(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123402
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】シート搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 9/16 20060101AFI20220817BHJP
B65H 5/00 20060101ALI20220817BHJP
B65H 29/52 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
B65H9/16
B65H5/00 H
B65H29/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020697
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】特許業務法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和志
【テーマコード(参考)】
3F101
3F102
【Fターム(参考)】
3F101FA06
3F101FB08
3F101FC18
3F101FD02
3F101LA03
3F101LB03
3F102AA02
3F102AB01
3F102BA02
3F102BB04
3F102EA06
3F102FA03
(57)【要約】
【課題】搬送方向の長さが長いシートを搬送する場合でもシートの幅方向の位置を精度良く規制できるシート搬送装置を提供する。
【解決手段】シート搬送装置1は、搬送ガイド100と、基準ガイド130と、第1搬送ローラ11と、第2搬送ローラ12と、搬送方向D1において第1搬送ローラ11と第2搬送ローラ12との間に位置する斜送ローラ13と、搬送方向D1において第1搬送ローラ11と基準ガイド130との間に位置し、搬送方向D1の長さが第1長さL1のシートSH1の搬送時には、搬送空間100Aから退避する退避位置に位置し、搬送方向D1の長さが第1長さL1よりも長い第2長さL2のシートSH2の搬送時には、搬送空間100Aにおける幅方向の他端側で搬送空間100A内に突出して第2長さL2のシートSH2に当接可能な突出位置に位置するように移動可能な当接部材170と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送方向に案内する第1ガイド部と、前記第1ガイド部の上方に位置する第2ガイド部と、を有し、前記第1ガイド部と前記第2ガイド部との間に搬送空間を形成する搬送ガイドと、
前記搬送空間における前記搬送方向に直交する幅方向の一端側に位置し、前記第1ガイド部に案内されるシートの前記幅方向の位置を規制する基準ガイドと、
前記基準ガイドよりも前記搬送方向の上流に位置する第1搬送ローラと、
前記基準ガイドよりも前記搬送方向の下流に位置する第2搬送ローラと、
前記搬送方向において前記第1搬送ローラと前記第2搬送ローラとの間に位置し、前記基準ガイドに向けてシートを斜送する斜送ローラであって、前記第1搬送ローラ及び前記第2搬送ローラから離間した状態になったシートを斜送可能な前記斜送ローラと、
前記搬送方向において前記第1搬送ローラと前記基準ガイドとの間に位置し、前記搬送方向の長さが第1長さのシートの搬送時には、前記搬送空間から退避する退避位置に位置し、前記搬送方向の長さが前記第1長さよりも長い第2長さのシートの搬送時には、前記搬送空間における前記幅方向の他端側で前記搬送空間内に突出して前記第2長さのシートに当接可能な突出位置に位置するように移動可能な当接部材と、
を備えていることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記当接部材は、前記退避位置と前記突出位置との間で上下方向に移動する請求項1記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記第2長さのシートの搬送を選択するための手動操作に連動して前記当接部材を前記突出位置に移動させる切替手段を備えている請求項1又は2記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記搬送ガイド、前記基準ガイド、前記第1搬送ローラ、前記第2搬送ローラ及び前記斜送ローラを収容する装置本体と、
前記装置本体に取り外し可能に装着され、シートを収容するシートトレイと、を備え、
前記シートトレイは、トレイ本体と、
前記シートトレイが前記第1長さのシートを収容するための非延長位置と、前記シートトレイが前記第2長さのシートを収容するための延長位置と、の間でスライド可能に前記トレイ本体に支持された延長トレイと、を有し、
前記当接部材は、前記搬送空間外に位置する受動部を有し、
前記延長トレイは、前記延長トレイを前記延長位置に移動させて前記シートトレイを前記装置本体に装着する前記手動操作に連動して前記受動部に作用し、前記当接部材を前記突出位置に移動させる作用部を有し、
前記切替手段は、前記受動部及び前記作用部を含んで構成されている請求項3記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記延長トレイは、シートを支持する延長底壁と、
前記延長底壁における前記幅方向の側端縁に接続して上下方向に延びる延長側壁と、を有し、
前記作用部は、前記延長側壁の上端にて上方に突出する請求項4記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記シートトレイが前記装置本体に装着される装着方向において、前記延長トレイが前記非延長位置にある場合に、前記作用部は前記受動部よりも前記装着方向の上流に位置し、前記延長トレイが前記延長位置にある場合に、前記作用部は前記装着方向において前記受動部と同じ位置にある請求項4又は5記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記装置本体に収容され、搬送されるシートに画像を形成する画像形成部を備え、
前記搬送空間は、前記画像形成部によって一方の面に画像が形成されたシートを再び前記画像形成部に搬送するための再搬送経路の一部である請求項4乃至6のいずれか1項記載のシート搬送装置。
【請求項8】
