(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123554
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】背もたれ
(51)【国際特許分類】
A47C 7/42 20060101AFI20220817BHJP
【FI】
A47C7/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020934
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】000116596
【氏名又は名称】愛知株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 工
【テーマコード(参考)】
3B084
【Fターム(参考)】
3B084EA02
3B084FA06
(57)【要約】
【課題】椅子に用いられる背もたれの新たな固定方法を提供する。
【解決手段】椅子に用いられる背もたれは、第1板部と、第2板部と、上方規制部と、を有する。第1板部は、当該椅子の使用者の背中に当接する位置に配置される。第2板部は、第1板部の使用者の背中と当接する側とは反対側の面と対向して配置される。上方規制部は、第2板部の上方端部を嵌め込み可能であって、第2板部の少なくとも前後方向及び上方向への移動を規制する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
椅子に用いられる背もたれであって、
当該椅子の使用者の背中に当接する位置に配置される第1板部と、
前記第1板部の前記使用者の背中と当接する側とは反対側の面と対向して配置される第2板部と、
前記第2板部の上方端部を嵌め込み可能であって、前記第2板部の少なくとも前後方向及び上方向への移動を規制する上方規制部と、を有する、背もたれ。
【請求項2】
請求項1に記載の背もたれであって、
前記上方規制部は、上方側に凹み、左右方向に長さを有する溝である、背もたれ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の背もたれであって、
前記上方規制部は、前記第1板部に取付可能な別部品である取付部が前記第1板部に取付られることで形成される、背もたれ。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の背もたれであって、
前記第2板部が前記第1板部と対向して配置された際に、前記第2板部の左右方向への移動を規制する側方規制部を更に備える、背もたれ。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の背もたれであって、
前記第1板部は、前記上方規制部よりも下方側に、後方に延びる延伸部を有し、
前記第2板部は、前記上方端部が前記上方規制部に嵌め込まれた状態で前記延伸部と当接する当接部を有する、背もたれ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、椅子に用いられる背もたれに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、表張りと、背もたれフレームと、裏当てと、により構成された椅子の背もたれが開示されている。この背もたれでは、ビスを用いて裏当てが背もたれフレームの背面側に固定され、表張りに設けられる掛止片を背もたれフレームに設けられる架橋桟に掛止させ、かつ、リベットを用いて裏当てにも係合させることで、表張りが背もたれフレームの前面側に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、椅子の背もたれは、椅子の使用を繰り返すうちに劣化しやすく、背もたれの補修や交換を行うことが多い。このため、背もたれは、取り外し及び取り付けが多く行われることから、背もたれを構成する部品が簡単に固定可能であることが求められている。
【0005】
本開示の一局面は、椅子に用いられる背もたれの新たな固定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、椅子に用いられる背もたれであって、第1板部と、第2板部と、上方規制部と、を有する。第1板部は、当該椅子の使用者の背中に当接する位置に配置される。第2板部は、第1板部の使用者の背中と当接する側とは反対側の面と対向して配置される。上方規制部は、第2板部の上方端部を嵌め込み可能であって、第2板部の少なくとも前後方向及び上方向への移動を規制する。
【0007】
このような構成によれば、上方規制部に第2板部の上方端部を嵌め込むことで、第2板部の少なくとも前後方向及び上方向の移動が規制されるため、第2板部の固定位置を簡単に定めることができる。したがって、椅子に背もたれを構成する第2板部を簡単に固定することができる。
【0008】
