(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123531
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】閲覧画像保証システム、閲覧画像保証サイトおよび閲覧画像保証サーバ
(51)【国際特許分類】
G06F 21/64 20130101AFI20220817BHJP
G06F 13/00 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
G06F21/64
G06F13/00 560A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020896
(22)【出願日】2021-02-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】321001436
【氏名又は名称】株式会社ボーグテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100109689
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 結
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 正孝
【テーマコード(参考)】
5B084
【Fターム(参考)】
5B084AA01
5B084AA12
5B084AB04
5B084AB06
5B084AB16
5B084AB36
5B084BB16
5B084CA13
5B084CB15
5B084CB23
5B084DC02
5B084DC03
(57)【要約】
【課題】閲覧時に画像として表示された情報の真正性を閲覧者側のシステムによって保証する。
【解決手段】閲覧画像保証システムは、ネット上の情報を取得して表示画面上に閲覧画像として表示するブラウザに組み込まれ、実行指示の操作を受けて、当該操作時に上記ブラウザが表示していた閲覧画像を取得し、当該閲覧画像を送信するアドオンと、上記アドオンから受信された上記閲覧画像を保存する画像保存装置と、受信された上記閲覧画像から算出された特徴値を登録するブロックチェーン装置と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネット上の情報を取得して表示画面上に閲覧画像として表示するブラウザに組み込まれ、実行指示の操作を受けて、当該操作時に前記ブラウザが表示していた閲覧画像を取得し、当該閲覧画像を送信するアドオンと、
前記アドオンから受信された前記閲覧画像が保存される画像保存装置と、
前記受信された閲覧画像から算出された特徴値が登録されるブロックチェーン装置と、
を備えたことを特徴とする閲覧画像保証システム。
【請求項2】
前記特徴値としてハッシュ値が登録されることを特徴とする請求項1に記載の閲覧画像保証システム。
【請求項3】
前記アドオンは、前記閲覧画像のファイルに改変防止用データを埋め込んで送信することを特徴とする請求項1または2に記載の閲覧画像保証システム。
【請求項4】
前記アドオンは、前記特徴値の登録成功を受けて前記閲覧画像を、前記ブラウザが動作しているハードウェア上にダウンロードすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の閲覧画像保証システム。
【請求項5】
ネット上の情報を取得して表示画面上に閲覧画像として表示するブラウザに組み込まれ、実行指示の操作を受けて、当該操作時に前記ブラウザが表示していた閲覧画像を取得し、当該閲覧画像を送信するアドオンと、
前記アドオンから前記閲覧画像を受信して画像保存装置に保存し、受信した前記閲覧画像から算出された特徴値をブロックチェーン装置に登録するサーバ装置と、
を備えたことを特徴とする閲覧画像保証システム。
【請求項6】
ネット上の情報を取得して表示画面上に閲覧画像として表示するブラウザに組み込まれ、実行指示の操作を受けて、当該操作時に前記ブラウザが表示していた閲覧画像を取得し、当該閲覧画像を送信するアドオンから受信された前記閲覧画像を保存する画像保存装置と、
前記閲覧画像から算出された特徴値を登録するブロックチェーン装置と、
を備えたことを特徴とする閲覧画像保証サイト。
【請求項7】
ネット上の情報を取得して表示画面上に閲覧画像として表示するブラウザに組み込まれ、実行指示の操作を受けて、当該操作時に前記ブラウザが表示していた閲覧画像を取得し、当該閲覧画像を送信するアドオンからの前記閲覧画像の受信と、