前記シートトレイは、前記再搬送経路よりも下方に位置し、
前記当接部材は、前記手動操作に連動して前記作用部が前記受動部を押し上げることにより、前記搬送空間の下端以下に下降した前記退避位置から前記搬送空間内に突出する前記突出位置に上昇する請求項7記載のシート搬送装置。
【請求項9】
前記当接部材は、前記搬送方向の下流に向かって上り傾斜してシートに当接可能な第1傾斜面を有している請求項8記載のシート搬送装置。
【請求項10】
前記当接部材は、前記第1傾斜面の側端縁に接続し、前記幅方向において前記基準ガイドに向かって下り傾斜する第2傾斜面を有している請求項9記載のシート搬送装置。
【請求項11】
前記搬送ガイドは、前記基準ガイドよりも前記搬送方向の上流に位置して前記搬送方向を湾曲させる湾曲リブを有し、
前記当接部材は、前記湾曲リブよりも前記搬送方向の下流に位置している請求項1乃至10のいずれか1項記載のシート搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシート搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来のシート搬送装置の一例が開示されている。このシート搬送装置は、搬送ガイド、基準ガイド、第1搬送ローラ、第2搬送ローラ及び斜送ローラを備えている。
【0003】
搬送ガイドは、第1ガイド部材及びカバー部材を有している。第1ガイド部材は、シートを搬送方向に案内する。カバー部材は、第1ガイド部材の上方に位置している。第1ガイド部材とカバー部材との間には、搬送空間が形成されている。
【0004】
基準ガイドは、搬送空間における搬送方向に直交する幅方向の一端側に位置している。基準ガイドは、第1ガイド部材に案内されるシートの幅方向の位置を規制する。
【0005】
第1搬送ローラは、基準ガイドよりも搬送方向の上流に位置している。第2搬送ローラは、基準ガイドよりも搬送方向の下流に位置している。
【0006】
斜送ローラは、搬送方向において第1搬送ローラと第2搬送ローラとの間に位置している。斜送ローラは、基準ガイドに向けてシートを斜送する。斜送ローラは、第1搬送ローラ及び第2搬送ローラから離間した状態になったシートを斜送可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記従来のシート搬送装置は、斜送ローラが第1搬送ローラ及び第2搬送ローラから離間した状態になったシートを斜送しているときにそのシートを基準ガイドに最も沿わせ易い。より詳しくは、斜送ローラは、そのシートにおける基準ガイド側の端縁を基準ガイドにおける搬送方向の上流端に接触させ、その基準ガイドの上流端を中心としてそのシートを基準ガイドに沿うように回転させて基準ガイドに沿わせる。
【0009】
このため、シートが搬送方向において長い場合、その長いシートが第1搬送ローラ及び第2搬送ローラから離間した状態となる時間が短くなって、斜送ローラがその長いシートを基準ガイドに沿わせ難くなる。その結果、このシート搬送装置は、搬送方向の長さが長いシートを搬送する場合に、シートの幅方向の位置を精度良く規制することが難しくなるおそれがある。
【0010】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、搬送方向の長さが長いシートを搬送する場合でもシートの幅方向の位置を精度良く規制できるシート搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のシート搬送装置は、シートを搬送方向に案内する第1ガイド部と、前記第1ガイド部の上方に位置する第2ガイド部と、を有し、前記第1ガイド部と前記第2ガイド部との間に搬送空間を形成する搬送ガイドと、
前記搬送空間における前記搬送方向に直交する幅方向の一端側に位置し、前記第1ガイド部に案内されるシートの前記幅方向の位置を規制する基準ガイドと、
前記基準ガイドよりも前記搬送方向の上流に位置する第1搬送ローラと、
前記基準ガイドよりも前記搬送方向の下流に位置する第2搬送ローラと、
前記搬送方向において前記第1搬送ローラと前記第2搬送ローラとの間に位置し、前記基準ガイドに向けてシートを斜送する斜送ローラであって、前記第1搬送ローラ及び前記第2搬送ローラから離間した状態になったシートを斜送可能な前記斜送ローラと、
前記搬送方向において前記第1搬送ローラと前記基準ガイドとの間に位置し、前記搬送方向の長さが第1長さのシートの搬送時には、前記搬送空間から退避する退避位置に位置し、前記搬送方向の長さが前記第1長さよりも長い第2長さのシートの搬送時には、前記搬送空間における前記幅方向の他端側で前記搬送空間内に突出して前記第2長さのシートに当接可能な突出位置に位置するように移動可能な当接部材と、
を備えていることを特徴とする。
【0012】
本発明のシート搬送装置において、搬送方向の長さが第1長さのシートの搬送時には、当接部材が退避位置に位置する。このため、第1搬送ローラ及び第2搬送ローラから離間した状態になった第1長さのシートは、搬送空間から退避した当接部材から搬送抵抗を受けることなく斜送ローラによって斜送される。
【0013】
これにより、斜送ローラは、第1長さのシートにおける基準ガイド側の端縁を基準ガイドにおける搬送方向の上流端に接触させ、その基準ガイドの上流端を中心として第1長さのシートを基準ガイドに沿うように回転させて基準ガイドに沿わせる。その結果、基準ガイドによって第1長さのシートの幅方向の位置が精度良く規制される。
【0014】
また、このシート搬送装置において、搬送方向の長さが第1長さよりも長い第2長さのシートの搬送時、すなわち、シートが第1搬送ローラ及び第2搬送ローラから離間した状態となる時間が短くなるとき、当接部材が突出位置に位置する。
【0015】
このため、第1搬送ローラ及び第2搬送ローラから離間した状態になった第2長さのシートは、搬送空間における幅方向の他端側で搬送空間内に突出する当接部材に当接されて搬送抵抗を付与されながら斜送ローラによって斜送される。搬送抵抗は、第2長さのシートを斜送ローラを中心として回転させて第2長さのシートにおける基準ガイド側の端縁を先行させるように作用する。
【0016】
これにより、斜送ローラは、第2長さのシートにおける基準ガイド側の端縁を速やかに基準ガイドにおける搬送方向の上流端に接触させ、その基準ガイドの上流端を中心として第2長さのシートを基準ガイドに沿うように回転させる動作を速やかに開始できる。
