(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123573
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】バイオマス由来原料を含む樹脂組成物およびその用途
(51)【国際特許分類】
C08L 23/04 20060101AFI20220817BHJP
C08L 23/26 20060101ALI20220817BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20220817BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
C08L23/04
C08L23/26
B32B27/32 Z
B65D65/40 D BRQ
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020965
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 孝史
(72)【発明者】
【氏名】島貫 あかね
(72)【発明者】
【氏名】居在家 悠平
(72)【発明者】
【氏名】小川 慶之
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 孝法
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086AB03
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4F100AK03A
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(57)【要約】
【課題】バイオマス由来のエチレンを用いたカーボンニュートラルなポリオレフィンを含む樹脂組成物を提供することであって、従来の化石燃料から得られる原料を用いて製造された樹脂組成物と接着性等の物性面で遜色ないポリオレフィン樹脂組成物、および該樹脂組成物の用途を提供すること。
【解決手段】本発明の樹脂組成物は、バイオマス由来のエチレン(x)を主とするモノマー成分を重合させてなるバイオマス由来のポリオレフィン(A)と、化石燃料由来のオレフィンを含むモノマー成分を重合させてなる化石燃料由来のポリオレフィン(B)とを含む樹脂組成物であって、前記ポリオレフィン(B)が変性ポリオレフィン(B-1)を含み、前記エチレン(x)に由来する構造単位が、前記樹脂組成物全体に対して50質量%以上の量で含まれている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマス由来のエチレン(x)を主とするモノマー成分を重合させてなるバイオマス由来のポリオレフィン(A)と、
化石燃料由来のオレフィンを含むモノマー成分を重合させてなる化石燃料由来のポリオレフィン(B)と
を含む樹脂組成物であって、
前記ポリオレフィン(B)が、変性ポリオレフィン(B-1)を含み、
前記エチレン(x)に由来する構造単位が、前記樹脂組成物全体に対して50質量%以上の量で含まれている樹脂組成物。
【請求項2】
前記変性ポリオレフィン(B-1)が、不飽和カルボン酸およびその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(y)でグラフト変性されたものである、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記化合物(y)が、無水マレイン酸およびその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であり、前記変性ポリオレフィン(B-1)が、前記化合物(y)に由来する構造単位を、無水マレイン酸由来の構造単位換算で0.01質量%以上5質量%以下の範囲で含有する、請求項2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記変性ポリオレフィン(B-1)において、前記化合物(y)に由来する構造単位を除いた全構造単位中におけるエチレン由来の構造単位の含有比率が80~100モル%である、請求項2または3に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記ポリオレフィン(B)が、前記変性ポリオレフィン(B-1)と、化石燃料由来のエチレンおよびα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むモノマー成分を重合させてなる化石燃料由来のポリオレフィン(B-2)とを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記ポリオレフィン(A)の含有量が50質量部以上95質量部以下であり、前記ポリオレフィン(B)の含有量が5質量部以上50質量部以下である(ただし、成分(A)および(B)の合計を100質量部とする。)、請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む成形体。
