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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123513
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】車載用制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/50 20160101AFI20220817BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20220817BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20220817BHJP
   B60W 20/00 20160101ALI20220817BHJP
   B60L 50/10 20190101ALI20220817BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20220817BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20220817BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20220817BHJP
【FI】
B60W20/50 ZHV
B60W10/06 900
B60W10/08 900
B60W20/00 900
B60L50/10
B60L50/60
B60L53/14
B60L58/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020867
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】伊知地 紀公
【テーマコード(参考)】
3D202
5H125
【Fターム(参考)】
3D202BB00
3D202BB05
3D202BB06
3D202BB08
3D202BB16
3D202CC01
3D202DD00
3D202DD04
3D202DD45
5H125AA01
5H125AC08
5H125AC12
5H125BB00
5H125BC05
5H125BC24
5H125BD17
5H125CA02
5H125EE27
5H125EE31
5H125EE41
5H125EE51
(57)【要約】      (修正有)
【課題】エンジン停止中にエンジンフードが開状態にされた場合において、蓄電装置の充電残量が所定の残量よりも低下することを抑制可能な車両用制御装置を提供する。
【解決手段】車両用制御装置は、エンジンフードが開閉可能なエンジンルームに収容されたエンジンと、HV高圧バッテリと、エンジンの駆動により発電された電力及びHV高圧バッテリに蓄えられた電力の少なくとも一方を所定の電力に変換するインバータと、インバータにより変換された電力を車両外部へ出力するための外部給電用のコンセントと、HV-ECUとを備える。エンジンを停止した状態でコンセントによる外部給電中において、HV高圧バッテリの充電残量が所定の残量よりも低下することを条件としてエンジンが作動され、エンジン停止中にエンジンフードが開状態にされることを条件としてHV-ECUがインバータを停止させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンフードが開閉可能なエンジンルームに収容されたエンジンと、
蓄電装置と、
前記エンジンの駆動により発電された電力及び前記蓄電装置に蓄えられた電力の少なくとも一方を所定の電力に変換する電力変換部と、
前記電力変換部により変換された電力を車両外部へ出力するための外部給電用の電力出力部と、
制御部とを備え、
前記エンジンを停止した状態での前記電力出力部による外部給電中において、前記蓄電装置の充電残量が所定の残量よりも低下することを条件として、前記エンジンが作動されるように構成され、
前記制御部は、前記エンジン停止中に前記エンジンフードが開状態にされることを条件として、前記電力変換部を停止させる制御を行うこと、を特徴とする車両用制御装置。
【請求項2】
前記エンジン停止中に前記エンジンフードが開状態にされることを条件として、前記電力変換部を作動させるか否かを確認するための第一確認手段をさらに備え、
前記制御部は、前記第一確認手段が操作されたと判断することを条件として、前記電力変換部を作動させ、前記第一確認手段が操作されていないと判断することを条件として、前記電力変換部を停止させる制御を行うこと、を特徴とする請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項3】
前記エンジン停止中に前記電力変換部が作動中の状態において、前記エンジンフードが開状態にされた際に、前記電力変換部の作動を継続するか否かを確認するための第二確認手段をさらに備え、
