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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123478
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】スピーカー装置、及び車両用ドア
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/02 20060101AFI20220817BHJP
【FI】
H04R1/02 102B
H04R1/02 104Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020813
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】特許業務法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 明善
【テーマコード(参考)】
5D017
【Fターム(参考)】
5D017AE14
5D017AF04
(57)【要約】
【課題】部品点数の増加を抑制しつつ、板バネの破損のおそれを低減する。
【解決手段】スピーカー装置1は、スピーカーユニット2と、スピーカーユニット2を取付対象部材50に取り付けるための取付部材40と、板厚方向がスピーカーユニットの中心軸O方向に沿うように配置され、スピーカーユニット2と取付部材40との間に位置し、スピーカーユニット2を支持する板バネ30と、を備える。取付部材40の一部は、スピーカーユニット2の径方向Yにおいて内側に延びるストッパー43を含む。ストッパー43は、スピーカーユニット2の中心軸O方向から見て、スピーカーユニット2の一部と重なる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカーユニットと、
前記スピーカーユニットを取付対象部材に取り付けるための取付部材と、
板厚方向が前記スピーカーユニットの中心軸方向に沿うように配置され、前記スピーカーユニットと前記取付部材との間に位置し、前記スピーカーユニットを支持する板バネと、
を備え、
前記取付部材の一部は、前記スピーカーユニットの径方向において内側に延びるストッパーを含み、
前記ストッパーは、前記スピーカーユニットの中心軸方向から見て、前記スピーカーユニットの一部と重なる、
スピーカー装置。
【請求項2】
前記スピーカーユニットの一部は、当該スピーカーユニットの径方向において外側に張り出すフランジを含み、
前記ストッパーは、前記スピーカーユニットの中心軸方向において、前記フランジと離間して配置されている、
請求項1に記載のスピーカー装置。
【請求項3】
前記スピーカーユニットは、放音面と背面とを備え、
前記ストッパーは、
前記背面から前記放音面に向かう方向への前記スピーカーユニットの変位を抑制する放音面側のストッパーと、
前記放音面から前記背面に向かう方向への前記スピーカーユニットの変位を抑制する背面側のストッパーと、を含む、
請求項1又は2に記載のスピーカー装置
【請求項4】
スピーカーユニットと、
前記スピーカーユニットを取付対象部材に取り付けるための取付部材と、
板厚方向が前記スピーカーユニットの中心軸方向に沿うように配置され、前記スピーカーユニットと前記取付部材との間に位置し、前記スピーカーユニットを支持する板バネと、
を備え、
前記板バネは、
前記スピーカーユニットの径方向において内側に配置され、前記スピーカーユニットに固定される内側部分と、
前記スピーカーユニットの径方向において外側に配置され、前記取付部材に固定される外側部分と、
前記内側部分と前記外側部分とを連結する連結部とを有し、
前記スピーカーユニットは、
前記内側部分が固定される板バネ固定部と、
前記板バネ固定部よりも前記スピーカーユニットの径方向において外側に張り出す延出部と、を含み、
前記板バネは、
前記スピーカーユニットの中心軸方向から見て、前記延出部の一部と重なるように、前記スピーカーユニットの径方向において内側に延びるストッパー部を含む、
スピーカー装置。
【請求項5】
前記連結部は、前記外側部分から前記スピーカーユニットの径方向において内側に張り出す突出部を含み、
前記ストッパー部は、前記突出部である、
請求項4に記載のスピーカー装置。
【請求項6】
前記ストッパー部は、前記外側部分のスピーカーユニットの径方向における内側の縁部を含む、
請求項4に記載のスピーカー装置。
【請求項7】
前記スピーカーユニットは、当該スピーカーユニットの径方向において外側に張り出すフランジを有し、
前記延出部は、前記フランジから前記スピーカーユニットの径方向において外側に張り出し、
前記板バネ固定部は、前記フランジから前記スピーカーユニットの中心軸方向に突出し、
前記板バネは、前記スピーカーユニットの中心軸方向において、前記延出部と離間して配置されている、
請求項4~6のいずれか一項に記載のスピーカー装置。
【請求項8】
前記取付部材は、前記スピーカーユニットの中心軸方向において、前記延出部に対して、前記ストッパー部とは反対側に離間し、前記スピーカーユニットの中心軸方向から見て、前記延出部の一部と重なるように、前記スピーカーユニットの径方向において内側に延びるストッパーを含む、
請求項4~7のいずれか一項に記載のスピーカー装置。
【請求項9】
取付対象部材の開口部に保持されるスピーカーユニットと、
前記スピーカーユニットを前記取付対象部材に取り付けるための取付部材と、
板厚方向が前記スピーカーユニットの中心軸方向に沿うように配置され、前記スピーカーユニットと取付部材との間に位置し、前記スピーカーユニットを支持する板バネと、
を備え、
前記板バネは、前記中心軸方向において、前記取付対象部材と離間して配置され、
前記スピーカーユニットの一部は、前記中心軸方向から見て、前記取付対象部材と重なるように配置される、
スピーカー装置。
【請求項10】
前記スピーカーユニットの一部は、当該スピーカーユニットの径方向において外側に張り出すフランジを含み、
前記フランジの外径は、前記取付対象部材の開口部の内径よりも大きく、
前記フランジは、前記スピーカーユニットの中心軸方向において、前記取付対象部材と離間して配置される、
