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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123669
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】チューブポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 5/00 20060101AFI20220817BHJP
【FI】
F04C5/00 341M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021120
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】591257111
【氏名又は名称】サーパス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】今井 弘
(57)【要約】
【課題】一対の駆動部から一対の接触部に駆動力を伝達する際に発生する振動を抑制する。
【解決手段】チューブ200に接触しながら軸線X回りに回転する第1ローラ部10および第2ローラ部20と、軸線X上に配置されるとともに第1ローラ部10に連結される駆動軸30と、軸線X上に配置されるとともに第2ローラ部20に連結される駆動筒40と、駆動軸30を軸線X回りに所定方向に回転させるとともに軸線X回りに回転する第1駆動軸51を有する第1駆動部50と、駆動筒40を軸線X回りに所定方向に回転させるとともに軸線X回りに回転する第2駆動筒61を有する第2駆動部60と、を備え、駆動軸30は、第2駆動部60を軸線Xに沿って貫通するように配置され、駆動筒40は、駆動軸30の外周側に駆動軸30と独立して軸線X回りに回転可能に配置されるチューブポンプ100を提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線回りに円弧状に形成されるとともに可撓性のチューブが配置される内周面を有する収容部と、
前記収容部に収容される前記チューブに接触しながら前記軸線回りに回転する第1接触部と、
前記チューブに接触しながら前記軸線回りに回転する第2接触部と、
前記軸線上に配置されるとともに前記第1接触部に連結される駆動軸と、
前記軸線上に配置されるとともに前記第2接触部に連結される駆動筒と、
前記駆動軸を前記軸線回りに所定方向に回転させるとともに前記軸線回りに回転する第1駆動部材を有する第1駆動部と、
前記駆動筒を前記軸線回りに前記所定方向に回転させるとともに前記軸線回りに回転する第2駆動部材を有する第2駆動部と、を備え、
前記駆動軸は、前記第2駆動部を前記軸線に沿って貫通するように配置され、
前記駆動筒は、前記駆動軸の外周側に前記駆動軸と独立して前記軸線回りに回転可能に配置されるチューブポンプ。
【請求項2】
前記第1駆動部は、前記所定方向に前記第1駆動部材を回転させる第1パルスモータを有し、
前記第2駆動部は、前記所定方向に前記第2駆動部材を回転させる第2パルスモータを有し、
前記第1駆動部材は、前記駆動軸と一体に回転するように連結されており、
前記第2駆動部材は、前記駆動筒と一体に回転するように連結されている請求項1に記載のチューブポンプ。
【請求項3】
前記第1接触部に固定される外輪と前記第2接触部に固定される内輪とを有するラジアル軸受を備える請求項1または請求項2に記載のチューブポンプ。
【請求項4】
前記第1駆動部および前記第2駆動部は、前記軸線に直交する方向に沿った前記第1駆動部の第1配置位置と前記第2駆動部の第2配置位置とが重複するように配置されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のチューブポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可撓性を有するチューブを複数のローラによって間欠的に押し潰すことによってチューブ内の液体を圧送するチューブポンプが知られている(例えば、特許文献1参照)。チューブポンプは、間欠的に液体を圧送するため、圧送される液体に脈動(流量の増減が繰り返される状態)が生じる。
【0003】
特許文献1は、このような脈動を抑制するために、一対のローラ部の一方がチューブから離間する離間位置を通過する際に、一対のローラ部との接触により閉塞されたチューブ内の液体の圧力を上昇させることを開示する。特許文献1によれば、チューブ内の液体の圧力を上昇させることにより、チューブポンプ側に液体が引き込まれる現象を抑制することができる。
【0004】