【0017】
その結果、第2長さのシートは、第2搬送ローラにニップされるまでの短い時間で基準ガイドに沿うことができ、基準ガイドによって幅方向の位置が精度良く規制される。
【0018】
したがって、本発明のシート搬送装置は、搬送方向の長さが長いシートを搬送する場合でもシートの幅方向の位置を精度良く規制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】シートトレイの斜視図であって、延長トレイが延長位置にある状態を示す図である。
【
図5】再搬送トレイ及びシートトレイの部分側面図であって、延長トレイが非延長位置にあり、当接部材が退避位置にある状態を示す図である。
【
図6】
図5と同様の部分側面図であって、延長トレイが延長位置にあり、当接部材が突出位置にある状態を示す図である。
【
図7】再搬送トレイの部分斜視図であって、当接部材が突出位置にある状態を示す図である。
【
図9】当接部材が退避位置にある状態で、斜送ローラが第1長さのシートを基準ガイドに沿わせる動作を説明する模式上面図である。
【
図10】当接部材が突出位置にある状態で、斜送ローラが第2長さのシートを基準ガイドに沿わせる動作を説明する模式上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施例について図面を参照しつつ説明する。
【0021】
(実施例)
図1に示すように、実施例の画像形成装置1は、本発明のシート搬送装置の具体的態様の一例である。画像形成装置1は、電子写真方式により、シートSHに画像を形成するレーザプリンタである。
【0022】
画像形成装置1は、装置本体2、シートトレイ200、供給部20、画像形成部3、排出部29及び再搬送部10を備えている。
【0023】
装置本体2は略箱状体であり、その底部においてシートトレイ200を収容している。また、装置本体2は、シートトレイ200よりも上方において、供給部20、画像形成部3、排出部29及び再搬送部10を収容している。
【0024】
さらに装置本体2は、排出トレイ2Tを有している。排出トレイ2Tは、装置本体2の上面にある。排出トレイ2Tは、画像形成を終えたシートSHを支持する。
【0025】
<搬送経路及び再搬送経路>
装置本体2は、搬送経路P1及び再搬送経路P2を備えている。
【0026】
搬送経路P1は、シートトレイ200の前端部から上向きにU字形状に湾曲しながら供給部20を経由した後、後向きに略水平に進んで画像形成部3を経由し、さらに上向きにUターンしながら排出部29を経由して排出トレイ2Tに至る経路である。
【0027】
再搬送経路P2は、排出部29から下向きに進み、画像形成部3よりも下方、かつシートトレイ200よりも上方の位置で向きを変更し、前向きに略水平に進みながら再搬送部10を経由した後、供給部20に至る経路である。つまり、再搬送経路P2は、画像形成部3によって一方の面に画像が形成されたシートSHを再び画像形成部3に搬送するための経路である。
【0028】
図2以降の各図に示す前後方向及び上下方向は、全て
図1に対応させて表示する。また、前後方向及び上下方向に直交する方向を幅方向として、
図2以降の各図に示す。幅方向は、
図1に示す再搬送経路P2に沿って搬送されるシートSHの搬送方向D1に直交する方向である。
【0029】
<シートトレイ>
図1に示すように、シートトレイ200は、上方が開放された略箱状体であり、複数枚のシートSHを積層状態で収容する。ユーザは、シートトレイ200を装置本体2内から前向きに引き出すことにより、シートトレイ200を装置本体2から取り外すことができる。そして、ユーザは、シートSHをシートトレイ200内に収容した後、シートトレイ200を装置本体2内に向けて後向きに押し込むことにより、シートトレイ200を装置本体2に装着することができる。シートトレイ200が装置本体2に装着される装着方向は、装置本体2よりも前方から装置本体2内に向けて後向きに進む方向である。
【0030】
図2に示すように、シートトレイ200は、トレイ本体210、幅規制ガイド205A、205B、延長トレイ220及び後端規制ガイド209を有している。
【0031】
トレイ本体210は、底壁212、前壁211及び側壁213A、213Bを有している。
【0032】
底壁212は、シートトレイ200内に収容されたシートSHを支持する。前壁211は、底壁212の前端縁に接続し、上下方向及び幅方向に延びている。前壁211は、シートトレイ200内に収容されたシートSHの前端縁を規制する。
【0033】
側壁213A、213Bは、底壁212における幅方向の両側端縁に接続し、上下方向及び前後方向に延びている。側壁213A、213Bの前端は、前壁211に接続している。
【0034】
幅規制ガイド205A、205Bは、底壁212の前部分に位置している。幅規制ガイド205A、205Bは、ラック&ピニオン機構によって連結されており、幅方向において互いに接近及び離間可能である。幅規制ガイド205A、205Bは、ユーザの手動操作によって、シートトレイ200内に収容されたシートSHのサイズに合わせて幅方向にスライドし、そのシートSHを幅方向において位置決めする。
【0035】
延長トレイ220は、延長底壁222、後壁221及び延長側壁223A、223Bを有している。
【0036】
底壁212の後部分は、延長底壁222を前後方向にスライド可能に支持している。延長底壁222は、底壁212と共に、シートトレイ200内に収容されたシートSHを支持する。後壁221は、延長底壁222の後端縁に接続し、上下方向及び幅方向に延びている。
【0037】
延長側壁223A、223Bは、延長底壁222における幅方向の両側端縁に接続し、上下方向及び前後方向に延びている。延長側壁223A、223Bの後端は、後壁221に接続している。延長側壁223A、223Bは、側壁213A、213Bの後部分に対して幅方向の内側で重なっている。
【0038】
延長トレイ220は、ユーザの手動操作によって、延長底壁222が底壁212に対して前後方向にスライドすることにより、
図1に実線で示す非延長位置と、
図1に二点鎖線で示す延長位置と、の間でスライド可能となっている。延長位置は、延長トレイ220が非延長位置から移動距離LM1だけ後向きに移動した位置である。