請求項9に記載のスピーカー装置。
【請求項11】
前記取付部材は、前記スピーカーユニットの中心軸方向において、前記スピーカーユニットの一部に対して、前記開口部の周縁部とは反対側に離間し、前記スピーカーユニットの中心軸方向から見て、前記スピーカーユニットの一部と重なるように、前記スピーカーユニットの径方向において内側に延びるストッパーを含む、
請求項9又は10に記載のスピーカー装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のスピーカー装置と、
開口部が形成された前記取付対象部材と、を備え、
前記スピーカー装置が前記開口部に保持される、
車両用ドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スピーカー装置、及び車両用ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
スピーカー装置において、スピーカーユニットを内包する筐体と、筐体を取付対象部材に取り付ける取付部材と、筐体と取付部材との間に設けられたバネ部材とを備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6424963号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、スピーカーユニットの変位が大きくなると、バネ部材が破損するおそれがある。また、スピーカー装置において、部品点数の増加を抑制することが求められる。本開示は、部品点数の増加を抑制しつつ、バネ部材の破損のおそれを低減することが可能なスピーカー装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のスピーカー装置は、スピーカーユニットと、スピーカーユニットを取付対象部材に取り付けるための取付部材と、板厚方向がスピーカーユニットの中心軸方向に沿うように配置され、スピーカーユニットと取付部材との間に位置し、スピーカーユニットを支持する板バネと、を備える。取付部材の一部は、スピーカーユニットの径方向において内側に延びるストッパーを含む。ストッパーは、スピーカーユニットの中心軸方向から見て、スピーカーユニットの一部と重なる。
【0006】
本開示のスピーカー装置は、スピーカーユニットと、スピーカーユニットを取付対象部材に取り付けるための取付部材と、板厚方向がスピーカーユニットの中心軸方向に沿うように配置され、スピーカーユニットと取付部材との間に位置し、スピーカーユニットを支持する板バネと、を備える。板バネは、スピーカーユニットの径方向において内側に配置され、スピーカーユニットに固定される内側部分と、スピーカーユニットの径方向において外側に配置され、取付部材に固定される外側部分と、内側部分と外側部分とを連結する連結部とを有する。スピーカーユニットは、内側部分が固定される板バネ固定部と、板バネ固定部よりもスピーカーユニットの径方向において外側に張り出す延出部と、を含む。板バネは、スピーカーユニットの中心軸方向から見て、延出部の一部と重なるように、スピーカーユニットの径方向において内側に延びるストッパー部を含む。
【0007】
本開示のスピーカー装置は、取付対象部材の開口部に保持されるスピーカーユニットと、スピーカーユニットを取付対象部材に取り付けるための取付部材と、板厚方向がスピーカーユニットの中心軸方向に沿うように配置され、スピーカーユニットと取付部材との間に位置し、前記スピーカーユニットを支持する板バネと、を備える。板バネは、中心軸方向において、取付対象部材と離間して配置される。スピーカーユニットの一部は、中心軸方向から見て、取付対象部材と重なるように配置される。
【0008】
本開示の車両用ドアは、上記のスピーカー装置と、開口部が形成された取付対象部材と、を備える。スピーカー装置は開口部に保持される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係るスピーカー装置の断面図である。
図2】板バネを示す斜視図である。
図3】第2実施形態に係るスピーカー装置を示す部分断面図である。
図4】板バネの連結部の一部を拡大して示す平面図である。
図5】変形例に係る板バネの連結部の一部を拡大して示す平面図である。
図6】第3実施形態に係るスピーカー装置を示す部分断面図である。
図7】スピーカー装置を備えた車両用ドアを示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面において各部の寸法及び縮尺は実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に記載する実施形態は、本開示の好適な具体例である。このため、本実施形態には、技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかし、本開示の範囲は、以下の説明において特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0011】
図1は、第1実施形態に係るスピーカー装置1の断面図である。図1に示されるスピーカー装置1は、例えば、図7に示されるように、車載用のスピーカー装置として使用される。
【0012】
スピーカー装置1は、例えば、取付対象部材50であるインナパネル104を介して、車両のドア100に取り付けられてもよい。なお、スピーカー装置1の用途は、車載用に限定されず、他の用途でもよい。スピーカー装置1が取り付けられる取付対象部材50は、インナパネルに限定されない。取付対象部材50は、ドアトリム103などその他の部材でもよい。取付対象部材50には、スピーカー装置1が保持される開口部50aが形成されている。例えば、後述する取付部材40を介して、スピーカー装置1が、開口部50aを取り囲む周縁部に固定される。
【0013】
図1では、スピーカー装置1が、取付対象部材50の開口部50aに挿入されている状態が図示されている。図1に示す断面は、スピーカーユニット2の軸線Oに沿って切断した断面である。なお、軸線Oは、後述する振動板3の振動方向に平行で、かつ、振動板3の中心を通る線分である。軸線Oと交差する方向は、スピーカーユニット2の径方向Yである。軸線O方向において、振動板3が配置される側は、正面側であり、反対側は背面側Bである。正面側は放音面側Fである。スピーカーユニット2の軸線Oは、後述する磁気回路6の軸線Oである。振動板3は、放音面を含む。スピーカー装置1の背面は、例えば、磁気回路6の背面でもよく、磁気回路6を背面側Bから覆うスピーカーフレーム5の部分でもよい。
