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特開2022-123570荷物の積み込みの支援システムおよびエレベーターシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123570
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】荷物の積み込みの支援システムおよびエレベーターシステム
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/14 20060101AFI20220817BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
B66B5/14 B
B66B5/14 A
B66B3/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020957
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】立木 保奈美
【テーマコード(参考)】
3F303
3F304
【Fターム(参考)】
3F303CB25
3F303CB33
3F303DA07
3F303DA08
3F303DB07
3F303DC25
3F304AA07
3F304CA08
3F304EA11
3F304ED06
3F304ED12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】かごの積載重量の複数の条件がそれぞれ満足されているかを容易に判断できる荷物の積み込みの支援システムおよびエレベーターシステムを提供する。
【解決手段】エレベーターシステム1のかご6において、走行するときの積載重量の上限である第1上限、および、乗場4から荷物9を運搬車10などで積み込むときの積載重量の上限である第2上限が定められる。支援システム13は、記憶部18と、演算部19と、出力部20と、を備える。記憶部18は、運搬車10の重量を記憶する。演算部19は、かご6の秤8が計測する積載重量から記憶部18が記憶している運搬車10の重量を減算した値の第1上限に対する割合として第1積載率を算出する。演算部19は、秤8が計測する積載重量の第2上限に対する割合として第2積載率を算出する。出力部20は、演算部19が演算した第1積載率および第2積載率の両方を表示装置16に出力して表示させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごが走行するときの積載重量の上限である第1上限、および前記かごに乗場から荷物を積み込むときの積載重量の上限であり前記第1上限より大きい第2上限が前記かごに定められたエレベーターシステムにおける荷物の積み込みの支援システムであり、
前記かごに荷物を積み込む運搬車の重量を記憶する記憶部と、
前記かごに設けられた秤が計測する前記かごの積載重量から前記記憶部が記憶している前記運搬車の重量を減算した値の前記第1上限に対する割合として第1積載率を算出し、前記秤が計測する前記かごの積載重量の前記第2上限に対する割合として第2積載率を算出する演算部と、
前記演算部が算出した第1積載率および第2積載率を表示装置に出力して表示させる出力部と、
を備える荷物の積み込みの支援システム。
【請求項2】
前記運搬車が前記かごに乗っているかを判定する判定部
を備え、
前記演算部は、前記運搬車が前記かごに乗っていないと前記判定部が判定するときに、前記秤が計測する前記かごの積載重量の前記第1上限に対する割合として第1積載率を、前記秤が計測する前記かごの積載重量に前記記憶部が記憶している前記運搬車の重量を加算した値の前記第2上限に対する割合として第2積載率をそれぞれ算出する
請求項1に記載の荷物の積み込みの支援システム。
【請求項3】
前記運搬車が前記かごに乗っているかを判定する判定部
を備え、
前記演算部は、前記運搬車が前記かごに乗っていないと前記判定部が判定するときに、前記秤が計測する前記かごの積載重量の前記第1上限に対する割合として第1積載率を、前記秤が計測する前記かごの積載重量に前記記憶部が記憶している前記運搬車の重量を加算した値の前記第2上限に対する割合として第2積載率を、前記運搬車に設けられた計測装置が計測する前記運搬車の運搬中の荷物の重量および前記秤が計測する前記かごの積載重量の和の前記第1上限に対する割合として第1仮想積載率を、前記計測装置が計測する前記運搬車の運搬中の荷物の重量および前記秤が計測する前記かごの積載重量の和に前記記憶部が記憶している前記運搬車の重量を加算した値の前記第2上限に対する割合として第2仮想積載率を、それぞれ算出し、
前記出力部は、前記運搬車が前記かごに乗っていないと前記判定部が判定するときに、前記演算部が算出した第1積載率および第2積載率ならびに第1仮想積載率および第2仮想積載率を前記表示装置に出力して表示させる
請求項1に記載の荷物の積み込みの支援システム。
【請求項4】
前記記憶部は、前記運搬車の重量を前記運搬車の識別情報に関連付けて記憶し、
前記演算部は、前記運搬車とともに移動する無線端末が前記乗場において無線送信する前記運搬車の識別情報に基づいて前記記憶部から前記運搬車の重量を取得する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の荷物の積み込みの支援システム。
