(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123581
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】管制装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20220817BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20220817BHJP
B60W 30/06 20060101ALI20220817BHJP
B60W 30/08 20120101ALI20220817BHJP
B60W 40/04 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 F
B60W30/06
B60W30/08
B60W40/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020976
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 幸紀子
(72)【発明者】
【氏名】田中 優
(72)【発明者】
【氏名】山本 陽香
(72)【発明者】
【氏名】野村 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】浅井 彰司
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA21
3D241BA31
3D241CE01
3D241CE02
3D241CE04
3D241CE05
3D241DC25Z
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL08
5H181LL17
(57)【要約】
【課題】所定領域において制御対象車両をより適切に制御する。
【解決手段】実施形態の管制装置は、所定領域内に存在する制御対象車両と非制御対象車両のうち前記制御対象車両の走行を制御するシステムにおいて利用される管制装置であって、前記所定領域の状況を検出するために設けられた検出部による検出データに基づいて生成された、前記所定領域内に存在する前記非制御対象車両と歩行者とを含む障害物に関する障害物情報を取得する障害物情報取得部と、前記制御対象車両に関する位置情報を含む車両情報を取得する車両情報取得部と、前記障害物情報と、前記車両情報と、前記所定領域の地図情報と、に基づいて、前記非制御対象車両の挙動を推定して挙動推定結果を出力する推定部と、前記挙動推定結果に基づいて前記制御対象車両に対する指示情報を生成する生成部と、前記指示情報を前記制御対象車両に送信する送信部と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定領域内に存在する制御対象車両と非制御対象車両のうち前記制御対象車両の走行を制御するシステムにおいて利用される管制装置であって、
前記所定領域の状況を検出するために設けられた検出部による検出データに基づいて生成された、前記所定領域内に存在する前記非制御対象車両と歩行者とを含む障害物に関する障害物情報を取得する障害物情報取得部と、
前記制御対象車両に関する位置情報を含む車両情報を取得する車両情報取得部と、
前記障害物情報と、前記車両情報と、前記所定領域の地図情報と、に基づいて、前記非制御対象車両の挙動を推定して挙動推定結果を出力する推定部と、
前記挙動推定結果に基づいて前記制御対象車両に対する指示情報を生成する生成部と、
前記指示情報を前記制御対象車両に送信する送信部と、
を備える管制装置。
【請求項2】
前記推定部は、前記障害物情報と、前記車両情報と、前記所定領域の地図情報と、に基づいて、前記制御対象車両の前方を走行する前記非制御対象車両が減速し、かつ、当該非制御対象車両の前方に前記障害物がないと認識した場合に、当該非制御対象車両の挙動として駐車する可能性ありと推定して前記挙動推定結果を出力し、
前記生成部は、前記挙動推定結果に基づいて前記制御対象車両に対する指示情報を生成する場合に、当該非制御対象車両が駐車する場合に対応する前記制御対象車両と当該非制御対象車両との車間距離を決定し、前記車間距離を含めた指示情報を生成する、請求項1に記載の管制装置。
【請求項3】
