(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123639
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】キャッパー
(51)【国際特許分類】
B67B 3/20 20060101AFI20220817BHJP
【FI】
B67B3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021072
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】516166317
【氏名又は名称】株式会社サイレック
(74)【代理人】
【識別番号】100187296
【弁理士】
【氏名又は名称】桜井 重夫
(72)【発明者】
【氏名】横原 大
【テーマコード(参考)】
3E080
【Fターム(参考)】
3E080AA07
3E080CD08
3E080CF07
3E080CF15
3E080EE10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ボトルの口部に人手により予めキャップをかみ合わせることなく、単にボトルの口部に人手によりキャップを乗せた状態で供給するだけで、確実にキャップをボトルの口部に締め付けることができる安価なキャッパーを提供する。
【解決手段】ボトルの口部に載置したキャップに対してその両側から互いに逆方向に回動して圧接する一対の離間可能なキャップ締付回動体1を、それぞれが相対峙する位置においてそれぞれ回動方向に向けて水平方向よりも斜め下方にとなるように傾斜配設した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定位置に停止、固定されるボトルの口部に載置したキャップに対してその両側から圧接する一対の離間可能なキャップ締付回動体を有し、一対の該キャップ締付回動体を互いに逆方向に回動させることによりこれらに圧接する上記キャップを回転させて上記ボトル口部に締め付けるキャッパーであって、一対の上記キャップ締付回動体をそれぞれが相対峙する位置においてそれぞれ回動方向に向けて水平方向よりも斜め下方にとなるように傾斜配設したことを特徴とするキャッパー。
【請求項2】
キャップ締付回動体が複数のローラーとそれらの外側に張架されたエンドレスベルト又は紐とを主体として構成されており、上記複数のローラーが、少なくとも上記エンドレスベルト又は紐を駆動する駆動ローラーと、上記エンドレスベルト又は紐を張架する張架ローラーを含むことを特徴とする請求項1項に記載のキャッパー。
【請求項3】
キャップ締付回動体の傾斜配設角度が微調整可能であることを特徴とする請求項1項又は請求項2項に記載のキャッパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトルの口部に載置したキャップに対してその両側から圧接する一対の離間可能なキャップ締付回動体を有し、一対の該キャップ締付回動体を互いに逆方向に回動させることによりこれらに圧接する上記キャップを回転させて上記ボトル口部に締め付けるキャッパーに関するもので、特に、ボトルの口部にキャップを人手により軽くねじ込む作業を要することなく、単にボトルの口部にキャップを乗せた状態であれば、確実にキャップをボトルの口部に締め付けることができるキャッパーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ボトルの口部に載置したキャップに対してその両側から圧接する一対の離間可能な回動ベルトを互いに逆方向に回動させることによりこれらに圧接するキャップを回転させてボトル口部に締め付けるベルト式キャッパーが知られている。このようなキャッパーは特許文献1に示されるとおりであり、一対の回動ベルトは何れも水平に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のベルト式キャッパーは、一対の回動ベルトが何れも水平に回動するため、キャップの上下動をコントロールすることは不可能であるとされていた問題があった。そして、一般にベルト式キャッパーにおいては、ネジの入り口を機械で探すことは困難とされているため、キャッパーへの供給に先立って、ボトルの口部にキャップを置きつつネジ山を入れ込む作業は人手により行っている。なお、キャップを下に押し込むためキャップの中心部を押下する機構を附属させたベルト式キャッパーも存在するが、押下する速度やストロークの調整が困難であった。
【0005】