【請求項8】
前記成形体がフィルムである請求項7に記載の成形体。
【請求項9】
前記成形体がチューブである請求項7に記載の成形体。
【請求項10】
前記成形体がボトルである請求項7に記載の成形体。
【請求項11】
請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む層を有する積層体。
【請求項12】
請求項11に記載の積層体を含む積層フィルム。
【請求項13】
請求項11に記載の積層体を含む積層チューブ。
【請求項14】
請求項11に記載の積層体を含む積層ボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス由来原料を含む樹脂組成物およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止ならびに枯渇資源である石油使用量低減の意識の高まりにより、従来の化石燃料由来のプラスチック材料からカーボンニュートラルな植物由来のプラスチック材料への置き換えが望まれており、バイオマスの利用が注目されている。
【0003】
バイオマスは、二酸化炭素と水から光合成された有機化合物であり、それを利用することにより再度二酸化炭素と水になる、いわゆるカーボンニュートラルな再生可能エネルギーである。昨今、これらバイオマスを原料としたバイオマスプラスチックの実用化が急速に進んでおり、各種の樹脂をバイオマス原料から製造する試みも行われている。
【0004】
バイオマス由来の樹脂としては、2011年にBraskem社によって高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)および高密度ポリエチレン(HDPE)の製造および販売が開始されている。このようなバイオマス由来のLDPE、LLDPEおよびHDPEを用いて、従来の化石燃料由来のポリエチレンからの置き換えが検討されている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-167172号公報
【特許文献2】特開2013-091259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、バイオマス由来のエチレンを用いたカーボンニュートラルなポリオレフィンを含む樹脂組成物を提供することであって、従来の化石燃料から得られる原料を用いて製造された樹脂組成物と接着性等の物性面で遜色ないポリオレフィン樹脂組成物、および該樹脂組成物の用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、ポリオレフィン樹脂系接着剤に用いられる原料のエチレンに着目し、従来の化石燃料から得られるエチレンに代えて、バイオマス由来のエチレンを原料としたポリオレフィン樹脂組成物、および該樹脂組成物を含むフィルム、積層フィルム、積層体、チューブ、ボトル等は、従来の化石燃料から得られるエチレンを用いて製造されたポリオレフィン樹脂組成物、フィルム、積層フィルム、積層体、チューブ、ボトル等と比較しても、接着性等の物性面で遜色ないものが得られるとの知見を得た。本発明は係る知見によるものであり、例えば下記[1]~[14]の態様を含む。
【0008】
[1] バイオマス由来のエチレン(x)を主とするモノマー成分を重合させてなるバイオマス由来のポリオレフィン(A)と、
化石燃料由来のオレフィンを含むモノマー成分を重合させてなる化石燃料由来のポリオレフィン(B)と
を含む樹脂組成物であって、
前記ポリオレフィン(B)が、変性ポリオレフィン(B-1)を含み、
前記エチレン(x)に由来する構造単位が、前記樹脂組成物全体に対して50質量%以上の量で含まれている樹脂組成物。
【0009】
[2] 前記変性ポリオレフィン(B-1)が、不飽和カルボン酸およびその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(y)でグラフト変性されたものである、項[1]に記載の樹脂組成物。
【0010】
[3] 前記化合物(y)が、無水マレイン酸およびその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であり、前記変性ポリオレフィン(B-1)が、前記化合物(y)に由来する構造単位を、無水マレイン酸由来の構造単位換算で0.01質量%以上5質量%以下の範囲で含有する変性エチレン系重合体である、項[2]に記載の樹脂組成物。
【0011】
[4] 前記変性ポリオレフィン(B-1)において、前記化合物(y)に由来する構造単位を除いた全構造単位中におけるエチレン由来の構造単位の含有比率が80~100モル%である、項[2]または[3]に記載の樹脂組成物。
【0012】
[5] 前記ポリオレフィン(B)が、前記変性ポリオレフィン(B-1)と、化石燃料由来のエチレンおよびα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むモノマー成分を重合させてなる化石燃料由来のポリオレフィン(B-2)とを含む、項[1]~[4]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【0013】