図2に示す延長トレイ220の位置も延長位置である。
【0039】
延長底壁222における幅方向の中央部は、後端規制ガイド209を前後方向にスライド可能に支持している。後端規制ガイド209は、ユーザの手動操作によって、シートトレイ200内に収容されたシートSHのサイズに合わせて前後方向にスライドし、そのシートSHの後端縁を規制する。
【0040】
シートトレイ200は、後端規制ガイド209が最も後方にスライドした状態で延長トレイ220が非延長位置にある場合、搬送方向D1の長さが第1長さL1のシートSH(SH1)を収容する。
【0041】
本実施例では、第1長さL1のシートSH(SH1)は、A4サイズのシートSHである。A4サイズの第1長さL1は、A4サイズの長辺の長さ297mmである。
【0042】
なお、シートトレイ200は、延長トレイ220が非延長位置にある場合において、ユーザの手動操作によって、後端規制ガイド209が前方にスライドすることにより、A4サイズよりも小さいサイズのシートSH、例えば、A5サイズの用紙やはがき等を収容可能である。
【0043】
シートトレイ200は、後端規制ガイド209が最も後方にスライドした状態で延長トレイ220が延長位置にある場合、搬送方向D1の長さが第2長さL2のシートSH(SH2)を収容する。
【0044】
本実施例では、第2長さL2のシートSH(SH2)は、リーガルサイズのシートSHである。リーガルサイズの第2長さL2は、リーガルサイズの長辺の長さ356mmであり、A4サイズの第1長さL1よりも59mm長い。
【0045】
なお、シートトレイ200は、延長トレイ220が延長位置にある場合において、ユーザの手動操作によって、後端規制ガイド209が前方にスライドすることにより、リーガルサイズよりも小さいサイズのシートSH、例えば、A4サイズの用紙等を収容可能である。
【0046】
つまり、非延長位置は、シートトレイ200が第1長さL1のシートSH(SH1)を収容するための位置であるが、ユーザの選択によって、第1長さL1のシートSH(SH1)よりも短いシートSHのために適用可能である。また、延長位置は、シートトレイ200が第2長さL2のシートSH(SH2)を収容するための位置であるが、ユーザの選択によって、第2長さL2のシートSH(SH2)よりも短いシートSHのために適用可能である。
【0047】
<供給部>
図1に示すように、供給部20は、シートトレイ200に収容されたシートSHを供給ローラ21、分離ローラ22及び分離パッド22Aにより1枚ずつ搬送経路P1に送り出す。そして、供給部20は、搬送経路P1のUターンする部位に配設された搬送ローラ対23A、23B及びレジストローラ対24A、24Bにより、シートSHを画像形成部3に向けて搬送する。
【0048】
<画像形成部>
画像形成部3は、直接転写型のカラー電子写真方式である。画像形成部3は、周知の構成であるプロセスカートリッジ7、スキャナ部8及び定着器9等を有している。
【0049】
プロセスカートリッジ7は、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナーに対応し、搬送経路P1の略水平部分に沿って直列する4つのカートリッジの集合体である。プロセスカートリッジ7は、各色のトナーにそれぞれ対応する4個の感光体5や、図示しない現像ローラ、帯電器及びトナー収容部等を有している。
【0050】
スキャナ部8は、レーザ光源、ポリゴンミラー、fθレンズ及び反射鏡等を有している。スキャナ部8は、上方からレーザビームをプロセスカートリッジ7内の各感光体5に照射する。
【0051】
定着器9は、プロセスカートリッジ7よりも後方に位置している。定着器9は、加熱ローラ9A及び加圧ローラ9Bを有している。定着器9は、プロセスカートリッジ7の下方を通過したシートSHを加熱ローラ9Aと加圧ローラ9Bとにより加熱加圧する。
【0052】
画像形成部3は、以下のようにして、搬送経路P1に沿って搬送されるシートSHに画像を形成する。すなわち、各感光体5の表面は、その回転に伴って、帯電器により一様に正帯電された後、スキャナ部8から照射されるレーザビームの高速走査により露光される。これにより、各感光体5の表面には、シートSHに形成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。次に、トナー収容部からトナーが静電潜像に対応して各感光体5の表面に供給される。そして、シートSHが搬送経路P1に沿って搬送されて画像形成部3を通過する際、シートSHの一方の面は、上を向いて感光体5と対面する。そして、各感光体5の表面上に担持されたトナーがシートSHの一方の面に転写され、定着器9で加熱加圧される。その結果、トナーがシートSHに定着する。
【0053】
<排出部>
排出部29は、排出ローラ対29A、29B及びフラッパ29Fを有している。
【0054】
排出ローラ対29A、29Bは、搬送経路P1の最下流側に位置している。排出ローラ対29A、29Bは、図示しない制御部に制御されて正回転及び逆回転する。
【0055】
フラッパ29Fは、搬送経路P1における定着器9よりも後方で上向きにUターンする部分に位置している。フラッパ29Fは、
図1に実線で示す位置と、
図1に二点鎖線で示す位置との間で揺動可能である。
【0056】
フラッパ29Fは、図示しないバネによって、
図1に二点鎖線で示す位置に保持されている。このバネの付勢力は、搬送経路P1に沿って搬送されるシートSHがフラッパ29Fに当接することにより、フラッパ29Fが
図1に実線で示す位置に揺動する程度に弱い。
【0057】
シートSHの一方の面のみに画像形成動作を行う場合、排出ローラ対29A、29Bは、定着器9を通過したシートSHを挟んだ状態で正回転することにより、そのシートSHを排出トレイ2Tに排出する。この際、フラッパ29Fは、そのシートSHに押されて
図1に実線で示す位置に揺動し、そのシートSHの通過後、
図1に二点鎖線で示す位置に復帰する。
【0058】
シートSHの両面に画像形成動作を行う場合、排出ローラ対29A、29B及びフラッパ29Fは、シートSHの反転機構として機能し、一方の面に画像が形成されたシートSHを反転させる。
【0059】