【0014】
スピーカー装置1は、スピーカーユニット2を含む。スピーカーユニット2は、振動板3と、駆動部4と、スピーカーフレーム5とを有する。スピーカーユニット2は、これらの振動板3、駆動部4、及びスピーカーフレーム5をユニット化した構造体である。
【0015】
振動板3は、シート材で構成され、振動により放音する振動体である。当該シート材は、例えば、樹脂材料を繊維基材に含浸させた状態で硬化または固化することで得られる。当該樹脂材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、変性ゴム樹脂およびフェノール樹脂等が挙げられる。当該繊維基材としては、例えば、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、シリカ繊維、金属繊維、チタン酸カリウム繊維、ジルコニア繊維、ポリアクリレート繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ビニロン繊維、レーヨン繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、綿繊維、麻繊維およびセルロース繊維等が挙げられる。
【0016】
振動板3は、軸線Oに沿う方向に振動する。振動板3は、コーン型である。なお、振動板3の形状は、コーン型に限定されず、例えば、ドーム型等でもよい。
【0017】
駆動部4は、入力される電気信号に基づいて振動板3を駆動する機構を含む。駆動部4は、磁場を生じさせる磁気回路6と、振動板3に接続されるボイスコイル7とを含む。
【0018】
磁気回路6は、マグネット8とヨーク9とセンターポール10とを含む。マグネット8、ヨーク9、及びセンターポール10は、軸線O方向において、振動板3の背面側Bに配置されている。マグネット8、ヨーク9、及びセンターポール10は、軸線Oと同軸に配置される。マグネット8は円環状を成し、ヨーク9は円盤状を成し、センターポール10は円柱状を成す。ヨーク9及びセンターポール10は磁性材料から成る。
【0019】
マグネット8から生じる磁束は、ヨーク9及びセンターポール10を通過する。磁気回路6を通過する磁束により、磁気回路6の周囲に磁場が形成される。ボイスコイル7は、磁気回路6による磁場内に配置される。
【0020】
スピーカーユニット2は、ボイスコイル7が巻回されるボビン11を備える。ボビン11は、筒状部11a及びセンターキャップ11bを含む。センターキャップ11bは、筒状部11aの正面側の開口を閉じる。ボイスコイル7は、ボビン11の筒状部11aの外周面に沿って巻回される。なお、正面側とは、軸線Oが延在する方向において、背面側とは反対側である。
【0021】
振動板3は、軸線O方向から見て、センターキャップ11bの周囲に形成される。振動板3の内周3aは、センターキャップ11bの外周に接続される。
【0022】
スピーカーユニット2は、弾性を有するエッジ部12を備える。軸線O方向から見て、エッジ部12は、リング状を成し、振動板3の外周3bに沿って設けられる。振動板3の外周3bは、エッジ部12に接続される。振動板3は、エッジ部12を介して、スピーカーフレーム5に連結される。
【0023】
スピーカーフレーム5は、振動板3及び磁気回路6を保持する。スピーカーフレーム5は、鉄または金属材料または樹脂材料で構成される。スピーカーフレーム5の形状は、振動板3及び磁気回路6を保持できればよく、図1に示す形状に限定されず、任意である。
【0024】
スピーカーフレーム5は、コーン部13、磁気回路収容部14、及びフランジ15を含む。コーン部13は、振動板3を径方向Yにおける外側から覆うように形成される。磁気回路収容部14は、軸線O方向において、コーン部13の背面側Bに配置されている。磁気回路収容部14は、磁気回路6のうち、マグネット8及びヨーク9を収容する。センターポール10の背面側Bの部分は、磁気回路収容部14に収容されている。センターポール10の放音面側Fの部分は、コーン部13内に延びている。磁気回路収容部14は、磁気回路6の一部を収容している。
【0025】
フランジ15は、コーン部13の放音面側Fの端部13aから、径方向Yにおける外側に張り出している。フランジ15は、軸線O方向から見て円環状を成している。
【0026】
スピーカー装置1は、板バネ固定部20、板バネ30、及び取付部材40を備える。板バネ固定部20は、板バネ30をスピーカーフレーム5に対して固定する。板バネ固定部20は、フランジ15の背面15bに設けられている。板バネ固定部20は、軸線O方向から見て、リング状を成している。板バネ固定部20の周方向に直交する断面は、矩形状を成している。板バネ固定部20の内径は、例えば、コーン部13の放音面側Fの端部13aの外径よりも大きい。フランジ15は、スピーカーユニット2の径方向Yにおいて、コーン部13の外側に配置されている。
【0027】
板バネ固定部20の外径は、フランジ15の外径と同じでもよい。板バネ固定部20は、所定の厚さを有する。板バネ固定部20の厚さは、軸線O方向における板バネ固定部20の正面20aと背面20bとの間の距離である。板バネ固定部20の背面20bは、板バネ固定部20の厚さ分、フランジ15の背面15bよりも背面側Bに配置される。
【0028】
なお、板バネ固定部20は、フランジ15に固定されるものに限定されない。板バネ固定部20は、例えば、スピーカーフレーム5のコーン部13に固定されるものでもよい。また、板バネ固定部20は、スピーカーフレーム5と一体的に形成されていてもよい。板バネ固定部20は、フランジ15と別部材として形成されていてもよく、フランジ15と一体的に形成されていてもよい。
【0029】
