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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123437
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】カテーテルシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20220817BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20220817BHJP
   A61B 1/01 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
A61B1/00 715
A61M25/10 510
A61B1/01 511
A61B1/01 513
A61B1/00 732
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020763
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 直矢
(72)【発明者】
【氏名】早川 浩一
【テーマコード(参考)】
4C161
4C267
【Fターム(参考)】
4C161AA16
4C161CC04
4C161CC07
4C161FF35
4C161GG25
4C161JJ11
4C267AA05
4C267AA07
4C267BB02
4C267BB10
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB28
4C267BB40
4C267CC25
4C267EE01
4C267GG03
4C267GG04
4C267HH08
(57)【要約】
【課題】バルーンに軸線方向の圧縮力が作用した際にイメージガイドが折損することを抑えることができ、仮にイメージガイドが折損した場合であっても折損部が挿入部の外表面から露出することを抑制することができるカテーテルシステムを提供する。
【解決手段】カテーテルシステム10の内視鏡14の挿入部80は、挿入部80の先端部に位置するレンズユニット84と、レンズユニット84により得られた像を挿入部80の基端側に伝送するイメージガイド88と、イメージガイド88の外周面を全周に亘って覆うように設けられた補強構造90とを有する。補強構造90は、挿入部80のうち膨らんだ状態のバルーン22が接触する部分に設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する外管と、前記外管に対して当該外管の軸線方向に移動可能なように前記外管の内腔に配設された内管と、前記外管の先端部と前記内管の先端部とを互いに繋ぐとともに前記外管の径方向内方に膨らむ管状のバルーンとを有するバルーンカテーテルと、
前記バルーンの内腔に挿入された線状の挿入部を備えた内視鏡と、を備えるカテーテルシステムであって、
前記バルーンは、膨らんだ状態の当該バルーンを前記挿入部で支持した状態で、先端方向への押込み力が前記内管から前記バルーンへと伝達されることで前記バルーンの先端部が捲り返されながら前記外管の先端開口から前記先端方向に突出し、
前記挿入部は、
当該挿入部の先端部に位置するレンズユニットと、
前記挿入部の軸線方向に沿って延在して前記レンズユニットにより得られた像を前記挿入部の基端側に伝送するイメージガイドと、
前記イメージガイドの外周面を全周に亘って覆うように設けられた補強構造と、を有し、
前記補強構造は、前記挿入部のうち膨らんだ状態の前記バルーンが接触する部分に設けられているカテーテルシステム。
【請求項2】
請求項1記載のカテーテルシステムであって、
前記補強構造は、前記イメージガイドの先端側に設けられるとともに前記イメージガイドの基端側に設けられていない、カテーテルシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のカテーテルシステムであって、
前記補強構造の全長は、前記バルーンカテーテルの初期状態での前記バルーンの全長よりも長い、カテーテルシステム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のカテーテルシステムであって、
前記挿入部は、前記レンズユニット及び前記イメージガイドを覆うチューブ部材を有し、
前記補強構造は、前記チューブ部材の内腔における前記イメージガイドの外周側に充填された接着剤を含む、カテーテルシステム。
【請求項5】
請求項4記載のカテーテルシステムであって、
前記接着剤は、前記イメージガイドの外周面と前記チューブ部材の内周面とに接触している、カテーテルシステム。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか1項に記載のカテーテルシステムであって、
前記補強構造は、前記イメージガイドの外周面を被覆する補強チューブを含む、カテーテルシステム。
【請求項7】
請求項6記載のカテーテルシステムであって、
前記補強チューブは、可撓性を有する高分子材料によって構成されている、カテーテルシステム。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか1項に記載のカテーテルシステムであって、
前記補強構造は、前記イメージガイドの外周面を螺旋状に巻回するように設けられた線状部材を含む、カテーテルシステム。
【請求項9】
請求項8記載のカテーテルシステムであって、
前記線状部材は、金属材料を含んで構成されている、カテーテルシステム。
【請求項10】
請求項1~3のいずれか1項に記載のカテーテルシステムであって、
前記挿入部は、当該挿入部の基端側からの光を当該挿入部の先端に導くためのライトガイドを有する、カテーテルシステム。
【請求項11】
請求項10記載のカテーテルシステムであって、
前記補強構造は、前記ライトガイドが前記イメージガイドの外周面に巻回されることによって形成されている、カテーテルシステム。
【請求項12】
請求項11記載のカテーテルシステムであって、
前記ライトガイドは、プラスチック製の光ファイバである、カテーテルシステム。
【請求項13】