【請求項5】
走行するときの積載重量の上限である第1上限、および乗場から荷物を積み込むときの積載重量の上限であり前記第1上限より大きい第2上限がそれぞれ定められ、積載重量を計測する秤を有するかごと、
入力された情報を表示する表示装置と、
前記かごに荷物を積み込む運搬車の重量を記憶する記憶部と、
前記かごに設けられた秤が計測する前記かごの積載重量から前記記憶部が記憶している前記運搬車の重量を減算した値の前記第1上限に対する割合として第1積載率を算出し、前記秤が計測する前記かごの積載重量の前記第2上限に対する割合として第2積載率を算出する演算部と、
前記演算部が演算した第1積載率および第2積載率の両方を前記表示装置に出力する出力部と、
を備えるエレベーターシステム。
【請求項6】
前記運搬車が前記かごに乗っているかを判定する判定部
を備え、
前記演算部は、前記運搬車が前記かごに乗っていないと前記判定部が判定するときに、前記秤が計測する前記かごの積載重量の前記第1上限に対する割合として第1積載率を、前記秤が計測する前記かごの積載重量に前記記憶部が記憶している前記運搬車の重量を加算した値の前記第2上限に対する割合として第2積載率をそれぞれ算出する
請求項5に記載のエレベーターシステム。
【請求項7】
前記運搬車が前記かごに乗っているかを判定する判定部と、
前記運搬車に設けられ、前記運搬車の運搬中の荷物の重量を計測する計測装置と、
を備え、
前記演算部は、前記運搬車が前記かごに乗っていないと前記判定部が判定するときに、前記秤が計測する前記かごの積載重量の前記第1上限に対する割合として第1積載率を、前記秤が計測する前記かごの積載重量に前記記憶部が記憶している前記運搬車の重量を加算した値の前記第2上限に対する割合として第2積載率を、前記計測装置が計測する前記運搬車の運搬中の荷物の重量および前記秤が計測する前記かごの積載重量の和の前記第1上限に対する割合として第1仮想積載率を、前記計測装置が計測する前記運搬車の運搬中の荷物の重量および前記秤が計測する前記かごの積載重量の和に前記記憶部が記憶している前記運搬車の重量を加算した値の前記第2上限に対する割合として第2仮想積載率を、それぞれ算出し、
前記出力部は、前記運搬車が前記かごに乗っていないと前記判定部が判定するときに、前記演算部が算出した第1積載率および第2積載率ならびに第1仮想積載率および第2仮想積載率を前記表示装置に出力する
請求項5に記載のエレベーターシステム。
【請求項8】
前記運搬車とともに移動し、前記運搬車の識別情報を前記乗場において無線送信する無線端末と、
を備え、
前記記憶部は、前記運搬車の重量を前記運搬車の識別情報に関連付けて記憶し、
前記演算部は、前記無線端末が無線送信した前記運搬車の識別情報に基づいて前記記憶部から前記運搬車の重量を取得する
請求項5から請求項7のいずれか一項に記載のエレベーターシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、荷物の積み込みの支援システムおよびエレベーターシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーターシステムの例を開示する。エレベーターシステムは、かご内荷重検出器と、乗場側荷重検出器と、を備える。かご内荷重検出器は、かご内の荷重を検出する。乗場側荷重検出器は、かご内に積み込む荷物を運搬しているフォークリフトの重量を乗場において検出する。エレベーターシステムにおいて、内荷重検出器が検出する重量および乗場側荷重検出器が検出する重量の和が設定荷重より大きいときに、フォークリフトのかご内への進入可否のメッセージが報知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4-327482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
荷物用などのエレベーターシステムにおいて、かごが走行するときの積載重量の上限、および乗場からかごに荷物を積み込むときの積載重量の上限がそれぞれかごに定められている場合がある。特許文献1に記載の内容をこのようなエレベーターシステムに適用する場合に、荷物の運搬を行う作業員は、積載重量の複数の条件がそれぞれ満足されているかを正しく判断できない。
【0005】
本開示は、このような課題の解決に係るものである。本開示は、かごが走行するときの積載重量の上限、および乗場からかごに荷物を積み込むときの積載重量の上限がそれぞれかごに定められている場合においても、積載重量の複数の条件がそれぞれ満足されているかを容易に判断できる荷物の積み込みの支援システムおよびエレベーターシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る荷物の積み込みの支援システムは、かごが走行するときの積載重量の上限である第1上限、および前記かごに乗場から荷物を積み込むときの積載重量の上限であり前記第1上限より大きい第2上限が前記かごに定められたエレベーターシステムにおける荷物の積み込みの支援システムであり、前記かごに荷物を積み込む運搬車の重量を記憶する記憶部と、前記かごに設けられた秤が計測する前記かごの積載重量から前記記憶部が記憶している前記運搬車の重量を減算した値の前記第1上限に対する割合として第1積載率を算出し、前記秤が計測する前記かごの積載重量の前記第2上限に対する割合として第2積載率を算出する演算部と、前記演算部が算出した第1積載率および第2積載率を表示装置に出力して表示させる出力部と、を備える。
