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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123582
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】管制装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20220817BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20220817BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20220817BHJP
   B60W 30/06 20060101ALI20220817BHJP
   B60W 30/08 20120101ALI20220817BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 F
G01C21/34
B60W30/06
B60W30/08
B60W40/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021020977
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 陽香
(72)【発明者】
【氏名】田中 優
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 幸紀子
(72)【発明者】
【氏名】野村 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】浅井 彰司
【テーマコード(参考)】
2F129
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB15
2F129DD20
2F129DD63
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF20
3D241BA21
3D241BA31
3D241CE01
3D241CE02
3D241CE04
3D241CE05
3D241DC25Z
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC14
5H181KK08
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL08
5H181LL17
(57)【要約】
【課題】所定領域において制御対象車両を制御する場合に、より適切な走行計画を算出する。
【解決手段】実施形態の管制装置は、所定領域内に存在する制御対象車両の走行を制御するシステムにおいて利用される管制装置であって、所定領域の状況を検出するために設けられた検出部による検出データに基づいて生成された、所定領域内に存在する非制御対象車両と歩行者とを含む障害物に関する障害物情報を取得する障害物情報取得部と、制御対象車両に関する位置情報を含む車両情報を取得する車両情報取得部と、障害物情報と、車両情報と、所定領域の地図情報と、に基づいて、非制御対象車両の挙動を推定して挙動推定結果を出力する推定部と、挙動推定結果に基づいて制御対象車両の走行計画を算出する算出部と、走行計画に基づいて制御対象車両に対する指示情報を生成する生成部と、指示情報を制御対象車両に送信する送信部と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定領域内に存在する制御対象車両と非制御対象車両のうち前記制御対象車両の走行を制御するシステムにおいて利用される管制装置であって、
前記所定領域の状況を検出するために設けられた検出部による検出データに基づいて生成された、前記所定領域内に存在する前記非制御対象車両と歩行者とを含む障害物に関する障害物情報を取得する障害物情報取得部と、
前記制御対象車両に関する位置情報を含む車両情報を取得する車両情報取得部と、
前記障害物情報と、前記車両情報と、前記所定領域の地図情報と、に基づいて、前記非制御対象車両の挙動を推定して挙動推定結果を出力する推定部と、
前記挙動推定結果に基づいて前記制御対象車両の走行計画を算出する算出部と、
前記走行計画に基づいて前記制御対象車両に対する指示情報を生成する生成部と、
前記指示情報を前記制御対象車両に送信する送信部と、
を備える管制装置。
【請求項2】
前記算出部は、