請求項10記載のカテーテルシステムであって、
前記ライトガイドは、前記イメージガイドの軸線方向に沿って延在した状態で複数設けられ、
前記補強構造は、複数の前記ライトガイドが前記イメージガイドの周方向に一周するように配置されることによって形成されている、カテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルシステムは、例えば、卵管の病変部(狭窄部又は閉塞部)を治療するためのバルーンカテーテルと、内視鏡とを備える。バルーンカテーテルは、可撓性を有する外管と、外管に対して外管の軸線方向に移動可能なように外管の内腔に配設された内管と、外管の先端部と内管の先端部とを互いに繋ぐとともに外管の径方向内方に膨らむ管状のバルーンとを備える。
【0003】
卵管鏡下卵管形成術において、バルーンは、膨らんだ状態のバルーンを卵管鏡の線状の挿入部で支持した状態で、先端方向への押込み力が内管からバルーンへと伝達されることでバルーンの先端部が捲り返されながら外管の先端開口から突出して卵管口に挿入される。
【0004】
例えば、特許文献1には、医療用の内視鏡の構造が開示されている。この種の内視鏡の挿入部は、挿入部の先端部に設けられたレンズユニット(対物レンズ)と、挿入部の軸線方向に沿って延在してレンズユニットにより得られた像を挿入部の基端側に伝送するイメージガイドとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-190077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した卵管鏡下卵管形成術において、卵管の病変部が完全に閉塞しているような症例では、病変部をバルーンによって押し広げる際に比較的大きな押込み力を要することがある。このような場合、バルーンに比較的大きな軸線方向の圧縮力が作用するため、バルーンとともに挿入部が過剰に屈曲することがある。そうすると、挿入部のイメージガイドが折損するおそれがある。
【0007】
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、バルーンに軸線方向の圧縮力が作用した際にイメージガイドが折損することを抑えることができ、仮にイメージガイドが折損した場合であっても折損部が挿入部の外表面から露出することを抑制することができるカテーテルシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、可撓性を有する外管と、前記外管に対して当該外管の軸線方向に移動可能なように前記外管の内腔に配設された内管と、前記外管の先端部と前記内管の先端部とを互いに繋ぐとともに前記外管の径方向内方に膨らむ管状のバルーンとを有するバルーンカテーテルと、前記バルーンの内腔に挿入された線状の挿入部を備えた内視鏡と、を備えるカテーテルシステムであって、前記バルーンは、膨らんだ状態の当該バルーンを前記挿入部で支持した状態で、先端方向への押込み力が前記内管から前記バルーンへと伝達されることで前記バルーンの先端部が捲り返されながら前記外管の先端開口から前記先端方向に突出し、前記挿入部は、当該挿入部の先端に位置するレンズユニットと、前記挿入部の軸線方向に沿って延在して前記レンズユニットにより得られた像を前記挿入部の基端側に伝送するイメージガイドと、前記イメージガイドの外周面を全周に亘って覆うように設けられた補強構造と、を有し、前記補強構造は、前記挿入部のうち膨らんだ状態の前記バルーンが接触する部分に設けられているカテーテルシステムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、補強構造によって挿入部(挿入部のうち膨らんだ状態のバルーンが接触する部分)の剛性を向上させることができるため、バルーンに軸線方向の圧縮力が作用した際に挿入部が過度に屈曲することを抑えることができる。これにより、イメージガイドが折損することを抑えることができる。また、仮にイメージガイドが折損した場合であっても、折損部が挿入部の外表面から露出することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るカテーテルシステムの概略構成図である。
図2図1のカテーテルシステムの一部省略縦断面図である。
図3図2の内視鏡の先端部の一部省略拡大縦断面図である。
図4図3のIV-IV線に沿った横断面図である。
図5図1のカテーテルシステムを用いた卵管鏡下卵管形成術の第1説明図である。
図6】前記卵管鏡下卵管形成術の第2説明図である。
図7】前記卵管鏡下卵管形成術の第3説明図である。
図8】前記卵管鏡下卵管形成術の第4説明図である。
図9】前記卵管鏡下卵管形成術の第5説明図である。
図10】前記卵管鏡下卵管形成術の第6説明図である。
図11】第1変形例に係る内視鏡の挿入部の先端側の一部省略縦断面説明図である。
図12】第2変形例に係る内視鏡の挿入部の先端側の一部省略縦断面説明図である。
図13図13Aは、第3変形例に係る内視鏡の挿入部の先端側の一部省略縦断面説明図であり、図13Bは、図13AのXIIIB-XIIIB線に沿った横断面説明図である。
図14図14Aは、第4変形例に係る内視鏡の挿入部の先端側の一部省略縦断面説明図であり、図14Bは、図14AのXIVB-XIVB線に沿った横断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るカテーテルシステムについて好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るカテーテルシステム10は、バルーンカテーテル12と、医療機器である内視鏡14(卵管鏡)とを備える。図5図10に示すように、カテーテルシステム10は、例えば、卵管202の病変部204(狭窄部又は閉塞部等)を治療する卵管鏡下卵管形成術に用いられる。ただし、カテーテルシステム10は、卵管202以外のもの、例えば、血管、胆管、気管、食道、尿道、大腸、その他の臓器等の生体管内の病変部を治療するためのものでもよい。
【0013】
カテーテルシステム10に関する以下の説明では、図1中の左側(矢印X1方向)を「先端」、図1中の右側(矢印X2方向)を「基端」という。
【0014】