前記制御部は、前記第二確認手段が操作されたと判断することを条件として、前記電力変換部の作動を継続させ、前記第二確認手段が操作されていないと判断することを条件として、前記電力変換部を停止させる制御を行うこと、を特徴とする請求項1又は2に記載の車両用制御装置。
【請求項4】
前記電力変換部は、前記蓄電装置と前記電力出力部との間に電気的に接続され、
前記制御部は、前記電力変換部を停止させることにより、前記蓄電装置の電力が前記電力出力部側に出力されないように制御を行うこと、を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の車両用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用制御装置に関し、特に、外部給電可能に制御する車載用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載用制御装置に関し、特に、外部給電可能に制御する車載用制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、車両外部に電力を出力することにより外部給電可能に制御されるハイブリッド車両が開示されている。この特許文献1には、外部給電に伴いエンジンが作動し得ることを車両周囲に適切に報知する制御が行われること、が記載されている。
【0004】
上記特許文献1には、ハイブリッド車両に搭載されるECU(Electronic Control Unit)が、エンジンを作動させて外部給電を行う第1の給電動作と、エンジンを停止して外部給電を行う第2の給電動作とを選択的に実行すること、が記載されている。
【0005】
また、上記特許文献1には、ECUが外部給電の開始から所定時間において第1の給電動作を実行し、外部給電(給電動作)を開始してから所定時間だけ敢えてエンジンを作動させることによって、外部給電中であることを車両周囲に報知する制御が行われること、が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-37219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、エンジン停止中にエンジンルームのエンジンフードが開状態(開けた状態)にされた場合において、外部給電等により蓄電装置の充電残量(SOC:State Of Charge)が所定の残量よりも低下した場合には、意図せずにエンジンが作動するという問題点がある。この場合、意図せずにエンジンが作動することによって、サービスマンやユーザーが危険に晒される恐れがある。同様に、工場での検査中において意図せずにエンジンが作動することによって、作業者が危険に晒される恐れがある。
【0008】
上記のような場合、エンジンフードが開状態にされることを条件として、エンジンの作動を停止させることが考えられるが、エンジンの作動を停止させると問題となる状況がある。例えば、エンジンフードが開状態にされた場合にエンジンの作動を停止させると、エンジンを作動させて点検する必要のある点検項目を確認することができないという不具合がある。また、エンジンの作動を停止させることによって、エンジンの駆動力により車両を移動させることが困難になるという不具合がある。
【0009】
本発明は、上記問題点を解消すべくなされたものであって、エンジン停止中にエンジンフードが開状態にされた場合において、蓄電装置の充電残量が所定の残量よりも低下することを抑制可能な車両用制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、次のように構成されている。
【0011】
(1)本発明による車両用制御装置は、エンジンフードが開閉可能なエンジンルームに収容されたエンジンと、蓄電装置と、前記エンジンの駆動により発電された電力及び前記蓄電装置に蓄えられた電力の少なくとも一方を所定の電力に変換する電力変換部と、前記電力変換部により変換された電力を車両外部へ出力するための外部給電用の電力出力部と、制御部とを備え、前記エンジンを停止した状態での前記電力出力部による外部給電中において、前記蓄電装置の充電残量が所定の残量よりも低下することを条件として、前記エンジンが作動されるように構成され、前記制御部は、前記エンジン停止中に前記エンジンフードが開状態にされることを条件として、前記電力変換部を停止させる制御を行うこと、を特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、エンジン停止中に車両の利用者等によりエンジンフードが開状態にされることを条件として、制御部により電力変換部を停止させる制御が行われる。これにより、電力出力部による外部給電が停止されるため、蓄電装置の充電残量が所定の残量よりも低下することを抑制することができる。これにより、蓄電装置の充電残量の低下に起因して、車両の利用者が意図せずにエンジンが急に作動することを抑制可能であるため、安全性を確保することができる。また、上記構成によれば、蓄電装置の充電残量を確保することができるため、蓄電装置の電力のみを利用して車両を移動させることができる。また、上記構成によれば、エンジンフードが開状態にされた場合においてエンジンを作動させることが可能であるため、エンジンを作動させて点検する必要のある点検項目を確認することができる。さらに、上記構成によれば、エンジンを作動させることも可能であるため、エンジンの駆動力を利用して車両を移動させることもできる。