本発明の目的は、上述のような従来のベルト式キャッパーの問題を解決することであり、ボトルの口部にキャップを人手により軽くねじ込む作業を要することなく、単にボトルの口部にキャップを乗せた状態であれば、確実にキャップをボトルの口部に締め付けることができる安価で新規なキャッパーを提供することによりこの問題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するため、所定位置に停止、固定されるボトルの口部に載置したキャップに対してその両側から圧接する一対の離間可能なキャップ締付回動体を有し、一対の該キャップ締付回動体を互いに逆方向に回動させることによりこれらに圧接する上記キャップを回転させて上記ボトル口部に締め付けるキャッパーであって、一対の上記キャップ締付回動体をそれぞれが相対峙する位置においてそれぞれ回動方向に向けて水平方向よりも斜め下方にとなるように傾斜配設したことを特徴とするキャッパーを提供するものである。
【0007】
また、本発明の好ましい実施態様においては、キャップ締付回動体は、複数のローラーとそれらの外側に張架されたエンドレスベルト又は紐とを主体として構成されており、上記複数のローラーが、少なくとも上記エンドレスベルト又は紐を駆動する駆動ローラーと、上記エンドレスベルト又は紐を張架する張架ローラーを含んでいる。
【0008】
また、本発明の別の好ましい実施態様においては、キャップ締付回動体の傾斜配設角度が微調整可能とされている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のキャッパーは、上述のように構成されているため、ボトルの口部にキャップを人手により軽くねじ込む作業を要することなく、単にボトルの口部にキャップを乗せた状態であれば、確実にキャップをボトルの口部に締め付けることができるという効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明のキャッパーの一実施例の要部の模式的な斜視図である。
【
図3】
図1のキャッパーの要部の具体的な斜視図である。
【
図4】
図1のキャッパーのほぼ全体を示す斜視図である。
【実施例0011】
図1~
図3は、本発明のキャッパーの一実施例のキャップ締付回動体を示すもので、1はキャップ締付回動体である。キャップ締付回動体1は左右一対あり、所定位置に停止、固定されるボトルの口部に載置したキャップに対してその両側から圧接するように、互いに矢印で示す如く離間可能に構成されている。そして、一対のキャップ締付回動体1をそれぞれが相対峙する位置においてそれぞれ矢印で示す回動方向に向けて水平方向(
図1及び
図2に一点鎖線で示した)よりも斜め下方にとなるように傾斜配設されている。尚、
図1及び
図2において、左右一対のキャップ回動体1により締め付けられるキャップは右手方向から進行してくる。
【0012】
実施例について更に詳述すると、一対のキャップ締付回動体1は、それぞれ、相対峙する側の3つのフリーローラー11を有し、駆動ローラー12、張架ローラー13と、これらの外側に張架されたエンドレスベルト14で構成されている。この場合ベルト14が相対峙する位置においてそれぞれ回動方向に向けて水平方向よりも斜め下方にとなるように配設されている。張架ローラー13はベルト14を付勢して張架設する働きを有する。尚、この種のベルト14としては幅12mm程度のものが用いられることが多いが、幅6mm程度ものを使用した方がベルト14でキャップを挟んだ際にキャップが水平になり易く、キャップのボルト口部への締付を円滑に行うことができる。ベルト14は締付トルクを気にしなければ、細い方が円滑な締付を行うことができ、いわゆるOリングのような丸ベルトを用いることもできる。
【0013】
一対のキャップ締付回動体1は、それぞれ、ローラー11,12,13を固定することにより固定板15に固定(
図6、
図7参照)されている。この一対の固定板15がガイドに沿って離間可能に構成されている。離間は圧縮空気を利用して行われており、レギュレターを用いて程よい圧力でボトル上のキャップに締付回動体1が圧接するように構成されている。
【0014】
実施例のキャッパー全体について説明すると、
図3~
図5において、2はベルトコンベアで、図面上手前から奥に向かって一定速度で駆動される。コンベア2としては表面が比較的滑りの良い材質、構造のものが使用されている。コンベア2にはその手前側からボトル21が供給される。供給されるボトルには例えば化粧水等が充填され、同じくキャップ22をボトル21の口部に載せた状態でコンベア2上に人手によりボトル21を立てた状態で供給される。このとき従来のようにキャップ22をボトル21に一まわり程ねじ込む必要はない。ただ単にキャップ22をボトル21の口部に被せて載せるだけで充分である。
【0015】