前記閲覧画像の画像保存装置への保存と、
前記閲覧画像から算出された特徴値のブロックチェーン装置への登録と、
を実行することを特徴とする閲覧画像保証サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閲覧画像保証システム、閲覧画像保証サイトおよび閲覧画像保証サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、SNSなどに投稿されたコンテンツの真正性を担保するため、SNSサーバに投稿されたコンテンツ投稿をブロックチェーン技術を用いて登録する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、インターネット等のネットワーク上に存在するコンテンツは膨大であり、真正性が保証されたコンテンツ投稿などは一部分に過ぎないため、閲覧者が過去に閲覧したことがあるコンテンツについて閲覧後に改変が行われても、改変の事実を閲覧者が主張・証明できる場合は少ない。例えばネット上で不正な販売サイトなどを発見した場合に、閲覧画像を保存していても、閲覧後にサイトが削除や改変されると、保存していた閲覧画像の真正性を主張・証明することが難しい。
【0005】
また、閲覧者がインターネット等を介して閲覧した情報を第三者に開示や提供などする場合(例えばアフィリエイト広告の実績をネット上で閲覧・確認し、その閲覧画像を広告主に示す場合など)に、その情報が閲覧時から改変されていない真正の情報であることを閲覧者が証明することは困難である。
本発明は、上記事情に鑑み、閲覧時に画像として表示された情報の真正性を閲覧者側のシステムによって保証することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の閲覧画像保証システムは、ネット上の情報を取得して表示画面上に閲覧画像として表示するブラウザに組み込まれ、実行指示の操作を受けて、当該操作時に上記ブラウザが表示していた閲覧画像を取得し、当該閲覧画像を送信するアドオンと、上記アドオンから受信された上記閲覧画像を保存する画像保存装置と、上記受信された閲覧画像から算出された特徴値を登録するブロックチェーン装置と、を備えている。
【0007】
上記閲覧画像保証システムによれば、ブラウザに組み込まれたアドオンの実行操作によって閲覧画像が画像保存装置に保存されると共に閲覧画像の特徴値がブロックチェーン装置に登録される。ここで特徴値としては、例えばハッシュ値などのように、閲覧画像が改変された場合に値が変化するものが用いられる。
【0008】
ブロックチェーンに登録された特徴値はその後の改変が困難となるので、閲覧画像の真正性の証明が必要となった場合には、その閲覧画像から改めて算出した特徴値とブロックチェーンに登録されている特徴値とをつきあわせることにより第三者などに対しても真正性の客観的な証明が可能となる。上記閲覧画像保証システムは、閲覧者によって閲覧されるサイトなどの投稿者側における協力を得なくても閲覧者側のみで構築可能である。
【0009】
また、上記閲覧画像保証システムによれば、ブラウザに組み込まれたアドオンと他の装置との連携によって閲覧画像が保存されるので、閲覧者は容易に閲覧画像を保存することが出来、閲覧者による閲覧画像の改変も抑制され、さらに、素性の分からない画像が他から紛れ込むことも抑制される。従って、上記閲覧画像保証システムによれば、保存される閲覧画像の真正性が高い。
【0010】
上記閲覧画像保証システムにおいて、上記特徴値としてハッシュ値が登録されることが好ましい。ハッシュ値は、閲覧画像の些細な改変であっても大きく値が変化するので、閲覧画像の改変の有無を判定する為の特徴値として特に適している。
【0011】
また、上記閲覧画像保証システムにおいて、上記アドオンは、上記閲覧画像のデータに改変防止用データを埋め込んで送信することが望ましい。この望ましい構成によれば、閲覧者による閲覧画像の改変が強く抑制されると共に、アドオンから送信された後の閲覧画像の改変についても抑制される。改変防止用データとしては、例えば改変防止文字列のデータであってもよい。
【0012】
また、上記閲覧画像保証システムにおいて、上記アドオンは、上記特徴値の登録成功を受けて上記閲覧画像を、上記ブラウザが動作しているハードウェア上にダウンロードすることも好ましい。保存された閲覧画像が閲覧者の手元に残ることで第三者への閲覧画像の提示や保存済みの閲覧画像の確認などが容易となる。