【0013】
(2)本発明による車両用制御装置において、好ましくは、前記エンジン停止中に前記エンジンフードが開状態にされることを条件として、前記電力変換部を作動させるか否かを確認するための第一確認手段をさらに備え、前記制御部は、前記第一確認手段が操作されたと判断することを条件として、前記電力変換部を作動させ、前記第一確認手段が操作されていないと判断することを条件として、前記電力変換部を停止させる制御を行うとよい。このように構成すれば、エンジン停止中に車両の利用者によりエンジンフードが開状態にされた(開けた)場合に、車両の利用者に対して電力変換部を作動させるか又は停止させるかの確認を行うことができる。これにより、車両の利用者が意図せずに電力変換部が作動又は停止することを回避できるため、利便性を損なうことがない。
【0014】
(3)この場合において、好ましくは、前記第一確認手段は、車両内に設けられるスイッチ、カーナビゲーション、メータ、及び車両の利用者により所持される携帯機器の少なくともいずれかからなるとよい。このように構成すれば、スイッチ、カーナビゲーション、メータ、及び携帯機器のいずれかを車両の利用者が操作することにより、容易に、電力変換部を作動又は停止させることができる。
【0015】
(4)本発明による車両用制御装置において、好ましくは、前記エンジン停止中に前記電力変換部が作動中の状態において、前記エンジンフードが開状態にされた際に、前記電力変換部の作動を継続するか否かを確認するための第二確認手段をさらに備え、前記制御部は、前記第二確認手段が操作されたと判断することを条件として、前記電力変換部の作動を継続させ、前記第二確認手段が操作されていないと判断することを条件として、前記電力変換部を停止させる制御を行うとよい。このように構成すれば、エンジン停止中に電力変換部が作動中の状態において、車両の利用者によりエンジンフードが開状態にされた(開けた)場合に、車両の利用者に対して電力変換部の作動を継続させるか又は停止させるかの確認を行うことができる。これにより、車両の利用者が意図せずに電力変換部の作動が継続又は停止することを回避できるため、利便性を損なうことがない。
【0016】
(5)この場合において、好ましくは、前記第二確認手段は、車両内に設けられるスイッチ、カーナビゲーション、メータ、及び車両の利用者により所持される携帯機器の少なくともいずれかからなるとよい。このように構成すれば、スイッチ、カーナビゲーション、メータ、及び携帯機器のいずれかを車両の利用者が操作することにより、容易に、電力変換部の作動を継続又は停止させることができる。
【0017】
(6)本発明による車両用制御装置において、好ましくは、前記電力変換部は、前記蓄電装置と前記電力出力部との間に電気的に接続され、前記制御部は、前記電力変換部を停止させることにより、前記蓄電装置の電力が前記電力出力部側に出力されないように制御を行うとよい。このように構成すれば、蓄電装置の電力が電力変換部を介して電力出力部に出力されないため、外部給電により蓄電装置の充電残量が低下することを抑制できる。
【0018】
(7)本発明による車両用制御装置において、好ましくは、前記エンジンフードの開状態及び閉状態を検知するフードスイッチをさらに備えるとよい。このように構成すれば、車両の利用者によりエンジンフードが開状態にされた(開けた)ことをフードスイッチにより容易に検知することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る態様によれば、エンジン停止中にエンジンフードが開状態にされた場合において、蓄電装置の充電残量が所定の残量よりも低下することを抑制可能な車両用制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る車両用制御装置の一実施形態を示すブロック図である。
図2】本実施形態による車両用制御装置の外部給電作動時における動作説明図である。
図3】本実施形態による車両用制御装置の外部給電終了時における動作説明図である。
図4】本実施形態による「インバータ作動準備状態」におけるフローチャートである。
図5】本実施形態による「インバータ作動状態」におけるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係る車両用制御装置を説明する。これらの図は模式図であって、必ずしも大きさを正確な比率で記したものではない。また、図中、同様の構成部品は、同様の符号を付して示す。
【0022】
(車両用制御装置の概略構成)
図1を参照して、本実施形態における車両用制御装置100の概略構成について説明する。この車両用制御装置100は、例えばハイブリッド車両等に適用(搭載)されるものである。
【0023】