特許文献1に開示されるチューブポンプにおいて、一対のローラ部の一方を駆動する駆動軸は、駆動軸と同軸に配置される第1駆動部の第1駆動軸により駆動される。一方、一対のローラ部の他方を駆動する駆動筒は、駆動筒とは同軸ではない異なる位置に配置される第2駆動部の第2駆動軸により駆動される。第2駆動部が発生する駆動力は、第2駆動軸に取り付けられた第1ギヤ部から駆動筒に取り付けられた第2ギヤ部に伝達される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-67054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されるチューブポンプは、一対のローラ部の他方を駆動する駆動筒と第2駆動部の第2駆動軸とが同軸に配置されないため、第2駆動軸に取り付けられた第1ギヤ部から駆動筒に取り付けられた第2ギヤ部に駆動力を伝達する際に振動が発生してしまう。第2駆動軸から駆動筒へ駆動力を伝達するための第1ギヤ部および第2ギヤ部が必要となるため、構造が複雑となるとともに部品点数や組立工数が増加し、製造コストが増加してしまう。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、一対の接触部をそれぞれ異なる駆動部により独立して駆動させて一対の駆動部から一対の接触部に駆動力を伝達する際に、駆動力の伝達により発生する振動を抑制するとともに製造コストを低減することが可能なチューブポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明の一態様にかかるチューブポンプは、軸線回りに円弧状に形成されるとともに可撓性のチューブが配置される内周面を有する収容部と、前記収容部に収容される前記チューブに接触しながら前記軸線回りに回転する第1接触部と、前記チューブに接触しながら前記軸線回りに回転する第2接触部と、前記軸線上に配置されるとともに前記第1接触部に連結される駆動軸と、前記軸線上に配置されるとともに前記第2接触部に連結される駆動筒と、前記駆動軸を前記軸線回りに所定方向に回転させるとともに前記軸線上に配置される第1駆動軸を有する第1駆動部と、前記駆動筒を前記軸線回りに前記所定方向に回転させるとともに前記軸線上に配置される第2駆動軸を有する第2駆動部と、を備え、前記駆動軸は、前記第2駆動部を前記軸線に沿って貫通するように配置され、前記駆動筒は、前記駆動軸の外周側に前記駆動軸と独立して前記軸線回りに回転可能に配置される。
【0009】
本発明の一態様にかかるチューブポンプによれば、第1接触部および第2接触部と、これらをそれぞれ軸線回りに所定方向に回転させる第1駆動部および第2駆動部を有するため、収容部により軸線回りに円弧状に保持されたチューブに接触しながら回転する一対のローラ部を、軸線回りに独立に回転させることができる。第1駆動部が第1駆動部材を軸線回りに所定方向に回転させる駆動力は、第2駆動部を軸線に沿って貫通する駆動軸を介して第1接触部に伝達される。また、第2駆動部が第2駆動部材を軸線回りに所定方向に回転させる駆動力は、駆動筒を介して第2接触部に伝達される。
【0010】
本発明の一態様にかかるチューブポンプによれば、第1駆動部が第1駆動部材を駆動軸と同軸に回転させて駆動力を伝達し、かつ第2駆動部が第2駆動部材を駆動筒と同軸に回転させて駆動力を伝達する。そのため、第1駆動部から駆動軸への駆動力の伝達にギヤを用いる必要がなく、かつ第2駆動部から駆動筒への駆動力の伝達にギヤを用いる必要がない。よって、一対の接触部をそれぞれ異なる駆動部により独立して駆動させて一対の駆動部から一対の接触部に駆動力を伝達する際に、駆動力の伝達により発生する振動を抑制するとともに製造コストを低減することが可能なチューブポンプを提供することができる。
【0011】
本発明の一態様にかかるチューブポンプにおいて、前記第1駆動部は、前記所定方向に前記第1駆動部材を回転させる第1パルスモータを有し、前記第2駆動部は、前記所定方向に前記第2駆動部材を回転させる第2パルスモータを有し、前記第1駆動部材は、前記駆動軸と一体に回転するように連結されており、前記第2駆動部材は、前記駆動筒と一体に回転するように連結される構成としてもよい。
【0012】
本構成のチューブポンプによれば、第1パルスモータを有する第1駆動部により駆動軸が第1駆動部材と一体に回転し、第2パルスモータを有する第2駆動部により駆動筒が第2駆動部材と一体に回転する。第1パルスモータが第1駆動部材を回転させる回転速度と同じ速度で駆動軸が回転するため、第1パルスモータが減速機を介して駆動軸を回転させる場合に比べ、所定の回転速度で駆動軸を回転させる際の第1パルスモータの回転速度を低くすることができる。
