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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123672
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】パケット制御システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 43/00 20220101AFI20220817BHJP
   H04M 3/00 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
H04L12/70 100A
H04M3/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021124
(22)【出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】303067478
【氏名又は名称】株式会社 ネクストジェン
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸司
(72)【発明者】
【氏名】安島 淳史
(72)【発明者】
【氏名】野中 昭男
【テーマコード(参考)】
5K030
5K201
【Fターム(参考)】
5K030GA12
5K030HA08
5K030HD03
5K030LB08
5K030MA07
5K030MB12
5K201AA02
5K201BB04
5K201BC05
5K201DA01
5K201DC02
5K201EA04
5K201EC01
5K201FA03
5K201FB09
(57)【要約】
【課題】回線交換機の障害時にも継続してパケットを転送できるパケット制御システムを提供する。
【解決手段】第1ゲートウェイ装置20は、回線交換機30の障害を検知した場合には、第1端末10から送信されたIPパケットを第2ゲートウェイ装置40回線交換機30へ送信する。第2ゲートウェイ装置40は、回線交換機30の障害を検知した場合には、第2端末50から送信されたIPパケットを第1ゲートウェイ装置20回線交換機30へ送信する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端末から送信されたIPパケットを回線交換機へ送信する第1ゲートウェイ装置と、
前記回線交換機を介して送信された前記第1端末からのIPパケットを第2端末へ送信する第2ゲートウェイ装置と、を備えるパケット制御システムであって、
前記第1ゲートウェイ装置は、
前記回線交換機の障害を検知していない場合には、前記第1端末から送信されたIPパケットを前記回線交換機へ送信し、
前記回線交換機の障害を検知した場合には、前記第1端末から送信されたIPパケットを前記第2ゲートウェイ装置、または、前記第2ゲートウェイ装置と前記回線交換機へ送信し、
前記第2ゲートウェイ装置は、
前記回線交換機の障害を検知していない場合には、前記第2端末から送信されたIPパケットを前記回線交換機へ送信し、
前記回線交換機の障害を検知した場合には、前記第2端末から送信されたIPパケットを前記第1ゲートウェイ装置、または、前記第1ゲートウェイ装置と前記回線交換機へ送信する
ことを特徴とするパケット制御システム。
【請求項2】
前記第1ゲートウェイ装置は、
前記回線交換機の障害を検知して、前記回線交換機から所定の間隔で送信される前記IPパケットを受信できない場合には、前記回線交換機に障害が発生したことを検知して、前記第1端末から送信されたIPパケットを前記第2ゲートウェイ装置、または、前記第2ゲートウェイ装置と前記回線交換機へ送信し、
前記第2ゲートウェイ装置は、
前記回線交換機から所定の間隔で送信される前記IPパケットを受信できない場合には、前記回線交換機の障害が発生したことを検知して、前記第2端末から送信されたIPパケットを前記第1ゲートウェイ装置、または、前記第1ゲートウェイ装置と前記回線交換機へ送信する
ことを特徴とする請求項1に記載のパケット制御システム。
【請求項3】
前記第1ゲートウェイ装置は、
前記回線交換機から所定のタイミングで再び前記IPパケットを受信できた場合には、前記回線交換機の障害が復旧したということを検知して、前記第1端末から送信されたIPパケットを前記第2ゲートウェイ装置、または、前記第2ゲートウェイ装置と前記回線交換機の双方へ送り、
前記第2ゲートウェイ装置は、
前記回線交換機から所定のタイミングで前記IPパケットを受信できた場合には、前記回線交換機の障害が復旧したということを検知して、前記第2端末から送信されたIPパケットを前記第1ゲートウェイ装置、または、前記第1ゲートウェイ装置と前記回線交換機の双方へ送信する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパケット制御システム。
【請求項4】