図1に示すように、車両用制御装置100は、HV-ECU1と、ボデーECU2と、フードSW3と、メータ4と、確認手段5と、HV高圧バッテリ6と、インバータ7と、コンセント8とを備えている。
【0024】
なお、HV-ECU1は、本発明の「制御部」の一例である。なお、フードSW3は、本発明は「フードスイッチ」の一例である。確認手段5は、本発明の「第一確認手段」及び「第二確認手段」の一例である。HV高圧バッテリ6は、本発明の「蓄電装置」の一例である。インバータ7は、本発明の「電力変換部」の一例である。コンセント8は、本発明の「電力出力部」の一例である。
【0025】
HV-ECU(Hybrid Vehicle ECU)1は、ハイブリッド車両の制御を統括する上位のコントローラである。HV-ECU1は、マイクロコンピュータ等により構成されている。
【0026】
ボデーECU(Electronic Control Unit)2は、車体に実装されている電源及び電装系を制御するコントローラである。ボデーECU2は、マイクロコンピュータ等により構成されている。
【0027】
フードSW3は、エンジンフード(図示省略)又はエンジンルーム(図示省略)の近傍等に設けられている。エンジンフードは、エンジンが収容されるエンジンルームに開閉可能に設けられている。フードSW3は、エンジンフードの開状態及び閉状態を検知するように構成されている。
【0028】
メータ4は、車両のインストルメントパネル等(図示省略)に設けられている。本実施形態では、車両の利用者によりエンジンフードが開状態にされた場合に、エンジンフードが開状態であることがメータ4に表示される。その他、メータ4には、速度、ガソリン残量、エアコンの動作状況、各種車載センサの異常の有無、その他の運転の補助となる各種の車両情報も表示される。
【0029】
確認手段5は、車両内に設けられるスイッチ、リクエストスイッチ、カーナビゲーション、メータ4、及び車両の利用者により所持される携帯機器の少なくとも1つ又は複数の組み合わせにより構成されるものである。携帯機器の一例としては、キーレスキー、スマートキー端末、予め登録されたスマートフォン等の通信機器である。
【0030】
本実施形態では、確認手段5は、エンジン及びインバータ7が停止中の状態において、エンジンフードが開状態にされることを条件として、インバータ7を作動させるか否かを車両の利用者に対して確認するためのものである。さらに、確認手段5は、エンジン停止中にインバータ7が作動中の状態において、エンジンフードが開状態にされることを条件として、インバータ7の作動を継続するか否かを車両の利用者に対して確認するためのものである。
【0031】
HV高圧バッテリ6は、エンジンの駆動により発電用モータジェネレータ(図示省略)によって発電された電力を蓄える蓄電用バッテリとして機能するとともに、車両を駆動させることが可能な駆動用バッテリとして機能する。HV高圧バッテリ6は、200Vの直流電力(DC)を出力する性能を有している。
【0032】
インバータ(DC/ACインバータ)7は、発電用モータジェネレータによって発電された電力及びHV高圧バッテリ6に蓄えられた電力の少なくとも一方を所定の電力に変換した上で出力する。具体的には、インバータ7は、HV高圧バッテリ6から入力された200Vの直流電力(DC)を100Vの交流電力(AC)に変換した上でコンセント8に出力する。
【0033】
コンセント8は、インバータ7から入力された100Vの交流電力(AC)を車両外部へ出力して外部給電するためのものである。コンセント8に調理器具や通信機器等が接続されることにより、調理器具や通信機器等に対して給電(充電)等が行われる。
【0034】
HV-ECU1とボデーECU2とは、CAN(Controller Area Network)通信プロトコルによる双方向通信可能に接続されている。
【0035】
ボデーECU2とフードSW3とは、電気的に接続されている。車両の利用者によりエンジンフードが開状態にされた(開けられた)場合に、エンジンフードが開状態であるという情報がフードSW3からボデーECU2に対して送信される。
【0036】
HV-ECU1とメータ4とは、CAN(Controller Area Network)通信プロトコルによる双方向通信可能に接続されている。HV-ECU1は、車両の各種状態(各種内容)がメータ4に表示されるように制御する。本実施形態では、HV-ECU1は、エンジンフードが開状態にされた場合に、エンジンフードが開状態であるという情報がメータ4に表示されるように制御する。
【0037】
HV-ECU1と確認手段5とは、電気的に接続されている。車両の利用者により確認手段5が操作された場合に、確認手段5が操作されたという情報が確認手段5からHV-ECU1に対して送信される。
【0038】
HV-ECU1とHV高圧バッテリ6とは、電気的に接続されている。HV-ECU1は、HV高圧バッテリ6について、電力を蓄える蓄電用バッテリとして機能させるか、又は車両を駆動させる駆動用バッテリとして機能させるかの制御を行う。
【0039】