【0013】
同様に、第2パルスモータが第2駆動部材を回転させる回転速度と同じ速度で駆動筒が回転するため、第2パルスモータが減速機を介して駆動筒を回転させる場合に比べ、所定の回転速度で駆動筒を回転させる際の第2パルスモータの回転速度を低くすることができる。このように、駆動軸および駆動筒を所定の回転速度で回転させる際のパルスモータの回転速度を低くすることにより、駆動軸および駆動筒を高速で回転させる際にパルスモータが脱調する不具合を抑制することができる。
【0014】
本発明の一態様にかかるチューブポンプにおいて、前記第1接触部に固定される外輪と前記第2接触部に固定される内輪とを有するラジアル軸受を備える構成としてもよい。
本構成のチューブポンプによれば、駆動軸に連結される第1接触部がラジアル軸受の外輪に固定され、駆動筒に連結される第2接触部がラジアル軸受の内輪に固定される。駆動軸および駆動筒は、それぞれラジアル軸受の外輪および内輪に対して位置決めされる。そのため、駆動軸および駆動筒を、それぞれ確実に同軸に配置して互いに接触しない状態で独立して軸線回りに回転させることができる。
【0015】
本発明の一態様にかかるチューブポンプにおいて、前記第1駆動部および前記第2駆動部は、前記軸線に直交する方向に沿った前記第1駆動部の第1配置位置と前記第2駆動部の第2配置位置とが重複するように配置されている構成とするのが好ましい。
本構成のチューブポンプによれば、軸線に直交する方向に沿った第1駆動部の第1配置位置と第2駆動部の第2配置位置とが重複するため、これらが重複しない場合に比べ、チューブポンプの軸線に直交する方向(径方向)の大きさを小さくすることができる。そのため、第1駆動部および第2駆動部を設置するのに必要な径方向のスペースを小さくすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、一対の接触部をそれぞれ異なる駆動部により独立して駆動させて一対の駆動部から一対の接触部に駆動力を伝達する際に、駆動力の伝達により発生する振動を抑制するとともに製造コストを低減することが可能なチューブポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】チューブポンプの一実施形態を示す平面図である。
図2図1に示すチューブポンプのA-A矢視縦断面図である。
図3図1に示す第1駆動部が第1ローラ部に駆動力を伝達する構造を示す縦断面図である。
図4図1に示す第2駆動部が第2ローラ部に駆動力を伝達する構造を示す縦断面図である。
図5図1に示すチューブポンプの制御構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態のチューブポンプ(蠕動ポンプ;peristaltic pump)100について図面を参照して説明する。図1は、チューブポンプ100の一実施形態を示す平面図である。図2は、図1に示すチューブポンプ100のA-A矢視縦断面図である。
【0019】
図1に示す本実施形態のチューブポンプ100は、軸線X(第1軸線)回りに第1ローラ部10と第2ローラ部20とを同方向に回転させることにより、流入側200aから流入するチューブ200内の液体を流出側200bへ吐出させる装置である。
【0020】
図1の平面図に示すように、チューブポンプ100には、第1ローラ部10および第2ローラ部20を収容する収容部82の内周面82aに沿って、軸線X回りに円弧状に可撓性のチューブ200が配置される。内周面82aは、軸線X回りに円弧状に形成されるとともにチューブ200が配置される面である。収容部82は、軸線Xに沿った一端側に向けて開口するとともに第1ローラ部10および第2ローラ部20を収容する凹所82bを有する。
【0021】
図1に示すように、収容部82に収容される第1ローラ部10および第2ローラ部20は、チューブ200に接触しながら反時計回りの回転方向(図1中に矢印で示す方向)に沿って軸線X回りに回転する。
【0022】
図2に示すように、本実施形態のチューブポンプ100は、チューブ200を閉塞した状態で軸線X回りに回転する第1ローラ部(第1接触部)10および第2ローラ部(第2接触部)20と、軸線X上に配置されるとともに第1ローラ部10に連結される駆動軸30と、第2ローラ部20に連結される駆動筒40と、駆動軸30に駆動力を伝達する第1駆動部50と、駆動筒40に駆動力を伝達する第2駆動部60と、ラジアル軸受70とを備える。
【0023】
第1ローラ部10は、チューブ200と接触しながら軸線Xと平行な軸線回りに回転する第1ローラ11と、軸線X回りに一体に回転するように駆動軸30に連結された第1ローラ支持部材12と、両端部が第1ローラ支持部材12に支持されるとともに第1ローラ11を軸線Y1(図3参照)回りに回転可能に取り付ける第1ローラシャフト13とを有する。