本開示の一態様では、上方規制部は、上方側に凹み、左右方向に長さを有する溝であてもよい。このような構成によれば、上方規制部が溝であるため、溝に嵌め込まれた状態の第2板部はズレにくく、溝に第2板部の上方端部を嵌め込むという簡単な作業により、第2板部の少なくとも前後方向及び上方向の移動を安定して規制することができる。
【0009】
本開示の一態様では、上方規制部は、第1板部に取付可能な別部品である取付部が第1板部に取付られることで形成されてもよい。このような構成によれば、取付部を第1板部に取り付けることによって、上方規制部が形成されるので、例えば、第1板部と上方規制部とが一体である構成と比較して、第1板部の形状の自由度をあげることができる。
【0010】
本開示の一態様は、第2板部が第1板部と対向して配置された際に、第2板部の左右方向への移動を規制する側方規制部を更に備えてもよい。このような構成によれば、側方規制部により第2板部の左右方向の移動が規制されるため、第2板部の左右方向における固定位置を簡単に定めることができる。
【0011】
本開示の一態様では、第1板部は、上方規制部よりも下方側に、後方に延びる延伸部を有してもよい。第2板部は、上方端部が上方規制部に嵌め込まれた状態で延伸部と当接する当接部を有してもよい。このような構成によれば、第2板部の当接部が第1板部の延伸部と当接することによって、第2板部の下方向への移動が規制されるため、第2板部の上下方向における固定位置を簡単に定めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図7】椅子に用いられる背もたれの分解斜視図である。
【
図8】
図3のVIII-VIII断面図及び取付部周辺の拡大断面図である。
【
図9】第1板部にクッション材が張り付けられた状態を模式的に示す断面図及び第1板屈曲部周辺の拡大断面図である。
【
図10】溝が第1板部と一体である背もたれの変形例を示す断面図及び第1板屈曲部周辺の拡大断面図である。
【
図11】第1屈曲部と上方パイプとの間に隙間を有する構成を示す上面図である。
【
図13】形状の異なる取付部が取り付けられた第1板屈曲部周辺の拡大断面図である。
【
図14】第2板屈曲部を有する第2板部を備える背もたれの第1板屈曲部周辺の拡大断面図である。
【
図15】第1板部が第1屈曲部の下方面に上方側に凹む嵌込穴を有し、第2板部が上方端部に突起を有する構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.構成]
[1-1.椅子]
図1~
図6に示す椅子1は、支持体10と、座体20と、背もたれ30と、を備える。以下の説明では、椅子1に正常に着席した使用者を基準に、上下方向、前後方向及び左右方向を表現する。
【0014】
支持体10は、管状の金属パイプを屈曲及び溶接して形成され、座体20及び背もたれ30を支持する。支持体10は、右脚体11と、左脚体12と、前方連結部13と、後方連結部14と、背もたれフレーム15と、を有する。
【0015】
右脚体11及び左脚体12は、左右方向から見て略矩形の環状形状を有する環状部材である。右脚体11及び左脚体12は、椅子1が設置される床面に沿って配置される下方のパイプの前方側及び後方側に1つずつ脚端40が設けられていてもよい。
【0016】
前方連結部13は、真っすぐ延びて、右脚体11及び左脚体12の前方のパイプを連結する部材である。
後方連結部14は、後方側に向かって凸となるように湾曲し、右脚体11及び左脚体12の後方のパイプを連結する部材である。
【0017】
背もたれフレーム15は、右脚体11及び左脚体12の後方連結部14との連結部分に接続し、前後方向から見て下方側が開口する略U字状に屈曲する部材である。背もたれフレーム15は、左右パイプ151,152と、上方パイプ153と、を有する。背もたれフレーム15の上方パイプ153は、後方側に向かって凸となるように湾曲し、右脚体11及び左脚体12の後方連結部14との連結部分から上方に延びる背もたれフレーム15の左右パイプ151,152を連結する。背もたれフレーム15は、左右方向から見て上方端部が後方に屈曲する略L字状を有する。
【0018】
背もたれフレーム15は、
図7に示す掛止部41及び固定部42を有する。なお、掛止部41及び固定部42は、背もたれフレーム15の左右パイプ151,152にそれぞれ1つずつ設けられる。具体的には、掛止部41及び固定部42は、背もたれフレーム15の左右パイプ151,152の内側に位置するように、背もたれフレーム15の左右パイプ151,152に溶接等により固定される。固定部42は、掛止部41の下方に位置する。
【0019】
図1~
図6に戻り、座体20は、使用者が着席可能に構成されている。座体20は、上面視で略矩形であり、後方端部が後方側に向かって凸となるように湾曲した形状を有する。座体20は、左右方向から見て前方端部が下方に屈曲する略L字状を有する。座体20は、右脚体11、左脚体12、前方連結部13及び後方連結部14によって支持される。具体的には、座体20の左右方向の両側端部が右脚体11及び左脚体12の上方のパイプに連結し、座体20の前方端部が前方連結部13に連結し、座体20の後方端部が後方連結部14に連結する。