前記第1ゲートウェイ装置および前記第2ゲートウェイ装置は、前記回線交換機の障害発生時には、前記回線交換機から送信される前記IPパケットを破棄する
ことを特徴とする請求項2に記載のパケット制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パケット制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インターネットの急速な発展に伴い、IP電話が普及している。IP電話を使用したVoIP(Voice over IP)システムでは、第1端末から送信されたパケットは回線交換機(加入者収容設備)を介して第1端末とは異なる第2端末へ送信される。同様に、第2端末から送信されたパケットは回線交換機を介して第1端末へ送信される。第1端末と回線交換機間および回線交換機と第2端末間には、SBC(Session Border Controller)と呼ばれるゲートウェイ装置等を介してセッション制御が行われる。
【0003】
例えば、第1端末と第2端末間とでデータの転送を行うIP電話システムの技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-211702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなシステムにおいて、回線交換機に障害が発生した場合には、第1端末と第2端末との間で音声やメディアの情報を含むパケットの送受信を行うことができなかった。この場合、回線交換機が復旧するまでパケットの送受信ができず、パケットを利用したIP電話等のサービスが停止するという問題が生じていた。
【0006】
本発明は、係る点に鑑みてなされたものであり、回線交換機の障害時にも継続してパケットを転送できるパケット制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のパケット制御システムの一態様は、第1端末から送信されたIPパケットを回線交換機へ送信する第1ゲートウェイ装置と、前記回線交換機を介して送信された前記第1端末からのIPパケットを第2端末へ送信する第2ゲートウェイ装置と、を備えるパケット制御システムであって、前記第1ゲートウェイ装置は、前記回線交換機の障害を検知していない場合には、前記第1端末から送信されたIPパケットを前記回線交換機へ送信し、前記回線交換機の障害を検知した場合には、前記第1端末から送信されたIPパケットを前記第2ゲートウェイ装置、または、前記第2ゲートウェイ装置と前記回線交換機へ送信し、前記第2ゲートウェイ装置は、前記回線交換機の障害を検知していない場合には、前記第2端末から送信されたIPパケットを前記回線交換機へ送信し、前記回線交換機の障害を検知した場合には、前記第2端末から送信されたIPパケットを前記第1ゲートウェイ装置、または、前記第1ゲートウェイ装置と前記回線交換機へ送信することを特徴とする。
【0008】
この構成により、回線交換機の障害時にも第1ゲートウェイ装置および第2ゲートウェイ装置を介して、障害が発生した回線交換機を迂回してIPパケットを送信することができるので、継続してIPパケットを転送してサービスを継続することができる。
【0009】
本発明のパケット制御システムの一態様において、前記第1ゲートウェイ装置は、前記回線交換機の障害を検知して、前記回線交換機から所定の間隔で送信される前記IPパケットを受信できない場合には、前記回線交換機に障害が発生したことを検知して、前記第1端末から送信されたIPパケットを前記第2ゲートウェイ装置、または、前記第2ゲートウェイ装置と前記回線交換機へ送信し、前記第2ゲートウェイ装置は、前記回線交換機から所定の間隔で送信される前記IPパケットを受信できない場合には、前記回線交換機の障害が発生したことを検知して、前記第2端末から送信されたIPパケットを前記第1ゲートウェイ装置、または、前記第1ゲートウェイ装置と前記回線交換機へ送信することが好ましい。
【0010】
本発明のパケット制御システムの一態様において、前記第1ゲートウェイ装置は、前記回線交換機から所定のタイミングで再び前記IPパケットを受信できた場合には、前記回線交換機の障害が復旧したということを検知して、前記第1端末から送信されたIPパケットを前記第2ゲートウェイ装置、または、前記第2ゲートウェイ装置と前記回線交換機の双方へ送り、前記第2ゲートウェイ装置は、前記回線交換機から所定のタイミングで前記IPパケットを受信できた場合には、前記回線交換機の障害が復旧したということを検知して、前記第2端末から送信されたIPパケットを前記第1ゲートウェイ装置、または、前記第1ゲートウェイ装置と前記回線交換機の双方へ送信することが好ましい。
【0011】