図1及び図2に示すように、バルーンカテーテル12は、外側カテーテル16と、外側カテーテル16に設けられたスライダ18と、外側カテーテル16内に挿入された内側カテーテル20と、バルーン22とを備える。
【0015】
外側カテーテル16は、可撓性を有する長尺な外管24と、外管24の基端部に設けられた外管ハブ26(外管操作部)と、外管ハブ26に設けられた固定ねじ28とを有する。外管24の全長は、100mm以上1500mm以下に設定するのが好ましく、200mm以上1000mm以下に設定するのがより好ましい。
【0016】
図2において、外管24は、外管本体30と、外管本体30の先端部に設けられた先端部材32(先端チップ)とを含む。外管本体30及び先端部材32のそれぞれの構成材料としては、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、エラストマー樹脂(ポリオレフィンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマー等)、可撓性を有する高分子材料(ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、エチレン-酢酸ビニル共重合体、シリコーンゴム等)、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0017】
外管本体30には、先端から基端まで貫通した第1内腔34が形成されている。外管本体30の先端部は、軸線方向に円弧状に湾曲するように形状付けられている。外管本体30は、全長に亘って概ね一定の外径を有する。
【0018】
先端部材32の外周面は、バルーンカテーテル12や生体組織の損傷を防止するために湾曲している。先端部材32には、バルーン22を先端部材32よりも先端方向(矢印X1方向)に導出させるためのバルーン導出孔52が形成されている。バルーン導出孔52は、外管24の先端開口54に連通している。
【0019】
図1及び図2に示すように、外管ハブ26は、硬質樹脂又は金属(ステンレス鋼、チタン、チタン合金等)によって構成されている。硬質樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリオレフィン、スチレン系樹脂、ポリアミド、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド等が挙げられる。
【0020】
図2において、外管ハブ26は、人手によって操作し易い大きさに中空状に形成されている。外管ハブ26には、外管24の第1内腔34に連通する第1空間53と、第1空間53の基端側に位置して内側カテーテル20が挿通する第1挿通孔55と、第1空間53にバルーン拡張流体を導入するための第1導入ポート部56とが設けられている。バルーン拡張流体は、図2に示すバルーン22を外管24の径方向内方に膨らませるためのものである。バルーン拡張流体は、例えば、生理食塩水である。外管ハブ26には、第1空間53内のバルーン拡張流体が第1挿通孔55を介して外部に漏出することを防止する第1シール部材57が設けられている。
【0021】
固定ねじ28は、外管ハブ26に対して内側カテーテル20を固定するためのものである。固定ねじ28の構成材料は、外管ハブ26と同様のものが挙げられる。
【0022】
スライダ18は、外管本体30の外周面に対して外管24の軸線方向に移動可能(スライド可能)な状態で設けられている。スライダ18の全長は、外管24の全長よりも短い。スライダ18は、長尺な管状のスライダ本体58と、スライダ本体58の基端部に設けられたスライダハブ60(スライダ操作部)とを有する。スライダ本体58及びスライダハブ60のそれぞれは、上述した外管ハブ26と同様の材料によって構成される。スライダハブ60は、人手によって操作し易い大きさに環状に形成されている。
【0023】
スライダ18を外管本体30に対して最も基端側(矢印X2方向)に移動させた状態(スライダ18の基端を外管ハブ26の先端に位置させた状態)で、外管本体30の先端側は、スライダ18よりも先端側に露出するとともに円弧状に湾曲する。スライダ18を外管本体30に対して最も先端側(矢印X1方向)に移動させた状態で、外管本体30の先端側は、スライダ本体58の形状に沿って直線状に延在する。
【0024】
図1及び図2に示すように、内側カテーテル20は、長尺な内管62と、内管62の基端部に設けられた内管ハブ64(内管操作部)とを備える。内管62の全長は、100mm以上1500mm以下に設定するのが好ましく、200mm以上1000mm以下に設定するのがより好ましい。
【0025】
図2において、内管62の構成材料としては、比較的硬質な樹脂(例えば、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド、PEEK樹脂等)又は金属(例えば、ステンレス鋼、チタン、チタン合金等)が挙げられる。内管62には、先端から基端まで貫通した第2内腔66が形成されている。
【0026】
内管62は、外管ハブ26を挿通するとともに外管本体30の第1内腔34に配設されている。内管62の先端は、外管本体30の先端よりも基端方向(矢印X2方向)に位置している。内管62の外周面と外管本体30の内周面との間には、バルーン拡張流体が流通する外側ルーメンSa(拡張用ルーメン)が設けられている。
【0027】
内管62の第2内腔66には、バルーン支持デバイスとしても機能する内視鏡14の長尺な挿入部80が挿入される。内管62の第2内腔66に挿入部80が挿入された状態で、内管62と挿入部80との間には、灌流液が流通する内側ルーメンSb(灌流用ルーメン)が形成される。灌流液は、例えば、生理食塩水である。なお、図2では、挿入部80の構成を簡略化して示している。図5図10についても同様である。
【0028】
内管ハブ64は、外管ハブ26と同様の材料によって構成される。内管ハブ64は、中空状に形成されている。内管ハブ64には、内管62の第2内腔66に連通する第2空間68と、第2空間68の基端側に位置して挿入部80が挿通する第2挿通孔70と、第2空間68に灌流液を導入するための第2導入ポート部72とが設けられている。内管ハブ64には、第2空間68内の灌流液が第2挿通孔70を介して外部に漏出することを防止する第2シール部材73が設けられている。