また、板バネ固定部20は、軸線O方向において、フランジ15と離間するように配置されていてもよい。板バネ固定部20は、リング状のものに限定されない。板バネ固定部20は、スピーカーユニット2の周方向において部分的に形成されていてもよい。板バネ固定部20は、軸線O方向に延在する部分を含んでもよい。板バネ固定部20は、フランジ15の背面側Bに配置されるものに限定されず、フランジ15の正面側に配置されていてもよい。また、板バネ固定部20は、スピーカーユニット2の径方向Yにおいて、フランジ15よりも内側に配置されていてもよく、フランジ15よりも外側に配置されていてもよい。
【0030】
図2は、板バネ30を示す斜視図である。図1及び図2に示される板バネ30は、スピーカーユニット2と取付対象部材50との間の力の伝達経路において、スピーカーユニット2と、取付対象部材50との間に位置する。スピーカーユニット2と取付対象部材50との間の力の伝達経路は、スピーカーユニット2を支持するための力が伝達される部品を含む。スピーカー装置1において、スピーカーユニット2と取付対象部材50との間の力の伝達経路は、板バネ固定部20、板バネ30、及び取付部材40を含む。
【0031】
板バネ30は、リング状の板バネである。板バネの板厚方向は、軸線O方向に沿う。板バネ30は、金属により形成されていてもよく、樹脂により形成されていてもよい。板バネ30は、ゴムにより形成されていてもよい。板バネ30は、その他の材料から形成されていてもよい。板バネ30は、リング状のものに限定されず、径方向Yに延びるものでもよい。板バネ30は、スピーカーユニット2の周方向に沿って配置される円弧状の部分と、径方向Yに沿って配置される部分とを含んでもよい。
【0032】
板バネ30は、第1リング(内側部分)31、第2リング(外側部分)32、及び連結部33を有する。第1リング31は、内周側に配置され、第2リング32は、外周側に配置される。内周側とは、スピーカーユニット2の径方向Yにおいて、軸線Oに近い方である。外周側とは、スピーカーユニット2の径方向にいて、軸線Oから遠い方である。内周側は、径方向Yにおける内側であり、外周側は、径方向Yにおける外側である。
【0033】
連結部33は、径方向Yにおいて、第1リング31と第2リング32との間に配置され、第1リング31と第2リング32とを連結する。板バネ30は、複数の連結部33を有する。板バネ30は、たとえば4つの連結部33を有する。連結部33は、周方向において互いに離間する。
【0034】
連結部33は、円弧状を成す部分33aと、部分33aと第1リング31とを連結する部分33bと、部分33aと第2リング32とを連結する部分33cとを含む。円弧状の部分33aは、板バネ30の周方向において所定の長さを有する。周方向に隣り合う連結部33同士の間には、隙間G1が存在する。径方向Yにおいて、第1リング31と部分33aとの間には、隙間G2が存在する。第2リング32と部分33aとの間には、隙間G3が存在する。円弧状の部分33aの長手方向において、一方の端部に、部分33bが接続され、他方の端部に部分33cが接続される。
【0035】
図1に示されるように、第1リング31は、板バネ固定部20に接合され、第2リング32は、取付部材40に接合される。第1リング31は、板バネ固定部20の背面20bに接合される。第2リング32は、取付部材40に接合される。板バネ30は、板バネ固定部20の背面20bに対してねじ止めされてもよく、接着されてもよい。板バネ30は、その他の方法によって、背面20bと接合されてもよい。
【0036】
取付部材40は、スピーカーユニット2を取付対象部材50に取り付けるための部材である。取付部材40は、本体41、フランジ42、及びストッパー43を備える。本体41は、軸線O方向から見て、リング状を成している。本体41の軸線O方向における長さは、スピーカーフレーム5のフランジ15の厚さと、板バネ固定部20の厚さとの合計よりも長い。本体41の内径は、フランジ15の外径よりも大きい。
【0037】
スピーカーユニット2の径方向Yにおいて、本体41は、フランジ15の外側に配置されている。径方向Yにおいて、フランジ15及び板バネ固定部20は、本体41の内側に配置されている。フランジ15及び板バネ固定部20は、軸線O方向において、本体41から外側に張り出していない。
【0038】
フランジ42は、本体41から径方向Yに張り出している。フランジ42は、本体41の背面側Bに配置されている。フランジ42は、取付対象部材50に対して固定されている。フランジ42の板厚方向は、軸線O方向に沿う。フランジ42は、軸線O方向に離間する正面42a及び背面42bを含む。
【0039】
取付対象部材50には開口部50aが設けられている。フランジ42は、開口部50aの周縁部50bに取り付けられる。取付対象部材50は、正面50c及び背面50d含む。フランジ42の背面42bは、取付対象部材50の正面50cに接合される。
【0040】
フランジ42は、取付対象部材50に対してボルト固定されている。フランジ42は、取付対象部材50に対して、その他の方法により接合されていてもよい。なお、フランジ42の正面42aが、取付対象部材50の背面50dに接合されていてもよい。
【0041】
ストッパー43は、本体41から径方向Yにおいて内側に張り出している。ストッパー43は、軸線O方向から見て、リング状を成している。ストッパー43は、径方向Yに沿う所定の幅を有する。ストッパー43は、取付部材40の周方向において全周にわたって形成されている。ストッパー43は、軸線O方向から見て、スピーカーフレーム5のフランジ15に重なるように配置されている。
【0042】
ストッパー43の内径は、スピーカーフレーム5のフランジ15の外径よりも小さい。ストッパー43は、基部43a及び内周縁部43bを有する。ストッパー43の基部43aは、本体41に接続されている。ストッパー43は、フランジ15の放音面側Fに配置されている。ストッパー43は、軸線O方向に離間する正面43c及び背面43dを含む。内周縁部43bは、軸線O方向において、フランジ15の正面15aと離間している。軸線O方向において、フランジ15の正面15aとストッパー43の背面43dとの間には隙間が生じている。
【0043】
取付部材40は背面部45を備える。背面部45は、支持部46及びストッパー47を有する。支持部46は、軸線O方向から見てリング状を成す。支持部46は、軸線O方向から見て、本体41と重なる位置に配置されている。軸線O方向において、本体41と支持部46との間には、板バネ30の第2リング32が配置されている。板バネ30の第2リング32は、軸線O方向において、支持部46と本体41とによって挟まれている。支持部46は、例えば、本体41に対してねじ止めされている。支持部46は、板バネ30の第2リング32に対して接着されていてもよい。支持部46は、その他の方法により本体41に対して固定されていてもよい。