HV-ECU1とインバータ7とは、電気的に接続されている。HV-ECU1は、インバータ7の作動及び停止等の制御(ON/OFF制御)を行う。また、HV-ECU1は、インバータ7を停止させることにより、HV高圧バッテリ6の電力がインバータ7を介してコンセント8から車両外部に出力されないように制御する。
【0040】
HV高圧バッテリ6とインバータ7とは、電気的に接続されている。HV高圧バッテリ6は、200Vの直流電力(DC)をインバータ7に出力する。
【0041】
インバータ7とコンセント8とは、電気的に接続されている。インバータ7は、200Vの直流電力(DC)を100Vの交流電力(AC)に変換した上で、コンセント8に出力する。
【0042】
(車両用制御装置100の動作説明)
図2を参照して、車両用制御装置100における外部給電作動時の動作について、HV-ECU1、ボデーECU2、メータ4、及びインバータ7のそれぞれの動作について説明する。
【0043】
ここで、本実施形態におけるハイブリッド車両は、エンジンを停止した状態でコンセント8による外部給電中において、HV高圧バッテリ6の充電残量が所定の残量よりも低下することを条件として、エンジンが作動されるように構成されている。言い換えると、外部給電中において、HV高圧バッテリ6の充電のためにエンジンが作動及び停止を繰り返す状態にある。そのため、後述する所定の条件に基づいてインバータ7の作動等に関する制御を行うことによって、HV高圧バッテリ6の充電残量の低下を抑制し、意図しないエンジンの作動が抑制される。
【0044】
まず、ステップS11において、車両の利用者によりイグニッションがオン状態(IG ON)にされた上で、ステップS12において、AC100Vスイッチ(AC100V SW)が3回操作(押下)されたか否かがHV-ECU1により判定される。HV-ECU1は、車両の利用者によりAC100Vスイッチ(AC100V SW)が3回操作(押下)されたと判定した場合には、ステップS30に進む。
【0045】
ここで、本実実施形態では、HV-ECU1により、後述するステップS30~S35(図4参照)において、「インバータ作動準備状態」に関する制御が行われる。HV-ECU1は、後述する所定の条件に基づいて、インバータ7における「インバータ作動」及び「インバータ不作動」を制御する。そして、HV-ECU1は、ステップS32(図4参照)において、インバータ7を作動させると判断した場合には、ステップS13に進む。一方、HV-ECU1は、ステップS35(図4参照)において、インバータ7を不作動にすると判断した場合には、インバータ7を停止させる制御を行う。
【0046】
ステップS13において、HV-ECU1は、システムメインリレーをオン状態に制御する(SMR ON)。そして、HV-ECU1は、ボデーECU2に対して、非常時モードをON状態にする情報を送信する(非常時モードON)。これにより、ステップS14において、ボデーECU2は、シフトロックの解除を禁止するように制御する(シフトロック解除禁止)。これにより、車両が移動しないように固定される。
【0047】
また、HV-ECU1は、インバータ7に対して、インバータ7の作動を許可する情報を送信し(作動許可)、ステップS15において、スイッチインジケータを点灯させる(スイッチIND点灯)制御を行う。そして、HV-ECU1は、ステップS16において、インバータ7を作動させる制御を行う。これにより、ステップS17において、コンセント8から外部給電が行われる。
【0048】
さらに、本実施形態では、HV-ECU1により、後述するステップS40~S45(図5参照)において、「インバータ作動状態」に関する制御が行われる。HV-ECU1は、後述する所定の条件に基づいて、インバータ7における「インバータ作動継続」及び「インバータ停止」を制御する。そして、HV-ECU1は、ステップS42(図5参照)において、インバータ7の作動を継続させると判断した場合には、インバータ7の作動状態を維持する制御を行う。一方、HV-ECU1は、ステップS45(図5参照)において、インバータ7を停止すると判断した場合には、インバータ7の作動を停止させる制御を行う。
【0049】
また、HV-ECU1は、メータ4に対して、インバータ7が作動することを表示させる表示要求を送信する(表示要求)。これにより、ステップS18において、メータ4には、インバータ7の作動が表示される(表示)。
【0050】
次に、図3を参照して、車両用制御装置100における外部給電終了時の動作について、HV-ECU1、ボデーECU2、メータ4、及びインバータ7のそれぞれの動作について説明する。
【0051】
ステップS21において、車両の利用者によりイグニッションがオフ状態(IG OFF)にされた上で、AC100Vスイッチ(AC100V SW)が1回操作(押下)されたか否かがHV-ECU1により判定される。HV-ECU1は、車両の利用者によりAC100Vスイッチ(AC100V SW)が1回操作(押下)されたと判定した場合には、次の制御に進む。
【0052】
