は適宜設けられている。
【0038】
2つのワイヤ巻取り軸部71が回転し、ワイヤ6が巻き取られると、開口部カバー5および遮蔽体3が上方に引き出されて、遮蔽体3が広がり、ワイヤ6が繰り出されると開口部カバー5および遮蔽体3が上方に移動し遮蔽体3が巻き取られるように構成されている。このとき、戸車53がシャッターレール22のガイド部23に沿って移動する。
【0039】
日射遮蔽装置1は、ワイヤ巻取り部7がワイヤ6を上方に巻き取ると、遮蔽体3がケース4から引き出されて壁開口部12の外側に配置され、室内15に挿し込む日射を遮蔽し、ワイヤ巻取り部7がワイヤ6を下方に送り出すと、遮蔽体3がケース4の内部に収納され、室内15に挿し込む日射を遮蔽しない。
【0040】
日射遮蔽装置1は、遮蔽体3の上端部の高さを任意の高さに固定可能に構成されている。遮蔽体3の高さは、段階的に固定可能であってもよい。このため、壁開口部12の下側部分のみ遮蔽体3で遮蔽し、その上方は遮蔽しない状態とすることができる。例えば、駆動部の電動モータにステッピングモータを採用し、遮蔽体3の位置制御をするようにしてもよい。
【0041】
次に、上述した本発明の第1実施形態による日射遮蔽装置1の作用・効果について説明する。第1実施形態による日射遮蔽装置1は、遮蔽体3が下から上に引き上げられて広がる構成であるため、壁開口部12の下側部分のみ遮蔽体3で遮蔽し、その上方は遮蔽しない状態とすることができる。例えば、壁開口部12の上方に庇や軒が設けられていたり、太陽高度が低い季節であったりして、壁開口部12から挿し込む日射の高さが低い場合に、その日射の高さに合わせて遮蔽体3の上端部を配置することで、遮蔽体3の上方となる直接日射が射し込まない壁開口部12の上側部分は遮蔽体3で遮蔽されず、壁開口部12からの眺望や間接光を得ることができる。また、日射を遮蔽しつつ壁開口部12の障子131,131を開放して通風する場合、遮蔽体3で壁開口部12全体が遮蔽しないため、通風しやすい。
【0042】
第1実施形態による日射遮蔽装置1は、ケース4の開口部41を塞ぐ開口部カバー5が設けられていることにより、開口部41からケース4の内部に雨水や埃などが入り込むことを防止できる。
【0043】
また、第1実施形態による日射遮蔽装置では、開口部41は、上方に開口し、開口部カバー5は、遮蔽体3がケース4に収納されると開口部41を上方から覆うように構成されている。
【0044】
このような構成とすることにより、ケース4に収納された遮蔽体3を上方へ引き出しやすいとともに、開口部41からケース4の内部に雨水や埃などが入り込むことを防止できる。
【0045】
また、第1実施形態による日射遮蔽装置1では、壁開口部12の外側には、シャッター2が設けられ、シャッター2は、壁開口部12の上方に設置されたシャッターボックス21と、壁開口部12の側方に設置されたシャッターレール22と、を有している。そして、日射遮蔽装置1は、遮蔽体3に接続されたワイヤ6と、壁開口部12の上方に位置し、ワイヤ6を巻取り・送り出し可能なワイヤ巻取り部7と、を有し、ワイヤ巻取り部7は、シャッターボックス21の内部に設置され、ワイヤ6は、シャッターレール22の内部に設置されている。
【0046】
このような構成とすることにより、日射遮蔽装置1をシャッター2の部材を利用して設置することができる。このため、日射遮蔽装置1を容易に設置することができるとともに、部材点数を減らすことができ、施工管理やメンテナンスを容易にすることができる。また、日射遮蔽装置1がシャッター2よりも外側(室外14側)に突出しないため、意匠性を損なうことなく日射遮蔽装置1を設置することができる。
【0047】
また、第1実施形態による日射遮蔽装置1では、開口部カバー5を介して遮蔽体3と接続され、シャッターレール22にガイドされて昇降する戸車53(被ガイド部)を有している。
【0048】
このような構成とすることにより、シャッターレールに沿って遮蔽体3をスムーズに昇降させることができる。
【0049】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
【0050】
図9に示すように、第2実施形態では、壁開口部12の外側にシャッターが設けられていない。第2実施形態の日射遮蔽装置1Bは、シャッターのシャッターレールやシャッターボックスを利用せずに設置されている。第2実施形態の日射遮蔽装置1Bは、2本のワイヤレール81と、ワイヤレール81の上に設けられたワイヤボックス82と、を有している。
【0051】
2本のワイヤレール81は、それぞれ上下方向に延びる向きで配置される。ワイヤレール81は、サッシ13の縦枠132,132(
図1参照)の外側(室外14側)に1本ずつ設置される。ワイヤレール81は、第1実施形態のシャッターレール22(
図5参照)と略同じ形状に形成され、第1実施形態のシャッターレール22のワイヤ配置溝部221(