前記挙動推定結果に基づいて前記制御対象車両の走行計画を算出する場合に、
前記所定領域内の目標地点までの複数の経路のそれぞれについて、経路上の前記障害物に基づいて安全性の指標値と、所要時間と、を算出し、
前記指標値と前記所要時間とに基づいて、前記複数の経路から1つの経路を選択し、選択した経路を含む前記走行計画を算出する、請求項1に記載の管制装置。
【請求項3】
前記制御対象車両が出庫する場合、
前記算出部は、前記挙動推定結果と、前記目標地点への移動完了日時として予約された予約日時と、に基づいて、前記制御対象車両の制御開始日時を含む前記走行計画を算出する、請求項2に記載の管制装置。
【請求項4】
前記制御対象車両が入庫する場合、
前記算出部は、前記指標値と前記所要時間とが所定条件を満たした場合に、前記制御対象車両を前記所定領域内の一時退避スペースで待機させることを含む前記走行計画を算出する、請求項2に記載の管制装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、管制装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、駐車場等の所定領域において、制御対象車両を空き駐車スペース等の目標地点まで自動走行(半自動走行を含む。)させる自動バレー駐車システムの開発が進められている。また、その場合に、複数の経路のうち、過去の交通データを用いて所要時間(走行時間)が一番短いと推定される経路を選択して走行計画を算出する技術もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-196136号公報
【特許文献2】特開2018-097536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来技術では、現時点の交通状況が過去の交通データと異なっている場合があり、制御対象車両の走行計画の算出に改善の余地がある。
【0005】
そこで、実施形態の課題の一つは、所定領域において制御対象車両を制御する場合に、より適切な走行計画を算出することができる管制装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の管制装置は、所定領域内に存在する制御対象車両と非制御対象車両のうち前記制御対象車両の走行を制御するシステムにおいて利用される管制装置であって、前記所定領域の状況を検出するために設けられた検出部による検出データに基づいて生成された、前記所定領域内に存在する前記非制御対象車両と歩行者とを含む障害物に関する障害物情報を取得する障害物情報取得部と、前記制御対象車両に関する位置情報を含む車両情報を取得する車両情報取得部と、前記障害物情報と、前記車両情報と、前記所定領域の地図情報と、に基づいて、前記非制御対象車両の挙動を推定して挙動推定結果を出力する推定部と、前記挙動推定結果に基づいて前記制御対象車両の走行計画を算出する算出部と、前記走行計画に基づいて前記制御対象車両に対する指示情報を生成する生成部と、前記指示情報を前記制御対象車両に送信する送信部と、を備える。
これにより、例えば、所定領域において制御対象車両を制御する場合に、非制御対象車両の挙動を推定することでより適切な走行計画を算出することができる。
【0007】
また、実施形態の管制装置において、前記算出部は、前記挙動推定結果に基づいて前記制御対象車両の走行計画を算出する場合に、前記所定領域内の目標地点までの複数の経路のそれぞれについて、経路上の前記障害物に基づいて安全性の指標値と、所要時間と、を算出し、前記指標値と前記所要時間とに基づいて、前記複数の経路から1つの経路を選択し、選択した経路を含む前記走行計画を算出する。
これにより、例えば、安全性の指標値と所要時間とを算出して用いることで、複数の経路からより適切な1つの経路を選択して走行計画に含めることができる。
【0008】
また、実施形態の管制装置において、前記制御対象車両が出庫する場合、前記算出部は、前記挙動推定結果と、前記目標地点への移動完了日時として予約された予約日時と、に基づいて、前記制御対象車両の制御開始日時を含む前記走行計画を算出する。
これにより、例えば、制御対象車両が出庫する場合、目標地点へ予約日時により確実に移動できるように、制御対象車両の適切な制御開始日時を走行計画に含めることができる。
【0009】
また、実施形態の管制装置において、前記制御対象車両が入庫する場合、前記算出部は、前記指標値と前記所要時間とが所定条件を満たした場合に、前記制御対象車両を前記所定領域内の一時退避スペースで待機させることを含む前記走行計画を算出する。