本発明のパケット制御システムの一態様において、前記第1ゲートウェイ装置および前記第2ゲートウェイ装置は、前記回線交換機の障害発生時には、前記回線交換機から送信される前記IPパケットを破棄することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、回線交換機の障害時にも継続してパケットを転送できるパケット制御システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施の形態に係るゲートウェイ装置を含むパケット制御システムの一例を示す図である。
図2】回線交換機の障害発生前において、IPパケットの送受信を行うパケット制御システムにおいて実行されるゲートウェイ装置の概要を説明する図である。
図3】カプセリングされた情報の送信パラメータの情報(recover)は回線交換機が障害状態を脱し回復したことを検知した場合の動作を示す図である。
図4】回線交換機が障害状態を脱し回復したことを検知した場合の動作を示す図である。
図5】回線交換機の障害発生時において、IPパケットの送受信を行うパケット制御システムにおいて実行される第1ゲートウェイ装置および第2ゲートウェイ装置の概要を説明する図である。
図6】回線交換機の復旧時において、IPパケットの送受信を行うパケット制御システムにおいて実行されるゲートウェイ装置の概要を説明する図である。
図7】本実施の形態におけるゲートウェイ装置のハードウェア構成図である。
図8】本実施の形態における第1端末のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
(本実施の形態)
以下、IPネットワーク上の第1端末と第2端末間とにおいてIPパケットの送受信を行うパケット制御システムに、本発明のゲートウェイ装置を適用した本実施の形態について説明する。本ネットワークにおいては、例えば、マルチメディアデータをエンド-エンド間で直接リアルタイムに双方向通信するプロトコルが採用される。本実施の形態においては、例えば、プロトコルとしてSIP(Session Initiation Protocol)が採用される。SIPで実現するサービスとしては、例えば、IP電話、ビデオ会議、インスタントメッセージ等が含まれる。
【0016】
図1は、本実施の形態に係るゲートウェイ装置を含むパケット制御システムの一例を示す図である。パケット制御システム100は、第1端末10、第1ゲートウェイ装置20、回線交換機30、第2ゲートウェイ装置40、第2端末50を備える。
【0017】
第1端末10、第2端末50は、通信機能を有する任意の端末であってよい。例えば、第1端末10、第2端末50は、スマートフォン等の携帯電話、タブレット端末、およびPC(Personal Computer)等である。図1においては、パケット制御システム100には、第1端末10、第2端末50が1つずつ含まれるがこの限りではなく、複数台含まれる。
【0018】
第1端末10は、第1ゲートウェイ装置20を介して回線交換機30と接続されている。第1端末10は、例えば、IP電話の発信端末である。第1端末10は、発信時に第2端末50との間でIPパケットの送受信を行う。第1端末10は、SIPおよびRTP(Real-time Transport Protocol)に対応するプロトコルスタックを具備し、SIPに基づき第2端末50に対し発信要求(INVITE)を送出する機能を有する。なお、第1端末10は、第2端末50からの発信要求(INVITE)に対する成功応答(200 OK)を送出する機能を有してもよい。
【0019】
第2端末50は、第2ゲートウェイ装置40を介して、回線交換機30と接続されている。第2端末50は、例えば、IP電話の着信端末である。第2端末50は、着信時に第1端末10との間で第1ゲートウェイ装置20、回線交換機30、第2ゲートウェイ装置40を介してIPパケットの送受信を行う。第2端末50は、SIPおよびRTPに対応するプロトコルスタックを具備し、SIPに基づき第1端末10からの発信要求(INVITE)に対する成功応答(200 OK)を第2ゲートウェイ装置40、回線交換機30、第1ゲートウェイ装置20を介して送出する機能を有する。なお、第2端末50は、第1端末10に対し発信要求(INVITE)を送出する機能を有してもよい。
【0020】
第1ゲートウェイ装置20は、第1端末10と回線交換機30との間に接続されている。第1ゲートウェイ装置20は、第1端末10と第2端末50との第2ゲートウェイ装置40、回線交換機30、第1ゲートウェイ装置20を介したIPパケットの送受信時に、ゲートウェイとして第1端末10側の網域内の構成を隠蔽する。第1ゲートウェイ装置20は、第1端末10から送信されたIPパケットを回線交換機30、第2ゲートウェイ装置40を介して第2端末50へ送信する。
【0021】
第2ゲートウェイ装置40は、第2端末50と回線交換機30との間に接続されている。第2ゲートウェイ装置40は、第1端末10と第2端末50との第1ゲートウェイ装置20、回線交換機30、第2ゲートウェイ装置40を介したIPパケットの送受信時に、ゲートウェイとして第2端末50側の網域内の構成を隠蔽する。第2ゲートウェイ装置40は、第1端末10から第1ゲートウェイ装置20、回線交換機30を介して送信されたIPパケットを第2端末50へ送信する。第1ゲートウェイ装置20および第2ゲートウェイ装置40として、例えば、SBC(Session Border Controller)が採用される。