[6] 前記ポリオレフィン(A)の含有量が50質量部以上95質量部以下であり、前記ポリオレフィン(B)の含有量が5質量部以上50質量部以下である(ただし、成分(A)および(B)の合計を100質量部とする。)、項[1]~[5]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【0014】
[7] 項[1]~[6]のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む成形体。
[8] 前記成形体がフィルムである項[7]に記載の成形体。
[9] 前記成形体がチューブである項[7]に記載の成形体。
[10] 前記成形体がボトルである項[7]に記載の成形体。
【0015】
[11] 項[1]~[6]のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む層を有する積層体。
[12] 項[11]に記載の積層体を含む積層フィルム。
[13] 項[11]に記載の積層体を含む積層チューブ。
[14] 項[11]に記載の積層体を含む積層ボトル。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、従来の化石燃料から得られる原料を用いて製造された樹脂組成物と接着性等の物性面で遜色ない、バイオマス由来のエチレンを用いたカーボンニュートラルなポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂組成物、および該樹脂組成物の用途を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係る樹脂組成物は、バイオマス由来のエチレン(x)を主とするモノマー成分を重合させてなるバイオマス由来のポリオレフィン(A)と、化石燃料由来のオレフィンを含むモノマー成分を重合させてなる化石燃料由来のポリオレフィン(B)とを含む樹脂組成物であって、前記ポリオレフィン(B)が変性ポリオレフィン(B-1)を含み、前記エチレン(x)に由来する構造単位が前記樹脂組成物全体に対して50質量%以上の量で含まれている。
【0018】
[バイオマス由来のポリオレフィン(A)]
バイオマス由来のポリオレフィン(A)は、バイオマス由来のエチレン(x)を主とするモノマー成分を重合させてなるポリオレフィンであり、エチレン(x)の単独重合体であってもよいし、エチレン(x)と他のモノマーとの共重合体であってもよい。また、ポリオレフィン(A)は生分解性を有していてもよい。なお、「バイオマス由来のエチレン(x)を主とする」とは、ポリオレフィン(A)の原料であるモノマー成分のうち、割合(質量%)が最も多い成分がバイオマス由来のエチレン(x)であることを意味する。また、バイオマス由来のポリオレフィン(A)とは、原料として少なくとも一部にバイオマス由来の原料(例えば、前記エチレン(x))を用いたものであって、原料の全てがバイオマス由来のものであることを意味するものではない。
【0019】
エチレン(x)以外の他のモノマーとしては、化石燃料由来のエチレン、化石燃料由来のα-オレフィン、およびバイオマス由来のα-オレフィンなどが挙げられる。このような他のモノマーは1種単独で用いても、2種以上を用いてもよい。前記α-オレフィンとしては、例えば、ブテン、ヘキセンおよびオクテンなどの炭素数3~20のα-オレフィンが挙げられる。ポリオレフィン(A)は、バイオマス由来のエチレン(x)と化石燃料由来のα-オレフィンとの共重合体であることが好ましい。
【0020】
前記エチレン(x)は、例えば、トウモロコシやサトウキビなどの植物から抽出・精製されたエタノールを原料として製造されたエチレンである。このようなバイオマス由来のエチレン(x)を原料モノマーとして用いているため、重合してなるポリオレフィンは「バイオマス由来」となる。なお、ポリオレフィン(A)に含まれるエチレン成分はバイオマス由来のエチレン(x)からなることが、バイオマス度(バイオマス由来の炭素濃度)を高い水準で維持するという観点からより好ましい。
【0021】
ポリオレフィン(A)は、上記の他、植物・動物性廃油をバイオナフサとし、石油由来のナフサと混ぜてクラッキングしてオレフィンを得るバイオマスバランスアプローチで製造されたものも含む。例えば、バイオマス由来のエチレン(x)の他、プロピレンなどのα-オレフィンが含まれる。
【0022】
ポリオレフィン(A)は、例えば、高圧法によるエチレンの単独重合や、固体触媒またはメタロセン系触媒等を用いて、エチレンとブテン、ヘキセン、オクテンなどのα-オレフィンコモノマーとを共重合することによって得ることができる。また、ポリオレフィン(A)として、例えば、ブラスケム社の植物由来ポリエチレンなどの市販品を用いることもできる。
【0023】