【0013】
本発明の閲覧画像保証システムは、上記アドオンと、上記アドオンから上記閲覧画像を受信して画像保存装置に保存し、受信した上記閲覧画像から算出された特徴値をブロックチェーン装置に登録するサーバ装置と、を備えたものであってもよい。このような閲覧画像保証システムにおいても、上記と同様に閲覧画像の真正性が保証される。
【0014】
本発明の閲覧画像保証サイトは、上記画像保存装置と上記ブロックチェーン装置とを備えている。このような閲覧画像保証サイトが例えばインターネット上などに設けられていることにより、閲覧者側ではブラウザにアドオンを導入するだけで上記閲覧画像保証システムを利用することが出来る。
【0015】
本発明の閲覧画像保証サーバは、上記アドオンからの上記閲覧画像の受信と、上記閲覧画像の画像保存装置への保存と、上記閲覧画像から算出された特徴値のブロックチェーン装置への登録と、を実行する。このような閲覧画像保証サーバによれば、既存の画像保存装置やブロックチェーン装置を利用して本発明の閲覧画像保証サイトを容易に構築することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、閲覧時に画像として表示された情報の真正性が閲覧者側に構築されたシステムによって保証される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の閲覧画像保証システムの一実施形態を表した概念構成図である。
【
図2】閲覧画像保証システムにおけるメイン機能の処理動作を概念的に示した図である。
【
図3】閲覧画像保証システムにおける付帯機能の処理動作を概念的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について、以下図面を参照して説明する。但し、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするため、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。また、先に説明した図に記載の要素については、後の図の説明において適宜に参照する場合がある。
図1は、本発明の閲覧画像保証システムの一実施形態をした概念構成図である。
本実施形態の閲覧画像保証システム100は、通信ネットワーク200を介して相互に通信を行うユーザ装置110とサーバ装置120とを備えている。
【0019】
ユーザ装置110とサーバ装置120が通信ネットワーク200を介して結合されることで本実施形態の閲覧画像保証システム100が構築されるが、結合のための通信ネットワーク200自体はインターネットや携帯電話網等に代表される外部のネットワークである。但し、本発明の閲覧画像保証システムにおいては、システムの各部を結合するネットワーク自体を内部構成として含んでもよい。
【0020】
また、本実施形態の閲覧画像保証システム100は、分散台帳システム130、ブロックチェーンシステム140、およびデータベース150を備えており、サーバ装置120は、分散台帳システム130、ブロックチェーンシステム140、およびデータベース150と、ケーブルなどによる直接接続あるいはネットワークなどを介した間接接続によって接続されている。
【0021】
ユーザ装置110は、ユーザによって操作されるコンピュータである。ユーザ装置110は、通信ネットワーク200を介して例えばWebサイト上の情報を、図示が省略された表示画面上で閲覧するブラウザ111を内部機能として有している。ブラウザ111には、ブラウザ111によって表示された閲覧内容を画像(以下この画像を閲覧画像と称する)として保存するためのアドオン112が組み込まれている。このアドオン112が、本発明にいうアドオンの一例に相当する。
【0022】
閲覧画像保証システム100を用いて閲覧画像の保証を求めるユーザは、ユーザ装置110のブラウザ111にアドオン112を組み込むことでユーザ装置110を閲覧画像保証システム100の一部とする。即ち、ユーザは、ブラウザ111にアドオン112を組み込むだけで閲覧画像保証システム100を利用することができる。アドオン112の具体的な機能については後述する。
【0023】