【0022】
なお、回線交換機30は、所定の間隔で第1ゲートウェイ装置20および第2ゲートウェイ装置40へIPパケットを送信している。第2ゲートウェイ装置40は、回線交換機30から送信されるIPパケットに基づいて回線交換機30に障害が発生しているか否かを検知することができる。すなわち、第2ゲートウェイ装置40は、回線交換機30から送信されるIPパケットを所定の間隔で受信できない場合には、回線交換機30に障害が発生していることを検知することができる。同様に第1ゲートウェイ装置20は、回線交換機30から送信されるIPパケットを所定の間隔で受信できない場合には、回線交換機30に障害が発生していることを検知することができる。なお、回線交換機30に障害が発生していることを検知する方法はこれに限られず、公知の技術を採用することができる。
【0023】
図2は、回線交換機30の障害発生前において、IPパケットの送受信を行うパケット制御システム100において実行される第1ゲートウェイ装置20、第2ゲートウェイ装置40の概要を説明する図である。
【0024】
図2に示す例では、第1端末10が第1ゲートウェイ装置20を介して回線交換機30とIPパケットの送受信を行う。すなわち、第1ゲートウェイ装置20は、第1端末10の通信を中継する。回線交換機30は第2ゲートウェイ装置40を介して第2端末50とIPパケットの送受信を行う。すなわち、第2ゲートウェイ装置40は、第2端末50の通信を中継する。パケット制御システム100は、第1端末10または第2端末50からの要求に応じて、第1端末10と第2端末50との通信接続を確立する。
【0025】
具体的には、第1端末10は、IPパケットに呼制御情報を含めて第2端末50へ送信する。第1ゲートウェイ装置20、回線交換機30、第2ゲートウェイ装置40、第2端末50は、呼制御情報をIPパケットから取得することができる。この場合、呼制御情報は、SIPおよびH.323プロトコル等で使用されるものであるが、特に限定されない。
【0026】
SIPでは、呼制御情報であるSIPメッセージはテキスト形式であり、スタートライン(ステータス行)、ヘッダ部およびボディ部に分けられ、ボディ部に、SDP(Session Description Protocol)という記述構文で、第1端末10の発信元アドレス、ポートの情報、圧縮形式などの呼制御情報が記述される。
【0027】
図2に示すように、第1端末10は、発信要求(INVITE)を第1ゲートウェイ装置20へ送信する(S11)。第1端末10の発信要求(INVITE)には、第1ゲートウェイ装置20の送信先アドレスなどが記述される。
【0028】
第1ゲートウェイ装置20は、回線交換機30から送信されるIPパケットを所定の間隔で受信できない場合には、回線交換機30に障害が発生していることを検知する。なお、回線交換機30に障害が発生しているか否かの検知は、他の公知の技術により実行してもよい。
【0029】
回線交換機30の障害発生前においては、第1ゲートウェイ装置20は、第1端末10から受け取った発信要求(INVITE)を回線交換機30へ送信する(S12)。回線交換機30の障害発生前において、第1ゲートウェイ装置20は、第1端末10から受け取った発信要求(INVITE)を回線交換機30および第2ゲートウェイ装置40へ送信してもよい。第1ゲートウェイ装置20が送信する発信要求(INVITE)には、第1ゲートウェイ装置20の発信元アドレスの情報などが記述(カプセリング:Capsuling)される。
【0030】
回線交換機30は、第1ゲートウェイ装置20から受け取った発信要求(INVITE)を第2ゲートウェイ装置40へ送信する(S13)。回線交換機30が送信する発信要求(INVITE)には、第1ゲートウェイ装置20の発信元アドレスなどが記述(カプセリング)される。
【0031】
回線交換機30の障害発生前においては、第2ゲートウェイ装置40は、回線交換機30から受け取った発信要求(INVITE)を第2端末50へ送信する(S14)。この場合、第2ゲートウェイ装置40は、発信要求(INVITE)に含まれる発信元アドレスに基づいて、発信要求(INVITE)の発信元である第1ゲートウェイ装置20を障害時送信先として予め記憶する。なお、交換機の障害発生前においては、第2ゲートウェイ装置40は、第1ゲートウェイ装置20から直接送信された発信要求(INVITE)を破棄してもよい。
【0032】
第2端末50は、第1端末10の発信要求(INVITE)に対する成功応答(200 OK)を第2ゲートウェイ装置40へ送信する(S21).第2端末50の成功応答(200 OK)には、第1端末10の送信先アドレスなどが記述される。
【0033】