これにより、例えば、制御対象車両が入庫する場合、他車両の走行への影響も考慮し、安全性の指標値と所要時間とが所定条件を満たした場合に、制御対象車両を一時退避スペースで待機させることを走行計画に含めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態の駐車場管制システム等の構成を模式的に示す図である。
図2図2は、実施形態の管制装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態の管制装置とインフラ設備の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態の管制装置による処理を示すフローチャートである。
図5図5は、図4の処理に対応する駐車場の状況の第1の例を模式的に示す図である。
図6図6は、図4の処理に対応する駐車場の状況の第2の例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、並びに当該構成によってもたらされる作用、結果、及び効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
【0012】
図1は、実施形態の駐車場管制システムS等の構成を模式的に示す図である。駐車場管制システムSは、管制装置1と、インフラ設備2と、制御対象車両3に搭載された車両制御装置31と、ユーザ端末4と、を備える。駐車場管制システムSは、自動バレー駐車システムとも呼ばれ、駐車場P(所定領域)内において制御対象車両3を所定の目標地点(例えば空き駐車スペースや所定の乗車場所等)まで自動走行(半自動走行を含む。)させるシステムである。
【0013】
駐車場P内に存在する車両には、制御対象車両3と非制御対象車両の2種類がある。制御対象車両3は、管制装置1からの指示情報により制御される車両である。制御対象車両3は、自動走行機能を備える移動体であり、その具体的構成は特に限定されず、例えば、内燃機関を駆動源とする自動車(内燃機関自動車)、電動機を駆動源とする自動車(電気自動車、燃料電池自動車等)、それらの双方を駆動源とする自動車(ハイブリッド自動車)等であり得る。非制御対象車両は、駐車場管制システムSの管理下にない車両であり、例えば、手動運転車両や、駐車場管制システムSとは無関係の自動運転車両である。なお、制御対象車両3と非制御対象車両を合わせて「車両」と呼ぶ場合がある。
【0014】
制御対象車両3を制御することにより実現される自動走行には、例えば、自動入庫や自動出庫が含まれる。自動入庫とは、駐車場P内の降車場所において制御対象車両3から乗員が降車した後、当該降車場所に停車した制御対象車両3が所定の指示に応じて降車場所から空き駐車スペースへ自動で移動して駐車する自動運転のことである。また、自動出庫とは、自動入庫が完了した後、駐車スペースに停車した制御対象車両3が所定の呼び出しに応じて出庫して駐車スペースから乗車場所へ自動で移動して停車する自動運転のことである。
【0015】
インフラ設備2は、複数のカメラ21と、各カメラ21により取得された画像データを解析する解析装置22と、を含む。解析装置22は、各カメラ21により取得された画像データに対して各種画像処理を行う情報処理装置である。解析装置22は、例えばプログラムに従って演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)、画像処理に特化したFPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を含むコンピュータである。なお、インフラ設備2は上記に限定されず、例えば、各駐車スペースの使用状況を検知するセンサや、当該センサの検知信号を解析する情報処理装置等を更に含んでもよい。
【0016】
解析装置22は、カメラ21により撮像された障害物(車両、歩行者、落下物等)の種類を判別する画像認識処理(推論処理)や、障害物の位置を駐車場Pにおける座標に変換する座標変換処理等を行う。解析装置22は、障害物の種類、位置、大きさ、移動方向、移動速度、移動加速度等を示す障害物情報を生成する。
【0017】