【0029】
バルーン22は、外管24の先端部と内管62の先端部とを互いに繋ぐ管状部材である。バルーン22は、バルーン拡張流体によって外管24の径方向内方に膨らむ。換言すれば、バルーン22は、径方向に弾性変形可能に形成されている。
【0030】
バルーン22は、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、エラストマー樹脂(ポリオレフィンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリスチレンエラストマー等)、可撓性を有する高分子材料(天然ゴム、エチレン-プロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、エチレン-酢酸ビニル共重合体、シリコーンゴム等)、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイソプレン、ポリエステル、フッ素樹脂等で構成するのが好ましい。
【0031】
バルーン22の一端部は、外管24の先端部(先端部材32の基端部)に接着又は融着されている。換言すれば、バルーン22の一端部は、外管24のうちバルーン導出孔52の基端側の近傍に接着又は融着されている。具体的に、バルーン22の一端部は、外管本体30の先端と先端部材32との間に挟持されている。
【0032】
また、バルーン22の他端部は、バルーン固定部材74によって内管62の先端部の外周面に固定されている。なお、バルーン22の他端部は、内管62の内周面の先端部に接着又は融着されてもよい。バルーン22は、内視鏡14の挿入部80が挿入可能な内腔76を有する。バルーン22の外周面と外管本体30の内周面との間には、先端が閉じた袋状の外側空間Scが形成されている。バルーン固定部材74は、円環状に形成されている。バルーン固定部材74は、外管本体30の第1内腔34に配設されている。
【0033】
図7に示すように、バルーン22は、内管62からバルーン22へと押込み力(先端方向の押込み力)が伝達されることで、バルーン22の先端部22aが捲り返されながら外管24の先端開口54から先端方向に突出する。この際、バルーン22は、外管24の先端開口54よりも矢印X1方向に突出した突出部分22bにおいて、径方向に二重に折り重なった部分が形成される。
【0034】
図2において、内視鏡14は、卵管202(図5参照)を観察するための卵管鏡である。内視鏡14は、バルーンカテーテル12の内管62の第2内腔66とバルーン22の内腔76とに挿入された可撓性を有する長尺な挿入部80を備える。また、図示は省略するが、内視鏡14は、ディスプレイ等の表示部と、撮像した画像(内視鏡画像)を表示部に表示させるための撮像制御装置とを備える。挿入部80の基端には、挿入部80を操作するための図示しない操作部が設けられている。挿入部80の全長は、例えば、約2000mmに設定される。ただし、挿入部80の全長は、適宜設定可能である。
【0035】
図3及び図4に示すように、挿入部80は、チューブ部材82、レンズユニット84、複数のライトガイド86、イメージガイド88及び補強構造90を備える。チューブ部材82は、可撓性を有している。チューブ部材82は、特に限定されないが、例えば、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂材料により構成される。
【0036】
レンズユニット84は、チューブ部材82の先端部に設けられている。レンズユニット84は、円形状の外周面を有する。レンズユニット84は、対物レンズを含む。なお、レンズユニット84は、複数枚のレンズを含んでよい。レンズユニット84の軸線Ax1は、チューブ部材82の軸線Ax2に対してオフセットしている(図4参照)。レンズユニット84の一方の面92aは、挿入部80の先端に位置している。
【0037】
ライトガイド86は、挿入部80の基端側に設けられた図示しない光源(例えば、LED)からの光を挿入部80の先端に導く導光部材である。本実施形態において、ライトガイド86は、5つ設けられている。ただし、ライトガイド86の数は、特に限定されず、1つであってもよいし、複数(5つ以外)であってもよい。
【0038】
ライトガイド86は、チューブ部材82の軸線Ax2に沿って延在している。ライトガイド86は、チューブ部材82の全長に亘って延在している。各ライトガイド86の先端部は、レンズユニット84の外周面に沿って配列している(図4参照)。ライトガイド86は、例えば、複数本の光ファイバが束ねられて形成される。ただし、ライトガイド86は、1本の光ファイバから形成されてもよい。光ファイバとしては、例えば、コア及びクラッドがプラスチックで構成されたプラスチック製の光ファイバが用いられる。ただし、光ファイバは、コア及びクラッドがガラス(例えば、石英ガラス)で構成されたガラス製の光ファイバであってもよい。
【0039】
イメージガイド88は、レンズユニット84により得られた像を挿入部80の基端側に導く伝送部材である。イメージガイド88は、レンズユニット84と同軸に配置されている。すなわち、イメージガイド88の軸線Ax3は、チューブ部材82の軸線Ax2に対してオフセットしている。イメージガイド88の先端面94は、レンズユニット84の他方の面92bに対して接触又は近接している。イメージガイド88の外径は、レンズユニット84の外径以下である。イメージガイド88は、上述したライトガイド86と同様の光ファイバによって形成される。
【0040】
補強構造90は、イメージガイド88の外周面を全周に亘って覆うように設けられている。補強構造90は、イメージガイド88の先端側に設けられるとともにイメージガイド88の基端側に設けられていない。補強構造90は、挿入部80のうち膨らんだ状態のバルーン22が接触する部分に設けられている。補強構造90の全長L1は、バルーンカテーテル12の初期状態におけるバルーン22の全長L2(図1参照)よりも長い。具体的に、補強構造90は、挿入部80の先端から25cmの範囲にのみ設けられている。
【0041】