3はコンベア2の直上に配置された左右一対のガイドで、ベルトコンベア2上に供給されたボトル21を、ベルトコンベア2の進行に従ってベルトコンベア2の幅方向中央に位置決めをするものである。一対のガイド3間の間隔はボトル21の大きさ等に応じて調整できるように構成されている。4はフレームで、このフレーム4に対してガイド3が位置決め可能に固定されている。
【0016】
5はガイド3のベルトコンベア2の直上且つ進行方向側に位置させた左右一対のクランプで、前記の左右一対の締付回動体1の下方に対応位置させて配設されている。この左右一対のクランプ5は、ベルトコンベア2上をガイド3を経て供給されるボトル21(キャップ22が被されて載せられたボトル21)に両側から圧接するもので、左右一対の締付回動体1と同様に離間可能に構成されている。その離間は、左右一対の締付回動体1と同様に圧縮空気を利用して行われており、それらの接近時においてレギュレターを用いて程よい圧力でボトル2を保持することができるように構成されている。ベルトコンベア2は前述のように表面の滑りが良いから、ベルトコンベア2の進行にもかかわらず、クランプ5による保持によってボトル21はベルトコンベア2上において所定位置に停止、固定される。
【0017】
一対のクランプ5及び締付回動体1について更に詳述すると、まずクランプ5については、一対の左右クランプ5の間隔は通常時は開いており、ボトル21の大きさ等に応じて、ベルトコンベア2の進行に従ってボトル21をそれらの間に位置できるように構成されている。これらはフレーム4に対してクランプ5をボトル21の大きさ等に応じて位置決め可能にとすることにより達成されている。クランプ5によるボトル21の保持は、この実施例の場合、ガイド3によって導かれるボトル21をレーザー検知器(図示せず)で検知し、その信号に基づいて、所定時間経過後前述の圧縮空気を作動させて一対のクランプ5の間隔を狭めるように移動させて行われる。
【0018】
上記の点は締付回動体1についても同様で、一対の左右締付回動体1の間隔は通常時は開いており、キャップ22の大きさ等に応じて、一対のクランプ5によって所定位置に保持固定されたボトル21に被せられ載せられたキャップ22をそれらの間に位置できるように構成されている。これらはフレーム4に対して締付回動体1をキャップ22の大きさ等に応じて位置決め可能にとすることにより達成されている。締付回動体1によるキャップ22の圧接は、この実施例の場合、ボトル21が左右一対のクランプ5によって保持された直後に前述の圧縮空気を作動させて一対の締付回動体1の間隔を狭めるように移動させて行われる。回動体1の回動は常時行うように調整しても良いし、圧接後回動を開始するように調整しても良い。加えて、一対の締付回動体1は、フレーム4に対して高さ調整可能に構成されており、各種のボトル21のキャップの高さに応じてキャップ22の両側から確実に圧接できるように構成されている。
【0019】
尚、
図4及び
図5において、41は制御盤で、ベルトコンベア2の開始、停止及び速度、ベルトコンベア2上を供給されるボトル21のレーザー検知器による検知からクランプ5が解放状態から接近状態を開始するまでの時間、クランプ5による接近状態の継続時間、その後のクランプ5の解放開始時間、締付回動体1が解放状態から接近状態を開始する時間、締付回動体1の接近係属時間、その後の締付回動体1の解放開始時間、締付回動体1の回動速度及び回動係属時間等を制御できるように構成されている。42は実施例のキャッパーの高さ調節可能な脚部で、キャッパーはその脚部42をベルトコンベア2の両外側に位置させてベルトコンベア2上方に据え置かれる。また、
図3~
図5において、19はノズル付きキャップを処理する場合の案内ロッドで、図示のものは収納状態にあり、使用時には下部の軸を中心に先端が広くなるように水平に突き出させ、ベルトコンベア2上を進行するボルト21に載せられたキャップ22のノズルの向きをベルトコンベア2の進行に従ってベルトコンベア2の進行方向又はその逆方向に揃えて、横向きでノズルが締付回動体1に衝突するのを防止するものである。
【0020】
次に、実施例の動作について説明する。まず、作業者は、例えば無菌室においてボトル21内に化粧水等を充填し、充填後キャップ22をボトル21の口部に被せて載置し、これをベルトコンベア2上に置けば良い。この際、キャップ22をボトルの口部に軽くでも捻じ込む必要はない。
【0021】
ベルトコンベア2に置かれたボトル21は、ベルトコンベア2の進行に伴って左右一対のガイド3に案内されベルトコンベア2の幅方向の位置が調整されつつ左右一対のクランプ5間に至る。左右一対のクランプ5間にボトル21が到達すると、離間可能な左右一対のクランプ5が接近し、これらの間にボトル21が保持固定される。