本発明の樹脂組成物は、組成が異なる2種以上のバイオマス由来のポリオレフィン(A)を含んでいてもよい。2種以上のポリオレフィン(A)を含む場合、「ポリオレフィン(A)の密度」は、加重平均で算出される値を指し、「ポリオレフィン(A)のMFR」は、対数加成則で算出される値を指す。
【0024】
ポリオレフィン(A)の密度は、特に限定されないが、好ましくは0.900g/cm3以上0.932g/cm3以下、より好ましくは0.910g/cm3以上0.925g/cm3以下である。本発明において、密度は、JIS K6760-1995に記載のアニーリングを行った後、JIS K7112-1980のうち、A法に規定された方法に従って測定される値である。ポリオレフィン(A)の密度が0.900g/cm3以上の場合、アンチブロッキング性がより優れるという利点がある。また、ポリオレフィン(A)の密度が0.932g/cm3以下の場合、耐衝撃強度に優れるという利点がある。
【0025】
ポリオレフィン(A)のメルトフローレート(MFR)は、特に限定されないが、好ましくは0.1g/10分以上10g/10分以下、より好ましくは0.5g/10分以上10g/10分以下である。本発明において、ポリオレフィン(A)のMFRは、JIS K7210-1995に規定された方法において、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、A法により測定される値である。ポリオレフィン(A)のMFRが0.1g/10分以上の場合、フィルム製膜加工時の樹脂の発熱が少ないという利点がある。また、ポリオレフィン(A)のMFRが10g/10分以下の場合、インフレーションフィルム製膜加工時のバブル安定性に優れるという利点がある。
【0026】
上記「バイオマス度」(バイオマス由来の炭素濃度)は、ASTM D6866に準拠した放射性炭素(C14)測定法によって得られたC14含有量の値である。大気中の二酸化炭素には、C14が一定割合(105.5pMC)で含まれているため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物、例えばトウモロコシ中のC14含有量も105.5pMC程度であることが知られている。また、化石燃料中にはC14が殆ど含まれていないことも知られている。
【0027】
したがって、樹脂組成物中の全炭素原子中に含まれるC14の割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出することができる。本発明においては、樹脂組成物中のC14の含有量(pMC)をPC14とした場合の、バイオマス由来の炭素の含有量Pbioは、以下のようにして求めることができる。なお、pMCとは、Percent Modern Carbonの略である。
Pbio(%)=PC14/105.5×100
【0028】
上記により算出される、本発明の樹脂組成物のバイオマス度は、好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上である。樹脂組成物のバイオマス度が前記範囲内であることにより、包材に用いた際の製品中のバイオマス度を向上させる観点から好ましい。
【0029】
本発明の樹脂組成物のバイオマス度を上記範囲とするために、本発明の樹脂組成物における、バイオマス由来のエチレン(x)に由来する構造単位の含有量を、樹脂組成物全体(100質量%)に対して50質量%以上、好ましくは52質量%以上、より好ましくは55質量%以上とすることが望ましい。
【0030】
ポリオレフィン(A)の重合方法は、特に限定されず、従来公知の方法により行うことができる。重合温度や重合圧力は、重合方法や重合装置に応じて適宜調節することが好ましい。また、重合装置についても特に限定されず、従来公知の装置を用いることができる。
【0031】
[化石燃料由来のポリオレフィン(B)]
化石燃料由来のポリオレフィン(B)は、化石燃料由来のオレフィンを含むモノマー成分を重合させてなるポリオレフィンであり、変性ポリオレフィン(B-1)を含み、好ましくは変性ポリオレフィン(B-1)と、化石燃料由来のエチレンおよびα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むモノマー成分を重合させてなる化石燃料由来のポリオレフィン(B-2)とを含む。
【0032】
ポリオレフィン(B)全体を100質量%とした場合、変性ポリオレフィン(B-1)の含有割合は、好ましくは10質量%以上100質量%以下、より好ましくは20質量%以上80質量%以下である。変性ポリオレフィン(B-1)の含有割合が前記範囲内であることにより、接着力と生産コストのバランスの観点から優れる。
【0033】
<変性ポリオレフィン(B-1)>
変性ポリオレフィン(B-1)は、未変性ポリオレフィンの少なくとも一部が変性されてなる変性ポリオレフィンであり、好ましくは不飽和カルボン酸およびその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(y)でグラフト変性されてなる変性ポリオレフィンである。
【0034】
≪未変性ポリオレフィン≫
