(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123571
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】情報提示システム、情報提示方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/04845 20220101AFI20220817BHJP
G06F 13/00 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
G06F3/0484 150
G06F13/00 650B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020959
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】特許業務法人 小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】波多野 亮平
【テーマコード(参考)】
5B084
5E555
【Fターム(参考)】
5B084AA02
5B084AA17
5B084AB12
5B084BB04
5B084CB14
5B084CF12
5B084DC02
5B084DC03
5E555AA22
5E555AA61
5E555AA71
5E555BA02
5E555BA04
5E555BA78
5E555BB02
5E555BB04
5E555BC08
5E555BD01
5E555CB74
5E555CC22
5E555DB41
5E555DC33
5E555DC35
5E555EA05
5E555EA11
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】発話者の直観的な把握を可能とする情報提示システム、情報提示方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】本発明に係る情報提示システムは、グループに属するユーザの端末における表示可能なフォント一覧を取得する表示能力取得部と、表示能力取得部が取得したフォント一覧の中からグループに属するユーザに応じて使用するフォントを決定し割り当てる表示形態決定部と、グループに属するユーザの対話データを記憶する対話格納部と、対話格納部に格納された対話データの一部ないし全部について表示順序を決定する表示順序決定部と、対話データの一部ないし全部についてメッセージごとにユーザを同定し、表示順序決定部が定めた表示順序にしたがって端末の表示画面において、表示形態決定部の示す表示形態により、対話データを表示させる表示制御部とを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して、所定のグループに属する複数のユーザが端末を介して対話を行う対話アプリケーションにおいて、発言者の区別を容易にするための表示制御を行う情報提示システムであって、
前記グループに属する前記ユーザの端末における表示可能なフォント一覧を取得する表示能力取得部と、
前記表示能力取得部が取得したフォント一覧の中から前記グループに属する前記ユーザに応じて使用するフォントを決定し割り当てる表示形態決定部と、
前記グループに属する前記ユーザの対話データを記憶する対話格納部と、
前記対話格納部に格納された対話データの一部ないし全部について表示順序を決定する表示順序決定部と、
前記対話データの一部ないし全部についてメッセージごとにユーザを同定し、前記表示順序決定部が定めた表示順序にしたがって前記端末の表示画面において、前記表示形態決定部の示す表示形態により、対話データを表示させる表示制御部と
を備えることを特徴とする情報提示システム。
【請求項2】
前記端末において、前記表示能力取得部が取得したフォント一覧に基づいて前記表示形態決定部が決定した前記表示形態により、前記対話格納部に格納された対話データの各々を表示させる表示制御部を備える請求項1に記載の情報提示システム。
【請求項3】
前記表示形態決定部が、識別しやすいフォントの組合せを決定することを特徴とする請求項1に記載の情報提示システム。
【請求項4】
前記表示形態決定部が、グループに属するユーザを区別するための情報として、フォントに加え、文字色あるいは背景色を用いることを特徴とする請求項1に記載の情報提示システム。
【請求項5】
前記表示形態決定部は、前記端末において利用できるフォントの組み合わせに制限がある場合、前記フォントの組合せに加え、文字色及び背景色の一方または両方を組合せた表示形態を用いることを特徴とする請求項3に記載の情報提示システム。
【請求項6】
ネットワークを介して、所定のグループに属する複数のユーザが端末を介して対話を行う対話アプリケーションにおいて、発言者の区別を容易にするための表示制御を行う情報提示方法であって、前記ネットワークを介して前記端末に接続され、プロセッサ、メモリ及び記憶装置とを備えるコンピュータが、
