(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123574
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】監視装置
(51)【国際特許分類】
G01G 19/52 20060101AFI20220817BHJP
A62C 37/50 20060101ALI20220817BHJP
A62C 13/76 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
G01G19/52 Z
A62C37/50
A62C13/76 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020966
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003388
【氏名又は名称】東京計器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】原 隆亜
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189HA09
(57)【要約】
【課題】消火剤量の点検に掛かる作業時間を短縮することができる技術を提供する。
【解決手段】消火剤を貯蔵する貯蔵容器における消火剤量を監視する監視装置20であって、貯蔵容器の重量を測定する重量センサより、重量センサによる測定値と、重量センサを一意に示す識別子であるセンサIDとを含む測定情報を取得する取得部201と、測定情報に含まれる測定値と、測定情報に含まれるセンサIDにより示される重量センサによる測定対象を一意に示す測定対象IDとを対応付け、管理情報として管理する管理部202とを備えた。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火剤を貯蔵する貯蔵容器における消火剤量を監視する監視装置であって、
前記貯蔵容器の重量を測定する重量センサより、該重量センサによる測定値と、該重量センサを一意に示す識別子であるセンサIDとを含む測定情報を取得する取得部と、
前記測定情報に含まれる測定値と、該測定情報に含まれるセンサIDにより示される重量センサによる測定対象を一意に示す測定対象IDとを対応付け、管理情報として管理する管理部と
を備える監視装置。
【請求項2】
前記重量センサは、前記貯蔵容器に対して設けられ、
前記測定対象IDは、前記貯蔵容器を一意に示すことを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記重量センサは、前記貯蔵容器を少なくとも1つ以上収容する収容部に対して設けられ、
前記測定対象IDは、前記収容部を一意に示すことを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項4】
前記監視装置と通信可能に接続された他の装置へ前記管理情報を送信する送信部を更に備えることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の監視装置。
【請求項5】
前記他の装置は携帯端末装置であることを特徴とする請求項4に記載の監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、容器に貯蔵された消火剤量の点検に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、二酸化炭素、窒素、ハロゲン化物などの消火剤が充填された貯蔵容器が消火設備として施設に設置されている。消火設備は、完全に機能することが常時求められるため、定期的な点検が要求される。貯蔵容器の点検においては、消火剤量が規定量以上貯蔵されているかが確認される。
【0003】
なお、関連する技術として、消火剤貯蔵容器の消火剤量監視装置であって、消火剤貯蔵容器を重力方向にのみ移動可能に支持するローラと、消火剤貯蔵容器の底面に接触する位置に設置されたロードセルと、消火剤貯蔵容器と配管との間を連結するフレキシブルチューブを備える消火剤量監視装置、が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の消火剤貯蔵容器の点検作業は、消火設備が設置される施設において、作業員が測定された消火剤量を消火剤貯蔵容器毎に目視することによりなされている。そのため、特に点検すべき消火剤貯蔵容器の数が多い場合、点検作業に時間を要する、という問題があった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、消火剤量の点検に掛かる作業時間を短縮することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本実施形態の監視装置は、消火剤を貯蔵する貯蔵容器における消火剤量を監視する監視装置であって、前記貯蔵容器の重量を測定する重量センサより、該重量センサによる測定値と、該重量センサを一意に示す識別子であるセンサIDとを含む測定情報を取得する取得部と、前記測定情報に含まれる測定値と、該測定情報に含まれるセンサIDにより示される重量センサによる測定対象を一意に示す測定対象IDとを対応付け、管理情報として管理する管理部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、消火剤量の点検に掛かる作業時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係る監視システムの構成を示す概略図である。
【
図2】第1の実施形態に係る貯蔵容器の構成を示す概略図である。
【
図3】第1の実施形態に係る伸縮部の構成を示す一部断面図である。
【