前記未変性ポリオレフィンとしては、化石燃料由来のオレフィンを含むモノマー成分を重合させてなるポリオレフィンであれば特に限定されないが、好ましくはエチレン単独重合体、およびエチレンと炭素数3~20のα-オレフィンとの共重合体、より好ましくはエチレン単独重合体、およびエチレンと炭素数3~10のα-オレフィンとの共重合体、さらに好ましくは、エチレン単独重合体、およびエチレンと炭素数2~8のα-オレフィンとの共重合体が挙げられる。未変性ポリオレフィンは、1種単独で使用しても2種以上を使用してもよい。
【0035】
前記α-オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、4-メチル-1-ペンテンなどが挙げられ、これらは1種単独で使用しても2種以上を使用してもよい。
【0036】
前記未変性ポリオレフィンの密度は、好ましくは0.860~0.960g/cm3、より好ましくは0.865~0.955g/cm3、更に好ましくは0.870~0.950g/cm3である。また、前記未変性ポリオレフィンにおける、ASTM D1238による190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)は、好ましくは0.01~100g/10分、より好ましくは0.05~50g/10分、さらに好ましくは0.1~10g/10分である。前記未変性ポリオレフィンの密度およびMFRがこの範囲にあれば、変性ポリオレフィン(B-1)の密度、MFRも同程度となることからハンドリングしやすい。
【0037】
前記未変性ポリオレフィンは、従来から公知のいずれの方法によっても製造することができ、例えば、高圧法あるいはチタン系触媒、バナジウム系触媒、メタロセン触媒などを用いた低圧法によって製造することができる。また、未変性ポリオレフィンは、樹脂およびエラストマーのいずれの形態でもよく、アイソタクチック構造、シンジオタクチック構造の両者ともに使用可能であり、立体規則性についても特段の制限はない。市販の樹脂をそのまま利用することも可能である。
【0038】
≪化合物(y)≫
グラフト変性に用いられる、不飽和カルボン酸およびその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(y)としては、カルボン酸基を1以上有する不飽和化合物、無水カルボン酸基を1以上有する不飽和化合物およびその誘導体を挙げることができ、不飽和化合物が有する不飽和基としては、ビニル基、ビニレン基、不飽和環状炭化水素基などを挙げることができる。具体的な化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸、またはこれらの酸無水物あるいはこれらの誘導体(例えば酸ハライド、アミド、イミド、エステルなど)が挙げられる。
【0039】
具体的な化合物(y)の例としては、塩化マレニル、マレニルイミド、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸無水物、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸ジメチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メタクリル酸アミノエチルおよびメタクリル酸アミノプロピルなどを挙げることができる。また、化合物(y)は、1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。これらの中では、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸無水物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、メタクリル酸アミノプロピルが好ましく、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸無水物などのジカルボン酸無水物がより好ましく、無水マレイン酸が特に好ましい。
【0040】
化合物(y)を未変性ポリオレフィンに導入する方法としては、周知の方法を採用することが可能であり、例えば、未変性ポリオレフィンの主鎖に化合物(y)をグラフト共重合する方法や、オレフィンと化合物(y)をラジカル共重合する方法等を例示することができる。
【0041】
≪グラフト重合方法≫
変性ポリオレフィン(B-1)をグラフト共重合により得る場合には、グラフト主鎖となる未変性ポリオレフィンに、化合物(y)、更に必要に応じてその他のエチレン性不飽和単量体等を、ラジカル開始剤の存在下、グラフト共重合する。
【0042】
化合物(y)を未変性ポリオレフィンの主鎖にグラフトさせる方法については特に限定されず、溶液法、溶融混練法等、従来公知のグラフト重合法を採用することができる。例えば、未変性ポリオレフィンを有機溶媒に溶解し、次いで得られた溶液に化合物(y)及び必要に応じて有機過酸化物などのラジカル開始剤を加え、通常、60~350℃、好ましくは80~190℃の温度で、0.5~15時間、好ましくは1~10時間反応させる方法、あるいは、押出機などを使用して、無溶媒で、未変性ポリオレフィンと、化合物(y)及び必要に応じて有機過酸化物などのラジカル開始剤を加え、通常、未変性ポリオレフィンの融点以上、好ましくは120~350℃、0.5~10分間反応させる方法を採り得る。