【0020】
背もたれ30は、正面視で略矩形であり、着席する使用者の背中を支持可能に構成されている。また、背もたれ30は、平面視では、左右の両側端部ほど前方に位置し、中央部ほど後方に位置するように緩やかにカーブしている。換言すると、背もたれ30は、後方側に向かって凸となるように湾曲した形状を有する。また、背もたれ30は、左右方向から見て上方端部が後方に屈曲する略L字状を有する。背もたれ30は、背もたれフレーム15によって支持される。
【0021】
[1-2.背もたれ]
次に、
図7を用いて、背もたれ30の詳細な構成を説明する。
背もたれ30は、第1板部31と、第2板部32と、取付部33と、と有する。
【0022】
第1板部31は、背もたれフレーム15の前方側に取り付けられる前板である。第1板部31は、椅子1の使用者の背中に当接する位置に配置される。第1板部31は、正面視で略矩形である。また、第1板部31は、平面視では、左右の両側端部ほど前方に位置し、中央部ほど後方に位置するように緩やかにカーブしている。換言すると、第1板部31は、後方側に向かって凸となるように湾曲した形状を有する。
【0023】
第1板部31は、本体部311と、第1板屈曲部312と、延伸部313と、を有する。
本体部311は、正面視が略矩形であり、後方側に向かって凸となるように湾曲した板状の部分である。本体部311は、掛止孔43と、貫通孔44と、を有する。
【0024】
本実施形態では、掛止孔43及び貫通孔44は、本体部311に、それぞれ左右方向に間隔を空けて2つずつ設けられる。貫通孔44は、掛止孔43の下方に位置する。掛止孔43は、上述した掛止部41を掛止可能な孔である。貫通孔44は、例えばネジやリベット等の固定具を挿入するための孔である。
【0025】
第1板屈曲部312は、本体部311の上方端部から屈曲して後方に延びる部分である。第1板屈曲部312は、上面視で略三日月状の形状を有する。
延伸部313は、本体部311の下方端部から屈曲して後方に延びる部分である。
【0026】
第2板部32は、背もたれフレーム15の後方側に取り付けられる後板である。第2板部32は、第1板部31の椅子1の使用者の背中と当接する側とは反対側の面、すなわち第1板部31の後面と対向して配置される。第2板部32は、正面視で略矩形である。また、第2板部32は、平面視では、左右の両側端部ほど前方に位置し、中央部ほど後方に位置するように緩やかにカーブしている。換言すると、第2板部32は、後方側に向かって凸となるように湾曲した形状を有する。
【0027】
取付部33は、上面視で略三日月状の形状を有する。取付部33は、第1板部31に取り付け可能な別部品であり、第1板部31の第1板屈曲部312の下方面に取り付けられる。
図7及び
図8に示すように、取付部33は、突出部331と、穴332と、を有する。
【0028】
突出部331は、取付部33が第1板屈曲部312の下方面に取り付けられるときに、第1板部31と当接する取付部33の前方端面333から所定の間隔を空けて、取付部33の下方面から突出する部分である。取付部33の前方端面333は、三日月形状において凹む方向に湾曲する面である。取付部33に突出部331が設けられることにより、取付部33の前方端部に左右方向に長さを有する段差部334が形成される。段差部334は、取付部33の下面と突出部331の下面とを連結する部分である。換言すると、段差部334は、突出部331の前方端面である。取付部33の前方端面333が第1板部31と当接するように、取付部33を第1板屈曲部312の下方面に取り付けた場合、段差部334によって、第1板部31と突出部331との間に、上方側に凹み、左右方向に長さを有する溝335が形成される。
【0029】
穴332は、突出部331に上方側に凹むように設けられ、左右方向に長さを有する。穴332は、例えば、椅子1を持ち運ぶ際に手を引っ掛けることが可能な手掛け穴として機能する。すなわち、本実施形態では、取付部33は、椅子1を持ち運ぶ際に手を引っ掛けることが可能な手掛けを容易にするための機能を発揮する部材である。
【0030】
本実施形態では、第1板部31は、背もたれフレーム15が有する掛止部41が掛止孔43に固定され、例えばネジやリベットを貫通孔44に挿入して背もたれフレーム15が有する固定部42に固定されることで、背もたれフレーム15の前方側に固定される。また、第2板部32は、取付部33が第1板部31に取り付けられることにより形成される溝335に当該第2板部32の上方端部321が嵌め込まれた状態で、当該第2板部32の下方端部322が第1板部31の延伸部313と当接することで、背もたれフレーム15の後方側に固定される。このとき、第2板部32は、背もたれフレーム15の左右パイプ151,152の内側に左右端部が当接するように配置される。