【0044】
ストッパー47は、支持部46から径方向Yにおいて内側に張り出している。ストッパー47は、軸線O方向から見て、リング状を成している。ストッパー47は、径方向Yに沿う所定の幅を有する。ストッパー47は、取付部材40の周方向において全周にわたって形成されている。ストッパー47は、軸線O方向から見て、板バネ固定部20に重なるように配置されている。
【0045】
ストッパー47の内径は、板バネ固定部20の外径よりも小さい。ストッパー47は、基部47a及び内周縁部47bを有する。ストッパー47の基部47aは、支持部46に接続されている。ストッパー47は、板バネ固定部20の背面側Bに配置されている。ストッパー47は、軸線O方向に離間する正面47c及び背面47dを含む。内周縁部47bは、軸線O方向において、板バネ固定部20の背面20bと離間している。軸線O方向において、板バネ30の第1リング31とストッパー47の正面47cとの間には隙間が生じている。
【0046】
取付部材40の材質は、例えば樹脂である。取付部材40の材質は金属でもよい。取付部材40は所定の強度を有する。ストッパー43は、スピーカーユニット2の放音面側Fへの移動を拘束する放音面側のストッパーの一例である。ストッパー47は、スピーカーユニット2の背面側Bへの移動を拘束する背面側のストッパーの一例である。
【0047】
スピーカー装置1は、取付部材40とスピーカーユニット2との間の隙間を密封する密封部材16を備える。密封部材16の一端は、フランジ15に接合されている。密封部材16の他端は、ストッパー43に接合されている。密封部材16は弾性を有する部材であり、例えばゴム膜である。密封部材16の材料は、ゴムに限定されず、樹脂等であってもよい。また、密封部材16は、膜状に限定されず、例えばブロック状でもよい。
【0048】
次にスピーカー装置1における作用について説明する。スピーカー装置1では、例えば軸線O方向にスピーカーユニット2が振動することがある。
【0049】
スピーカーユニット2には、板バネ30が接続されている。板バネ30の板厚方向は、軸線O方向に沿う。板バネ30は、径方向Yよりも軸線O方向に変形しやすい。スピーカーユニット2の軸線O方向における振動は、板バネ30によって減衰される。これにより、スピーカーユニット2の振動が、取付部材40及び取付対象部材50に伝達されにくい。
【0050】
スピーカー装置1は、フランジ15の放音面側Fに配置されたストッパー43を備える。スピーカーユニット2の放音面側Fへの変位が大きくなると、スピーカーフレーム5のフランジ15がストッパー43に当接する。これにより、スピーカーユニット2の放音面側Fへの移動が抑制される。
【0051】
スピーカー装置1の取付部材40は、ストッパー43を含む。ストッパー43は本体41とは別部材として形成されていてもよいが、本実施形態では本体41と一体的に形成されているので、部品点数の削減が図られている。スピーカー装置1では、部品点数の削減を図りつつ、スピーカーユニット2の変位を抑制できる。スピーカー装置1では、ストッパー43が取付部材40の本体41と一体的に形成されているので、取付対象部材50に対して取り付ける際の作業が簡素化される。取付部材40とは、別部材のストッパーを備える場合には、取付対象部材50への取付作業の工数が増加するが、本開示のスピーカー装置1によれば、取付部材40がストッパー43を備えるので、取付作業の簡素化が図られる。
【0052】
スピーカー装置1では、ストッパー47を有する背面部45が本体41に対して固定されている。そのため、ストッパー43とストッパー47とを別々に、取付対象部材50に取り付ける必要がない。取付部材40を取付対象部材50に取り付けることで、ストッパー47も取付対象部材50に取り付けられる。
【0053】
スピーカー装置1は、板バネ固定部20の背面側Bに配置されたストッパー47を備える。スピーカーユニット2の背面側Bへの変位が大きくなると、板バネ固定部20の背面20bに固定された板バネ30の第1リング31がストッパー47に当接する。これにより、スピーカーユニット2の背面側Bへの移動が抑制される。
【0054】
このように第1実施形態に係るスピーカー装置1では、スピーカーユニット2の変位が抑制されるので、板バネ30の破損のおそれが低減される。スピーカー装置1では、板バネ30の破損を防止して、スピーカーユニット2の振動を抑制できる。スピーカー装置1では、スピーカーユニット2の変位を一定の範囲に抑えることができるので、板バネ30に係る負荷を低減し、板バネ30が疲労破壊するおそれが低減される。スピーカー装置1では、板バネ30の寿命を延ばすことができる。
【0055】
スピーカー装置1では、軸線O方向が水平方向に沿って延在し、板バネ30の軸線O方向におけるバネ定数は、板バネ30の径方向Yにおけるバネ定数よりも低い。そのため、スピーカー装置1は、水平方向に柔らかく、垂直方向に硬くなる。スピーカー装置1は、軸線O方向が水平方向に沿って配置される縦置きに適した構造である。なお、水平方向に柔らかいとは、スピーカーユニット2が水平方向に変位しやすいことをいう。垂直方向に硬いとは、スピーカーユニット2が垂直方向に変位しにくいことをいう。スピーカーユニット2は、垂直方向よりも水平方向に変位しやすい。
【0056】
また、スピーカー装置1では、密封部材16を備え、スピーカーユニット2と取付部材40との間の隙間が密閉されている。そのため、背面側Bから放音面側Fへの音の回り込みが抑制される。
【0057】
次に図3を参照して、第2実施形態に係るスピーカー装置1Bについて説明する。図3は、第2実施形態に係るスピーカー装置1Bを示す部分断面図である。第2実施形態に係るスピーカー装置1Bが、上記の第1実施形態に係るスピーカー装置1と違う点は、径方向Yにおいてフランジ15から外側に張り出す延出部62を備える点、取付部材40に代えて取付部材70を備える点、及び、ストッパー47を有する背面部45を備えておらず、板バネ30の部分33cがストッパー部75として機能する点である。なお、第2実施形態に係るスピーカー装置1Bの説明において、第1実施形態と同様な説明は省略する。