管制装置1は、ユーザ端末4から受信した制御対象車両3の入出庫指示や予約情報に基づいて、制御対象車両3を自動走行させるための走行計画を算出し、走行計画に基づいて指示情報を生成し、指示情報を制御対象車両3に搭載された車両制御装置31に送信する情報処理装置である。管制装置1は、制御対象車両3に関する位置情報を含む車両情報、インフラ設備2から取得した障害物情報、駐車場Pに関する地図情報等に基づいて、各制御対象車両3に対応する走行計画を算出する。地図情報は、駐車場Pの地形的特徴を示す情報であり、例えば走行路における直進路の距離、湾曲路の曲率、道幅、勾配等を示す情報を含む。指示情報には、例えば制御対象となる制御対象車両3の走行経路や、走行経路を走行する際の上限速度等が含まれる。
【0018】
また、地図情報には、駐車場Pにおいて制御対象車両3が移動可能な走行路を特定可能とするための情報や、走行路における、カメラ21により検出された駐車状況に応じた走行許可領域を特定可能な情報が含まれている。これにより、道幅内で移動経路を変更できるため、対向車とすれ違うように制御対象車両3を右側又は左側に寄せたり、路肩に寄せたりする制御を実現できる。また、駐車場Pにマーカが設置されている場合、地図情報には、マーカに関する情報が含まれる。このため、制御対象車両3に搭載された車両制御装置31は、制御対象車両3に搭載された車載カメラが撮像した画像に含まれているマーカから、駐車場Pにおける制御対象車両3の現在位置を示す位置情報を特定できる。
【0019】
車両制御装置31は、制御対象車両3に搭載され、管制装置1から受信した指示情報に基づいて、制御対象車両3の自動走行を実現するための各種処理を行う情報処理装置である。車両制御装置31は、制御対象車両3の走行機構(制動システム、加速システム、操舵システム、変速システム等)と連携して制御対象車両3を自動走行させる。また、車両制御装置31は、制御対象車両3に関する車両情報を管制装置1に送信する。車両情報には、例えば制御対象車両3を特定する識別番号、制御対象車両3の現在位置を特定する位置情報等が含まれる。車両制御装置31が車両情報を管制装置1に所定時間毎に送信することで、管制装置1は、制御対象車両3の正確な現在位置を把握できる。
【0020】
ユーザ端末4は、制御対象車両3の乗員が使用する情報処理装置であり、例えばスマートフォン、タブレット端末等である。ユーザ端末4は、乗員による操作に基づいて、制御対象車両3の入出庫指示や予約情報を管制装置1に通知する。
【0021】
図2は、実施形態の管制装置1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。管制装置1は、CPU11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、通信デバイス14、入出力デバイス15、及びストレージ16を含む。これらのハードウェアはバス17を介して互いに接続されている。
【0022】
CPU11は、管制装置1を統括的に制御するハードウェアプロセッサである。CPU11は、ROM12やストレージ16に記憶された各種の制御プログラム(オペレーションシステム、アプリケーションプログラム、ファームウェア等)を読み出し、所定の演算処理を実行する。ROM12は、不揮発性の主記憶装置であり、制御プログラムの他に、各種処理の実行に必要なパラメータ等を記憶する。RAM13は、CPU11の作業領域として動作する揮発性の主記憶装置である。
【0023】
通信デバイス14は、管制装置1と外部装置(解析装置22、車両制御装置31、ユーザ端末4等)との間で通信を確立するインターフェースである。例えば、通信デバイス14は、管制装置1と外部装置との間でWi-Fi(登録商標)等の規格に準ずる無線通信を確立する。
【0024】
入出力デバイス15は、オペレータからの入力操作の受け付け及びオペレータに対する情報の出力を可能にするユーザインターフェースである。入出力デバイス15は、例えばキーボード、マウス、タッチパネル機構、マイク、ディスプレイ、スピーカ等であり得る。
【0025】
ストレージ16は、書き換え可能な不揮発性の補助記憶装置である。ストレージ16は、例えばSSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)等である。
【0026】
なお、図2に示すハードウェア構成は単なる例示であり、管制装置1は使用状況に応じて適切なハードウェア及びソフトウェアを利用して構築可能である。
【0027】
図3は、実施形態の管制装置1とインフラ設備2の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0028】
インフラ設備2は、撮像部201、画像取得部202、画像認識部203、座標変換部204を含む。
【0029】