【0043】
≪変性ポリオレフィン(B-1)の特性≫
変性ポリオレフィン(B-1)中における化合物(y)に由来する構造単位の含有量(グラフト量)は、例えば、化合物(y)が無水マレイン酸およびその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である場合、無水マレイン酸由来の構造単位換算で、好ましくは0.01質量%以上5質量%以下、好ましくは0.05質量%以上4.0質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以上3.0質量%以下である。化合物(y)が他の化合物の場合も同様である。グラフト量が上記範囲を超えると経済的でなくなり、一方で、変性ポリオレフィン(B-1)中のグラフト量が前記範囲より少ないと、接着力は小さいという傾向にある。
【0044】
変性ポリオレフィン(B-1)において、化合物(y)に由来する構造単位を除いた全構造単位中におけるエチレン由来の構造単位の含有比率は、好ましくは80モル%以上100モル%以下、より好ましくは85モル%以上100モル%以下、さらに好ましくは95モル%以上100モル%以下である。エチレン由来の構造単位の含有比率が前記範囲内であると、成形加工性の観点から優れる。
【0045】
変性ポリオレフィン(B-1)のASTM D1238による荷重2.16kg、190℃におけるメルトフローレート(MFR)は、好ましくは0.01g/10分以上500g/10分以下、より好ましくは0.05g/10分以上100g/10分以下である。変性ポリオレフィン(B-1)のMFRが前記範囲にあると、成形性が良く、接着力にも優れる。熱プレス成形で厚み100ミクロンの接着剤層を基材にはさんで、剥離試験を行い、接着力を測定する方法では、低いMFRで、分子鎖が長いほど接着力が高い傾向にある。キャスト成形で成形したフィルムにおいて、厚み30~50ミクロンの接着剤層の場合は、逆の傾向にある。キャスト成形フィルム剥離試験を行い、接着力を測定する方法では、高いMFRで、分子鎖が短いほど接着力が高い傾向にある。高いMFRで、分子鎖が短いほど、界面での流れ性が良いからであると考えられる。
【0046】
変性ポリオレフィン(B-1)の密度は、好ましくは0.860g/cm3以上0.960g/cm3以下、より好ましくは0.865g/cm3以上0.955g/cm3以下、更に好ましくは0.870g/cm3以上0.950g/cm3以下である。
【0047】
<化石燃料由来のポリオレフィン(B-2)>
化石燃料由来のポリオレフィン(B-2)は、化石燃料由来のエチレンおよびα-オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むモノマー成分を重合させてなるポリオレフィンである。
【0048】
ポリオレフィン(B-2)としては、上述した未変性ポリオレフィンと同様のものが挙げられ、好ましくはエチレン単独重合体およびエチレンと炭素数3~20のα-オレフィンとの共重合体、より好ましくはエチレンと炭素数3~10のα-オレフィンとの共重合体、さらに好ましくはエチレンと炭素数2~8のα-オレフィンとの共重合体である。
【0049】
ポリオレフィン(B-2)の密度は、好ましくは0.860~0.960g/cm3、より好ましくは0.862~0.955g/cm3、更に好ましくは0.865~0.950g/cm3である。また、ポリオレフィン(B-2)における、ASTM D1238による190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)は、好ましくは0.01~100g/10分、より好ましくは0.05~50g/10分、さらに好ましくは0.1~10g/10分である。
【0050】
ポリオレフィン(B-2)は、従来から公知のいずれの方法によっても製造することができ、例えば、高圧法あるいはチタン系触媒、バナジウム系触媒、メタロセン触媒などを用いた低圧法によって製造することができる。また、ポリオレフィン(B-2)は、樹脂およびエラストマーのいずれの形態でもよく、アイソタクチック構造、シンジオタクチック構造の両者ともに使用可能であり、立体規則性についても特段の制限はない。市販の樹脂をそのまま利用することも可能である。
【0051】
[その他の成分]
本発明の樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、通常用いられる酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、滑剤、核剤、顔料等の添加剤または他の重合体やゴムなどを必要に応じて含有することができる。
【0052】
[樹脂組成物の組成]
本発明の樹脂組成物において、前記成分(A)および(B)の合計を100質量部とした場合、