次に、HV-ECU1は、インバータ7に対して、インバータ7の作動許可を取り下げる情報を送信し(NOAC 許可取下げ)、ステップS22において、スイッチインジケータを消灯(スイッチIND消灯)させる制御を行う。そして、ステップS23において、HV-ECU1は、インバータ7を停止させる(インバータ停止)制御を行う。これにより、外部給電が停止する。
【0053】
また、HV-ECU1は、メータ4に対して、インバータ7の作動を非表示にする非表示要求を送信する(非表示要求)。これにより、ステップS24において、メータ4において、インバータ7の作動表示が非表示となる(表示なし)。
【0054】
最後に、ステップS25において、HV-ECU1は、システムメインリレーをオフ状態にする(SMR OFF)。
【0055】
次に、図4を参照して、HV-ECU1による「インバータ作動準備状態」に関する制御について説明する。
【0056】
HV-ECU1は、ステップS30において、「インバータ作動準備状態」に関する制御を開始する。次に、ステップS31において、エンジン停止中にフードSW3がオフ状態(エンジンフードが閉状態)であるか否かが判断される。そして、ステップS31において、フードSW3がオフ状態であると判断されることを条件として、ステップS32において、インバータ7を作動させる制御が行われる。
【0057】
また、ステップS31において、フードSW3がオン状態である(エンジンフードが開状態である)と判断されることを条件として、ステップS33に進む。
【0058】
ステップS33において、車両の利用者に対して、エンジンフードが開状態であることが音やメッセージで報知される。さらに、車両の利用者によって、インバータ7の作動又は不作動に関して確認手段5が操作されるまで所定時間待機する。
【0059】
ステップS34において、インバータ7の作動確認の結果がOKと判断されることを条件として、ステップS32において、インバータ7を作動させる制御が行われる。すなわち、車両の利用者によりインバータ7を作動させることについて確認手段5が操作されたと判断することを条件として、インバータ7を作動させる制御が行われる。
【0060】
一方で、ステップS34において、インバータ7の作動確認の結果がOKではないと判断されることを条件として、ステップS35において、インバータ7を不作動にする制御が行われる。すなわち、車両の利用者により確認手段5が所定時間操作されていないか、あるいはインバータ7を不作動にすることについて操作されたと判断することを条件として、インバータ7を不作動にする制御が行われる。
【0061】
次に、図5を参照して、HV-ECU1による「インバータ作動状態」に関する制御について説明する。
【0062】
HV-ECU1は、ステップS40において、「インバータ作動状態」に関する制御を開始する。次に、ステップS41において、エンジン停止中にフードSW3がオン状態(エンジンフードが開状態)であるか否かが判断される。そして、ステップS41において、フードSW3がオフ状態(エンジンフードが閉状態)であると判断されることを条件として、ステップS42において、インバータ7の作動を継続させる制御が行われる。
【0063】
また、ステップS41において、フードSW3がオン状態(エンジンフードが開状態)であると判断されることを条件として、ステップS43に進む。
【0064】
ステップS43において、車両の利用者に対して、エンジンフードが開状態であることが音やメッセージで報知される。さらに、車両の利用者によって、インバータ7の作動継続又は停止に関して確認手段5が操作されるまで所定時間待機する。
【0065】
ステップS44において、インバータ7の作動確認の結果がOKと判断されることを条件として、ステップS42において、インバータ7の作動を継続させる制御が行われる。すなわち、車両の利用者によりインバータ7の作動を継続させることについて確認手段5が操作されたと判断することを条件として、インバータ7の作動を継続させる制御が行われる。
【0066】
一方で、ステップS44において、インバータ7の作動確認の結果がOKではないと判断されることを条件として、ステップS45において、インバータ7を停止させる制御が行われる。すなわち、車両の利用者により確認手段5が所定時間操作されていないか、あるいはインバータ7を停止させることについて操作されたと判断することを条件として、インバータ7を停止させる制御が行われる。
【0067】
上記説明した実施形態によれば、以下の効果(1)~(6)を得ることができる。
【0068】
(1)上記実施形態による車両用制御装置100では、エンジン停止中に車両の利用者がエンジンフードを開状態にした(開けた)ことを条件として、HV-ECU1がインバータ7を停止させる制御を行った。これにより、コンセント8による外部給電が停止されるため、HV高圧バッテリ6の充電残量が所定の残量よりも低下することを抑制することができる。これにより、HV高圧バッテリ6の充電残量の低下に起因して、車両の利用者が意図せずにエンジンが急に作動することを抑制可能であるため、安全性を確保することができる。また、上記実施形態によれば、HV高圧バッテリ6の充電残量を確保することができるため、HV高圧バッテリ6の電力のみを利用して車両を移動させることができる。また、上記実施形態によれば、車両の利用者がエンジンフードを開状態にした場合においてエンジンを作動させることが可能であるため、エンジンを作動させて点検する必要のある点検項目を確認することができる。さらに、上記実施形態によれば、エンジンを作動させることも可能であるため、エンジンの駆動力を利用して車両を移動させることもできる。