前記推定部は、前記障害物情報と、前記車両情報と、前記所定領域の地図情報と、に基づいて、前記制御対象車両の前方を走行する前記非制御対象車両が減速し、かつ、当該非制御対象車両の前方に前記障害物がないと認識した場合に、さらに、当該非制御対象車両の周辺に空き駐車スペースがあると認識したときは、当該非制御対象車両の周辺に空き駐車スペースがないと認識したときと比べて、当該非制御対象車両の挙動として駐車する可能性が高いと推定して前記挙動推定結果を出力する、請求項1に記載の管制装置。
【請求項4】
前記生成部は、前記挙動推定結果に基づいて前記制御対象車両に関する目標地点までの複数の経路のそれぞれについて所要時間を計算し、前記所要時間が最小の前記経路を走行経路とする指示情報を生成する、請求項1に記載の管制装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、管制装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、駐車場等の所定領域において、制御対象車両を空き駐車スペース等の目標地点まで自動走行(半自動走行を含む。)させる自動バレー駐車システムの開発が進められている。制御対象車両を自動走行させる場合、例えば、非制御対象車両と適切な車間距離をとるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-215081号公報
【特許文献2】特開平10-181487号公報
【特許文献3】特許第3436202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来技術では、例えば、制御対象車両と非制御対象車両の車間距離を決定する場合に、実際の車間距離のみに基づいて決定しており、非制御対象車両の周辺の交通状況(例えば、歩行者の有無や空き駐車スペースの有無等)を考慮していない。このように、制御対象車両の制御について改善の余地がある。
【0005】
そこで、実施形態の課題の一つは、所定領域において制御対象車両をより適切に制御することができる管制装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の管制装置は、所定領域内に存在する制御対象車両と非制御対象車両のうち前記制御対象車両の走行を制御するシステムにおいて利用される管制装置であって、前記所定領域の状況を検出するために設けられた検出部による検出データに基づいて生成された、前記所定領域内に存在する前記非制御対象車両と歩行者とを含む障害物に関する障害物情報を取得する障害物情報取得部と、前記制御対象車両に関する位置情報を含む車両情報を取得する車両情報取得部と、前記障害物情報と、前記車両情報と、前記所定領域の地図情報と、に基づいて、前記非制御対象車両の挙動を推定して挙動推定結果を出力する推定部と、前記挙動推定結果に基づいて前記制御対象車両に対する指示情報を生成する生成部と、前記指示情報を前記制御対象車両に送信する送信部と、を備える。
これにより、例えば、所定領域において制御対象車両を制御する場合に、障害物情報と、車両情報と、所定領域の地図情報と、に基づいて、非制御対象車両の挙動を推定することで、制御対象車両をより適切に制御することができる。
【0007】
また、実施形態の管制装置において、前記推定部は、前記障害物情報と、前記車両情報と、前記所定領域の地図情報と、に基づいて、前記制御対象車両の前方を走行する前記非制御対象車両が減速し、かつ、当該非制御対象車両の前方に前記障害物がないと認識した場合に、当該非制御対象車両の挙動として駐車する可能性ありと推定して前記挙動推定結果を出力し、前記生成部は、前記挙動推定結果に基づいて前記制御対象車両に対する指示情報を生成する場合に、当該非制御対象車両が駐車する場合に対応する前記制御対象車両と当該非制御対象車両との車間距離を決定し、前記車間距離を含めた指示情報を生成する。
これにより、例えば、制御対象車両の前方を走行する非制御対象車両が駐車する可能性のある場合には、駐車する場合に対応する車間距離をとるように制御対象車両を制御することで、安全性をより向上できる。
【0008】
また、実施形態の管制装置において、前記推定部は、前記障害物情報と、前記車両情報と、前記所定領域の地図情報と、に基づいて、前記制御対象車両の前方を走行する前記非制御対象車両が減速し、かつ、当該非制御対象車両の前方に前記障害物がないと認識した場合に、さらに、当該非制御対象車両の周辺に空き駐車スペースがあると認識したときは、当該非制御対象車両の周辺に空き駐車スペースがないと認識したときと比べて、当該非制御対象車両の挙動として駐車する可能性が高いと推定して前記挙動推定結果を出力する。