図5参照)と同様のワイヤ配置溝部811を有している。ワイヤ配置溝部811には、ワイヤ6、ワイヤ接続部52および戸車53が設置される。
【0052】
ワイヤボックス82は、サッシの上枠133の室外14側に設置されている。本実施形態では、ワイヤボックス82は、長尺に形成され、幅方向に延びる向きに設置されている。ワイヤボックス82は、ワイヤレール81と室内外方向の寸法が略同じで、ワイヤレール81よりも室外14側に大きく突出していない。ワイヤボックス82の幅方向の一方側の端部は、一方のワイヤレール81の上端部と接続され、ワイヤボックス82の幅方向の他方側の端部は、他方のワイヤレール81の上端部と接続されている。ワイヤボックス82には、ワイヤ巻取り部7Bが設けられている。
【0053】
図10に示すように、第2実施形態では、ワイヤ巻取り部7Bのワイヤ巻取り軸部71Bがワイヤ配置溝部811の直上に位置している。このため、ワイヤ6は、上下方向に延びた姿勢でワイヤ巻取り軸部71Bに達するように構成されている。
【0054】
第2実施形態による日射遮蔽装置1Bは、第1実施形態と同様の効果を奏するとともに、壁開口部12の外側にシャッターが設けられていない場合でも設置することができる。
【0055】
以上、本発明による日射遮蔽装置の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記の実施形態では、壁開口部12の外側には、シャッター2が設けられ、ワイヤ巻取り部7がシャッターボックス21の内部に設置され、ワイヤ6がシャッターレール22の内部に設置されている。これに対し、ワイヤ巻取り部7がシャッターボックス21の近傍に設置され、ワイヤ6がシャッターレール22の近傍に設置されていてもよい。
【0056】
また、ワイヤ巻取り部7がシャッターボックス21の内部に設置され、ワイヤ6がシャッターレール22の近傍に設置されていてもよい。
【0057】
また、上記の第2実施形態では、壁開口部12の外側には、シャッター2が設けられておらず、日射遮蔽装置1Bがワイヤ6が設置されるワイヤレール81とワイヤ巻取り部7Bが設置されるワイヤボックス82と、を有している。ワイヤ6やワイヤ巻取り部7Bが設置される部材は上記以外の構成であってもよい。
【0058】
また、上記の実施形態では、日射遮蔽装置1は、サッシ13およびシャッター2に接続されている。これに対し、日射遮蔽装置1は、壁開口部12の外側に設けられていれば、軒や庇などに支持されていてもよい。
【0059】
また、上記の実施形態では、開口部カバー5を介して遮蔽体3と接続され、シャッターレール22にガイドされて昇降する戸車53(被ガイド部)を有している。これに対し、戸車53が設けられていなくてもよい。また、戸車53以外のシャッターレール22にガイドされる部材(被ガイド部)が設けられていてもよい。
【0060】
また、上記の実施形態では、開口部41は、上方に開口し、開口部カバー5は、遮蔽体3がケース4に収納されると開口部41を上方から覆うように構成されている。これに対し、例えば、開口部41は、室外14側に開口し、開口部カバー5は、遮蔽体3がケース4に収納されると開口部41を室外14側から覆うように構成されていてもよい。
【0061】
また、上記の実施形態では、開口部カバー5は、遮蔽体3がケース4に収納されると開口部41を上方から覆うように構成されている。これに対し、開口部カバー5が開口部41に嵌って開口部41を塞ぐように構成されていてもよい。
【0062】
また、上記の実施形態では、ワイヤ巻取り部7は駆動部の電動モータによって駆動するように構成されているが、手動で駆動するように構成されていてもよい。
【0063】
また、上記の実施形態では、遮蔽体3は、ケース4の内部に収納可能で開口部41を介して引き上げられて広がるロールスクリーンである。ケース4の内部に収納可能で、開口部41を介して引き上げられて広がるブラインドや、幕などであってもよい。
【0064】
また、上記の実施形態では、遮蔽体3は、ワイヤ6で引き上げられるように構成されている。これに対し、遮蔽体3は、ワイヤ6以外の紐状の部材で引き上げられたり、紐状以外の引き上げ機構によって引き上げられたりするように構成されていてもよい。
【0065】
また、上記の実施形態では、壁開口部12に設けられるサッシ13は、2枚の障子131,131を有する引き違い窓のサッシである。これに対し、壁開口部12には、引き違い窓以外のサッシが設けられていてもよいし、サッシが設けられていなくてもよいし、サッシ以外の設備が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1,1B 日射遮蔽装置
2 シャッター
3 遮蔽体
4 ケース
5 開口部カバー
6 ワイヤ
7,7B ワイヤ巻取り部
12 壁開口部
13 サッシ
14 室外
15 室内
21 シャッターボックス
22 シャッターレール
23 ガイド部
41 開口部
53 戸車(被ガイド部材)