図4】第1の実施形態に係る監視装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図5】第1の実施形態に係る監視装置の機能構成を示す図である。
【
図6】第2の実施形態に係る監視システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0011】
<第1の実施形態>
(監視システムの構成)
第1の実施形態に係る監視システムの構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る監視システムの構成を示す概略図である。なお、
図1において、収容部、貯蔵容器、重量センサは平面図として示される。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る監視システム1は、収容部10、複数の貯蔵容器11、重量センサ12、監視装置20、表示装置30、携帯端末装置40を備える。複数の貯蔵容器11のそれぞれは、施設に設置されたガス系の消火設備であり、消火剤を貯蔵する容器である。本実施形態において、貯蔵容器11に貯蔵される消火剤としては、窒素、二酸化炭素、ハロゲン化物などが挙げられる。
【0013】
収容部10は、複数の貯蔵容器11を集合管13に流体的に接続させた状態で収容する。集合管13は、水平面に沿う一方向に延在する筒状部材であり、複数の貯蔵容器11のそれぞれと、消火剤の排出先とを流体的に接続する。本実施形態において、複数の貯蔵容器11は、集合管13の延在方向に沿うように並置された状態で収容部10に収容される。
【0014】
複数の重量センサ12は、複数の貯蔵容器11のそれぞれに対応して設けられ、個々の重量センサ12は、対応する貯蔵容器11の重量を測定可能に収容部10に設けられる。本実施形態において、重量センサ12は、ひずみゲージ式、静電容量式、または磁歪式などのロードセルとして構成され得るものとするが、貯蔵容器11の重量を測定可能なものであれば良い。また、本実施形態において、重量センサ12は、測定値をデジタル信号により出力するデジタルロードセルとする。
【0015】
監視装置20は、複数の重量センサ12、表示装置30、及び携帯端末装置40のそれぞれと通信可能に接続される。本実施形態において、監視装置20は、複数の重量センサ12のそれぞれ、表示装置30と有線接続されるとともに、携帯端末装置40と無線接続されるものとする。監視装置20は、複数の重量センサ12による測定値を取得し、取得した測定値を表示装置30、携帯端末装置40へ送信する。
【0016】
表示装置30は、消火設備の近傍に配され、消火設備の点検を行う作業員に対して、監視装置20により送信された測定値を表示する。なお、表示装置30は、測定値を表示可能に構成された装置であれば良く、本実施形態においてはディスプレイとする。携帯端末装置40は、作業員が携帯可能、監視装置20と通信可能、且つ測定値を表示可能に構成された装置であり、本実施形態においてはスマートフォンを含むタブレット端末とする。
【0017】
(貯蔵容器の構成)
貯蔵容器の構成について説明する。
図2は、本実施形態に係る貯蔵容器の構成を示す概略図である。
図3は、本実施形態に係る伸縮部の構成を示す一部断面図である。なお、
図3においては、集合管の延在方向から見た伸縮部が示され、伸縮部の一部が縦断面として示されている。
【0018】
図2に示すように、本実施形態に係る貯蔵容器11は、ガス系の消火剤を貯蔵するボンベである。貯蔵容器11の上端部には、消火剤が流出のみ可能な開口が形成され、この開口を開放のみ可能に構成された弁部111が設けられる。弁部111は、連結管14、伸縮管15を介して集合管13と流体的に接続される。これによって、弁部111が開放状態とされた際に、貯蔵容器11内の消火剤が集合管13に流入する。また、貯蔵容器11は対応する重量センサ12上に載置される。
【0019】
連結管14は、一端が弁部111に流体的に接続されるとともに、他端が伸縮管15に流体的に接続される。連結管14は、他端の開口が下方を向くように形成される。集合管13の上部には、集合管13内と外部とを連通させる連通孔131が集合管13の延在方向に間隔を空けて複数形成される。伸縮管15は、一方向に伸縮可能に構成されており、伸縮方向が上下方向を向くように配され、一端が連結管14に流体的に接続され、他端が集合管13における連通孔131に流体的に接続される。
【0020】
図3に示すように、伸縮管15は、スライドニップル151、ニップル152、連結ナット153、スライドナット154、ナット栓155、反発材156、Oリング157、リング158を備える。スライドニップル151は、管状に形成され、その挿通方向が上下方向を向くように配される部材であり、上端が連結管14に流体的に接続されるとともに、下端がニップル152に流体的に接続される。ニップル152は、管状に形成され、その挿通方向が上下方向を向くように配される部材であり、一端がスライドニップル151に流体的に接続されるとともに、他端が集合管13における連通孔131に流体的に接続される。
【0021】
連結ナット153は、スライドニップル151と連結管14とを連結する。スライドナット154は、ナット栓155と協働してスライドニップル151とニップル152とを連結する。スライドナット154は、全体として環状に形成され、その開口孔の開口方向が上下方向を向くように配される部材である。スライドナット154の内周壁における下端側には雌ねじが形成され、この雌ねじがニップル152の外周壁に形成された雄ねじと螺合される。これによって、スライドニップル151と連結ナット153とが連結される。
【0022】