【0007】
本開示に係るエレベーターシステムは、走行するときの積載重量の上限である第1上限、および乗場から荷物を積み込むときの積載重量の上限であり前記第1上限より大きい第2上限がそれぞれ定められ、積載重量を計測する秤を有するかごと、入力された情報を表示する表示装置と、前記かごに荷物を積み込む運搬車の重量を記憶する記憶部と、前記かごに設けられた秤が計測する前記かごの積載重量から前記記憶部が記憶している前記運搬車の重量を減算した値の前記第1上限に対する割合として第1積載率を算出し、前記秤が計測する前記かごの積載重量の前記第2上限に対する割合として第2積載率を算出する演算部と、前記演算部が演算した第1積載率および第2積載率の両方を前記表示装置に出力する出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る荷物の積み込みの支援システムまたはエレベーターシステムによれば、かごが走行するときの積載重量の上限、および乗場からかごに荷物を積み込むときの積載重量の上限がそれぞれかごに定められている場合においても、積載重量の複数の条件がそれぞれ満足されているかを容易に判断できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係るエレベーターシステムの構成図である。
図2】実施の形態1に係る表示装置における表示の例である。
図3】実施の形態1に係るエレベーターシステムの主要部のハードウェア構成図である。
図4】実施の形態2に係るエレベーターシステムの構成図である。
図5】実施の形態3に係るエレベーターシステムの構成図である。
図6】実施の形態3に係る表示装置における表示の例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエレベーターシステム1の構成図である。
【0012】
エレベーターシステム1は、エレベーター2を備える。エレベーター2は、例えば複数の階床を有する建物に適用される。建物において、エレベーター2の昇降路3が設けられる。昇降路3は、複数の階床にわたる上下方向に長い空間である。建物の各々の階床において、昇降路3に隣接する乗場4が設けられる。
【0013】
エレベーター2は、主ロープ5と、かご6と、制御盤7と、を備える。主ロープ5は、昇降路3においてかご6を支持するロープである。かご6は、昇降路3を上下方向に走行することで内部の積載物などを複数の階床の間で輸送する装置である。かご6は、秤8を備える。秤8は、かご6の積載荷重を計測する装置である。かご6は、図示されない巻上機による主ロープ5を通じた巻き上げまたは巻き下ろしによって、昇降路3を上下方向に走行する。制御盤7は、エレベーター2の動作を制御する装置である。エレベーター2の動作は、例えばかご6の走行を含む。制御盤7は、例えば昇降路3の上部または下部などに配置される。あるいは、昇降路3の上方などにエレベーター2の機械室が設けられる場合に、制御盤7は機械室に配置されてもよい。
【0014】
エレベーター2は、例えばかご6によって荷物9を上下方向に輸送する荷物用のエレベーター2である。エレベーター2において、かご6への荷物9の積み込み作業は、作業員が運転する運搬車10によって行われる。運搬車10は、例えばフォークリフトなどの荷物9を運搬する車両である。なお、エレベーターシステム1において、かご6への積み込み作業ごとに異なる運搬車10が利用されてもよい。エレベーターシステム1において、運搬車10を識別する識別情報が、各々の運搬車10に付されている。
【0015】
エレベーター2において、かご6に第1上限および第2上限が予め設定される。第1上限は、かご6が走行するときのかご6の積載重量の上限である。第2上限は、かご6に乗場4から荷物9が積み込まれるときのかご6の積載重量の上限である。かご6に乗場4から荷物9が積み込まれるときに、荷物9を運搬する運搬車10などがかご6の内部に進入しうるように、第2上限は第1上限より大きく設定される。第1上限は、例えばかご6の定格積載量である。第2上限は、例えばかご6の定格積載量の150%の積載重量である。エレベーター2は、例えばC2級ローディングのエレベーター2である。
【0016】
エレベーターシステム1は、監視装置11を備える。監視装置11は、エレベーター2の遠隔監視を行う装置である。監視装置11は、例えば制御盤7からエレベーター2の状態などの情報を取得する。監視装置11は、取得したエレベーター2の情報を例えばエレベーター2の管理者などにネットワーク12を通じて提供する。ネットワーク12は、例えばインターネットまたは電話回線網などの通信網である。
【0017】
エレベーターシステム1は、支援システム13を備える。支援システム13は、エレベーター2のかご6への荷物9の積み込みを支援するシステムである。支援システム13は、発信装置14と、無線端末15と、表示装置16と、支援装置17と、を備える。
【0018】
発信装置14は、無線信号を発信する装置である。発信装置14は、例えば無線ビーコンである。発信装置14は、例えば乗場4に配置される。発信装置14は、かご6に配置されていてもよい。発信装置14は、乗場4およびかご6の両方に配置されていてもよい。
【0019】