サーバ装置120は、通信ネットワーク200上に設けられた閲覧画像保証サイト160の制御装置として機能し、ユーザ装置110からみると閲覧画像保証サイト160の入り口となる。閲覧画像保証サイト160は、ユーザ装置110側から送られてくる閲覧画像を保存するものである。この閲覧画像保証サイト160は、サーバ装置120と分散台帳システム130とブロックチェーンシステム140とデータベース150からなり、本発明の閲覧画像保証サイトの一実施形態に相当する。また、サーバ装置120は本発明の閲覧画像保証サーバの一実施形態に相当する。
【0024】
分散台帳システム130は、閲覧画像を保存するシステムである。本実施形態で用いられる分散台帳システム130は、例えばIPFS(登録商標)によって実現され、複数のノード131がP2Pネットワーク技術によって結合されている。複数のノード131は、複数のコンピュータであってもよいし、あるいは、1つのコンピュータが機能分割されたものでもよい。
【0025】
分散台帳システム130は、本発明にいう画像保存装置の一例に相当する。なお、本発明にいう画像保存装置は、ノードを有さない単独の記録装置であってもよいし、あるいは、ハードウェアの場所や数が特定されないクラウド上の仮想的な装置であってもよい。
【0026】
ブロックチェーンシステム140は、閲覧画像のハッシュ値をブロックチェーンで保存するシステムである。ブロックチェーンシステム140も、例えばIPFS(登録商標)によって実現され、複数のノード141がP2Pネットワーク技術によって結合されている。ブロックチェーンシステム140における複数のノード141も、複数のコンピュータであってもよいし、あるいは、1つのコンピュータが機能分割されたものでもよい。
【0027】
ブロックチェーンシステム140は、本発明にいうブロックチェーン装置の一例に相当する。本発明にいうブロックチェーン装置は、ハードウェアの場所や数が特定されないクラウド上の仮想的な装置であってもよい。
【0028】
図1に示された分散台帳システム130およびブロックチェーンシステム140は模式的な概念として示されており、分散台帳システム130およびブロックチェーンシステム140におけるノード131,141の数は図示された数に限定されない。
データベース150は、閲覧画像に関連づけられた関連情報を記憶する装置である。
図2は、閲覧画像保証システムにおけるメイン機能の処理動作を概念的に示した図である。
閲覧画像保証システム100の処理動作は、ユーザ装置110側の処理動作とサーバ装置120側(即ち閲覧画像保証サイト160)の処理動作に大別される。
【0029】
ユーザは、閲覧画像保証システム100を利用するための事前準備として、ブラウザ111が起動されているユーザ装置110を操作してユーザ情報を入力する。入力されたユーザ情報は、アドオン112によって取り込まれて所定の記憶場所に保管される(ステップS101)。
【0030】
事前準備を終えたユーザは、ブラウザ111によってウェブサイトなどの閲覧を行い(ステップS102)、閲覧内容の保証を望むサイトが見つかった場合にはアドオン112に対し、画像アップロードの実行を指示する実行操作(例えばメニュー選択の操作やアイコンのクリック操作)を行う。
【0031】
実行操作を受けたアドオン112は、まず、ブラウザ111によって表示されている閲覧画像を画像ファイルとして取得する(ステップS103)。具体的には、HTML解析またはブラウザAPIが用いられて、ブラウザ111のウィンドウ内に表示されている表示内容が画像ファイルに変換される。なお、画像ファイルの取得としては、液晶画面などへの表示に用いられた表示データがキャプチャされて画像ファイルに変換されてもよい。
【0032】
次に、アドオン112は、閲覧画像の画像ファイルに対し、改ざん防止文字列を埋め込む(ステップS104)。具体的には、画像ファイルにおける”APP0”領域と”DQT”領域の間に改ざん防止文字列が埋め込まれる。改ざん防止文字列が埋め込まれた画像ファイルは、アドオン112によって所定の記憶場所に一時的に保管される。
【0033】
更に、アドオン112は、改ざん防止文字列が埋め込まれた画像ファイルを、保管していたユーザ情報とともに閲覧画像保証サイト160にアップロードする(ステップS105)。具体的には、アドオン112は、閲覧画像保証サイト160の入り口であるサーバ装置120に向けて画像ファイルおよびユーザ情報を送信する。
【0034】
アドオン112は、実行操作を受けることで上記の画像ファイル取得と、改ざん防止文字列の埋め込みと、画像ファイル等のアップロードとを自動的に実行する。従って、ユーザは実行操作のみで容易に閲覧画像をアップロードすることができる。一方、アドオン112がアップロードする閲覧画像に対し、ユーザが改変や差し替えを行うことが難しく、アップロードされる閲覧画像の真正性が保たれる。