すなわち、排出ローラ対29A、29BがシートSHを挟んで排出トレイ2Tに向けて排出する途中において、図示しないシートセンサが定着器9を通過するシートSHの後端縁を検知しなくなってから所定のタイミングで、図示しない制御部が排出ローラ対29A、29Bを正回転から逆回転に切り替える。その結果、排出ローラ対29A、29Bは、シートSHを反転させる。
【0060】
所定のタイミングは、シートSHの後端縁がフラッパ29Fを通過して、フラッパ29Fが
図1に二点鎖線で示す位置に復帰した後となるように設定されている。フラッパ29Fは、
図1に二点鎖線で示す位置にある状態では、上端側が搬送経路P1を跨いで、再搬送経路P2に沿う状態となる。これにより、フラッパ29Fは、反転したシートSHを再搬送経路P2に案内する。
【0061】
<再搬送部>
再搬送部10は、第1搬送ローラ11及びピンチローラ11Pを備えている。第1搬送ローラ11及びピンチローラ11Pは、再搬送経路P2における排出部29から下向きに進む部分の途中に位置し、幅方向において長尺のローラである。第1搬送ローラ11及びピンチローラ11Pは、反転して再搬送経路P2に進入したシートSHを搬送方向D1に、すなわち下向きに搬送する。
【0062】
また、再搬送部10は、搬送ガイド100を備えている。搬送ガイド100は、再搬送経路P2における画像形成部3よりも下方、かつシートトレイ200よりも上方の位置で、搬送方向D1の向きを変更し、前向きに略水平に進む部分を構成している。
【0063】
搬送ガイド100は、再搬送トレイ101を有している。
図3及び
図4に示すように、再搬送トレイ101は、第1ガイド部110及び複数の湾曲リブ140を有している。
【0064】
第1ガイド部110は、前後方向及び幅方向に略平板状に延びている。第1ガイド部110は、上向きに突出し、かつ前後方向に延びる複数のリブ111を有し、それらのリブ111の上端縁111Aによって、実質的に平坦な面である搬送面110Aを構成している。すなわち、搬送面110Aは、複数のリブ111の上端縁111Aを仮想的に連結した面である。
【0065】
各湾曲リブ140は、第1ガイド部110の後端部に一体に形成され、上向きに突出し、かつ前後方向に延びている。各湾曲リブ140の上端縁は、搬送面110Aよりも高い位置から前向きに下り傾斜し、その傾斜角度を徐々に緩めて搬送面110Aの後端に接続している。各湾曲リブ140と搬送面110Aとの接続位置を仮想線K1で示す。
【0066】
図1に示すように、各湾曲リブ140は、第1搬送ローラ11及びピンチローラ11Pによって搬送されるシートSHの搬送方向D1を下向きから湾曲させて前向きに変更する。第1ガイド部110は、搬送面110Aによって、そのシートSHを搬送方向D1に、すなわち前向きに案内する。
【0067】
また、搬送ガイド100は、
図1、
図3及び
図4に示すように、第1ガイド部110に固定された第2ガイド部120と、
図1に示すように、装置本体2に固定された第2ガイド部121と、を有している。
【0068】
図3に示すように、第2ガイド部120は、第1ガイド部110における幅方向の一方の端縁の後部分に片持ち状態で固定され、第1ガイド部110の上方に位置している。第2ガイド部120は、搬送面110Aにおける後方かつ幅方向の一方に位置する領域を上から覆っている。
【0069】
図1に示すように、第2ガイド部121も、第1ガイド部110の上方に位置している。図示は省略するが、第2ガイド部121は、搬送面110Aにおける第2ガイド部120に覆われていない領域を上から覆っている。
【0070】
第2ガイド部120、121のそれぞれの下面は、第1ガイド部110によって案内されるシートSHが搬送面110Aから上方に離れ過ぎないように規制する。
【0071】
搬送ガイド100は、第1ガイド部110の搬送面110Aと、第2ガイド部120、121のそれぞれの下面との間に搬送空間100Aを形成している。搬送空間100Aは、再搬送経路P2の一部である。搬送面110Aは、本発明の「搬送空間の下端」の一例である。
【0072】
ユーザは、再搬送トレイ101を装置本体2内から後向きに引き出すことにより、再搬送トレイ101及び第2ガイド部120を装置本体2から取り外すことができる。
【0073】
さらに、再搬送部10は、
図3~
図5に示すように、サイドシュート149及び基準ガイド130を備えている。サイドシュート149及び基準ガイド130は、第1搬送ローラ11よりも搬送方向D1の下流に位置している。
【0074】
サイドシュート149は、第1ガイド部110の後端部、かつ幅方向の一方の端部に位置し、幅方向において各湾曲リブ140と並んでいる。サイドシュート149は、第1搬送ローラ11及びピンチローラ11Pによって搬送されるシートSHにおける幅方向の一方の端縁を基準ガイド130に向けて案内する。
【0075】
基準ガイド130は、各湾曲リブ140よりも搬送方向D1の下流に位置している。基準ガイド130は、ガイドピン139及び基準ガイド本体131を有している。
【0076】
ガイドピン139は、上下方向に延びる金属製の円柱である。ガイドピン139は、サイドシュート149の前端に挿入されている。
【0077】
基準ガイド本体131は、断面略C字形状に折り曲げ加工された板金部材であり、前後方向に延びている。基準ガイド本体131の後端は、ガイドピン139の前方に位置している。
【0078】
ガイドピン139及び基準ガイド本体131は、搬送空間100Aにおける幅方向の一端側に位置している。
図4に示すように、ガイドピン139の円筒面と、基準ガイド本体131の側壁とは、搬送空間100Aにおける幅方向の一端側で前後方向に延びる基準線J1に沿う位置にある。
【0079】
基準ガイド130は、ガイドピン139及び基準ガイド本体131が第1ガイド部110に案内されるシートSHにおける幅方向の一方の端縁に摺接することにより、基準線J1を基準として、そのシートSHの幅方向の位置を規制する。
【0080】
また、再搬送部10は、
図1に示すように、第2搬送ローラ12、ピンチローラ12P、斜送ローラ13及び駆動ローラ13Dを備えている。
【0081】
図3及び
図4に示すように、第1ガイド部110は、その前端部において、2つの第2搬送ローラ12を回転可能に支持している。各第2搬送ローラ12は、幅方向において互いに離間している。各第2搬送ローラ12は、基準ガイド130よりも搬送方向D1の下流に、すなわち基準ガイド本体131の前端よりも前方に位置している。