【0069】
(2)上記実施形態による車両用制御装置100では、車両の利用者により確認手段5が操作されたことを条件としてインバータ7を作動させ、車両の利用者により確認手段5が操作されていないことを条件としてインバータ7を停止させた。これにより、エンジン停止中に車両の利用者がエンジンフードを開状態にした(開けた)場合に、車両の利用者に対してインバータ7を作動させるか又は停止させるかの確認を行うことができる。これにより、車両の利用者が意図せずにインバータ7が作動又は停止することを回避できるため、利便性を損なうことがない。
【0070】
(3)上記実施形態による車両用制御装置100では、確認手段5として、車両内に設けられるスイッチ、カーナビゲーション、メータ、及び車両の利用者により所持される携帯機器の少なくともいずれかにより構成した。これにより、スイッチ、カーナビゲーション、メータ、及び携帯機器のいずれかを車両の利用者が操作することにより、容易に、インバータ7を作動又は停止させることができる。
【0071】
(4)上記実施形態による車両用制御装置100では、確認手段5が操作されたことを条件としてインバータ7の作動を継続させ、確認手段5が操作されていないことを条件としてインバータ7を停止させた。これにより、エンジン停止中にインバータ7が作動中の状態において、車両の利用者がエンジンフードを開状態にした(開けた)場合に、車両の利用者に対してインバータ7の作動を継続させるか又は停止させるかの確認を行うことができる。これにより、車両の利用者が意図せずにインバータ7の作動が継続又は停止することを回避できるため、利便性を損なうことがない。
【0072】
(5)上記実施形態による車両用制御装置100では、インバータ7を停止させることにより、HV高圧バッテリ6の電力がコンセント8側に出力されないようにした。これにより、HV高圧バッテリ6の電力がインバータ7を介してコンセント8に出力されないため、外部給電によりHV高圧バッテリ6の充電残量が低下することを抑制できる。
【0073】
(6)上記実施形態による車両用制御装置100では、エンジンフードの開状態及び閉状態を検知するフードSW3をエンジンルーム近傍に設けた。これにより、車両の利用者がエンジンフードを開状態にした(開けた)ことをフードSW3により容易に検知することができる。
【0074】
(変形例)
上記実施形態は、以下のように変更した構成とすることもできる。
【0075】
上記実施形態では、本発明の制御部の一例としてHV-ECUを適用する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、インバータを作動及び停止させる制御を行うことが可能であれば、HV-ECU以外のECU等を制御部として適用することも可能である。
【0076】
上記実施形態では、本発明の電力変換部の一例として、DC/ACインバータを適用する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、エンジンの駆動により発電された電力及びHV高圧バッテリに蓄えられた電力の少なくとも一方を所定の電力に変換し、変換された電力を車両外部へ出力して外部給電することが可能であれば、DC/ACインバータ以外の種類のインバータ等を電力変換部として適用することも可能である。
【0077】
上記実施形態では、本発明の蓄電装置の一例として、HV高圧バッテリを適用する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、HV高圧バッテリ以外のバッテリを蓄電装置として利用することが可能である。
【0078】
上記実施形態では、フードSWをエンジンフード又はエンジンルームの近傍等に設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、エンジンフードの開状態及び閉状態を検知することが可能であれば、フードSWを車体のいずれの部分に設けることも可能である。
【0079】
上記実施形態は、いずれも本発明の適応の例示であり、特許請求の範囲に記載の範囲内におけるその他いかなる実施形態も、発明の技術的範囲に含まれることは当然のことである。
【符号の説明】
【0080】
1 :HV-ECU(制御部)
2 :ボデーECU
3 :フードSW(フードスイッチ)
4 :メータ
5 :確認手段(第一確認手段)(第二確認手段)
6 :HV高圧バッテリ(蓄電装置)
7 :インバータ(電力変換部)
8 :コンセント(電力出力部)
100 :車両用制御装置
図1
図2
図3
図4
図5