回線交換機30の障害発生前においては、第2ゲートウェイ装置40は、第2端末50から受け取った成功応答(200 OK)を回線交換機30へ送信する(S22)。回線交換機30の障害発生前において、第2ゲートウェイ装置40は、第2端末50から受け取った成功応答(200 OK)を回線交換機30および第1ゲートウェイ装置20へ送信してもよい。第2ゲートウェイ装置40が送信する成功応答(200 OK)には、第2ゲートウェイ装置40の発信元アドレスの情報などが記述(カプセリング)される。
【0034】
回線交換機30は、第2ゲートウェイ装置40から受け取った成功応答(200 OK)を第1ゲートウェイ装置20へ送信する(S23)。回線交換機30が送信する成功応答(200 OK)には、第2ゲートウェイ装置40の発信元アドレスなどが記述される。
【0035】
第2ゲートウェイ装置40は、回線交換機30から所定の間隔で送信されるIPパケットを受信できない場合には、回線交換機30に障害が発生していることを検知する。
【0036】
回線交換機30の障害発生前においては、第1ゲートウェイ装置20は、回線交換機30から受け取った成功応答(200 OK)を第1端末10へ送信する(S24)。この場合、第1ゲートウェイ装置20は、成功応答(200 OK)に含まれる発信元アドレスに基づいて、IPパケットの発信元である第2ゲートウェイ装置40を障害時送信先として記憶する。なお、回線交換機30の障害発生前においては、第1ゲートウェイ装置20は、第2ゲートウェイ装置40から直接送信された成功応答(200 OK)を破棄する。
【0037】
図3は、カプセリングされた情報の送信パラメータの情報(recover)は回線交換機30が障害状態を脱し回復したことを検知した場合の動作を示す図である。図3に示すように、第1ゲートウェイ装置20の発信要求(INVITE)は、スタートライン61、ヘッダ部62およびボディ部63に分けられている。ヘッダ部62には、障害時送信先の情報64として、第1ゲートウェイ装置20の発信元アドレスおよびポートの情報、送信パラメータの情報(recover)“X-ALTERDST: addr=192.168.0.188;port=8000;recover=true”が記述(カプセリング)されている。送信パラメータの情報(recover)は、送信方法を示す情報である。送信パラメータの情報(recover)が“true”の場合には、第1ゲートウェイ装置20は、回線交換機30が障害状態を脱し、回復したことを第1ゲートウェイ装置20および第2ゲートウェイ装置40が検出した場合に回線交換機30を経由してIPパケットを第2ゲートウェイ装置40へ送信し、送信パラメータの情報(recover)が“false”の場合には、回線交換機30が障害状態を脱し、回復したことを第1ゲートウェイ装置20および第2ゲートウェイ装置40が検出した場合でも第1ゲートウェイ装置20および第2ゲートウェイ装置40間でIPパケットを送信する。
【0038】
図4は、回線交換機30が障害状態を脱し回復したことを検知した場合の動作示す図である。図4に示すように、第2ゲートウェイ装置40の成功応答(200 OK)は、スタートライン71、ヘッダ部72およびボディ部73に分けられている。ヘッダ部72には、障害時送信先の情報74として、第2ゲートウェイ装置40の発信元アドレスおよびポートの情報、送信パラメータの情報(recover)“X-ALTERDST: addr=192.168.0.189;port=8000;recover=true”が記述(カプセリング)されている。送信パラメータの情報(recover)は、送信方法を示す情報である。送信パラメータの情報(recover)が“true”の場合には、回線交換機30が障害状態を脱し、回復したことを第1ゲートウェイ装置20および第2ゲートウェイ装置40が検出した場合に回線交換機30を経由してIPパケットを回線交換機30および第1ゲートウェイ装置20へ送信し、送信パラメータの情報(recover)が“false”の場合には、回線交換機30が障害状態を脱し、回復したことを第1ゲートウェイ装置20および40が検出した場合でも第1ゲートウェイ装置20、第2ゲートウェイ装置40間でIPパケットを送信する。
【0039】
図5は、回線交換機30の障害発生時において、IPパケットの送受信を行うパケット制御システム100において実行される第1ゲートウェイ装置20および第2ゲートウェイ装置40の概要を説明する図である。
【0040】
第1ゲートウェイ装置20は、回線交換機30から送信されるIPパケットを所定の間隔で受信できない場合には、回線交換機30に障害が発生していることを検知する。第1ゲートウェイ装置20および第2ゲートウェイ装置40は、回線交換機30に障害が発生しているか否かの処理を、一定の間隔で行う。なお、第1ゲートウェイ装置20および第2ゲートウェイ装置40は、図示しない他の装置から受け取った情報に基づいて回線交換機30に障害が発生しているか否かの検知を行ってもよい。