【0031】
なお、上述した第1板部31にはクッション材が張り付けられていない構成を例示したが、第1板部31の前方側には、クッション材が張り付けられていてもよい。例えば、
図9に示すように、第1板部31は、前方側にウレタンクッション34が張り付けられ、その上から布地35などで張り包まれていてもよい。当該布地35は、第1板屈曲部312の端部及び延伸部313の端部を覆うように包み込み、第1板屈曲部312の下方面及び延伸部313の上方面に、例えばタッカー針により固定される。また、例えば、第1板部31の前方側のみにクッションパッドが張り付けられていてもよい。
図9に示すように、第1板部31がウレタンクッション34及び布地35によって張り包まれている場合に、取付部33が第1板部31とは別部品であると、第1板屈曲部312の下方面側に引き込まれた布地35の端末、及び、布地35の固定の為のタッカー針を取付部33で覆い隠すことができるので都合がよい。
【0032】
[2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2a)本実施形態では、溝335に第2板部32の上方端部321を嵌め込むことで、第2板部32の少なくとも前後方向及び上方向の移動が規制される。このため、第2板部32の固定位置を簡単に定めることができる。
【0033】
また、本実施形態では、背もたれフレーム15の左右パイプ151,152の内側に第2板部32の左右端部が当接するように第1板部31が配置される。これにより、背もたれフレーム15の左右パイプ151,152により第2板部32の左右方向の移動が規制される。このため、第2板部32の左右方向における固定位置も簡単に定めることができる。
【0034】
また、本実施形態では、溝335に当該第2板部32の上方端部321が嵌め込まれた状態で、第2板部32の下方端部322が第1板部31の延伸部313と当接する。これにより、第2板部32の下方向への移動が規制される。このため、第2板部32の上下方向における固定位置も簡単に定めることができる。したがって、椅子1に背もたれ30を構成する第2板部32を簡単に固定することができ、かつ、取り外しも簡単である。
【0035】
(2b)本実施形態では、溝335が左右方向に長さを有するため、溝335に嵌め込まれた状態の第2板部32は特に前後方向へズレにくい。このため、溝335に第2板部32の上方端部321を嵌め込むという簡単な作業により、第2板部32の少なくとも前後方向及び上方向の移動を安定して規制することができる。
【0036】
(2c)本実施形態では、第1板部31とは別部品である取付部33を第1板部31に取り付けることによって、溝335が形成される。このため、例えば、溝335が第1板部31に直接形成されることにより第1板部31と溝335とが一体である構成と比較して、第1板部31の形状の自由度をあげることができる。
【0037】
(2d)本実施形態では、取付部33として、椅子1を持ち運ぶ際に手を引っ掛けることが可能な手掛けを容易にするための機能を発揮する部材が用いられるため、別の機能を椅子に付加させつつ、溝335を簡単に形成することができる。
【0038】
なお、本実施形態では、溝335が上方規制部の一例に相当し、背もたれフレーム15の左右パイプ151,152が側方規制部の一例に相当し、第2板部32の下方端部322が当接部の一例に相当する。
【0039】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0040】
(3a)上記実施形態では、第1板部31とは別部品である取付部33に形成される段差部334により溝335が形成される構成を例示したが、溝の形成方法はこれに限定されるものではない。
【0041】
例えば、
図10に示す背もたれ30aのように、第1板部31aに溝335aが一体となって形成されてもよい。すなわち、第1板部31aの第1板屈曲部312aに溝335aが直接形成されてもよい。第1板部31aの第1板屈曲部312aに、上方側に凹むように設けられ、左右方向に長さを有し、手掛け穴として機能する穴332aも直接形成されてもよい。なお、
図11及ぶ
図12に示す背もたれ30bのように、第1板部31bの第1板屈曲部312bに溝335bが形成される構成において、第1板屈曲部312bと上方パイプ153との間に隙間336を有するように、第1板部31bが背もたれフレーム15により支持されていてもよい。このような構成では、隙間336が手掛け穴として機能する。
【0042】
また、例えば、