これにより、例えば、制御対象車両の前方を走行する非制御対象車両が減速し、かつ、前方に障害物がない場合に、周辺に空き駐車スペースがあるか否かで非制御対象車両が駐車する可能性を異ならせる挙動推定をすることで、制御対象車両をより適切に制御することができる。
【0009】
また、実施形態の管制装置において、前記生成部は、前記挙動推定結果に基づいて前記制御対象車両に関する目標地点までの複数の経路のそれぞれについて所要時間を計算し、前記所要時間が最小の前記経路を走行経路とする指示情報を生成する。
これにより、例えば、非制御対象車両の挙動推定結果に応じて目標地点までの所要時間が最小の経路を走行するように制御対象車両を制御することで、制御対象車両を目標地点までより早く移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態の駐車場管制システム等の構成を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態の管制装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態の管制装置とインフラ設備の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態の管制装置による第1の処理を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、
図4の第1の処理に対応する駐車場の状況の一例を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態の管制装置による第2の処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、
図6の第2の処理に対応する駐車場の状況の第1の例を模式的に示す図である。
【
図8】
図8は、
図6の第2の処理に対応する駐車場の状況の第2の例を模式的に示す図である。
【
図9】
図9は、
図6の第2の処理に対応する駐車場の状況の第3の例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、並びに当該構成によってもたらされる作用、結果、及び効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
【0012】
図1は、実施形態の駐車場管制システムS等の構成を模式的に示す図である。駐車場管制システムSは、管制装置1と、インフラ設備2と、制御対象車両3に搭載された車両制御装置31と、を備える。駐車場管制システムSは、自動バレー駐車システムとも呼ばれ、駐車場P(所定領域)内において制御対象車両3を所定の目標地点(例えば空き駐車スペースや所定の乗降場所等)まで自動走行(半自動走行を含む。)させるシステムである。
【0013】
駐車場P内に存在する車両には、制御対象車両3と非制御対象車両の2種類がある。制御対象車両3は、管制装置1からの指示情報により制御される車両である。制御対象車両3は、自動走行機能を備える移動体であり、その具体的構成は特に限定されず、例えば、内燃機関を駆動源とする自動車(内燃機関自動車)、電動機を駆動源とする自動車(電気自動車、燃料電池自動車等)、それらの双方を駆動源とする自動車(ハイブリッド自動車)等であり得る。非制御対象車両は、駐車場管制システムSの管理下にない車両であり、例えば、手動運転車両や、駐車場管制システムSとは無関係の自動運転車両である。なお、制御対象車両3と非制御対象車両を合わせて「車両」と呼ぶ場合がある。
【0014】
制御対象車両3を制御することにより実現される自動走行には、例えば、自動駐車や自動出庫が含まれる。自動駐車とは、駐車場P内の降車場所において制御対象車両3から乗員が降車した後、当該降車場所に停車した制御対象車両3が所定の指示に応じて降車場所から空き駐車スペースへ自動で移動して駐車する自動運転のことである。また、自動出庫とは、自動駐車が完了した後、駐車スペースに停車した制御対象車両3が所定の呼び出しに応じて出庫して駐車スペースから乗車場所へ自動で移動して停車する自動運転のことである。
【0015】
インフラ設備2は、複数のカメラ21と、各カメラ21により取得された画像データを解析する解析装置22と、を含む。解析装置22は、各カメラ21により取得された画像データに対して各種画像処理を行う情報処理装置である。解析装置22は、例えばプログラムに従って演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)、画像処理に特化したFPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を含むコンピュータである。なお、インフラ設備2は上記に限定されず、例えば、各駐車スペースの使用状況を検知するセンサや、当該センサの検知信号を解析する情報処理装置等を更に含んでもよい。