補強構造90は、チューブ部材82の内腔に充填された柔軟な接着剤96を含む。接着剤96は、イメージガイド88の外周面の全周に亘って接触(接着)している。接着剤96は、チューブ部材82の内周面、各ライトガイド86の外周面及びレンズユニット84の外周面に接触(接着)している。なお、接着剤96は、イメージガイド88の先端よりも先端側(レンズユニット84の外周側)に充填されていなくてもよい。この場合、イメージガイド88の先端よりも先端側には、接着剤96とは異なる別の種類の接着剤(例えば、硬質な接着剤)が充填され、当該接着剤によってレンズユニット84がチューブ部材82に対して固定される。
【0042】
一般的に、イメージガイド88の先端面94とレンズユニット84の他方の面92bとには、微細な凹凸が形成されている。そのため、イメージガイド88の先端面94とレンズユニット84の他方の面92bとが近接している場合、イメージガイド88の先端面94とレンズユニット84の他方の面92bとの間に接着剤96を介在するのが好ましい。これにより、イメージガイド88の先端面94の凹部とレンズユニット84の他方の面92bの凹部とに接着剤96が充填されて界面の凹凸に起因する画像の乱れが低減されるため、内視鏡画像をより鮮明に撮像可能となる。なお、イメージガイド88の先端面94とレンズユニット84の他方の面92bとの間に接着剤96とは性質の異なる接着剤を介在してもよい。
【0043】
接着剤96の構成材料としては、例えば、シリコーン系、エポキシ系、ウレタン系等の弾性を有する樹脂材料が挙げられる。接着剤96は、JIS K 6253規格に基づいてデュロメータタイプAで測定した硬度が30以上であり、且つJIS K 6253規格に基づいてデュロメータタイプDで測定した硬度が65以下であるのが好ましい。この場合、挿入部80の先端側に適度な可撓性を持たせることができる。
【0044】
次に、このように構成されるカテーテルシステム10を用いた卵管鏡下卵管形成術について説明する。
【0045】
卵管鏡下卵管形成術では、準備工程において、上述したカテーテルシステム10を準備する。準備工程において、ユーザは、内管62を基端側(矢印X2方向)に完全に引いた状態で固定ねじ28によって固定しておく。さらに、スライダ18を初期状態にする。これにより、外管本体30の先端側がスライダ本体58によって真直ぐに延在する。
【0046】
続いて、挿入工程において、ユーザは、バルーンカテーテル12を経頸管的に子宮底200まで挿入する。そして、図5に示すように、スライド工程において、スライダ18を外管24に対して外管24の基端方向に引き戻す。これにより、外管本体30の先端側は、スライダ18から露出して湾曲形状になる。この際、ユーザは、内視鏡14の挿入部80の先端を外管24の先端開口54に位置させて内視鏡画像を確認しながら卵管口202aの近傍に外管24の先端開口54を位置させる。
【0047】
その後、バルーン導出工程を行う。具体的に、バルーン導出工程では、図6に示すように、第1導入ポート部56にバルーン拡張流体を供給する(加圧工程)。そうすると、バルーン拡張流体は、第1導入ポート部56から外側ルーメンSaを介してバルーン22の外側空間Scに供給される。そのため、バルーン22は、外側空間Scに供給されたバルーン拡張流体によって径方向内方に押圧されて弾性変形する。つまり、バルーン22のうち挿入部80の外周側に位置する部位は、挿入部80の外周面に密着する。バルーン22のうち挿入部80の先端よりも先端側に位置する部位は、内面同士が互いに接触する。
【0048】
その後、ユーザは、固定ねじ28を緩めた状態で内管ハブ64を操作して内管62を外管24に対して前進させる(前進工程)。そうすると、図7に示すように、内管62によって先端方向に押されたバルーン22は、挿入部80とともに外管24に対して前進する。つまり、バルーン22は、押込み力が内管62からバルーン22に伝達されることにより、挿入部80とともに外管24の先端開口54から先端方向(矢印X1方向)に突出する。
【0049】
前進工程では、バルーン22の一端部が外管24の先端部に固定されているため、バルーン22は、その先端部22a(突出端部)が捲り返されながら前進する。すなわち、バルーン22は、その先端部22a(突出端部)で内面が外側を向くように捲り返される。そのため、バルーン22は、挿入部80の前進距離の半分の距離相当前進する。
【0050】
続いて、ユーザは、内視鏡画像に基づいてバルーン22が病変部204に到達したか否かを判断する。バルーン22が病変部204の手前に位置していた場合には、バルーン拡張流体を減圧するとともに第2導入ポート部72に灌流液(灌流用流体)を供給する(減圧工程)。これにより、内側ルーメンSbを介してバルーン22と内視鏡14の挿入部80との間に灌流液が流通する。次いで、ユーザは、図8に示すように、内視鏡14を所定距離だけ後退させる(後退工程)。その後、上述した加圧工程及び前進工程を再度行う。
【0051】
そして、図9に示すように、前進工程において、バルーン22の先端部22aが病変部204に接触すると、ユーザが内管62を先端方向に押し込んだ際に、バルーン22に比較的大きな軸線方向の圧縮力が作用する。このような圧縮力は、病変部204が完全に閉塞している場合に大きくなり易い。
【0052】
しかしながら、イメージガイド88の外周面を全周に亘って覆うように補強構造90(接着剤96)を設けているため、補強構造90を設けない場合と比較して、挿入部80の先端側の剛性が向上する。そのため、バルーン22に軸線方向の圧縮応力が作用した際に、挿入部80の先端側が過度に屈曲することが抑えられる。よって、イメージガイド88が折損することが抑えられる。
【0053】
その後、図10に示すように、バルーン22が病変部204を完全に通過すると、バルーン22によって病変部204が押し広げられる。すなわち、卵管202の狭窄又は閉塞が改善される。
【0054】
病変部204を広げた後、ユーザは、バルーン拡張流体を減圧してからバルーンカテーテル12及び内視鏡14を抜去する(抜去工程)。なお、バルーンカテーテル12の抜去前に、第2導入ポート部72を介して灌流液を注入しつつ内管62を引いてバルーン22を後退させ、同時に内視鏡14をバルーン22の先端部22aに位置するよう操作することで、抜去工程の際に卵管202内を観察しながらバルーンカテーテル12を抜去してもよい。これにより、卵管鏡下卵管形成術が終了する。
【0055】
本実施形態は、以下の効果を奏する。