前記グループに属する前記ユーザの端末における表示可能なフォント一覧を取得するステップと、
前記取得したフォント一覧の中から前記グループに属する前記ユーザに応じて使用するフォントを決定し割り当てるステップと、
前記グループに属する前記ユーザの対話データを記憶するステップと、
前記対話データの一部ないし全部について表示順序を決定するステップと、
前記対話データの一部ないし全部についてメッセージごとにユーザを同定し、前記決定された表示順序にしたがって前記端末の表示画面において、前記決定された表示形態により、対話データを表示させるステップと
を含む、情報提示方法。
【請求項7】
ネットワークを介して、所定のグループに属する複数のユーザが端末を介して対話を行う対話アプリケーションにおいて、発言者の区別を容易にするための表示制御を行うプログラムであって、前記ネットワークを介して前記端末に接続され、プロセッサ、メモリ及び記憶装置とを備えるコンピュータに、
前記グループに属する前記ユーザの端末における表示可能なフォント一覧を取得するステップと、
前記取得したフォント一覧の中から前記グループに属する前記ユーザに応じて使用するフォントを決定し割り当てるステップと、
前記グループに属する前記ユーザの対話データを記憶するステップと、
前記対話データの一部ないし全部について表示順序を決定するステップと、
前記対話データの一部ないし全部についてメッセージごとにユーザを同定し、前記決定された表示順序にしたがって前記端末の表示画面において、前記決定された表示形態により、対話データを表示させるステップと
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提示システム、情報提示方法およびプログラムに関する
【背景技術】
【0002】
ソーシャル・ネットワーク・サービス(以下、SNSと示す)が普及し、テキストや画像を用いて簡易に意思疎通を行うことが可能となっている。例えば、SNSのアプリケーションとしては、LINE(登録商標)、Facebook(登録商標)メッセンジャー、Slack(登録商標)などが代表的である。
【0003】
これらは一対一での情報のやり取りだけでなく、所定のグループにおける多人数のユーザ間で送受信する情報(複数のユーザ間における対話)を、グループ内の全てのユーザで共有する機能も有しており、また提示方法も様々である。
【0004】
特許文献1は、情報のやり取りを時系列で示す一般的な表示に加え、やり取りの時間経過を直観的に視認できるよう、時間間隔に対応して画面上の表示位置の間隔を設けることでより視覚的に時系列変化を示す。
【0005】
特許文献2は、過去の発言やその多寡をもとに会議形態を直観的に把握できるような表示形態を提示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6064019号公報
【特許文献2】特許第5949843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、自分を除くメッセージの提示形式(フォントやサイズ、色など)は同一、任意の画像を用いたアイコンはサイズが小さいあるいは類似したものが多いなど、発話者を識別するための要素は少なく、直観的な判別が難しい。
【0008】
本発明は、このような問題を鑑みてなされたもので、所定の対話グループに属する複数のユーザによる情報のやり取りを提示する際に、ユーザ毎にテキストの表示形式を変更することで、発話者の直観的な把握を可能とする情報提示システム、情報提示方法およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
先述の課題を解決するため、本発明の一態様に係る情報提示システムは、グループに属するユーザの端末における表示可能なフォント一覧を取得する表示能力取得部と、表示能力取得部が取得したフォント一覧の中からグループに属するユーザに応じて使用するフォントを決定し割り当てる表示形態決定部と、グループに属するユーザの対話データを記憶する対話格納部と、対話格納部に格納された対話データの一部ないし全部について表示順序を決定する表示順序決定部と、対話データの一部ないし全部についてメッセージごとにユーザを同定し、表示順序決定部が定めた表示順序にしたがって端末の表示画面において、表示形態決定部の示す表示形態により、対話データを表示させる表示制御部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の一実施態様に係る情報提示方法は、プロセッサ、メモリ及び記憶装置とを備えるコンピュータが、グループに属するユーザの端末における表示可能なフォント一覧を取得するステップと、取得したフォント一覧の中からグループに属するユーザに応じて使用するフォントを決定し割り当てるステップと、グループに属するユーザの対話データを記憶するステップと、対話データの一部ないし全部について表示順序を決定するステップと、対話データの一部ないし全部についてメッセージごとにユーザを同定し、決定された表示順序にしたがって端末の表示画面において、決定された表示形態により、対話データを表示させるステップとを含むものである。