【0016】
解析装置22は、カメラ21により撮像された障害物(車両、歩行者、落下物等)の種類を判別する画像認識処理(推論処理)や、障害物の位置を駐車場Pにおける座標に変換する座標変換処理等を行う。解析装置22は、障害物の種類、位置、大きさ、移動方向、移動速度、移動加速度等を示す障害物情報を生成する。
【0017】
管制装置1は、制御対象車両3を自動走行させるための指示情報を生成し、指示情報を制御対象車両3に搭載された車両制御装置31に送信する情報処理装置である。管制装置1は、制御対象車両3に関する位置情報を含む車両情報、インフラ設備2から取得した障害物情報、駐車場Pに関する地図情報等に基づいて、各制御対象車両3に対応する指示情報を生成する。地図情報は、駐車場Pの地形的特徴を示す情報であり、例えば走行路における直進路の距離、湾曲路の曲率、道幅、勾配等を示す情報を含む。指示情報には、例えば制御対象となる制御対象車両3の走行経路や、走行経路を走行する際の上限速度等が含まれる。
【0018】
地図情報には、駐車場Pにおいて制御対象車両3が移動可能な走行路を特定可能とするための情報や、走行路における、カメラ21により検出された駐車状況に応じた走行許可領域を特定可能な情報が含まれている。これにより、道幅内で移動経路を変更できるため、対向車とすれ違うように制御対象車両3を右側又は左側に寄せたり、路肩に寄せたりする制御を実現できる。また、駐車場Pにマーカが設置されている場合、地図情報には、マーカに関する情報が含まれる。このため、制御対象車両3に搭載された車両制御装置31は、制御対象車両3に搭載された車載カメラが撮像した画像に含まれているマーカから、駐車場Pにおける制御対象車両3の現在位置を示す位置情報を特定できる。
【0019】
車両制御装置31は、制御対象車両3に搭載され、管制装置1から受信した指示情報に基づいて、制御対象車両3の自動走行を実現するための各種処理を行う情報処理装置である。車両制御装置31は、制御対象車両3の走行機構(制動システム、加速システム、操舵システム、変速システム等)と連携して制御対象車両3を自動走行させる。また、車両制御装置31は、制御対象車両3に関する車両情報を管制装置1に送信する。車両情報には、例えば制御対象車両3を特定する識別番号、制御対象車両3の現在位置を特定する位置情報等が含まれる。車両制御装置31が車両情報を管制装置1に所定時間毎に送信することで、管制装置1は、制御対象車両3の正確な現在位置を認識できる。
【0020】
図2は、実施形態の管制装置1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。管制装置1は、CPU11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、通信デバイス14、入出力デバイス15、及びストレージ16を含む。これらのハードウェアはバス17を介して互いに接続されている。
【0021】
CPU11は、管制装置1を統括的に制御するハードウェアプロセッサである。CPU11は、ROM12やストレージ16に記憶された各種の制御プログラム(オペレーションシステム、アプリケーションプログラム、ファームウェア等)を読み出し、所定の演算処理を実行する。ROM12は、不揮発性の主記憶装置であり、制御プログラムの他に、各種処理の実行に必要なパラメータ等を記憶する。RAM13は、CPU11の作業領域として利用される揮発性の主記憶装置である。
【0022】
通信デバイス14は、管制装置1と外部装置(解析装置22、車両制御装置31等)との間で通信を確立するインターフェースである。例えば、通信デバイス14は、管制装置1と外部装置との間でWi-Fi(登録商標)等の規格に準ずる無線通信を確立する。
【0023】
入出力デバイス15は、オペレータからの入力操作の受け付け及びオペレータに対する情報の出力を可能にするユーザインターフェースである。入出力デバイス15は、例えばキーボード、マウス、タッチパネル機構、マイク、ディスプレイ、スピーカ等であり得る。
【0024】
ストレージ16は、書き換え可能な不揮発性の補助記憶装置である。ストレージ16は、例えばSSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)等である。