【0041】
第1端末10は、発信要求(INVITE)を第1ゲートウェイ装置20へ送信する(S31)。第1端末10の発信要求(INVITE)には、第2端末50の送信先アドレスなどが記述される。
【0042】
回線交換機30の障害発生時においては、第1ゲートウェイ装置20は、第1端末10から受け取った発信要求(INVITE)を回線交換機30および第2ゲートウェイ装置40へ送信する(S32、S33)。回線交換機30の障害発生時において、第1ゲートウェイ装置20は、第1端末10から受け取った発信要求(INVITE)を第2ゲートウェイ装置40のみに送信してもよい。
【0043】
第2ゲートウェイ装置40の宛先は、障害発生前において、障害時送信先として記憶している情報に基づいて送信される。すなわち、障害時送信先の情報64として記述(カプセリング)された、図3に示す第2ゲートウェイ装置40の発信元アドレスおよびポートの情報“X-ALTERDST: addr=192.168.0.189;port=8000;recover=true”に基づいて送信される。
【0044】
回線交換機30の障害発生時においては、第2ゲートウェイ装置40は、第1ゲートウェイ装置20から受け取った発信要求(INVITE)を第2端末50へ送信する(S34)。なお、障害発生時においては、第2ゲートウェイ装置40は、回線交換機30から送信された発信要求(INVITE)を破棄してもよい。
【0045】
第2端末50は、第1端末10の発信要求(INVITE)に対する成功応答(200 OK)を第2ゲートウェイ装置40へ送信する(S41).第2端末50の成功応答(200 OK)には、第2ゲートウェイ装置40の送信先アドレスなどが記述される。
【0046】
回線交換機30の障害発生時においては、第2ゲートウェイ装置40は、第2端末50から受け取った成功応答(200 OK)を回線交換機30および第1ゲートウェイ装置20へ送信する(S42、S43)。回線交換機30の障害発生時において、第2ゲートウェイ装置40は、第2端末50から受け取った成功応答(200 OK)を第1ゲートウェイ装置20のみに送信してもよい。第2ゲートウェイ装置40が送信する成功応答(200 OK)には、第2ゲートウェイ装置40の発信元アドレスの情報などが記述(カプセリング)される。
【0047】
第1ゲートウェイ装置20の宛先は、障害発生前において、障害時送信先として記憶している情報に基づいて送信される。すなわち、障害時送信先の情報74として記述(カプセリング)された、図4に示す第1ゲートウェイ装置20の発信元アドレスおよびポートの情報“X-ALTERDST: addr=192.168.0.189;port=8000;recover=true”に基づいて送信される。
【0048】
回線交換機30の障害発生時においては、第1ゲートウェイ装置20は、第2ゲートウェイ装置40から受け取った成功応答(200 OK)を第1端末10へ送信する(S44)。なお、障害発生時においては、第1ゲートウェイ装置20は、回線交換機30から送信された成功応答(200 OK)を破棄してもよい。
【0049】
図6は、回線交換機30の復旧時において、IPパケットの送受信を行うパケット制御システム100において実行される第1ゲートウェイ装置20、第2ゲートウェイ装置40の概要を説明する図である。
【0050】
第1ゲートウェイ装置20は、回線交換機30から所定の間隔で送信されるIPパケットを受信できた場合には、回線交換機30に発生していた障害が復旧したことを検知する。第1ゲートウェイ装置20および第2ゲートウェイ装置40は、回線交換機30に発生した障害が復旧したか否かの処理を、一定の間隔で行う。なお、第1ゲートウェイ装置20および第2ゲートウェイ装置40は、図示しない他の装置から受け取った情報に基づいて回線交換機30に発生した障害が復旧したか否かの検知を行ってもよい。
【0051】
第1端末10は、発信要求(INVITE)を第1ゲートウェイ装置20へ送信する(S51)。第1端末10の発信要求(INVITE)には、第1ゲートウェイ装置20の送信先アドレスなどが記述される。
【0052】
回線交換機30の障害の復旧時においては、第1ゲートウェイ装置20は、第1端末10から受け取った発信要求(INVITE)を回線交換機30へ送信する(S52)。
【0053】
第1ゲートウェイ装置20は、回線交換機30から所定の間隔で送信されるIPパケットを受信できた場合には、回線交換機30に発生した障害が復旧したことを検知する。
【0054】
回線交換機30は、第1ゲートウェイ装置20から受け取った発信要求(INVITE)を第2ゲートウェイ装置40へ送信する(S53)。回線交換機30が送信する発信要求(INVITE)には、第1ゲートウェイ装置20の発信元アドレスなどが記述(カプセリング)される。
【0055】