【0082】
図1に示すように、第2ガイド部121は、2つのピンチローラ12Pを回転可能に支持している。各ピンチローラ12Pは、各第2搬送ローラ12に向けて付勢されている。各第2搬送ローラ12及び各ピンチローラ12Pは、基準ガイド130によって幅方向の位置が規制されたシートSHを供給部20に向けて搬送する。
【0083】
図3及び
図4に示すように、第2ガイド部120は、1つの斜送ローラ13を回転可能に支持している。斜送ローラ13は、その幅方向の他方の端部がその幅方向の一方の端部よりも前方にずれるように、幅方向に対して傾斜している。第1ガイド部110は、1つの駆動ローラ13Dを回転可能に支持している。斜送ローラ13は、駆動ローラ13Dに向けて付勢されている。
【0084】
斜送ローラ13及び駆動ローラ13Dは、ガイドピン139及び基準ガイド本体131の後端よりも搬送方向D1の下流に位置している。また、斜送ローラ13及び駆動ローラ13Dは、搬送空間100Aにおける幅方向の一端側であって基準ガイド本体131の近傍に位置している。
【0085】
斜送ローラ13及び駆動ローラ13Dは、第1搬送ローラ11及びピンチローラ11Pによって搬送されてきたシートSHを基準ガイド130のガイドピン139及び基準ガイド本体131に向けて斜送する。
【0086】
図1に示すように、斜送ローラ13及び駆動ローラ13Dは、搬送方向D1において第1搬送ローラ11と各第2搬送ローラ12との間に位置している。搬送方向D1において第1搬送ローラ11と各第2搬送ローラ12とが離れる距離は、第1長さL1及び第2長さL2よりも長く設定されている。このため、斜送ローラ13及び駆動ローラ13Dは、第1搬送ローラ11及び各第2搬送ローラ12から離間した状態になったシートSHを単独で斜送可能である。
【0087】
<当接部材>
再搬送部10は、
図3~
図7に示すように、当接部材170を備えている。第1ガイド部110は、当接部材170を保持するための保持部117を有している。保持部117は、第1ガイド部110における幅方向の他方の端部に位置している。
【0088】
保持部117は、挿通穴117Hを有している。挿通穴117Hは、前後方向に長い矩形穴であり、第1ガイド部110を上下方向において貫通している。
【0089】
挿通穴117Hは、各湾曲リブ140と搬送面110Aとの接続位置K1よりも搬送方向D1の下流、かつガイドピン139及び基準ガイド本体131の後端よりも搬送方向D1の上流に位置している。
【0090】
第2長さL2のシートSH(SH2)における幅方向の一方の端縁がガイドピン139及び基準ガイド本体131に摺接する状態で、そのシートSH(SH2)における幅方向の他方の端縁が通過する位置を
図4に仮想線K2で示す。挿通穴117Hは、仮想線K2に対して幅方向の他方に4mm程度離れている。
【0091】
図5及び
図6に示すように、保持部117は、ガイド壁117G及びストッパ117Sを有している。
【0092】
ガイド壁117Gは、上下方向に延びる略四角筒形状であって、挿通穴117Hを下から囲んでいる。ストッパ117Sは、ガイド壁117Gの下端に接続する内フランジ形状である。
【0093】
図8に示すように、当接部材170は、例えば熱可塑性樹脂の射出成形等によって製造される樹脂成形品である。当接部材170は、基部175、凸部173、第1傾斜面171、第2傾斜面172及び受動部179を有している。
【0094】
基部175は、矩形状である。凸部173は、基部175の上面から上向きに突出している。第1傾斜面171は、凸部173の上面であり、搬送方向D1の下流に向かって上り傾斜している。第2傾斜面172は、第1傾斜面171の側端縁171Eに接続し、幅方向の一方に位置する基準ガイド130に向かって下り傾斜している。
【0095】
受動部179は、基部175の下面から下向きに突出している。受動部179は、幅方向から見て、台形を上下逆向きにした形状である。
【0096】
当接部材170は、基部175が保持部117のガイド壁117Gの内壁面に沿って摺動することにより、
図5に示す退避位置と、
図6に示す突出位置との間で上下方向に移動可能である。
【0097】
図5に示す退避位置は、基部175がガイド壁117Gの内壁面に沿って下向きに摺動し、ストッパ117Sに当て止まった位置である。当接部材170は、退避位置に位置する状態で、第1傾斜面171及び第2傾斜面172が搬送面110A以下に下降して、搬送空間100Aから退避する。
図3に示す当接部材170の位置も、退避位置である。
【0098】
図6に示す突出位置は、基部175がガイド壁117Gの内壁面に沿って上向きに摺動し、挿通穴117Hの周縁に当て止まった位置である。当接部材170は、突出位置に位置する状態で、搬送空間100A内に突出する。
図7に示す当接部材170の位置も、突出位置である。
【0099】
なお、
図4に示すように、当接部材170を上面視した場合、当接部材170は、退避位置と突出位置とで変化しない。
【0100】
当接部材170は、各湾曲リブ140と搬送面110Aとの接続位置K1よりも搬送方向D1の下流、かつガイドピン139及び基準ガイド本体131の後端よりも搬送方向D1の上流に位置している。つまり、当接部材170は、搬送方向D1において第1搬送ローラ11と基準ガイド130との間に位置している。
【0101】
当接部材170が突出位置にある状態で、第1傾斜面171及び第2傾斜面172は、仮想線K2に対して幅方向の他方に4mm程度離れた位置で、搬送空間100A内に2~3mm程度突出する。すなわち、凸部173、第1傾斜面171及び第2傾斜面172の上端が搬送面110Aよりも上方に位置する。これにより、第1ガイド部110に案内されるシートSHが仮想線K2から幅方向の他方にはみ出したときに、第1傾斜面171及び第2傾斜面172は、そのシートSHにおける幅方向の他方の端縁に当接可能となっている。
【0102】
図5及び
図6に示すように、受動部179は、当接部材170の移動にかかわらず、搬送空間100A外に位置し、少なくとも一部がストッパ117Sよりも下方に突出している。
【0103】
<延長トレイの作用部>
図2、
図5及び
図6に示すように、延長トレイ220は、作用部229を有している。当接部材170の受動部179と、延長トレイ220の作用部229とは、本発明の「切替手段」の一例である。