【0025】
なお、
図2に示すハードウェア構成は単なる例示であり、管制装置1は使用状況に応じて適宜なハードウェア及びソフトウェアを利用して構築可能である。
【0026】
図3は、実施形態の管制装置1とインフラ設備2の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0027】
インフラ設備2は、撮像部201、画像取得部202、画像認識部203、座標変換部204を含む。
【0028】
撮像部201は、駐車場P内を撮像する。撮像部201は、例えば、走行路を走行している車両、駐車場P内を歩行している歩行者、駐車場P内に設けられた建造物等を撮像する。撮像部201は、複数のカメラ21等により構成される。本実施形態では、所定領域の一例である駐車場Pの状況(例えば障害物)を検出するために設けられた検出部の一例として、撮像部201を用いている。なお、障害物を検出するための検出部は、撮像部201(カメラ21)に限定されず、例えば、超音波ソナー、ミリ波レーダ等であってもよい。
【0029】
画像取得部202は、撮像部201により撮像された画像データを取得する。画像取得部202は、解析装置22等により構成される。
【0030】
画像認識部203は、画像取得部202により取得された画像データを用いて、撮像データ中の物体(障害物)の種類を判別する画像認識処理(推論処理)を行う。画像認識部203は、解析装置22等により構成される。
【0031】
座標変換部204は、画像データにおける障害物の位置を駐車場Pに関する座標(例えば、二次元マップ座標、三次元空間座標など)に変換する座標変換処理を行う。座標変換部204は、解析装置22等により構成される。
【0032】
管制装置1は、機能構成として、データ取得部101、駐車場管理部111、走行管理部121、障害物管理部131、生成部141、送信部151を備える。これらの機能構成は、
図2に示すハードウェア構成により実現される。
【0033】
データ取得部101は、外部装置からデータを取得する。データ取得部101は、障害物情報取得部102、車両情報取得部103を備える。障害物情報取得部102は、インフラ設備2から障害物情報を取得する。車両情報取得部103は、車両制御装置31から車両情報を取得する。
【0034】
駐車場管理部111は、駐車場Pの駐車スペースの位置、交差点の位置、横断歩道の位置などを含む地図情報などの駐車場情報の管理を行う。
【0035】
走行管理部121は、制御対象車両3の経路生成等を行う。
【0036】
障害物管理部131は、車両挙動推定部132(推定部)を備える。車両挙動推定部132は、障害物情報と、車両情報と、駐車場Pの地図情報と、に基づいて、非制御対象車両の挙動を推定して挙動推定結果を出力する。
【0037】
例えば、車両挙動推定部132は、障害物情報と、車両情報と、駐車場Pの地図情報と、に基づいて、制御対象車両3の前方を走行する非制御対象車両が減速し、かつ、当該非制御対象車両の前方に障害物がないと認識した場合に、当該非制御対象車両の挙動として駐車する可能性ありと推定して挙動推定結果を出力する。
【0038】
また、例えば、車両挙動推定部132は、障害物情報と、車両情報と、駐車場Pの地図情報と、に基づいて、制御対象車両3の前方を走行する非制御対象車両が減速し、かつ、当該非制御対象車両の前方に障害物がないと認識した場合に、さらに、当該非制御対象車両の周辺に空き駐車スペースがある(
図8)と認識したときは、当該非制御対象車両の周辺に空き駐車スペースがない(
図9)と認識したときと比べて、当該非制御対象車両の挙動として駐車する可能性が高いと推定して挙動推定結果を出力する。
【0039】
つまり、非制御対象車両が実際に動作してからその挙動を検知するのではなく、非制御対象車両の周辺の交通状況から前もって非制御対象車両の挙動を推定する。なお、上述の推定のほか、具体的には、例えば、前方に歩行者がいる非制御対象車両は減速して停止すると推定したり、その後続の非制御対象車両も減速して停止すると推定したりすることができる。
【0040】
生成部141は、挙動推定結果に基づいて制御対象車両3に対する指示情報を生成する。例えば、生成部141は、挙動推定結果に基づいて制御対象車両3に対する指示情報を生成する場合に、前方の非制御対象車両が駐車する場合に対応する制御対象車両3と当該非制御対象車両との車間距離を決定し、車間距離を含めた指示情報を生成する。
【0041】
また、例えば、生成部141は、挙動推定結果に基づいて制御対象車両に関する目標地点までの複数の経路のそれぞれについて所要時間を計算し、所要時間が最小の経路を走行経路とする指示情報を生成する。