撮像部201は、駐車場P内を撮像する。撮像部201は、例えば、走行路を走行している制御対象車両3、駐車場P内を歩行している歩行者、駐車場P内に設けられた建造物等を撮像する。撮像部201は、複数のカメラ21等により構成される。本実施形態は、所定領域の一例である駐車場Pの状況(例えば障害物)を検出するために設けられた検出部の一例として、撮像部201を用いる。なお、障害物を検出するための検出部は、撮像部201(カメラ21)に限定されず、例えば、超音波ソナー、ミリ波レーダ等であってもよい。
【0030】
画像取得部202は、撮像部201により撮像された画像データを取得する。画像取得部202は、解析装置22等により構成される。
【0031】
画像認識部203は、画像取得部202により取得された画像データを用いて、撮像データ中の物体(障害物)の種類を判別する画像認識処理(推論処理)を行う。画像認識部203は、解析装置22等により構成される。
【0032】
座標変換部204は、障害物の位置を駐車場Pに関する座標(二次元マップ座標、三次元空間座標など)に変換する座標変換処理を行う。座標変換部204は、解析装置22等により構成される。
【0033】
管制装置1は、機能構成として、データ取得部101、地図情報管理部111、駐車状況表示部121、走行計画算出部131、データ送信部141を備える。これらの機能構成は、図2に示すハードウェア構成により実現される。
【0034】
データ取得部101は、外部装置からデータを取得する。具体的には、データ取得部101は、障害物情報取得部102、車両情報取得部103、端末情報取得部104を備える。障害物情報取得部102は、解析装置22から障害物情報を取得する。車両情報取得部103は、車両制御装置31から車両情報を取得する。端末情報取得部104は、ユーザ端末4から端末情報(制御対象車両3の入出庫指示や予約情報)を取得する。
【0035】
地図情報管理部111は、駐車場Pの地図情報の管理を行う。
【0036】
駐車状況表示部121は、駐車場Pにおける駐車状況を表示する。
【0037】
走行計画算出部131は、挙動推定結果に基づいて制御対象車両の走行計画を算出する。具体的には、走行計画算出部131は、車両挙動推定部132(推定部)、駐車場状況管理部133、走行経路算出部134、走行時間算出部135を備える。
【0038】
車両挙動推定部132は、障害物情報と、車両情報と、駐車場Pの地図情報と、に基づいて、非制御対象車両の挙動を推定して挙動推定結果を出力する。例えば、車両挙動推定部132は、制御対象車両3の前方を走行する非制御対象車両が減速し、かつ、当該非制御対象車両の前方に障害物がないと認識した場合に、当該非制御対象車両の挙動として駐車する可能性ありと推定して挙動推定結果を出力する。
【0039】
また、例えば、車両挙動推定部132は、制御対象車両3の前方を走行する非制御対象車両が減速し、かつ、当該非制御対象車両の前方に障害物がないと認識した場合に、さらに、当該非制御対象車両の周辺に空き駐車スペースがあると認識したときは、当該非制御対象車両の周辺に空き駐車スペースがないと認識したときと比べて、当該非制御対象車両の挙動として駐車する可能性が高いと推定して挙動推定結果を出力する。
【0040】
つまり、非制御対象車両が実際に動作してからその挙動を検知するのではなく、非制御対象車両の周辺の交通状況から前もって非制御対象車両の挙動を推定する。なお、上述の推定のほか、具体的には、例えば、前方に歩行者がいる非制御対象車両は減速して停止すると推定したり、その後続の非制御対象車両も減速して停止すると推定したりすることができる。
【0041】
駐車場状況管理部133は、障害物情報と、駐車場Pの地図情報と、に基づいて、駐車場Pの状況(例えば障害物)を管理する。
【0042】
走行経路算出部134は、障害物情報と、車両情報と、駐車場Pの地図情報と、に基づいて、制御対象車両3の現在位置から目標地点までの複数の経路(経路候補)を算出する。
【0043】
走行時間算出部135は、障害物情報と、駐車場Pの地図情報と、に基づいて、経路ごとに走行時間(所要時間)を算出する。
【0044】
また、走行計画算出部131は、目標地点までの複数の経路のそれぞれについて、経路上の障害物に基づいて安全性の指標値と、所要時間と、を算出し、指標値と所要時間とに基づいて、複数の経路から1つの経路を選択し、選択した経路を含む走行計画を算出するようにしてもよい。
【0045】
また、制御対象車両3が出庫する場合、走行計画算出部131は、挙動推定結果と、目標地点への移動完了日時として予約された予約日時と、に基づいて、制御対象車両の制御開始日時を含む走行計画を算出するようにしてもよい。