【0035】
また、閲覧画像のアップロードは、アドオン112とサーバ装置120との連携によって実行されるので、素性の分からない画像が閲覧画像保証システム100の外から紛れ込むことも抑制される。
【0036】
更に、本実施形態では、アップロードする閲覧画像に対してアドオン112が改ざん防止文字列を埋め込むため、アップロード前後における閲覧画像の改ざんや差し替えがより一層抑制され、閲覧画像の真正性が高い。
【0037】
閲覧画像の画像ファイルがアップロードされた閲覧画像保証サイト160では、サーバ装置120が画像ファイルを受信して分散台帳システム130に登録する(ステップS105)。具体的には、サーバ装置120が分散台帳システム130のノード131の一つに画像ファイルを記憶させると、ノード131が画像ファイルを適宜に複製などすることにより、画像ファイルが分散台帳システム130内の複数のノード131によって共有される。
【0038】
画像ファイルが登録された分散台帳システム130では、登録された画像ファイルのハッシュ値が算出される(ステップS106)。算出されたハッシュ値は、サーバ装置120によってブロックチェーンシステム140へと送られてブロックチェーンに登録される(ステップS107)。ブロックチェーンシステム140における画像ファイルのハッシュ値登録に際しては、登録の日付も併せて登録される。画像ファイルそのものをブロックチェーンに登録することはデータ量が大きすぎて登録が困難であるが、画像ファイルのハッシュ値が登録対象とされることにより、データ量が抑えられて登録可能となる。なお、ブロックチェーンシステム140の登録対象は、閲覧画像が改変された場合に値が変化する特徴値であればよいが、ハッシュ値は、閲覧画像の画像ファイルに対してデータ量が十分に小さく、画像ファイルに対して些細な改変が施された場合にも大きく値が変化するという特徴を有するため、ブロックチェーンシステム140への登録対象として特に適している。
【0039】
ブロックチェーンシステム140によって画像ファイルのハッシュ値登録が成功した場合には、成功の旨がブロックチェーンシステム140からサーバ装置120に伝えられ、サーバ装置120は、アドオン112から画像ファイルと共に送られてきていたユーザ情報などを関連情報としてデータベース150に登録する(ステップS108)。
閲覧画像保証サイト160における登録結果は、サーバ装置120を介してアドオン112へと通知される(ステップS109)。
【0040】
アドオン112では、閲覧画像保証サイト160から登録成功の通知を受けた場合には、ブラウザ111の機能によって閲覧画像のダウンロードが行われる(ステップS110)。具体的には、上記ステップS104で一時的に保管されていた画像ファイルが、ハードディスク装置などといったユーザの認識しているダウンロード場所に記憶される。ダウンロードの手順として、アドオン112は、まず<aタグ>を作成して一時保管の画像ファイルをリンクする。次にアドオン112は、<aタグ>のクリック処理をブラウザ111に実行させる。これにより、ブラウザ111は、一時保管の画像ファイルをダウンロード場所に記憶する。最後にアドオン112は<aタグ>を削除する。
【0041】
ブラウザ111によってダウンロードされた閲覧画像は、ユーザが適宜に参照することができるとともに、第三者に対して閲覧内容を示す場合などには、ダウンロードされた閲覧画像をコピーして閲覧内容を示すことができる。
【0042】
閲覧画像保証サイト160のブロックチェーンシステム140に登録されたハッシュ値は、ブロックチェーン技術の効果によって改ざんが困難となる。従って、例えば第三者に示した閲覧画像について真正性の確認が必要となった場合には、その閲覧画像から改めて算出されたハッシュ値と、ブロックチェーンシステム140に登録されたハッシュ値との比較によって真正性の確認が可能となる。なお、上述した閲覧画像保証システム100には、閲覧画像の真正性を容易に確認するための機能や登録済みの閲覧画像の一覧を得る機能なども備えられているが、既存の周知技術によって実現される機能であるため詳細説明は省略する。
【0043】
上記閲覧画像保証システム100においては、上述したように機能するサーバ装置120によって閲覧画像保証サイト160が容易に構築される。分散台帳システム130やブロックチェーンシステム140がクラウド上の既存システムである場合にはサーバ装置120による閲覧画像保証サイト160の構築が特に効率的である。