図13に示す背もたれ30cのように、上下方向において所定の厚みを有する取付部33cを有してもよい。取付部33cは、中央付近が上方側に凹むように設けられ、左右方向に長さを有するように設けられる穴332cを有する。取付部33cの前方端面333cが第1板部31と当接しないように本体部311と間隔を空けて、第1板部31の第1板屈曲部312の下方面に取付部33cが取り付けられることで、溝335cが形成されてもよい。第2板部32の上方端部321は、取付部33cと本体部311との間に形成される溝335cに嵌め込まれる。この例では、溝335cに第2板部32の上方端部321が嵌め込まれることで、第2板部32の前後方向及び上方向の移動が規制される。換言すると、第2板部32は、本体部311により前方向への移動が規制され、第1板屈曲部312により上方向への移動が規制され、取付部33cにより後ろ方向への移動が規制される。
【0043】
また、例えば、
図14に示す背もたれ30dのように、第2板部32dが上方端部側に、屈曲して後方に延びる部分である第2板屈曲部323を有してもよい。第2板屈曲部323は、第1板屈曲部312と対向して配置されるように、第1板屈曲部312の下方面に取り付けられ、第2板屈曲部323の後方端部324が上方パイプ153と当接する。すなわち、この例では、上方パイプ153の一部が第1板屈曲部312の下方面よりも下方側に突出するように、第1板屈曲部312が上方パイプ153に支持されるため、第2板屈曲部323を嵌め込み可能な溝335dが形成される。このように、溝335dに第2板屈曲部323が嵌め込まれることで、第2板部32dの前後方向及び上方向への移動が規制される。換言すると、第2板部32dは、本体部311により前方向への移動が規制され、第1板屈曲部312により上方向への移動が規制され、上方パイプ153により後ろ方向への移動が規制される。なお、この例では、第2板部32の上方端部における第2板屈曲部323が前後方向に延びる構成を例示したが、第2板部が第2板屈曲部を有しない構成において、第2板部の上方端部が第1板部31を支持する上方パイプと第1板部31との間に形成される溝に嵌め込まれる構成であってもよい。このような構成でも、第2板部の上方端部は、上方パイプと当接することで後方向への移動が規制され、第1板部31と当接することで前方向及び上方向への移動が規制される。
【0044】
(3b)第1板部31の上方端部321を嵌め込む形状は、溝335に限定されない。例えば、溝の左右方向の長さは溝335よりも短くてもよく、複数の溝が互いに間隔を空けて設けられていてもよい。具体的には、
図15に示すように、第2板部32eの上方端部321eに2つの突起325が形成され、第1板部31eの第1板屈曲部312eに2つの突起325を嵌め込み可能な2つの嵌込溝337が形成される構成であってもよい。なお、突起及び嵌込溝の数はそれぞれ2つに限らず、1つ又は3つ以上であってもよい。また、第1板部31の上方端部321を嵌め込む形状は、溝以外の形状であってもよい。例えば、第1板屈曲部に複数の突起が左右方向に並んで設けられることによって、上方端部321を嵌め込む空間が形成されてもよい。また、例えば、第1板屈曲部に複数の爪が設けられ、上方端部321を挟み込み可能であってもよい。
【0045】
(3c)上記実施形態では、第2板部32が背もたれフレーム15の左右パイプ151,152の内側に左右端部が当接するように配置される構成を例示したが、第2板部32の左右方向の移動を規制する構成はこれに限定されるものではない。例えば、第1板部31又は背もたれフレーム15に、第2板部32の左右方向の移動を規制可能な側方規制部が設けられていてもよい。また、背もたれは、例えば、第2板部32の左右方向の移動を規制する構成を有しなくてもよい。
【0046】
(3d)上記実施形態では、第2板部32の下方端部322が第1板部31の延伸部313と当接する構成を例示したが、第2板部32の下方側への移動を規制する構成はこれに限定されるものではない。例えば、第2板部は、前方に突出して延伸部313と当接する当接部を有してもよい。また、背もたれは、例えば、下方側への移動を規制する構成を有しなくてもよい。
【0047】
(3e)第1板部31及び第2板部32は、固定機構を更に有してもよい。例えば、第1板部31及び第2板部32は、リベット、ネジ、接着剤又は面ファスナ等を用いた固定が可能であってもよい。
【0048】
(3f)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0049】
1…椅子、10…支持体、11…右脚体、12…左脚体、13…前方連結部、14…後方連結部、15…背もたれフレーム、20…座体、30,30a~30d…背もたれ、31,31a,31b,31e…第1板部、32,32d,32e…第2板部、33,33c…取付部、34…ウレタンクッション、35…布地、40…脚端、41…掛止部、42…固定部、43…掛止孔、44…貫通孔、151,152…左右パイプ、153…上方パイプ、311…本体部、312,312a,312b,312e…第1板屈曲部、313…延伸部、321,321e…上方端部、322…下方端部、323…第2板屈曲部、324…後方端部、325…突起、331…突出部、332,332a,332c…穴、333,333c…前方端面、334…段差部、335,335a~335d…溝、336…隙間、337…嵌込溝。