【0011】
本発明の一態様に係るプログラムは、プロセッサ、メモリ及び記憶装置とを備えるコンピュータに、グループに属するユーザの端末における表示可能なフォント一覧を取得するステップと、取得したフォント一覧の中からグループに属するユーザに応じて使用するフォントを決定し割り当てるステップと、グループに属するユーザの対話データを記憶するステップと、対話データの一部ないし全部について表示順序を決定するステップと、対話データの一部ないし全部についてメッセージごとにユーザを同定し、決定された表示順序にしたがって端末の表示画面において、決定された表示形態により、対話データを表示させるステップとを実行させるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、先の仕組みを用いることで、グループに属するユーザに対し、各ユーザに固有の表示形態を適用することにより、発話者を直観的に把握することが可能な情報提示システム、情報提示方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係るシステムの構成例を示すブロック図
【
図3】表示形態決定部110の構成例を示すブロック図
【
図6】端末装置20における表示のイメージを示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、記載した実施形態は、本発明の範囲を限定する趣旨のものではなく、あくまで例示である。
【0015】
(システム概観)
図1は本発明の実施形態に係る情報提示システム1の構成例を示すブロック図である。情報提示システムは、端末を介して意思疎通を図るためのシステムであり、対話アプリケーションを含む。
【0016】
情報提示システム1は、情報提示装置10、端末装置20、通信ネットワーク30を含んで構成される。
【0017】
情報提示装置10は、通信ネットワーク30を介して端末装置20へ情報を提示するサーバ装置であり、例えば、汎用コンピュータ、またはパーソナルコンピュータである。
【0018】
端末装置20は、通信ネットワーク30を介して情報の送受信を行うためにユーザが使用する端末であり、例えば、汎用コンピュータ、パーソナルコンピュータ、タブレット型端末、スマートフォン、である。
【0019】
端末装置20は、自らが備える送信部により、通信ネットワーク30を介して情報提示装置10へ情報を送信し、必要に応じて自らが備える受信部により、通信ネットワークを介して情報提示装置10からの情報を受け取る。
【0020】
通信ネットワーク30は、例えばインターネットやLAN (Local Area Network) などである。
【0021】
図2は、情報提示装置10の構成例を表すブロック図であり、表示能力取得部110、表示形態決定部120、対話格納部130、表示順序決定部140、表示制御部150を備えている。
【0022】
表示能力取得部110は、グループに属するユーザの端末で表示(使用)可能なフォント一覧を取得する。
【0023】
表示形態決定部120は、事前に求めたフォントの特徴量を用いて端末で表示可能なフォントという制約をもとに直観的な識別を可能にするための視認性を推定する。
【0024】
図3は表示形態決定部120の構成例を表すブロック図であり、表示形態決定部120は、特徴抽出部121、視認性推定部122、特徴蓄積部123を備えている。
【0025】
特徴抽出部121はフォントに対して特徴量の抽出を行う。抽出した特徴量は特徴蓄積部123にて保持される。
【0026】
上述の処理を実現するための手段として、SIFTによる特徴量抽出がある。SIFTは画像処理の分野で広く知られた技術であり、画像検索などのタスクに用いられることが多い。
【0027】
また、特徴量を抽出する他の手段として、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の中間層を用いるという方法もある。CNNは教師ありの機械学習アルゴリズムの一種で分類タスクに用いられることが多い。
【0028】
視認性推定部122は、特徴蓄積部123に保持された特徴量に対し、表示能力取得部110が取得した、ユーザの端末で利用可能なフォントの情報を踏まえ、最も識別視認性の高いフォントの組み合せを推定する。
【0029】
上述の処理を実現するための手段として、特徴量間のユークリッド距離を算出する方法がある。その結果をもとに距離が最も遠くなる類似度が低い組合せを選択することで、視認性の高い表示が可能となる。
【0030】
また、他の手段として教師ありの機械学習アルゴリズムの一種であるサポートベクターマシン(SVM)を用いることもできる。その場合はマージンが最大となる組合せを選択する。