【0056】
本実施形態によれば、補強構造90によって挿入部80(挿入部80のうち膨らんだ状態のバルーン22が接触する部分)の剛性を向上させることができるため、バルーン22に軸線方向の圧縮力が作用した際に挿入部80が過度に屈曲することを抑えることができる。これにより、イメージガイド88が折損することを抑えることができる。また、仮にイメージガイド88が折損した場合であっても、折損部がチューブ部材82を破損して挿入部80の外表面から露出することを抑制することができる。
【0057】
補強構造90は、イメージガイド88の先端側に設けられるとともにイメージガイド88の基端側に設けられていない。
【0058】
このような構成によれば、イメージガイド88の全長に亘って補強構造90を設けた場合よりも挿入部80を簡単に製造することができる。よって、内視鏡14(カテーテルシステム10)の製造コストを抑えることができる。
【0059】
補強構造90の全長は、バルーンカテーテル12の初期状態でのバルーン22の全長よりも長い。
【0060】
このような構成によれば、挿入部80のうち膨らんだ状態のバルーン22が接触する部分(バルーン22によって加圧される部分)の剛性を効率的に向上させることができる。
【0061】
挿入部80は、レンズユニット84及びイメージガイド88を覆うチューブ部材82を有する。補強構造90は、チューブ部材82の内腔におけるイメージガイド88の外周側に充填された接着剤96を含む。
【0062】
このような構成によれば、補強構造90を有する挿入部80を容易に製造することができる。
【0063】
接着剤96は、イメージガイド88の外周面とチューブ部材82の内周面とに接触している。
【0064】
このような構成によれば、挿入部80の先端側の剛性を接着剤96によって効果的に向上させることができる。また、接着剤96によってイメージガイド88をチューブ部材82に対して固定することができる。
【0065】
挿入部80は、当該挿入部80の基端側からの光を当該挿入部80の先端に導くためのライトガイド86を有する。
【0066】
このような構成によれば、ライトガイド86によって挿入部80の剛性を向上させることができる。
【0067】
(第1変形例)
次に、第1変形例に係る内視鏡14Aについて図11を参照しながら説明する。なお、本変形例に係る内視鏡14Aにおいて、上述した内視鏡14と同一の構成については同一の参照符号を付し、その説明については省略する。後述する第2~第4変形例に係る内視鏡14B~14Dについても同様である。
【0068】
図11に示すように、内視鏡14Aの挿入部80aは、チューブ部材82、レンズユニット84、複数のライトガイド86、イメージガイド88及び補強構造90aを備える。補強構造90aは、イメージガイド88の外周面を全周に亘って覆うように設けられている。補強構造90aは、イメージガイド88の先端側に設けられるとともにイメージガイド88の基端側に設けられていない。補強構造90aは、挿入部80aのうち膨らんだ状態のバルーン22が接触する部分に設けられている。補強構造90aの全長は、バルーンカテーテル12の初期状態におけるバルーン22の全長L2(図1参照)よりも長い。具体的に、補強構造90aは、挿入部80aの先端から25cmの範囲にのみ設けられている。
【0069】
補強構造90aは、イメージガイド88の外周面を被覆する補強チューブ98を含む。補強チューブ98は可撓性を有する高分子材料によって構成される。具体的に、補強チューブ98は、例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリオレフィン、スチレン系樹脂、ポリアミド、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド等が好適である。また、補強チューブ98は、フッ素系樹脂(PFA、PTFE、FEP、ETFE、PVDF、PCTFE、ECTFE等)、PEEK樹脂、ポリカーボネート、PMMA、エラストマー樹脂(ポリオレフィンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、フッ素樹脂エラストマー、ポリウレタンエラストマー等)、可撓性を有する樹脂(天然ゴム、エチレン-プロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、シリコーンゴム、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリイソプレン、ポリイミド、ポリアミド等)で構成してもよい。
【0070】
補強チューブ98の内周面は、イメージガイド88の外周面に接触している。補強チューブ98の外周側には、空間が存在している。すなわち、補強チューブ98は、チューブ部材82の内周面に対して離間するとともに各ライトガイド86に対して離間している。補強チューブ98の先端は、イメージガイド88の先端の位置まで延在している。
【0071】
このような内視鏡14Aにおいて、上述した内視鏡14と同様の構成については同様の効果を奏する。また、本変形例は、以下の効果を奏する。
【0072】
補強構造90aは、イメージガイド88の外周面を被覆する補強チューブ98を含む。
【0073】
このような構成によれば、補強チューブ98によってイメージガイド88が過度に屈曲することを効果的に抑えることができる。
【0074】
補強チューブ98は、可撓性を有する樹脂材料によって構成されている。
【0075】
このような構成によれば、挿入部80aの先端側を適度に撓ませることができる。これにより、挿入部80及びバルーン22を卵管202の形状に沿って円滑に押し進めることができる。
【0076】
本変形例は、上述した構成に限定されない。補強構造90aは、補強チューブ98と上述した接着剤96とを含んで形成されてもよい。この場合、接着剤96は、チューブ部材82の内腔における補強チューブ98の外周側に充填される。
【0077】
(第2変形例)