無線端末15は、無線通信機能を有する端末装置である。無線端末15は、例えば無線信号を送受信する無線タグ、または無線通信機能を搭載するスマートフォンなどの情報端末などである。無線端末15は、例えば運搬車10に取り付けられる。無線端末15は、積み込み作業において運搬車10を運転する作業員に所持されていてもよい。これにより、無線端末15は、運搬車10とともに移動する。無線端末15は、ともに移動する運搬車10の識別情報を記憶する。運搬車10の識別情報は、無線端末15に予め書き込まれていてもよいし、積み込み作業の前などに作業員によって無線端末15に入力されていてもよい。
【0020】
表示装置16は、入力された情報を表示する装置である。表示装置16は、例えば液晶ディスプレイなどである。表示装置16は、例えばかご6の内部に配置される。表示装置16は、運搬車10を運転する作業員から見やすいように、例えばかご6において乗場4から遠い側の壁面などに配置される。
【0021】
支援装置17は、支援システム13における情報処理を行う装置である。支援装置17は、ネットワーク12に接続される。支援装置17は、例えばサーバーコンピューターである。支援装置17は、例えばエレベーター2が適用される建物の外部に配置される。あるいは、支援装置17は、エレベーター2が適用される建物に配置されていてもよい。支援装置17は、単一のハードウェアによって構成されていても、あるいは、複数のハードウェアによって構成されていてもよい。支援装置17は、クラウドサービス上の仮想マシンであってもよい。支援装置17は、記憶部18と、演算部19と、出力部20と、を備える。
【0022】
記憶部18は、情報を記憶する部分である。記憶部18において、運搬車10の重量が記憶される。記憶部18は、運搬車10の重量を当該運搬車10の識別情報に関連付けて記憶する。
【0023】
演算部19は、情報の演算を行う部分である。演算部19は、第1積載率および第2積載率を算出する。第1積載率は、かご6が走行するときに積み込まれている荷物9の積載重量の第1上限に対する割合である。第2積載率は、かご6に荷物9が積み込まれるときの荷物9および運搬車10の積載重量の第2上限に対する割合である。ここで、走行するかご6に荷扱い者として作業員が乗車するときに、作業員の体重が荷物9の重量に含まれていてもよい。
【0024】
出力部20は、演算部19が演算した情報を表示装置16に出力する部分である。出力部20は、情報の出力によって当該情報を表示装置16に表示させる。
【0025】
続いて、エレベーターシステム1における荷物9の積み込みの例を説明する。この例において、作業員は、荷物9とともにかご6に荷扱い者として乗車して出発階から行先階まで移動する。
【0026】
まず、作業員は、積み込み作業に利用する運搬車10の重量を記憶部18に登録する。なお、当該運搬車10の重量が既に記憶部18に登録されている場合に、重量の登録の手順は省略されてもよい。作業員は、出発階において、荷物9を運搬していない運搬車10に乗り込んで運搬車10を運転する。作業員は、運搬車10を運転して荷物9が積み込まれていないかご6の内部に進入する。作業員は、運搬車10をかご6の内部に停止させる。作業員は、運搬車10から降りてかご6の内部から乗場4に降車する。
【0027】
この間に、発信装置14は、無線信号を発信している。無線端末15は、発信装置14から無線信号を受信する。このときに、無線端末15は、記憶している運搬車10の識別情報を無線信号によってネットワーク12を通じて支援装置17に送信する。
【0028】
作業員は、乗場4において重量の登録の操作を行う。重量の登録の操作は、例えば乗場4に設けられた乗場操作盤などを通じて行われる。乗場操作盤は、乗場呼びを登録する操作を受け付ける装置である。あるいは、無線端末15がボタンまたはタッチパネルなどの操作部を有するものである場合に、重量の登録の操作は、無線端末15を通じて行われてもよい。
【0029】
支援装置17の記憶部18は、重量の登録の操作が行われたときに秤8が計測している積載荷重を、当該操作が行われたときに受信した識別情報に関連付けて、当該識別情報によって識別される運搬車10の重量として記憶する。
【0030】
続いて、作業員は、運搬車10に乗り込んで運搬車10ごとかご6の内部から降車する。作業員は、運搬車10を運転して荷物9を持ち上げる。作業員は、荷物9を持ち上げた運搬車10ごとかご6の内部に進入する。
【0031】
この間に、無線端末15は、発信装置14から無線信号を受信しているので運搬車10の識別情報を支援装置17に送信する。
【0032】
支援装置17の演算部19は、受信した識別情報に記憶部18が関連付けて記憶している運搬車10の重量を取得する。演算部19は、秤8が計測する積載重量から、取得した運搬車10の重量を減算して、運搬車10を除いた荷物9の重量を算出する。演算部19は、算出した荷物9の重量の第1上限に対する割合として、第1積載率を算出する。演算部19は、運搬車10の重量を含んだ秤8が計測する積載重量の第2上限に対する割合として、第2積載率を算出する。出力部20は、演算部19が算出した第1積載率および第2積載率を表示装置16に出力する。表示装置16は、入力された第1積載率および第2積載率を表示する。
【0033】
図2は、実施の形態1に係る表示装置16における表示の例である。
【0034】