【0024】
第1駆動部50は、第1ローラ部10を軸線X回りに反時計回りの回転方向に回転させる駆動力を駆動軸30に伝達する。第1ローラ支持部材12は、駆動軸30に連結されるとともに第1ローラ11を支持しながら軸線回りに反時計回りに回転する。
【0025】
第2ローラ部20は、チューブ200と接触しながら軸線Xと平行な軸線回りに回転する第2ローラ21と、軸線X回りに一体に回転するように駆動筒40に連結された第2ローラ支持部材22と、両端部が第2ローラ支持部材22に支持されるとともに第2ローラ21を軸線Y2(図4参照)回りに回転可能に取り付ける第2ローラシャフト23とを有する。
【0026】
第2駆動部60は、第2ローラ部20を軸線X回りに反時計回りの回転方向に回転させる駆動力を駆動筒40に伝達する。第2ローラ支持部材22は、駆動筒40に連結されるとともに第2ローラ21を支持しながら軸線回りに反時計回りに回転する。
【0027】
第1駆動部50はケーシング(図示略)に固定されており、第2駆動部60は、ケーシングの一部を構成する収容部82に締結ボルト60aにより固定されている。収容部82は、第1ローラ部10と第2ローラ部20とを収容するための部材である。第1駆動部50と第2駆動部60との間には、後述する第1パルスモータ52と第2パルスモータ62が軸線X方向に一定の距離を空けるように、スペーサ65が配置されている。
【0028】
次に、第1駆動部50が第1ローラ部10に駆動力を伝達する構造について、図2および図3を参照して説明する。図3において、実線で示す部分が、第1駆動部50の駆動力を第1ローラ部10に伝達する構造を構成する部分である。
【0029】
図2に示すように、第1駆動部50は、軸線X回りに回転する第1駆動軸(第1駆動部材)51と、第1パルスモータ52と、連結部材53とを有する。第1駆動軸51には、止めネジ53aにより軸線Xに沿って筒状に延びる連結部材53が固定されている。また、駆動軸30には、止めネジ53bにより連結部材53が固定されている。
【0030】
第1駆動軸51が連結部材53を介して駆動軸30に連結される。そのため、第1駆動部50は、第1パルスモータ52で第1駆動軸51を軸線X回りに所定方向に回転させることにより、駆動軸30を軸線X回りに所定方向に回転させる。
【0031】
連結部材53には、連結部材53とともに軸線X回りに回転する位置検出用部材53cが取り付けられている。位置検出用部材53cは、円環状に形成される外周縁部に軸線X回りの周方向に第1ローラ部10の軸線X回りの回転位置を検出するためのスリット(図示略)が形成されている。
【0032】
図2に示すように、位置検出用部材53cの外周縁部を挟み込むように第1位置検出センサ54が配置されている。第1位置検出センサ54は、位置検出用部材53cを挟み込む一対の面の一方に発光素子を配置し、他方に受光素子を配置したセンサである。第1位置検出センサ54は、位置検出用部材53cの軸線X回りの回転に伴ってスリットにより発光素子が発光する光が通過することを受光素子で検知することにより、第1ローラ部10が軸線X回りのどの位置に配置されているかを示す回転位置を検出し、制御部90(図5参照)へ送信する。
【0033】
図3に示すように、駆動軸30は、先端が第1ローラ支持部材12に連結される。第1ローラ支持部材12は、ラジアル軸受70の外輪71に固定される。駆動軸30は、第1ローラ支持部材12を介して、ラジアル軸受70に軸線X回りに回転可能に支持される。そのため、駆動軸30は、中心軸を軸線X上に保持した状態で軸線X回りに円滑に回転する。以上のように、第1駆動部50が第1駆動軸51を軸線X回りに回転させる駆動力は、第1駆動軸51から駆動軸30を介して第1ローラ部10に伝達される。
【0034】
次に、第2駆動部60が第2ローラ部20に駆動力を伝達する構造について、図2および図4を参照して説明する。図4において、実線で示す部分が、第2駆動部60の駆動力を第2ローラ部20に伝達する構造を構成する部分である。
【0035】
図2に示すように、第2駆動部60は、軸線X上に配置される第2駆動筒(第2駆動部材)61と、第2パルスモータ62とを有する。第2駆動筒61の内周面は駆動筒40の外周面に固定されている。そのため、第2駆動部60は、第2パルスモータ62で第2駆動筒61を軸線X回りに所定方向に回転させることにより、駆動筒40を軸線X回りに所定方向に回転させる。
【0036】