【0058】
スピーカー装置1Bは、フランジ15から径方向Yにおける外側に張り出す延出部62を備える。延出部62は、フランジ15と一体的に形成されている。延出部62は、径方向Yにおいて、板バネ固定部20の外側に配置されている。軸線O方向から見て、延出部62は、板バネ30の連結部33と重なるように配置されている。延出部62は、連結部33の部分33cと重なる位置まで配置されている。
【0059】
延出部62は、フランジ15の周方向において、全周にわたって形成されている。延出部62は、フランジ15の周方向において、全周にわたって形成されているものに限定されず、周方向において部分的に形成されているものでもよい。また、延出部62は、フランジ15と一体的に形成されていてもよく、フランジ15とは別部材として形成されていてもよい。フランジ15と一体で形成されていると、部品点数の削減を図ることができる。
【0060】
スピーカー装置1は、スピーカーユニット2を取付対象部材50に取り付けるための取付部材70を備える。取付部材70は、本体71、フランジ72、及びストッパー73を備える。本体71は、第1実施形態の本体41と同様の構成である。フランジ72は、第1実施形態のフランジ42とほぼ同じ構成であるが、一部異なる。フランジ72の背面72bには、板バネ30の第2リング32が配置される段差面72cが形成されている。なお、フランジ72において、段差面72cが形成されていなくてもよい。
【0061】
ストッパー73は、本体71から径方向Yにおいて内側に張り出している。ストッパー73は、軸線O方向から見て、リング状を成している。ストッパー73は、取付部材70の周方向において全周にわたって形成されている。ストッパー73は、軸線O方向から見て、延出部62に重なるように配置されている。
【0062】
ストッパー73の内径は、スピーカーフレーム5の延出部62の外径よりも小さい。ストッパー73は、基部73a及び内周縁部73bを有する。ストッパー73の基部73aは、本体71に接続されている。ストッパー73は、延出部62の放音面側Fに配置されている。ストッパー73は、軸線O方向に離間する正面73c及び背面73dを含む。内周縁部73bは、軸線O方向において、延出部62の正面62aと離間している。軸線O方向において、延出部62の正面62aとストッパー73の背面73dとの間には隙間が生じている。ストッパー73は、放音面側のストッパーの一例である。
【0063】
図4は、板バネ30の連結部33の一部を拡大して示す平面図である。図3及び図4に示される板バネ30の連結部33の部分33cは、ストッパー部75として機能する。ストッパー部75は、第2リング32から径方向Yにおいて内側に突出する突出部を含む。第2リング32は、取付部材70のフランジ72の段差面72cに取り付けられている。第2リング32は、軸線O方向において、フランジ72と取付対象部材50の周縁部50bとによって挟まれている。ストッパー部75は、軸線O方向から見て、延出部62と重なるように配置されている。図4に示されるストッパー部75の先端75aは、径方向Yにおいて、延出部62よりも内側に位置する。ストッパー部75の先端75aは、径方向Yにおいて、ストッパー部75のうち最も内側に位置する。
【0064】
スピーカー装置1Bは、取付部材70とスピーカーユニット2との間の隙間を密封する密封部材76を備える。密封部材76の一端は、フランジ15に接合されている。密封部材76は、延出部62に接続されていてもよい。密封部材76の他端は、ストッパー73に接合されている。密封部材76は弾性を有する部材であり、例えばゴム膜である。密封部材76の材料は、ゴムに限定されず、樹脂等であってもよい。また、密封部材76は、膜状に限定されず、例えばブロック状でもよい。
【0065】
このような第2実施形態に係るスピーカー装置1Bは、第1実施形態のスピーカー装置1と同様な作用効果を奏する。スピーカー装置1Bは、板バネ30を備えるので、スピーカーユニット2の振動が減衰される。これにより、スピーカーユニット2の振動が、取付部材70及び取付対象部材50に伝達されにくい。
【0066】
スピーカー装置1Bは、径方向Yにおいて、板バネ固定部20よりも外側に配置された延出部62と、軸線O方向から見て、延出部62と重なる位置まで張り出すストッパー73とを備える。スピーカーユニット2の放音面側Fへの変位が大きくなると、スピーカーフレーム5の延出部62がストッパー73に当接する。これにより、スピーカーユニット2の放音面側Fへの移動が抑制される。
【0067】
スピーカー装置1Bでは、取付部材70がストッパー73を含む。ストッパー73は本体71とは別部材として形成されていてもよいが、本実施形態では本体71と一体的に形成されているので、部品点数の削減が図られている。スピーカー装置1Bでは、部品点数の削減を図りつつ、スピーカーユニット2の変位を抑制できる。また、ストッパー73が取付部材70の本体71と一体的に形成されているので、取付対象部材50に対して取り付ける際の作業を簡素化することができる。
【0068】
スピーカー装置1Bでは、軸線O方向から見て、延出部62と重なる位置まで張り出すストッパー部75を備える。スピーカー装置1Bでは、板バネ30の連結部33の一部である部分33cがストッパー部75として機能する。スピーカーユニット2の背面側Bへの変位が大きくなると、延出部62がストッパー部75に当接する。これにより、スピーカーユニット2の背面側Bへの移動が抑制される。
【0069】
このように第2実施形態に係るスピーカー装置1Bでは、スピーカーユニット2の変位が抑制されるので、板バネ30の破損のおそれが低減される。スピーカー装置1Bでは、板バネ30の破損を防止して、スピーカーユニット2の振動を抑制できる。
【0070】
次に図5を参照して変形例に係るストッパー部77を含む板バネ30Bについて説明する。図5に示される板バネ30Bが、第2実施形態に係るスピーカー装置1Bの板バネ30と違う点は、第2リング32の径方向Yにおける内側の部分32aがストッパー部77として機能する点である。なお、変形例に係る説明において、上記の第1実施形態及び第2実施形態に係るスピーカー装置1,1Bと同様の説明は省略する。