【0042】
送信部151は、指示情報送信部152を備える。指示情報送信部152は、指示情報を車両制御装置31に送信する。
【0043】
次に、
図4、
図5を参照して、実施形態の管制装置1による第1の処理について説明する。
図4は、実施形態の管制装置1による第1の処理を示すフローチャートである。
図5は、
図4の第1の処理に対応する駐車場の状況の一例を模式的に示す図である。
図5では、制御対象車両3の前方の非制御対象車両93の前方の横断歩道91に歩行者92が存在する。
【0044】
まず、ステップS11において、障害物管理部131は、駐車場管理部111から駐車場情報(駐車スペースの位置、交差点の位置、横断歩道の位置などを含む地図情報など)を取得する。
【0045】
次に、ステップS12において、車両情報取得部103は、車両制御装置31から車両情報を取得する。
【0046】
次に、ステップS13において、障害物情報取得部102は、インフラ設備2から障害物情報を取得する。
【0047】
次に、ステップS14において、車両挙動推定部132は、駐車場情報、車両情報、障害物情報に基づいて、非制御対象車両の状態を認識する。非制御対象車両の状態とは、走行、停車、出庫、入庫などの車両動作や速度、向きなどの情報である。
【0048】
次に、ステップS15において、車両挙動推定部132は、走行中の非制御対象車両の前方に横断歩道を横断する歩行者が存在するか否かを判定し、Yesの場合はステップS16に進み、Noの場合はステップS17に進む。
【0049】
ステップS16において、車両挙動推定部132は、その非制御対象車両は停車し、歩行者が前方からいなくなるまで停車を継続すると挙動を推定する(
図5)。
【0050】
ステップS17において、車両挙動推定部132は、その非制御対象車両はそのまま走行すると挙動を推定する。
【0051】
ステップS16、S17の後、ステップS18において、生成部141は、挙動推定結果に基づいて制御対象車両3に対する指示情報を生成する。例えば、ステップS16を経由している場合は、指示情報として減速指示の情報を入れる。
【0052】
次に、ステップS19において、指示情報送信部152は、指示情報を車両制御装置31に送信する。
【0053】
続いて、
図6~
図9を参照して、実施形態の管制装置1による第2の処理について説明する。
図6は、実施形態の管制装置1による第2の処理を示すフローチャートである。
図7、
図8、
図9は、それぞれ、
図6の第2の処理に対応する駐車場の状況の第1の例、第2の例、第3の例を模式的に示す図である。
図7では、制御対象車両3の前方の非制御対象車両93の前方に歩行者92が存在する。
図8では、制御対象車両3の前方の非制御対象車両93の周辺に空き駐車スペース94が存在する。
図9では、制御対象車両3の前方の非制御対象車両93の周辺に空き駐車スペースが存在しない。また、
図4と同様の事項については説明を適宜、省略または簡略化する。
【0054】
まず、ステップS21において、障害物管理部131は、駐車場管理部111から駐車場情報を取得する。
【0055】
次に、ステップS22において、車両情報取得部103は、車両制御装置31から車両情報を取得する。
【0056】
次に、ステップS23において、障害物情報取得部102は、インフラ設備2から障害物情報を取得する。
【0057】
次に、ステップS24において、車両挙動推定部132は、駐車場情報、車両情報、障害物情報に基づいて、非制御対象車両の状態を認識する。
【0058】
次に、ステップS25において、車両挙動推定部132は、制御対象車両3の前方を走行中の非制御対象車両が減速したか否かを判定し、Yesの場合はステップS26に進み、Noの場合は処理を終了する。
【0059】
ステップS26において、車両挙動推定部132は、その非制御対象車両の前方に歩行者が存在するか否かを判定し、Yesの場合はステップS30に進み、Noの場合はステップS27に進む。
【0060】
ステップS27において、車両挙動推定部132は、その非制御対象車両の周辺に空き駐車スペースが存在するか否かを判定し、Yesの場合はステップS28に進み、Noの場合はステップS29に進む。
【0061】
ステップS28において、車両挙動推定部132は、その非制御対象車両は駐車する可能性が高いと挙動を推定する(
図8)。
【0062】
ステップS29において、車両挙動推定部132は、その非制御対象車両は駐車する可能性ありと挙動を推定する(