【0031】
視認性推定部122は、フォントに加え、色について視認性の高い組合せを推定する。フォントに組み合わせる色としては、文字色及び背景色の一方または両方を選択することができる。
【0032】
視認性推定部122にて色を用いる状況としては、端末で利用可能なフォントの数が、ユーザが所属するグループの構成人数に対して不足している場合や、端末で利用可能なフォントの数自体はユーザが所属するグループの構成人数より多いが、複数のフォントが類似しており、識別視認性のあるフォントの数がグループの構成人数に対して不足している場合など、端末で利用できるフォントの組み合わせに制限がある場合が挙げられる。ただし、視認性推定部122は、端末で利用できるフォントの組み合わせに制限がない場合であっても、識別視認性を高めるために、フォントの組み合わせに加え、文字色または背景色の一方または両方を組み合わせた表示形態を決定しても良い。また、文字色または背景色の一方または両方を組み合わせる場合は、グループの各ユーザに割り当てるフォントが重複して良い。
【0033】
上述の処理を実現するための手段として、色相を環状に配置した色相環について、使用する色数に応じて最も遠くに位置する色を選択することで、視認性の高い組合せの選択が可能となる。
【0034】
対話格納部130は、アプリ上でのユーザ同士のメッセージのやり取りを保持し、新規メッセージを取得するごとに更新する。
【0035】
対話格納部130を構成する手段として、ユーザIDをキーとして、日時、メッセージの内容また、それらを示すユニークIDをバリューとするリレーショナルデータベースを用いる方法がある。
【0036】
表示順序決定部140は、対話格納部130の情報をもとに表示順序を決定する。もっとも単純な方法としては、先に述べた130を構成する要素の例として挙げた日時をもとに表示順序を決定する。
【0037】
図4は表示制御部150の構成例を表すブロック図である。表示制御部150は、表示形態決定部120を構成する視認性推定部112から求めた表示形態を格納した表示形態格納部151、および対話格納部130に対し、表示順序決定部140が定めた順序にしたがって並べられたデータに対し、表示形態格納部151を参照し端末への表示を行う表示形態適用部152、を備えている。
【0038】
(システムの動作)
図5は、本発明の実施形態に係る情報提示システムを用いた際の動作例を示すフローチャートである。フローチャートの動作は例えば、ユーザが属するグループに参加し、他のユーザと情報のやり取りを行う際に開始される。
【0039】
以降の動作説明は、上述したように表示形態決定部120において、フォントの特徴量などユーザを直観的に識別するために必要な情報が求められ、特徴蓄積部123にて保持している前提で行う。
【0040】
ステップ1:
端末上のアプリケーションを起動する。
【0041】
ステップ2:
グループのユーザ毎に表示形態が設定されているか、グループ構成に変更がないかを確認し、新規での設定あるいは更新が必要な場合はステップ3へ、不必要な場合はステップ4へ移る。
【0042】
ステップ3:
表示形態決定部120を構成する視認性推定部122を呼び出し、表示能力取得部110が収集した端末で使用できるフォント、グループの構成人数などをもとに、表示形態を決定しグループに属するユーザに割り当てる。
【0043】
ステップ4:
対話格納部130に保持され、表示順序決定部により並べられた過去のやりとりの情報に対して表示形態を適用する。
【0044】
ステップ5:
表示適用後は新規メッセージ取得まで待機する。
【0045】
ステップ6:
新規メッセージを取得後、対話格納部130に格納し、ステップ7へ移る。新規メッセージを取得しない場合、ステップ5に移る。
【0046】
ステップ7:
対話格納部130は新規メッセージを追加し、表示順序決定部140は表示する順序を決定する。
【0047】
追加された新規メッセージに対し表示形態を適用するためステップ4へ戻る。以降、アプリ停止までステップ4から7を繰り返す。
【0048】
上述した構成により、
図6に示すように、各ユーザに固有の表示形態の適用が可能となり、発話者を直観的に把握することが可能な情報提示システム、情報提示方法およびプログラムの提供ができる。
【0049】
上記の実施形態で示した情報提示装置10の機能は、プロセッサ(CPU)とメモリと記憶装置とを備えるコンピュータが実行する情報提示方法あるいは、当該コンピュータに実行させるプログラムとして実現することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、複数のユーザが端末を介してメッセージを送受信するシステムに利用できる。
【符号の説明】
【0051】
10 情報提示装置
20 端末装置
110 表示能力取得部
120 表示形態決定部
130 対話格納部
140 表示順序決定部
150 表示制御部