ナット栓155は、スライドニップル151が挿通されるように環状に形成され、その外周壁に雄ねじが形成される部材である。スライドナット154の内周壁における上端側には雌ねじが形成され、この雌ねじがナット栓155に形成された雄ねじと螺合されることによって、スライドナット154とナット栓155とが連結される。スライドニップル151の下端には、ナット栓155と係合するように径外方向に突出するフランジ151Aが形成される。フランジ151Aによれば、ナット栓155と結合されたスライドナット154がある程度以上だけ下方に移動することが規制される。スライドナット154、ナット栓155、及びスライドニップル151によれば、上下方向に連結管14を可動としつつ、集合管13と連結管14とを流体的に接続することができる。
【0023】
反発材156、Oリング157、リング158は、いずれも環状に形成された弾性部材である。反発材156は、スライドナット154内においてスライドニップル151の下方に設けられる。Oリング157、リング158は、スライドナット154内においてスライドニップル151のフランジ151Aの上方に設けられる。反発材156、Oリング157、リング158によれば、スライドニップル151とスライドナット154との連結に係る気密性が向上される。
【0024】
このような伸縮管15によれば、貯蔵容器11を上下方向、即ち重力方向に可動としつつ、貯蔵容器11と集合管13とを流体的に接続することができるため、貯蔵容器11の重量が重量センサ12により測定可能となる。なお、貯蔵容器11は、重量センサ12によりその重力を測定可能に集合管13と流体的に接続されていれば良く、必ずしも伸縮管15を介して集合管13と流体的に接続される必要はない。
【0025】
(監視装置の構成)
監視装置の構成について説明する。
図4、
図5は、それぞれ、本実施形態に係る監視装置のハードウェア構成、機能構成を示す図である。
【0026】
監視装置20は、
図4に示すように、ハードウェアとして、CPU(Central Processing Unit)21、RAM(Random Access Memory)22、記憶装置23、入出力I/F(Interface)24、通信I/F25を備える。CPU21及びRAM22は、協働することにより、後述する各種機能を実現する。記憶装置23は、各種機能の実行に係る各種データを記憶する。入出力I/F24は、重量センサ12から出力された測定値を取得するためのインターフェイスである。通信I/F25は、監視装置20が表示装置30及び携帯端末装置40と通信するためのインターフェイスである。
【0027】
また、監視装置20は、
図5に示すように、CPU21及びRAM22により実現される機能として、取得部201、管理部202、送信部203を備える。取得部201は、監視装置20に接続される複数の重量センサ12のそれぞれにより出力される測定情報を周期的に取得する。測定情報は、特定の重量センサ12を一意に示す識別子であるセンサIDと、測定された重量を示す測定値とが対応付けられた情報である。管理部202は、取得部201により取得された測定情報に基づいて、センサIDと、このセンサIDに対応付けられた測定値と、特定の貯蔵容器11を一意に示す識別子である貯蔵容器IDとを対応付け、管理情報として管理する。なお、センサIDと貯蔵容器IDとの対応付けは予めなされるものする。送信部203は、管理部202により管理される管理情報を表示装置30、携帯端末装置40へ送信する。
【0028】
このように、監視装置20が、表示装置30、携帯端末装置40へ管理情報を送信することによって、複数の貯蔵容器11それぞれの消火剤量を一元的に管理、確認することができ、点検作業に掛かる時間を短縮することができる。また、消火剤量が一元的に管理されることによって、実際には点検作業を行わずに点検結果を報告する手抜き点検や、人為的なミスによる不正確な点検を防止することができる。
【0029】
また、携帯端末装置40へ管理情報が送信されることにより、遠隔地から消火剤量を容易に監視することができる。これによって、複数箇所の消火設備を容易に監視することができるとともに、点検の頻度を容易に高めることができる。
【0030】
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係る監視システムの構成について説明する。
図6は、本実施形態に係る監視システムの構成を示す図である。
【0031】
図6に示すように、本実施形態に係る監視システム1Aは、重量センサ12が収容部10の重力を測定するように、即ち、収容部10に収容された複数の貯蔵容器11の消火剤量の変動を検出可能に設けられる点において、第1の実施形態に係る監視システム1とは異なる。また、複数の貯蔵容器11は、それぞれ、連結管14を介して集合管13に流体的に接続され、集合管13は、上下方向に稼働なフレキシブルチューブ16を介して消火剤の排出先に対して流体的に接続される。
【0032】
また、監視システム1Aは、監視装置20に代えて、監視装置20Aを備える点において、監視システム1とは異なっている。監視装置20Aは、管理部202が、センサIDと、このセンサIDに対応する測定値と、特定の収容部10を一意に示す識別子である収容部IDとを対応付けて管理情報として管理する点において、監視装置20とは異なる。
【0033】
このように、貯蔵容器11単位ではなく、貯蔵容器を収容する収容部10単位で重量を測定することによって、より少数の重量センサ12により消火剤量の点検作業を行うことができる。これによって、点検作業に掛かるコストを低減することができる。
【0034】
なお、上述した監視システム1、監視システム1Aにおいて、貯蔵容器11に貯蔵される消火剤をガス系消火剤としたが、監視システム1、監視システム1Aは、発泡機器により泡化される泡消火剤が貯蔵された貯蔵容器11にも適用可能である。
【0035】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0036】
1 監視システム
20 監視装置
201 取得部
202 管理部
203 送信部