表示装置16は、例えば横帯グラフによって第1積載率および第2積載率を同時に並べて表示する。この例において、表示装置16は、左右の長さが第1上限を表す横帯を下側に表示する。表示装置16は、当該横帯に左側の端部を合わせて、左右の長さが第1積載率を表す横帯を表示する。また、表示装置16は、左右の長さが第2上限を表す横帯を上側に表示する。表示装置16は、当該横帯に左側の端部を合わせて、左右の長さが第2積載率を表す横帯を表示する。
【0035】
作業員は、運搬車10に乗り込んだままかご6の内部に設けられた表示装置16の表示を確認する。作業員は、第1積載率を表す横帯の右端の位置によって、運搬車10によってあとどの程度の重量の荷物9を積み込めるかを容易に把握できる。同時に、作業員は、第2積載率を表す横帯の右端の位置によって、エレベーター2のかご6が走行できる範囲であとどの程度の重量の荷物9を積み込めるかを容易に把握できる。作業員は、把握した情報に基づいて、追加の荷物9を積み込むか否かを判断する。追加の荷物9を積み込む場合に、作業員は、運搬車10によってかご6への積み込みを同様に繰り返す。追加の荷物9を積み込まない場合に、作業員は、乗場4において運搬車10から降りてかご6に乗車する。作業員は、荷扱い者として荷物9とともに行先階まで移動する。その後、作業員は、行先階においてかご6から荷物9を降ろす。
【0036】
なお、作業員は、運搬車10を用いずに荷物9をかご6に積み込む場合がある。このような場合などにおいて、支援装置17は、識別情報を受信しないことがある。演算部19は、識別情報を受信しない場合に、秤8が計測する積載重量の第1上限に対する割合として第1積載率を算出してもよい。積載重量が第1上限に達していなければ第2上限にも達しないので、より安全側の判断が可能になる。
【0037】
また、運搬車10を用いて荷物9をかご6に積み込む作業員は、出発階から行先階まで荷物9とともにかご6に乗車しなくてもよい。出発階において荷物9を積み込む作業員と行先階において荷物9を降ろす作業員とは別の作業員であってもよい。この場合に、作業員は、運搬車10から降りずに重量の登録を行ってもよい。このとき、作業員の体重は、運搬車10の重量に合算される。この場合に、重量の登録の操作は、例えばかご6の内部に設けられたかご操作盤などを通じて行われてもよい。かご操作盤は、かご呼びを登録する操作を受け付ける装置である。
【0038】
また、記憶部18、演算部19、および出力部20などの支援装置17の機能の一部または全部は、制御盤7などのエレベーター2の機器に搭載されていてもよい。このとき、記憶部18または演算部19は、ネットワーク12を経由せずに秤8の計測結果などの情報を取得してもよい。
【0039】
また、発信装置14が無線信号の受信機能を搭載する無線通信装置などである場合に、無線端末15は、発信装置14とネットワーク12を経由せずに通信を行ってもよい。このとき、発信装置14は、無線端末15から受信する識別情報を支援装置17に送信する。このとき、発信装置14は、制御盤7および監視装置11などを通じて識別装置を支援装置17に送信してもよい。
【0040】
また、無線端末15が表示部を有するスマートフォンなどである場合に、出力部20は、無線端末15の表示部を表示装置16として情報を表示させてもよい。このとき、出力部20は、演算部19が算出した情報を無線端末15に出力する。
【0041】
また、表示装置16は、第1積載率および第2積載率を数値によって表示してもよい。表示装置16は、第1積載率および第2積載率を数値および帯グラフの併記によって表示してもよい。表示装置16は、例えば円形ゲージまたはその他の表示方法などによって第1積載率および第2積載率を表示してもよい。
【0042】
以上に説明したように、実施の形態1に係るエレベーターシステム1は、かご6と、表示装置16と、支援システム13と、を備える。かご6は、積載重量を計測する秤8を有する。かご6において、第1上限および第2上限が定められる。第1上限は、走行するときの積載重量の上限である。第2上限は、乗場4から荷物9を積み込むときの積載重量の上限である。第2上限は、第1上限より大きい。表示装置16は、入力された情報を表示する。支援システム13は、記憶部18と、演算部19と、出力部20と、を備える。記憶部18は、かご6に荷物9を積み込む運搬車10の重量を記憶する。演算部19は、かご6に設けられた秤8が計測するかご6の積載重量から記憶部18が記憶している運搬車10の重量を減算した値の第1上限に対する割合として第1積載率を算出する。演算部19は、秤8が計測するかご6の積載重量の第2上限に対する割合として第2積載率を算出する。出力部20は、演算部19が演算した第1積載率および第2積載率の両方を表示装置16に出力して表示させる。
【0043】
このような構成により、作業員は、かご6が走行するときの積載重量の上限に対する割合、および乗場4からかご6に荷物9を積み込むときの積載重量の上限に対する割合の両方を確認できる。これにより、作業員は、積載重量の複数の条件がそれぞれ満足されているかを容易に判断できるようになる。
【0044】
また、エレベーターシステム1は、無線端末15を備える。無線端末15は、運搬車10とともに移動する。無線端末15は、運搬車10の識別情報を乗場4において無線送信する。支援システム13の記憶部18は、運搬車10の重量を当該運搬車10の識別情報に関連付けて記憶する。演算部19は、無線端末15が無線送信した運搬車10の識別情報に基づいて記憶部18から当該運搬車10の重量を取得する。