バイオマス由来のポリオレフィン(A)の含有量は、好ましくは50質量部以上95質量部以下、より好ましくは55質量部以上90質量部以下、さらに好ましくは60質量部以上85質量部以下であり、
化石燃料由来のポリオレフィン(B)の含有量は、好ましくは5質量部以上50質量部以下、より好ましくは10質量部以上45質量部以下、さらに好ましくは15質量部以上40質量部以下である。バイオマス由来のポリオレフィン(A)および化石燃料由来のポリオレフィン(B)の含有量が前記範囲内であることにより、高いバイオマス度を有する樹脂組成物を得ることができる。
【0053】
本発明の樹脂組成物は、種々公知の方法、例えば、前記成分(A)および(B)ならびに必要に応じてその他の成分を、ヘンシェルミキサー、タンブラーブレンダー、V-ブレンダー等によりドライブレンドする方法、ドライブレンドした後、単軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー等により溶融混練する方法、および溶媒の存在下で、攪拌混合する方法等によって調製することができる。
【0054】
[積層体]
本発明の積層体は、上述した本発明の樹脂組成物を含む層(I)(以下「接着層(I)」ともいう。)を有し、好ましくは、ポリアミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物(EVOH)、およびポリエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリマーを含む層(II)をさらに有する。この場合、前記層(II)が前記層(I)に直接積層されていることが好ましい。また、本発明の積層体は、特に好ましくは、ポリエチレンからなる基材層(III)をさらに有する。この場合、前記層(I)が基材層(III)に直接積層されていることが好ましい。
【0055】
前記層(II)に含まれるポリアミドとしては、特に限定されないが、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン11、MXDナイロン、アモルファスナイロン、共重合ナイロンなどが挙げられる。
【0056】
前記層(II)に含まれるエチレン・ビニルアルコール共重合体鹸化物(EVOH)は、好ましくは、エチレン含有率が15~60モル%、好ましくは20~50モル%のエチレン・酢酸ビニル共重合体をケン化して得られる、ケン化度90~100%、好ましくは95~100%の重合体である。
【0057】
前記層(II)に含まれるポリエステルとしては、特に限定されないが、例えば、ポリ乳酸、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフテナートおよびこれら樹脂の混合物または芳香族ポリエステル、例えば液晶ポリマー等の中から選択できる。
【0058】
前記基材層(III)に含まれるポリエチレンとしては、特に限定されず、公知のポリエチレンを用いることができる。
【0059】
本発明の積層体の層構成としては、例えば、層(II)/接着層(I)の2層構造、層(II)/接着層(I)/層(II)の3層構造、基材層(III)/接着層(I)/層(II)の3層構造、接着層(I)/層(II)/接着層(I)の3層構造、基材層(III)/接着層(I)/層(II)/接着層(I)/基材層(III)の5層構造などが挙げられる。
【0060】
また、本発明の積層体は、本発明の効果を損なわない限り、上述した層(I)、層(II)、基材層(III)以外の他の層を含んでいてもよい。他の層としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫およびニッケル等の金属からなる層やこれらの金属の少なくとも一種を主成分として含む合金からなる層、およびリグラインド層などが挙げられる。リグラインド層とは、積層体を成形する場合に生じるバリ部分(不要部分)、積層体の回収品(スクラップ)、成形の際に生じる不良品などを粉砕、あるいは必要であれば、当該粉砕物を押出機等で溶融混練してなるもの(リグラインド)からなる層である。このような他の層は、前記層(III)の代わりに用いることもできる。
【0061】
本発明の積層体を構成する上記各層には、本発明の目的を損なわない範囲で、充填剤、安定剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤等の公知の添加剤を配合することができる。 本発明の積層体は、共押出成形、プレス成形、押出ラミネート成形等公知の方法により製造することができる。これらの中では層間接着力の点で、共押出成形法を用いる事が好ましい。共押出成形法としてはフラット・ダイを用いるTーダイ法とサーキュラー・ダイを用いるインフレーション法とがある。フラット・ダイはブラック・ボックスを使用したシングル・マニホールド形式およびマルチ・マニホールド形式のいずれを用いてもよい。インフレーション法に用いるダイについても公知のダイを用いることができる。
【0062】
[用途]