【0071】
図5では、取付対象部材50の開口部50aが破線で示されている。板バネ30Bは、径方向Yにおいて、内側に配置された部分32aと、外側に配置された部分32bとを含む。部分32aは、径方向Yにおいて、部分32bの内側に配置されている。部分32aは、開口部50aの内側に配置され、部分33bは開口部50aの外側に配置されている。
【0072】
部分32aは、軸線O方向から見て、開口部50aの内側へ張り出す。部分32aは、軸線O方向から見て、図3に示される延出部62と重なるように配置されている。延出部62の外径は、板バネ30Bの第2リング32の内径よりも大きい。
【0073】
このような板バネ30Bの第2リング32の部分32aは、ストッパー部77として機能する内側の縁部の一例である。板バネ30Bは、ストッパー部75,77を含む。スピーカー装置1Bは、板バネ30に代えて、板バネ30Bを備える構成でもよい。このような板バネ30Bを備えるスピーカー装置1Bでは、スピーカーユニット2の背面側Bへの変位が大きくなると、延出部62がストッパー部75,77に当接する。これにより、スピーカーユニット2の背面側Bへの移動が抑制される。
【0074】
板バネ30,30Bは、ストッパー部として機能するその他の部分を含んでいてもよい。例えば、周方向に隣り合う連結部33間の隙間G1において、第2リング32から径方向Yにおける内側に張り出す突出部を備えていてもよい。この突出部は、軸線O方向から見て、延出部62と重なるように形成されている。このような突出部は、ストッパー部として機能する。
【0075】
次に、図6を参照して、第3実施形態に係るスピーカー装置1Cについて説明する。図6は、第3実施形態に係るスピーカー装置1Cを示す部分断面図である。第3実施形態に係るスピーカー装置1Cが、上記の第1実施形態に係るスピーカー装置1と違う点は、ストッパー47を有する背面部45を備えておらず、取付対象部材50の開口部50aの周縁部50bがスピーカーユニット2の変位を抑制する機能を有する点、及び、取付部材40に代えて、フランジ82の構造が異なる取付部材80を備える点である。取付部材80は、第1実施形態のストッパー43と同様の構成のストッパー83を有する。なお、第3実施形態の説明において、上記の第1実施形態及び第2実施形態と同様の説明は省略する。ストッパー83は、放音面側のストッパーの一例である。
【0076】
スピーカー装置1Cのフランジ15の外径OD1は、取付対象部材50の開口部50aの内径ID1よりも大きい。板バネ固定部20は、フランジ15の背面15bに設けられている。板バネ固定部20の外径は、フランジ15の外径OD1とほぼ同じである。軸線O方向から見て、ストッパー83の内周縁部83b、フランジ15、板バネ固定部20、板バネ30の第1リング31、及び取付対象部材50の開口部50aの周縁部50bは、互いに重なる位置に配置されている。第3実施形態では取付対象部材50の周縁部50bがスピーカーユニット2の変位を抑制する機能を有する。
【0077】
取付部材80は、本体81、フランジ82、及びストッパー83を備える。本体81は、第1実施形態の本体41と同様の構成である。フランジ82は、径方向Yにおいて、本体81から外側に張り出す。フランジ82は、軸線O方向に離間する正面82a及び背面82bを有する。フランジ82には段差面82c及び突出部82dが形成されている。段差面82cは、径方向Yにおいて、突出部82dの内側に形成されている。段差面82cは、軸線Oと直交する面を含む。突出部82dは、軸線O方向において、段差面82cよりも背面側Bに突出する。フランジ82の背面82bは、突出部82dの面であり、取付対象部材50の正面50cに接合されている。段差面82cは、軸線O方向において、取付対象部材50の正面50cから離間している。
【0078】
段差面82cには、板バネ30の第2リング32が取り付けられている。板バネ30は、軸線O方向において、取付対象部材50の正面50cから離間している。板バネ30と取付対象部材50の正面50cとの間には隙間が生じている。換言すると、軸線O方向において、板バネ30と開口部50aの周縁部50bとの間には隙間が存在する。
【0079】
このような第3実施形態に係るスピーカー装置1Cにおいても、上記の第1実施形態のスピーカー装置1と同様の作用効果を奏する。スピーカー装置1Cのフランジ15の外径OD1は、取付対象部材50の開口部50aの内径ID1よりも大きいので、開口部50aの周縁部50bは、スピーカーユニット2の変位を抑制する機能を有する。スピーカー装置1Cでは、スピーカーユニット2の背面側Bへの変位が大きくなると、板バネ固定部20に取り付けられた板バネ30の第1リング31が、周縁部50bに当接する。これにより、スピーカーユニット2の背面側Bへの移動が抑制される。
【0080】
第3実施形態では、取付対象部材50の開口部50aの周縁部50bがスピーカーユニット2の変位を抑制する。そのため、別途、板バネ30の背面側Bにストッパーを設ける必要がない。第3実施形態では、部品の増加を抑えるとともに、簡素な構成で、スピーカーユニット2の変位を抑制できる。
【0081】
このように第3実施形態に係るスピーカー装置1Cでは、スピーカーユニット2の変位が抑制されるので、板バネ30の破損のおそれが低減される。スピーカー装置1Cでは、板バネ30の破損を防止して、スピーカーユニット2の振動を抑制できる。なお、開口部50aの周縁部50bは、開口部50aの径方向において、内側に突出する部分を含んでもよい。この内側に突出する部分は、軸線O方向に見て、スピーカーユニット2の一部と重なるように配置されている。これにより、スピーカーユニット2の軸線O方向における変位を抑制できる。
【0082】
次に図7を参照して、スピーカー装置1を備えた車両ドア(車両用ドア)100について説明する。図7は、実施形態に係るスピーカー装置1を備えた車両ドア100を示す分解斜視図である。図7に示されるように、車両ドア100は、外部と接するアウタパネルと称される第1パネル102と、車両ドア100において車室側に内装材として設けられ、ドアトリムと称される第2パネル103と、第1パネル102と第2パネル103との間に設けられ、インナパネルと称される第3パネル104と、第3パネル104に取り付けられるスピーカー装置1とを備える。第3パネル104は、パネル部材の一例であり、取付対象部材50に相当する。