【0104】
作用部229は、延長トレイ220における幅方向の他方に位置する延長側壁223Bの前方かつ上方の角部に一体に形成されている。作用部229は、延長側壁223Bの上端にて上方に突出している。作用部229は、幅方向から見て、台形状である。
【0105】
図5に示すように、延長トレイ220が非延長位置にある状態では、作用部229は、受動部179よりもシートトレイ200の装着方向の上流に位置し、受動部179から前方に遠く離れている。このため、当接部材170が自重によって、退避位置に移動した状態となっている。
【0106】
つまり、受動部179及び作用部229は、搬送方向D1の長さが第1長さL1のシートSH(SH1)の搬送時には、ユーザが延長トレイ220を非延長位置に移動させてシートトレイ200を装置本体2に装着する手動操作に連動して作用部229が受動部179に作用しなくなり、当接部材170を退避位置に移動させる。
【0107】
図6に示すように、延長トレイ220が延長位置にある状態では、作用部229は、シートトレイ200の装着方向において受動部179と同じ位置にあり、受動部179を押し上げて当接部材170を突出位置に移動させる。
【0108】
つまり、受動部179及び作用部229は、搬送方向D1の長さが第2長さL2のシートSH(SH2)の搬送時には、ユーザが延長トレイ220を延長位置に移動させてシートトレイ200を装置本体2に装着する手動操作に連動して作用部229が受動部179に作用し、当接部材170を突出位置に移動させる。
【0109】
こうして、当接部材170は、搬送方向D1の長さが第1長さL1のシートSH(SH1)の搬送時には退避位置に位置し、搬送方向D1の長さが第1長さL1よりも長い第2長さL2のシートSH(SH2)の搬送時には突出位置に位置するように移動可能となっている。
【0110】
<作用効果>
実施例の画像形成装置1において、
図5に示すように、搬送方向D1の長さが第1長さL1のシートSH(SH1)の搬送時には、延長トレイ220が非延長位置にあって作用部229が受動部179から離れており、当接部材170が自重によって退避位置に位置する。
【0111】
この場合において、第1長さL1のシートSH(SH1)が再搬送経路P2に沿って搬送されるときの姿勢の変化を
図9に符号M11、M12、M13を付して示す。また、
図9では、退避位置にある当接部材170を破線で示す。
【0112】
図9に符号M11を付して示すシートSH(SH1)のように、第1搬送ローラ11及び各第2搬送ローラ12から離間した状態になった第1長さL1のシートSH(SH1)は、搬送空間100Aから退避した当接部材170から搬送抵抗を受けることなく斜送ローラ13によって、基準ガイド130のガイドピン139及び基準ガイド本体131に向けて斜送される。
【0113】
これにより、
図9に符号M12を付して示すシートSH(SH1)のように、斜送ローラ13は、第1長さL1のシートSH(SH1)における基準ガイド130側の端縁を基準ガイド130における搬送方向D1の上流端、すなわちガイドピン139に接触させ、ガイドピン139を中心として第1長さL1のシートSH(SH1)を基準ガイド130に沿うように回転させて基準ガイド130に沿わせる。
【0114】
その結果、
図9に符号M13を付して示すシートSH(SH1)のように、第1長さL1のシートSH(SH1)は、基準ガイド130によって、幅方向の位置が基準線J1を基準として精度良く規制される。
【0115】
また、この画像形成装置1において、
図6に示すように、搬送方向D1の長さが第1長さL1よりも長い第2長さL2のシートSH(SH2)の搬送時、すなわち、シートSHが第1搬送ローラ11及び各第2搬送ローラ12から離間した状態となる時間が短くなるとき、延長トレイ220が延長位置にあって作用部229を受動部179を押し上げることにより、当接部材170が突出位置に位置する。
【0116】
この場合において、第2長さL2のシートSH(SH2)が再搬送経路P2に沿って搬送されるときの姿勢の変化を
図10に符号M21、M22、M23を付して示す。また、
図10では、突出位置にある当接部材170を実線で示す。
【0117】
図10に符号M21を付して示すシートSH(SH2)のように、第1搬送ローラ11及び各第2搬送ローラ12から離間した状態になった第2長さL2のシートSH(SH2)が、幅方向の他方側に寄って搬送されている場合、搬送空間100Aにおける幅方向の他端側で搬送空間100A内に突出する当接部材170の第1傾斜面171及び第2傾斜面172に当接されて搬送抵抗F1を付与されながら、斜送ローラ13によって基準ガイド130のガイドピン139及び基準ガイド本体131に向けて斜送される。搬送抵抗F1は、第2長さL2のシートSH(SH2)を斜送ローラ13を中心として回転させて第2長さL2のシートSH(SH2)における基準ガイド130側の端縁を先行させるように作用する。
【0118】
これにより、
図10に符号M22を付して示すシートSH(SH2)のように、斜送ローラ13は、第2長さL2のシートSH(SH2)における基準ガイド130側の端縁を速やかにガイドピン139に接触させ、ガイドピン139を中心として第2長さL2のシートSH(SH2)を基準ガイド130に沿うように回転させる動作を速やかに開始できる。
【0119】
その結果、
図10に符号M23を付して示すシートSH(SH2)のように、第2長さL2のシートSH(SH2)は、各第2搬送ローラ12にニップされるまでの短い時間で基準ガイド130に沿うことができ、基準ガイド130によって、幅方向の位置が基準線J1を基準として精度良く規制される。
【0120】
したがって、実施例の画像形成装置1は、搬送方向D1の長さが長いシートSH(SH2)を搬送する場合でもシートSH(SH2)の幅方向の位置を精度良く規制できる。
【0121】
また、この画像形成装置1において、
図5及び
図6に示すように、当接部材170は、退避位置と突出位置との間で上下方向に移動する。この構成により、この画像形成装置1は、幅方向の大型化を抑制できる。
【0122】
さらに、この画像形成装置1は、第2長さL2のシートSH(SH2)の搬送を選択するための手動操作に連動して当接部材170を突出位置に移動させる切替手段である受動部179及び作用部229を備えている。この構成により、この画像形成装置1は、ソレノイドやモータ等を制御して当接部材170を突出位置に移動させる必要がなくなるので、製造コストの低廉化を実現できる。