次に、第2変形例に係る内視鏡14Bについて図12を参照しながら説明する。図12に示すように、内視鏡14Bの挿入部80bは、チューブ部材82、レンズユニット84、複数のライトガイド86、イメージガイド88及び補強構造90bを備える。補強構造90bは、イメージガイド88の外周面を全周に亘って覆うように設けられている。補強構造90bは、イメージガイド88の先端側に設けられるとともにイメージガイド88の基端側に設けられていない。補強構造90bは、挿入部80bのうち膨らんだ状態のバルーン22が接触する部分に設けられている。補強構造90bの全長は、バルーンカテーテル12の初期状態におけるバルーン22の全長L2(図1参照)よりも長い。具体的に、補強構造90bは、挿入部80bの先端から25cmの範囲にのみ設けられている。
【0078】
補強構造90bは、イメージガイド88の外周面を螺旋状に巻回するように設けられた線状部材100を含む。すなわち、補強構造90bは、コイル形状に形成されている。線状部材100は、中実に形成されている。ただし、線状部材100は、中空に形成されてもよい。
【0079】
線状部材100は、金属材料を含んで構成されている。具体的に、線状部材100は、例えば、ステンレス鋼、超弾性合金(Ni-Ti系合金、Ni-Al系合金、Cu-Zn系合金等)のような種々の金属材料、当該金属材料の外面に樹脂材料をコーティングしたもので構成するのが好ましい。ただし、線状部材100は、比較的高剛性の樹脂材料等で構成してもよい。
【0080】
線状部材100は、イメージガイド88の外周面に接触している。線状部材100とチューブ部材82の内周面との間には、空間が存在している。また、線状部材100とライトガイド86との間には、空間が形成されている。線状部材100は、イメージガイド88の先端の位置まで延在している。補強構造90bのコイルのピッチは、適宜設定可能である。補強構造90bは、1本の線状部材100を螺旋状に巻回して形成してもよいし、2本以上の線状部材100を螺旋状に巻回して形成してもよい。
【0081】
このような内視鏡14Bにおいて、上述した内視鏡14と同様の構成については同様の効果を奏する。また、本変形例は、以下の効果を奏する。
【0082】
補強構造90bは、イメージガイド88の外周面を螺旋状に巻回するように設けられた線状部材100を含む。
【0083】
このような構成によれば、線状部材100によって挿入部80bの先端側が過度に屈曲することを効果的に抑えることができる。また、挿入部80bの先端側を適度に撓ませることができる。
【0084】
線状部材100は、金属材料を含んで構成されている。
【0085】
このような構成によれば、挿入部80bの先端側を適度に撓ませることができるとともにイメージガイド88の過度な屈曲を一層効果的に抑えることができる。
【0086】
本変形例は、上述した構成に限定されない。補強構造90bは、線状部材100と上述した接着剤96とを含んで形成されてもよい。また、補強構造90bは、線状部材100、接着剤96及び補強チューブ98を含んで形成されてもよい。この場合、線状部材100は、補強チューブ98の外周面を螺旋状に巻回するように設けられる。
【0087】
(第3変形例)
次に、第3変形例に係る内視鏡14Cについて図13A及び図13Bを参照しながら説明する。図13A及び図13Bに示すように、内視鏡14Cの挿入部80cは、チューブ部材82、レンズユニット84、複数(本変形例では6本)のライトガイド86、イメージガイド88及び補強構造90cを備える。イメージガイド88及びレンズユニット84は、チューブ部材82に対して同軸に設けられている。
【0088】
補強構造90cは、イメージガイド88の外周面を全周に亘って覆うように設けられている。補強構造90cは、イメージガイド88の先端側に設けられるとともにイメージガイド88の基端側に設けられていない。補強構造90cは、挿入部80cのうち膨らんだ状態のバルーン22が接触する部分に設けられている。補強構造90cの全長は、バルーンカテーテル12の初期状態におけるバルーン22の全長L2(図1参照)よりも長い。具体的に、補強構造90cは、挿入部80cの先端から25cmの範囲にのみ設けられている。
【0089】
補強構造90cは、複数のライトガイド86の先端側がイメージガイド88の外周面に巻回されることによって形成されている。すなわち、補強構造90cは、コイル形状に形成されている。換言すれば、補強構造90cは、多条巻きコイル(6条巻きコイル)のように形成される。各ライトガイド86の基端側は、イメージガイド88の軸線方向に沿って延在しており、補強構造90cを形成しない。つまり、イメージガイド88の基端側には、ライトガイド86が巻回されていない。これにより、イメージガイド88の全長に亘ってライトガイド86を巻回する場合と比較して、挿入部80cの製造が容易になる。
【0090】
補強構造90cにおいて、各ライトガイド86は、イメージガイド88の外周面に離間した状態でチューブ部材82の内周面に接触している。ただし、補強構造90cにおいて、各ライトガイド86は、イメージガイド88の外周面に対して接触してもよいし、チューブ部材82の内周面に対して離間してもよい。各ライトガイド86の先端部は、レンズユニット84の外周側に位置している。複数のライトガイド86の先端部は、レンズユニット84の周方向に等間隔に設けられている。
【0091】
このような内視鏡14Cにおいて、上述した内視鏡14と同様の構成については同様の効果を奏する。また、本変形例は、以下の効果を奏する。
【0092】
補強構造90cは、ライトガイド86がイメージガイド88の外周面に巻回されることによって形成されている。
【0093】
このような構成によれば、補強構造90cをライトガイド86で形成することができるため、補強構造90cをライトガイド86とは別部材で形成した場合と比較して部品点数の削減を図ることができる。
【0094】
ライトガイド86は、プラスチック製の光ファイバである。
【0095】
このような構成によれば、ライトガイド86をイメージガイド88の外周面に容易に巻回することができる。
【0096】
本変形例は、上述した構成に限定されない。補強構造90cは、上述した接着剤96をさらに含んで形成されてもよい。また、補強構造90cは、接着剤96及び補強チューブ98をさらに含んで形成されてもよい。この場合、複数のライトガイド86は、補強チューブ98の外周面を螺旋状に巻回するように設けられる。本変形例において、ライトガイド86の数は、1本又は複数本(6本以外)であってもよい。
【0097】