【0022】
ボトル21がクランプ5によって保持固定されると、ボトル21の口部に載せられたキャップ22が左右一対の締付回動体1の間に位置することになり、直後に左右一対の締付回動体1の間隔が狭まるように両側から接近し、左右一対の締付回動体1がキャップ22に圧接し、キャップ22が締付回動体1の回動により回転し、キャップ22はボトル21の口部に締め付けられる。このとき、左右一対の締付回動体1は、互いに逆方向に回動さしており、且つそれぞれが相対峙する位置においてそれぞれ回動方向に向けて水平方向よりも斜め下方にとなるように傾斜配設されているから、キャプ21には回動方向且つ下方に力が作用することになるため、キャップ22は確実にボトル21の口部に締め付けられる。
【0023】
キャップ21が締め付けられると、左右一対の締付回動体1の間は解放され、左右一対のクランプ5の間も解放され、キャップ22の締め付けられたボトル21は、ベルトコンベア2に従って次の工程、例えば梱包作業の工程に送り出される。つまり、実施例の場合、無菌室で中身が充填されたボトルが無菌室出口前に据え置かれた本発明のキャッパーによってキャップ22がボトル21の口部に確実に締め付けられ、そのままベルトコンベア2によって無菌室を出て次の梱包工程等に送出される。そして、本発明のキャッパーによって以上の動作が繰り返される。
【0024】
本発明において、一対の締付回動体1の相対峙する位置における傾斜配設角度は水平に対して一般的には2~4度とするのが好ましい。キャプ22やボトル21の口部のリード角によっても異なるが、一般的にはリード角より若干角度を大きくした方が好ましい結果が得られる。2度よりも傾斜配設の角度が小さいと、キャップ22への下方への力の作用が少なく、充分なキャップ22の締付を行えない可能性が大きくなり、従来品よりも効果が出ないおそれがある。4度よりも大きいと、キャップ22とボトル21の口部とが噛み合ってしまう事態が生じ易く、好ましくない。
【0025】
図6~
図8は締付回動体1の傾斜配設角度の微調整を行う手段を示すもので、これによって最適な締付回動体1の傾斜配設角度を微調整するためのものである。左右一対の締付回動体1は、
図6~
図8に示す如く、それぞれ、離間可能な前記の固定板15に直接固定されておらず、角度付留め板16を介して固定板15に固定されている。即ち、角度付留め板16には、特に
図7に示す如く約2度の角度がつけられており、その4隅をボルト17により固定される一方、ボルト17の緊結具合を調整しつつ、中央部の押しボルト18によって押しボルト18の緊結することにより固定板15と角度付留め板16との取り付け角度を設定できるように構成されており、結果として、角度付留め板16に固定された締付回動体1の傾斜配設角度を1~4度、好ましくは1~3度の間で調整できるように構成されている。傾斜配設角度が5度になると、キャップ14をベルト14で挟んだ際に、キャップが捻じれてしまい、キャップが挟まれた状態でロックした状態になり、回転が止まってしまう不具合が生じ易くなり適切ではない。
【0026】
固定版15と角度付留め板16の固定方法としては、上記のように固定板15と角度付留め板16とを予め1度から4度まで1度おきに固定できるような調整貫通孔を固定版15に複数個設けるとともに、それぞれの調整貫通孔に対応するように角度付留め板16にネジ孔を設け、そのうちの1つの調整貫通孔を選択してその外側からボルトを調整貫通孔内を貫通させてネジ孔に螺合緊結することにより固定版15と角度付留め板15を所定の角度で固定することもできる。
【0027】
本発明のキャパーにおいて、一対の上記キャップ締付回動体をそれぞれが相対峙する位置においてそれぞれ回動方向に向けて水平方向よりも斜め下方にとなるように傾斜配設してあるので、単にボトルの口部にキャップを乗せた状態であれば、確実にキャップをボトルの口部に締め付けることができるのであるが、場合によっては、一対のベルト間にボトルが到達した時点で、ボトルに載せられたキャップを上方に吸引してキャップを一旦水平に保持した上、キャップを押し下げながらキャプをボトル口部に押し下げる機構を設けることもでき、この機構を設けた場合、より確実にキャップをボトル口部に締め付けることができる。この場合は、ベルト14はキャプの押し下げ時に回転させるようにする。このような機構としては、例えば、鉛直に上下動するロッドの下部に下方の開口した円筒状の
筒を設け、円筒内を減圧する手段を設けて構成できる。
本発明のキャッパーは、比較的処理量の多くないボトル21へのキャップ22に最適であり、特に実施例に示す如く微妙な作業を要求される無菌室での比較的高価な中身の充填作業を伴う分野において特に有効利用され得るものである。