【0045】
このような構成により、エレベーターシステム1において複数の異なる運搬車10が利用される場合においても、各々の運搬車10が識別された上で第1積載率および第2積載率が算出される。これにより、表示装置16に表示される情報がより正確になる。
【0046】
なお、記憶部18は、運搬車10の重量を予め設定された固定値として記憶していてもよい。このとき、無線端末15から無線送信される識別情報は、運搬車10の有無の検知などに用いられる。記憶部18が運搬車10の重量を固定値として記憶する場合に、作業員は、運搬車10の重量の登録の手順を省略できる。例えば、記憶部18は、積み込み作業に単一の運搬車10のみが利用される場合に当該運搬車10の重量などを記憶する。あるいは、記憶部18は、積み込み作業に同一機種の複数の運搬車10のみが利用される場合に、当該機種の仕様上の重量などを記憶する。あるいは、記憶部18は、積み込み作業に利用される運搬車10の重量のうち最も重いものを記憶していてもよい。
【0047】
また、無線端末15は、エレベーターシステム1の外部装置であってもよい。
【0048】
続いて、図3を用いて、エレベーターシステム1のハードウェア構成の例について説明する。
図3は、実施の形態1に係るエレベーターシステム1の主要部のハードウェア構成図である。
【0049】
エレベーターシステム1の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。処理回路は、プロセッサ100aおよびメモリ100bと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用ハードウェア200を備えてもよい。
【0050】
処理回路がプロセッサ100aとメモリ100bとを備える場合、エレベーターシステム1の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ100bに格納される。プロセッサ100aは、メモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、エレベーターシステム1の各機能を実現する。
【0051】
プロセッサ100aは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ100bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの、不揮発性または揮発性の半導体メモリなどにより構成される。
【0052】
処理回路が専用ハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0053】
エレベーターシステム1の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、エレベーターシステム1の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。エレベーターシステム1の各機能について、一部を専用ハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、専用ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせでエレベーターシステム1の各機能を実現する。
【0054】
実施の形態2.
実施の形態2において、実施の形態1で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態2で説明しない特徴については、実施の形態1で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0055】
図4は、実施の形態2に係るエレベーターシステム1の構成図である。
【0056】
エレベーターシステム1は、カメラ21を備える。カメラ21は、画像を撮影する装置である。カメラ21は、例えば乗場4またはかご6の内部の一方または両方に配置される。カメラ21は、撮影した画像を送信しうるように、例えば監視装置11などを通じてネットワーク12に接続される。
【0057】
支援装置17は、判定部22を備える。判定部22は、運搬車10がかご6に乗っているか否かを判定する部分である。この例において、判定部22は、カメラ21が撮影する画像に基づいて運搬車10がかご6に乗っているかの判定を行う。
【0058】
エレベーターシステム1において積み込み作業を行う作業員に、例えば次のように情報が表示される。
【0059】
運搬車10がかご6に乗っていると判定部22が判定するときに、演算部19は、受信した識別情報に記憶部18が関連付けて記憶している運搬車10の重量を取得する。演算部19は、秤8が計測する積載重量から、取得した運搬車10の重量を減算して、運搬車10を除いた荷物9の重量を算出する。演算部19は、算出した荷物9の重量の第1上限に対する割合として、第1積載率を算出する。演算部19は、運搬車10の重量を含んだ秤8が計測する積載重量の第2上限に対する割合として、第2積載率を算出する。
【0060】
一方、運搬車10がかご6に乗っていないと判定部22が判定するときに、演算部19は、受信した識別情報に記憶部18が関連付けて記憶している運搬車10の重量を取得する。演算部19は、運搬車10の重量を含まない秤8が計測する積載重量の第1上限に対する割合として、第1積載率を算出する。演算部19は、秤8が計測する積載重量に、取得した運搬車10の重量を加算して、運搬車10および荷物9の重量を算出する。演算部19は、運搬車10の重量を含む算出した重量の第2上限に対する割合として、第2積載率を算出する。