(第4変形例)
次に、第4変形例に係る内視鏡14Dについて図14A及び図14Bを参照しながら説明する。図14A及び図14Bに示すように、内視鏡14Dの挿入部80dは、チューブ部材82、レンズユニット84、複数(本変形例では10本)のライトガイド86、イメージガイド88及び補強構造90dを備える。イメージガイド88及びレンズユニット84は、チューブ部材82に対して同軸に設けられている。各ライトガイド86は、イメージガイド88の軸線Ax3に沿って延在している。補強構造90dは、イメージガイド88の全長に亘って設けられている。補強構造90dの全長は、バルーンカテーテル12の初期状態におけるバルーン22の全長L2(図1参照)よりも長い。
【0098】
補強構造90dは、複数のライトガイド86がイメージガイド88の周方向に一周するように配置されることによって形成されている。換言すれば、複数のライトガイド86は、イメージガイド88の外周面を全周に亘って覆っている。
【0099】
このような内視鏡14Dにおいて、上述した内視鏡14、14A~14Cと同様の構成については同様の効果を奏する。また、本変形例は、以下の効果を奏する。
【0100】
ライトガイド86は、イメージガイド88の軸線方向に沿って延在した状態で複数設けられている。補強構造90dは、複数のライトガイド86がイメージガイド88の周方向に一周するように配置されることによって形成されている。
【0101】
このような構成によれば、補強構造90dをライトガイド86で形成することができるため、補強構造90dをライトガイド86とは別部材で形成した場合と比較して部品点数の削減を図ることができる。
【0102】
本変形例は、上述した構成に限定されない。補強構造90dは、上述した接着剤96をさらに含んで形成されてもよい。また、補強構造90dは、接着剤96及び補強チューブ98をさらに含んで形成されてもよい。さらに、補強構造90dは、接着剤96、線状部材100及び補強チューブ98をさらに含んで形成されてもよい。本変形例において、ライトガイド86の数は、10本に限定されない。
【0103】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。
【0104】
以上の実施形態をまとめると、以下のようになる。
【0105】
上記実施形態は、可撓性を有する外管(24)と、前記外管に対して当該外管の軸線方向に移動可能なように前記外管の内腔(34)に配設された内管(62)と、前記外管の先端部と前記内管の先端部とを互いに繋ぐとともに前記外管の径方向内方に膨らむ管状のバルーン(22)とを有するバルーンカテーテル(12)と、前記バルーンの内腔(76)に挿入された線状の挿入部(80、80a~80d)を備えた内視鏡(14、14A~14D)と、を備えるカテーテルシステム(10)であって、前記バルーンは、膨らんだ状態の当該バルーンを前記挿入部で支持した状態で、先端方向への押込み力が前記内管から前記バルーンへと伝達されることで前記バルーンの先端部(22a)が捲り返されながら前記外管の先端開口(54)から前記先端方向に突出し、前記挿入部は、当該挿入部の先端部に位置するレンズユニット(84)と、前記挿入部の軸線方向に沿って延在して前記レンズユニットにより得られた像を前記挿入部の基端側に伝送するイメージガイド(88)と、前記イメージガイドの外周面を全周に亘って覆うように設けられた補強構造(90、90a~90d)と、を有し、前記補強構造は、前記挿入部のうち膨らんだ状態の前記バルーンが接触する部分に設けられているカテーテルシステムを開示している。
【0106】
上記のカテーテルシステムにおいて、前記補強構造は、前記イメージガイドの先端側に設けられるとともに前記イメージガイドの基端側に設けられていなくてもよい。
【0107】
上記カテーテルシステムにおいて、前記補強構造の全長(L1)は、前記バルーンカテーテルの初期状態での前記バルーンの全長(L2)よりも長くてもよい。
【0108】
上記のカテーテルシステムにおいて、前記挿入部は、前記レンズユニット及び前記イメージガイドを覆うチューブ部材(82)を有し、前記補強構造は、前記チューブ部材の内腔における前記イメージガイドの外周側に充填された接着剤(96)を含んでもよい。
【0109】
上記のカテーテルシステムにおいて、前記接着剤は、前記イメージガイドの外周面と前記チューブ部材の内周面とに接触してもよい。
【0110】
上記のカテーテルシステムにおいて、前記補強構造は、前記イメージガイドの外周面を被覆する補強チューブ(98)を含んでもよい。
【0111】
上記のカテーテルシステムにおいて、前記補強チューブは、可撓性を有する高分子材料によって構成されてもよい。
【0112】
上記のカテーテルシステムにおいて、前記補強構造は、前記イメージガイドの外周面を螺旋状に巻回するように設けられた線状部材(100)を含んでもよい。
【0113】
上記のカテーテルシステムにおいて、前記線状部材は、金属材料を含んで構成されてもよい。
【0114】
上記のカテーテルシステムにおいて、前記挿入部は、当該挿入部の基端側からの光を当該挿入部の先端に導くためのライトガイド(86)を有してもよい。
【0115】
上記のカテーテルシステムにおいて、前記補強構造は、前記ライトガイドが前記イメージガイドの外周面に巻回されることによって形成されてもよい。
【0116】
上記のカテーテルシステムにおいて、前記ライトガイドは、プラスチック製の光ファイバであってもよい。
【0117】
上記のカテーテルシステムにおいて、前記ライトガイドは、前記イメージガイドの軸線方向に沿って延在した状態で複数設けられ、前記補強構造は、複数の前記ライトガイドが前記イメージガイドの周方向に一周するように配置されることによって形成されてもよい。
【符号の説明】
【0118】
10…カテーテルシステム 12…バルーンカテーテル
14、14A~14D…内視鏡 22…バルーン
24…外管 54…先端開口
62…内管 80、80a~80d…挿入部
82…チューブ部材 84…レンズユニット
86…ライトガイド 88…イメージガイド
90、90a~90d…補強構造 96…接着剤
98…補強チューブ 100…線状部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14