図2に示すように、駆動筒40の外周面には、駆動筒40とともに軸線X回りに回転する位置検出用部材63が取り付けられている。位置検出用部材63は、円環状に形成される外周縁部に軸線X回りの周方向に第2ローラ部20の軸線X回りの回転位置を検出するためのスリット(図示略)が形成されている。
【0037】
図2に示すように、位置検出用部材63の外周縁部を挟み込むように第2位置検出センサ64が配置されている。第2位置検出センサ64は、上面側および下面側の一方に発光素子を配置し、上面側および下面側の他方に受光素子を配置したセンサである。第2位置検出センサ64は、位置検出用部材63の軸線X回りの回転に伴ってスリットにより発光素子が発光する光が通過することを受光素子で検知することにより、第2ローラ部20が軸線X回りのどの位置に配置されているかを示す回転位置を検出し、制御部90(図5参照)へ送信する。
【0038】
図4に示すように、駆動筒40は、止めネジ41により先端が第2ローラ支持部材22に連結される。第2ローラ支持部材22は、ラジアル軸受70の内輪72に固定される。駆動筒40は、第2ローラ支持部材22を介して、ラジアル軸受70に軸線X回りに回転可能に支持される。
【0039】
そのため、駆動筒40は、中心軸を軸線X上に保持した状態で軸線X回りに円滑に回転する。以上のように、第2駆動部60が第2駆動筒61を軸線X回りに回転させる駆動力は、第2駆動筒61から駆動筒40を介して第2ローラ部20に伝達される。
【0040】
図2に示すように、駆動軸30は、第2駆動部60の第2パルスモータ62を軸線Xに沿って貫通するように配置されている。また、駆動筒40は、第2駆動部60の第2パルスモータ62を軸線Xに沿って貫通するように配置されている。
【0041】
そして、駆動軸30は第1ローラ支持部材12を介してラジアル軸受70の外輪71に固定され、駆動筒40は第2ローラ支持部材22を介してラジアル軸受70の内輪72に固定される。そのため、駆動筒40は、駆動軸30の外周側に駆動軸30と独立して軸線X回りに回転可能に配置される。
【0042】
図2に示すように、第1駆動部50および第2駆動部60は、軸線Xに直交する径方向RDに沿った第1パルスモータ52の第1配置位置と、第2パルスモータ62の第2配置位置とが一致するように配置されている。そのため、これらが径方向RDで一致しない場合に比べ、チューブポンプ100の径方向RDの大きさを小さくすることができる。なお、第1パルスモータ52の第1配置位置と、第2パルスモータ62の第2配置位置とは、完全に一致しなくとも一部が重複するように配置されていてもよい。
【0043】
次に、本実施形態のチューブポンプ100の制御構成について説明する。図5は、図1に示すチューブポンプ100の制御構成を示すブロック図である。図5に示すように、本実施形態のチューブポンプ100は、第1パルスモータ52および第2パルスモータ62を制御する制御部90を備える。
【0044】
本実施形態の制御部90は、第1パルスモータ52および第2パルスモータ62のそれぞれへパルス信号を送信し、第1パルスモータ52および第2パルスモータ62をそれぞれ独立して制御する。制御部90は、第1位置検出センサ54から送信される信号を受信することにより、第1ローラ部10の軸線X回りの回転位置を検出することができる。また、制御部90は、第2位置検出センサ64から送信される信号を受信することにより、第2ローラ部20の軸線X回りの回転位置を検出することができる。
【0045】
本実施形態のチューブポンプ100は、制御部90が第1パルスモータ52および第2パルスモータ62を制御することにより、第1ローラ部10および第2ローラ部20によるチューブ200内の液体の吐出を行うよう第1ローラ部10および第2ローラ部20を同一方向に回転させる吐出制御モードを実行可能である。
【0046】
吐出制御モードを実行する場合、操作者は、入力部(図示略)を介してチューブポンプ100が流出側200bへ吐出させる液体の単位時間当たりの流量を設定する。制御部90は、設定された流量が流出側200bへ吐出されるように、第1パルスモータ52および第2パルスモータ62を制御する。
【0047】
本実施形態の制御部90は、吐出制御モードを実行する際に、図1に示す第1ローラ部10と第2ローラ部20との軸線X回りの回転位置の角度差θを調整する。制御部90は、第1ローラ部10と第2ローラ部20の一方がチューブ200から離間する際に、第1ローラ部10と第2ローラ部20の一方に他方が近づくように角度差θを調整する。
【0048】
このようにすることで、第1ローラ部10と第2ローラ部20の一方がチューブ200から離間する際に、第1ローラ部10と第2ローラ部20とにより閉塞されるチューブ200の内部の液体の圧力を増加させることができる。そのため、チューブ200の流出側200bから流入側200aに向けて液体が引き込まれ、それにより液体の脈動が発生することを抑制することができる。