【0046】
また、制御対象車両3が入庫する場合、走行計画算出部131は、指標値と所要時間とが所定条件を満たした場合に、制御対象車両を所定領域内の一時退避スペースで待機させることを含む走行計画を算出するようにしてもよい。
【0047】
データ送信部141は、指示情報生成部142(生成部)を備える。指示情報生成部142は、走行計画に基づいて制御対象車両3に対する指示情報を生成する。データ送信部141は、指示情報を制御対象車両3に送信する。
【0048】
次に、図4図6を参照して、実施形態の管制装置1による処理について説明する。図4は、実施形態の管制装置1による処理を示すフローチャートである。図5は、図4の処理に対応する駐車場の状況の第1の例を模式的に示す図である。図6は、図4の処理に対応する駐車場の状況の第2の例を模式的に示す図である。なお、以下の処理では、車両情報取得部103は、制御対象車両3の現在位置の情報を含む車両情報を車両制御装置31から定期的に取得しているものとする。
【0049】
まず、ステップS1において、端末情報取得部104は、ユーザ端末4から端末情報として制御対象車両3の出庫の予約時間を取得する。
【0050】
次に、ステップS2において、障害物情報取得部102は、解析装置22から障害物情報を取得する。
【0051】
次に、ステップS3において、車両挙動推定部132は、障害物情報と、車両情報と、駐車場Pの地図情報と、に基づいて、非制御対象車両の走行(挙動)を推定する。例えば、図5に示すように、非制御対象車両C1の走行を予測する場合、前方に入庫中の車両C2が存在する場合、別の経路(車両C2が存在しない経路)を選択する可能性が高いと推定する。また、前方に他車両が停車していた場合、別の経路を選択する可能性が高いと推定する。
【0052】
図4に戻って、次に、ステップS4において、走行計画算出部131は、目標地点までの複数の経路(経路候補)のそれぞれについて、経路上の障害物に基づいて安全性の指標値を算出する。例えば、図6に示すように、制御対象車両3の現在位置から、建物Bの前の目標駐車区画A(目標地点)まで、経路候補1~3がある。
【0053】
その経路候補1~3について、走行した場合に経路上に存在すると推定される他車両の数(以下、「推定他車両数」ともいう。)と、経路上の歩行者の数(以下、「歩行者数」ともいう。)に基づいて、以下の式(1)によって指標値を算出する。
指標値=推定他車両数×第1の重み係数+歩行者数×第2の重み係数 ・・・式(1)
【0054】
経路候補1について、推定他車両数は「1」(車両C1)で、歩行者数は「2」(歩行者W1、W2)である。
経路候補2について、推定他車両数は「1」(車両C2)で、歩行者数は「1」(歩行者W3)である。
経路候補3について、推定他車両数は「0」で、歩行者数は「0」である。
【0055】
また、例えば、第1の重み係数が「1」で、第2の重み係数が「2」であるものとする。そうすると、経路候補1~3のそれぞれの指標値は、式(1)により、「5」、「3」、「0」と算出される。
【0056】
図4に戻って、次に、ステップS5において、走行時間算出部135は、経路候補1~3のそれぞれについて、走行時間(所要時間)を算出(推定)する。例えば、経路候補1~3のそれぞれの走行時間は、「30秒」、「35秒」、「35秒」であったものとする。
【0057】
次に、ステップS6において、走行計画算出部131は、安全性の指標値と所要時間とに基づいて、複数の経路から1つの経路を決定(選択)する。つまり、安全で、かつ、所要時間の短い最適な経路を決定する。
【0058】
具体的には、例えば、以下の式(2)で求めた合計値が最小の経路を選択する。
合計値=指標値×第3の重み係数+所要時間×第4の重み係数・・・式(2)
【0059】
また、例えば、第3の重み係数が「3」で、第4の重み係数が「1」であるものとする。そうすると、経路候補1~3のそれぞれの合計値は、「45」、「44」、「35」となる。その場合、経路候補3を経路として決定する。走行計画算出部131は、この経路を含む走行計画を算出する。
【0060】
次に、ステップS7において、指示情報生成部142は、走行計画に基づいて制御対象車両3に対する指示情報を生成する。
【0061】
次に、ステップS8において、データ送信部141は、指示情報を制御対象車両3に送信する。
【0062】
なお、上述の処理は、制御対象車両3の走行前だけでなく、制御対象車両3の走行中も適宜実行し、経路を臨機応変に変えることができる。
【0063】