【0061】
出力部20は、演算部19が算出した第1積載率および第2積載率を表示装置16に出力する。表示装置16は、入力された第1積載率および第2積載率を表示する。出力部20は、例えば無線端末15の表示部を表示装置16として情報を表示させる。なお、表示装置16は、乗場4に設けられる装置であってもよい。
【0062】
以上に説明したように、実施の形態2に係るエレベーターシステム1の支援システム13は、判定部22を備える。判定部22は、運搬車10がかご6に乗っているかを判定する。運搬車10がかご6に乗っていないと判定部22が判定するときに、演算部19は、秤8が計測するかご6の積載重量の第1上限に対する割合として第1積載率を算出する。また、このときに、演算部19は、秤8が計測するかご6の積載重量に記憶部18が記憶している運搬車10の重量を加算した値の第2上限に対する割合として第2積載率を算出する。
【0063】
このような構成により、作業員は、かご6の内部および外部のいずれにおいても、かご6が走行するときの積載重量の上限に対する割合、および乗場4からかご6に荷物9を積み込むときの積載重量の上限に対する割合の両方を確認できるようになる。これにより、作業員は、積載重量の複数の条件がそれぞれ満足されているかをより容易に判断できるようになる。
【0064】
なお、判定部22は、カメラ21が撮影する画像によらずに運搬車10がかご6に乗っているかの判定を行ってもよい。判定部22は、例えば秤8が計測する積載重量の変化に基づいて、運搬車10のかご6への乗り降りを判定してもよい。例えば、通常、作業員が人力で運搬できる重量と運搬車10の重量との間には差があるので、秤8が計測する積載重量が予め設定された閾値より多く増加するときに、判定部22は、運搬車10がかご6に乗り込んだと判定する。一方、秤8が計測する積載重量が予め設定された閾値より多く減少するときに、判定部22は、運搬車10がかご6から降りたと判定する。あるいは、判定部22は、例えば無線端末15の無線通信によって運搬車10のかご6への乗り降りを判定してもよい。例えば、発信装置14が当該発信装置14に固有の固有情報を無線信号で発信する場合に、無線端末15は、受信した固有情報を運搬車10の識別情報とともに無線送信できる。このとき、無線端末15が乗場4に設けられた発信装置14の固有情報を送信する場合に、判定部22は、運搬車10がかご6に乗っていないと判定してもよい。一方、無線端末15がかご6に設けられた発信装置14の固有情報を送信する場合に、判定部22は、運搬車10がかご6に乗っていると判定してもよい。あるいは、判定部22は、複数の判定基準を組み合わせて、または切り替えて運搬車10がかご6に乗っているかの判定を行ってもよい。
【0065】
また、カメラ21は、エレベーターシステム1の外部装置であってもよい。
【0066】
実施の形態3.
実施の形態3において、実施の形態1または実施の形態2で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態3で説明しない特徴については、実施の形態1または実施の形態2で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0067】
図5は、実施の形態3に係るエレベーターシステム1の構成図である。
【0068】
エレベーターシステム1の支援システム13は、計測装置23を備える
【0069】
計測装置23は、運搬車10の運搬中の荷物9の重量を計測する装置である。計測装置23は、運搬車10に設けられる。計測装置23は、例えばロードチェッカーなどである。計測装置23は、例えば有線または無線によって通信しうるように無線端末15に接続される。計測装置23による計測結果は、無線端末15およびネットワーク12を通じて支援装置17に送信される。計測装置23が無線通信機能を搭載する場合に、計測装置23は、無線端末15を通さずに計測結果を通信してもよい。
【0070】
支援装置17の演算部19は、第1仮想積載率および第2仮想積載率を算出する。第1仮想積載率は、現在積み込まれている荷物9およびこれから積み込まれる荷物9を合わせた、かご6が走行するときに積み込まれている荷物9の積載重量の予測値の第1上限に対する割合である。第2積載率は、現在積み込まれている荷物9およびこれから積み込まれる荷物9を合わせた、かご6に荷物9が積み込まれるときの荷物9および運搬車10の積載重量の予測値の第2上限に対する割合である。
【0071】
エレベーターシステム1において積み込み作業を行う作業員に、例えば次のように情報が表示される。
【0072】
運搬車10がかご6に乗っていると判定部22が判定するときに、演算部19は、受信した識別情報に記憶部18が関連付けて記憶している運搬車10の重量を取得する。演算部19は、秤8が計測する積載重量から、取得した運搬車10の重量を減算して、運搬車10を除いた荷物9の重量を算出する。演算部19は、算出した荷物9の重量の第1上限に対する割合として、第1積載率を算出する。演算部19は、運搬車10の重量を含んだ秤8が計測する積載重量の第2上限に対する割合として、第2積載率を算出する。
【0073】