【0049】
以上説明した本実施形態のチューブポンプ100が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態のチューブポンプ100によれば、第1ローラ部10および第2ローラ部20と、これらをそれぞれ軸線X回りに所定方向に回転させる第1駆動部50および第2駆動部60を有するため、収容部82により軸線X回りに円弧状に保持されたチューブ200に接触しながら回転する第1ローラ部10および第2ローラ部20を、軸線X回りに独立に回転させることができる。
【0050】
第1駆動部50が第1駆動軸51を軸線X回りに所定方向に回転させる駆動力は、第2駆動部60を軸線Xに沿って貫通する駆動軸30を介して第1ローラ部10に伝達される。また、第2駆動部60が第2駆動筒61を軸線X回りに所定方向に回転させる駆動力は、駆動筒40を介して第2ローラ部20に伝達される。
【0051】
本実施形態のチューブポンプ100によれば、第1駆動部50が第1駆動軸51を駆動軸30と同軸に回転させて駆動力を伝達し、かつ第2駆動部60が第2駆動筒61を駆動筒40と同軸に回転させて駆動力を伝達する。そのため、第1駆動部50から駆動軸30への駆動力の伝達にギヤを用いる必要がなく、かつ第2駆動部60から駆動筒40への駆動力の伝達にギヤを用いる必要がない。よって、第1ローラ部10および第2ローラ部20をそれぞれ異なる駆動部により独立して駆動させて第1駆動部50および第2駆動部60から第1ローラ部10および第2ローラ部20に駆動力を伝達する際に、駆動力の伝達により発生する振動を抑制するとともに製造コストを低減することが可能なチューブポンプ100を提供することができる。
【0052】
本実施形態のチューブポンプ100によれば、第1パルスモータ52を有する第1駆動部50により駆動軸30が第1駆動軸51と一体に回転し、第2パルスモータ62を有する第2駆動部60により駆動筒40が第2駆動筒61と一体に回転する。第1パルスモータ52が第1駆動軸51を回転させる回転速度と同じ速度で駆動軸30が回転するため、第1パルスモータ52が減速機を介して駆動軸30を回転させる場合に比べ、所定の回転速度で駆動軸30を回転させる際の第1パルスモータ52の回転速度を低くすることができる。
【0053】
同様に、第2パルスモータ62が第2駆動筒61を回転させる回転速度と同じ速度で駆動筒40が回転するため、第2パルスモータ62が減速機を介して駆動筒40を回転させる場合に比べ、所定の回転速度で駆動筒40を回転させる際の第2パルスモータ62の回転速度を低くすることができる。このように、駆動軸30および駆動筒40を所定の回転速度で回転させる際のパルスモータの回転速度を低くすることにより、駆動軸30および駆動筒40を高速で回転させる際にパルスモータが脱調する不具合を抑制することができる。
【0054】
本実施形態のチューブポンプ100によれば、駆動軸30に連結される第1ローラ部10がラジアル軸受70の外輪71に固定され、駆動筒40に連結される第2ローラ部20がラジアル軸受70の内輪72に固定される。駆動軸30および駆動筒40は、それぞれラジアル軸受70の外輪71および内輪72に対して位置決めされる。そのため、駆動軸30および駆動筒40を、それぞれ確実に同軸に配置して互いに接触しない状態で独立して軸線回りに回転させることができる。
【0055】
本実施形態のチューブポンプ100によれば、軸線Xに直交する方向に沿った第1駆動部50の第1配置位置と第2駆動部60の第2配置位置とが重複するため、これらが重複しない場合に比べ、チューブポンプ100の軸線Xに直交する径方向RDの大きさを小さくすることができる。そのため、第1駆動部50および第2駆動部60を設置するのに必要な径方向RDのスペースを小さくすることができる。
【符号の説明】
【0056】
10 第1ローラ部(第1接触部)
11 第1ローラ
12 第1ローラ支持部材
13 第1ローラシャフト
20 第2ローラ部(第2接触部)
21 第2ローラ
22 第2ローラ支持部材
23 第2ローラシャフト
30 駆動軸
40 駆動筒
50 第1駆動部
51 第1駆動軸(第1駆動部材)
52 第1パルスモータ
53 連結部材
54 第1位置検出センサ
60 第2駆動部
61 第2駆動筒(第2駆動部材)
62 第2パルスモータ
64 第2位置検出センサ
70 ラジアル軸受
71 外輪
72 内輪
82 収容部
82a 内周面
82b 凹所
90 制御部
100 チューブポンプ
200 チューブ
200a 流入側
200b 流出側
RD 径方向
X 軸線
θ 角度差
図1
図2
図3
図4
図5