本発明による樹脂組成物、該樹脂組成物を含む成形体(例えば、フィルム、チューブおよびボトル等)、該樹脂組成物を含む層を有する積層体、ならびに、該積層体を含む積層フィルム、積層チューブおよび積層ボトル等は、食品容器や袋等の包装製品、化粧品用の容器、シートおよび包装製品、ならびに、医薬品用の容器、シートおよび包装製品などに好適に使用することができる。また、光学フィルム、樹脂板、各種ラベル材料、蓋材、およびラミネートチューブ等の各種用途に好適に使用することができ、特に、包装製品およびシート成形品が好ましい。
【実施例0063】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0064】
[物性の測定方法]
実施例および比較例において、物性(密度およびメルトフローレート)の測定は、以下の方法で行った。
【0065】
<密度(g/cm3)>
密度は、ASTM D1505に準拠して測定した。
【0066】
<メルトフローレート(MFR)(g/10分)>
メルトフローレートは、ASTM D1238に準拠し、温度190℃、2160g荷重で測定した。
【0067】
[使用した材料]
実施例および比較例において使用したポリオレフィンを以下に示す。なお、いずれのポリオレフィンも市販品を使用した。
【0068】
<ポリエチレン>
PE-1:バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(Braskem S.A.社製、バイオマス度:87%(ASTM D6866準拠)、密度:0.92g/cm3、MFR:2.3g/10分)
PE-2:化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレン((株)プライムポリマー製、密度:0.92g/cm3、MFR:2.0g/10分)
【0069】
<無水マレイン酸変性ポリエチレン>
MAH-PE-1:化石燃料由来の無水マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン(三井化学(株)製、無水マレイン酸グラフト量:1質量%、密度:0.92g/cm3、MFR:0.3g/10分)
【0070】
<エチレン・α-オレフィンランダム共重合体>
EBR-1:化石燃料由来のエチレン・1-ブテンランダム共重合体(三井化学(株)製、密度:0.87g/cm3、MFR:3.6g/10分)
【0071】
[実施例1]
<樹脂組成物の調製>
ポリオレフィン(A)としてポリエチレン(PE-1)65質量%、変性ポリオレフィン(B-1)として無水マレイン酸変性ポリエチレン(MAH-PE-1)15質量%、およびポリオレフィン(B-2)としてエチレン・α-オレフィンランダム共重合体(EBR-1)20質量%を配合した混合物を、220℃に設定した60mmφ一軸押出機で混練造粒することにより、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物は、密度が0.91g/cm3であり、MFRが1.9g/10分であった。
【0072】
<積層体の製造>
直鎖状低密度ポリエチレン((株)プライムポリマー製、ウルトゼックス 2021L)から形成されるPE層(III)、得られた樹脂組成物から形成される接着層(I)、エチレン・ビニルアルコール共重合体((株)クラレ製、エバール F101A)から形成されるEVOH層(II)がこの順に積層された3層からなる積層体(フィルム)を、下記の成形条件で製造した。
【0073】
≪積層体の成形条件≫
層構造:PE層(III)/接着層(I)/EVOH層(II)
層の厚み:PE層(III) 40μm
接着層(I) 10μm
EVOH層(II) 20μm
T-ダイ成形機:PE層(III) 40mmφ押出機、設定温度 220℃
接着層(I) 30mmφ押出機、設定温度 220℃
EVOH層(II) 30mmφ押出機、設定温度 220℃
成形速度:20m/分
【0074】
<接着強度(N/15mm)>
得られた積層体(3層フィルム)の接着強度は、積層体から15mm幅でサンプルを切り出し、接着層(I)とEVOH層(II)との間の層間接着強度(剥離強度)を引張試験機((株)インテスコ製「IM-20ST型」)を用いて23℃の恒温槽内で測定した。剥離試験の測定方法はT-剥離法、剥離速度は300mm/分とした。この測定を5回行い、得られた数値の平均をその積層体の接着強度(EVOH接着力)とした。結果を表1に示す。
【0075】
[比較例1]
配合処方を表1に示すとおりに変更した以外は実施例1と同様の方法で樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物は、密度が0.91g/cm3であり、MFRが1.7g/10分であった。得られた樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にして積層体を製造し、その接着強度を測定した。結果を表1に示す。
【0076】
【0077】
表1に示すように、バイオマス由来ポリエチレンを用いて製造された実施例1の積層体における接着強度は、石油燃料由来ポリエチレンのみで製造された比較例1の積層体における接着強度と遜色ない結果であった。