回線交換機30の障害の復旧後においては、第2ゲートウェイ装置40は、回線交換機30から受け取った発信要求(INVITE)を第2端末50へ送信する(S54)。この場合、第2ゲートウェイ装置40は、発信要求(INVITE)に含まれる発信元アドレスに基づいて、発信要求(INVITE)の発信元である第1ゲートウェイ装置20を障害時送信先として記憶する。なお、回線交換機30の障害の復旧後においては、第2ゲートウェイ装置40は、第1ゲートウェイ装置20から直接送信された発信要求(INVITE)を破棄する。
【0056】
第2端末50は、第1端末10の発信要求(INVITE)に対する成功応答(200 OK)を第2ゲートウェイ装置40へ送信する(S61).第2端末50の成功応答(200 OK)には、第2ゲートウェイ装置40の送信先アドレスなどが記述される。
【0057】
回線交換機30の障害の復旧時においては、第2ゲートウェイ装置40は、第2端末50から受け取った成功応答(200 OK)を回線交換機30へ送信する(S62)。第2ゲートウェイ装置40が送信する成功応答(200 OK)には、第2ゲートウェイ装置40の発信元アドレスの情報などが記述(カプセリング)される。
【0058】
回線交換機30は、第2ゲートウェイ装置40から受け取った成功応答(200 OK)を第1ゲートウェイ装置20へ送信する(S63)。回線交換機30が送信する成功応答(200 OK)には、第2ゲートウェイ装置40の発信元アドレスなどが記述される。
【0059】
第2ゲートウェイ装置40は、回線交換機30から所定の間隔で送信されるIPパケットを受信できた場合には、回線交換機30に発生した障害が復旧したことを検知する。
【0060】
回線交換機30の障害の復旧後においては、第1ゲートウェイ装置20は、回線交換機30から受け取った成功応答(200 OK)を第1端末10へ送信する(S64)。なお、回線交換機30の障害の復旧時においては、第1ゲートウェイ装置20は、第2ゲートウェイ装置40から直接送信された成功応答(200 OK)を破棄する。
【0061】
図7は、本実施の形態における第1ゲートウェイ装置20のハードウェア構成図である。第2ゲートウェイ装置40のハードウェア構成は、第1ゲートウェイ装置20と同様であるため説明を省略する。
図7に示すように、第1ゲートウェイ装置20は、制御部81、入力装置82、表示装置83、記憶部84、インターフェース(I/F)85がバス86に接続されて構成されている。また、第1ゲートウェイ装置20は、図7に示していない他のハードウェア構成を備えていてもよい。
【0062】
制御部81は、第1ゲートウェイ装置20およびパケット制御システム100全体を統括的に制御するもので、プログラムを読み込んでIPパケット制御処理を実行するCPU(Central Processing Unit)を有する。
入力装置82は、例えば、キーボード、ジョイスティック、ライトペン、マウス、タッチパッド、タッチパネル、トラックボール等、各種のデータや信号等を入力する。
表示装置83は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等の各種ディスプレイ、プリンタ等、画像やその他の情報を出力する。
【0063】
記憶部84は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等を有する。記憶部84は、第1ゲートウェイ装置20が実行するプログラムの他、第1ゲートウェイ装置20の各機能を制御し実行するための制御プログラム、障害時送信先の情報などを記憶する。記憶部84は、第1ゲートウェイ装置20がプログラムを実行する際の作業領域を提供する。また、記憶部84は、後述の各種データベース(DB)や、他のデータを記憶してもよい。
【0064】
インターフェース(I/F)85は、イーサネット(登録商標)等のパラレルインターフェース、無線LANのインターフェース、USB(Universal Serial Bus)等のシリアルインターフェース等、第1端末10、回線交換機30、第2端末50などと接続するためのユニットである。本実施の形態におけるパケット転送処理は、前述した第1ゲートウェイ装置20によって実行される。
【0065】
図8は、本実施の形態における第1端末10のハードウェア構成図である。なお、第2端末50のハードウェア構成は、第1端末10と同様であるため説明を省略する。
図8に示すように、第1端末10は、制御部91、入力装置92、表示装置93、記憶部94、インターフェース(I/F)95がバス96に接続されて構成されている。また、第1端末10は、図8に示していない他のハードウェア構成を備えていてもよい。
【0066】
制御部91は、第1端末10全体を統括的に制御するもので、プログラムを読み込んでIPパケット制御処理を実行するCPUを有する。
入力装置92は、例えば、キーボード、ジョイスティック、ライトペン、マウス、タッチパッド、タッチパネル、トラックボール等、各種のデータや信号等を入力する。
表示装置93は、例えば、LCD等の各種ディスプレイ、プリンタ等、画像やその他の情報を出力する。
【0067】