図2に示した処理動作は、閲覧画像保証システム100におけるメイン機能である。次に、このメイン機能を用いた付帯機能について説明する。
【0044】
図3は、閲覧画像保証システムにおける付帯機能の処理動作を概念的に示した図である。
図3では、閲覧画像保証システム100のデータベース150については図示が省略されている。
閲覧画像保証システム100における付帯機能では、ブラウザ111によって閲覧されるWebサイト300の真贋判定が可能となる。
【0045】
まず、Webサイト300では事前準備として、サイト上に掲載する画像ファイルに掲載サイトのURLを埋め込み(ステップS201)、URLが埋め込まれた画像ファイルを上述したメイン機能によって閲覧画像保証サイト160に登録する(ステップS202)。画像ファイルは分散台帳システム130に登録され、画像ファイルのハッシュ値はブロックチェーンシステム140に登録される(ステップS203)。
【0046】
事前準備が完了したら、Webサイト300では、URLが埋め込まれた画像ファイルを、サイトページに含まれた特定タグ内に掲載し(ステップS204)、ブラウザ111による閲覧が可能となる。
【0047】
ブラウザ111によってWebサイト300が閲覧される際にはアドオン112による付帯機能の処理が開始され、アドオン112は、上記特定タグ内の画像ファイルを取得する(ステップS205)。画像ファイルの取得に際してアドオン112は、画像ファイルが掲載されていたサイトのURL情報も取得し、更に、取得した画像ファイルのハッシュ値も認証用に算出する。
【0048】
画像ファイルを取得したアドオン112は、Webサイト300の真偽判定を求めて閲覧画像保証サイト160に、画像ファイル、URL情報、および認証キーをアップロードする(ステップS206)。認証キーは、アドオン112により、システム日付や画像ファイル等に基づいて特定の算出方法で算出される。当該算出方法は、閲覧画像保証システム100内で取り決められた秘密の算出方法である。
【0049】
閲覧画像保証サイト160ではサーバ装置120がアドオン112からの送信データを受信し、まず、認証キーによってAPI認証を行う。具体的には、サーバ装置120内で上記算出方法によって認証キーを算出し、アドオン112から送られてきた認証キーと比較する。認証キーが一致した場合には、送信データがアドオン112から送られてきたデータであることが確認される。
次に、閲覧画像保証サイト160では、アドオン112から送られてきた画像ファイルのハッシュ値とブロックチェーンシステム140に登録されたハッシュ値とが比較されて画像ファイルの真贋判定が行われる(ステップS207)。なお、サーバ装置120は、アドオン112から送られてきた画像ファイルを分散台帳システム130に送ることにより、分散台帳システム130にハッシュ値を算出させて真贋判定に用いる。ここでハッシュ値が不一致であった場合には、画像ファイルの改ざんやすり替えが行われた可能性がある。
【0050】
ハッシュ値が一致して画像ファイルの真正性が確認された場合、次にサーバ装置120は、画像ファイルに埋め込まれているURLを取り出し(ステップS208)、アドオン112から送信されてきたURL情報と比較して真贋判定を行う(ステップS209)。ここでURLが不一致であった場合には、画像ファイルが不正にコピーされた偽サイトなどの可能性がある。
【0051】
サーバ装置120は、真贋判定の結果をアドオン112に通知し(ステップS210)、アドオン112は、判定結果に応じた通知をブラウザ111に表示させ、この表示によってユーザはサイトの真贋を確認することができる。判定結果に応じた通知の表示としては、例えばアドレスバーの表示色を、真=緑、贋=赤とする方法がある。
【0052】
上述した付帯機能では、画像ファイルの認証とURLの真贋判定という2段階の認証・判定が行われるので、真贋判定の厳密性が高い。このような付帯機能により、偽サイトへの誘導などが防止され、Webサイト300の安全な閲覧が可能となる。
【符号の説明】
【0053】
100……閲覧画像保証システム、 110……ユーザ装置、 111……ブラウザ、
112……アドオン、 120……サーバ装置、 130……分散台帳システム、
140……ブロックチェーンシステム、 131,141……ノード、
150……データベース、 160……閲覧画像保証サイト、
200……通信ネットワーク、 300……Webサイト