【0083】
第1パネル102と第3パネル104には一般的に鋼板が用いられてその前後及び下部の外縁部分が互いに結合される。第1パネル102と第3パネル104には、アルミニウム合金あるいは炭素材を使用することも可能である。第2パネル103には一般的には合成樹脂成形板が用いられる。しかしながら、本開示においては、これらのパネル102、103、104の構成材料は上記のものに限定されない。第1パネル102と第3パネル104の上部には、窓ガラス106を上下動可能に収容した枠体107が設けられる。
【0084】
第3パネル104には、スピーカー装置1を収容するための開口部104a(開口部50a)や、窓ガラス106を上下動させるための不図示のモータやドアロックアクチュエータ等を収容するための複数の開口部104bが設けられる。本実施形態においては、これらの開口部104bの少なくとも一部は不図示のモータやドアロックアクチュエータ等によっては閉塞されず、開口部104bを閉塞する専用の部材も設けられない。
【0085】
第2パネル103は第3パネル104に対し、連結部材109X,109Yにより、第2パネル103の外縁部分が第3パネル104に着脱可能に固定されることによって取付けられる。第2パネル103の外縁部分には外縁部分に沿って溝状のパッキン取付部が設けられ、パッキン取付部にはパッキン110が嵌め込まれており、このパッキン110が第2パネル103と第3パネル104との間の空間の気密性を保持する。この空間は、第1パネル102と第3パネル104との間で形成された空間と、第3パネル104に設けられた少なくとも一部の開口部により連通する。
【0086】
スピーカーユニット2は、取付部材40を介して第3パネル104に取付けられる。取付部材40はねじを用いて固定される。車両ドア100は、スピーカー装置1に代えて、スピーカー装置1B,1Cを備えるものでもよい。
【0087】
なお、前述した実施例は、本開示の代表的な形態を示したに過ぎず、本開示は、前述した実施例に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更、付加が可能である。
【0088】
前述の実施形態では、ストッパー43と接触するスピーカーユニット2の一部として、フランジ15を例示しているが、ストッパー43と接触する部分は、その他の部分でもよい。例えば、ストッパー43と接触する部分は、フランジ15に接続されたその他の部分でもよい。ストッパー43と接触する部分は、ストッパー43と接触することで、スピーカーユニット2の変位を抑制できるものであればよい。
【0089】
前述の実施形態では、ストッパー47と接触する部分として、板バネ30の第1リング31を例示しているが、ストッパー47と接触する部分は、板バネ固定部20でもよく、その他の部分でもよい。例えば、ストッパー47と接触する部分は、スピーカーフレーム5から径方向Yにおける外側に張り出すその他の部分でもよい。ストッパー47と接触する部分は、ストッパー47と接触することで、スピーカーユニット2の変位を抑制できるものであればよい。
【0090】
前述の実施形態では、軸線O方向において、フランジ15の背面側Bに板バネ30が配置されている場合について例示しているが、板バネ30は、フランジ15の放音面側Fに配置されていてもよい。
【0091】
前述の実施形態では、軸線O方向において、取付対象部材50の正面50c側にフランジ15が配置されている場合について例示しているが、フランジ15は、取付対象部材50の背面50d側に配置されていてもよい。
【0092】
前述の実施形態では、軸線O方向において、フランジ15の両側にストッパー43,47を備える場合について例示しているが、放音面側F又は背面側Bのみにストッパーが配置されている構成でもよい。
【0093】
前述の実施形態では、軸線Oが水平方向となるように配置される場合について説明しているが、軸線Oが垂直方向となるように、スピーカー装置1が配置されてもよく、軸線O方向が、水平方向に対して傾斜するようにスピーカー装置1が配置されていてもよい。
【0094】
前述の実施形態では、スピーカー装置1が車両用ドアに配置される場合について、例示しているが、スピーカー装置1は車両のその他の部分に配置されてもよい。また、スピーカー装置1は、車両以外の物に適用されてもよい。
【0095】
前述の実施形態では、取付部材40とフランジ15との間の隙間を密封する密封部材16について説明しているが、密封部材16はその他の構成でもよい。スピーカー装置1は、密封部材16を備えていない構成でもよい。スピーカー装置1は、その他の部品の隙間を密封する密封部材を備えていてもよい。スピーカー装置1は、板バネ30の隙間を密封する密封部材を備えていてもよい。密封部材は、伸縮性を有するゴム膜で形成され、板バネ30の隙間を密封してもよい。密封部材は、板バネ30の隙間に配置されてもよく、隙間を覆うように配置されてもよい。また、スピーカー装置1は、密封部材として機能するバネ部材を備えていてもよい。スピーカー装置1は、隙間が形成されていないゴム製のバネ部材を備える構成でもよい。密封部材は、その他の複数の部品間の隙間を密封してもよい。
【符号の説明】
【0096】
1,1B,1C…スピーカー装置、2…スピーカーユニット、3…振動板、5…スピーカーフレーム、15…フランジ(スピーカーユニットの一部)、20…板バネ固定部、30,30B…板バネ、31…第1リング(内側部分)、32…第2リング(外側部分、ストッパー)、32a…内側の部分(内側の縁部)、33…連結部、33c…部分(突出部、ストッパー部)、40,70,80…取付部材、43…ストッパー(放音面側のストッパー)、47…ストッパー(背面側のストッパー)、50…取付対象部材、50a…開口部、50b…周縁部(開口部の周縁部)62…延出部、73…ストッパー(放音面側のストッパー)、75,77…ストッパー部、83…ストッパー(放音面側のストッパー)、100…車両ドア(車両用ドア)、104…第3パネル(取付対象部材、パネル部材)、104a…開口部、B…背面側、F…放音面側、O…スピーカーユニットの中心軸、Y…径方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7