記憶部94は、RAM、ROM、HDD等を有する。記憶部94は、第1端末10がIPパケット制御処理を実行するプログラムの他、第1端末10の各機能を制御し実行するための制御プログラム、画面データなどを記憶する。記憶部94は、第1端末10がプログラムを実行する際の作業領域を提供する。また、記憶部94は、後述の各種データベース(DB)や、他のデータを記憶してもよい。
【0068】
インターフェース(I/F)95は、イーサネット等のパラレルインターフェース、無線LANのインターフェース、USB等のシリアルインターフェース等、第1ゲートウェイ装置20、第2ゲートウェイ装置40と接続するためのユニットである。
【0069】
上述の実施の形態において、第1ゲートウェイ装置20は、回線交換機30の障害を検知していない場合には、第1端末10から送信された発信要求(INVITE)を回線交換機30へ送信する。第1ゲートウェイ装置20は、回線交換機30の障害を検知した場合には、第1端末10から送信された発信要求(INVITE)を第2ゲートウェイ装置40と回線交換機30へ送信する。そして、第1ゲートウェイ装置20は、回線交換機30の障害を検知した場合には、第1端末10から送信されたIPパケットを第2ゲートウェイ装置40、または、第2ゲートウェイ装置40と回線交換機30へ送信する。
【0070】
第2ゲートウェイ装置40は、回線交換機30の障害を検知していない場合には、第2端末50から送信された成功応答(200 OK)を回線交換機30へ送信する。一方で、第2ゲートウェイ装置40は、回線交換機30の障害を検知した場合には、第2端末50から送信された成功応答(200 OK)を第1ゲートウェイ装置20、または、第1ゲートウェイ装置20と回線交換機30へ送信する。
【0071】
上述の構成により、回線交換機30の障害時にも第1ゲートウェイ装置20および第2ゲートウェイ装置40を介して、障害が発生した回線交換機30を迂回して成功応答(200 OK)および発信要求(INVITE)を送受信することができるので、継続してIPパケットを転送してサービスを継続することができる。
【0072】
なお、上述の実施の形態においては、第1ゲートウェイ装置20および第2ゲートウェイ装置40は、第1端末10と第2端末50側に1つずつ配置されてるがこの限りではなく、複数配置してもよい。この場合、回線交換機30の障害時には、第2端末50側に配置されている複数のゲートウェイ装置群は、第2端末50から受け取った成功応答(200 OK)をそれぞれ第1端末10側に配置されている第1ゲートウェイ装置20へ送信する。第1ゲートウェイ装置20は、第2端末50側に配置されているゲートウェイ装置群から受け取った成功応答(200 OK)のうちいずれか1つを第1端末10へ送信する。第1ゲートウェイ装置20は、第2端末50側に配置されているゲートウェイ装置群のうち第1ゲートウェイ装置20に一番近いゲートウェイ装置から受け取った成功応答(200 OK)を第1端末10へ送信してもよい。
【0073】
以上、本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施の形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく修正および変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。本明細書で説明した各態様/実施の形態の処理手順などは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。
【0074】
上述の実施の形態においては、パケット制御システム100は、第1端末10、第1ゲートウェイ装置20、回線交換機30、第2ゲートウェイ装置40、第2端末50を備えているがこの限りではない。例えば、別実施の形態における、パケット制御システム100は、第2ゲートウェイ装置40を備えずに、第1端末10、第1ゲートウェイ装置20、回線交換機30、第2端末50により構成されていてもよい。別の実施の形態におけるパケット制御システム100では、第1ゲートウェイ装置20、すなわち1台のゲートウェイ装置に対し、発信端末である第1端末10および着信端末である第2端末50が収容される。この場合、第1ゲートウェイ装置20には、上述の実施の形態の第1ゲートウェイ装置20および第2ゲートウェイ装置40の双方の機能が実装される。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、回線交換機の障害時にも継続してパケットを転送できるという効果を奏し、パケット制御システムなどに好適に利用できる。
【符号の説明】
【0076】
10 第1端末
20 第1ゲートウェイ装置
30 回線交換機
40 第2ゲートウェイ装置
50 第2端末
100 パケット制御システム
図1
図2
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