また、制御対象車両3の入庫時の場合も、同様の処理を実施し、経路を選択する。ただし、この場合、所要時間もしくは安全性を示す指標値が大きい場合、無理に自動走行せず、駐車場P内に設けた一時退避スペースで待機するようにしてもよい。つまり、走行計画算出部131は、指標値と所要時間とが所定条件を満たした場合に、制御対象車両3を駐車場P内の一時退避スペースで待機させることを含む走行計画を算出する。所定条件とは、例えば、指標値が指標値閾値を超えたことと、所要時間が所要時間閾値を超えたことの、いずれかの条件を満たした場合であればよいが、これに限定されない。
【0064】
このように、本実施形態の管制装置1によれば、駐車場Pにおいて制御対象車両3を制御する場合に、非制御対象車両の挙動を推定することでより適切な走行計画を算出することができる。
【0065】
また、安全性の指標値と所要時間とを算出して用いることで、複数の経路からより適切な1つの経路を選択して走行計画に含めることができる。つまり、他車両との接触や、歩行者との接触の可能性をなるべく低くした経路を選択できる。
【0066】
また、制御対象車両3が出庫する場合、目標地点へ予約日時により確実に移動できるように、制御対象車両3の適切な制御開始日時を走行計画に含めることができる。
【0067】
また、制御対象車両3が入庫する場合、他車両の走行への影響も考慮し、安全性の指標値と所要時間とが所定条件を満たした場合に、制御対象車両3を一時退避スペースで待機させることを走行計画に含めることができる。
【0068】
一方、従来技術で、複数の経路のうち、過去の交通データを用いて所要時間が一番短いと推定される経路を選択して走行計画を算出する技術では、現時点の交通状況が過去の交通データと異なっている場合もあり、制御対象車両の走行計画の算出に改善の余地がある。例えば、選択した経路に歩行者が多くいる場合等、走行上危険な場合がある。本実施形態によれば、安全性の指標値を用いて経路を選択することで、そのような危険を回避できる。
【0069】
また、従来技術では、特定の制御対象車両について最短時間の走行計画を算出して走行させしたとしても、他車両の走行を阻害する可能性があり、駐車場全体で見たときに効率的であるとは言えない。本実施形態によれば、安全性の指標値と所要時間に基づいて制御対象車両3を一時退避スペースで待機させることで、そのような事態を回避できる。そして、例えば、駐車場P内の車両全体の滞留を最小限にするように、各制御対象車両3を制御できる。
【0070】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態および変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態や変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各実施形態や各変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。
【0071】
例えば、減速した非制御対象車両の挙動を推定する場合、減速の理由は、交差点における他車両との接触回避や、他車両とのすれ違い時における接触回避等も考えられるので、それらも踏まえて制御対象車両3の走行計画を算出するようにしてもよい。
【0072】
また、制御対象車両3について、前方の非制御対象車両の挙動推定結果に応じて停車させるときに、後方車両に停車を知らせるためにハザードランプを点灯させるようにしてもよい。
【0073】
また、上述の式(1)、式(2)、第1の重み係数~第4の重み係数などは例であって、上述のものに限定されない。
【符号の説明】
【0074】
1…管制装置、2…インフラ設備、3…制御対象車両、11…CPU、12…ROM、13…RAM、14…通信デバイス、15…入出力デバイス、16…ストレージ、17…バス、21…カメラ、22…解析装置、31…車両制御装置、101…データ取得部、102…障害物情報取得部、103…車両情報取得部、104…端末情報取得部、111…地図情報管理部、121…駐車状況表示部、131…走行計画算出部、132…車両挙動推定部、133…駐車場状況管理部、134…走行経路算出部、135…走行時間算出部、141…データ送信部、142…指示情報生成部、201…撮像部、202…画像取得部、203…画像認識部、204…座標変換部、P…駐車場、S…駐車場管制システム
図1
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図3
図4
図5
図6