【0123】
また、この画像形成装置1は、ユーザが延長トレイ220を延長位置に移動させて第2長さL2のシートSH(SH2)をシートトレイ200に収容した後にシートトレイ200を装置本体に装着する手動操作を行うことにより、作用部229が受動部179を押し上げる。これにより、この画像形成装置1は、ユーザが意識することなく、第2長さL2のシートSH(SH2)に合わせて当接部材170を突出位置に移動させることができるので、ユーザの利便性の向上を実現できる。
【0124】
さらに、この画像形成装置1は、
図2に示すように、延長トレイ220が延長底壁222及び延長側壁223A、223Bを有し、作用部229が延長側壁223Bの上端にて上方に突出する構成により、作用部229の配置スペースを小さくでき、作用部229が周辺部材と干渉することを抑制できる。
【0125】
また、この画像形成装置1によれば、シートトレイ200が装置本体に装着される装着方向において、
図5に示すように、延長トレイ220が非延長位置にある場合に、作用部229は受動部179よりも装着方向の上流に位置し、
図6に示すように、延長トレイ220が延長位置にある場合に、作用部229は装着方向において受動部179と同じ位置にある。このような簡素な構成により、当接部材170を退避位置と突出位置との間で確実性高く上下動させることができる。
【0126】
さらに、この画像形成装置1において、
図1に示すように、搬送空間100Aは、再搬送経路P2の一部である。再搬送経路P2は、装置本体2内においてユーザが操作し難い位置にある。このため、この画像形成装置1は、受動部179及び作用部229による利便性の向上を確実に享受できる。
【0127】
また、この画像形成装置1において、シートトレイ200は、再搬送経路P2よりも下方に位置している。そして、
図5及び
図6に示すように、当接部材170は、第2長さL2のシートSH(SH2)の搬送を選択するための手動操作に連動して作用部229が受動部179を押し上げることにより、搬送面110A以下に下降した退避位置から搬送空間100A内に突出する突出位置に上昇する。この構成により、この画像形成装置1は、当接部材170が昇降する構成を簡素化でき、下降も当接部材170の自重によって行うことができる。その結果、この画像形成装置1では、製造コストの一層の低廉化を実現できる。
【0128】
さらに、この画像形成装置1において、当接部材170は、搬送方向D1の下流に向かって上り傾斜してシートSHに当接可能な第1傾斜面171を有している。この構成により、当接部材170は、第2長さL2のシートSH(SH2)における基準ガイド130とは反対側に対して、第1傾斜面171によって搬送抵抗F1を緩やかに作用させることができる。このため、この画像形成装置1は、第2長さL2のシートSH(SH2)の急激な回転挙動に起因してシートSH(SH2)が詰まることを抑制できる。
【0129】
また、この画像形成装置1において、
図8に示すように、当接部材170は、第1傾斜面171の側端縁171Eに接続し、幅方向において基準ガイド130に向かって下り傾斜する第2傾斜面172を有している。この構成により、当接部材170は、第2長さL2のシートSH(SH2)の幅方向における基準ガイド130とは反対側の端縁を第2傾斜面172によって支持できる。このため、この画像形成装置1は、その端縁が当接部材170の側面に押し付けられて折れ曲がる不具合を抑制できる。
【0130】
さらに、この画像形成装置1において、
図6及び
図7に示すように、当接部材170は、各湾曲リブ140と搬送面110Aとの接続位置K1よりも搬送方向D1の下流に位置している。この構成により、当接部材170は、第1ガイド部110における平坦な領域で第2長さL2のシートSH(SH2)に作用して搬送抵抗F1を付与できるので、搬送抵抗F1のばらつきを抑制でき、第2長さL2のシートSH(SH2)の回転挙動のばらつきを抑制できる。
【0131】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0132】
実施例では、基準ガイド130が基準ガイド本体131及びガイドピン139を有しているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、基準ガイドは一部材であってもよい。
【0133】
実施例では、ユーザのシートトレイ200に対する手動操作に連動して当接部材170が退避位置と突出位置との間で移動可能であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、当接部材は、ソレノイドやモータ等に駆動されて退避位置と突出位置との間で移動可能であってもよい。
【0134】
実施例では、当接部材170が退避位置で搬送面110A以下に下降し、突出位置で搬送空間100A内に上向きに突出するが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、当接部材は、退避位置と突出位置との間で幅方向に移動してもよい。また、当接部材が退避位置で搬送空間の上端以上に上昇し、突出位置で搬送空間内に下向きに突出してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明は例えば、画像形成装置、画像読取装置又は複合機等に利用可能である。
【符号の説明】
【0136】
1…シート搬送装置(画像形成装置)、SH…シート
D1…搬送方向、110…第1ガイド部、120、121…第2ガイド部
100A…搬送空間、100…搬送ガイド、130…基準ガイド
11…第1搬送ローラ、12…第2搬送ローラ、13…斜送ローラ
L1…第1長さ、SH1…第1長さのシート
L2…第2長さ、SH2…第2長さのシート、170…当接部材
179、229…切替手段(179…受動部、229…作用部)
2…装置本体、200…シートトレイ、210…トレイ本体
220…延長トレイ、222…延長底壁、223A、223B…延長側壁
3…画像形成部、P2…再搬送経路
110A…搬送空間の下端(搬送面)、171…第1傾斜面
171E…第1傾斜面の側端縁、172…第2傾斜面、140…湾曲リブ