出力部20は、演算部19が算出した第1積載率および第2積載率を表示装置16に出力する。表示装置16は、入力された第1積載率および第2積載率を表示する。
【0074】
一方、運搬車10がかご6に乗っていないと判定部22が判定するときに、演算部19は、受信した識別情報に記憶部18が関連付けて記憶している運搬車10の重量を取得する。演算部19は、運搬車10の重量を含まない秤8が計測する積載重量の第1上限に対する割合として、第1積載率を算出する。演算部19は、秤8が計測する積載重量に、取得した運搬車10の重量を加算して、運搬車10および荷物9の重量を算出する。演算部19は、運搬車10の重量を含む算出した重量の第2上限に対する割合として、第2積載率を算出する。
【0075】
また、運搬車10がかご6に乗っていないと判定部22が判定するときに、演算部19は、計測装置23によって計測される運搬車10が運搬中の荷物9の重量を取得する。演算部19は、運搬車10の重量を含まない秤8が計測する積載重量、および計測装置23によって計測される運搬車10がかご6の外部において運搬中の荷物9の重量の和を、これからかご6に積み込まれる、運搬車10の重量を含まない荷物9の予測重量として算出する。演算部19は、運搬車10の重量を含まない算出した予測重量の第1上限に対する割合として、第1仮想積載率を算出する。また、演算部19は、算出した予測重量に取得した運搬車10の重量を加算した値の第2上限に対する割合として、第2仮想積載率を算出する。
【0076】
出力部20は、演算部19が算出した第1積載率および第2積載率ならびに第1仮想積載率および第2仮想積載率を表示装置16に出力する。表示装置16は、入力された第1積載率および第2積載率ならびに第1仮想積載率および第2仮想積載率を表示する。
【0077】
図6は、実施の形態3に係る表示装置16における表示の例である。
【0078】
表示装置16は、例えば横帯グラフによって第1積載率および第2積載率ならびに第1仮想積載率および第2仮想積載率を同時に表示する。この例において、表示装置16は、左右の長さが第1上限を表す横帯を下側に表示する。表示装置16は、当該横帯に左側の端部を合わせて、左右の長さが第1積載率を表す横帯を表示する。さらに、表示装置16は、これらの下側に表示された横帯に左側の端部を合わせて、左右の長さが第1仮想積載率を表す横帯を表示する。また、表示装置16は、左右の長さが第2上限を表す横帯を上側に表示する。表示装置16は、当該横帯に左側の端部を合わせて、左右の長さが第2積載率を表す横帯を表示する。さらに、表示装置16は、これらの上側に表示された横帯に左側の端部を合わせて、左右の長さが第2仮想積載率を表す横帯を表示する。
【0079】
以上に説明したように、実施の形態3に係るエレベーターシステム1は、計測装置23を備える。計測装置23は、運搬車10に設けられる。計測装置23は、運搬車10の運搬中の荷物9の重量を計測する。エレベーターシステム1の支援システム13は、判定部22を備える。判定部22は、運搬車10がかご6に乗っているかを判定する。運搬車10がかご6に乗っていないと判定部22が判定するときに、演算部19は、秤8が計測するかご6の積載重量の第1上限に対する割合として第1積載率を算出する。また、このときに、演算部19は、秤8が計測するかご6の積載重量に記憶部18が記憶している運搬車10の重量を加算した値の第2上限に対する割合として第2積載率を算出する。さらに、このときに、演算部19は、計測装置23が計測する運搬車10の運搬中の荷物9の重量および秤8が計測するかご6の積載重量の和の第1上限に対する割合として第1仮想積載率を算出する。また、このときに、演算部19は、計測装置23が計測する運搬車10の運搬中の荷物9の重量および秤8が計測するかご6の積載重量の和に記憶部18が記憶している運搬車10の重量を加算した値の第2上限に対する割合として第2仮想積載率を算出する。出力部20は、運搬車10がかご6に乗っていないと判定部22が判定するときに、演算部19が算出した第1積載率および第2積載率ならびに第1仮想積載率および第2仮想積載率を表示装置16に出力して表示させる。
【0080】
このような構成により、作業員は、かご6が走行するときの積載重量の上限に対する割合、および乗場4からかご6に荷物9を積み込むときの積載重量の上限に対する割合の両方を、荷物9をかご6に積み込む前に確認できるようになる。これにより、荷物9をかご6に積み込んだ後に積載重量超過が判明して積み込んだ荷物9を再び降ろすことなどの作業の手戻りが予防される。これにより、積み込み作業の効率の低下が抑制される。
【0081】
なお、計測装置23は、エレベーターシステム1の外部装置であってもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 エレベーターシステム、 2 エレベーター、 3 昇降路、 4 乗場、 5 主ロープ、 6 かご、 7 制御盤、 8 秤、 9 荷物、 10 運搬車、 11 監視装置、 12 ネットワーク、 13 支援システム、 14 発信装置、 15 無線端末、 16 表示装置、 17 支援装置、 18 記憶部、 19 演算部、 20 出力部、 21 カメラ、 22 判定部、 23 計測装置、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 専用ハードウェア
図1
図2
図3
図4
図5
図6