図9)。これは、周辺に空き駐車スペースがなくても、非制御対象車両が前方に歩行者がいないのに減速したということは、例えば、周辺の駐車スペースのいずれかにまもなく出庫しそうな車両があって、非制御対象車両の運転者はその車両が出庫した後に駐車しようと考えている可能性があるからである。
【0063】
ステップS30において、車両挙動推定部132は、その非制御対象車両は停車し、歩行者が前方からいなくなるまで停車を継続すると挙動を推定する(
図7)。
【0064】
ステップS28、S29、S30の後、ステップS31において、生成部141は、挙動推定結果に基づいて制御対象車両3に対する指示情報を生成する。例えば、ステップS29を経由している場合は、前方の非制御対象車両の駐車動作に備えて、指示情報における車間距離を長めにする。また、例えば、ステップS28を経由している場合は、前方の非制御対象車両の駐車動作に備えて、指示情報における車間距離をさらに長めにする。また、ステップS28、S29を経由している場合、前方の非制御対象車両が駐車動作することによって制御対象車両3の経路を変えたほうが目標地点までの所要時間が短くなると推定されるときは、指示情報における経路を変える。
【0065】
次に、ステップS32において、指示情報送信部152は、指示情報を車両制御装置31に送信する。
【0066】
このように、本実施形態の管制装置1によれば、駐車場Pにおいて制御対象車両3を制御する場合に、障害物情報と、車両情報と、駐車場Pの地図情報と、に基づいて、非制御対象車両の挙動を推定することで、制御対象車両3をより適切に制御することができる。
【0067】
例えば、制御対象車両3の前方を走行する非制御対象車両が駐車する可能性のある場合には、駐車する場合に対応する車間距離をとるように制御対象車両3を制御することで、安全性をより向上できる。
【0068】
また、制御対象車両3の前方を走行する非制御対象車両が減速し、かつ、その非制御対象車両の前方に障害物がない場合に、周辺に空き駐車スペースがあるか否かで駐車する可能性を異ならせる挙動推定をすることで、制御対象車両3をより適切に制御することができる。
【0069】
また、非制御対象車両の挙動推定結果に応じて目標地点までの所要時間が最小の経路を走行するように制御対象車両3を制御することで、制御対象車両3を目標地点までより早く移動させることができる。
【0070】
つまり、非制御対象車両の挙動を推定することで、制御対象車両3への制御を機敏に行うことができ、接触、衝突等の危険をより確実に回避できる。また、制御対象車両3の経路決定時に最適な経路を選択することができ、スムーズな交通システムを実現することができる。
【0071】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態および変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態や変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各実施形態や各変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。
【0072】
例えば、減速した非制御対象車両の挙動を推定する場合、減速の理由は、上述の前方の歩行者の存在や駐車予定のほかに、交差点における他車両との接触回避や、他車両とのすれ違い時における接触回避等も考えられるので、それらも踏まえて、最適な経路を選択したり、制御対象車両3への指示情報を生成したりするようにしてもよい。
【0073】
また、制御対象車両3について、前方の非制御対象車両の挙動推定結果に応じて減速、停車させるときに、後方車両に減速、停車を知らせるためにハザードランプを点灯させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…管制装置、2…インフラ設備、3…制御対象車両、11…CPU、12…ROM、13…RAM、14…通信デバイス、15…入出力デバイス、16…ストレージ、17…バス、21…カメラ、22…解析装置、31…車両制御装置、91…横断歩道、92…歩行者、93…非制御対象車両、94…空き駐車スペース、101…データ取得部、102…障害物情報取得部、103…車両情報取得部、111…駐車場管理部、121…走行管理部、131…障害物管理部、132…車両挙動推定部、141…生成部、151…送信部、152…指示情報送信部、201…撮像部、202…画像取得部、203…画像認識部、204…座標変換部、P…駐車場、S…駐車場管制システム